以下、添付図面を参照しながら、本発明における電磁調理器の好ましい各実施例について説明する。
図1および図2は、本発明で提案する好ましい電磁調理器の第1実施例を示す部分断面図である。
図1に基づき全体の構成を説明すると、本発明の電磁調理器は、上ケース2と底ケース3とを組み合わせてなり、上部が開口している有底箱状の外郭をなす本体1と、その本体1の上部開口を覆うように設けられた耐熱性部材からなる天板4と、本体1の内部にあって、底ケース3の上部に配置された基板としての加熱基板5と、その加熱基板5の上部に配置され、加熱コイル6の外形に合わせてアルミリング7を上面に設けた遮熱板8と、その遮熱板8の上部に配置された加熱コイル組立としての加熱コイルユニット9と、を備えて構成されている。
加熱コイルユニット9は、基材となる加熱コイル板11の上部に加熱手段としての加熱コイル6を備える一方で、加熱コイル6の下部に複数本のフェライト10を備えて構成される。加熱基板5は、加熱コイル6に高周波電流を供給するために、例えばIGBT駆動回路,入力電流回路,回生電流回路などを含む回路を備えて構成される。加熱コイル6は天板4の直下に設けられており、この天板4に発熱体としての容器12が、調理物(図示せず)を収容した状態で載置される。
図2は、本体1内部における要部の構成を示す斜視図である。同図において、加熱コイル6は円板状をなす加熱コイル板11の上部に渦巻き状に配置され、略四角形の遮熱板8の上面には、加熱コイル6に対して略同軸上で略同心円形状のアルミリング7が設けられる。遮熱板8は、加熱基板5と加熱コイル6との間にあって、好ましくはマイカ板を使用するが、それ以外の電気絶縁性および耐熱性に優れた材料であっても良い。また、棒状のフェライト10は、アルミリング7と共に加熱コイル6から加熱基板5に向かう磁束を収束させるために設けられており、本実施例では加熱コイル6の中心軸より放射状に且つ等間隔に配置される。
次に上記構成についてその作用を説明する。図示しない電源からの給電によって、加熱基板5から加熱コイル6に高周波電流が供給されると、加熱コイル6から発生する交番磁界によって、天板4に載せた容器12そのものが発熱し、容器12および調理物が電磁誘導加熱される。同時に、加熱コイル6から加熱基板5に向けて、容器12の加熱には必要のない漏れ磁束が生じる。
しかし、加熱コイル6で発生した磁束のうち、加熱基板5側へ向かう磁束は、先ず加熱コイル6の直下に交差して設けたフェライト10によって収束され、さらにそこで収束しきれなかった磁束が、フェライト10の下方に配置したアルミリング7に鎖交して、アルミリング7と加熱コイル6の間の相互リアクタンスやアルミリング7の抵抗値などの影響によって減少される。したがって、加熱基板5には漏れ磁束が殆ど到達せず、この加熱基板5で生成される制御データ値が変動することもない。
また、アルミリング7は加熱コイル6の外形に合わせた形状で、加熱基板5と加熱コイル6とに間に配置されるので、加熱コイル6から発生する磁束を効果的に収束させることができる。しかも、このアルミリング7を保持するための部材が、本来は加熱基板5と加熱コイル6との間を熱的に遮断する遮熱板8と兼用して設けられることから、本体1内部の構成を複雑化させずに、加熱基板5への漏れ磁束を効果的に低減できる。その上、遮熱板8をマイカで構成することで、加熱板5と加熱コイル6のみならず、アルミリング7を含めて安価に電気的な絶縁を図ることも可能になる。
以上のように本実施例では、加熱手段としての加熱コイル6と、第1の防磁体としてのフェライト10とを組み合わせ、これらを共通の加熱コイル板11に取り付けてなる加熱装置としての加熱コイルユニット9と、加熱コイル6に供給する電流量を制御する基板としての加熱基板5を含む制御手段と、を有する電磁調理器において、加熱コイルユニット9と加熱基板5との間に第2の防磁体としてのアルミリング7を設けている。
この場合、加熱コイルユニット9に一切手を加えることなく、しかも追加のフェライト10を加熱コイルユニット9に設けずに、単に加熱コイルユニット9と加熱基板5との間にアルミリング7を介在させるだけで、加熱コイル6からの漏れ磁束をフェライト10とアルミリング7によって相乗的に低減させ、加熱基板5への影響を小さくして、当該加熱基板5を正常に動作させることができる。そのため、加熱コイルユニット9にフェライト10を追加したり、フェライト10を取付けるために加熱コイルユニット9を改造したりすることなく、加熱コイル6からの漏れ磁束を低減させて、安価な電磁調理器を提供することが可能となる。
なお、本実施例での構成は適宜変更可能であり、例えば、アルミリング7は略円環状に限られず、加熱コイル6の外形形状に合わせて、例えば多角形等にすることもできる。またアルミリング7は、安価で加工し易さのためにアルミニウム材料で構成しているが、アルミニウム以外の磁束を収束し得る非磁性体材料で構成しても良い。また、加熱コイル6とアルミリング7は互いに略同軸上または略同心円形状に配置されていなくても良く、磁束が鎖交するように重ねてあれば構成可能である。アルミリング7の設置箇所も、遮熱板8以外の場所にしても良い。
次に、本発明で提案する好ましい電磁調理器の第2実施例を、図3の添付図面に基づいて説明する。なお、前記第1実施例と共通する構成については共通する符号を付して説明するが、本実施例を第1実施例と組み合わせて構成しても良い。
本実施例における電磁調理器は、容器12を載置する天板4と底板としての底ケース3とを有する本体1と、本体1の内部にあって、容器12を電磁誘導加熱するために、この容器12の底面に臨んで水平に配置された加熱コイル6と、全体が扁平状をなす加熱コイル6の一方すなわち上方にあって、本体1の上面部をなす天板4の直下に配置された第一断熱板21と、加熱コイル6の他方すなわち下方にあって、第一断熱板21の下部に間隔をおいて設けられた第二断熱板22と、第二断熱板22と底ケース3との間に配置され、加熱コイル6を介して鍋12への加熱を制御する加熱基板5と、本体1内部の温度上昇を抑えるために、本体1の側部に配置された冷却用のファン23とを備えている。また、底ケース3の下方には脚部(図示せず)が設けられており、載置面に対して隙間(図示せず)を形成している。
上記各構成において、第二断熱板22の略中央部にはセンサ逃げ孔25が設けてあり、また第一断熱板21と天板4の略中央部にもそれぞれ孔24,26が設けられていて、鍋12の温度を測定するための検知手段である温度センサ27が、それらのセンサ逃げ孔25および孔24,26を貫通して上下方向に設置されている。温度センサ27の上端にある感知部27Aは、天板4の上面よりも若干上方に突出しており、鍋12を天板4に載置したときに、当該感知部27Aが鍋12に接して、鍋12ひいては調理物の温度を精度よく検知するようになっている。また、温度センサ27からの検知信号は加熱基板5に取り込まれ、鍋12が設定した温度になるように、加熱基板5によって加熱コイル6への制御が行なわれる。
ファン23は、加熱基板5からの電力供給を受けて回転する羽根車28と、この羽根車28の回転に伴い、ファン23の上方および下方から周辺の空気(気体)を取り込む吸込口29,30と、吸込口29,30に直交してファン23の側方から空気を送り出す吹出口31とを備えて構成される。当該ファン23は好適には遠心ファンを使用するが、軸流ファンで構成しても良い。また、ファン23は一つだけ設けても良いし、複数個設けても良い。
加熱コイル6を収容する第一断熱板21と第二断熱板22との間には、側部に開口33を有する隙間34が設けられる。同様に、加熱基板5を収容する第二断熱板22と本体1の底部をなす底ケース3との間にも、側部に開口35を有する別な隙間36が設けられる。つまりここでは、本体1の内部において、第二断熱板22を挟んで上側と下側に空気の流通路としての隙間34,36がそれぞれ設けられている。
ファン23の吹出口31は、開口33,35に対向して配置されており、吹出口31からの冷気が、そのまま直接に開口33,35から空気の流通路としての隙間34,36内を通過するようになっている。また、加熱コイル6は第一断熱板21の下面に取り付けられており、第二断熱板22には、その加熱コイル6の直下を除いた箇所において、隙間34と隙間36との間で空気の流通を可能とする空気孔38が形成されている。さらに、底ケース3においても、隙間36と底ケース3の下方の隙間との間で空気の流通を可能とする別な空気孔39が形成されている。隙間34を通過する空気は、加熱コイル6からの熱を奪いつつ、開口33と別な側にある排気口(図示せず)から本体1の外部に排出されると共に、隙間36を通過する空気は、加熱基板5からの熱を奪いつつ、開口35と別な側にある排気口(図示せず)、あるいは底ケース3の空気孔39から本体1の外部に排出されるようになっている。また、これらの隙間34,36を通過する空気は第二断熱板22に形成されている空気孔38を介して対流を生じながら、本体1の外部に排出されるようになっている。
次に上記構成についてその作用を説明する。図示しない電源からの給電によって、加熱基板5から加熱コイル6に高周波電流が供給されると、加熱コイル6から発生する交番磁界によって、天板4に載せた容器12そのものが発熱し、容器12および調理物が電磁誘導加熱される。また、加熱基板5からファン23への電力供給によって、ファン23の羽根車28が回転し、本体1外部の冷気が吸込口29,30からそれぞれ取り込まれて、吹出口31から各隙間34,36の開口33,35に吹き出される。
このとき、加熱コイル6で生じる熱は、第一断熱板21と第二断熱板22によって遮断され、しかも隙間34の側部にある開口33から絶えず送り込まれる冷気と熱交換されると共に、空気孔38において第二断熱板22の上下両側で気体の流通が行なわれ、本体1の内部で対流を生じさせつつ、本体1の内部に留まることなく速やかに外部に排出される。また、加熱基板5で生じる熱も、隙間36の側部にある開口35から絶えず送り込まれる冷気と熱交換されると共に、空気孔38において第二断熱板22の上下両側で気体の流通が行なわれ、本体1の内部で対流が生じさせつつ、本体1の内部に留まることなく速やかに、開口33,35と別な側にある排気口(図示せず)あるいは底ケース3の空気孔39から外部に排出される。こうして、加熱コイル6の放熱を、空気が流れる隙間34と第二断熱板22によって効果的に低減させ、かつ空気孔38を利用した気体の流通によって、低風量および低騒音のファン23であっても、本体1内部の冷却性能を満足させることができる。また加熱基板5に対しても、当該加熱基板5を第二断熱板22で区画された別な隙間36内に配置することで、隙間36を流れる冷風との熱交換を促進し、かつ空気孔38,39を利用した気体の流通によって、より効果的な冷却性能を実現することが可能になる。
以上のように本実施例では、加熱手段としての加熱コイル6の一方である上方に第一断熱板21を設けると共に、加熱コイル6の他方である下方に第二断熱板22を設け、第二断熱板22を挟んで上側と下側に気体の流通路である隙間34,36をそれぞれ設け、第二断熱板22には加熱コイル6に対向しない箇所に、第二断熱板22の上下両側にある隙間34,36間で気体の流通を可能とする孔としての空気孔38を設けている。
この場合、第一断熱板21と第二断熱板22により加熱コイル6からの熱を効果的に遮断し、さらには各隙間34,36における気体の流通と、空気孔38を介した隙間34,36間の気体の対流とにより、加熱コイル6を含めた発熱源からの熱を速やかに奪うことで、本体1内部の冷却効率が向上する。そのため、低風量および低騒音のファン23などを使用した場合でも、本体1内部の冷却性能を満足することができる。また、ファン23の回転数が減少することから、ファン23の寿命を延ばすことも可能になる。
なお、本発明の構成は適宜変更可能であり、検知手段である温度センサ27は、第一断熱板21と第二断熱板22にそれぞれ設けたセンサ逃げ孔25,孔24に貫通して設置することに限られず、例えば第二断熱板22にセンサ逃げ孔25を設けずに第一断熱板21に孔24を設けて、そこに温度センサ27を貫通させても良いし、温度センサ27を第一断熱板21と第二断熱板22の略中央部以外に設けて構成しても良い。
次に、本発明で提案する保温部材の好適な例を、図4および図5の添付図面に基づき第3実施例として説明する。なお、前記第1実施例や前記第2実施例と共通する構成については共通する符号を付して説明するが、本実施例で使用する保温部材を第1実施例や第2実施例の電磁調理器と組み合わせて構成しても良い。
これらの各図において、40はプレート41に載せた調理物を加熱調理する調理器であり、また50はプレート40に着脱自在に載置される保温部材である。保温部材50は、調理面であるプレート40上面の温度に耐えられる耐熱性材料によって構成され、好ましくは約250℃の調理面に耐えられる耐熱シリコン材料を使用する。また、保温部材50はプレート40に直接接する矩形状の底板51と、底板51の側部より立ち上がるトレイ状の壁52とにより構成され、側部を壁52で囲むと共に上面を開口した有底状に形成される。保温部材50の変形例として、底板51は多角形若しくは円形など任意の形状であっても良く、また耐熱シリコン以外の耐熱性材料で構成しても良い。
一方、調理器40は、前記平板状のプレート41の他に、プレート41下部のほぼ全領域に偏りなく単独のヒータ線を配設してなる加熱手段42と、加熱手段42を含めたプレート41の側部と底部を取り囲む耐熱性の枠体43と、枠体43の一側部に着脱自在に設けられ、装着時に加熱手段42と電気的に接続して、プレート41の温度が設定した温度に一致するように加熱手段42への通断電を制御するヒートマスター44と、ヒートマスター44ひいては加熱手段42への給電を可能にする電源コード45と、を備えて構成される。ここでは、ヒータ式の加熱手段42によりプレート41を加熱する調理器40を示したが、第1実施例や第2実施例にあるような電磁誘導式の加熱コイル6を用いて、磁性部材であるプレートを電磁誘導加熱する調理器であってもよい。
次に、上記構成についてその作用を説明する。図示しないコンセントに電源プラグ45を差し込む一方で、ヒートマスター44を枠体43の一側部に装着して、ヒートマスター44に設けられた温度調節摘み44Aを適宜操作する。これによりヒートマスター44は、プレート41の温度が温度調節摘み44Aで設定した温度になるように、加熱手段42の通断電を制御してプレート41のほぼ全体を加熱する。
ここで、プレート41に調理物を直接載せると、プレート41からの熱がそのまま調理物に伝わり、焼肉などの加熱調理を行うことができる。一方、調理物を焼かずに保温したい場合には、プレート41の適所に保温部材50を載置し、その保温部材50に調理物を収容する。保温部材50の材料であるシリコンは、熱伝導性がアルミニウムなどの金属よりも悪いため、高温の調理面であるプレート41に載せても、保温部材50の上面は温度差が生じて、調理物を適切な温度に保つことができ、保温部材50をいわば保温トレイとして使用することができる。
また、保温部材50として使用するシリコン材料は、従来の金属からなる鋼材とは異なり弾力性があるため、ある程度底面やスペース形状の融通が効き、様々なプレート41の形状に対応できる上に、軽量で安く、収納性に優れた保温部材50を提供できる利点もある。さらに、複数の加熱手段42を切替えて保温エリアを設ける必要がないので、加熱機能が単純になり、調理器40として安価な構造を実現できる。
以上のように本実施例では、加熱手段42によりプレート41を加熱して調理を行なう調理器40に使用され、耐熱性材料からなり、調理物を載置する保温部材50を用いている。保温部材50をプレート41の加熱温度に耐えられる耐熱性材料によって構成することで、軽量で安く収納性に優れた保温部材50を提供できる。また、プレート41に部分的な保温エリアを設ける必要もなく、調理器40としての加熱機能を単純化させることができる。
また本実施例では、保温部材50として耐熱シリコン材料を使用することで、保温部材50そのものに弾力性を持たせることができ、様々なプレート41の形状に対応して、その使い勝手を向上させることができる。
さらに好適には、保温部材50は側面に壁52を設けた有底形状とし、恰も保温トレイとして使用することにより、保温する調理物がこぼれにくくなり、使用者が安心して調理することが可能となる。
なお、本発明の構成は、適宜変更可能であり、例えば保温部材50の壁52に取手を設けてもよいなど、使用者の使いやすさを考慮した形状に保温部材50を形成してもよい。
次に、好ましい鍋(プレート)の実施例について説明するが、その前に本実施例の理解に必要な従来技術について説明する。
一般に、電磁調理器に載置して調理や加熱に使用するアルミ製の鍋(プレート)の裏面には、磁性を有する磁性板を構成する必要がある。この場合の一般的な製造方法としては、ダイキャスト時に磁性板を金型へ平坦になるように固定する必要があった。また、ダイキャスト材料との密着性を良くするため、ダイキャスト成形する前に磁性板に孔を設けていた。
しかしながら、磁性板にプレスで孔を空けると、その孔周辺に歪みが生じてしまう。また、磁性板は略板形状であるため、その歪みを除去して磁性板を平坦にするのが困難であり、平坦度が出ていない磁性板をダイキャスト材料と水平に一体成形するのは困難であった。さらに、金型に磁性板を固定する場合、一旦歪んでしまった磁性板を金型に水平に固定することは非常に困難であった。
そこで、好ましい鍋(プレート)の実施例を、図6〜図8の添付図面に基づいて説明する。
図6の平面図に示すように、磁性板60は上方から見て略円形で幅が略一様な渦巻き形状となるように形成され、図6のB−B線断面図において、その断面が水平に並んだ略一様な略四角形に形成される。渦巻き形状に配置される磁性板60,60間の隙間61は好適には等間隔であり、また磁性板60の幅と同一の長さで形成される。
図7は、図6に示す磁性板60を金型にセットした状態を示している。金型は一方の型材であるコア71と、他方の型材であるキャビ72とにより構成される。ここでは、渦巻き形状の磁性板60を磁性のあるコア71にセットし、その後、図示しないダイキャスト材料を流し込み、別なキャビ72でプレスすることにより、ダイキャスト成形された鍋85(図8を参照)を得る。磁性板60が装着されるコア71のダイキャスト面73は鍋85の裏面に対応し、キャビ72のダイキャスト面74は鍋85の表面に対応した形状になっている。尚、鍋85の母材となるダイキャスト材料は、好適にはアルミニウムからなるが、アルミニウム以外の熱伝導性に優れた金属材料を適用しても良い。
図8は、本実施例で製造された鍋85の平面図とそのC−C線断面図とを示している。鍋85は、フランジ形状の縁部81と、略円形状の底部82と、底部82の周縁より立ち上がって縁部81の基端につながる壁部83とからなり、側部を壁部83で囲むと共に上部を開口した有底状のダイキャスト材料84と、そのダイキャスト材料84の底部82裏面に固着された渦巻き形状の磁性板60と、によって構成される。製造された鍋85は、例えば第1実施例や第2実施例におけるにおける容器12の代わりに用いられる。なお比較のために、図9は従来の孔91を設けた略円形状の磁性板90とダイキャスト材料93で構成された鍋92の平面図とそのD−D線断面図とを示している。
以上のように、本実施例の電磁調理器の鍋85には渦巻き形状に形成された磁性板60が設けられる。そして、この渦巻き形状の磁性板60は、従来のような孔91を設けずにダイキャスト成形により製造されるため、孔91を設けることによる歪みを生じることがない。また、渦巻き形状の磁性板60には内部に隙間61が空いているために平坦度を出しやすい。さらに、磁性板60はたとえ平坦度が出ていなくても、コア71の磁力によって隙間なくコア71のダイキャスト面73に固定することができる。そのため、歪み易い磁性板60の平坦度を保ちながら、この磁性板60を金型にセットして、ダイキャスト一体成形することができる。
次に、好ましい電磁調理器の別な実施例を、図10の添付図面に基づいて説明する。なお、前記第1実施例や第2実施例と共通する構成については共通する符号を付して説明するが、本実施例をこれらの各実施例のものと適宜組み合わせて構成しても良い。
本実施例の電磁調理器は、本体とって部100を対向2箇所に設け、その本体とって部100と直角方向に操作部101を設けた略円形状の本体1と、その本体1の上面に着脱自在に配置された鍋となる略円形状のプレート41と、開口しているプレート41の上部を覆う着脱可能な略円形状の蓋102とを備えている。また、図示しないが、プレート41の直下には、当該プレート41の形状に対応した略円形状の加熱コイル6が設けられている。この加熱コイル6は、プレート41を電磁誘導加熱するためのもので、プレート41を載置するために本体1に形成した天板(図示せず)の下方に配置される。また、天板の外側に配置した本体1の外枠形状は、プレート41の外周を囲むように略円環状に形成される。
一方、蓋102の略中央部には蓋とって部103を備えており、蓋とって部103は耐熱性材料によって構成されている。操作部101は、加熱温度などを表示する表示部104や加熱コイル6の加熱温度を調整する摘み部105などを備えて構成されている。
前記本体とって部100は、使用者が本体1を持つときに手を掛けやすいように、本体1の外枠部から外方に膨出して形成される。また、プレート41の側部には、対向する2箇所に容器とって部107が設けられる。この容器とって部107も、使用者がプレート41を持つときに手を掛けやすいように、プレート41の側部から外方に膨出して形成される。そして、本体1の天板上にプレート41を載せたときに、容器とって部107が本体1の外枠部に突き当らないように、本体とって部100には容器とって部107が入り込むような形状の上面を開口した凹部106が設けられる。
次に上記構成についてその作用を説明する。略円形状をなす天板に円形状のプレート41を載せ、同じく円形状に配置された加熱コイル6に高周波電流を供給して、プレート41を電磁誘導加熱する。このとき、被加熱体としてのプレート41が加熱コイル6の外形形状に一致した円形状であるため、プレート41全面がほぼ均等に加熱され、プレート41の温度ムラが少なくなる。
以上のように本実施例では、本体とって部100を対向2箇所に設け、その本体とって部100と直角方向に操作部101を設けた略円形状の本体1と、その本体1の上面に配置された略円形状のプレート41と、プレート41の上部を覆う着脱可能な略円形状の蓋102とによって構成される。
この場合、加熱コイル6から電磁誘導加熱するプレート41までの距離がプレート41の全面においてほぼ一定になるため、プレート41全体がほぼ均等に加熱される。したがって、温度ムラが少なく、プレート41全面を均等に加熱することができる。また、本体1,プレート41および蓋102を略円形状の加熱コイル6に対応する形状にしたために、電磁調理器としてコンパクト化が図れ、またその外形形状も略円形で統一感があるために外観が良くなる。
さらに、好適には本体とって部100の上部に凹部106を形成し、プレート41を本体1上に載せたときに、プレート41の側部に設けた容器とって部107がその凹部106の部分に臨むように設けられている。
このように構成することにより、容器とって部107が本体とって部100に突き当らず、容器とって部107が本体とって部100の凹部106に自ずと位置するようになって、プレート41を本体1に楽に設置することが可能になり、またプレート41が本体1の中央に置きやすくなる。
さらには、本体とって部100や容器とって部107が手で持ちやすい形状になっており、本体1やプレート41を容易に別な場所に移動させることが可能になる。