JP2005005131A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱コイルを効率よく冷却し、安定した加熱効率と高い信頼性が実現できる誘導加熱調理器を提供する。
【解決方法】本体9上面に設けたトッププレート70と、該トッププレート70下方に設けた、少なくとも加熱コイル20と該加熱コイル20が載置されるコイルベース21から構成されるコイルユニット2と、該加熱コイル20を駆動する複数の回路基板41と、冷却空気86を供給するファン装置5とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置5から該加熱コイル20上面のみに冷却空気86を導くダクト3を設け、該ダクト3に冷却空気86を供給する流れと、該ファン装置5から該回路基板41に冷却空気86を供給する流れとを構成した。
【選択図】 図2
【解決方法】本体9上面に設けたトッププレート70と、該トッププレート70下方に設けた、少なくとも加熱コイル20と該加熱コイル20が載置されるコイルベース21から構成されるコイルユニット2と、該加熱コイル20を駆動する複数の回路基板41と、冷却空気86を供給するファン装置5とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置5から該加熱コイル20上面のみに冷却空気86を導くダクト3を設け、該ダクト3に冷却空気86を供給する流れと、該ファン装置5から該回路基板41に冷却空気86を供給する流れとを構成した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱は被調理鍋下方に設けられた加熱コイルに高周波電流を供給し、加熱コイル周りに発生した磁界によって被調理鍋表面近傍に生じる渦電流に起因する。
【0003】
誘導加熱による被調理鍋における発生電力は、加熱コイルの供給電流・周波数・巻き数、被調理鍋の材質の比透磁率・抵抗率等が高いほど大きく、渦電流によって生じる被調理鍋の発熱度合いに、これらの因子が影響することになる。
【0004】
つまり、熱効率と定義される、加熱コイルに供給した電力に対する被調理鍋の発生電力は、被調理鍋の材質や構造によっても異なることになる。
【0005】
従って、例えば熱効率が80%の場合、供給電力の20%が熱損失として加熱コイル自体や加熱コイルを駆動する回路基板の発熱となり、それぞれの許容温度まで部品冷却を行う必要性が生じる。
【0006】
鉄鍋に比べて材質抵抗が小さいアルミ鍋や銅鍋においては、熱効率が低く、誘導加熱における発生電力が生じ難いので、加熱コイルや回路基板等の部品発熱は熱効率が低いほど大きくなるため、被調理鍋に対応した冷却設備が必要となる。
【0007】
誘導加熱し難いアルミ鍋等の加熱について、特許文献1には、50kHz以上の高周波回路を利用した誘導加熱技術が公開されている。しかしながら、冷却構造に関する技術は開示されていない。
【0008】
アルミ鍋を加熱できる従来の誘導加熱調理器の一例として、特許文献2には、アルミ鍋加熱ができる加熱コイルを、冷却ファンに近い側、もしくはロースターから遠い側に配置し、発熱バランスを取りやすい冷却構造が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、冷却ファンをコンパクトに本体内に実装するために、モータ出力軸の両側にファンを設け、この二つのファンにより加熱コイルと回路基板の両方に側方から冷却空気を送風させる冷却構造が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献4には、加熱コイルを冷却するための風路と、加熱コイルを駆動する回路基板を冷却するための風路を分離して構成した冷却構造が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特公平2−37076号公報
【特許文献2】
特開2003−17232号公報
【特許文献3】
特開2003−68439号公報
【特許文献4】
特開平11−8051号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、特許文献2、特許文献3及び特許文献4記載の従来構成である、冷却空気を加熱コイルの側方のみから供給する誘導加熱調理器では、加熱コイル面の熱伝達が低く冷却性能が良好でないため、熱損失の大きな加熱コイルの冷却が十分できない。
【0013】
また、加熱コイルの最も発熱するトッププレート側(被調理鍋が載置される側)の加熱コイル上面に供給する冷却空気が十分でないため、アルミ鍋や銅鍋等の材質抵抗の低い被調理鍋であるほど、加熱損失の増大による加熱コイルの温度上昇を十分抑制できず、被調理鍋の加熱安定性が良好でない。
【0014】
また、加熱コイル外周の一方向から冷却空気を供給する流れの従来構成では、最も冷却必要性の高い加熱コイル上面に十分な冷却空気量が流れ難いため、加熱コイルの冷却効率が良好でなく、流れ方向に温度の不均一性が生じ易く、信頼性が不充分である。
【0015】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも1つを解決するために為されたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設け、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は前述のように、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設けて、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成した(請求項1)ので、発熱が大きくなり易いトッププレート側の加熱コイル上面と、回路基板とをそれぞれ効率よく同時に冷却することができ、その温度上昇を抑えることによって信頼性を高めることができる。
【0018】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの下方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル中央から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙に導かれ、該間隙を加熱コイル外周に向かって放射状に流れる構成にした(請求項2)ので、加熱コイル表面の温度分布を抑えて冷却できる。
【0019】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの側方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル側方から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙を流れる構成にした(請求項3)ので、加熱コイルの冷却に必要な風量を直接供給できる。
【0020】
また、前記ファン装置は上下方向に回転軸を設けた1個のモータと、該モータの上側の回転軸に第一のファンを、該モータの下側の回転軸に第二のファンを備え、該第一のファンは前記ダクトのみに冷却空気を供給し、該第二のファンは前記回路基板に冷却空気を供給する構成にした(請求項4)ので、加熱コイルと回路基板に個別のファンから室温レベルの冷却空気を供給でき、低い温度で、且つ安定した風量を確保して加熱コイルと回路基板を同時に冷却できる。
【0021】
また、第二のファンによって前記回路基板を冷却した冷却空気の一部を、前記加熱コイルの下面に供給する構成にした(請求項5)ので、第一のファンによる加熱コイル上面の冷却と併せて、加熱コイルの両面に冷却空気を供給して一層冷却効果を高めることができる。
【0022】
さらに、前記コイルユニット下方にチャンバを備え、前記回路基板を介して前記加熱コイル下面に供給する冷却空気を、該チャンバに設けた複数の開口から高風速化して前記コイルユニット下面に向けて吹き出す構成にした(請求項6)ので、加熱コイル下面の熱伝達を向上させ、より一層高い冷却効果を得るものである。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の各実施例を、図を用いて説明する。
【0024】
(第一の実施例)
図1は本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図を、図2は同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0025】
尚、図2以降においては、図1もしくはその図以前の図の実施例と共通する構成の一部を省略すると共に、重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符号は、同一物又は相当物を示す。また、同一物が二つ以上あり、これらを判別して説明した方が分り易い場合は、図中に表れない部分についても、数字の符号にa、b、cの英字の接尾辞を付け、他の場合は前記接尾辞を付けていない。
【0026】
図1及び図2は本発明の誘導加熱調理器の一例として、トッププレート70上に誘導加熱による調理鍋載置部73a、73bを左右に二口、電熱ヒータ加熱による調理鍋載置部73cを奥に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)誘導加熱式クッキングヒータ(以下「IHクッキングヒータ」という。)に適用したものである。
【0027】
ここで、本発明は誘導加熱する被調理鍋(図示せず)の載置部を少なくとも一つ設けたIHクッキングヒータであれば、ビルトイン型でなくとも据置型(流し台にそのまま配置する方式)でも容易に適用できることは言うまでもない。
【0028】
図において、誘導加熱調理器の本体9上面のトップフレーム72にはトッププレート70と、本体9内部の空気を出入りさせる通気孔71が設けられている。
【0029】
トッププレート70の下方には調理鍋載置部73a、73bの略下側位置に誘導加熱する加熱コイル20a、20bがコイルベース21a、21b上に載置され、これらで構成されるコイルユニット2a、2bが設けられている一方、調理鍋載置部73cに対応して電熱ヒータ、例えばラジエントヒータ10が設けられている。
【0030】
また、本体9前面側には、例えば魚などを焼くロースター8の投入口、及び加熱コイル20(20a、20b)やロースター8の加熱具合を操作する操作パネル6を備えている。
【0031】
操作パネル6ではトッププレート70上の調理鍋載置部73(73a、73b、73c)に配置された被調理鍋(図示せず)の加熱やロースター8の火加減等を調整でき、その調整量が表示パネル74に示される。
【0032】
本体9の左側には奥行き方向に長いロースター8が配置されるため、加熱コイル20(20a、20b)を駆動するために必要な、例えばインバータ等の電子部品42が実装された複数の回路基板41(41a、41b、41c)が本体9の右側及び右側の加熱コイル20a下方に位置する回路ユニット4に配置される。
【0033】
ここで、回路基板41は実装される電子部品42や電子部品42に設置されるヒートシンク43の個数や配線(図示せず)本数などによって容積が決められるため、電子部品42が多いほど、ロースター8側方の限られた空間に、一枚の基板上に実装できなくなり、ロースター8側方に配置した回路ユニット4の容積形状に合わせて複数枚配置される。
【0034】
本実施例では、三枚の回路基板41(41a、41b、41c)を回路ユニット4の高さ方向に三段積層した構成であるが、これらは幅方向に複数並置してもよく、いずれの場合もファン装置5から吹き出る冷却空気86の流れ方向と並行に配置される。
【0035】
ファン装置5はファン55とモータ56、ケーシング54から構成されるシロッコファンで、本体前から見て回路ユニット4内の回路基板41後方に配置され、冷却空気86を供給する。
【0036】
つまり、ファン装置5の吹き出し側に回路基板41が配置され、ファン装置5すなわちファン55から回路基板41に冷却空気86(86b、86c、86d)を供給する流れを構成している。
【0037】
また、図2のようにファン装置5から吹き出る一部の冷却空気86aが加熱コイル20a上面、つまり加熱コイル20aとトッププレート70の間隙26のみに導くダクト3がコイルユニット2aの下方に設けられ、ファン装置5からダクト3に冷却空気86aを供給する流れを構成している。
【0038】
コイルユニット2a、2bは、少なくとも3ヶ所設けられた、例えばバネなどを用いた弾力性のある支持部27で支えられており、トッププレート70によりダクト3に押しつけられ、コイルベース21a、21bとダクト3の開口部31が密着して接触する。若しくは、嵌合式になっており、コイルベース21a、21bとダクト3をオーバーラップさせてもよい。
【0039】
よって、ダクト3はその上流に配置されたファン装置5と接続されているため、ファン装置5から供給された冷却空気51(86a)がダクト3の開口部31から加熱コイルユニット2a、2bの通気孔28を介して、加熱コイル20a、20bの上面とトッププレート70の間隙26にのみ冷却空気51を導く流れ構成となる。
【0040】
つまり、加熱コイル20a、20bの上面にはファン装置5から供給された低い温度レベルの冷却空気50が直接供給されるので、加熱コイル20a、20bの冷却に必要な空気量が確保される。
【0041】
ここで、本実施例(図1)は、ダクト3によりファン装置5からコイルユニット2aとコイルユニット2bの風路を直列に接続させた構成であるが、ファン装置5からそれぞれ並列に別々の風路を設けた構成でもよいし、片側のコイルユニット2a若しくは2bのみにダクト3を設けた構成でもよい。
【0042】
図3は本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図を示す。
【0043】
図において、コイルベース21aは樹脂性であり、高透磁性部材である棒状のフェライト22が加熱コイル20a下方近傍に放射状に(図示せず)複数本配置される。コイルユニット2aの中央にはトッププレート70に接触するように、例えばバネで保持された温度センサ29が設けられており、この温度センサ29の検出した温度から被調理鍋(図示せず)の温度を間接的に測定できる構成となっている。
【0044】
また、コイルベース21aには加熱コイル20aの内周に設置された円筒状のリブ24と温度センサ29との間隙に通気孔28が設けられており、ダクト3はコイルユニット2aの下方に配置され、ファン装置5からダクト3を介して導かれた冷却空気86aすなわち冷却空気51が加熱コイル20a中央から加熱コイル20a上面とトッププレート70の間隙26に導かれ、該間隙26を加熱コイル20a外周に向かって放射状に流れる構成にしている。
【0045】
加熱コイル20a、20bの上面とトッププレート70の間隙26を流れた冷却空気50は、図1に示すように、ロースター8及び回路ユニット4上方にある、コイルユニット2a、2bやラジエントヒータ10が配置された空間を通り、本体9背面側に流れ、排気部62からトップフレーム72上の通気孔71を介して排気される。
【0046】
一方、図2において、回路ユニット4内の回路基板41後方に配置されたファン装置5には、トップフレーム72上の通気孔71から本体9背面側の吸気ダクト60を介して外気81が吸い込まれ、ファン55の上下方向から吸気が行われる。
【0047】
ファン55にはモータ56の回転軸57をファン55と固定するリブ58が設けられており、ファン55の上側のファン吸気端59aから吸気した空気85aをリブ58上方のファン55aから、ファン55の下側のファン吸気端59b(モータ56側)から吸気した空気85bをリブ58下方のファン55bから、主に回路基板41に向けて吹き出す構成となっている。
【0048】
ファン55aから上部の冷却空気86a及び下部の冷却空気86bが吹き出し、冷却空気86aが吹き出す側にダクト3を設けているため、ダクト3を介して一部の冷却空気51が加熱コイル20aの上面に流れ、ダクト3に流れないファン55aの冷却空気86b、及びファン55bの吹き出す冷却空気86c、86dは回路ユニット4内の回路基板41の実装された空間を本体9背面から前面に向かって流れる。
【0049】
回路基板41の電子部品42を冷却した空気52は、本体9前面の上方にある表示パネル74に向かって流れ、表示パネル74の冷却にも利用される。
【0050】
表示パネル74下方を通った空気52はコイルユニット2a、2bが配置された空間を流れ、加熱コイル20a、20bの上面を冷却した冷却空気50と同様に排気部62に流れ、トップフレーム72上の通気孔71を介して排気される。
【0051】
ここで、表示パネル74の冷却は、回路基板41を通った空気量で不充分であれば、表示パネル74下方に別の冷却ファン(図示せず)を設けてもよいし、より冷却性能を高めるために本体9側面若しくは前面から吸気した、より低温の空気を利用した構成にして冷却してもよい。
【0052】
また、本実施例では、ファン装置5の吸気する外気81と、排気82を全てトップフレーム72上に配置された通気孔71を介して行う構成であるが、ファン装置5の吹き出し風量を増加させるために、本体9右側面に吸気口(図示せず)を設けてもよいし、本体9前面や左側面に排気部(図示せず)を設けて空気の流れ抵抗を少なくさせた構成でもよい。
【0053】
よって、本実施例の誘導加熱調理器では、一つのファン55とモータ56から構成されるファン装置5により、加熱コイル20a、20bの上面及び回路基板41の両方に同時に室温レベルの低い温度の冷却空気86(86a、86b、86c、86d)を供給する構成となる。
【0054】
以上の構成において、第一の実施例の誘導加熱調理器の動作について、図1から図3を用いて被調理鍋(図示せず)がトッププレート70上の右側の調理鍋載置部73aに配置された場合を例に説明する。
【0055】
例えば、水等の被加熱物の入った被調理鍋(図示せず)の加熱は、トッププレート70上の調理鍋載置部73aに載せ、本体9前面に備えた操作パネル6の主電源63を入れ、火力調整用のダイヤル61を回転させることにより、トッププレート70下方の前方に配置された右側の表示パネル74に、その火力調整量が表示される。
【0056】
ダイヤル61の回転量を調整して被調理鍋(図示せず)の加熱を行うと、その調整量に応じて加熱コイル20aに流れる電流量が制御され、被調理鍋(図示せず)の加熱が開始される。
【0057】
また、加熱コイル20aに電流が流れるとともに、ファン装置5は稼動してトップフレーム72上の通気孔71の下に位置する吸気ダクト60から外気81を吸い込み、その空気を供給する。
【0058】
加熱コイル20aによる誘導加熱は被調理鍋(図示せず)の材質等によって熱効率が左右され、熱損失分が加熱コイル20aと電子部品42の発熱となってそれぞれの部品温度を上昇させる。
【0059】
吸気ダクト60から吸気された外気81は、ファン55の上下面に位置するファン吸気端59a、59bからファン55a、55bに流入する。
【0060】
ファン55上側に位置するファン吸気端59aから流入した空気85aは、ファン55aから主にダクト3と上部回路基板41aに流れる冷却空気86a、86bに、ファン55下側に位置するファン吸気端59bから流入した空気85bはファン55bから主に回路基板41b、41cに流れる冷却空気86c、86dになる。
【0061】
ダクト3に流入した温度がまだ低い冷却空気86aは、全てがまず右側に配置されたコイルユニット2aの下方まで流れ、加熱コイル20a中央と略一致した位置に設けられたダクト3の開口部31からコイルベース21aの中央付近に設けた通気孔28を加熱コイル20a下側から上方向に向かう流れ(冷却空気51)となる。
【0062】
通気孔28を介して加熱コイル20aとトッププレート70の間隙26に入った冷却空気51は、加熱コイル20aの概略中央から放射状に加熱コイル20a半径方向に外周に向かって流れる冷却空気50となり、加熱コイル20aの上面のみを冷却する。
【0063】
加熱コイル20aの上面を冷却した冷却空気50は、加熱コイル20aとトッププレート70の狭い間隙26を抜けた後、トッププレート70下面に沿って排気部62のある本体9の後方に向かう流れ87となり、その後トップフレーム72上の通気孔71から外部に排気される排気82となる。
【0064】
また、右側のコイルユニット2a下方に位置するダクト3の開口部31から流れ出ない一部の冷却空気86aは、ダクト3を通って左側のコイルユニット2b下方まで流れ、加熱コイル20b中央と略一致した位置に設けられたダクト3の開口部31(図示せず)からコイルベース21bを介して加熱コイル20bの上面とトッププレート70の間隙26に流れ、左側の調理鍋載置部73bに被調理鍋(図示せず)を配置した場合に加熱コイル20bの上面の冷却に利用される。
【0065】
左側の加熱コイル20bの上面とトッププレート70の間隙26を流れた冷却空気50は右側の加熱コイル20aと同様に本体9後方の排気部62を通り、トップフレーム72の通気孔71から外部に排気される。
【0066】
一方、ファン55a、55bから回路ユニット4内部の回路基板41(41a、41b、41c)に流れた冷却空気86b、86c、86dは、回路基板41(41a、41b、41c)に実装された電子部品42や電子部品42に設置されたヒートシンク43近傍を流れ、電子部品42を冷却する。
【0067】
電子部品42を冷却した冷却空気86b、86c、86dは回路ユニット4前面上側から表示パネル74下面を流れ、表示パネル74の温度上昇を低減させる。
【0068】
回路基板41(41a、41b、41c)及び表示パネル74を冷却した冷却空気86b、86c、86dも、同様に本体9後方の排気部62を通り、トップフレーム72の通気孔71から外部に排気される。
【0069】
尚、ファン装置5は予め操作パネル6における加熱調整量に応じて、段階的に、または無段階で風量制御してもよいし、加熱コイル20a及び電子部品42の温度を計測してON/OFF制御や間欠運転による風量調整を行う構成にしてもよい。
【0070】
(第二の実施例)
図4は本発明の第二の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図を示す。
【0071】
図4に示す実施例では、ファン装置5から加熱コイル20aの上面のみに冷却空気51を供給するダクト3をコイルユニット2aの側方に配置し、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に合わせた高さとし、ファン装置5からダクト3を介して導かれた冷却空気86aが加熱コイル20a側方から加熱コイル20a上面とトッププレート70の間隙26を流れる構成にしたもので、第一の実施例と同様に、加熱コイル20aの上面にのみ、温度の低い冷却空気50を全て供給することができる。
【0072】
本実施例では、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に流入する冷却空気51の流れ抵抗を低減でき、ファン装置5の供給風量を高め、加熱コイル20aの上面側を効率よく冷却できる。
【0073】
(第三の実施例)
図5は本発明の第三の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0074】
図5に示す誘導加熱調理器では、ファン装置5は上下方向に回転軸57を設けた1個のモータ56と、該モータ56の上側の回転軸57に第一のファン55aを、該モータ56の下側の回転軸57に第二のファン55bを備え、該第一のファン55aは前記ダクト3のみに冷却空気86aを供給し、該第二のファン55bは前記回路基板41に冷却空気86b、86c、86dを供給する構成にしている。
【0075】
本実施例では、モータ56の回転によって上側の第一のファン55aから吹き出る冷却空気86aが全てダクト3を介してコイルユニット2aの中央から加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に導かれるので、回路基板41の構造変更などによる影響が生じることがなく、加熱コイル20aに供給する冷却風量を十分確保できる。
【0076】
ここで、ファン装置5に流入する空気85a、85bの量を充分確保するため、図のように、モータ56は第一のファン55a及び第二のファン55bの内側に嵌合させるように適度な隙間を保ち、流路を確保した方がよい。
【0077】
(第四の実施例)
図6は本発明の第四の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0078】
図6に示す誘導加熱調理器では、第三の実施例(図5)と同様なコイルユニット2a及びファン装置5において、回路基板41が配置された回路ユニット4の上面4a(コイルユニット2aの下方に位置する部分)に孔を設け、第二のファン55bによって回路基板41を冷却した冷却空気86b、86c、86dの一部を、加熱コイル20aの下面に供給する構成にし、回路基板41全体を冷却し終えた冷却空気86b、86c、86dの一部が冷却空気53となり、加熱コイル20aの下面を冷却するように利用したものである。
【0079】
本実施例では、ファン装置5のファン55bから吹き出た冷却空気86b、86c、86dが表示パネル74に向かう空気52とコイルユニット2aの下面に向かって流れる冷却空気53に分流する構成になっている。
【0080】
この分流された冷却空気53は、コイルユニット2aの下面に吹き付けられた後、その下側を流れて排出されるため、加熱コイル20aの下面と熱交換するので、ファン55aから供給される加熱コイル20aの上面を冷却する冷却空気50と併せて、加熱コイル20a両面を冷却することができる。
【0081】
この場合、加熱コイル20aの上面は温度の低い冷却空気51で冷却され、下面は基板を冷却して昇温した冷却空気53で冷却されることになるが、その昇温は加熱コイル20aの温度に比べれば十分に低いので、加熱コイル20aの冷却効果を一層向上し、安定した誘導加熱調理ができる。
【0082】
(第五の実施例)
図7は本発明の第五の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図を、図8は同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0083】
図7及び図8に示す実施例では、第四の実施例(図6)と同様なコイルユニット2a及びファン装置5の構成において、コイルユニット2a下方にチャンバ33を備え、回路基板41を介して加熱コイル20a下面に供給する冷却空気53を、該チャンバ33に設けた複数の開口30から高風速化してコイルユニット2a下面に向けて吹き出す構成にしたものである。
【0084】
よって、この噴流の衝突面となる加熱コイル20a及びコイルベース21aの下面では、高い表面熱伝達性能により効率のよい熱交換が行われ、加熱コイル20aの温度上昇を低減できる。
【0085】
また、本実施例でも第四の実施例(図6)と同様に、加熱コイル20a上面とトッププレート70の隙間26には冷却空気50も供給されるので、加熱コイル20aを高い伝熱性能で両面冷却できる構成となり、効率よく加熱コイル20aと回路基板41上の電子部品42の温度を下げることができる。
【0086】
ここで、本実施例は、チャンバ33に設けた開口30を円形で千鳥配列させた構成としたが、円形でなくとも楕円でも多角形でもよいし、配列も格子状でもよいし、放射状でもよい。
【0087】
つまり、本発明では、以下の流れが形成され、効率の良い加熱コイル20aの冷却と回路基板41の冷却が行われる。
【0088】
一つは、第一のファン55aから供給された低い温度の冷却空気86a(51、50)が全てダクト3を介して加熱コイル20a上面に導かれ、加熱コイル20a上面を放射状に流れることにより、発熱の多い加熱コイル20a上面が効率よく冷却される。
【0089】
もう一つの流れは、第二のファン55bから供給された低い温度の冷却空気86b、86c、86dが回路基板41全体に導かれ、回路基板41に並行して流れることにより、回路基板41上の部品が効率よく冷却される。
【0090】
さらに、全ての回路基板41を冷却した、いくらか昇温した冷却空気86b、86c、86dは回路基板41の下流側で混合し、その一つは表示パネル74を冷却する流れ52に、もう一つは加熱コイル20a下面を冷却する冷却空気53の流れに分岐される。
【0091】
この冷却空気53の流れは、チャンバ33の開口30から高速で加熱コイル20a下面に吹き付けられ、複数の開口30による噴流熱伝達によって、加熱コイル20a下面で効率の良い冷却が行われる。
【0092】
これら全ての流れは最終的には混合し、排気部62から排気される。
【0093】
尚、図2、図5、図6、及び図8において、ダクト3の上方に位置する加熱コイル20a下面の温度上昇が懸念される場合は、該ダクト3の上部(例えば図8の3a)に加熱コイル20a下面に向けて冷却空気51の一部を吹き付ける細孔(図示せず)を幾つか設けてもよい。
【0094】
また、図5から図8に示す実施例は、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26のみに空気を供給するダクト3の開口部31を、図3に示したような加熱コイル20aの中央下側に設けた構成であるが、図4に示したような加熱コイル20aの側方に設けた構成であっても同様な冷却効果があることは言うまでもない。
【0095】
以上のように、図1から図8に示した実施例によれば、誘導加熱調理器に搭載される加熱コイル20aと回路基板41を同時に効率よく冷却することができる。
【0096】
ひいては、加熱コイル20aの温度上昇を小さくし、安定した誘導加熱により加熱コイル20aの信頼性を高めた誘導加熱調理器を提供できる。
【0097】
尚、以上の説明においては、主に右の加熱コイル20aについて説明したが、左の加熱コイル20bについても同様に適用できることはいうまでもない。
【0098】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の誘導加熱調理器によれば、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設け、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成した(請求項1)ので、発熱が大きくなり易いトッププレート側の加熱コイル上面と、回路基板とをそれぞれ効率よく同時に冷却することができ、その温度上昇を抑えることによって信頼性を高めることができるという効果を奏する。
【0099】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの下方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル中央から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙に導かれ、該間隙を加熱コイル外周に向かって放射状に流れる構成にした(請求項2)ので、加熱コイル表面の温度分布を抑えて冷却できるという効果を奏する。
【0100】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの側方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル側方から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙を流れる構成にした(請求項3)ので、加熱コイルの冷却に必要な風量を直接供給できるという効果を奏する。
【0101】
また、前記ファン装置は上下方向に回転軸を設けた1個のモータと、該モータの上側の回転軸に第一のファンを、該モータの下側の回転軸に第二のファンを備え、該第一のファンは前記ダクトのみに冷却空気を供給し、該第二のファンは前記回路基板に冷却空気を供給する構成にした(請求項4)ので、加熱コイルと回路基板に個別のファンから室温レベルの冷却空気を供給でき、低い温度で、且つ安定した風量を確保して加熱コイルと回路基板を同時に冷却できるという効果を奏する。
【0102】
また、第二のファンによって前記回路基板を冷却した冷却空気の一部を、前記加熱コイルの下面に供給する構成にした(請求項5)ので、第一のファンによる加熱コイル上面の冷却と併せて、加熱コイルの両面に冷却空気を供給して一層冷却効果を高めることができるという効果を奏する。
【0103】
さらに、前記コイルユニット下方にチャンバを備え、前記回路基板を介して前記加熱コイル下面に供給する冷却空気を、該チャンバに設けた複数の開口から高風速化して前記コイルユニット下面に向けて吹き出す構成にした(請求項6)ので、加熱コイル下面の熱伝達を向上させ、より一層高い冷却効果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図である。
【図2】同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図3】本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図である。
【図4】本発明の第二の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図である。
【図5】本発明の第三の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図6】本発明の第四の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図7】本発明の第五の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図である。
【図8】同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【符号の説明】
2(2a、2b)・・・コイルユニット、3・・・ダクト、
4・・・回路ユニット、5・・・ファン装置、9・・・本体、
20(20a、20b)・・・加熱コイル、
21(21a、21b)・・・コイルベース、
26・・・間隙、30・・・開口、33・・・チャンバ、
41(41a、41b、41c)・・・回路基板、53・・・冷却空気、
55(55a、55b)・・・ファン(第一のファン、第二のファン)、
56・・・モータ、57・・・回転軸、70・・・トッププレート、
72・・・トップフレーム、
86(86a、86b、86c、86d)・・・冷却空気
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱は被調理鍋下方に設けられた加熱コイルに高周波電流を供給し、加熱コイル周りに発生した磁界によって被調理鍋表面近傍に生じる渦電流に起因する。
【0003】
誘導加熱による被調理鍋における発生電力は、加熱コイルの供給電流・周波数・巻き数、被調理鍋の材質の比透磁率・抵抗率等が高いほど大きく、渦電流によって生じる被調理鍋の発熱度合いに、これらの因子が影響することになる。
【0004】
つまり、熱効率と定義される、加熱コイルに供給した電力に対する被調理鍋の発生電力は、被調理鍋の材質や構造によっても異なることになる。
【0005】
従って、例えば熱効率が80%の場合、供給電力の20%が熱損失として加熱コイル自体や加熱コイルを駆動する回路基板の発熱となり、それぞれの許容温度まで部品冷却を行う必要性が生じる。
【0006】
鉄鍋に比べて材質抵抗が小さいアルミ鍋や銅鍋においては、熱効率が低く、誘導加熱における発生電力が生じ難いので、加熱コイルや回路基板等の部品発熱は熱効率が低いほど大きくなるため、被調理鍋に対応した冷却設備が必要となる。
【0007】
誘導加熱し難いアルミ鍋等の加熱について、特許文献1には、50kHz以上の高周波回路を利用した誘導加熱技術が公開されている。しかしながら、冷却構造に関する技術は開示されていない。
【0008】
アルミ鍋を加熱できる従来の誘導加熱調理器の一例として、特許文献2には、アルミ鍋加熱ができる加熱コイルを、冷却ファンに近い側、もしくはロースターから遠い側に配置し、発熱バランスを取りやすい冷却構造が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、冷却ファンをコンパクトに本体内に実装するために、モータ出力軸の両側にファンを設け、この二つのファンにより加熱コイルと回路基板の両方に側方から冷却空気を送風させる冷却構造が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献4には、加熱コイルを冷却するための風路と、加熱コイルを駆動する回路基板を冷却するための風路を分離して構成した冷却構造が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特公平2−37076号公報
【特許文献2】
特開2003−17232号公報
【特許文献3】
特開2003−68439号公報
【特許文献4】
特開平11−8051号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、特許文献2、特許文献3及び特許文献4記載の従来構成である、冷却空気を加熱コイルの側方のみから供給する誘導加熱調理器では、加熱コイル面の熱伝達が低く冷却性能が良好でないため、熱損失の大きな加熱コイルの冷却が十分できない。
【0013】
また、加熱コイルの最も発熱するトッププレート側(被調理鍋が載置される側)の加熱コイル上面に供給する冷却空気が十分でないため、アルミ鍋や銅鍋等の材質抵抗の低い被調理鍋であるほど、加熱損失の増大による加熱コイルの温度上昇を十分抑制できず、被調理鍋の加熱安定性が良好でない。
【0014】
また、加熱コイル外周の一方向から冷却空気を供給する流れの従来構成では、最も冷却必要性の高い加熱コイル上面に十分な冷却空気量が流れ難いため、加熱コイルの冷却効率が良好でなく、流れ方向に温度の不均一性が生じ易く、信頼性が不充分である。
【0015】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも1つを解決するために為されたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設け、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は前述のように、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設けて、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成した(請求項1)ので、発熱が大きくなり易いトッププレート側の加熱コイル上面と、回路基板とをそれぞれ効率よく同時に冷却することができ、その温度上昇を抑えることによって信頼性を高めることができる。
【0018】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの下方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル中央から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙に導かれ、該間隙を加熱コイル外周に向かって放射状に流れる構成にした(請求項2)ので、加熱コイル表面の温度分布を抑えて冷却できる。
【0019】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの側方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル側方から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙を流れる構成にした(請求項3)ので、加熱コイルの冷却に必要な風量を直接供給できる。
【0020】
また、前記ファン装置は上下方向に回転軸を設けた1個のモータと、該モータの上側の回転軸に第一のファンを、該モータの下側の回転軸に第二のファンを備え、該第一のファンは前記ダクトのみに冷却空気を供給し、該第二のファンは前記回路基板に冷却空気を供給する構成にした(請求項4)ので、加熱コイルと回路基板に個別のファンから室温レベルの冷却空気を供給でき、低い温度で、且つ安定した風量を確保して加熱コイルと回路基板を同時に冷却できる。
【0021】
また、第二のファンによって前記回路基板を冷却した冷却空気の一部を、前記加熱コイルの下面に供給する構成にした(請求項5)ので、第一のファンによる加熱コイル上面の冷却と併せて、加熱コイルの両面に冷却空気を供給して一層冷却効果を高めることができる。
【0022】
さらに、前記コイルユニット下方にチャンバを備え、前記回路基板を介して前記加熱コイル下面に供給する冷却空気を、該チャンバに設けた複数の開口から高風速化して前記コイルユニット下面に向けて吹き出す構成にした(請求項6)ので、加熱コイル下面の熱伝達を向上させ、より一層高い冷却効果を得るものである。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の各実施例を、図を用いて説明する。
【0024】
(第一の実施例)
図1は本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図を、図2は同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0025】
尚、図2以降においては、図1もしくはその図以前の図の実施例と共通する構成の一部を省略すると共に、重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符号は、同一物又は相当物を示す。また、同一物が二つ以上あり、これらを判別して説明した方が分り易い場合は、図中に表れない部分についても、数字の符号にa、b、cの英字の接尾辞を付け、他の場合は前記接尾辞を付けていない。
【0026】
図1及び図2は本発明の誘導加熱調理器の一例として、トッププレート70上に誘導加熱による調理鍋載置部73a、73bを左右に二口、電熱ヒータ加熱による調理鍋載置部73cを奥に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)誘導加熱式クッキングヒータ(以下「IHクッキングヒータ」という。)に適用したものである。
【0027】
ここで、本発明は誘導加熱する被調理鍋(図示せず)の載置部を少なくとも一つ設けたIHクッキングヒータであれば、ビルトイン型でなくとも据置型(流し台にそのまま配置する方式)でも容易に適用できることは言うまでもない。
【0028】
図において、誘導加熱調理器の本体9上面のトップフレーム72にはトッププレート70と、本体9内部の空気を出入りさせる通気孔71が設けられている。
【0029】
トッププレート70の下方には調理鍋載置部73a、73bの略下側位置に誘導加熱する加熱コイル20a、20bがコイルベース21a、21b上に載置され、これらで構成されるコイルユニット2a、2bが設けられている一方、調理鍋載置部73cに対応して電熱ヒータ、例えばラジエントヒータ10が設けられている。
【0030】
また、本体9前面側には、例えば魚などを焼くロースター8の投入口、及び加熱コイル20(20a、20b)やロースター8の加熱具合を操作する操作パネル6を備えている。
【0031】
操作パネル6ではトッププレート70上の調理鍋載置部73(73a、73b、73c)に配置された被調理鍋(図示せず)の加熱やロースター8の火加減等を調整でき、その調整量が表示パネル74に示される。
【0032】
本体9の左側には奥行き方向に長いロースター8が配置されるため、加熱コイル20(20a、20b)を駆動するために必要な、例えばインバータ等の電子部品42が実装された複数の回路基板41(41a、41b、41c)が本体9の右側及び右側の加熱コイル20a下方に位置する回路ユニット4に配置される。
【0033】
ここで、回路基板41は実装される電子部品42や電子部品42に設置されるヒートシンク43の個数や配線(図示せず)本数などによって容積が決められるため、電子部品42が多いほど、ロースター8側方の限られた空間に、一枚の基板上に実装できなくなり、ロースター8側方に配置した回路ユニット4の容積形状に合わせて複数枚配置される。
【0034】
本実施例では、三枚の回路基板41(41a、41b、41c)を回路ユニット4の高さ方向に三段積層した構成であるが、これらは幅方向に複数並置してもよく、いずれの場合もファン装置5から吹き出る冷却空気86の流れ方向と並行に配置される。
【0035】
ファン装置5はファン55とモータ56、ケーシング54から構成されるシロッコファンで、本体前から見て回路ユニット4内の回路基板41後方に配置され、冷却空気86を供給する。
【0036】
つまり、ファン装置5の吹き出し側に回路基板41が配置され、ファン装置5すなわちファン55から回路基板41に冷却空気86(86b、86c、86d)を供給する流れを構成している。
【0037】
また、図2のようにファン装置5から吹き出る一部の冷却空気86aが加熱コイル20a上面、つまり加熱コイル20aとトッププレート70の間隙26のみに導くダクト3がコイルユニット2aの下方に設けられ、ファン装置5からダクト3に冷却空気86aを供給する流れを構成している。
【0038】
コイルユニット2a、2bは、少なくとも3ヶ所設けられた、例えばバネなどを用いた弾力性のある支持部27で支えられており、トッププレート70によりダクト3に押しつけられ、コイルベース21a、21bとダクト3の開口部31が密着して接触する。若しくは、嵌合式になっており、コイルベース21a、21bとダクト3をオーバーラップさせてもよい。
【0039】
よって、ダクト3はその上流に配置されたファン装置5と接続されているため、ファン装置5から供給された冷却空気51(86a)がダクト3の開口部31から加熱コイルユニット2a、2bの通気孔28を介して、加熱コイル20a、20bの上面とトッププレート70の間隙26にのみ冷却空気51を導く流れ構成となる。
【0040】
つまり、加熱コイル20a、20bの上面にはファン装置5から供給された低い温度レベルの冷却空気50が直接供給されるので、加熱コイル20a、20bの冷却に必要な空気量が確保される。
【0041】
ここで、本実施例(図1)は、ダクト3によりファン装置5からコイルユニット2aとコイルユニット2bの風路を直列に接続させた構成であるが、ファン装置5からそれぞれ並列に別々の風路を設けた構成でもよいし、片側のコイルユニット2a若しくは2bのみにダクト3を設けた構成でもよい。
【0042】
図3は本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図を示す。
【0043】
図において、コイルベース21aは樹脂性であり、高透磁性部材である棒状のフェライト22が加熱コイル20a下方近傍に放射状に(図示せず)複数本配置される。コイルユニット2aの中央にはトッププレート70に接触するように、例えばバネで保持された温度センサ29が設けられており、この温度センサ29の検出した温度から被調理鍋(図示せず)の温度を間接的に測定できる構成となっている。
【0044】
また、コイルベース21aには加熱コイル20aの内周に設置された円筒状のリブ24と温度センサ29との間隙に通気孔28が設けられており、ダクト3はコイルユニット2aの下方に配置され、ファン装置5からダクト3を介して導かれた冷却空気86aすなわち冷却空気51が加熱コイル20a中央から加熱コイル20a上面とトッププレート70の間隙26に導かれ、該間隙26を加熱コイル20a外周に向かって放射状に流れる構成にしている。
【0045】
加熱コイル20a、20bの上面とトッププレート70の間隙26を流れた冷却空気50は、図1に示すように、ロースター8及び回路ユニット4上方にある、コイルユニット2a、2bやラジエントヒータ10が配置された空間を通り、本体9背面側に流れ、排気部62からトップフレーム72上の通気孔71を介して排気される。
【0046】
一方、図2において、回路ユニット4内の回路基板41後方に配置されたファン装置5には、トップフレーム72上の通気孔71から本体9背面側の吸気ダクト60を介して外気81が吸い込まれ、ファン55の上下方向から吸気が行われる。
【0047】
ファン55にはモータ56の回転軸57をファン55と固定するリブ58が設けられており、ファン55の上側のファン吸気端59aから吸気した空気85aをリブ58上方のファン55aから、ファン55の下側のファン吸気端59b(モータ56側)から吸気した空気85bをリブ58下方のファン55bから、主に回路基板41に向けて吹き出す構成となっている。
【0048】
ファン55aから上部の冷却空気86a及び下部の冷却空気86bが吹き出し、冷却空気86aが吹き出す側にダクト3を設けているため、ダクト3を介して一部の冷却空気51が加熱コイル20aの上面に流れ、ダクト3に流れないファン55aの冷却空気86b、及びファン55bの吹き出す冷却空気86c、86dは回路ユニット4内の回路基板41の実装された空間を本体9背面から前面に向かって流れる。
【0049】
回路基板41の電子部品42を冷却した空気52は、本体9前面の上方にある表示パネル74に向かって流れ、表示パネル74の冷却にも利用される。
【0050】
表示パネル74下方を通った空気52はコイルユニット2a、2bが配置された空間を流れ、加熱コイル20a、20bの上面を冷却した冷却空気50と同様に排気部62に流れ、トップフレーム72上の通気孔71を介して排気される。
【0051】
ここで、表示パネル74の冷却は、回路基板41を通った空気量で不充分であれば、表示パネル74下方に別の冷却ファン(図示せず)を設けてもよいし、より冷却性能を高めるために本体9側面若しくは前面から吸気した、より低温の空気を利用した構成にして冷却してもよい。
【0052】
また、本実施例では、ファン装置5の吸気する外気81と、排気82を全てトップフレーム72上に配置された通気孔71を介して行う構成であるが、ファン装置5の吹き出し風量を増加させるために、本体9右側面に吸気口(図示せず)を設けてもよいし、本体9前面や左側面に排気部(図示せず)を設けて空気の流れ抵抗を少なくさせた構成でもよい。
【0053】
よって、本実施例の誘導加熱調理器では、一つのファン55とモータ56から構成されるファン装置5により、加熱コイル20a、20bの上面及び回路基板41の両方に同時に室温レベルの低い温度の冷却空気86(86a、86b、86c、86d)を供給する構成となる。
【0054】
以上の構成において、第一の実施例の誘導加熱調理器の動作について、図1から図3を用いて被調理鍋(図示せず)がトッププレート70上の右側の調理鍋載置部73aに配置された場合を例に説明する。
【0055】
例えば、水等の被加熱物の入った被調理鍋(図示せず)の加熱は、トッププレート70上の調理鍋載置部73aに載せ、本体9前面に備えた操作パネル6の主電源63を入れ、火力調整用のダイヤル61を回転させることにより、トッププレート70下方の前方に配置された右側の表示パネル74に、その火力調整量が表示される。
【0056】
ダイヤル61の回転量を調整して被調理鍋(図示せず)の加熱を行うと、その調整量に応じて加熱コイル20aに流れる電流量が制御され、被調理鍋(図示せず)の加熱が開始される。
【0057】
また、加熱コイル20aに電流が流れるとともに、ファン装置5は稼動してトップフレーム72上の通気孔71の下に位置する吸気ダクト60から外気81を吸い込み、その空気を供給する。
【0058】
加熱コイル20aによる誘導加熱は被調理鍋(図示せず)の材質等によって熱効率が左右され、熱損失分が加熱コイル20aと電子部品42の発熱となってそれぞれの部品温度を上昇させる。
【0059】
吸気ダクト60から吸気された外気81は、ファン55の上下面に位置するファン吸気端59a、59bからファン55a、55bに流入する。
【0060】
ファン55上側に位置するファン吸気端59aから流入した空気85aは、ファン55aから主にダクト3と上部回路基板41aに流れる冷却空気86a、86bに、ファン55下側に位置するファン吸気端59bから流入した空気85bはファン55bから主に回路基板41b、41cに流れる冷却空気86c、86dになる。
【0061】
ダクト3に流入した温度がまだ低い冷却空気86aは、全てがまず右側に配置されたコイルユニット2aの下方まで流れ、加熱コイル20a中央と略一致した位置に設けられたダクト3の開口部31からコイルベース21aの中央付近に設けた通気孔28を加熱コイル20a下側から上方向に向かう流れ(冷却空気51)となる。
【0062】
通気孔28を介して加熱コイル20aとトッププレート70の間隙26に入った冷却空気51は、加熱コイル20aの概略中央から放射状に加熱コイル20a半径方向に外周に向かって流れる冷却空気50となり、加熱コイル20aの上面のみを冷却する。
【0063】
加熱コイル20aの上面を冷却した冷却空気50は、加熱コイル20aとトッププレート70の狭い間隙26を抜けた後、トッププレート70下面に沿って排気部62のある本体9の後方に向かう流れ87となり、その後トップフレーム72上の通気孔71から外部に排気される排気82となる。
【0064】
また、右側のコイルユニット2a下方に位置するダクト3の開口部31から流れ出ない一部の冷却空気86aは、ダクト3を通って左側のコイルユニット2b下方まで流れ、加熱コイル20b中央と略一致した位置に設けられたダクト3の開口部31(図示せず)からコイルベース21bを介して加熱コイル20bの上面とトッププレート70の間隙26に流れ、左側の調理鍋載置部73bに被調理鍋(図示せず)を配置した場合に加熱コイル20bの上面の冷却に利用される。
【0065】
左側の加熱コイル20bの上面とトッププレート70の間隙26を流れた冷却空気50は右側の加熱コイル20aと同様に本体9後方の排気部62を通り、トップフレーム72の通気孔71から外部に排気される。
【0066】
一方、ファン55a、55bから回路ユニット4内部の回路基板41(41a、41b、41c)に流れた冷却空気86b、86c、86dは、回路基板41(41a、41b、41c)に実装された電子部品42や電子部品42に設置されたヒートシンク43近傍を流れ、電子部品42を冷却する。
【0067】
電子部品42を冷却した冷却空気86b、86c、86dは回路ユニット4前面上側から表示パネル74下面を流れ、表示パネル74の温度上昇を低減させる。
【0068】
回路基板41(41a、41b、41c)及び表示パネル74を冷却した冷却空気86b、86c、86dも、同様に本体9後方の排気部62を通り、トップフレーム72の通気孔71から外部に排気される。
【0069】
尚、ファン装置5は予め操作パネル6における加熱調整量に応じて、段階的に、または無段階で風量制御してもよいし、加熱コイル20a及び電子部品42の温度を計測してON/OFF制御や間欠運転による風量調整を行う構成にしてもよい。
【0070】
(第二の実施例)
図4は本発明の第二の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図を示す。
【0071】
図4に示す実施例では、ファン装置5から加熱コイル20aの上面のみに冷却空気51を供給するダクト3をコイルユニット2aの側方に配置し、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に合わせた高さとし、ファン装置5からダクト3を介して導かれた冷却空気86aが加熱コイル20a側方から加熱コイル20a上面とトッププレート70の間隙26を流れる構成にしたもので、第一の実施例と同様に、加熱コイル20aの上面にのみ、温度の低い冷却空気50を全て供給することができる。
【0072】
本実施例では、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に流入する冷却空気51の流れ抵抗を低減でき、ファン装置5の供給風量を高め、加熱コイル20aの上面側を効率よく冷却できる。
【0073】
(第三の実施例)
図5は本発明の第三の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0074】
図5に示す誘導加熱調理器では、ファン装置5は上下方向に回転軸57を設けた1個のモータ56と、該モータ56の上側の回転軸57に第一のファン55aを、該モータ56の下側の回転軸57に第二のファン55bを備え、該第一のファン55aは前記ダクト3のみに冷却空気86aを供給し、該第二のファン55bは前記回路基板41に冷却空気86b、86c、86dを供給する構成にしている。
【0075】
本実施例では、モータ56の回転によって上側の第一のファン55aから吹き出る冷却空気86aが全てダクト3を介してコイルユニット2aの中央から加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26に導かれるので、回路基板41の構造変更などによる影響が生じることがなく、加熱コイル20aに供給する冷却風量を十分確保できる。
【0076】
ここで、ファン装置5に流入する空気85a、85bの量を充分確保するため、図のように、モータ56は第一のファン55a及び第二のファン55bの内側に嵌合させるように適度な隙間を保ち、流路を確保した方がよい。
【0077】
(第四の実施例)
図6は本発明の第四の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0078】
図6に示す誘導加熱調理器では、第三の実施例(図5)と同様なコイルユニット2a及びファン装置5において、回路基板41が配置された回路ユニット4の上面4a(コイルユニット2aの下方に位置する部分)に孔を設け、第二のファン55bによって回路基板41を冷却した冷却空気86b、86c、86dの一部を、加熱コイル20aの下面に供給する構成にし、回路基板41全体を冷却し終えた冷却空気86b、86c、86dの一部が冷却空気53となり、加熱コイル20aの下面を冷却するように利用したものである。
【0079】
本実施例では、ファン装置5のファン55bから吹き出た冷却空気86b、86c、86dが表示パネル74に向かう空気52とコイルユニット2aの下面に向かって流れる冷却空気53に分流する構成になっている。
【0080】
この分流された冷却空気53は、コイルユニット2aの下面に吹き付けられた後、その下側を流れて排出されるため、加熱コイル20aの下面と熱交換するので、ファン55aから供給される加熱コイル20aの上面を冷却する冷却空気50と併せて、加熱コイル20a両面を冷却することができる。
【0081】
この場合、加熱コイル20aの上面は温度の低い冷却空気51で冷却され、下面は基板を冷却して昇温した冷却空気53で冷却されることになるが、その昇温は加熱コイル20aの温度に比べれば十分に低いので、加熱コイル20aの冷却効果を一層向上し、安定した誘導加熱調理ができる。
【0082】
(第五の実施例)
図7は本発明の第五の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図を、図8は同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図を示す。
【0083】
図7及び図8に示す実施例では、第四の実施例(図6)と同様なコイルユニット2a及びファン装置5の構成において、コイルユニット2a下方にチャンバ33を備え、回路基板41を介して加熱コイル20a下面に供給する冷却空気53を、該チャンバ33に設けた複数の開口30から高風速化してコイルユニット2a下面に向けて吹き出す構成にしたものである。
【0084】
よって、この噴流の衝突面となる加熱コイル20a及びコイルベース21aの下面では、高い表面熱伝達性能により効率のよい熱交換が行われ、加熱コイル20aの温度上昇を低減できる。
【0085】
また、本実施例でも第四の実施例(図6)と同様に、加熱コイル20a上面とトッププレート70の隙間26には冷却空気50も供給されるので、加熱コイル20aを高い伝熱性能で両面冷却できる構成となり、効率よく加熱コイル20aと回路基板41上の電子部品42の温度を下げることができる。
【0086】
ここで、本実施例は、チャンバ33に設けた開口30を円形で千鳥配列させた構成としたが、円形でなくとも楕円でも多角形でもよいし、配列も格子状でもよいし、放射状でもよい。
【0087】
つまり、本発明では、以下の流れが形成され、効率の良い加熱コイル20aの冷却と回路基板41の冷却が行われる。
【0088】
一つは、第一のファン55aから供給された低い温度の冷却空気86a(51、50)が全てダクト3を介して加熱コイル20a上面に導かれ、加熱コイル20a上面を放射状に流れることにより、発熱の多い加熱コイル20a上面が効率よく冷却される。
【0089】
もう一つの流れは、第二のファン55bから供給された低い温度の冷却空気86b、86c、86dが回路基板41全体に導かれ、回路基板41に並行して流れることにより、回路基板41上の部品が効率よく冷却される。
【0090】
さらに、全ての回路基板41を冷却した、いくらか昇温した冷却空気86b、86c、86dは回路基板41の下流側で混合し、その一つは表示パネル74を冷却する流れ52に、もう一つは加熱コイル20a下面を冷却する冷却空気53の流れに分岐される。
【0091】
この冷却空気53の流れは、チャンバ33の開口30から高速で加熱コイル20a下面に吹き付けられ、複数の開口30による噴流熱伝達によって、加熱コイル20a下面で効率の良い冷却が行われる。
【0092】
これら全ての流れは最終的には混合し、排気部62から排気される。
【0093】
尚、図2、図5、図6、及び図8において、ダクト3の上方に位置する加熱コイル20a下面の温度上昇が懸念される場合は、該ダクト3の上部(例えば図8の3a)に加熱コイル20a下面に向けて冷却空気51の一部を吹き付ける細孔(図示せず)を幾つか設けてもよい。
【0094】
また、図5から図8に示す実施例は、加熱コイル20aの上面とトッププレート70の間隙26のみに空気を供給するダクト3の開口部31を、図3に示したような加熱コイル20aの中央下側に設けた構成であるが、図4に示したような加熱コイル20aの側方に設けた構成であっても同様な冷却効果があることは言うまでもない。
【0095】
以上のように、図1から図8に示した実施例によれば、誘導加熱調理器に搭載される加熱コイル20aと回路基板41を同時に効率よく冷却することができる。
【0096】
ひいては、加熱コイル20aの温度上昇を小さくし、安定した誘導加熱により加熱コイル20aの信頼性を高めた誘導加熱調理器を提供できる。
【0097】
尚、以上の説明においては、主に右の加熱コイル20aについて説明したが、左の加熱コイル20bについても同様に適用できることはいうまでもない。
【0098】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の誘導加熱調理器によれば、本体上面に設けたトッププレートと、該トッププレート下方に設けた、少なくとも加熱コイルと該加熱コイルが載置されるコイルベースから構成されるコイルユニットと、該加熱コイルを駆動する複数の回路基板と、冷却空気を供給するファン装置とを備えた誘導加熱調理器において、該ファン装置から該加熱コイル上面のみに冷却空気を導くダクトを設け、該ダクトに冷却空気を供給する流れと、該ファン装置から該回路基板に冷却空気を供給する流れとを構成した(請求項1)ので、発熱が大きくなり易いトッププレート側の加熱コイル上面と、回路基板とをそれぞれ効率よく同時に冷却することができ、その温度上昇を抑えることによって信頼性を高めることができるという効果を奏する。
【0099】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの下方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル中央から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙に導かれ、該間隙を加熱コイル外周に向かって放射状に流れる構成にした(請求項2)ので、加熱コイル表面の温度分布を抑えて冷却できるという効果を奏する。
【0100】
また、前記ダクトは前記コイルユニットの側方に配置され、前記ファン装置から該ダクトを介して導かれた冷却空気が該加熱コイル側方から該加熱コイル上面とトッププレートの間隙を流れる構成にした(請求項3)ので、加熱コイルの冷却に必要な風量を直接供給できるという効果を奏する。
【0101】
また、前記ファン装置は上下方向に回転軸を設けた1個のモータと、該モータの上側の回転軸に第一のファンを、該モータの下側の回転軸に第二のファンを備え、該第一のファンは前記ダクトのみに冷却空気を供給し、該第二のファンは前記回路基板に冷却空気を供給する構成にした(請求項4)ので、加熱コイルと回路基板に個別のファンから室温レベルの冷却空気を供給でき、低い温度で、且つ安定した風量を確保して加熱コイルと回路基板を同時に冷却できるという効果を奏する。
【0102】
また、第二のファンによって前記回路基板を冷却した冷却空気の一部を、前記加熱コイルの下面に供給する構成にした(請求項5)ので、第一のファンによる加熱コイル上面の冷却と併せて、加熱コイルの両面に冷却空気を供給して一層冷却効果を高めることができるという効果を奏する。
【0103】
さらに、前記コイルユニット下方にチャンバを備え、前記回路基板を介して前記加熱コイル下面に供給する冷却空気を、該チャンバに設けた複数の開口から高風速化して前記コイルユニット下面に向けて吹き出す構成にした(請求項6)ので、加熱コイル下面の熱伝達を向上させ、より一層高い冷却効果を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図である。
【図2】同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図3】本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図である。
【図4】本発明の第二の実施例の誘導加熱調理器のコイルユニット2a周辺の側面断面図である。
【図5】本発明の第三の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図6】本発明の第四の実施例の誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【図7】本発明の第五の実施例の誘導加熱調理器の上部部品を取り外した状態の斜視図である。
【図8】同誘導加熱調理器の右側加熱コイル側の側面断面図である。
【符号の説明】
2(2a、2b)・・・コイルユニット、3・・・ダクト、
4・・・回路ユニット、5・・・ファン装置、9・・・本体、
20(20a、20b)・・・加熱コイル、
21(21a、21b)・・・コイルベース、
26・・・間隙、30・・・開口、33・・・チャンバ、
41(41a、41b、41c)・・・回路基板、53・・・冷却空気、
55(55a、55b)・・・ファン(第一のファン、第二のファン)、
56・・・モータ、57・・・回転軸、70・・・トッププレート、
72・・・トップフレーム、
86(86a、86b、86c、86d)・・・冷却空気
Claims (6)
- 本体(9)上面に設けたトッププレート(70)と、該トッププレート(70)下方に設けた、少なくとも加熱コイル(20)と該加熱コイル(20)が載置されるコイルベース(21)から構成されるコイルユニット(2)と、該加熱コイル(20)を駆動する複数の回路基板(41)と、冷却空気(86)を供給するファン装置(5)とを備えた誘導加熱調理器において、
該ファン装置(5)から該加熱コイル(20)上面のみに冷却空気(86)を導くダクト(3)を設け、該ダクト(3)に冷却空気(86)を供給する流れと、該ファン装置(5)から該回路基板(41)に冷却空気(86)を供給する流れとを構成したことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記ダクト(3)は前記コイルユニット(2)の下方に配置され、前記ファン装置(5)から該ダクト(3)を介して導かれた冷却空気(86a)が該加熱コイル(20)中央から該加熱コイル(20)上面とトッププレート(70)の間隙(26)に導かれ、該間隙(26)を加熱コイル(20)外周に向かって放射状に流れる構成にしたことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記ダクト(3)は前記コイルユニット(2)の側方に配置され、前記ファン装置(5)から該ダクト(3)を介して導かれた冷却空気(86a)が該加熱コイル(20)側方から該加熱コイル(20)上面とトッププレート(70)の間隙(26)を流れる構成にしたことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
- 前記ファン装置(5)は上下方向に回転軸(57)を設けた1個のモータ(56)と、該モータ(56)の上側の回転軸(57)に第一のファン(55a)を、該モータ(56)の下側の回転軸(57)に第二のファン(55b)を備え、該第一のファン(55a)は前記ダクト(3)のみに冷却空気(86a)を供給し、該第二のファン(55b)は前記回路基板(41)に冷却空気(86b)、(86c)、(86d)を供給する構成にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の誘導加熱調理器。
- 第二のファン(55b)によって前記回路基板(41)を冷却した冷却空気(86b)、(86c)、(86d)の一部を、前記加熱コイル(20)の下面に供給する構成にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の誘導加熱調理器。
- 前記コイルユニット(2)下方にチャンバ(33)を備え、前記回路基板(41)を介して前記加熱コイル(20)下面に供給する冷却空気(53)を、該チャンバ(33)に設けた複数の開口(30)から高風速化して前記コイルユニット(2)下面に向けて吹き出す構成にしたことを特徴とする請求項5記載の誘導加熱調理器。
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