JP4154228B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器の誘導加熱コイルの冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱調理器、例えば誘導加熱式クッキングヒータ(以下IHクッキングヒータという)は、主に誘導加熱コイルに流れる電流によって発生する磁力線により、誘導加熱コイル上方に配置される調理鍋に渦電流が生じ、調理鍋自体が発熱するものである。
【0003】
誘導加熱調理器は、ガス加熱の熱効率(約40%程度)に比べ高い熱効率(鉄鍋で約90%)であるものの、熱損失が生じて誘導加熱コイルなどが発熱するため、これらの冷却が必要とされる。
【0004】
誘導加熱調理器において、調理に最も必要とされる高火力を得るには、調理鍋に流れる渦電流量の増加、即ち入力電力の増加が必要であるが、例えば、加熱し難い非磁性調理鍋や多層鍋では鉄鍋等と比べ熱効率(例えば70%以下)が大幅に低下し、調理に必要な加熱量を発生させるには大きな入力電力が必要になる。
【0005】
しかし、大電力の入力に対して熱効率の低い条件下では、熱損失(調理鍋の加熱にならない電力)が増大して誘導加熱コイルなどの部品の発熱が増大することになり、誘導加熱コイルが許容温度を超えてしまうので、許容温度以下に抑える冷却構造が必要となってくる。
【0006】
従来の誘導加熱調理器における冷却構造は、ファン装置から誘導加熱コイル及びこの誘導加熱コイルが載置されるコイルベース近傍に冷却空気を供給させる構造となっており、特許文献1に開示されている例では、誘導加熱コイルの冷却のために、誘導加熱コイルとコイルベース間に冷却風の通る風路が構成できるように、コイルベース内部のリブを外周枠よりも高く構成させたものであり、加えて、誘導加熱コイルの下方の本体に大きな開口を設け、この開口から誘導加熱コイルに冷却空気を噴き付ける構造が記載されている。
【0007】
また、特許文献2に開示されている例では、誘導加熱コイルの下方の駆動回路基板を覆う基板ベースカバーに大きな開口を設け、この開口から誘導加熱コイルに冷却空気を噴き付ける構造が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−43045号公報
【特許文献2】
特開2002−33184号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来構成である、冷却空気を誘導加熱コイル近傍に供給させる誘導加熱調理器や、誘導加熱コイルの下方に大きな開口を設けて誘導加熱コイルに冷却空気を噴き付ける誘導加熱調理器では、誘導加熱コイル面の熱伝達が低く冷却性能が良好でないため、熱損失の大きな誘導加熱コイルの冷却が十分できない。
【0010】
また、誘導加熱コイルを載置するコイルベース面が小さく、誘導加熱コイルを固定するコイルベース強度が弱い。そのため、トッププレート面と誘導加熱コイルの間隙が変化し易く、加熱安定性が良好でない。
【0011】
また、誘導加熱コイルへの冷却空気の流れる方向に温度の不均一性が生じ易いなどの問題があった。
【0012】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも一つを解決するために為されたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、
本体の上面に設けたトッププレートと、
該トッププレートの下方に設けた誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースと、前記誘導加熱コイルに対して放射状に前記コイルベース内に搭載され、前記誘導加熱コイルから発生した磁力線が下方に向かう流れを止める複数本の棒状のフェライト、から構成されるコイルユニットと、
前記本体の内部に設けたファン装置と、
該ファン装置から送風される空気を前記コイルユニットに誘導するダクトとを備えた誘導加熱調理器において、
前記コイルユニットの下方に位置する前記ダクトの上面に孔径3〜10mmの複数の開口を設け、
前記コイルユニットの中央部に通気孔を設け、
前記ダクトの複数の開口から噴き出る冷却空気の一部を前記通気孔を通過して前記トッププレートの下面と前記誘導加熱コイルの上面の間隙を通る放射状の流れを構成し、該誘導加熱コイルの上面側を冷却するとともに、
前記複数の開口から噴き出る他の冷却空気を前記コイルユニットの下面と前記フェライトに衝突させて多孔衝突噴流の流れにより前記誘導加熱コイルの下面と、該誘導加熱コイルから前記フェライトに熱伝導により伝わった熱を冷却するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、前述のように、ファン装置から送風される空気を前記コイルユニットに誘導するダクトとを備えた誘導加熱調理器において、前記コイルユニットの下方に位置する前記ダクトの上面に孔径3〜10mmの複数の開口を設け、前記コイルユニットの中央部に通気孔を設け、前記ダクトの複数の開口から噴き出る冷却空気の一部を前記通気孔を通過して前記トッププレートの下面と前記誘導加熱コイルの上面の間隙を通る放射状の流れを構成し、該誘導加熱コイルの上面側を冷却するとともに、前記複数の開口から噴き出る他の冷却空気を前記コイルユニットの下面と前記フェライトに衝突させて多孔衝突噴流の流れにより前記誘導加熱コイルの下面と、該誘導加熱コイルから前記フェライトに熱伝導により伝わった熱を冷却することができ、その信頼性を高めることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の各実施例を図を用いて説明する。なお、図2以降においては、図1の実施例と共通する構成の一部を省略すると共に、重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符号は、同一物又は相当物を示す。また、同一物が二つ以上あり、これらを判別して説明した方が分り易い場合は、図中に表れない部分についても、数字の符号にa、b、c等の接尾辞を付け、他の場合は前記接尾辞を付けていない。
【0016】
(第一の実施例)
図1に本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の一部を分解した斜視図を示す。図1は本発明の誘導加熱調理器の一例として、誘導加熱による調理鍋載置部を左右に二口、電熱ヒータ加熱による調理鍋載置部を奥ほぼ中央に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)IHクッキングヒータに適用したものである。
【0017】
ここで、本発明は、誘導加熱による調理鍋載置部を少なくとも一つ設けたIHクッキングヒータであれば、ビルトイン型でなくとも据置型(流し台にそのまま配置)でも容易に適用できることは言うまでもない。
【0018】
また、図2及び図3は同誘導加熱調理器のコイル周辺部の側面断面図であり、コイルユニットとダクトによる冷却空気の流れとの関係を示す図であり、以下、第一の実施例について、図1、図2及び図3を用いて説明する。尚、図2はフェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図であり、図3はフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【0019】
図1において、1は誘導加熱調理器の本体である。2(2a、2b)はコイルユニットで、二口の誘導加熱に対応して二組有り、次の四つの要素から構成されている。
【0020】
3(3a、3b)は誘導加熱コイルで、二つ有り、これに流れる電流によって発生する磁力線により上方に載置される調理鍋(図示せず)に渦電流が生じ、調理鍋(図示せず)自体を発熱させる。4(4a、4b)はコイルベースで、二つ有り、上に誘導加熱コイル3(3a、3b)を載置して保持する。
【0021】
5(5a、5b)はフェライトで、二組あり、数本の棒状のもので一組が構成され、誘導加熱コイル3(3a、3b)に対して放射状にコイルベース4(4a、b)内に搭載され、誘導加熱コイル3(3a、3b)から発生した磁力線が下方に向う流れを止める。6(6a、6b)は温度センサで、二つ有り、コイルユニット2(2a、2b)中央部に配置され、上方の調理鍋(図示せず)の温度を監視する。
【0022】
コイルユニット2(2a、2b)は、上記誘導加熱コイル3(3a、3b)とコイルベース4(4a、4b)とフェライト5(5a、5b)と温度センサ6(6a、6b)とで構成されている。
【0023】
7はラジエントヒータで、一口の電熱ヒータ加熱に対応している。
【0024】
8はトップフレームで、本体1の上面に設けられ、次の二つの要素から構成されている。9はトッププレートで、耐熱ガラス等で形成され、加熱される調理鍋(図示せず)を載置する。10は通気孔で、トップフレーム8上の後部に設けられ、本体1の内部と外部との間で空気を出入りさせる。トップフレーム8は、上記トッププレート9と通気孔10とで構成されている。
【0025】
11(11a、11b、11c)は調理鍋載置部で、トッププレート9上で調理鍋(図示せず)を載置する部位を示し、11a、11bは二つの誘導加熱コイル3a、3bに対応し、手前右、左に配置され、11cはラジエントヒータ7に対応し、奥ほぼ中央に配置されている。
【0026】
12は操作パネルで、本体1前面に設けられ、誘導加熱コイル3や後記ロースター15等の火加減を制御する。13は主電源で、操作パネル12内に配置され、機器全体の電源を入り切りする。14はダイヤルで、操作パネル12内に配置され、回転させることにより火力を調整できる。15はロースターで、本体1前面に設けられ、魚などを焼く。
【0027】
16(16a、16b)はファン装置で、二組のコイルユニット2(2a、2b)に対応して二つ有り、誘導加熱コイル3(3a、3b)を冷却する空気を送風する。ここで、ファン装置16は、例えば、プロペラファンでもシロッコファンでも良いが、本実施例に示すように、後記底面25とトッププレート9の間の空間に収納できる大きさが望ましい。
【0028】
17(17a、17b)はダクトで、二組のコイルユニット2(2a、2b)に対応して二つ有り、コイルユニット2(2a、2b)の下方に設けられ、上面に複数の開口18を設けている。ダクト17は、ほぼ円形で、その上流に配置されたファン装置16と接続されており、ファン装置16が送風する空気を複数の開口18から噴き出しコイルユニット2下面に衝突させる。また、本実施例では開口18を円形で千鳥配列させた構成であるが、円形でなくとも楕円でも多角形でもよいし、配列も格子状でも放射状に設けた構成でもよい。開口18の大きさや個数及び配列は、風路損失と連動してファン装置16による供給風量を変化させるので、例えば、開口18の孔径を3〜10mm、孔間隔を10〜40mmで配列すれば風路損失が小さく熱効率の良好な開口18を構成できる。
【0029】
19は支持部で、バネなどの弾性力のあるもので構成され、コイルベース4を支えるようにコイルベース4の下方に、一つのコイルベース4に対してそれぞれ少なくとも3ヶ所設けられている。支持部19はコイルユニット2をトッププレート9に押し付ける構成、若しくはトッププレート9に密着可能な構造であればよい。
【0030】
20(20a、20b)は接続ダクトで、二組のコイルユニット2(2a、2b)に対応して二つ有り、ファン装置16(16a、16b)とダクト17(17a、17b)とを接続する。また、ファン装置16とダクト17までの距離L、つまり接続ダクト20の長さは、空気の流れ抵抗とファン騒音及び本体1搭載等を加味すると、50mmから150mmの範囲が低騒音で流れ損失が少ない条件で、冷却用の空気をコイルユニット2に供給できる。
【0031】
21、22は吸気口で、トップフレーム8上に配置された通気孔10下側に対応した位置で本体1後部に配置され、吸気口21はファン装置16b用の吸気を行い、吸気口22はファン装置16a用の吸気を行う。
【0032】
23、24は排気口で、トップフレーム8上に配置された通気孔10下側に対応した位置で本体1後部に配置され、排気口23はロースター15の排気を行い、排気口24はトッププレート9下側の本体1内部の空気の排気を行う。
【0033】
前述のように、本実施例では、本体1内外への吸排気を全てトップフレーム8上の後部に配置された通気孔10を介して行う構成となっている。尚、本体1内への吸気は通気孔10のみでなく、本体1側面、若しくはロースター15や操作パネル12上側の本体1前面部分から行ってもよい。
【0034】
25は底面で、本体1内部を上下に仕切り、この上にコイルユニット2、ファン装置16等が配置され、下にロースター15等が配置される。26は吐出し口で、ダクト17a周辺の底面25に設けられた開口部である。
【0035】
27は表示パネルで、トッププレート9の前部の下方に配置され、誘導加熱の火力調整量等を表示し、下方に設けた冷却ファン(図示せず)で安定した温度を保たせる。ここで、表示パネル27の冷却は、例えば本体1内部の空気を用いてもよいし、冷却性能を高めるために本体1側面若しくは前面から吸気した、より低温の空気を用いた構成であれば、より有効に冷却できる。
【0036】
28は冷却空気で、ファン装置16からの送風が接続ダクト20を経由し、ダクト17に設けられた複数の開口18から噴き出す空気である。
【0037】
図示していないが、誘導加熱コイル3を制御するインバータ回路基板等の電子回路部品が、操作パネル12の後方、かつ底面25の下方に搭載され、例えば、本体1後部に設けた冷却ファン(図示せず)で冷却される。前記電子回路部品を冷却した空気は、ダクト17周辺の底面25に設けられた吐出し口26から、コイルユニット2aの配置された空間に噴き出される。
【0038】
ここで、図2及び図3を用いてコイルユニット2周辺部の構成を説明する。
【0039】
コイルベース4は、誘導加熱コイル3の発生する磁力線をトッププレート9上方の調理鍋(図示せず)に集中させる目的のために、誘導加熱コイル3の下方位置にフェライト5を配置させた構造になっている。
【0040】
本実施例では、一例として、棒状のフェライト5を誘導加熱コイル3に対して放射状に複数本、コイルベース4内に搭載した構成となっており、図3に示すようにダクト17に設けられた複数の開口18から噴き出した冷却空気28が誘導加熱コイル3に直接衝突する部位と、図2に示すようにフェライト5を搭載したコイルベース4に衝突する部位が存在する。
【0041】
図2に示すコイルユニット2の部位は、複数の開口18から略垂直に噴き出した冷却空気28がフェライト5部分に衝突するため、誘導加熱コイル3からフェライト5に熱伝導により伝わった熱を効率良く冷却できる。
【0042】
空気の衝突による冷却では、衝突面(例えば、本実施例の誘導加熱コイル3の表面)の表面熱伝達が衝突空気の速度に相関して増加する。
【0043】
図3に示すコイルユニット2の部位は、ダクト17に設けられた複数の開口18から噴き出した冷却空気28が直接誘導加熱コイル3の下面に略垂直に衝突するので、誘導加熱コイル3の発熱を高い対流熱伝達で効率よく放熱できるとともに、誘導加熱コイル3面方 向に対して同じ温度の冷却空気28を供給できるため、誘導加熱コイル3における温度分布を小さくして信頼性の高い冷却ができる。
【0044】
このため、従来の冷却方式に比べ、少ない風量であっても開口18から高速流の空気を噴き出させることで高い伝熱性能が得られ、低風量で効率的に衝突面(誘導加熱コイル3、フェライト5及びコイルベース4)の冷却ができる。
【0045】
誘導加熱コイル3及びフェライト5が搭載されたコイルベース4を冷却した冷却空気28は、コイルベース4周方向に流れ、トッププレート9を冷却しながら本体1後部の排気口24を通り通気孔10から排気される。
【0046】
また、図3では、コイルユニット2の中央部に、コイルユニット2下方に配置されたダクト17に設けられた複数の開口18から噴き出す冷却空気28の一部が通過できる通気孔29を設けているため、ダクト17から噴き出す冷却空気28の一部は、コイルユニット2下方から誘導加熱コイル3に衝突する流れによって誘導加熱コイル3の下面を冷却するとともに、他の一部が通気孔29を通過してトッププレート9下面と誘導加熱コイル3上面の間隙を通る放射状の流れ30を構成して、誘導加熱コイル3の上面側を冷却できる。
【0047】
本実施例の誘導加熱調理器では、主にコイルユニット2aとコイルユニット2b及び電子回路部品(図示せず)を冷却する三つの流れが存在し、次にこれら三つの冷却の流れを説明する。
【0048】
コイルユニット2aの冷却は、ファン装置16aにより本体1後部の吸気口22から低温空気を吸い込み、接続ダクト20aを介し、ダクト17aを通って複数の開口18から冷却空気28を噴き出し、コイルユニット2a下面にその冷却空気28を衝突させる。
【0049】
コイルユニット2aの誘導加熱コイル3aやコイルベース4aと効率よく熱交換して温度上昇した冷却空気28は、コイルユニット2a周方向に流れ、主にトッププレート9下面に沿って流れ本体1後部の排気口24を通り通気孔10から外部に排気される。
【0050】
また、コイルユニット2bの冷却は、ファン装置16bにより本体1後部の吸気口21から低温空気を吸い込み、接続ダクト20bを介し、ダクト17bを通って複数の開口18(図示せず)から冷却空気28を噴き出し、コイルユニット2b下面にその冷却空気28を衝突させる。
【0051】
コイルユニット2bで効率よく熱交換した冷却空気28は、主にトッププレート9に沿って流れ本体1後部の排気口24を通り通気孔10から外部に排気される。
【0052】
また、電子回路部品(図示せず)の冷却は、本体1後部の下側に配置した冷却ファン(図示せず)により本体1後部の吸気口22から低温空気を吸い込み、電子回路部品(図示せず)を冷却した空気がコイルユニット2a下方のダクト17a近傍に配置された底面25の吐出し口26から流れ出る。
【0053】
吐出し口26から流れ出た前記空気は、主にトッププレート9に沿って流れ本体1後部の排気口24を通り通気孔10から外部に排気される。
【0054】
ここで、これらのトッププレート9に沿って流れる空気の一部がトッププレート9と誘導加熱コイル3の間隙を通り、誘導加熱コイル3の冷却を補助する構成にすれば、より誘導加熱コイル3を効率よく冷却できるし、別途ファン装置16を設けて強制的に空気を流す構成とすれば、より高い冷却性能で誘導加熱コイル3を冷却できる。
【0055】
次に、以上の構成において、図1、図2及び図3を用いて調理鍋(図示せず)がトッププレート9上の右側の調理鍋載置部11aに配置された場合の誘導加熱調理時の動作について説明する。
【0056】
例えば、水等の被加熱物の入った調理鍋(図示せず)の加熱は、トッププレート9上の調理鍋載置部11aに調理鍋(図示せず)を載せ、本体1前面に設けられた操作パネル12の主電源13を入れ、調理鍋載置部11aに対応した火力調整用のダイヤル14を回転させることにより、トッププレート9前部の下方に配置された表示パネル27に、その火力調整量が表示される。
【0057】
前記ダイヤル14の回転量を調整して調理鍋(図示せず)の加熱を行うと、その調整量に応じて誘導加熱コイル3aに流れる電流量が制御され、調理鍋(図示せず)の加熱が開始される。
【0058】
また、誘導加熱コイル3aに電流が流れるとともに、ファン装置16a(図示せず)が稼動してトップフレーム8上の通気孔10の下に位置する吸気口22から空気を吸い込み、接続ダクト20aを介してコイルユニット2a下方のダクト17aにその空気を供給する。
【0059】
ダクト17aに入った空気は、コイルユニット2a側に設けられた複数の開口18から誘導加熱コイル3a及びコイルユニット2aに向かって噴き出し、冷却空気28となって誘導加熱コイル3a等を冷却する。
【0060】
冷却空気28は、コイルユニット2aに衝突した後、周方向に向かって流れ、主にトッププレート9に沿って本体1前部から後部に向かって進み、排気口62を通り通気孔10から外部に排気される。
【0061】
また、誘導加熱コイル3aによる調理鍋(図示せず)の加熱が開始されると、調理鍋(図示せず)を効率よく加熱させるために、誘導加熱コイル3aに電流を供給させる電子回路部品(図示せず)が作動する。このとき、底面25の下方に搭載された前記電子回路部品(図示せず)が発熱して温度上昇するため、信頼性を確保するために、本体1後部下側に設けられた冷却ファン(図示せず)が稼動し始める。
【0062】
この冷却ファン(図示せず)は、ファン装置16aと同様に吸気口22から低温空気を吸い込み、本体1後面側から前面側に向かって空気を流すことにより、前記電子回路部品(図示せず)を冷却する。
【0063】
前記電子回路部品(図示せず)を冷却した空気は、風路上方に設けられた吐出し口26からコイルユニット2a近傍に流れ、ダクト17aに設けられた開口18から噴き出た冷却空気28とともに、トッププレート9に沿って本体1の前面側から後面側に向かって流れる。
【0064】
トッププレート9の近傍を流れた前記空気の一部は、トッププレート9と誘導加熱コイル3aの間隙を通り、誘導加熱コイル3aを冷却してから排気口24を通り通気孔10から外部に排気される。
【0065】
ここで、ファン装置16a及び前記冷却ファン(図示せず)は、誘導加熱コイル3a及び前記電子回路部品(図示せず)の温度、もしくは、その周囲空気温度を計測し、その温度に基づいてON/OFF制御させてもよいし、間欠運転もしくはファンの回転数制御により風量を調整する構成にしてもよい。
【0066】
トッププレート9上の調理鍋(図示せず)は、コイルユニット2aの中央部に配置した温度センサ6aにより監視されており、例えば、加熱運転中の過熱防止、加熱終了時の火傷防止等のために使用される。
【0067】
また、例えば、二つの調理鍋載置部11a、bに同時に調理鍋(図示せず)を載置して加熱する場合であっても、どちらも同様の冷却方式で誘導加熱コイル3a、bを冷却できるし、二つの誘導加熱コイル3a、bの入力電力が異なる誘導加熱調理器において、入力電力が大きな片側の誘導加熱コイル3aまたは3bのみに適用できることは言うまでもない。
【0068】
(第二の実施例)
図4に第二の実施例のダクト17の側面断面図を示す。
【0069】
図4に示すダクト17は、ファン装置16から供給され冷却空気28を噴き出す開口18に、ダクト17上方に配置されるコイルユニット2下面に向かう円筒状のノズル32を設けた構成である。
【0070】
ここで、ノズル32は本実施例に示すように、ノズル高さを上方に配置されるコイルベース4下面のフェライト5の有無による凹凸に応じて調整して設けることにより、ノズル32上端からコイルベース4までの間隔を制御して、熱効率のよい冷却ができる。
【0071】
例えば、空気の衝突流における熱伝達性能及び本体1搭載等を加味して、ノズル32の内径がφ3〜10mmであれば、ノズル32の高さは5〜50mmで配置できる。
【0072】
(第三の実施例)
図5に第三の実施例のコイルユニット2の斜視図を示す。
【0073】
本実施例では、例えば、複数の開口18が設けられたダクト17の上壁面35をフェライトで構成させ、このフェライト製の上壁面35で誘導加熱コイル3下方に向かう磁力線の流れを止めるものである。
【0074】
よって、コイルベース4の内枠36と外枠37を連結するリブ38には、例えば、図2に示した棒状のフェライト5が配置されないため、誘導加熱コイル3の載置を主に内枠36とリブ38で支持する。
【0075】
本実施例は、磁力線の流れを止めるフェライトをコイルユニット2下方に設けたダクト17の上壁面35として構成しているため、コイルベース4のリブ38は複数の細い部材で構成しており、ダクト17に設けられた複数の開口18から噴き出す冷却空気28を、より広い面積で誘導加熱コイル3に直接衝突させることができ、高い熱効率で誘導加熱コイル3を冷却できる。
【0076】
また、フェライトをダクト17の上壁面35として構成し、コイルベース4下方全体に配置することにより、誘導加熱コイル3下方に向かう磁力線の流れを止めることができ、上方の調理鍋(図示せず)の誘導加熱をより促進して加熱効率を向上できる。
【0077】
ここで、上壁面35は、一枚板でなくとも分割された板材を組み合わせた構成であってもよいし、図4に示すようにノズル32を設けた構成にすれば、冷却空気の風量をより増加させて効率の良い冷却ができる。
【0078】
以上、図1から図5に示した実施例によれば、誘導加熱コイル3を効率よく冷却することができる。そのため誘導加熱コイル3の温度上昇が小さくなり、誘導加熱コイル3の信頼性を高めることができるとともに、少ない風量で冷却できることから低騒音化が実現できる。
【0079】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の誘導加熱調理器によれば、ファン装置から送風される空気を前記コイルユニットに誘導するダクトとを備えた誘導加熱調理器において、前記コイルユニットの下方に位置するダクトの上面に孔径3〜10mmの複数の開口を設け、前記コイルユニットの中央部に通気孔を設け、前記ダクトの複数の開口から噴き出る冷却空気の一部を前記通気孔を通過して前記トッププレートの下面と前記誘導加熱コイルの上面の間隙を通る放射状の流れを構成し、該誘導加熱コイルの上面側を冷却するとともに、前記複数の開口から噴き出る他の冷却空気を前記コイルユニットの下面と前記フェライトに衝突させて多孔衝突噴流の流れにより前記誘導加熱コイルの下面と、該誘導加熱コイルから前記フェライトに熱伝導により伝わった熱を冷却するようにしたので、前記誘導加熱コイル及び前記フェライトを低風量で効率よく冷却することができ、誘導加熱コイルにおける温度分布を小さくして、その信頼性を高めるという効果を奏することができる。
【0080】
また、少ない風量で冷却できるので、低騒音化も実現可能である。
【0081】
さらに、前記ダクトから噴き出す冷却空気の一部は、前記コイルユニットの中央部に設けた通気孔を通過して、トッププレート下面と誘導加熱コイル上面の間隙を通る放射状の流れを構成したので、誘導加熱コイルの上面および下面を冷却できるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施例の誘導加熱調理器の一部を分解した斜視図である。
【図2】 同誘導加熱調理器のコイルユニット周辺部の側面断面図で、フェライトを搭載した部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側面断面図である。
【図3】 同誘導加熱調理器のコイルユニット周辺部の側面断面図でフェライトを搭載していない部位で切断したコイルベースを含むコイルユニット周辺部の側断面図である。
【図4】 本発明の第二の実施例のダクトの側面断面図である。
【図5】 本発明の第三の実施例のコイルユニットの側面断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2(2a、2b) コイルユニット
3(3a、3b) 誘導加熱コイル
4(4a、4b) コイルベース
5(5a、5b) フェライト
8 トップフレーム
9 トッププレート
16(16a、16b) ファン装置
17(17a、17b) ダクト
18 開口
28 冷却空気
29 通気孔
30 流れ
31 間隙
32 ノズル
35 上壁面
Claims (1)
- 本体の上面に設けたトッププレートと、
該トッププレートの下方に設けた誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルが載置されるコイルベースと、前記誘導加熱コイルに対して放射状に前記コイルベース内に搭載され、前記誘導加熱コイルから発生した磁力線が下方に向かう流れを止める複数本の棒状のフェライト、から構成されるコイルユニットと、
前記本体の内部に設けたファン装置と、
該ファン装置から送風される空気を前記コイルユニットに誘導するダクトとを備えた誘導加熱調理器において、
前記コイルユニットの下方に位置するダクトの上面に孔径3〜10mmの複数の開口を設け、
前記コイルユニットの中央部に通気孔を設け、
前記ダクトの複数の開口から噴き出る冷却空気の一部を前記通気孔を通過して前記トッププレートの下面と前記誘導加熱コイルの上面の間隙を通る放射状の流れを構成し、該誘導加熱コイルの上面側を冷却するとともに、
前記複数の開口から噴き出る他の冷却空気を前記コイルユニットの下面と前記フェライトに衝突させて多孔衝突噴流の流れにより前記誘導加熱コイルの下面と、該誘導加熱コイルから前記フェライトに熱伝導により伝わった熱を冷却することを特徴とする誘導加熱調理器。
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