JP2004209571A - 回転刃及び切断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストの低い回転刃及び切断装置ならびに低コストな回転刃の製造方法を提供する。
【解決手段】固定刃と協働してシートを切断する回転刃であって、プレスカットにより概ね成形された円形の刃部輪郭と、潰し加工により外周部に概ね成形された環状の逃げ面と、潰し加工により成形されたばりを研磨により除去して外周角部に成形された円形刃部とを備えることを特徴とする回転刃。逃げ面の成形に潰し加工を用いることにより、円形刃部の強度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要となる。また、円形刃部の成形に電解研磨を用いることにより、円形刃部を鋭利にすることが可能である。そのため、従来の技術にみられた機械研削および熱処理の工程が不必要となる。したがって、回転刃を低コストで製造できるので、回転刃及び切断装置の製造コストを低減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】固定刃と協働してシートを切断する回転刃であって、プレスカットにより概ね成形された円形の刃部輪郭と、潰し加工により外周部に概ね成形された環状の逃げ面と、潰し加工により成形されたばりを研磨により除去して外周角部に成形された円形刃部とを備えることを特徴とする回転刃。逃げ面の成形に潰し加工を用いることにより、円形刃部の強度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要となる。また、円形刃部の成形に電解研磨を用いることにより、円形刃部を鋭利にすることが可能である。そのため、従来の技術にみられた機械研削および熱処理の工程が不必要となる。したがって、回転刃を低コストで製造できるので、回転刃及び切断装置の製造コストを低減することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転刃及び切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直線刃部を有する固定刃と協働してシートを切断する回転刃が知られている(例えば特許文献1参照。)。かかる回転刃は、プレスカットにより円形の輪郭を成形する工程と、機械研削により外周に環状斜面と円形刃部を成形する工程と、焼き入れを含む熱処理工程とを経て完成する。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−156782号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、機械研削により環状斜面と円形刃部をワークに成形する工程は、1つ1つのワークに対して個別に実施しなければならないため、回転刃の製造コストを増大させる。また、機械研削により環状斜面と円形刃部を成形する場合、その後の焼き入れによる硬化処理が必要である。
本発明は、これらの問題を解決するために創作されたものであって、製造コストの低い回転刃及び切断装置を提供することを目的とする。
また本発明は、低コストな回転刃の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第一の発明に係る回転刃は、固定刃と協働してシートを切断する回転刃であって、プレスカットにより概ね成形された円形の刃部輪郭と、潰し加工により外周部に概ね成形された環状の逃げ面と、前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去して外周角部に成形された円形刃部と、を備えることを特徴とする。プレスカットにより円形の刃部輪郭を概ね成形した後に潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形すると、ワークの外周角部は加工硬化する。外周角部を加工硬化させると、円形刃部の硬度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要になる。潰し加工によりワークの外周角部に成形されるばりを研磨により除去するとワークの外周角部に円形刃部を成形することができる。したがって、本発明に係る回転刃は製造コストが低い。
【0006】
上記目的を達成するため、第二の発明に係る切断装置は、前記第一の発明による回転刃と、前記回転刃と協働してシートを切断する直線刃部を有する固定刃と、を備えることを特徴とする。したがって、本発明に係る切断装置は製造コストが低い。
上記目的を達成するため、第三の発明に係る回転刃の製造方法は、固定刃と協働してシートを切断する回転刃の製造方法であって、プレスカットによりワークに円形の刃部輪郭を成形する切断工程と、潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形する潰し工程と、前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去してワークの外周角部に円形刃部を成形する研磨工程と、を含むことを特徴とする。プレスカットにより円形の刃部輪郭を概ね成形した後に潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形すると、ワークの外周角部は加工硬化する。外周角部を加工硬化させると、円形刃部の硬度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要になる。潰し加工によりワークの外周角部に成形されるばりを研磨により除去するとワークの外周角部に円形刃部を成形することができる。したがって、本発明によると低コストで回転刃を製造することができる。
【0007】
さらに第三の発明に係る回転刃の製造方法では、前記研磨工程において、電解研磨により前記ばりを除去することを特徴とする。電解研磨は、薄肉部位に電荷が集中することにより薄肉部位で研磨効果が強くなるため、ばりを除去し外周角部を鋭利にする研磨方法として好適である。
さらに第三の発明に係る回転刃の製造方法では、前記潰し工程は、第一のパンチ及び第一のダイを用いた潰し加工によりワークの外周部に環状斜面を成形する工程と、第二のパンチ及び第二のダイを用いた潰し加工により前記環状斜面よりすくい面に対する傾斜角が大きい前記逃げ面を成形する工程とを含むことを特徴とする。複数のパンチ及びダイを用いて外周角部の潰し加工を繰り返すことにより、すくい面に対する傾斜が異なる複数の逃げ面を形成することができ、また円形刃部の硬度を大きくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による一実施例を図に基づいて説明する。
図4は本発明の一実施例による切断装置1を示す斜視図である。切断装置1は、紙、フィルム等のシート40を切断するための装置であって、例えばプリンタ、ファクシミリ等においてロール紙を切断するために用いられる。切断装置1は、回転刃10、固定刃20および支持部材30等を備えている。切断装置1では、回転刃10および固定刃20が協働してシート40の切断を行なう。
【0009】
図5に示すように、回転刃10は、円盤状に成形されており、ステンレスなどの金属から形成され、環状斜面11、逃げ面12、円形刃部13、すくい面14等を有している。回転刃10の輪郭は、後述するプレスカットにより概ね円形に成形されている。また、回転刃10は、中心に軸穴15が形成されており、支持部材30と軸31とによって回転可能に支持されている。
【0010】
環状斜面11は、すくい面14に対して約30°の角度で形成している。環状斜面11は、後述する潰し加工により環状に成形されている。
逃げ面12は、すくい面14に対して約40°の角度で形成している。逃げ面12は、シート40の切断面に接触して傷をつけないように設ける面であり、後述する潰し加工により外周部に環状に設けられている。
【0011】
円形刃部13は、逃げ面12とすくい面14とで形成される稜角であって、円形である。円形刃部13は、逃げ面12を潰し加工により成形する際に発生するばりを電解研磨により除去して成形されている。円形刃部13は、固定刃20の直線刃部21と協働してシート40の切断を行なう。
すくい面14は、固定刃20の直線刃部21に当接し、固定刃20のすくい面23に対して垂直である。回転刃10の逃げ面12は、回転刃10の外周部に環状に設けられている。
【0012】
固定刃20は、ステンレスなどの金属から形成され、直線刃部21、逃げ面22、すくい面23等を有している。
直線刃部21は、逃げ面22とすくい面23とで形成される稜角であって、直線状に延びている。すなわち、固定刃20の刃部輪郭は直線状に成形されている。かかる直線上の刃部輪郭はプレスカットにより概ね成形される。直線刃部21は、回転刃10の円形刃部13と当接し、協働してシート40を切断する。
逃げ面22は、すくい面23対して所定の角度θ(θ<90°)を形成している。
【0013】
支持部材30は、回転刃10を回転可能に支持している。支持部材30は、図示しない案内部材に往復移動可能に支持され、例えばモータによって駆動されるベルトによって牽引される。支持部材30が案内部材に沿って直線移動することにより、回転刃10と固定刃20の間にシート40の端部が導入され、固定刃20と回転しながら移動する回転刃10とによってシート40がせん断される。
【0014】
次に回転刃10の製造方法について説明する。
図1(a)に示す第一工程では、プレスカットにより、回転刃10となるワーク10aを円形に切断する。第一工程により回転刃の円形の刃部輪郭16が図1(b)に示すように概ね成形される。尚、ワーク10aには第一工程に先立って予め軸穴15を成形しておく。
図1(c)に示す第二工程では、ワーク10aの外周部17aをパンチ51及びダイ52により押し潰すことにより、ダイ52に支持されているすくい面14に対して約30°傾斜した環状斜面11を成形する。パンチ51及びダイ52により押し潰すことにより、外周部17bは加工硬化し、硬度が大きくなる。
【0015】
図2(a)に示す第三工程では、環状斜面11の外縁部を押し潰すことにより、すくい面14に対して約40°の角度を形成する逃げ面12を成形する。第三工程で押し潰された部位18は、加工硬化し、さらに硬度が大きくなる。
第四工程では、第二工程及び第三工程で発生したばり70を電解研磨によって除去し、図2(b)、(c)に示す円形刃部13を成形する。電解研磨では肉厚が薄い部位ほど材料の除去が進行しやすいため、ばり70を除去し円形刃部13を成形する研磨方法として電解研磨は好適である。尚、電解研磨以外の研磨方法として、例えば化学研磨、ブラスト処理、バレル加工等を用いてもよい。
【0016】
また、上述の回転刃10の製造方法により製造した回転刃10の硬度測定結果の一例を図3(a)、(b)に示す。回転刃10を樹脂に埋め込み断面を研磨した後、ビッカース硬度計により測定を行なう。図3(a)、(b)に示すp1からp8は測定箇所を示し、表は各測定箇所のビッカース硬度を示す。
図3(a)に示す回転刃10の材質はSUS301−3/4Hであり、この材質の硬度規格はHV370以上であり、加工硬化前の硬度はHV396である。回転刃10において、部位18の測定箇所をp1、部位18aの測定箇所をp2、p3、p4、平面部19の測定箇所をp5、p6、p7、p8とする。各測定箇所のビッカース硬度は、p1>(p2、p3、p4)>(p5、p6、p7、p8)となる。
【0017】
また、図3(b)に示す回転刃10の材質はSUS301−1/2Hであり、この材質の硬度規格はHV310以上であり、加工硬化前の硬度はHV374である。回転刃10において、図3(a)と同様に硬度測定を行なうと、各測定箇所のビッカース硬度は、p1>(p2、p3、p4)>(p5、p6、p7、p8)となる。したがって、測定結果より、上述の潰し加工にて環状斜面11および逃げ面12を成形することにより、加工硬化が発生し、円形刃部13の硬度が大きくなる。
【0018】
以上の製造方法によると、円形刃部13の強度を確保するための焼き入れによる硬化処理が、潰し加工により不要となる。また、円形刃部13の成形に電解研磨を用いることにより、円形刃部13を鋭利にすることが可能である。そのため、従来の技術にみられた機械研削および熱処理の工程が不必要となり、回転刃10の製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明の一実施例では、潰し工程により、すくい面14に対して約30°の環状斜面11をワーク10aの外周部17aに成形し、すくい面14に対して約40°の逃げ面12をワーク10aの外周部17bに成形し、円形刃部13の加工硬化を行なった。しかし、これに限らず複数のパンチおよびダイを用いて外周部の潰し加工を繰り返すことにより、すくい面に対する傾斜角が異なる複数の逃げ面を形成することが可能であり、また円形刃部13の硬度を大きくすることが可能である。また、潰し加工は、複数回に限らず一回だけ実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例による第一工程を経て得られたワークを示す側面図、(b)は本発明の一実施例による第一工程を経て得られたワークを示す平面図、(c)は本発明の一実施例による第二工程を示す模式図である。
【図2】(a)は本発明の一実施例による第三工程を示す模式図による、(b)は本発明の一実施例による第四工程を経て得られた回転刃を示す側面図、(c)は本発明の一実施例による第四工程を経て得られた回転刃を示す平面図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の一実施例による回転刃の硬度を示す表である。
【図4】本発明の一実施例による切断装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例による切断装置の側面図である。
【符号の説明】
1 切断装置、10 回転刃、11 環状斜面、12 逃げ面、13 円形刃部、14 すくい面、16 刃部輪郭、17a 外周部、17b 外周部、20
固定刃、21 直線刃部、40 シート、70 ばり
【発明の属する技術分野】
本発明は回転刃及び切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直線刃部を有する固定刃と協働してシートを切断する回転刃が知られている(例えば特許文献1参照。)。かかる回転刃は、プレスカットにより円形の輪郭を成形する工程と、機械研削により外周に環状斜面と円形刃部を成形する工程と、焼き入れを含む熱処理工程とを経て完成する。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−156782号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、機械研削により環状斜面と円形刃部をワークに成形する工程は、1つ1つのワークに対して個別に実施しなければならないため、回転刃の製造コストを増大させる。また、機械研削により環状斜面と円形刃部を成形する場合、その後の焼き入れによる硬化処理が必要である。
本発明は、これらの問題を解決するために創作されたものであって、製造コストの低い回転刃及び切断装置を提供することを目的とする。
また本発明は、低コストな回転刃の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第一の発明に係る回転刃は、固定刃と協働してシートを切断する回転刃であって、プレスカットにより概ね成形された円形の刃部輪郭と、潰し加工により外周部に概ね成形された環状の逃げ面と、前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去して外周角部に成形された円形刃部と、を備えることを特徴とする。プレスカットにより円形の刃部輪郭を概ね成形した後に潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形すると、ワークの外周角部は加工硬化する。外周角部を加工硬化させると、円形刃部の硬度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要になる。潰し加工によりワークの外周角部に成形されるばりを研磨により除去するとワークの外周角部に円形刃部を成形することができる。したがって、本発明に係る回転刃は製造コストが低い。
【0006】
上記目的を達成するため、第二の発明に係る切断装置は、前記第一の発明による回転刃と、前記回転刃と協働してシートを切断する直線刃部を有する固定刃と、を備えることを特徴とする。したがって、本発明に係る切断装置は製造コストが低い。
上記目的を達成するため、第三の発明に係る回転刃の製造方法は、固定刃と協働してシートを切断する回転刃の製造方法であって、プレスカットによりワークに円形の刃部輪郭を成形する切断工程と、潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形する潰し工程と、前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去してワークの外周角部に円形刃部を成形する研磨工程と、を含むことを特徴とする。プレスカットにより円形の刃部輪郭を概ね成形した後に潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形すると、ワークの外周角部は加工硬化する。外周角部を加工硬化させると、円形刃部の硬度を確保するための焼き入れによる硬化処理が不要になる。潰し加工によりワークの外周角部に成形されるばりを研磨により除去するとワークの外周角部に円形刃部を成形することができる。したがって、本発明によると低コストで回転刃を製造することができる。
【0007】
さらに第三の発明に係る回転刃の製造方法では、前記研磨工程において、電解研磨により前記ばりを除去することを特徴とする。電解研磨は、薄肉部位に電荷が集中することにより薄肉部位で研磨効果が強くなるため、ばりを除去し外周角部を鋭利にする研磨方法として好適である。
さらに第三の発明に係る回転刃の製造方法では、前記潰し工程は、第一のパンチ及び第一のダイを用いた潰し加工によりワークの外周部に環状斜面を成形する工程と、第二のパンチ及び第二のダイを用いた潰し加工により前記環状斜面よりすくい面に対する傾斜角が大きい前記逃げ面を成形する工程とを含むことを特徴とする。複数のパンチ及びダイを用いて外周角部の潰し加工を繰り返すことにより、すくい面に対する傾斜が異なる複数の逃げ面を形成することができ、また円形刃部の硬度を大きくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による一実施例を図に基づいて説明する。
図4は本発明の一実施例による切断装置1を示す斜視図である。切断装置1は、紙、フィルム等のシート40を切断するための装置であって、例えばプリンタ、ファクシミリ等においてロール紙を切断するために用いられる。切断装置1は、回転刃10、固定刃20および支持部材30等を備えている。切断装置1では、回転刃10および固定刃20が協働してシート40の切断を行なう。
【0009】
図5に示すように、回転刃10は、円盤状に成形されており、ステンレスなどの金属から形成され、環状斜面11、逃げ面12、円形刃部13、すくい面14等を有している。回転刃10の輪郭は、後述するプレスカットにより概ね円形に成形されている。また、回転刃10は、中心に軸穴15が形成されており、支持部材30と軸31とによって回転可能に支持されている。
【0010】
環状斜面11は、すくい面14に対して約30°の角度で形成している。環状斜面11は、後述する潰し加工により環状に成形されている。
逃げ面12は、すくい面14に対して約40°の角度で形成している。逃げ面12は、シート40の切断面に接触して傷をつけないように設ける面であり、後述する潰し加工により外周部に環状に設けられている。
【0011】
円形刃部13は、逃げ面12とすくい面14とで形成される稜角であって、円形である。円形刃部13は、逃げ面12を潰し加工により成形する際に発生するばりを電解研磨により除去して成形されている。円形刃部13は、固定刃20の直線刃部21と協働してシート40の切断を行なう。
すくい面14は、固定刃20の直線刃部21に当接し、固定刃20のすくい面23に対して垂直である。回転刃10の逃げ面12は、回転刃10の外周部に環状に設けられている。
【0012】
固定刃20は、ステンレスなどの金属から形成され、直線刃部21、逃げ面22、すくい面23等を有している。
直線刃部21は、逃げ面22とすくい面23とで形成される稜角であって、直線状に延びている。すなわち、固定刃20の刃部輪郭は直線状に成形されている。かかる直線上の刃部輪郭はプレスカットにより概ね成形される。直線刃部21は、回転刃10の円形刃部13と当接し、協働してシート40を切断する。
逃げ面22は、すくい面23対して所定の角度θ(θ<90°)を形成している。
【0013】
支持部材30は、回転刃10を回転可能に支持している。支持部材30は、図示しない案内部材に往復移動可能に支持され、例えばモータによって駆動されるベルトによって牽引される。支持部材30が案内部材に沿って直線移動することにより、回転刃10と固定刃20の間にシート40の端部が導入され、固定刃20と回転しながら移動する回転刃10とによってシート40がせん断される。
【0014】
次に回転刃10の製造方法について説明する。
図1(a)に示す第一工程では、プレスカットにより、回転刃10となるワーク10aを円形に切断する。第一工程により回転刃の円形の刃部輪郭16が図1(b)に示すように概ね成形される。尚、ワーク10aには第一工程に先立って予め軸穴15を成形しておく。
図1(c)に示す第二工程では、ワーク10aの外周部17aをパンチ51及びダイ52により押し潰すことにより、ダイ52に支持されているすくい面14に対して約30°傾斜した環状斜面11を成形する。パンチ51及びダイ52により押し潰すことにより、外周部17bは加工硬化し、硬度が大きくなる。
【0015】
図2(a)に示す第三工程では、環状斜面11の外縁部を押し潰すことにより、すくい面14に対して約40°の角度を形成する逃げ面12を成形する。第三工程で押し潰された部位18は、加工硬化し、さらに硬度が大きくなる。
第四工程では、第二工程及び第三工程で発生したばり70を電解研磨によって除去し、図2(b)、(c)に示す円形刃部13を成形する。電解研磨では肉厚が薄い部位ほど材料の除去が進行しやすいため、ばり70を除去し円形刃部13を成形する研磨方法として電解研磨は好適である。尚、電解研磨以外の研磨方法として、例えば化学研磨、ブラスト処理、バレル加工等を用いてもよい。
【0016】
また、上述の回転刃10の製造方法により製造した回転刃10の硬度測定結果の一例を図3(a)、(b)に示す。回転刃10を樹脂に埋め込み断面を研磨した後、ビッカース硬度計により測定を行なう。図3(a)、(b)に示すp1からp8は測定箇所を示し、表は各測定箇所のビッカース硬度を示す。
図3(a)に示す回転刃10の材質はSUS301−3/4Hであり、この材質の硬度規格はHV370以上であり、加工硬化前の硬度はHV396である。回転刃10において、部位18の測定箇所をp1、部位18aの測定箇所をp2、p3、p4、平面部19の測定箇所をp5、p6、p7、p8とする。各測定箇所のビッカース硬度は、p1>(p2、p3、p4)>(p5、p6、p7、p8)となる。
【0017】
また、図3(b)に示す回転刃10の材質はSUS301−1/2Hであり、この材質の硬度規格はHV310以上であり、加工硬化前の硬度はHV374である。回転刃10において、図3(a)と同様に硬度測定を行なうと、各測定箇所のビッカース硬度は、p1>(p2、p3、p4)>(p5、p6、p7、p8)となる。したがって、測定結果より、上述の潰し加工にて環状斜面11および逃げ面12を成形することにより、加工硬化が発生し、円形刃部13の硬度が大きくなる。
【0018】
以上の製造方法によると、円形刃部13の強度を確保するための焼き入れによる硬化処理が、潰し加工により不要となる。また、円形刃部13の成形に電解研磨を用いることにより、円形刃部13を鋭利にすることが可能である。そのため、従来の技術にみられた機械研削および熱処理の工程が不必要となり、回転刃10の製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明の一実施例では、潰し工程により、すくい面14に対して約30°の環状斜面11をワーク10aの外周部17aに成形し、すくい面14に対して約40°の逃げ面12をワーク10aの外周部17bに成形し、円形刃部13の加工硬化を行なった。しかし、これに限らず複数のパンチおよびダイを用いて外周部の潰し加工を繰り返すことにより、すくい面に対する傾斜角が異なる複数の逃げ面を形成することが可能であり、また円形刃部13の硬度を大きくすることが可能である。また、潰し加工は、複数回に限らず一回だけ実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例による第一工程を経て得られたワークを示す側面図、(b)は本発明の一実施例による第一工程を経て得られたワークを示す平面図、(c)は本発明の一実施例による第二工程を示す模式図である。
【図2】(a)は本発明の一実施例による第三工程を示す模式図による、(b)は本発明の一実施例による第四工程を経て得られた回転刃を示す側面図、(c)は本発明の一実施例による第四工程を経て得られた回転刃を示す平面図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の一実施例による回転刃の硬度を示す表である。
【図4】本発明の一実施例による切断装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例による切断装置の側面図である。
【符号の説明】
1 切断装置、10 回転刃、11 環状斜面、12 逃げ面、13 円形刃部、14 すくい面、16 刃部輪郭、17a 外周部、17b 外周部、20
固定刃、21 直線刃部、40 シート、70 ばり
Claims (5)
- 固定刃と協働してシートを切断する回転刃であって、
プレスカットにより概ね成形された円形の刃部輪郭と、
潰し加工により外周部に概ね成形された環状の逃げ面と、
前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去して外周角部に成形された円形刃部と、
を備えることを特徴とする回転刃。 - 請求項1に記載の回転刃と、
前記回転刃と協働してシートを切断する直線刃部を有する固定刃と、
を備えることを特徴とする切断装置。 - 固定刃と協働してシートを切断する回転刃の製造方法であって、
プレスカットによりワークに円形の刃部輪郭を成形する切断工程と、
潰し加工によりワークの外周部に環状の逃げ面を成形する潰し工程と、
前記潰し加工により成形されたばりを研磨により除去してワークの外周角部に円形刃部を成形する研磨工程と、
を含むことを特徴とする回転刃の製造方法。 - 前記研磨工程において、電解研磨により前記ばりを除去することを特徴とする請求項3に記載の回転刃の製造方法。
- 前記潰し工程は、第一のパンチ及び第一のダイを用いた潰し加工によりワークの外周部に環状斜面を成形する工程と、第二のパンチ及び第二のダイを用いた潰し加工により前記環状斜面よりすくい面に対する傾斜角が大きい前記逃げ面を成形する工程とを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の回転刃の製造方法。
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JP2002380199A JP2004209571A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 回転刃及び切断装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4814377B2 (ja) * | 2006-06-30 | 2011-11-16 | エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー | 吸収性製品の製造装置 |
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2002
- 2002-12-27 JP JP2002380199A patent/JP2004209571A/ja not_active Withdrawn
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JP4814377B2 (ja) * | 2006-06-30 | 2011-11-16 | エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー | 吸収性製品の製造装置 |
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