JP2004208379A - 多出力スイッチング電源装置 - Google Patents
多出力スイッチング電源装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004208379A JP2004208379A JP2002373098A JP2002373098A JP2004208379A JP 2004208379 A JP2004208379 A JP 2004208379A JP 2002373098 A JP2002373098 A JP 2002373098A JP 2002373098 A JP2002373098 A JP 2002373098A JP 2004208379 A JP2004208379 A JP 2004208379A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voltage
- output
- power supply
- circuit
- mos
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Dc-Dc Converters (AREA)
Abstract
【課題】製造コストを削減しつつ、周辺部品の温度上昇、部品の実装面積の増大などを抑制することが可能となる多出力スイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】3端子レギュレータ23,24によって生成された3.3V,5Vのいずれかの電圧が、たとえば過負荷によって低下すると、OPアンプ40の出力電圧がOPアンプ40の電源電圧まで上昇する。OPアンプ40の出力電圧が上昇することにより、フォトカプラ33の発光側に電流が流れ、受光側に電流が伝達されることで、サイリスタ35が導通状態となり、MOS−FET2がオフとなる。この一連の動作によって、スイッチング素子の発振を停止させ、シリーズレギュレータに直流電圧が入力されるのを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】3端子レギュレータ23,24によって生成された3.3V,5Vのいずれかの電圧が、たとえば過負荷によって低下すると、OPアンプ40の出力電圧がOPアンプ40の電源電圧まで上昇する。OPアンプ40の出力電圧が上昇することにより、フォトカプラ33の発光側に電流が流れ、受光側に電流が伝達されることで、サイリスタ35が導通状態となり、MOS−FET2がオフとなる。この一連の動作によって、スイッチング素子の発振を停止させ、シリーズレギュレータに直流電圧が入力されるのを防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の直流出力を生成する多出力スイッチング電源装置において、降圧安定化回路より出力される直流出力に過負荷等が発生した場合に、回路素子を保護するために付加する保護回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
(多出力スイッチング電源装置の基本動作)
従来の多出力電源装置を、図9に示した自励型フライバックコンバータ(RCC:リンギングチョークコンバータ)を基本回路として説明する。
【0003】
同図において、絶縁トランス1は、入力側の1次巻線Npと出力側の2次巻線Ns1,Ns2,Ns3および1次側の補助巻線Nbによって構成されている。補助巻線Nbは、スイッチング素子であるMOS−FET2のゲート電圧制御トランジスタ3の駆動用巻線である。
【0004】
入力電圧Eは、AC(交流)入力電圧をブリッジダイオード(図示せず)で整流し、アルミ電界コンデンサ(図示せず)にて平滑された直流電圧である。入力電圧Eは、1次巻線Npの一端とMOS−FET2のソース端子の間に印加され、入力電圧Eの(+)側は1次巻線Npの巻き始めに接続され、入力電圧Eの(−)側はMOS−FET2のソース端子に接続されている。また、補助巻き線Nbは1次巻き線Npと同極に、2次巻線Ns1,Ns2,Ns3は異極に接続されている。2次巻線は、Ns1からNs2,Ns3と順番に巻き上げられている。
【0005】
入力電圧Eの(+)側とMOS−FET2のゲート間には、起動抵抗4,5が接続されている。また、MOS−FET2のゲートと補助巻線Nbの巻き始めとの間には、コンデンサ6とゲート抵抗7,8が接続されている。ゲート抵抗8の両端には、補助巻線Nb側をカソードの向きにしたダイオード9が接続されており、MOS−FET2のターンオン/ターンオフのスピードを調整することで高効率化を実現している。
【0006】
トランジスタ3のベースには、補助巻線Nbと入力電圧Eの(−)側との間にコンデンサ10が接続されている。補助巻線Nbとトランジスタ3のベースとの間には、抵抗11が接続され、コンデンサ10との間で時定数回路を構成している。
【0007】
フォトカプラ12のコレクタとMOS−FET2のゲートとの間には、抵抗13が接続され、フォトカプラ12に流れる電流を制限している。フォトカプラ12のエミッタは、トランジスタ3のベースに接続されている。
【0008】
絶縁トランス1の2次巻線Ns1,Ns2,Ns3の巻き終わりには、整流用のダイオード14,15,16のアノード側が接続されている。ダイオード14,15,16のカソード側と2次巻線Ns1,Ns2,Ns3の巻き始めとの間には、電界コンデンサ17,18,19が接続され、平滑を行っている。
【0009】
出力電圧24Vは、抵抗20,21によって分圧され、分圧された電圧は、シャントレギュレータ22のref端子に接続され、基準電圧と比較することでフォトカプラ12のダイオードに流れる電流を制御している。
【0010】
コンデンサ17,18の出力側には、3端子レギュレータ23,24が接続され、たとえば3.3V,5V等を生成し、降圧安定化回路を形成している。コンデンサ25,26は、3端子レギュレータ23,24の出力側に接続された電解コンデンサである。3端子レギュレータ23,24は、IC化されたものを例に挙げているが、個々のディスクリート部品で構成されたシリーズドロッパ回路であってもよい。
【0011】
次に、多出力スイッチング電源装置の動作について説明する。
【0012】
MOS−FET2は、起動抵抗4,5によりゲートにバイアスが印加され、導通状態となる。MOS−FET2が導通状態になると、1次巻線Npに入力電圧Eが印加され、補助巻線Nbに巻き始め側を(+)とする電圧が誘起される。このとき、2次巻線Ns1,Ns2,Ns3にも電圧が誘起されるが、整流ダイオード14,15,16のアノード側を(−)とする電圧であるため、2次側には電圧は伝達されない。
【0013】
したがって、1次巻線Npを流れる電流は絶縁トランス1の励磁電流だけで、絶縁トランス1には励磁電流の2乗に比例したエネルギーが蓄積される。この励磁電流は、時間に比例して増大する。補助巻線Nbに誘起された電圧により、コンデンサ6および抵抗7,8を介してMOS−FET2のゲートが充電され、さらに導通状態が継続される。
【0014】
時定数回路を構成している抵抗11およびコンデンサ10には、補助巻線Nbから電荷が充電され、コンデンサ10の両端の電圧がトランジスタ3のベース−エミッタ間電圧Vbeより高くなると、トランジスタ3が導通状態となり、MOS−FET2のゲート電圧が低下することで、MOS−FET2は非導通状態となる。このとき、絶縁トランスの各巻線には起動時と逆向きの電圧が発生し、2次巻線には整流ダイオード14,15,16のアノード側を(+)とする電圧が発生するため、絶縁トランス1に蓄積されたエネルギーが整流・平滑され、2次側に伝達される。
【0015】
絶縁トランス1に蓄えられているエネルギーが2次側にすべて伝達されると、MOS−FET2は再び導通状態となる。これは、MOS−FET2のドレイン−ソース間の電圧に比例した電圧が補助巻線NBに発生し、MOS−FET2が非導通状態になった直後はゲートが(−)にバイアスされているが、2次側にエネルギーの伝達が終わると(−)のバイアスが徐徐に低下するため、Cカップリングしているコンデンサ6から再びMOS−FET2のゲートが(+)方向にバイアスされるからである。
【0016】
図示例では、24Vの直流出力を生成するシングルフィードバックを例に取って説明する。
【0017】
フォトカプラ12からの電流は、出力電圧24Vが高いときに多く流れるので、それによってコンデンサ10に電流が供給され、充電時間が短くなる。これは、MOS−FET2の導通時間が短くなることを示しており、これによって絶縁トランス1に蓄積されるエネルギーが減少することで出力電圧24Vが下がり、定電圧動作を行っている。出力電圧が低い場合は逆の動作となる。
【0018】
図10は、RCC方式における各部の波形を示している。
【0019】
同図において、VGはMOS−FET2のゲート電圧を、VDSはMOS−FET2のドレイン−ソース電圧を、IDはドレイン電流を、ISは2次側の整流ダイオード16に流れる電流をそれぞれ示している。整流ダイオード14,15に流れる電流も巻線比に応じて流れる。
【0020】
まず、MOS−FET2のオン期間について説明する。起動抵抗4,5によりゲートにバイアスが印加され、VGの電位が上昇することによってMOS−FET2は導通状態となり、IDは時間とともに正の傾きで直線的に増加し、絶縁トランス1にエネルギーが蓄積される。このとき、MOS−FET2が導通状態であるため、VDSはほぼ零になっており、2次側の整流ダイオード16は逆バイアスされているため、ISは流れない。
【0021】
コンデンサ10が充電され、トランジスタ3が導通状態になると、MOS−FET2のゲート電圧VGは零になり、MOS−FET2は非導通状態となるため、IDは零になり、VDSは入力電圧Eと2次側の出力電圧の巻線比倍の電圧、およびサージ電圧を重畳したものとなる。このとき、2次側の整流ダイオード16は導通状態となり、絶縁トランス1に蓄積されたエネルギーが2次側に伝達される。ISは負の傾きで直線的に減少する。
【0022】
このような動作を繰り返すことでスイッチング動作を継続し、2次側に電力を供給している。
【0023】
なお、図示例では、RCC方式を例に挙げて説明したが、フォワード方式、電流共振等のその他の方式であってもよい。
【0024】
(過電流保護回路の動作)
3.3V,5Vの降圧安定化回路の出力には、検出抵抗27,28、PNPトランジスタ29,30およびコレクタ抵抗31,32で構成される過電流検知回路が付加されている。過電流検知回路の出力には、フォトカプラ33のアノード端子が接続されている。フォトカプラ33のカソードは、GNDに接続されている。フォトカプラ33の受光側のコレクタには、MOS−FET2のゲートが抵抗34を介して接続されている。この抵抗34は、フォトカプラ33に流れる電流を制限するためのものである。また、フォトカプラ33の受光側のエミッタは、サイリスタ35のゲートに接続され、サイリスタ35のアノードは、MOS−FET2のゲートに接続され、カソードは、MOS−FET2のソースに接続されている。
【0025】
フォトカプラ33に電流が流れることで、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35のアノードおよびカソード間がほぼ同電位になることで、MOS−FET2のゲートの電位が下がり、MOS−FET2の発振が停止する。この状態は、起動抵抗4から供給される電流によってサイリスタがリセットされるまで継続される。
【0026】
検出抵抗27,28に電流が流れることによって、検出抵抗27,28の両端には電位差が生じる。この電位差がPNPトランジスタ29,30のベースエミッタ間電圧(約0.7V)に達すると、PNPトランジスタ29,30のエミッタおよびコレクタ間が導通状態となり、抵抗31,32を介してフォトカプラ33のアノードにそれぞれの直流出力電圧(3.3V,5V)が印加され、フォトカプラ33に電流が流れる。フォトカプラの発光側に電流が流れることで、受光側のトランジスタにもコレクタ電流が流れ、サイリスタ35のゲートにも電流が供給される。ゲートに電流が供給されることでサイリスタのアノードおよびカソード間が同電位となり、MOS−FET2のゲートの電位が下がり、MOF−FET2はオフとなる。
【0027】
この一連の動作によって、3.3V,5V出力のいずれかが過電流状態となったときに、降圧安定化回路を構成するシリーズレギュレータ等が破壊等をしてしまうのを防止する役割を担っている。過電流による降圧安定化回路の保護は、3.3V,5Vのいずれかの出力が過電流状態となったときに動作するようになっている。
【0028】
なお、図示例では、過電流検出回路を降圧安定化回路の出力側に設けたが、降圧安定化回路の入力側に設けてもよい。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、抵抗等を追加し、この抵抗等を介して出力電圧から直接過電流状態を検知するため、高価な電力抵抗を採用しなければならず、また、電力抵抗が発熱することによって周辺部品の温度が上昇したり、部品の実装面積が増大したりするなどの問題があった。
【0030】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、製造コストを削減しつつ、周辺部品の温度上昇、部品の実装面積の増大などを抑制することが可能となる多出力スイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、直流電源と、1次巻線および複数の2次巻線を備えたトランスと、前記1次巻線と前記直流電源との間に接続され、スイッチングを行うスイッチング素子と、前記複数の2次巻線に発生した各交流電圧をそれぞれ整流・平滑する整流平滑部と、該整流平滑部から出力される複数の直流電圧出力のうち、第1の直流電圧出力に応じて前記スイッチング素子を制御する制御部と、前記第1の直流電圧出力より低い複数の直流電圧出力を生成する降圧安定化回路とを有する多出力スイッチング電源装置において、前記降圧安定化回路から出力される複数の直流電圧出力のうち、少なくとも1つ以上の直流電圧出力が低下したことを検知する検知回路と、該検知回路からの検知出力に応じて、前記スイッチング素子の発振を停止させる停止回路とを有することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。同図中、前記図9と同様の機能の要素に関しては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
フィードバック制御されている出力V3(本実施の形態では、24V)には、GNDとの間に抵抗36を介してツェナーダイオード37が接続されており、ツェナーダイオード37のカソード端子は、OPアンプ(operational amplifier)40の非反転(+)入力端子に基準電圧として印加されている。また、OPアンプ40の反転(−)入力端子には、降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2(3.3V,5V)がそれぞれ抵抗38,39を介して接続されている。また、OPアンプ40の出力端子には、抵抗41が接続され、抵抗41の一端にはフォトカプラ33の発光側のアノード端子が接続されている。
【0035】
OPアンプ40の反転入力端子には、
V12=(V1(=3.3V)×R39+V2(=5V)×R38)/(R38+R39) …(1)
で決定される電圧が印加されることになる。
【0036】
また、OPアンプ40の非反転入力端子には、ツェナーダイオード37で決定される電圧が基準電圧として印加されるが、ツェナー電圧は、(1)式にて決定される電圧V12よりも低い電圧に設定されている。ツェナーダイオードの電圧を(1)式で決定される電圧V12よりも低く設定することにより、直流出力電圧V1,V2(3.3V,5V)のいずれかが過負荷状態になることによって低下したときに、OPアンプ40の出力電圧がOPアンプ40の電源電圧まで上昇する。OPアンプ40の出力電圧が上昇することにより、フォトカプラ33の発光側に電流が流れ、受光側に電流が伝達されることで、サイリスタ35が導通状態となり、MOS−FET2がオフとなる。この一連の動作によって、スイッチング素子の発振を停止させ、シリーズレギュレータに直流電圧が入力されるのを防止することで、3.3V,5V出力のいずれかが過電流状態となったときに降圧安定化回路を構成するシリーズレギュレータ等が破壊等をしてしまうのを防止する役割を担っている。
【0037】
図2は、本実施の形態の過電流検知回路の動作を説明するためのものであり、3.3Vあるいは5Vが過負荷により出力電圧が垂下していくと、あるポイントで過電流検知回路が動作し、スイッチングが停止することで入力電圧がゼロとなり、強いては出力電圧もゼロになる様子を示している。
【0038】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、上記第1の実施の形態との違いは、OPアンプ40の出力にツェナーダイオード42を設けたことにある。
【0039】
図4は、本実施の形態の多出力スイッチング電源装置の各直流出力電圧の立ち上がりの関係を示したものである。
【0040】
同図に示すように、各出力V1〜V3は、コンデンサの充電に従って、徐々に上昇しているのがわかる。また、前記(1)式で決まる3.3V,5Vの中間電圧V12もほぼ同様な立ち上がり特性を示している。ツェナーダイオード37で決まるOPアンプ40の非反転入力端子の電圧は、24V出力V3がツェナー電圧以上になったときにツェナー電圧が生成される。OPアンプ40は、24V出力V3が立ち上がりはじめてすぐに動作を開始する。
【0041】
3.3Vあるいは5Vの直流出力V1,V2に負荷が接続されている場合、ツェナーダイオード37にて生成される非反転入力端子の電圧が3.3V,5Vの中間電圧V12よりも速く立ち上がり、そのときすでにOPアンプ40は動作できる状態にあるため、24V出力V3の立ち上がり特性に合わせる形でOPアンプ40の出力に図4の下図に示すような電圧が発生する。そのため、起動時あるいは電源オフ時にフォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35が導通状態へと移行してしまう。そのため、多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となり、多出力スイッチング装置は停止状態になってしまう。
【0042】
ツェナーダイオード42は、この起動時、あるいは電源オフ時の停止状態を回避するために設けたものであり、図5は、ツェナーダイオードを設けたときの立ち上がり特性を示したものである。このツェナーダイオード42の動作電圧は過電流回路を動作させるため、24V以下に設定しなければならないが、このツェナーダイオード42があることで、OPアンプ40の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも高い状態が存在したとしても、その高い状態ではまだツェナーダイオード42が動作していないために、フォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35が導通状態となってしまうことはない。
【0043】
以上の動作により、電源起動時のサイリスタ35が導通状態となってしまうのを防止することができ、多出力スイッチング電源装置において安定した起動特性を得ることができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、上記第2の実施の形態との違いは、サイリスタ35のゲートに抵抗43とコンデンサ44との並列回路で構成される時定数回路を付加したことにある。
【0045】
図7は、多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示したものである。上記第2の実施の形態で示した図4との違いは、3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2の立ち上がりが、3.5V,5Vの各出力端子に接続された負荷がさらに多いために、立ち上がり時間が伸びていることである。3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2の立ち上がりが遅いために、24Vの直流出力V3が立ち上がり、ツェナーダイオード42が動作しているにも拘わらず、3.3V,5Vの中間電圧V12がツェナーダイオード37にて生成されるOPアンプ40の非反転入力端子電圧よりも低いために、OPアンプ40の出力に24Vの直流出力V3に応じた出力が現れてしまっている。この出力により、フォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35が導通状態へと移行してしまう。そのため、多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となり、多出力スイッチング装置は停止状態になってしまう。
【0046】
時定数回路を構成する抵抗43とコンデンサ44は、この問題を解決するために付加されたものであり、この時定数回路を付加することにより、図8に示したように多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となることはなくなる。これは、サイリスタ35のゲートに付加されたコンデンサ44によりサイリスタ35のゲート電圧の立ち上がりが遅れるためである。
【0047】
また、抵抗43がコンデンサ44に対して並列に付加されているため、コンデンサ44に蓄積された電荷はすぐに放電され、起動を繰り返したときでもサイリスタ35が導通するのを防止することができる。
【0048】
以上に示した抵抗43とコンデンサ44で構成される並列回路をサイリスタ35のゲートに付加することにより、負荷条件により3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧の立ち上がりが遅れたとしても、起動時あるいは電源オフ時にフォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35が導通状態となってしまうのを防止することができる。
【0049】
以下、本発明の実施態様の例を列挙する。
【0050】
(実施態様1) 直流電源と、1次巻線および複数の2次巻線を備えたトランスと、前記1次巻線と前記直流電源との間に接続され、スイッチングを行うスイッチング素子と、前記複数の2次巻線に発生した各交流電圧をそれぞれ整流・平滑する整流平滑部と、該整流平滑部から出力される複数の直流電圧出力のうち、第1の直流電圧出力に応じて前記スイッチング素子を制御する制御部と、前記第1の直流電圧出力より低い複数の直流電圧出力を生成する降圧安定化回路とを有する多出力スイッチング電源装置において、
前記降圧安定化回路から出力される複数の直流電圧出力のうち、少なくとも1つ以上の直流電圧出力が低下したことを検知する検知回路と、
該検知回路からの検知出力に応じて、前記スイッチング素子の発振を停止させる停止回路と
を有することを特徴とする多出力スイッチング電源装置。
【0051】
(実施態様2) 前記第1の直流電圧出力より低い電圧で動作するツェナーダイオードをさらに有し、
前記ツェナーダイオードは、前記検知回路の出力側に接続されることを特徴とする請求項1に記載の多出力スイッチング電源装置。
【0052】
(実施態様3) 抵抗とコンデンサとを並列接続して構成された時定数回路をさらに有し、
前記時定数回路は、前記停止回路の入力側に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の多出力スイッチング電源装置。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、降圧安定化回路の出力側あるいは入力側に検出抵抗を設ける必要がなくなるため、高価な電力抵抗の採用しなければならなくなることによるコストアップ、電力抵抗の発熱による周辺部品の温度上昇、部品の実装面積の増大等の問題を解決することができる。
【0054】
また、電源オン/オフ時に過電流検知回路が動作してしまうのを防止することができる。
【0055】
さらに、負荷条件により降圧安定化回路の直流出力電圧の立ち上がりが遅れたとしても、電源オン/オフ時に過電流検知回路が動作してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1の多出力スイッチング電源装置の降圧安定化回路の出力−負荷特性を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図4】図3の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図5】図3の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る多出力スイッチング電源の構成を示す回路図である。
【図7】図6の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図8】図6の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図9】従来の多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図10】図9の多出力スイッチング電源装置の各部の動作波形を示す図である。
【符号の説明】
2 MOS−FET
23,24 3端子レギュレータ
33 フォトカプラ
35 サイリスタ
37 OPアンプの非反転入力端子電圧を決めるためのツェナーダイオード
38,39 中間電圧を決めるための抵抗
40 OPアンプ
42 過電流検知回路の起動時等の誤動作を防止するためのツェナーダイオード
43 停止回路の入力に付加された時定数回路を形成する抵抗
44 同じく時定数回路を構成するコンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の直流出力を生成する多出力スイッチング電源装置において、降圧安定化回路より出力される直流出力に過負荷等が発生した場合に、回路素子を保護するために付加する保護回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
(多出力スイッチング電源装置の基本動作)
従来の多出力電源装置を、図9に示した自励型フライバックコンバータ(RCC:リンギングチョークコンバータ)を基本回路として説明する。
【0003】
同図において、絶縁トランス1は、入力側の1次巻線Npと出力側の2次巻線Ns1,Ns2,Ns3および1次側の補助巻線Nbによって構成されている。補助巻線Nbは、スイッチング素子であるMOS−FET2のゲート電圧制御トランジスタ3の駆動用巻線である。
【0004】
入力電圧Eは、AC(交流)入力電圧をブリッジダイオード(図示せず)で整流し、アルミ電界コンデンサ(図示せず)にて平滑された直流電圧である。入力電圧Eは、1次巻線Npの一端とMOS−FET2のソース端子の間に印加され、入力電圧Eの(+)側は1次巻線Npの巻き始めに接続され、入力電圧Eの(−)側はMOS−FET2のソース端子に接続されている。また、補助巻き線Nbは1次巻き線Npと同極に、2次巻線Ns1,Ns2,Ns3は異極に接続されている。2次巻線は、Ns1からNs2,Ns3と順番に巻き上げられている。
【0005】
入力電圧Eの(+)側とMOS−FET2のゲート間には、起動抵抗4,5が接続されている。また、MOS−FET2のゲートと補助巻線Nbの巻き始めとの間には、コンデンサ6とゲート抵抗7,8が接続されている。ゲート抵抗8の両端には、補助巻線Nb側をカソードの向きにしたダイオード9が接続されており、MOS−FET2のターンオン/ターンオフのスピードを調整することで高効率化を実現している。
【0006】
トランジスタ3のベースには、補助巻線Nbと入力電圧Eの(−)側との間にコンデンサ10が接続されている。補助巻線Nbとトランジスタ3のベースとの間には、抵抗11が接続され、コンデンサ10との間で時定数回路を構成している。
【0007】
フォトカプラ12のコレクタとMOS−FET2のゲートとの間には、抵抗13が接続され、フォトカプラ12に流れる電流を制限している。フォトカプラ12のエミッタは、トランジスタ3のベースに接続されている。
【0008】
絶縁トランス1の2次巻線Ns1,Ns2,Ns3の巻き終わりには、整流用のダイオード14,15,16のアノード側が接続されている。ダイオード14,15,16のカソード側と2次巻線Ns1,Ns2,Ns3の巻き始めとの間には、電界コンデンサ17,18,19が接続され、平滑を行っている。
【0009】
出力電圧24Vは、抵抗20,21によって分圧され、分圧された電圧は、シャントレギュレータ22のref端子に接続され、基準電圧と比較することでフォトカプラ12のダイオードに流れる電流を制御している。
【0010】
コンデンサ17,18の出力側には、3端子レギュレータ23,24が接続され、たとえば3.3V,5V等を生成し、降圧安定化回路を形成している。コンデンサ25,26は、3端子レギュレータ23,24の出力側に接続された電解コンデンサである。3端子レギュレータ23,24は、IC化されたものを例に挙げているが、個々のディスクリート部品で構成されたシリーズドロッパ回路であってもよい。
【0011】
次に、多出力スイッチング電源装置の動作について説明する。
【0012】
MOS−FET2は、起動抵抗4,5によりゲートにバイアスが印加され、導通状態となる。MOS−FET2が導通状態になると、1次巻線Npに入力電圧Eが印加され、補助巻線Nbに巻き始め側を(+)とする電圧が誘起される。このとき、2次巻線Ns1,Ns2,Ns3にも電圧が誘起されるが、整流ダイオード14,15,16のアノード側を(−)とする電圧であるため、2次側には電圧は伝達されない。
【0013】
したがって、1次巻線Npを流れる電流は絶縁トランス1の励磁電流だけで、絶縁トランス1には励磁電流の2乗に比例したエネルギーが蓄積される。この励磁電流は、時間に比例して増大する。補助巻線Nbに誘起された電圧により、コンデンサ6および抵抗7,8を介してMOS−FET2のゲートが充電され、さらに導通状態が継続される。
【0014】
時定数回路を構成している抵抗11およびコンデンサ10には、補助巻線Nbから電荷が充電され、コンデンサ10の両端の電圧がトランジスタ3のベース−エミッタ間電圧Vbeより高くなると、トランジスタ3が導通状態となり、MOS−FET2のゲート電圧が低下することで、MOS−FET2は非導通状態となる。このとき、絶縁トランスの各巻線には起動時と逆向きの電圧が発生し、2次巻線には整流ダイオード14,15,16のアノード側を(+)とする電圧が発生するため、絶縁トランス1に蓄積されたエネルギーが整流・平滑され、2次側に伝達される。
【0015】
絶縁トランス1に蓄えられているエネルギーが2次側にすべて伝達されると、MOS−FET2は再び導通状態となる。これは、MOS−FET2のドレイン−ソース間の電圧に比例した電圧が補助巻線NBに発生し、MOS−FET2が非導通状態になった直後はゲートが(−)にバイアスされているが、2次側にエネルギーの伝達が終わると(−)のバイアスが徐徐に低下するため、Cカップリングしているコンデンサ6から再びMOS−FET2のゲートが(+)方向にバイアスされるからである。
【0016】
図示例では、24Vの直流出力を生成するシングルフィードバックを例に取って説明する。
【0017】
フォトカプラ12からの電流は、出力電圧24Vが高いときに多く流れるので、それによってコンデンサ10に電流が供給され、充電時間が短くなる。これは、MOS−FET2の導通時間が短くなることを示しており、これによって絶縁トランス1に蓄積されるエネルギーが減少することで出力電圧24Vが下がり、定電圧動作を行っている。出力電圧が低い場合は逆の動作となる。
【0018】
図10は、RCC方式における各部の波形を示している。
【0019】
同図において、VGはMOS−FET2のゲート電圧を、VDSはMOS−FET2のドレイン−ソース電圧を、IDはドレイン電流を、ISは2次側の整流ダイオード16に流れる電流をそれぞれ示している。整流ダイオード14,15に流れる電流も巻線比に応じて流れる。
【0020】
まず、MOS−FET2のオン期間について説明する。起動抵抗4,5によりゲートにバイアスが印加され、VGの電位が上昇することによってMOS−FET2は導通状態となり、IDは時間とともに正の傾きで直線的に増加し、絶縁トランス1にエネルギーが蓄積される。このとき、MOS−FET2が導通状態であるため、VDSはほぼ零になっており、2次側の整流ダイオード16は逆バイアスされているため、ISは流れない。
【0021】
コンデンサ10が充電され、トランジスタ3が導通状態になると、MOS−FET2のゲート電圧VGは零になり、MOS−FET2は非導通状態となるため、IDは零になり、VDSは入力電圧Eと2次側の出力電圧の巻線比倍の電圧、およびサージ電圧を重畳したものとなる。このとき、2次側の整流ダイオード16は導通状態となり、絶縁トランス1に蓄積されたエネルギーが2次側に伝達される。ISは負の傾きで直線的に減少する。
【0022】
このような動作を繰り返すことでスイッチング動作を継続し、2次側に電力を供給している。
【0023】
なお、図示例では、RCC方式を例に挙げて説明したが、フォワード方式、電流共振等のその他の方式であってもよい。
【0024】
(過電流保護回路の動作)
3.3V,5Vの降圧安定化回路の出力には、検出抵抗27,28、PNPトランジスタ29,30およびコレクタ抵抗31,32で構成される過電流検知回路が付加されている。過電流検知回路の出力には、フォトカプラ33のアノード端子が接続されている。フォトカプラ33のカソードは、GNDに接続されている。フォトカプラ33の受光側のコレクタには、MOS−FET2のゲートが抵抗34を介して接続されている。この抵抗34は、フォトカプラ33に流れる電流を制限するためのものである。また、フォトカプラ33の受光側のエミッタは、サイリスタ35のゲートに接続され、サイリスタ35のアノードは、MOS−FET2のゲートに接続され、カソードは、MOS−FET2のソースに接続されている。
【0025】
フォトカプラ33に電流が流れることで、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35のアノードおよびカソード間がほぼ同電位になることで、MOS−FET2のゲートの電位が下がり、MOS−FET2の発振が停止する。この状態は、起動抵抗4から供給される電流によってサイリスタがリセットされるまで継続される。
【0026】
検出抵抗27,28に電流が流れることによって、検出抵抗27,28の両端には電位差が生じる。この電位差がPNPトランジスタ29,30のベースエミッタ間電圧(約0.7V)に達すると、PNPトランジスタ29,30のエミッタおよびコレクタ間が導通状態となり、抵抗31,32を介してフォトカプラ33のアノードにそれぞれの直流出力電圧(3.3V,5V)が印加され、フォトカプラ33に電流が流れる。フォトカプラの発光側に電流が流れることで、受光側のトランジスタにもコレクタ電流が流れ、サイリスタ35のゲートにも電流が供給される。ゲートに電流が供給されることでサイリスタのアノードおよびカソード間が同電位となり、MOS−FET2のゲートの電位が下がり、MOF−FET2はオフとなる。
【0027】
この一連の動作によって、3.3V,5V出力のいずれかが過電流状態となったときに、降圧安定化回路を構成するシリーズレギュレータ等が破壊等をしてしまうのを防止する役割を担っている。過電流による降圧安定化回路の保護は、3.3V,5Vのいずれかの出力が過電流状態となったときに動作するようになっている。
【0028】
なお、図示例では、過電流検出回路を降圧安定化回路の出力側に設けたが、降圧安定化回路の入力側に設けてもよい。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、抵抗等を追加し、この抵抗等を介して出力電圧から直接過電流状態を検知するため、高価な電力抵抗を採用しなければならず、また、電力抵抗が発熱することによって周辺部品の温度が上昇したり、部品の実装面積が増大したりするなどの問題があった。
【0030】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、製造コストを削減しつつ、周辺部品の温度上昇、部品の実装面積の増大などを抑制することが可能となる多出力スイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、直流電源と、1次巻線および複数の2次巻線を備えたトランスと、前記1次巻線と前記直流電源との間に接続され、スイッチングを行うスイッチング素子と、前記複数の2次巻線に発生した各交流電圧をそれぞれ整流・平滑する整流平滑部と、該整流平滑部から出力される複数の直流電圧出力のうち、第1の直流電圧出力に応じて前記スイッチング素子を制御する制御部と、前記第1の直流電圧出力より低い複数の直流電圧出力を生成する降圧安定化回路とを有する多出力スイッチング電源装置において、前記降圧安定化回路から出力される複数の直流電圧出力のうち、少なくとも1つ以上の直流電圧出力が低下したことを検知する検知回路と、該検知回路からの検知出力に応じて、前記スイッチング素子の発振を停止させる停止回路とを有することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。同図中、前記図9と同様の機能の要素に関しては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
フィードバック制御されている出力V3(本実施の形態では、24V)には、GNDとの間に抵抗36を介してツェナーダイオード37が接続されており、ツェナーダイオード37のカソード端子は、OPアンプ(operational amplifier)40の非反転(+)入力端子に基準電圧として印加されている。また、OPアンプ40の反転(−)入力端子には、降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2(3.3V,5V)がそれぞれ抵抗38,39を介して接続されている。また、OPアンプ40の出力端子には、抵抗41が接続され、抵抗41の一端にはフォトカプラ33の発光側のアノード端子が接続されている。
【0035】
OPアンプ40の反転入力端子には、
V12=(V1(=3.3V)×R39+V2(=5V)×R38)/(R38+R39) …(1)
で決定される電圧が印加されることになる。
【0036】
また、OPアンプ40の非反転入力端子には、ツェナーダイオード37で決定される電圧が基準電圧として印加されるが、ツェナー電圧は、(1)式にて決定される電圧V12よりも低い電圧に設定されている。ツェナーダイオードの電圧を(1)式で決定される電圧V12よりも低く設定することにより、直流出力電圧V1,V2(3.3V,5V)のいずれかが過負荷状態になることによって低下したときに、OPアンプ40の出力電圧がOPアンプ40の電源電圧まで上昇する。OPアンプ40の出力電圧が上昇することにより、フォトカプラ33の発光側に電流が流れ、受光側に電流が伝達されることで、サイリスタ35が導通状態となり、MOS−FET2がオフとなる。この一連の動作によって、スイッチング素子の発振を停止させ、シリーズレギュレータに直流電圧が入力されるのを防止することで、3.3V,5V出力のいずれかが過電流状態となったときに降圧安定化回路を構成するシリーズレギュレータ等が破壊等をしてしまうのを防止する役割を担っている。
【0037】
図2は、本実施の形態の過電流検知回路の動作を説明するためのものであり、3.3Vあるいは5Vが過負荷により出力電圧が垂下していくと、あるポイントで過電流検知回路が動作し、スイッチングが停止することで入力電圧がゼロとなり、強いては出力電圧もゼロになる様子を示している。
【0038】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、上記第1の実施の形態との違いは、OPアンプ40の出力にツェナーダイオード42を設けたことにある。
【0039】
図4は、本実施の形態の多出力スイッチング電源装置の各直流出力電圧の立ち上がりの関係を示したものである。
【0040】
同図に示すように、各出力V1〜V3は、コンデンサの充電に従って、徐々に上昇しているのがわかる。また、前記(1)式で決まる3.3V,5Vの中間電圧V12もほぼ同様な立ち上がり特性を示している。ツェナーダイオード37で決まるOPアンプ40の非反転入力端子の電圧は、24V出力V3がツェナー電圧以上になったときにツェナー電圧が生成される。OPアンプ40は、24V出力V3が立ち上がりはじめてすぐに動作を開始する。
【0041】
3.3Vあるいは5Vの直流出力V1,V2に負荷が接続されている場合、ツェナーダイオード37にて生成される非反転入力端子の電圧が3.3V,5Vの中間電圧V12よりも速く立ち上がり、そのときすでにOPアンプ40は動作できる状態にあるため、24V出力V3の立ち上がり特性に合わせる形でOPアンプ40の出力に図4の下図に示すような電圧が発生する。そのため、起動時あるいは電源オフ時にフォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35が導通状態へと移行してしまう。そのため、多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となり、多出力スイッチング装置は停止状態になってしまう。
【0042】
ツェナーダイオード42は、この起動時、あるいは電源オフ時の停止状態を回避するために設けたものであり、図5は、ツェナーダイオードを設けたときの立ち上がり特性を示したものである。このツェナーダイオード42の動作電圧は過電流回路を動作させるため、24V以下に設定しなければならないが、このツェナーダイオード42があることで、OPアンプ40の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧よりも高い状態が存在したとしても、その高い状態ではまだツェナーダイオード42が動作していないために、フォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35が導通状態となってしまうことはない。
【0043】
以上の動作により、電源起動時のサイリスタ35が導通状態となってしまうのを防止することができ、多出力スイッチング電源装置において安定した起動特性を得ることができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図であり、上記第2の実施の形態との違いは、サイリスタ35のゲートに抵抗43とコンデンサ44との並列回路で構成される時定数回路を付加したことにある。
【0045】
図7は、多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示したものである。上記第2の実施の形態で示した図4との違いは、3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2の立ち上がりが、3.5V,5Vの各出力端子に接続された負荷がさらに多いために、立ち上がり時間が伸びていることである。3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧V1,V2の立ち上がりが遅いために、24Vの直流出力V3が立ち上がり、ツェナーダイオード42が動作しているにも拘わらず、3.3V,5Vの中間電圧V12がツェナーダイオード37にて生成されるOPアンプ40の非反転入力端子電圧よりも低いために、OPアンプ40の出力に24Vの直流出力V3に応じた出力が現れてしまっている。この出力により、フォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35のゲートに電流が供給され、サイリスタ35が導通状態へと移行してしまう。そのため、多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となり、多出力スイッチング装置は停止状態になってしまう。
【0046】
時定数回路を構成する抵抗43とコンデンサ44は、この問題を解決するために付加されたものであり、この時定数回路を付加することにより、図8に示したように多出力スイッチング電源装置の各直流出力が立ち上がりかけたところでスイッチング素子がオフ状態となることはなくなる。これは、サイリスタ35のゲートに付加されたコンデンサ44によりサイリスタ35のゲート電圧の立ち上がりが遅れるためである。
【0047】
また、抵抗43がコンデンサ44に対して並列に付加されているため、コンデンサ44に蓄積された電荷はすぐに放電され、起動を繰り返したときでもサイリスタ35が導通するのを防止することができる。
【0048】
以上に示した抵抗43とコンデンサ44で構成される並列回路をサイリスタ35のゲートに付加することにより、負荷条件により3.3V,5Vの降圧安定化回路の直流出力電圧の立ち上がりが遅れたとしても、起動時あるいは電源オフ時にフォトカプラ33が導通状態となり、サイリスタ35が導通状態となってしまうのを防止することができる。
【0049】
以下、本発明の実施態様の例を列挙する。
【0050】
(実施態様1) 直流電源と、1次巻線および複数の2次巻線を備えたトランスと、前記1次巻線と前記直流電源との間に接続され、スイッチングを行うスイッチング素子と、前記複数の2次巻線に発生した各交流電圧をそれぞれ整流・平滑する整流平滑部と、該整流平滑部から出力される複数の直流電圧出力のうち、第1の直流電圧出力に応じて前記スイッチング素子を制御する制御部と、前記第1の直流電圧出力より低い複数の直流電圧出力を生成する降圧安定化回路とを有する多出力スイッチング電源装置において、
前記降圧安定化回路から出力される複数の直流電圧出力のうち、少なくとも1つ以上の直流電圧出力が低下したことを検知する検知回路と、
該検知回路からの検知出力に応じて、前記スイッチング素子の発振を停止させる停止回路と
を有することを特徴とする多出力スイッチング電源装置。
【0051】
(実施態様2) 前記第1の直流電圧出力より低い電圧で動作するツェナーダイオードをさらに有し、
前記ツェナーダイオードは、前記検知回路の出力側に接続されることを特徴とする請求項1に記載の多出力スイッチング電源装置。
【0052】
(実施態様3) 抵抗とコンデンサとを並列接続して構成された時定数回路をさらに有し、
前記時定数回路は、前記停止回路の入力側に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の多出力スイッチング電源装置。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、降圧安定化回路の出力側あるいは入力側に検出抵抗を設ける必要がなくなるため、高価な電力抵抗の採用しなければならなくなることによるコストアップ、電力抵抗の発熱による周辺部品の温度上昇、部品の実装面積の増大等の問題を解決することができる。
【0054】
また、電源オン/オフ時に過電流検知回路が動作してしまうのを防止することができる。
【0055】
さらに、負荷条件により降圧安定化回路の直流出力電圧の立ち上がりが遅れたとしても、電源オン/オフ時に過電流検知回路が動作してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1の多出力スイッチング電源装置の降圧安定化回路の出力−負荷特性を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図4】図3の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図5】図3の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る多出力スイッチング電源の構成を示す回路図である。
【図7】図6の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図8】図6の多出力スイッチング電源装置の各直流出力の立ち上がり特性を示す図である。
【図9】従来の多出力スイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図10】図9の多出力スイッチング電源装置の各部の動作波形を示す図である。
【符号の説明】
2 MOS−FET
23,24 3端子レギュレータ
33 フォトカプラ
35 サイリスタ
37 OPアンプの非反転入力端子電圧を決めるためのツェナーダイオード
38,39 中間電圧を決めるための抵抗
40 OPアンプ
42 過電流検知回路の起動時等の誤動作を防止するためのツェナーダイオード
43 停止回路の入力に付加された時定数回路を形成する抵抗
44 同じく時定数回路を構成するコンデンサ
Claims (1)
- 直流電源と、1次巻線および複数の2次巻線を備えたトランスと、前記1次巻線と前記直流電源との間に接続され、スイッチングを行うスイッチング素子と、前記複数の2次巻線に発生した各交流電圧をそれぞれ整流・平滑する整流平滑部と、該整流平滑部から出力される複数の直流電圧出力のうち、第1の直流電圧出力に応じて前記スイッチング素子を制御する制御部と、前記第1の直流電圧出力より低い複数の直流電圧出力を生成する降圧安定化回路とを有する多出力スイッチング電源装置において、
前記降圧安定化回路から出力される複数の直流電圧出力のうち、少なくとも1つ以上の直流電圧出力が低下したことを検知する検知回路と、
該検知回路からの検知出力に応じて、前記スイッチング素子の発振を停止させる停止回路と
を有することを特徴とする多出力スイッチング電源装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373098A JP2004208379A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 多出力スイッチング電源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373098A JP2004208379A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 多出力スイッチング電源装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004208379A true JP2004208379A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32811499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002373098A Pending JP2004208379A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 多出力スイッチング電源装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004208379A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006166668A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-22 | Shindengen Electric Mfg Co Ltd | 多出力スイッチング電源 |
JP2009130948A (ja) * | 2007-11-20 | 2009-06-11 | Funai Electric Co Ltd | スイッチング電源装置 |
JP2010017001A (ja) * | 2008-07-04 | 2010-01-21 | Nichicon Corp | 多出力型スイッチング電源装置 |
WO2011011015A1 (en) * | 2009-07-24 | 2011-01-27 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Power supply having low quiescent consumption |
CN102841623A (zh) * | 2011-10-28 | 2012-12-26 | 南通天华和睿科技创业有限公司 | 供电线路三端稳压集成模块 |
KR101324276B1 (ko) | 2012-09-17 | 2013-11-01 | 송종복 | 게이트 턴-오프 사이리스터의 구동을 위한 전원 장치 및 전원 장치를 포함하는 게이트 턴-오프 사이리스터 구동 시스템 |
CN103701332A (zh) * | 2013-12-23 | 2014-04-02 | 南宁广开电气有限责任公司 | 一种基于pwm的智能电力变压器 |
CN110620557A (zh) * | 2018-06-20 | 2019-12-27 | 小仓将希 | 高电压输出放大器 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002373098A patent/JP2004208379A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006166668A (ja) * | 2004-12-10 | 2006-06-22 | Shindengen Electric Mfg Co Ltd | 多出力スイッチング電源 |
JP4526367B2 (ja) * | 2004-12-10 | 2010-08-18 | 新電元工業株式会社 | 多出力スイッチング電源 |
JP2009130948A (ja) * | 2007-11-20 | 2009-06-11 | Funai Electric Co Ltd | スイッチング電源装置 |
JP4543265B2 (ja) * | 2007-11-20 | 2010-09-15 | 船井電機株式会社 | スイッチング電源装置 |
JP2010017001A (ja) * | 2008-07-04 | 2010-01-21 | Nichicon Corp | 多出力型スイッチング電源装置 |
WO2011011015A1 (en) * | 2009-07-24 | 2011-01-27 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Power supply having low quiescent consumption |
US8723357B2 (en) | 2009-07-24 | 2014-05-13 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Power supply having low quiescent consumption |
CN102841623A (zh) * | 2011-10-28 | 2012-12-26 | 南通天华和睿科技创业有限公司 | 供电线路三端稳压集成模块 |
KR101324276B1 (ko) | 2012-09-17 | 2013-11-01 | 송종복 | 게이트 턴-오프 사이리스터의 구동을 위한 전원 장치 및 전원 장치를 포함하는 게이트 턴-오프 사이리스터 구동 시스템 |
CN103701332A (zh) * | 2013-12-23 | 2014-04-02 | 南宁广开电气有限责任公司 | 一种基于pwm的智能电力变压器 |
CN110620557A (zh) * | 2018-06-20 | 2019-12-27 | 小仓将希 | 高电压输出放大器 |
CN110620557B (zh) * | 2018-06-20 | 2023-07-28 | 小仓将希 | 高电压输出放大器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4289904B2 (ja) | Ac−dcコンバータ | |
KR101214172B1 (ko) | 동기 정류 회로 및 이를 이용한 다중 출력을 갖는 전원공급장치 | |
US20130027984A1 (en) | Current-fed isolation converter | |
TW201946351A (zh) | 電源控制用半導體裝置以及開關電源裝置及其設計方法 | |
JP5905689B2 (ja) | Dc/dcコンバータならびにそれを用いた電源装置および電子機器 | |
JP2017060271A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP6464794B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP5012404B2 (ja) | 同期整流型dc−dcコンバータ | |
JP3733440B2 (ja) | スイッチング電源 | |
JP2004208379A (ja) | 多出力スイッチング電源装置 | |
JP2003299354A (ja) | フライバックコンバータの同期整流回路 | |
JP6459599B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP2003339157A (ja) | 自励式スイッチング電源装置 | |
JP2004015993A (ja) | 無負荷時省電力電源装置 | |
JP3198831B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JPH11122920A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP2006129547A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP3223695B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP5279219B2 (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP2005110386A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JP2004304898A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JPH114578A (ja) | 電圧変換装置 | |
JP2002281749A (ja) | スイッチング電源装置 | |
JPH0241654A (ja) | リンギングチョークコンバータ電源装置 | |
JP3419343B2 (ja) | Dc−dcコンバータ |