JP2004213914A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本体1上面のトップフレーム8に設けたトッププレート9と、該トッププレート9下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイル3と該誘導加熱コイル3が載置されるコイルベース4から構成されるコイルユニット2と、該本体1内部に設けられ、該コイルユニット2に冷却空気28を供給するファン装置16とを備えた誘導加熱調理器において、該トッププレート9と該誘導加熱コイル3の間隙に高熱伝導性部材17を該誘導加熱コイル3に熱的に接触させて配置した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器の誘導加熱コイルの冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱調理器、例えば誘導加熱式クッキングヒータ(以下IHクッキングヒータという)は、主に誘導加熱コイルに流れる電流によって発生する磁力線により、誘導加熱コイル上方に配置される調理鍋に渦電流が生じ、調理鍋自体が発熱するものである。
【0003】
誘導加熱調理器は、ガス加熱の熱効率(約40%程度)に比べ高い熱効率(鉄鍋で約90%)であるものの、熱損失が生じて誘導加熱コイルなどが発熱するため、これらの冷却が必要とされる。
【0004】
誘導加熱調理器において、調理に最も必要とされる高火力を得るには、調理鍋に流れる渦電流量の増加、即ち入力電力の増加が必要であるが、例えば、加熱し難い非磁性調理鍋や多層鍋では鉄鍋等と比べ熱効率(例えば70%以下)が大幅に低下し、調理に必要な加熱量を発生させるには大きな入力電力が必要になる。
【0005】
しかし、大電力の入力に対して熱効率の低い条件下では、熱損失(調理鍋の加熱にならない電力)が増大して誘導加熱コイルなどの部品の発熱が増大することになり、誘導加熱コイルが許容温度を超えてしまうので、許容温度以下に抑える冷却構造が必要となってくる。
【0006】
従来の誘導加熱調理器における冷却構造は、ファン装置から誘導加熱コイル及びこの誘導加熱コイルが載置されるコイルベース近傍に冷却空気を供給させる構造となっており、特許文献1に開示されている例では、誘導加熱コイルの冷却のために、誘導加熱コイルとコイルベース間に冷却風の通る風路が構成できるように、コイルベース内部のリブを外周枠よりも高く構成させたものであり、加えて、誘導加熱コイルの下方の本体に大きな開口を設け、この開口から誘導加熱コイルに冷却空気を吹き付ける構造が記載されている。
【0007】
また、特許文献2に開示されている例では、誘導加熱コイルの下方の駆動回路基板を覆う基板ベースカバーに大きな開口を設け、この開口から誘導加熱コイルに冷却空気を吹き付ける構造が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−43045号公報
【特許文献2】
特開2002−33184号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来構成である、冷却空気を誘導加熱コイル近傍に供給させる誘導加熱調理器や、誘導加熱コイルの下方に大きな開口を設けて誘導加熱コイルに冷却空気を吹き付ける誘導加熱調理器では、誘導加熱コイル面の熱伝達が低く冷却性能が良好でないため、熱損失の大きな誘導加熱コイルの冷却が十分できない。
【0010】
また、誘導加熱コイルを載置するコイルベース面が小さく、誘導加熱コイルを固定するコイルベース強度が弱い。そのため、トッププレート面と誘導加熱コイルの間隙が変化し易く、加熱安定性が良好でない。
【0011】
また、誘導加熱コイルへの冷却空気の流れる方向に温度の不均一性が生じ易いなどの問題があった。
【0012】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも一つを解決するために為されてものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、本体上面のトップフレームに設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイルと該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該本体内部に設けられ、該コイルユニットに冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該トッププレートと該誘導加熱コイルの間隙に高熱伝導性部材を該誘導加熱コイルに熱的に接触させて配置したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述のように、本体上面のトップフレームに設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイルと該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該本体内部に設けられ、該コイルユニットに冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該トッププレートと該誘導加熱コイルの間隙に高熱伝導性部材を該誘導加熱コイルに熱的に接触させて配置した(請求項1)ので、誘導加熱コイルを効率よく冷却することができ、その信頼性を高めることができる。
【0015】
さらに、前記高熱伝導性部材はセラミック材である(請求項2)ので、電気的、機械的に安定して誘導加熱コイルを冷却できる。
【0016】
さらに、前記高熱伝導性部材の外径寸法は前記誘導加熱コイルの外径寸法より大きい(請求項3)ので、誘導加熱コイルを高効率で冷却できる。
【0017】
さらに、前記高熱伝導性部材の前記誘導加熱コイルの外周からはみ出した露出部を前記ファン装置から供給される冷却空気で冷却する(請求項4)ので、誘導加熱コイルをより高効率で冷却ができる。
【0018】
さらに、前記高熱伝導性部材に複数の凹凸を設け、この複数の凹凸の隙間を前記冷却空気の風路とした(請求項5)ので、誘導加熱コイルを一層効率よく冷却ができる。
【0019】
また、本体上面のトップフレームに設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイルと該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットとを備えた誘導加熱調理器において、該コイルベースに高熱伝導性部材を設け、この高熱伝導性部材に該誘導加熱コイルの一部もしくは全部を熱的に接触させて載置した(請求項6)ので、トッププレートと誘導加熱コイルの間隙が小さい場合でも誘導加熱コイルを効率よく冷却できる。
【0020】
さらに、請求項1ないし請求項5において、前記コイルベースに高熱伝導性部材を設け、この高熱伝導性部材に前記誘導加熱コイルの一部もしくは全部を熱的に接触させて載置した(請求項7)ので、誘導加熱コイルをさらに一層高効率で冷却できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の各実施例を図を用いて説明する。なお、図2以降においては、図1の実施例と共通する構成の一部を省略すると共に、重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符号は、同一物又は相当物を示す。また、同一物が二つ以上あり、これらを判別して説明した方が分り易い場合は、図中に表れない部分についても、数字の符号にa、b、c等の接尾辞を付け、他の場合は前記接尾辞を付けていない。
【0022】
(第一の実施例)
図1に本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の一部を分解した斜視図を示す。図1は本発明の誘導加熱調理器の一例として、誘導加熱による調理鍋載置部を手前左右に二口、電熱ヒータ加熱による調理鍋載置部を奥ほぼ中央に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)IHクッキングヒータに適用したものである。
【0023】
ここで、本発明は、誘導加熱による調理鍋載置部を少なくとも一つ設けたIHクッキングヒータであれば、ビルトイン型でなくとも据置型(流し台にそのまま配置)でも容易に適用できることは言うまでもない。
【0024】
また、図2は同誘導加熱調理器のコイルユニット周辺部の側面断面図で、コイルユニットの詳細な構成と冷却空気の流れとの関係を示す図であり、以下、第一の実施例について、図1及び図2を用いて説明する。尚、図2(a)はフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図であり、同(b)はフェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【0025】
図1において、1は誘導加熱調理器の本体である。2(2a、2b)はコイルユニットで、二口の誘導加熱に対応して二組有り、次の六つの要素から構成されている。
【0026】
3(3a、3b)は誘導加熱コイルで、二つ有り、これに流れる電流によって発生する磁力線により上方に載置される調理鍋(図示せず)に渦電流が生じ、調理鍋(図示せず)自体を発熱させる。4(4a、4b)はコイルベースで、二つ有り、上に誘導加熱コイル3(3a、3b)を載置して保持する。
【0027】
5(5a、5b)はフェライトで、二組あり、数本の棒状のもので一組が構成され、誘導加熱コイル3(3a、3b)に対して放射状にコイルベース4(4a、4b)内に搭載され、誘導加熱コイル3(3a、3b)から発生した磁力線が下方に向う流れを止める。6(6a、6b)は温度センサで、二つ有り、コイルユニット2(2a、2b)中央部に配置され、上方の調理鍋(図示せず)の温度を監視する。
【0028】
コイルユニット2(2a、2b)は、上記誘導加熱コイル3(3a、3b)とコイルベース4(4a、4b)とフェライト5(5a、5b)と温度センサ6(6a、6b)と、後記高熱伝導性部材17(17a、17b)と後記熱伝導部材18(18a、18b)とで構成されている。
【0029】
7はラジエントヒータで、一口の電熱ヒータ加熱に対応している。
【0030】
8はトップフレームで、本体1の上面に設けられ、次の二つの要素から構成されている。9はトッププレートで、耐熱ガラス等で形成され、加熱される調理鍋(図示せず)を載置する。10は通気孔で、トップフレーム8上の後部に設けられ、本体1の内部と外部との間で空気を出入りさせる。トップフレーム8は、上記トッププレート9と通気孔10とで構成されている。
【0031】
11(11a、11b、11c)は調理鍋載置部で、トッププレート9上で調理鍋(図示せず)を載置する部位を示し、11a、11bは二つの誘導加熱コイル3a、3bに対応し、手前右、左に配置され、11cはラジエントヒータ7に対応し、奥ほぼ中央に配置されている。
【0032】
12は操作パネルで、本体1前面に設けられ、誘導加熱コイル3や後記ロースター15等の火加減を制御する。13は主電源で、操作パネル12内に配置され、機器全体の電源を入り切りする。14はダイヤルで、操作パネル12内に配置され、回転させることにより火力を調整できる。15はロースターで、本体1前面に設けられ、魚などを焼く。
【0033】
16(16a、16b)はファン装置で、16aは図示していないが、操作パネル27の後方、かつ後記底面25の下方に搭載され、誘導加熱コイル3を制御するインバータ回路基板等の電子回路部品(図示せず)を冷却する空気を送風し、16bは後記表示パネル27のほぼ中央部に設けられ、左のコイルユニット2bすなわち誘導加熱コイル3bを冷却する空気を送風し、同時に後記表示パネル27の冷却を行う。ファン装置16aにより前記電子回路部品(図示せず)に吹き付けられた冷却の空気は、その後、後記底面25に設けられた吐出し口26を通って右のコイルユニット2aすなわち誘導加熱コイル3aに吹き付けられる。
【0034】
ここで、ファン装置16は、例えば、プロペラファンでもシロッコファンでも良いが、ファン装置16bは、本実施例に示すように、後記底面25とトッププレート9の間の空間に収納できる大きさが望ましい。
【0035】
17(17a、17b)は高熱伝導性部材で、二つの誘導加熱コイル3(3a、3b)に対応して二つ有り、トッププレート9と誘導加熱コイル3(3a、3b)の間隙に誘導加熱コイル3(3a、3b)に熱的に接触させて配置している。
【0036】
高熱伝導性部材17は、高熱伝導性の粉末を焼結させたセラミック材で形成され、このセラミック材は、例えば、窒化アルミナやアルミナ等がよく、磁力線が透過でき且つ熱伝導性が良好であれば、高熱伝導性粉末を混合した樹脂などでもよい。
【0037】
また、高熱伝導性部材17の外径寸法は、誘導加熱コイル3の外径寸法より大きくし、誘導加熱コイル3の直径の1〜3倍程度とするのが望ましい。17−1(17a−1、17b−1)は露出部で、高熱伝導性部材17(17a、17b)の誘導加熱コイル3(3a、3b)の外周からはみ出した部分である。高熱伝導性部材17の厚さは、1〜5mm程度とするのが望ましい。
【0038】
尚、より望ましくは、高熱伝導性部材17の大きさは誘導加熱コイル3の直径の1.2〜1.5倍程度で、厚さは2〜3mm程度である。本実施例では、高熱伝導性部材17を円形としたが、円形でなくとも誘導加熱コイル3の外周から露出させ、本体1内に実装できる最大サイズとすれば最も効率よく冷却できることは言うまでもない。
【0039】
18(18a、18b)は熱伝導部材で、例えば、熱伝導グリース等であり、二つの誘導加熱コイル3(3a、3b)に対応して二箇所に有り、高熱伝導性部材17(17a、17b)と誘導加熱コイル3(3a、3b)との間に設けられ、これらの間の熱伝導を円滑にする。
【0040】
19は支持部で、バネなどの弾性力のあるもので構成され、コイルベース4を支えるようにコイルベース4の下方に、一つのコイルベース4に対してそれぞれ少なくとも3ヶ所設けられている。
【0041】
20(20a、20b)は弾性部材で、二つの誘導加熱コイル3(3a、3b)に対応して二つ有り、例えばゴムなどの弾性を有する部材で形成され、高熱伝導性部材17(17a、17b)とトッププレート9との間に配置される。これにより、誘導加熱コイル3(3a、3b)とトッププレート9の接触を避けるとともに、弾性部材20と支持部19の弾性力で誘導加熱コイル3と高熱伝導性部材17とを押し付け合わせ、両者の間に介在する熱伝導部材18を薄くして熱伝導を良好にする。
【0042】
21は排気口で、トップフレーム8上に配置された通気孔10下側に対応した位置で本体1後部左側に配置され、トッププレート9下側の本体1内部の空気の排気を行う。22は吸気口で、トップフレーム8上に配置された通気孔10下側に対応した位置で本体1後部右側に配置され、後記底面25の下方に搭載されたファン装置16a(図示せず)用の吸気を行う。
【0043】
23、24は排気口で、トップフレーム8上に配置された通気孔10下側に対応した位置で本体1後部に配置され、排気口23はロースター15の排気を行い、排気口24はトッププレート9下側の本体1内部の空気の排気を行う。
【0044】
25は底面で、本体1内部を上下に仕切り、この上にコイルユニット2、ファン装置16b等が配置され、下方にロースター15、ファン装置16a(図示せず)、電子回路部品(図示せず)等が配置される。26は吐出し口で、コイルユニット2aの下方の底面25に設けられた開口部である。
【0045】
27は表示パネルで、トッププレート9の前部の下方に配置され、誘導加熱の火力調整量等を表示し、この表示パネル27のほぼ中央部に設けたファン装置16bで冷却し安定した温度を保たせる。ここで、表示パネル27の冷却は、例えば本体1内部の空気を用いてもよいし、冷却性能を高めるために本体1側面若しくは前面から吸気した、より低温の空気を用いた構成であれば、より有効に冷却できる。
【0046】
28は冷却空気で、ファン装置16から供給され、コイルユニット2、表示パネル27、電子回路部品(図示せず)等を冷却する。
【0047】
図示していないが、誘導加熱コイル3を制御するインバータ回路基板等の電子回路部品が、操作パネル27の後方、かつ底面25の下方に搭載され、本体1後部に設けたファン装置16a(図示せず)の送風する冷却空気28で冷却される。前記電子回路部品を冷却した冷却空気28は、コイルユニット2aの下方の底面25に設けられた吐出し口26から、コイルユニット2aの配置された空間に吹き出される。
【0048】
ここで、図2(a)、同(b)を用いて、コイルユニット2周辺部の構成を説明する。
【0049】
コイルベース4は、誘導加熱コイル3の発生する磁力線をトッププレート9上方の調理鍋(図示せず)に集中させる目的のために、誘導加熱コイル3の下方位置にフェライト5を配置させた構造になっている。
【0050】
本実施例では、一例として、棒状のフェライト5を誘導加熱コイル3に対して放射状に複数本、コイルベース4内に搭載した構成となっており、図2(a)に示すように冷却空気28が誘導加熱コイル3の近傍を流れる部位と、図2(b)に示すようにフェライト5を搭載したコイルベース4近傍を流れる部位が存在する。
【0051】
冷却空気28は、発熱する誘導加熱コイル3と、誘導加熱コイル3からの熱伝導により温度上昇したコイルベース4、フェライト4および高熱伝導性部材17と熱交換し、トッププレート9を冷却しながら本体1後部へ流れ、排気口21または排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0052】
本実施例の誘導加熱調理器では、電子回路部品(図示せず)及びコイルユニット2aを冷却する冷却空気28の流れと、主にコイルユニット2bを冷却する冷却空気28の流れの二つの流れが存在し、次に、これら二つの冷却の流れを説明する。
【0053】
前者の流れは、まず、電子回路部品(図示せず)を冷却するために、操作パネル12の後方、かつ底面25の下方に搭載されたファン装置16a(図示せず)により、本体1後部の吸気口22から低温空気が吸い込まれる。
【0054】
ファン装置16a(図示せず)は、本体1後部の吸気口22から吸込んだ低温空気を冷却空気28として、底面25の下方の本体1内部の後部から前部に向って送風し、風上に有る電子回路部品(図示せず)を冷却する。
【0055】
電子回路部品(図示せず)から熱を奪った冷却空気28は、コイルユニット2aの下方の底面25に設けられた吐出し口26から底面25の上方の空間に流れ出る。吐出し口26から流れ出た冷却空気28は、コイルユニット2aの近傍を流れ、誘導加熱コイル3aから直接、もしくは大きな伝熱面積を持つ高熱伝導性部材17a、もしくはコイルベース4a、もしくはフェライト5aを介して熱を奪い、誘導加熱コイル3aを高効率で冷却する。
【0056】
高熱伝導性部材17aは、その露出部17a−1も冷却空気28の流れによって冷却されるので、より熱を奪われて温度が低下し、誘導加熱コイル3aをより高効率で冷却する。
【0057】
コイルユニット2aで熱交換して温度上昇した冷却空気28は、コイルユニット2aの周囲を流れ、トッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0058】
一方、後者の流れは、ファン装置16bが表示パネル27近傍の空気を吸い込み、表示パネル27の冷却を行いつつ、コイルユニット2bに向けて冷却空気28を吹き出す。ファン装置16bから吹き出た冷却空気28は、コイルユニット2bの近傍を流れ、誘導加熱コイル3bから直接、もしくは大きな伝熱面積を持つ高熱伝導性部材17b、もしくはコイルベース4b、もしくはフェライト5bを介して熱を奪い、誘導加熱コイル3bを高効率で冷却する。
【0059】
高熱伝導性部材17bは、その露出部17b−1も冷却空気28の流れによって冷却されるので、より熱を奪われて温度が低下し、誘導加熱コイル3aをより高効率で冷却する。
【0060】
コイルユニット2bで熱交換して温度上昇した冷却空気28は、コイルユニット2bの周囲を流れ、トッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口21または排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0061】
次に、以上の構成において、図1及び図2を用いて調理鍋(図示せず)がトッププレート9上の右側の調理鍋載置部11aに配置された場合の誘導加熱調理時の動作について説明する。
【0062】
例えば、水等の被加熱物の入った調理鍋(図示せず)の加熱は、トッププレート9上の調理鍋載置部11aに調理鍋(図示せず)を載せ、本体1前面に設けられた操作パネル12の主電源13を入れ、調理鍋載置部11aに対応した火力調整用のダイヤル14を回転させることにより、トッププレート9前部の下方に配置された表示パネル27に、その火力調整量が表示される。
【0063】
前記ダイヤル14の回転量を調整して調理鍋(図示せず)の加熱を行うと、その調整量に応じて誘導加熱コイル3aに流れる電流量が制御され、調理鍋(図示せず)の加熱が開始される。
【0064】
また、誘導加熱コイル3aに電流が流れるとともに、ファン装置16a(図示せず)が稼動してトップフレーム8上の通気孔10の下に位置する吸気口22から空気を吸い込み、電子回路部品(図示せず)に冷却空気28を供給する。
【0065】
電子回路部品(図示せず)の熱を奪った冷却空気28は、コイルユニット2aの下方の底面25に設けられた吐出し口26から底面25の上方の空間に流れ出る。吐出し口26から流れ出た冷却空気28は、コイルユニット2aの近傍を流れ、誘導加熱コイル3aから直接、もしくは高熱伝導性部材17a、もしくはコイルベース4a、もしくはフェライト5aを介して熱を奪う。
【0066】
コイルユニットaで熱交換して温度上昇した冷却空気28は、コイルユニット2aの周囲を流れトッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0067】
ここで、ファン装置16a(図示せず)は、誘導加熱コイル3a及び前記電子回路部品(図示せず)の温度、もしくは、その周囲空気温度を計測し、その温度に基づいてON/OFF制御させてもよいし、間欠運転もしくはファンの回転数制御により風量を調整する構成にしてもよい。
【0068】
トッププレート9上の調理鍋(図示せず)は、コイルユニット2aの中央部に配置した温度センサ6aにより監視されており、例えば、加熱運転中の過熱防止、加熱終了時の火傷防止等のために使用される。
【0069】
また、例えば、二つの調理鍋載置部11a、bに同時に調理鍋(図示せず)を載置して加熱する場合であっても、二つの誘導加熱コイル3a、bをそれぞれファン装置16a、bにより冷却できるので、同時に二つの誘導加熱コイル3a、bの温度を保てることは言うまでもない。
【0070】
(第二の実施例)
図3は第二の実施例のコイルユニット2の一部を破断した斜視図である。
【0071】
本実施例では、第一の実施例で示した実施形態と同様な構成において、トッププレート9と誘導加熱コイル3の間隙に配置される高熱伝導性部材17に複数の凹凸29を設けた構成である。この複数の凹凸29は、図3に示す例では、下部を平面状とし、その上に複数の突起を形成して構成している。
【0072】
この高熱伝導性部材17に設けられた複数の凹凸29の隙間をファン装置16が供給する冷却空気28の風路としたので、高熱伝導性部材17の広い面積で熱交換でき、複数の凹凸29が無い場合と比べ、温度をより下げることができる。
【0073】
このため、熱伝導グリース等の熱伝導部材18で高熱伝導性部材17と熱的に接触して配置された誘導加熱コイル3をさらに高効率で冷却ができる。
【0074】
尚、複数の凹凸29は、前記したような下部が平面状でその上に突起を形成したものに限らず、下面すなわち誘導加熱コイル3に接する面が誘導加熱コイル3とほぼ密接する形状で、上部は冷却空気28がその隙間を滑らかに流れ、表面積の大きな形状であればよい。
【0075】
(第三の実施例)
次に、図4に第三の実施例のコイルユニット2周辺部の側面断面図を示す。
【0076】
本実施例では、第一の実施例におけるコイルユニット2のコイルベース4の中央に、コイルユニット2下方に通風ダクト30を配置し、この通風ダクト30から噴き出す冷却空気28が通過できる通気孔31を設けた構成である。
【0077】
通風ダクト30から噴き出される冷却空気28は、通気孔31を通過し、トッププレート9と高熱伝導性部材17の間隙を通る放射状の流れ32を構成し、高熱伝導性部材17を介して誘導加熱コイル3の上面を冷却できる。
【0078】
ここで、通風ダクト30に冷却空気28を供給するファン装置16を本体1内部に別途設ける構成にすれば、トッププレート9と高熱伝導性部材17の間隙を流れる流れ32の風量を容易に増加でき、冷却効果を向上することが可能となる。
【0079】
また、図示していないが、誘導加熱コイル3が半径方向に複数に分割され、少なくとも一つの間隙を設けてコイルベース4に載置された構成であっても、その間隙に応じて高熱伝導性部材17に孔を設け、例えば、通風ダクト30により同様に冷却空気28を誘導加熱コイル3の間隙および高熱伝導性部材17の孔を通過させ、トッププレート9と高熱伝導性部材17の間隙を流れるようにすれば、高熱伝導性部材17を介して誘導加熱コイル3の上面を冷却できる。
【0080】
このような実施形態においても、誘導加熱コイル3の下面にも強制的に冷却空気28を流すことができるので、誘導加熱コイル3を両面から冷却でき、一層効率よく誘導加熱コイル3の温度を下げることができる。
【0081】
(第四の実施例)
次に、図5に第四の実施例のコイルユニット2周辺部の側面断面図を示す。
【0082】
本実施例では、第一の実施例におけるコイルユニット2のコイルベース4の下方にダクト33を設けるとともに、ダクト33に冷却空気28を供給するファン装置16を本体1内部に設け、ダクト33から噴き出される噴流状の冷却空気28を高熱伝導性部材17の露出部17−1及びコイルベース4下面等に衝突させる流れを構成したものである。
【0083】
このダクト33の上面には、コイルベース4に対応して複数の開口34を設け、高熱伝導性部材17の露出部17−1に対応して外周に複数のノズル35を設けている。
【0084】
ダクト33上面に設けられた複数の開口34から噴き出される冷却空気28は、誘導加熱コイル3の下面およびコイルベース4下面に衝突して周方向に流れ、コイルユニット2の周囲を流れ、トッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口21または排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0085】
ダクト33上面外周に設けられた複数のノズル35から噴き出される冷却空気28は、高熱伝導性部材17の露出部17−1下面に衝突し、コイルユニット2の周囲を流れ、トッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口21または排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0086】
よって、誘導加熱コイル3は、下面側がダクト33上面の開口34から噴き出す冷却空気28により直接冷却され、上面側がダクト33上面外周のノズル35から噴き出す冷却空気28により高熱伝導性部材17の外周部すなわち露出部17−1を介して間接的に冷却される。つまり、誘導加熱コイル3を両面から効率よく冷却できる。
【0087】
また、高熱伝導性部材17に冷却空気28を直接衝突させて熱伝達の良好な冷却を行うことができるので、高熱伝導性部材17とトッププレート9の間隙に流す冷却空気28の風量が少ない条件、または流せない条件でも誘導加熱コイル3を冷却できる。
【0088】
尚、ダクト33は、誘導加熱コイル3を充分冷却可能であれば、ノズル35無しで開口34のみを設けた構造でもよいし、開口34からの冷却空気28の噴き出し風速を制御するために開口34の大きさを調整した構造でもよい。
【0089】
(第五の実施例)
次に、図6に第五の実施例のコイルユニット2周辺部の側面断面図を示す。
【0090】
本実施例では、コイルユニット2は、誘導加熱コイル3とコイルベース4とフェライト5と温度センサ6とコイルベース4に設けた高い熱伝導性を有する高熱伝導性部材36とで構成されている。尚、図6(a)はフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図であり、同(b)はフェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【0091】
誘導加熱コイル3とフェライト5と温度センサ6は、第一の実施例と同様であるが、コイルベース4の構成が第一の実施例と異なっており、コイルベース4に高熱伝導性部材36が設けられ、この高熱伝導性部材36に誘導加熱コイル3の一部もしくは全部を熱的に接触させて載置する構成で、誘導加熱コイル3は高熱伝導性部材36を介して冷却空気28により冷却される。
【0092】
本実施例でも、第一の実施例と同様に、一例として、棒状のフェライト5を誘導加熱コイル3に対して放射状に複数本、コイルベース4内に搭載した構成となっており、図6(a)に示すように冷却空気28が誘導加熱コイル3の近傍を流れる部位と、図6(b)に示すようにフェライト5を搭載したコイルベース4近傍を流れる部位が存在する。
【0093】
誘導加熱コイル3を載置するコイルベース4に高い熱伝導性を有する高熱伝導性部材36を設けることにより、誘導加熱コイル3の熱が効率よく高熱伝導性部材36に伝熱し、誘導加熱コイル3の半径方向の温度分布を緩和させることができる。
【0094】
本実施例は、誘導加熱コイル3とトッププレート9の間隙が少ない場合にも適用でき、誘導加熱コイル3を効率よく冷却することができる。
【0095】
(第六の実施例)
次に、図7に第六の実施例のコイルユニット2周辺部の側面断面図を示す。
【0096】
本実施例は、第五の実施例においてコイルベース4に設けた高熱伝導性部材36の下部に複数の凹凸29、例えば、突起を設けた構造である。
【0097】
この複数の凹凸29を設けたので、高熱伝導性部材36の伝熱面積が第五の実施例の場合より拡大され、より効率よく誘導加熱コイル3の冷却ができる。
【0098】
また、以上述べた実施例において、第五または第六の実施例のコイルベース4を第一乃至第四の実施例の構成に組み合わせることにより、誘導加熱コイル3をさらに一層高効率で冷却できる。
【0099】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の誘導加熱調理器によれば、本体上面のトップフレームに設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイルと該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該本体内部に設けられ、該コイルユニットに冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該トッププレートと該誘導加熱コイルの間隙に高熱伝導性部材を該誘導加熱コイルに熱的に接触させて配置した(請求項1)ので、誘導加熱コイルを効率よく冷却することができ、誘導加熱コイルにおける温度分布を小さくして、その信頼性を高めるという効果を奏することができる。従って、少ない風量で冷却でき、低騒音化も実現可能である。
【0100】
さらに、前記高熱伝導性部材はセラミック材である(請求項2)ので、電気的、機械的に安定して誘導加熱コイルを冷却できるという効果を奏することができる。
【0101】
さらに、前記高熱伝導性部材の外径寸法は前記誘導加熱コイルの外径寸法より大きい(請求項3)ので、誘導加熱コイルを高効率で冷却できるという効果を奏することができる。
【0102】
さらに、前記高熱伝導性部材の前記誘導加熱コイルの外周からはみ出した露出部を前記ファン装置から供給される冷却空気で冷却する(請求項4)ので、誘導加熱コイルをより高効率で冷却ができるという効果を奏することができる。
【0103】
さらに、前記高熱伝導性部材に複数の凹凸を設け、この複数の凹凸の隙間を前記冷却空気の風路とした(請求項5)ので、誘導加熱コイルを一層効率よく冷却ができるという効果を奏することができる。
【0104】
また、本体上面のトップフレームに設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイルと該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットとを備えた誘導加熱調理器において、該コイルベースに高熱伝導性部材を設け、この高熱伝導性部材に該誘導加熱コイルの一部もしくは全部を熱的に接触させて載置した(請求項6)ので、トッププレートと誘導加熱コイルの間隙が小さい場合でも誘導加熱コイルを効率よく冷却できるという効果を奏することができる。
【0105】
さらに、請求項1ないし請求項5において、前記コイルベースに高熱伝導性部材を設け、この高熱伝導性部材に前記誘導加熱コイルの一部もしくは全部を熱的に接触させて載置した(請求項7)ので、誘導加熱コイルをさらに一層高効率で冷却できるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の一部を分解した斜視図である。
【図2】同誘導加熱調理器のコイルユニット周辺部の側面断面図で、(a)はフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図、(b)はフェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【図3】本発明の第二の実施例のコイルユニットの一部を破断した斜視図である。
【図4】本発明の第三の実施例のコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【図5】本発明の第四の実施例のコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【図6】本発明の第五の実施例のコイルユニット周辺部の側面断面図で、(a)はフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図、(b)はフェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【図7】本発明の第六の実施例のコイルユニット2周辺部の側面断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2(2a、2b) コイルユニット
3(3a、3b) 誘導加熱コイル
4(4a、4b) コイルベース
8 トップフレーム
9 トッププレート
16(16a、16b) ファン装置
17(17a、17b) 高熱伝導性部材
17−1(17a−1、17b−1) 露出部
28 冷却空気
29 凹凸
36(36a、36b) 高熱伝導性部材
Claims (7)
- 本体(1)上面のトップフレーム(8)に設けたトッププレート(9)と、該トッププレート(9)下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイル(3)と該誘導加熱コイル(3)が載置されるコイルベース(4)から構成されるコイルユニット(2)と、該本体(1)内部に設けられ、該コイルユニット(2)に冷却空気(28)を供給するファン装置(16)とを備えた誘導加熱調理器において、
該トッププレート(9)と該誘導加熱コイル(3)の間隙に高熱伝導性部材(17)を該誘導加熱コイル(3)に熱的に接触させて配置したことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記高熱伝導性部材(17)はセラミック材であることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記高熱伝導性部材(17)の外径寸法は前記誘導加熱コイル(3)の外径寸法より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 前記高熱伝導性部材(17)の前記誘導加熱コイル(3)の外周からはみ出した露出部(17−1)を前記ファン装置(16)から供給される冷却空気(28)で冷却することを特徴とする請求項3記載の誘導加熱調理器。
- 前記高熱伝導性部材(17)に複数の凹凸(29)を設け、この複数の凹凸(29)の隙間を前記冷却空気(28)の風路としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の誘導加熱調理器。
- 本体(1)上面のトップフレーム(8)に設けたトッププレート(9)と、該トッププレート(9)下方に設けた、少なくとも誘導加熱コイル(3)と該誘導加熱コイル(3)が載置されるコイルベース(4)から構成されるコイルユニット(2)とを備えた誘導加熱調理器において、
該コイルベース(4)に高熱伝導性部材(36)を設け、この高熱伝導性部材(36)に該誘導加熱コイル(3)の一部もしくは全部を熱的に接触させて載置したことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記コイルベース(4)に高熱伝導性部材(36)を設け、この高熱伝導性部材(36)に前記誘導加熱コイル(3)の一部もしくは全部を熱的に接触させて載置したことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の誘導加熱調理器。
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