JP2004212873A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光源における発光強度変動や発振スペクトル波長変動、波長飛びの1以上に起因する光スポットの位置ずれやスポット径の変動を軽減する。
【解決手段】パルス変調手段により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源1に印加して発光強度等を変調し、レーザ光源からの光ビームを偏向手段5により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系6、7により被走査面8上に光スポットとして集光させて、被走査面の光走査を行う光走査装置において、レーザ光源1における、波長変動、発振スペクトル発振変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するべくレーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段9を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】パルス変調手段により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源1に印加して発光強度等を変調し、レーザ光源からの光ビームを偏向手段5により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系6、7により被走査面8上に光スポットとして集光させて、被走査面の光走査を行う光走査装置において、レーザ光源1における、波長変動、発振スペクトル発振変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するべくレーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段9を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査装置は、デジタル複写装置や光プリンタ、光プロッタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に広く実施されているが、近来、より高精細な画像の形成が求められている。
【0003】
高精細な画像を形成するためには、光走査装置が被走査面上に形成する光スポットのスポット径が小径であること、光スポットが主走査を行う際に、光スポットの有効光走査領域においてスポット径変動が少なく「スポット径が安定している」こと、光スポットの像高位置が安定していることが必要である。
【0004】
従来、これらの要求に応えるべく「光走査の光学特性を良好に実現した光走査光学系」が種々提案されてきている。
【0005】
光走査装置の光源として一般的な半導体レーザは、画像データをパルス変調データとして印加され、パルス変調データに応じて発光強度が変調される。半導体レーザの発光には、波長の変動(波長飛び)や発光強度変動、多モードのスペクトル発振が伴うことが知られているが、近来、発明者らの研究により、上記スペクトル発振の波長変動が「1ドットを書き込むための印加データの最小単位である1パルス内」においても生ずることが明かとなってきた。
【0006】
波長飛びによる波長変動や、スペクトル発振波長の変動が生じると、光走査光学系の「倍率の色収差」により、光スポットの位置が変化する「光スポットの位置ずれ」が生じ、また光スポットの形状、主として「主走査方向のスポット径」が変化する。さらに、発光強度の変動もスポット径の変動をもたらす。
【0007】
このような光スポットの位置変動やスポット径変動は「光走査により書込まれるドット画像の位置ずれやドット径変化」を惹起し、形成される画像の像質劣化の原因となる。
【0008】
このような、光源の発光特性の「1パルス内における変動」に起因する、ドット画像の位置ずれやドット形状の変化に対する対策は、出願人の知る限りにおいて従来取られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、レーザ光源における発光強度変動やスペクトル波長変動、波長飛びの1以上に起因するドット画像の位置ずれやドット径の変動を有効に軽減することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の光走査装置は「パルス変調手段により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源に印加して発光強度、発光強度分布、発振波長等を変調し、レーザ光源からの光ビームを偏向手段により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させて被走査面の光走査を行う光走査装置」であって、以下の点を特徴とする(請求項1)。
【0011】
即ち、レーザ光源における、波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正すべく「レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段」を有する。
【0012】
上記「スペクトル波長変動」は、多モードのスペクトル発振において、スペクトルの「各成分波長の光強度」の時間的な変動である。
【0013】
パルス変調手段は、レーザ光源の発光強度等、発光状況全般を変調できる。
【0014】
請求項1記載の光走査装置における、レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段は「印加データのパルス振幅」を制御することもできるし(請求項2)、「印加データのパルス幅」を制御することもでき(請求項3)、「印加データのパルスの位相」を制御することもできる(請求項4)。
【0015】
勿論、データ制御手段が「印加データの、パルス振幅、パルス幅、パルスの位相のうち2以上」を制御することができる(請求項5)。この場合、データ制御手段が「印加データのパルス振幅とパルス幅と」を制御することができる(請求項6)。
【0016】
上記請求項1〜6の任意の1に記載の光走査装置は、通常の「シングルビーム走査方式の光走査装置」として実施することができるが、「マルチビーム走査方式の光走査装置」として実施することもできる(請求項7)。
【0017】
即ち「レーザ光源が複数のレーザ発光源を有し、これらレーザ発光源の発光強度、発光強度分布、発振波長等を独立してパルス変調データにより変調し、被走査面上に複数の光スポットを副走査方向へ分離して形成し、複数走査線を同時に光走査するマルチビーム走査方式の光走査を行う光走査装置で、データ制御手段が、レーザ光源の各レーザ発光源への印加データを制御」する光走査装置として実施することもできる。
【0018】
請求項7記載の光走査装置において、複数のレーザ発光源を有するレーザ光源は「LDアレイ(半導体レーザアレイ)」であることも(請求項8)、「複数の半導体レーザを有し、各半導体レーザからの光ビームを合成する方式のもの」であることもできる(請求項9)。
【0019】
この発明の画像形成装置は「感光性媒体に対して光走査を行って画像形成する画像形成装置」であって、感光性媒体を光走査する光走査装置として請求項1〜9の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする(請求項10)。
【0020】
「感光性媒体」としては種々のものの使用が可能である。例えば「銀塩フィルム」を用いることができる。この場合、光走査による書込みで潜像が形成されるが、この潜像は通常の銀塩写真プロセスによる処理で可視化することができる。
【0021】
このような画像形成装置は「光製版装置」や、CTスキャン画像等を描画する「光描画装置」として実施できる。
【0022】
感光性媒体としてはまた「光走査の際に光スポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)」を用いることもでき、この場合には、光走査により直接に可視画像を形成できる。
【0023】
感光性媒体としてはまた「光導電性の感光体」を用いることができる。光導電性の感光体としては、酸化亜鉛紙のようにシート状のものを用いることもできるし、セレン感光体や有機光半導体等「ドラム状あるいはベルト状で繰り返し使用されるもの」を用いることもできる。
【0024】
光導電性の感光体を感光性媒体として用いる場合には、感光体の均一帯電と、光走査装置による光走査により静電潜像が形成される。静電潜像は現像によりトナー画像として可視化される。トナー画像は、感光体が酸化亜鉛紙のようにシート状のものである場合は感光体上に直接的に定着され、感光体が繰り返し使用可能なものである場合には、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等のシート状記録媒体に転写・定着される。
【0025】
光導電性の感光体からシート状記録媒体へのトナー画像の転写は、感光体からシート状記録媒体へ直接的に転写(直接転写方式)しても良いし、感光体から一旦中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写した後、この中間転写媒体からシート状記録媒体へ転写(中間転写方式)するようにしてもよい。
このような画像形成装置は、光プリンタや光プロッタ、デジタル複写装置、ファクシミリ装置等として実施できる。
【0026】
この発明の画像形成装置は、1ドラム式や複数ドラム式のカラー画像形成装置として実施することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明する。
図1(a)は、光走査装置の実施の1形態を示している。この図に示す光学配置は、光走査装置における光走査光学系の光学配置として典型的なものの1つである。
【0028】
半導体レーザであるレーザ光源1から放射される発散性の光ビームは、カップリングレンズ2により平行光ビーム化され、図示されないアパーチュアを通って「ビーム整形」された後、シリンドリカルレンズ3により副走査方向(図面に直交する方向)に集束され、「偏向手段」であるポリゴンミラー5の偏向反射面位置に「主走査方向に長い線像」として結像する。
【0029】
ポリゴンミラー5が等速回転すると、偏向反射面により反射された光ビームは時計回りに等角速度的に偏向し、「走査結像光学系」としてのfθレンズを構成するレンズ6、7により被走査面8上に光スポットとして集光し、被走査面を等速的に光走査する。この光走査が主走査であり、被走査面8が図面に直交する副走査方向へ等速的に変位することにより、主走査が繰り返されて被走査面8が2次元的に光走査される。
【0030】
被走査面8は実体的には感光性媒体であり、光ビームは画像データに従って強度変調されるので、上記2次元的な光走査により、感光性媒体に2次元画像が書き込まれることになる。
【0031】
図1(b)は、レンズ6、7により構成されるfθレンズの光学特性として、主・副走査方向の像面湾曲(左図 破線が主走査方向、実線が副走査方向)と等速特性(右図 実線がリニアリテイ、破線がfθ特性)の1例を示す。
【0032】
図1(a)に符号9で示す「制御装置」は、パルス変調手段とデータ制御手段とを合わせたものである。画像データは制御データと共に、制御装置9に入力され、パルス変調手段は、画像データを画素単位のパルス変調データとし、このパルス変調データによりレーザ光源1を駆動して、発光強度等を変調する。これにより、画像データに従って変調された光ビームがレーザ光源1から放射される。
【0033】
制御装置9に含まれるデータ制御手段は制御データに応じ、レーザ光源1における、波長飛びによる波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するために、レーザ光源1への印加データを制御する。
【0034】
即ち、図1(a)に示す光走査装置は、パルス変調手段9により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源1に印加し、レーザ光源1からの光ビームを偏向手段5により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系6、7により被走査面8上に光スポットとして集光させて、被走査面8の光走査を行う光走査装置であって、レーザ光源1における、波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するべくレーザ光源1への印加データを制御するデータ制御手段9を有する(請求項1)。
【0035】
レーザ光源1である半導体レーザには、温度変動による波長飛びの現象が知られている。波長飛びは、レーザ光源1の発光波長が長波長側あるいは短波長側へ「不連続に変化」する現象である。このような波長飛びは、光走査の特性としては以下のように現れる。即ち、走査結像光学系(fθレンズ)は一般に、主走査方向に正のパワーをもち、かつ、倍率の色収差も有している。
【0036】
レーザ光源1の発光波長が波長飛びにより「短波長側」へずれると、走査結像光学系の色収差は、走査結像光学系の正のパワーが強くなったように作用する。逆に発光波長が「長波長側」へずれると、走査結像光学系の正のパワーが弱くなったように色収差が働く。
【0037】
このため、1走査線を書き込む時間:Tに対して、書き込まれる走査線の長さは、波長が「短波長側へずれた」ときには短くなり、「長波長側へずれた」ときには長くなる。従って、光走査の開始側と終了側に光センサ(図1に図示されず)を配し、これら光センサ間を走査光ビームが通過する時間を検知することにより、レーザ光源における波長変動(波長変化の向きと程度)を知ることができるので、このようにして検知される時間に基づき、レーザ光源1に印加するパルス変調信号のパルス幅と、パルスの位相を制御することにより「波長飛びによる波長変動の影響」を補正することができる。
【0038】
以下には、スペクトル波長変動の影響と、その補正を説明する。
【0039】
図2は、多モードのスペクトル発振で発光しているレーザ光源1による光スポットが1ドットを書き込むとき、スペクトル波長における各波長成分の光強度が「1パルス内に時間的に変化する様子」の1例を示したものである。
【0040】
1ドットを書き込む1パルスの時間幅を9ns(ナノ秒)としている。レーザ光源1の多モードのスペクトル発振におけるスペクトル波長(nm)を、0.16nm間隔で、664.36、664.52、664.68、664.84、665、665.16、665.32の7波長とした。
【0041】
横軸の「刻み時間」は、1パルス相当の9nsを1nsごとに刻んだものであり、各刻み時間内における上記7波長の光強度を「ヒストグラム」として表したものである。各刻み時間内におけるヒストグラムの柱は、左から右へ順に上記7種のスペクトル波長(nm):664.36、664.52、664.68、664.84、665、665.16、665.32の発光強度を表している。
【0042】
このヒストグラムにおける「1ns刻みごとの各柱の光強度和」を示したのが図の上方の折れ線グラフ2−1で、この光強度は1パルス内における光スポットの「光強度の推移」を表す。
【0043】
図2に示す如き「1パルス内における、スペクトル波長の時間的変動」は、レーザ光源の特性として定まり、レーザ光源ごとに個別的に測定して特定することができる。
【0044】
図2を見ると、1パルスの画像データが光ビームとして出力される9nsの間に、光スポットの光強度2−1はパルスに従って立ち上がり、立ち下がるが、立ち上がりと立下りとの間のパルス中ほどで若干減少し、その後増加してから立ち下がることが分かる。
【0045】
また、波長別に見ると、パルスの立ち上がりでは短波長側:664.52nmの波長成分(左から2番目の柱)の光強度が強く、この波長成分の光の強度は、パルス印加開始から2ns後を最大として以後は減少する。また、波長:665.16nmの波長成分(右から2番目の柱)は、パルス印加後3nsまでは略直線的に光強度が増大し、その後、パルスの立下りに至るまで光強度に大きな変動が無い。
【0046】
仮に、光走査装置において光走査の設計波長(基準波長)を、上記7種の波長の中央値:664.84nmに設定した場合を考えて見ると「1パルスで1ドットを書き込む」とき、書込み時間である9nsの前半は「基準波長よりも短波長の光成分」が優勢であり、時間の経過と共に「基準波長よりも長波長の光成分」が優勢になる。
【0047】
ここで、走査線1本(1ライン)を書き込む主走査を考えて見ると、上述したように、走査結像光学系の「主走査方向の正のパワー」は、色収差により、波長が短波長側へずれるときは増加し、長波長側へずれるときは減少する。
【0048】
走査結像光学系における「主走査方向の正のパワー」は、偏向光ビームを「光軸へ近づける」ように屈折させる作用を持つから、上記の如く「スペクトル波長変動」で、1パルスの初めでは短波長側、後半では長波長側の光強度が優勢であると、光スポットの移動方向の影響と相俟って、光スポットの位置は1走査線を走査する間、光走査開始後、光走査の終了側に向ってずれ、光走査が終端部に近づくに連れて、光走査開始側に向ってずれる傾向をもつ。
【0049】
図2に示したスペクトル波長変動に起因する「光スポットの位置ずれ」を、図3にグラフ線3−1で示す。横軸は像高(+側が光走査開始側である。)、縦軸は光スポットの位置ずれ量であり「+が光走査開始側へのずれ量」である。上述の如く、光スポットの位置は1走査線を走査する間、光走査開始後、光走査の終了側(縦軸の−側)に向ってずれ、光走査が終端部に近づくに連れて、光走査開始側(縦軸の+側)に向ってずれる傾向が見られる。
【0050】
また、上記の如く「スペクトル波長変動で、1パルスの初めでは短波長側、後半では長波長側の光強度が優勢」であると、光スポットの「光強度のピーク」は色収差により、光走査の開始側では「1パルスの前半は光軸へ近づく側、後半では光軸から離れる側」にずれるから、光スポットにより書き込まれる1ドットの主走査方向の大きさ(ドット径)は小さくなる傾向があり、光走査の後半では上記ドット径は大きくなる傾向がある。
【0051】
この状況を示したのが、図4のグラフ線4−1である。横軸は光スポットの像高(+側が光走査開始側である。)、縦軸が「光スポットの主走査方向におけるスポット径」である。
【0052】
図5は、1ドットを書き込む1パルスの時間内において、発光強度(波長を665nmとする)が±40%の範囲で変動したとき、被走査面に書き込まれる1ドットの領域が受ける光強度を示している。
【0053】
この図5において「横軸は像高」であるが、この図においては−側が「光走査開始側」である。1パルスを8nsとしている。この1パルス(8ns)の間に光スポットは、図の左方から右方へ等速で変位するが、この変異を1nsごとに区切り、1nsごとの被走査面上の光強度を曲線5−01〜5−08で示す。
【0054】
即ち、1パルスの立ち上がり後1nsにおける光強度が曲線5−01であり、以下、順次曲線5−02、5−03、・・と変化し、最後の8nsにおいては曲線5−08のようになる。
【0055】
このとき「1パルス間における被走査面上の光強度」は曲線5−01〜5−08の各光強度の和で与えられ、曲線5−09のようになる。もし、発光強度に変動が無ければ、「1パルス間における被走査面上の光強度」は曲線5−10に示すようになる。
【0056】
曲線5−10で示す光強度は「発光強度の変動が無い理想的な場合」である、上記の如く1パルス内で光強度の変動があると、実際の「1ドットを形成する光強度の分布」は曲線5−09の如くであり、光強度のピーク値もピーク位置も理想の場合(曲線5−10)と異なるものになる。
【0057】
光スポットの光強度分布は周知の如く「ガウス分布型」であり、スポット径はそのピーク値の1/e2になる部分の光束径で定義されるから、光強度が変化すればスポット径も変化することになる。
【0058】
図6は、図5に示した場合において、1パルス(8ns)内におけるパルス振幅を制御し、1〜8nsの「各1ns」間における発光強度の変動を抑えた場合を示している。図示の如く、パルス立ち上がりから1ns〜8nsにおける光強度を曲線5−11〜5−18で示す。1パルス内でパルス振幅を制御したことにより、曲線5−11〜5−18は分布形状が実質的に一定となっており、これらを加えた「1ドットを形成する光強度の分布」は、曲線5−1の如くになり、分布はピーク位置に対して対称形となる。
【0059】
曲線5−2は、図6の曲線5−1を実現する「レーザ光源の駆動パルス振幅」を0.8倍にした場合、曲線5−3は上記駆動パルス振幅を0.6倍にした場合である。このように、パルス振幅を変化させることにより、光スポット内における光強度分布のピーク値を変化させることができる。
【0060】
従って、パルス振幅を大きく(小さく)すれば、光スポットの光強度を大きく(小さく)でき、光スポットにより書き込まれるドットのドット径を増減でき、パルス振幅の制御により「ドット径が光スポットの像高によらず実質的に一定となる」ように補正することができる。図4のグラフ線4−2は、このようにパルス振幅を制御することによりスポット径変動(図4のグラフ線4−1)の補正を行った1例を示している。スポット径の変動が補正されることにより、光スポットにより書き込まれるドットのドット径も安定する。
【0061】
また、パルス幅を増減させれば、それに応じてスポット径を増減させることができるので、パルス幅の制御によりスポット径を補正することもできる。
【0062】
図5では、1ドットを書き込む1パルス間において、発光強度が変動する場合の影響を説明した。図5の例では、発光強度は変動するが波長自体は変動していない。
【0063】
図7は、レーザ光源が多モードのスペクトル発振をしており、1パルス間に各スペクトル波長の光強度が図2に示す如くに変化する場合の「1ドットを形成する光強度の分布」を描いたものである。この図は、光スポットの像高:161.5mmの位置におけるものである。
【0064】
図7においては1パルスは9nsで、横軸(Y軸)は像高であり、+側が光走査開始側である。1パルスの時間内(9ns)に「主走査方向に略40μm径のドット」を書き込む場合を示しているが、図2に示した1〜9nsの1nsごとの光強度分布は、曲線6−11〜6−19に示す如くであり、曲線6−19から曲線6−11へ向って時間が1nsずつ進行する。
【0065】
1nsごとに、スペクトル発振に置ける各スペクトル波長の強度分布が異なるため、曲線6−11〜6−11は極大値が同一でなく、1パルスの立下りに向うにつれて長波長の成分が優勢になるため、上記の如く、1ドットの書込みの前半と後半とで光走査光学系の色収差が異なる。
【0066】
このため、基準波長(例えば664.84nm)に対して設計された1ドットを形成する光強度分布6−2に対し、実際に書き込まれた1ドットに対する光強度分布6−1は分布が異なり、このことに起因して、前述したように「光スポットの位置ずれとドット径の変化」が発生することになる(図3、図4参照)。
【0067】
図7のような「1パルス内のスペクトル波長変動に起因するドット径の変動」は、パルス幅および/または「1パルス内でのパルス振幅」を制御することにより補正することができ、また光スポットの位置ずれはさらにパルスの位相を制御することにより補正することができる。
【0068】
結局、図3に示したような光スポットの位置ずれ、図4に示したようなスポット径の変動、図5、図7に示したような「光スポットの位置ずれ・ドット径の変化」は、レーザ光源への印加データを制御する手段(パルス振幅、パルス幅、パルスの位相)を制御することにより補正できる。
【0069】
例えば、図3におけるグラフ線3−1のような光スポットの位置ずれは、光スポットの像高とレーザ光源の発光のタイミングがずれていることを意味するから発光タイミングを決定する「パルスの位相」を制御する(請求項4)ことによりグラフ線3−2のように補正できる。
【0070】
光スポットのスポット径の変動に起因するドット径の変動を補正するには、パルス振幅および/またはパルス幅を制御すればよい(請求項2、3)。
【0071】
レーザ光源の発光状態の変化と、各像高における「光走査光学系の色収差」による光スポットの位置ずれ、光強度分布の変化は、パルス振幅、パルス幅、パルスの位相のうち2以上を組み合わせて制御する(請求項5)ことにより、各像高において光スポットの位置ずれとドット径の変動を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。
【0072】
光走査による「光スポットの移動」と、波長変動による位置ずれ及び光強度の変動の影響を受けた各光スポットの「積算強度分布(図5のグラフ線5−1等、図7のグラフ線6−1等)」から、被走査面上でのドット位置及びドット径が求まる。各スペクトルの波長変動量と光強度の変動を考慮に入れた積算光量の関係が以下の式を満たすときに、ドット位置ずれとドット径の変動を問題のないレベルに抑えることができる。
【0073】
0.5<Σ{(d+Δd)×Q}/(d×Q0)<1.5
この式において、
d:走査による移動(1パルス内に光スポットが移動する距離)
Δd:波長変動による位置ずれ
Q:各スペクトル波長の光強度
Q0:1パルスでの平均光強度
である。和(Σ)は、各スペクトル波長についてとる。
【0074】
パルス幅制御とパルス振幅制御とを組み合わせたパルス変調手段を用いると、「ドット径の調整に伴う、1パルスに対する積算光量分布の変化」につき、パルス振幅とパルス幅を同時に制御することにより、光強度分布によるドット位置とドット径の変動を同時に補正できる(請求項6)。
【0075】
図1に示した実施の形態では、光走査を「シングルビーム走査方式」で行う場合を想定したが、上に説明した各補正は、マルチビーム走査方式においても勿論実施することができる。マルチビーム走査方式の場合、1光ビーム内での補正のみならず「光ビーム間のドット位置ずれとドット径の変動」を補正する必要がある。光ビーム間の光強度変動は、走査線単位でのドット径の変動(走査線の太さの変動)となり濃度むらの原因となる。マルチビーム走査方式における光ビーム間の光強度変動を、パルス振幅等を制御することにより補正し、ドット位置変動の少ない濃度むらの見られない画像を得ることが出来る(請求項7)。
【0076】
マルチビーム走査方式の光走査装置の光学構成は、従来から知られた種々のものを適宜に用いることができる。例えば、マルチビーム走査装置を、レーザ光源として「LDアレイを用いるもの」として構成してもよいし(請求項8)、「複数の半導体レーザを有し、各半導体レーザからの光ビームを合成する方式」のレーザ光源を用いて構成してもよい(請求項9)。
【0077】
複数の半導体レーザを用いるレーザ光源は、従来から知られた適宜のものを用いることができる。例えば、図8(a)に示すように、ホルダ10により、2つの半導体レーザ1a、1bとカップリングレンズ2a、2bを一体に保持し、半導体レーザ1a、1bからの光ビームの光軸11a、11bが主走査方向(図面に平行な方向)、副走査方向において「互いに角度をなす」ようにしたものや、図8(b)に示すように、半導体レーザ1a、1bからの光ビームをカップリングレンズ2a、2bで平行ビーム化した後、ビーム合成プリズム13を用いてビーム合成するものを用いることができる。なお、図8(b)において、符号14は1/2波長板、符号15は偏光分離膜を示す。
【0078】
図9に「画像形成装置」の実施の1形態を示す。この画像形成装置は「1ドラム方式のデジタルカラー複写装置」である。原稿読取部20は、光源と複数のミラーを有するキャリジ21と結像レンズ22、ラインセンサ23およびバッファメモリ24を有し、図示されない原稿を照明走査して読取り、読取った画像情報を光走査装置30に送る。
【0079】
光走査装置30は、例えば図1に即して説明した如きものであり、レーザ光源やポリゴンミラー、走査結像光学系等を有し、画像情報を含む光ビーム(レーザ光)31を画像形成ユニット40に送る。画像形成ユニット40は、「感光性媒体」であるドラム状の感光体41の周囲に、チャージャ42、現像装置43、中間転写ベルト装置50、クリーニング手段44を配置されている。
【0080】
感光体41は光導電性で、チャージャ42により均一帯電され、光走査装置30の光ビーム31による光走査で静電潜像を書込まれる。すなわち、カラー原稿は赤・緑・青の3原色に色分解して読み取られ、読取データに基づき「イエロー・マゼンタ・シアン・黒の4色」の画像成分の画像データが生成される。
【0081】
これら4色の画像成分の画像データは、黒・イエロー・マゼンタ・シアンの順に書き込まれる。現像装置43は「レボルバ現像装置」で、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーを用いる現像ユニットK、Y、M、Cを有し、現像装置43を回転して、所望の現像ユニットを現像部へもち来して現像を行うようになっている。
【0082】
上記順序に形成された静電潜像は、現像装置43により対応する色のトナーにより順次に可視化される。即ち先ず、黒トナー画像が形成され、次いでイエロー、マゼンタ、シアンの各色トナー画像が感光体41上に形成される。
【0083】
中間転写ベルト装置50は、転写ベルト51を複数のローラに掛け回したもので、感光体41に形成された上記4色のトナー画像を、転写ベルト51上に1次転写チャージャ52による作用で行なう。4色のトナー画像は順次転写され、転写ベルト51上で重ね合わせられて「カラー画像」を形成する。
【0084】
このようにして転写ベルト51上に形成されたカラー画像は、ローラ54、55間に張られた転写ベルト51と2次転写チャージャ60とが対向する「2次転写部」をシート状記録媒体(転写紙やオーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート等)Sが通過する間に、2次転写チャージャ60によりシート状記録媒体S上に転写される。
【0085】
カラー画像を転写されたシート状記録媒体Sは、搬送ベルト61により定着装置70へ搬送され、定着装置70によりカラー画像を定着されて装置外へ排出される。カラー画像がシート状記録媒体S上に転写された後、転写ベルト51は図示されないクリーナにより転写残りトナーを除去される。
【0086】
図9の画像形成装置における光走査装置30として、先に実施の形態を説明したものを用い、パルス幅やパルス振幅、パルスの位相を制御することにより、レーザ光源の温度特性や出力特性による波長変動・発光強度変動や、出力変動による「ドット位置ずれやドット径の変動」を抑えることができ、またマルチビーム走査方式の光走査装置を用いる場合には、レーザ光源同士での光強度レベルの違いや発振スペクトル傾向の相違によるドット位置ずれとドット径の変動を、各レーザ光源ごとにパルス変調の振幅や幅、位相を制御することにより補正できる。
【0087】
図10に「図1に示した制御装置9の構成」を示す。
制御装置9は「マイクロコンピュータ」により構成され、画像データ95と制御データ96を入力される。入力された画像データ95と制御データ96に基づき、データ変換部91でデータ変換を行い、変調部92から駆動信号を出力してレーザ光源1を駆動する。
【0088】
画像データ95はデータ変換部91において「パルス変調データ」に変換され、このパルス変調データは変調部92を介してレーザ光源1に印加される。従って、データ変換部91と変調部92とは「画像データをパルス変調データとしてレーザ光源に印加するパルス変調手段」を構成する。
【0089】
データ変換部91は制御データ96の入力を受けて、パルス変調データの変換されたパルス信号の振幅やパルス幅、位相を制御する。従って、データ変換部91は「データ制御手段」を構成し、制御装置9はパルス変調手段とデータ制御手段とを兼ねている。
【0090】
図11に変調方法を示す。図の上の部分にある「2値変調」は従来の変調方式であり、レーザ光源に変動に対応することができない。
この発明においては、多値変調のパルス幅変調(PWM)、パワー変調(PM)、パルス幅とパワー変調(PWM+PM)を用い、レーザ光源の波長変動、光強度変動、多モード発振の変動によるドット位置ずれ、ドット径の増減を抑える。
【0091】
即ち、ドット径が減少する時にはPWMによりパルス幅をひろげ、ドット径増大時にはPWMによりパルス幅を狭めることにより、ドット径を安定させることができる。また、レーザ光源の光強度変動による影響は、PMによりパルスパワーである振幅を制御することによって補正できる。
【0092】
さらに、PWMとPMとを組合せると、レーザ光源のパルス発光の強度と発行幅を組合せて制御でき、1パルス内での変動を部分毎に補正できる。
【0093】
図12に位相変調の模式図を示す。画素クロックの位相は1画素毎に変更可能で、遅らせることも進めることもできる。また、ドット毎に画素の大きさ位置を変えることもできる。
【0094】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規な光走査装置と画像形成装置を実現できる。この発明の光走査装置は、レーザ光源の波長飛びや光出力変動、スペクトル波長変動等の影響によるドット位置ずれ、ドット径変動の発生を、レーザ光源を駆動するパルス変調信号のパルスの振幅や幅、位相を制御することにより有効に軽減して良好な光走査を行うことができる。
従って、この発明の光走査装置を用いる画像形成装置は、良好な光走査により、ジッターや濃度むらが少なく、色ずれが有効に軽減された画像の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】レーザ光源の多モードのスペクトル発振における各波長の光強度の時間的変化の1例を示す図である。
【図3】主走査位置におけるドット位置ずれの1例を示す図である。
【図4】主走査位置におけるスポット径の変化の1例を示す図である。
【図5】1パルス内で光強度が変動する光スポットにより書き込まれる1ドット内の光強度の分布を説明する図である。
【図6】図5の例において、光強度の変動を1パルス内で補正した状態を説明するための図である。
【図7】レーザ光源にスペクトル波長変動があるときの1ドット内の光強度分布の1例を示す図である。
【図8】マルチビーム走査方式用の光源部の構成を2例示す図である。
【図9】画像形成装置の実施の1形態であるカラー画像形成装置を示す図である。
【図10】データ制御手段を説明するための図である。
【図11】パルス変調を説明するための図である。
【図12】パルスの位相制御を説明するための図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 カップリングレンズ
3 シリンドリカルレンズ
5 偏向手段(ポリゴンミラー)
6、7走査結像光学系を構成するレンズ
8 被走査面
【発明の属する技術分野】
この発明は、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光走査装置は、デジタル複写装置や光プリンタ、光プロッタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に広く実施されているが、近来、より高精細な画像の形成が求められている。
【0003】
高精細な画像を形成するためには、光走査装置が被走査面上に形成する光スポットのスポット径が小径であること、光スポットが主走査を行う際に、光スポットの有効光走査領域においてスポット径変動が少なく「スポット径が安定している」こと、光スポットの像高位置が安定していることが必要である。
【0004】
従来、これらの要求に応えるべく「光走査の光学特性を良好に実現した光走査光学系」が種々提案されてきている。
【0005】
光走査装置の光源として一般的な半導体レーザは、画像データをパルス変調データとして印加され、パルス変調データに応じて発光強度が変調される。半導体レーザの発光には、波長の変動(波長飛び)や発光強度変動、多モードのスペクトル発振が伴うことが知られているが、近来、発明者らの研究により、上記スペクトル発振の波長変動が「1ドットを書き込むための印加データの最小単位である1パルス内」においても生ずることが明かとなってきた。
【0006】
波長飛びによる波長変動や、スペクトル発振波長の変動が生じると、光走査光学系の「倍率の色収差」により、光スポットの位置が変化する「光スポットの位置ずれ」が生じ、また光スポットの形状、主として「主走査方向のスポット径」が変化する。さらに、発光強度の変動もスポット径の変動をもたらす。
【0007】
このような光スポットの位置変動やスポット径変動は「光走査により書込まれるドット画像の位置ずれやドット径変化」を惹起し、形成される画像の像質劣化の原因となる。
【0008】
このような、光源の発光特性の「1パルス内における変動」に起因する、ドット画像の位置ずれやドット形状の変化に対する対策は、出願人の知る限りにおいて従来取られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、レーザ光源における発光強度変動やスペクトル波長変動、波長飛びの1以上に起因するドット画像の位置ずれやドット径の変動を有効に軽減することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の光走査装置は「パルス変調手段により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源に印加して発光強度、発光強度分布、発振波長等を変調し、レーザ光源からの光ビームを偏向手段により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させて被走査面の光走査を行う光走査装置」であって、以下の点を特徴とする(請求項1)。
【0011】
即ち、レーザ光源における、波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正すべく「レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段」を有する。
【0012】
上記「スペクトル波長変動」は、多モードのスペクトル発振において、スペクトルの「各成分波長の光強度」の時間的な変動である。
【0013】
パルス変調手段は、レーザ光源の発光強度等、発光状況全般を変調できる。
【0014】
請求項1記載の光走査装置における、レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段は「印加データのパルス振幅」を制御することもできるし(請求項2)、「印加データのパルス幅」を制御することもでき(請求項3)、「印加データのパルスの位相」を制御することもできる(請求項4)。
【0015】
勿論、データ制御手段が「印加データの、パルス振幅、パルス幅、パルスの位相のうち2以上」を制御することができる(請求項5)。この場合、データ制御手段が「印加データのパルス振幅とパルス幅と」を制御することができる(請求項6)。
【0016】
上記請求項1〜6の任意の1に記載の光走査装置は、通常の「シングルビーム走査方式の光走査装置」として実施することができるが、「マルチビーム走査方式の光走査装置」として実施することもできる(請求項7)。
【0017】
即ち「レーザ光源が複数のレーザ発光源を有し、これらレーザ発光源の発光強度、発光強度分布、発振波長等を独立してパルス変調データにより変調し、被走査面上に複数の光スポットを副走査方向へ分離して形成し、複数走査線を同時に光走査するマルチビーム走査方式の光走査を行う光走査装置で、データ制御手段が、レーザ光源の各レーザ発光源への印加データを制御」する光走査装置として実施することもできる。
【0018】
請求項7記載の光走査装置において、複数のレーザ発光源を有するレーザ光源は「LDアレイ(半導体レーザアレイ)」であることも(請求項8)、「複数の半導体レーザを有し、各半導体レーザからの光ビームを合成する方式のもの」であることもできる(請求項9)。
【0019】
この発明の画像形成装置は「感光性媒体に対して光走査を行って画像形成する画像形成装置」であって、感光性媒体を光走査する光走査装置として請求項1〜9の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする(請求項10)。
【0020】
「感光性媒体」としては種々のものの使用が可能である。例えば「銀塩フィルム」を用いることができる。この場合、光走査による書込みで潜像が形成されるが、この潜像は通常の銀塩写真プロセスによる処理で可視化することができる。
【0021】
このような画像形成装置は「光製版装置」や、CTスキャン画像等を描画する「光描画装置」として実施できる。
【0022】
感光性媒体としてはまた「光走査の際に光スポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)」を用いることもでき、この場合には、光走査により直接に可視画像を形成できる。
【0023】
感光性媒体としてはまた「光導電性の感光体」を用いることができる。光導電性の感光体としては、酸化亜鉛紙のようにシート状のものを用いることもできるし、セレン感光体や有機光半導体等「ドラム状あるいはベルト状で繰り返し使用されるもの」を用いることもできる。
【0024】
光導電性の感光体を感光性媒体として用いる場合には、感光体の均一帯電と、光走査装置による光走査により静電潜像が形成される。静電潜像は現像によりトナー画像として可視化される。トナー画像は、感光体が酸化亜鉛紙のようにシート状のものである場合は感光体上に直接的に定着され、感光体が繰り返し使用可能なものである場合には、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等のシート状記録媒体に転写・定着される。
【0025】
光導電性の感光体からシート状記録媒体へのトナー画像の転写は、感光体からシート状記録媒体へ直接的に転写(直接転写方式)しても良いし、感光体から一旦中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写した後、この中間転写媒体からシート状記録媒体へ転写(中間転写方式)するようにしてもよい。
このような画像形成装置は、光プリンタや光プロッタ、デジタル複写装置、ファクシミリ装置等として実施できる。
【0026】
この発明の画像形成装置は、1ドラム式や複数ドラム式のカラー画像形成装置として実施することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を説明する。
図1(a)は、光走査装置の実施の1形態を示している。この図に示す光学配置は、光走査装置における光走査光学系の光学配置として典型的なものの1つである。
【0028】
半導体レーザであるレーザ光源1から放射される発散性の光ビームは、カップリングレンズ2により平行光ビーム化され、図示されないアパーチュアを通って「ビーム整形」された後、シリンドリカルレンズ3により副走査方向(図面に直交する方向)に集束され、「偏向手段」であるポリゴンミラー5の偏向反射面位置に「主走査方向に長い線像」として結像する。
【0029】
ポリゴンミラー5が等速回転すると、偏向反射面により反射された光ビームは時計回りに等角速度的に偏向し、「走査結像光学系」としてのfθレンズを構成するレンズ6、7により被走査面8上に光スポットとして集光し、被走査面を等速的に光走査する。この光走査が主走査であり、被走査面8が図面に直交する副走査方向へ等速的に変位することにより、主走査が繰り返されて被走査面8が2次元的に光走査される。
【0030】
被走査面8は実体的には感光性媒体であり、光ビームは画像データに従って強度変調されるので、上記2次元的な光走査により、感光性媒体に2次元画像が書き込まれることになる。
【0031】
図1(b)は、レンズ6、7により構成されるfθレンズの光学特性として、主・副走査方向の像面湾曲(左図 破線が主走査方向、実線が副走査方向)と等速特性(右図 実線がリニアリテイ、破線がfθ特性)の1例を示す。
【0032】
図1(a)に符号9で示す「制御装置」は、パルス変調手段とデータ制御手段とを合わせたものである。画像データは制御データと共に、制御装置9に入力され、パルス変調手段は、画像データを画素単位のパルス変調データとし、このパルス変調データによりレーザ光源1を駆動して、発光強度等を変調する。これにより、画像データに従って変調された光ビームがレーザ光源1から放射される。
【0033】
制御装置9に含まれるデータ制御手段は制御データに応じ、レーザ光源1における、波長飛びによる波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するために、レーザ光源1への印加データを制御する。
【0034】
即ち、図1(a)に示す光走査装置は、パルス変調手段9により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源1に印加し、レーザ光源1からの光ビームを偏向手段5により偏向させ、偏向された光ビームを走査結像光学系6、7により被走査面8上に光スポットとして集光させて、被走査面8の光走査を行う光走査装置であって、レーザ光源1における、波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するべくレーザ光源1への印加データを制御するデータ制御手段9を有する(請求項1)。
【0035】
レーザ光源1である半導体レーザには、温度変動による波長飛びの現象が知られている。波長飛びは、レーザ光源1の発光波長が長波長側あるいは短波長側へ「不連続に変化」する現象である。このような波長飛びは、光走査の特性としては以下のように現れる。即ち、走査結像光学系(fθレンズ)は一般に、主走査方向に正のパワーをもち、かつ、倍率の色収差も有している。
【0036】
レーザ光源1の発光波長が波長飛びにより「短波長側」へずれると、走査結像光学系の色収差は、走査結像光学系の正のパワーが強くなったように作用する。逆に発光波長が「長波長側」へずれると、走査結像光学系の正のパワーが弱くなったように色収差が働く。
【0037】
このため、1走査線を書き込む時間:Tに対して、書き込まれる走査線の長さは、波長が「短波長側へずれた」ときには短くなり、「長波長側へずれた」ときには長くなる。従って、光走査の開始側と終了側に光センサ(図1に図示されず)を配し、これら光センサ間を走査光ビームが通過する時間を検知することにより、レーザ光源における波長変動(波長変化の向きと程度)を知ることができるので、このようにして検知される時間に基づき、レーザ光源1に印加するパルス変調信号のパルス幅と、パルスの位相を制御することにより「波長飛びによる波長変動の影響」を補正することができる。
【0038】
以下には、スペクトル波長変動の影響と、その補正を説明する。
【0039】
図2は、多モードのスペクトル発振で発光しているレーザ光源1による光スポットが1ドットを書き込むとき、スペクトル波長における各波長成分の光強度が「1パルス内に時間的に変化する様子」の1例を示したものである。
【0040】
1ドットを書き込む1パルスの時間幅を9ns(ナノ秒)としている。レーザ光源1の多モードのスペクトル発振におけるスペクトル波長(nm)を、0.16nm間隔で、664.36、664.52、664.68、664.84、665、665.16、665.32の7波長とした。
【0041】
横軸の「刻み時間」は、1パルス相当の9nsを1nsごとに刻んだものであり、各刻み時間内における上記7波長の光強度を「ヒストグラム」として表したものである。各刻み時間内におけるヒストグラムの柱は、左から右へ順に上記7種のスペクトル波長(nm):664.36、664.52、664.68、664.84、665、665.16、665.32の発光強度を表している。
【0042】
このヒストグラムにおける「1ns刻みごとの各柱の光強度和」を示したのが図の上方の折れ線グラフ2−1で、この光強度は1パルス内における光スポットの「光強度の推移」を表す。
【0043】
図2に示す如き「1パルス内における、スペクトル波長の時間的変動」は、レーザ光源の特性として定まり、レーザ光源ごとに個別的に測定して特定することができる。
【0044】
図2を見ると、1パルスの画像データが光ビームとして出力される9nsの間に、光スポットの光強度2−1はパルスに従って立ち上がり、立ち下がるが、立ち上がりと立下りとの間のパルス中ほどで若干減少し、その後増加してから立ち下がることが分かる。
【0045】
また、波長別に見ると、パルスの立ち上がりでは短波長側:664.52nmの波長成分(左から2番目の柱)の光強度が強く、この波長成分の光の強度は、パルス印加開始から2ns後を最大として以後は減少する。また、波長:665.16nmの波長成分(右から2番目の柱)は、パルス印加後3nsまでは略直線的に光強度が増大し、その後、パルスの立下りに至るまで光強度に大きな変動が無い。
【0046】
仮に、光走査装置において光走査の設計波長(基準波長)を、上記7種の波長の中央値:664.84nmに設定した場合を考えて見ると「1パルスで1ドットを書き込む」とき、書込み時間である9nsの前半は「基準波長よりも短波長の光成分」が優勢であり、時間の経過と共に「基準波長よりも長波長の光成分」が優勢になる。
【0047】
ここで、走査線1本(1ライン)を書き込む主走査を考えて見ると、上述したように、走査結像光学系の「主走査方向の正のパワー」は、色収差により、波長が短波長側へずれるときは増加し、長波長側へずれるときは減少する。
【0048】
走査結像光学系における「主走査方向の正のパワー」は、偏向光ビームを「光軸へ近づける」ように屈折させる作用を持つから、上記の如く「スペクトル波長変動」で、1パルスの初めでは短波長側、後半では長波長側の光強度が優勢であると、光スポットの移動方向の影響と相俟って、光スポットの位置は1走査線を走査する間、光走査開始後、光走査の終了側に向ってずれ、光走査が終端部に近づくに連れて、光走査開始側に向ってずれる傾向をもつ。
【0049】
図2に示したスペクトル波長変動に起因する「光スポットの位置ずれ」を、図3にグラフ線3−1で示す。横軸は像高(+側が光走査開始側である。)、縦軸は光スポットの位置ずれ量であり「+が光走査開始側へのずれ量」である。上述の如く、光スポットの位置は1走査線を走査する間、光走査開始後、光走査の終了側(縦軸の−側)に向ってずれ、光走査が終端部に近づくに連れて、光走査開始側(縦軸の+側)に向ってずれる傾向が見られる。
【0050】
また、上記の如く「スペクトル波長変動で、1パルスの初めでは短波長側、後半では長波長側の光強度が優勢」であると、光スポットの「光強度のピーク」は色収差により、光走査の開始側では「1パルスの前半は光軸へ近づく側、後半では光軸から離れる側」にずれるから、光スポットにより書き込まれる1ドットの主走査方向の大きさ(ドット径)は小さくなる傾向があり、光走査の後半では上記ドット径は大きくなる傾向がある。
【0051】
この状況を示したのが、図4のグラフ線4−1である。横軸は光スポットの像高(+側が光走査開始側である。)、縦軸が「光スポットの主走査方向におけるスポット径」である。
【0052】
図5は、1ドットを書き込む1パルスの時間内において、発光強度(波長を665nmとする)が±40%の範囲で変動したとき、被走査面に書き込まれる1ドットの領域が受ける光強度を示している。
【0053】
この図5において「横軸は像高」であるが、この図においては−側が「光走査開始側」である。1パルスを8nsとしている。この1パルス(8ns)の間に光スポットは、図の左方から右方へ等速で変位するが、この変異を1nsごとに区切り、1nsごとの被走査面上の光強度を曲線5−01〜5−08で示す。
【0054】
即ち、1パルスの立ち上がり後1nsにおける光強度が曲線5−01であり、以下、順次曲線5−02、5−03、・・と変化し、最後の8nsにおいては曲線5−08のようになる。
【0055】
このとき「1パルス間における被走査面上の光強度」は曲線5−01〜5−08の各光強度の和で与えられ、曲線5−09のようになる。もし、発光強度に変動が無ければ、「1パルス間における被走査面上の光強度」は曲線5−10に示すようになる。
【0056】
曲線5−10で示す光強度は「発光強度の変動が無い理想的な場合」である、上記の如く1パルス内で光強度の変動があると、実際の「1ドットを形成する光強度の分布」は曲線5−09の如くであり、光強度のピーク値もピーク位置も理想の場合(曲線5−10)と異なるものになる。
【0057】
光スポットの光強度分布は周知の如く「ガウス分布型」であり、スポット径はそのピーク値の1/e2になる部分の光束径で定義されるから、光強度が変化すればスポット径も変化することになる。
【0058】
図6は、図5に示した場合において、1パルス(8ns)内におけるパルス振幅を制御し、1〜8nsの「各1ns」間における発光強度の変動を抑えた場合を示している。図示の如く、パルス立ち上がりから1ns〜8nsにおける光強度を曲線5−11〜5−18で示す。1パルス内でパルス振幅を制御したことにより、曲線5−11〜5−18は分布形状が実質的に一定となっており、これらを加えた「1ドットを形成する光強度の分布」は、曲線5−1の如くになり、分布はピーク位置に対して対称形となる。
【0059】
曲線5−2は、図6の曲線5−1を実現する「レーザ光源の駆動パルス振幅」を0.8倍にした場合、曲線5−3は上記駆動パルス振幅を0.6倍にした場合である。このように、パルス振幅を変化させることにより、光スポット内における光強度分布のピーク値を変化させることができる。
【0060】
従って、パルス振幅を大きく(小さく)すれば、光スポットの光強度を大きく(小さく)でき、光スポットにより書き込まれるドットのドット径を増減でき、パルス振幅の制御により「ドット径が光スポットの像高によらず実質的に一定となる」ように補正することができる。図4のグラフ線4−2は、このようにパルス振幅を制御することによりスポット径変動(図4のグラフ線4−1)の補正を行った1例を示している。スポット径の変動が補正されることにより、光スポットにより書き込まれるドットのドット径も安定する。
【0061】
また、パルス幅を増減させれば、それに応じてスポット径を増減させることができるので、パルス幅の制御によりスポット径を補正することもできる。
【0062】
図5では、1ドットを書き込む1パルス間において、発光強度が変動する場合の影響を説明した。図5の例では、発光強度は変動するが波長自体は変動していない。
【0063】
図7は、レーザ光源が多モードのスペクトル発振をしており、1パルス間に各スペクトル波長の光強度が図2に示す如くに変化する場合の「1ドットを形成する光強度の分布」を描いたものである。この図は、光スポットの像高:161.5mmの位置におけるものである。
【0064】
図7においては1パルスは9nsで、横軸(Y軸)は像高であり、+側が光走査開始側である。1パルスの時間内(9ns)に「主走査方向に略40μm径のドット」を書き込む場合を示しているが、図2に示した1〜9nsの1nsごとの光強度分布は、曲線6−11〜6−19に示す如くであり、曲線6−19から曲線6−11へ向って時間が1nsずつ進行する。
【0065】
1nsごとに、スペクトル発振に置ける各スペクトル波長の強度分布が異なるため、曲線6−11〜6−11は極大値が同一でなく、1パルスの立下りに向うにつれて長波長の成分が優勢になるため、上記の如く、1ドットの書込みの前半と後半とで光走査光学系の色収差が異なる。
【0066】
このため、基準波長(例えば664.84nm)に対して設計された1ドットを形成する光強度分布6−2に対し、実際に書き込まれた1ドットに対する光強度分布6−1は分布が異なり、このことに起因して、前述したように「光スポットの位置ずれとドット径の変化」が発生することになる(図3、図4参照)。
【0067】
図7のような「1パルス内のスペクトル波長変動に起因するドット径の変動」は、パルス幅および/または「1パルス内でのパルス振幅」を制御することにより補正することができ、また光スポットの位置ずれはさらにパルスの位相を制御することにより補正することができる。
【0068】
結局、図3に示したような光スポットの位置ずれ、図4に示したようなスポット径の変動、図5、図7に示したような「光スポットの位置ずれ・ドット径の変化」は、レーザ光源への印加データを制御する手段(パルス振幅、パルス幅、パルスの位相)を制御することにより補正できる。
【0069】
例えば、図3におけるグラフ線3−1のような光スポットの位置ずれは、光スポットの像高とレーザ光源の発光のタイミングがずれていることを意味するから発光タイミングを決定する「パルスの位相」を制御する(請求項4)ことによりグラフ線3−2のように補正できる。
【0070】
光スポットのスポット径の変動に起因するドット径の変動を補正するには、パルス振幅および/またはパルス幅を制御すればよい(請求項2、3)。
【0071】
レーザ光源の発光状態の変化と、各像高における「光走査光学系の色収差」による光スポットの位置ずれ、光強度分布の変化は、パルス振幅、パルス幅、パルスの位相のうち2以上を組み合わせて制御する(請求項5)ことにより、各像高において光スポットの位置ずれとドット径の変動を抑えることができ、良好な画像を得ることができる。
【0072】
光走査による「光スポットの移動」と、波長変動による位置ずれ及び光強度の変動の影響を受けた各光スポットの「積算強度分布(図5のグラフ線5−1等、図7のグラフ線6−1等)」から、被走査面上でのドット位置及びドット径が求まる。各スペクトルの波長変動量と光強度の変動を考慮に入れた積算光量の関係が以下の式を満たすときに、ドット位置ずれとドット径の変動を問題のないレベルに抑えることができる。
【0073】
0.5<Σ{(d+Δd)×Q}/(d×Q0)<1.5
この式において、
d:走査による移動(1パルス内に光スポットが移動する距離)
Δd:波長変動による位置ずれ
Q:各スペクトル波長の光強度
Q0:1パルスでの平均光強度
である。和(Σ)は、各スペクトル波長についてとる。
【0074】
パルス幅制御とパルス振幅制御とを組み合わせたパルス変調手段を用いると、「ドット径の調整に伴う、1パルスに対する積算光量分布の変化」につき、パルス振幅とパルス幅を同時に制御することにより、光強度分布によるドット位置とドット径の変動を同時に補正できる(請求項6)。
【0075】
図1に示した実施の形態では、光走査を「シングルビーム走査方式」で行う場合を想定したが、上に説明した各補正は、マルチビーム走査方式においても勿論実施することができる。マルチビーム走査方式の場合、1光ビーム内での補正のみならず「光ビーム間のドット位置ずれとドット径の変動」を補正する必要がある。光ビーム間の光強度変動は、走査線単位でのドット径の変動(走査線の太さの変動)となり濃度むらの原因となる。マルチビーム走査方式における光ビーム間の光強度変動を、パルス振幅等を制御することにより補正し、ドット位置変動の少ない濃度むらの見られない画像を得ることが出来る(請求項7)。
【0076】
マルチビーム走査方式の光走査装置の光学構成は、従来から知られた種々のものを適宜に用いることができる。例えば、マルチビーム走査装置を、レーザ光源として「LDアレイを用いるもの」として構成してもよいし(請求項8)、「複数の半導体レーザを有し、各半導体レーザからの光ビームを合成する方式」のレーザ光源を用いて構成してもよい(請求項9)。
【0077】
複数の半導体レーザを用いるレーザ光源は、従来から知られた適宜のものを用いることができる。例えば、図8(a)に示すように、ホルダ10により、2つの半導体レーザ1a、1bとカップリングレンズ2a、2bを一体に保持し、半導体レーザ1a、1bからの光ビームの光軸11a、11bが主走査方向(図面に平行な方向)、副走査方向において「互いに角度をなす」ようにしたものや、図8(b)に示すように、半導体レーザ1a、1bからの光ビームをカップリングレンズ2a、2bで平行ビーム化した後、ビーム合成プリズム13を用いてビーム合成するものを用いることができる。なお、図8(b)において、符号14は1/2波長板、符号15は偏光分離膜を示す。
【0078】
図9に「画像形成装置」の実施の1形態を示す。この画像形成装置は「1ドラム方式のデジタルカラー複写装置」である。原稿読取部20は、光源と複数のミラーを有するキャリジ21と結像レンズ22、ラインセンサ23およびバッファメモリ24を有し、図示されない原稿を照明走査して読取り、読取った画像情報を光走査装置30に送る。
【0079】
光走査装置30は、例えば図1に即して説明した如きものであり、レーザ光源やポリゴンミラー、走査結像光学系等を有し、画像情報を含む光ビーム(レーザ光)31を画像形成ユニット40に送る。画像形成ユニット40は、「感光性媒体」であるドラム状の感光体41の周囲に、チャージャ42、現像装置43、中間転写ベルト装置50、クリーニング手段44を配置されている。
【0080】
感光体41は光導電性で、チャージャ42により均一帯電され、光走査装置30の光ビーム31による光走査で静電潜像を書込まれる。すなわち、カラー原稿は赤・緑・青の3原色に色分解して読み取られ、読取データに基づき「イエロー・マゼンタ・シアン・黒の4色」の画像成分の画像データが生成される。
【0081】
これら4色の画像成分の画像データは、黒・イエロー・マゼンタ・シアンの順に書き込まれる。現像装置43は「レボルバ現像装置」で、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナーを用いる現像ユニットK、Y、M、Cを有し、現像装置43を回転して、所望の現像ユニットを現像部へもち来して現像を行うようになっている。
【0082】
上記順序に形成された静電潜像は、現像装置43により対応する色のトナーにより順次に可視化される。即ち先ず、黒トナー画像が形成され、次いでイエロー、マゼンタ、シアンの各色トナー画像が感光体41上に形成される。
【0083】
中間転写ベルト装置50は、転写ベルト51を複数のローラに掛け回したもので、感光体41に形成された上記4色のトナー画像を、転写ベルト51上に1次転写チャージャ52による作用で行なう。4色のトナー画像は順次転写され、転写ベルト51上で重ね合わせられて「カラー画像」を形成する。
【0084】
このようにして転写ベルト51上に形成されたカラー画像は、ローラ54、55間に張られた転写ベルト51と2次転写チャージャ60とが対向する「2次転写部」をシート状記録媒体(転写紙やオーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート等)Sが通過する間に、2次転写チャージャ60によりシート状記録媒体S上に転写される。
【0085】
カラー画像を転写されたシート状記録媒体Sは、搬送ベルト61により定着装置70へ搬送され、定着装置70によりカラー画像を定着されて装置外へ排出される。カラー画像がシート状記録媒体S上に転写された後、転写ベルト51は図示されないクリーナにより転写残りトナーを除去される。
【0086】
図9の画像形成装置における光走査装置30として、先に実施の形態を説明したものを用い、パルス幅やパルス振幅、パルスの位相を制御することにより、レーザ光源の温度特性や出力特性による波長変動・発光強度変動や、出力変動による「ドット位置ずれやドット径の変動」を抑えることができ、またマルチビーム走査方式の光走査装置を用いる場合には、レーザ光源同士での光強度レベルの違いや発振スペクトル傾向の相違によるドット位置ずれとドット径の変動を、各レーザ光源ごとにパルス変調の振幅や幅、位相を制御することにより補正できる。
【0087】
図10に「図1に示した制御装置9の構成」を示す。
制御装置9は「マイクロコンピュータ」により構成され、画像データ95と制御データ96を入力される。入力された画像データ95と制御データ96に基づき、データ変換部91でデータ変換を行い、変調部92から駆動信号を出力してレーザ光源1を駆動する。
【0088】
画像データ95はデータ変換部91において「パルス変調データ」に変換され、このパルス変調データは変調部92を介してレーザ光源1に印加される。従って、データ変換部91と変調部92とは「画像データをパルス変調データとしてレーザ光源に印加するパルス変調手段」を構成する。
【0089】
データ変換部91は制御データ96の入力を受けて、パルス変調データの変換されたパルス信号の振幅やパルス幅、位相を制御する。従って、データ変換部91は「データ制御手段」を構成し、制御装置9はパルス変調手段とデータ制御手段とを兼ねている。
【0090】
図11に変調方法を示す。図の上の部分にある「2値変調」は従来の変調方式であり、レーザ光源に変動に対応することができない。
この発明においては、多値変調のパルス幅変調(PWM)、パワー変調(PM)、パルス幅とパワー変調(PWM+PM)を用い、レーザ光源の波長変動、光強度変動、多モード発振の変動によるドット位置ずれ、ドット径の増減を抑える。
【0091】
即ち、ドット径が減少する時にはPWMによりパルス幅をひろげ、ドット径増大時にはPWMによりパルス幅を狭めることにより、ドット径を安定させることができる。また、レーザ光源の光強度変動による影響は、PMによりパルスパワーである振幅を制御することによって補正できる。
【0092】
さらに、PWMとPMとを組合せると、レーザ光源のパルス発光の強度と発行幅を組合せて制御でき、1パルス内での変動を部分毎に補正できる。
【0093】
図12に位相変調の模式図を示す。画素クロックの位相は1画素毎に変更可能で、遅らせることも進めることもできる。また、ドット毎に画素の大きさ位置を変えることもできる。
【0094】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規な光走査装置と画像形成装置を実現できる。この発明の光走査装置は、レーザ光源の波長飛びや光出力変動、スペクトル波長変動等の影響によるドット位置ずれ、ドット径変動の発生を、レーザ光源を駆動するパルス変調信号のパルスの振幅や幅、位相を制御することにより有効に軽減して良好な光走査を行うことができる。
従って、この発明の光走査装置を用いる画像形成装置は、良好な光走査により、ジッターや濃度むらが少なく、色ずれが有効に軽減された画像の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光走査装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】レーザ光源の多モードのスペクトル発振における各波長の光強度の時間的変化の1例を示す図である。
【図3】主走査位置におけるドット位置ずれの1例を示す図である。
【図4】主走査位置におけるスポット径の変化の1例を示す図である。
【図5】1パルス内で光強度が変動する光スポットにより書き込まれる1ドット内の光強度の分布を説明する図である。
【図6】図5の例において、光強度の変動を1パルス内で補正した状態を説明するための図である。
【図7】レーザ光源にスペクトル波長変動があるときの1ドット内の光強度分布の1例を示す図である。
【図8】マルチビーム走査方式用の光源部の構成を2例示す図である。
【図9】画像形成装置の実施の1形態であるカラー画像形成装置を示す図である。
【図10】データ制御手段を説明するための図である。
【図11】パルス変調を説明するための図である。
【図12】パルスの位相制御を説明するための図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 カップリングレンズ
3 シリンドリカルレンズ
5 偏向手段(ポリゴンミラー)
6、7走査結像光学系を構成するレンズ
8 被走査面
Claims (10)
- パルス変調手段により、画像データをパルス変調データとしてレーザ光源に印加して発光強度、発光強度分布、発振波長等を変調し、上記レーザ光源からの光ビームを偏向手段により偏向させ、走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光させて、上記被走査面の光走査を行う光走査装置において、
レーザ光源における、波長変動、スペクトル波長変動、光強度変動の1以上に起因する、光スポットの位置ずれおよび/またはスポット径の変動を補正するべく上記レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段を有することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段が、印加データのパルス振幅を制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段が、印加データのパルス幅を制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段が、印加データのパルスの位相を制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1記載の光走査装置において、
レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段が、印加データの、パルス振幅、パルス幅、パルスの位相のうちの2以上を制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項5記載の光走査装置において、
レーザ光源への印加データを制御するデータ制御手段が、印加データのパルス振幅とパルス幅とを制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1〜6の任意の1に記載の光走査装置において、
レーザ光源が複数のレーザ発光源を有し、これらレーザ発光源の発光強度、発光強度分布、発振波長等を独立してパルス変調データにより変調し、被走査面上に複数の光スポットを副走査方向へ分離して形成し、複数走査線を同時に光走査するマルチビーム走査方式の光走査を行う光走査装置であって、
データ制御手段が、レーザ光源の各レーザ発光源への印加データを制御することを特徴とする光走査装置。 - 請求項7記載の光走査装置において、
複数のレーザ発光源を有するレーザ光源がLDアレイであることを特徴とする光走査装置。 - 請求項7記載の光走査装置において、
レーザ光源が、複数の半導体レーザを有し、各半導体レーザからの光ビームを合成する方式のものであることを特徴とする光走査装置。 - 感光性媒体に対して光走査を行って画像形成する画像形成装置において、
感光性媒体を光走査する光走査装置として、請求項1〜9の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする画像形成装置。
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