JP2004207622A - 可変容量コンデンサ及びそれを用いた高周波部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板21上に、第1下部電極層22aと第2下部電極層22bとを離間させて被着形成し、前記第1下部電極層22aと第2下部電極層22bとに跨がるように、外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層23を被着形成し、前記第1下部電極層22a及び前記誘電体層23上に該誘電体層23を介して前記第2下部電極層22bに対向して容量形成領域10aを形成する第1上部電極層24aを形成してなる可変容量コンデンサにおいて、前記容量形成領域10aを形成する第1上部電極層24aの先端形状は、少なくとも円の一部を成す形状を有している。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、外部電圧により容量が変化する可変容量コンデンサに関するものであり、高い電力が下部電極層や上部電極層に入力しても破損しにくい耐電力性に優れ、信頼性の高い可変容量コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、常誘電体であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)薄膜(A.Walkenhorst et al.,Appl.Phys.Lett.60(1992)1744)や、強誘電体であるチタン酸ストロンチウムバリウム(Ba,Sr)TiO3薄膜(Cem Bascri et.sl.,J.Appl.Phys 82(1997)2497) について、電圧印加による非線形な誘電率変化が報告されている。また、これらのチタン酸ストロンチウムやチタン酸ストロンチウムバリウム等のペロブスカイト構造強誘電体酸化物薄膜を用いた可変容量コンデンサが提案されている(特開平11−260667号)。
【0003】
これらの可変容量コンデンサでは、支持基板上に下部電極層、誘電体層、上部電極層を順次被着形成する。具体的には支持基板上に下部電極層となる導体層を支持基板の全面に被着形成した後、パターン加工を行い所定形状の下部電極層を形成する。次に下部電極層上に誘電体層を形成する。この誘電体層は所定位置にマスクを置き薄膜技法により形成したり、または、スピンコート法により誘電体層を形成し、その後、所定形状にパターニングする。尚、必要に応じて加熱硬化を行う。上部電極層は誘電体層上に上部電極層となる導体層を形成した後パターニング加工を施す。尚、ここで、誘電体層のうち、実際に下部電極層と上部電極層とで挟持される対向領域が容量形成領域となる。
【0004】
そして、この容量形成領域の誘電体層には、下部電極層と上部電極層との間に供給される外部電圧によって誘電率が変化する材料、例えば(Bax,Sr1-x)yTi1-yO3-zを用いることにより、可変容量コンデンサが形成される。
【特許文献1】
特開平11−260667号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成された誘電体薄膜と、前記誘電体薄膜上に形成された上部電極層とからなる可変容量コンデンサは、外部電圧の印加により誘電体層の誘電率を変化させ容量を可変させるが、その変化率を確保するためには、誘電体層の誘電率は一般に高くなければならない。このため容量を形成する面積が小さくなり、高電力を印加した場合、容量形成部やその周囲に電界が集中しやすいため誘電体層で絶縁破壊や各電極層での剥れによるオープン、ショート不良が発生し、耐電力性を確保することが困難となるという問題があった。一方、電界の集中を低減するために容量形成領域の面積を大きくすることも考えられるが、所望する容量特性を得る場合、誘電体層の誘電率を小さくしなければならず、その結果、所定容量の変化率を確保できないという問題がある。
【0006】
また、この可変容量コンデンサは、デュプレクサなどの高周波部品に使用され、高出力が要求されている。例えば、送信側信号は高い電力であるため耐電力性を有する電極層構造が求められている。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、高誘電率の材料を用いて、外部電圧の印加による容量の変化率を確保しつつ、容量形成部の面積を変えることなく、容量形成部にかかる電界集中を低減させる形状を有することで、耐電力性に優れた可変容量コンデンサ及び高周波部品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持基板上に、第1下部電極層と第2下部電極層とを離間させて被着形成し、前記第1下部電極層と第2下部電極層とに跨がるように、外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層を被着形成し、前記第1下部電極層及び前記誘電体層上に該誘電体層を介して前記第2下部電極層に対向して容量形成領域を形成する第1上部電極層を形成してなる可変容量コンデンサにおいて、
前記容量形成領域を形成する第1上部電極層の先端形状が、円弧状を成していることを特徴とする可変容量コンデンサである。
【0009】
また、前記第2下部電極層及び前記誘電体層上に、該誘電体層を介して第1の下部電極層に対向し、且つ前記容量形成領域と異なる第2の容量形成領域を形成する第2の上部電極層を形成するとともに、前記第2の容量形成領域を形成する第2上部電極層の先端形状が、円弧状を成している。
【0010】
また、前記複数の容量形成領域は、互いに並列接続されている。
【0011】
また、前記容量形成領域を形成する上部電極層の先端形状の円弧に対する弦の長さをW、前記弦から円弧先端までの長さをLとした時、W>Lである。
【0012】
さらに、支持基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成され外部からの電圧印加により誘電率が変化する誘電体層と、前記誘電体層上に形成された上部電極層とからなる可変容量コンデンサにおいて、前記下部電極層と前記上部電極層とで前記誘電体層を挟持して得られる容量形成領域の平面形状が概略円形状とした可変容量コンデンサである。
【0013】
また、支持基板上に下部電極層、前記誘電体層、前記上部電極層を順次被着形成し、前記誘電体層は下部電極層上のみに形成され、且つ前記上部電極層が誘電体層上のみに形成されている。
【0014】
また、前記誘電体層上に複数の上部電極層を形成した。
【0015】
これらの前記誘電体層は、少なくともBa、Sr、Tiを含有するペロブスカイト型酸化物結晶粒子からなる高誘電率材料から成る。
【0016】
また、前記下部電極層及び上部電極層は、前記誘電体層に対して誘電率を変化せしめる外部電圧を印加するとともに、前記容量形成領域の容量を導出される。
【0017】
このような可変容量コンデンサは、共振回路の一部やフィルタ回路の一部として用いられ高周波部品となる。
【作用】
本発明は、支持基板上に、第1下部電極層と第2下部電極層とを離間させて被着形成し、前記第1下部電極層と第2下部電極層とに跨がるように、外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層を被着形成し、前記第1下部電極層上に前記誘電体層の一部を被覆して、第2の下部電極層と対向して容量形成領域を形成する第1上部電極層を有している。そして、第2下部電極層に対向する第1上部電極層の先端形状は、少なくとも円の一部をなす形状、即ち、半円形、円弧状、半長円形状、半楕円形状、矩形状の両先端角部がR加工された形状となっている。
このような電極層構造であるため、容量形成領域での上部電極層の電界強度の集中は、先端部分で抑制、分散され、外部より高電流を印加しても破壊の起こりにくい耐電力性の高い可変容量コンデンサとなる。
【0018】
さらに、容量形成領域を形成する上部電極層の先端形状の円弧に対する弦の長さをW、前記弦から円弧先端までの長さをLとした時、W>Lとしているため、容量形成領域の周囲に集中する電界をより効果的に分散させることができ、外部より高電流を印加しても破壊の起こりにくい耐電力性の高い可変容量コンデンサとなる。
【0019】
また、容量形成領域を複数形成し、互いに並列接続させているため、容易に高い容量値が得られる可変容量コンデンサとなり、さらに、容量形成領域に負荷のかかる電界強度をさらに弱め、外部より高電流を印加しても耐える耐電力性の高い可変容量コンデンサとなる。
【0020】
また、支持基板上に下部電極層、誘電体層、上部電極層を順次被着形成し、下部電極層上のみに誘電体層が、誘電体層上のみに上部電極層が形成され,容量形成領域に段差のないコンデンサ構造にすることで、容量形成領域とその周囲の膜厚が一定に形成でき、下部電極層との段差部部分などで発生する誘電体層の薄い部分に集中する電界を有効に分散させることができる。
【0021】
さらに、下部電極層上のみに誘電体を形成するため段差部の誘電体層が薄くなることを考慮しなくて良いため、下部電極層の膜厚を厚くすることができ、低抵抗な膜が作製できQ値の高い可変容量コンデンサを得ることができる。
【0022】
また前記薄膜誘電体層が(Bax,Sr1-x)yTi1-yO3-zからなる可変容量コンデンである。これにより、可変容量素子の容量変化率が大きく損失が小さい可変容量コンデンサを作製することができる。
【0023】
しかも、容量形成領域を構成する上部電極層と下部電極層とは、夫々外部電圧を印加する電極であり、しかも、所定容量値を導出するための電極として共用されるため、電極数が極小化させることができる。
【0024】
この可変容量コンデンサは、種々の高周波回路部品、例えば、フィルタ回路の一部に用いて高周波フィルタ、インピーダンスアンテナ、遅延素子、アレイアンテナ、結合型ストリップ線路等の高周波回路部品に幅広く使用される。そして、高周波回路部品に要求される高周波における高電力に対する耐電力性を確保することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の可変容量コンデンサ及び高周波部品を図面に基づいて詳説する。
【0026】
図1は本発明の可変容量コンデンサを示したものである。図1は可変容量コンデンサの構造を判りやすく説明した透視状態の平面図であり、図2は図1でのA−A‘における断面図である。
【0027】
図において、21は支持基板、22aは第1下部電極層、22bは第2下部電極層、23は誘電体層、24aは第1上部電極層、24bは第2上部電極層、25、26は密着層、27は保護層、28、29は外部接続端子である。
尚、容量形成領域は、誘電体層23を下部電極層22と上部電極層24とで挟持して対向しあう領域である。図1では2つの容量形成領域10a、10bが形成され、互いに並列接続されるものである。
【0028】
支持基板21は、耐熱性に優れ、平坦な表面のものであれば特に制限はなく、例えばアルミナなどのセラミック基板、サファイアなどの単結晶基板などである。この支持基板21上に下部電極層22(第1下部電極層、第2下部電極層を総じて22という)を形成する。その形成法は特に限定しないが、通常スパッタ法や蒸着法などが挙げられる。そして、成膜後、パターニング加工、例えばフォトリソグラフィー法、ドライエッチングやウェットエッチングなどが施され、支持基板21上に独立した第1下部電極層22a、第2下部電極層22bが形成される。
この下部電極層22の導体材料としては、低抵抗であるAuあるいはAgなどが好適であるが、誘電体層23の形成に高温スパッタが必要となる場合には、高融点であることが必要であり、具体的には、Pt、Al、Pdなどが用いられる。
【0029】
この下部電極層22の厚みは0.1μm〜5μmとなっている。例えば、0.1μmよりも小さくなると、下部電極層22自身の抵抗が大きくなると同時に、下部電極層22の連続性がなくなり、信頼性が劣るようになる。一方、5μm以上にすると厚みに段差が大きくなり、例えば誘電体層23を形成した時に、段差部分で被覆不良が発生してしまい、上部電極層24と下部電極層22が短絡してしまう。また、残留応力により下部電極層22が基板21より剥離してしまう可能性がある。なお、支持基板21との密着性を向上させるために、抵抗値を大きく増大させない範囲において密着層を使用してもよい。
【0030】
誘電体層23は、スパッタリング法等の薄膜技術により作製される。尚、スパッタリング法以外にもCVD法、真空蒸着法、ゾルゲル液を用いたスピンコート法を用いて構わない。誘電体層23の材料としては、低いリーク電流と高い誘電率を持つものが好ましく、例えば(Bax,Sr1-x)yTi1-yO3-zが挙げられる。
【0031】
上部電極層24(第1上部電極層24a、第2上部電極層24bを総じて24という)は、上部電極層24の抵抗を下げるため、抵抗率の小さなAuが望ましい。また、誘電体層23との密着性を考慮してPtなどを誘電体層23との界面に介在させた密着層を用いることが望ましい。この上部電極層24の厚みは0.1μm〜10μmとなっている。厚みの下限については、下部電極層22と同様に、上部電極層自身の抵抗を考慮して設定される。厚みの上限については、密着性を考慮して設定される。この上部電極24は、下部電極層22と誘電体層23を介して容量形成領域を形成している。例えば、第1上部電極層24aは、第1下部電極層22a及び誘電体層23の一部に形成され、しかも、誘電体層23を介して第2下部電極層22bに対向するように、第2下部電極層22bの上方にまで突出している。この第1上部電極層24aの突出部、誘電体層23、第2下部電極層22bによって容量形成領域10aを形成している。
【0032】
また、図1において2つめの容量形成領域10bを形成するため、第2の上部電極層24bは第2下部電極層22b、及び誘電体層23の一部に形成され、しかも、誘電体層23を介して第1下部電極層22aに対向するように、第1下部電極層22aの上方にまで突出している。この第2上部電極層24bの突出部、誘電体層23、第1下部電極層22aによって第2の容量形成領域10bを形成している。尚、図1では、容量形成領域10a、10bの形状を明確にし、また、下部電極層22の形状を明確にするためドット模様で図示している。
【0033】
この容量形成領域10a、10bの形状は、各上部電極層24a、24bの突出部の形状によって決定されることになる。
【0034】
本発明は、各上部電極層24a、24bの突出部の先端形状24xを円の一部を有する形状としている。即ち、図1の上部電極層24a、24bでは、その先端形状が半円形状となっている。また、図3(a)〜(c)に示すように、半長円形状の先端形状24W、半だ円形状の先端形状24Y、また、矩形状(多角形状)を基本として、その先端部の角部に所定曲率半径の丸みを付けた先端形状24Zなどが例示できる。
【0035】
また、密着層25、26は、導体材料としてはAuおよび/またはCuを用いて形成される。その厚みは0.01〜1μmとなっている。厚みの下限については半田ぬれ性を考慮して設定される。厚みの上限については、密着層25、26の持つ残留応力よる剥離の発生を防止するように設定される。
【0036】
また、保護膜27は、上部端子電極層25の一部を露出するように形成されている。保護膜としては、SiO2、Si3N4,BCB(ベンゾシクロブテン)、ポリイミドなどが好適である。またこれらの材料の多層構造にしても良い。この保護膜27は、外部からの機械的な衝撃からの保護の他、湿度による劣化、薬品の汚染、酸化等を防止する役割を持っている。
【0037】
また、外部接続端子28、29は、半田ボールや金属バンプなどが例示できる。具体的には、密着層25、26が露出する部分には、例えば半田ボールを形成したり、また、金属ワイヤーのファーストボンディングを行い、所定長さで切断することにより、金などのバンプを形成しても構わない。
【0038】
以上により、図2に示す可変容量コンデンサとなる。即ち、外部接続端子29は、第1上部電極層24a、第1下部電極層22aに接続し、外部接続端子28は、第2上部電極層24b、第2下部電極層22bに接続に接続して、この外部接続端子28、29間に、容量形成領域10a、10bの誘電体層23に印加する外部電圧が供給されるとともに、これに伴い誘電率が変化した誘電体層23を含むこの容量形成領域10a、10bの容量成分を導出している。
【0039】
このような可変容量コンデンサは、容量成分を外部電圧によって可変させることができるため、例えば、LC共振回路の容量成分の一部に用いて共振周波数を外部電圧の制御により可変させたり、また、LC共振回路が接合されたフィルタ回路に用いてフィルタ特性を外部電圧の制御により可変させたり、インピーダンスアンテナの特性、遅延素子の特性、アレイアンテナの特性、結合型ストリップ線路の特性を外部電圧の制御により可変させることができ、高周波回路部品に幅広く使用される。しかも、耐電力性の高い高周波部品となる。
【0040】
図4は他の実施例を示した断面図である。この実施例の可変容量コンデンサは、支持基板41上に形成された下部電極層42と、前記下部電極層42上のみに形成され外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層43と、前記誘電体層43上のみに形成された上部電極層44とから構成されている。尚、図4において、45は絶縁層であり、46は上部電極層44を外部接続端子402に延出するための引出し電極であり、47、48は密着層であり、401、402は外部接続端子である。
【0041】
この実施例では、下部電極層42と上部電極層44とで挟持された誘電体層43で容量形成領域10が形成されることになる。そして、上部電極層44の形状により、容量形成領域10の形状が決定される。そして、その上部電極層44の形状は、図5(a)に示すように概略円形状の上部電極層44a、図5(b)に示すように長円形状とした上部電極層44b、図5(c)に示すように楕円形状とした上部電極層44c、図5(d)に示すように矩形(多角形)状の角部をR加工した形状の上部電極層44dが例示できる。
【0042】
【実施例1】
実施例1として、図2に示す可変容量コンデンサを作製した。
【0043】
支持基板21としてサファイア基板上に、Tiからなる0.05μmの密着層を作製し、この密着層の上面に0.3μmのPt層を形成し、密着層とPt層とからなる下部電極層22a、22bを形成した。具体的には、密着層とPt層とからなる電極膜をフォトリソグラフィを用いてパターン加工した。即ち、電極膜上にレジストを塗布し所定形状に加工した後、Arイオンによるドライエッチングによりパターニング加工した。その後、誘電体層23のスパッタ開始まで、誘電体層23のスパッタ温度である800℃に加熱し一定時間保持することで、平坦な膜とした。
【0044】
続いて、誘電体層23として(Ba0.3Sr0.7)Ti0.85O3ターゲットを使ってスパッタ法により成膜温度800℃にて、0.3μm成膜した。その後、フォトリソグラフィ、ウエットエッチング法により誘電体層23をパターニング加工した。
【0045】
続いて、上部電極層24として0.05μmのPt、1.2μmのAuをスパッタ法で順次成膜し、下部電極層22と同様の方法でパターニング加工して形成した。続いて、密着層25、26として、0.1μmのAuをスパッタ法で成膜し、下部電極層22と同様の方法でパターニング加工した。
【0046】
続いて、保護層27として光感光性BCB(ベンゾシクロブテン)を塗布し、密着層が露出するように、パターニング加工した。
【0047】
最後に保護層27の開口部に外部接続端子28、29を印刷法にて形成し、リフローにより半田バンプとする。素子表面に半田フラックスが残存するが、これは適当な溶剤を用いて洗浄する。
【0048】
このようにして、作製した容量形成領域10a、10bの上部電極層24a、24b形状は、図1に示す半円形状として、2つの容量形成領域10a、10bの合計面積は、約144μm2とした。
【0049】
この可変容量コンデンサをLTCCフィルタに実装し、耐電力試験を行った結果、入力電力1Wで破壊が起こった。
【0050】
【実施例2】
実施例2として、図4に示す可変容量コンデンサを作製した。
【0051】
支持基板41として、サファイア基板上に、1.0μmのPtからなる下部電極層42として成膜し、その後フォトリソグラフィを用いて、下部電極層42をパターン加工した。具体的には、レジストを塗布し所定形状に加工した後、Arイオンによるドライエッチングによりパターニング加工した。
【0052】
続いて、誘電体層43としてBa0.3Sr0.7Ti0.85O3を0.3μm成膜し、その後、フォトリソグラフィ、ウエットエッチング法により誘電体層43をパターニング加工した。
【0053】
続いて、上部電極層44として0.3μmのPtを成膜し、その後フォトリソグラフィを用いてパターン加工した。
【0054】
続いて、絶縁体層45としてBCB=1μm、を塗布し、加工した。続いて、引出し電極層46として、0.3μmのPt、0.9μmのAuを成膜し、その後フォトリソグラフィを用いてパターン加工した。
【0055】
このようにして、作製した容量形成領域10の上部電極層44の形状は、図5(a)に示す円形状1つとして、その容量形成領域10の面積は、約100μm2とした。
【0056】
この可変容量コンデンサをLTCCフィルタに実装し、耐電力試験を行った結果、入力電力1.2Wで破壊が起こった。
【比較例】
図6に示すように、容量形成領域10c、10dの上部電極層24a、24bの平面形状を長方形にした可変容量コンデンサを作製した。容量形成領域の上部電極層24a、24bの平面形状以外は、各層の材料、膜厚について実施例1と同様の工程で作製した。このようにして、作製した長方形状の容量形成領域10c、10dの合計面積は、約140μm2とした。
【0057】
この可変容量コンデンサをLTCCフィルタに実装し、耐電力試験を行った結果、入力電力0.5Wで破壊が起こった。
【0058】
尚、上述の実施例では、図1に示す可変容量コンデンサとしているが、図3(a)〜(c)に示す上部電極層24の先端形状24W、24Y、24Zを用いた場合でも、また、図4に示す可変容量コンデンサで、図5(a)〜(d)に示す上部電極層44a〜44dを用いた場合でも、LTCCフィルタに実装し、耐電力試験を行った結果、入力電力0.5Wを越える値でも耐電力が向上する。即ち、容量形成領域を形成する上部電極層の先端形状及びその形状を円の一部を成す形状を有するように、また、概略円形状にすることによって、上部電極層の角部や段差部分にかかる電界の集中が緩和され耐電力性が向上する。
【0059】
また、図1に示すように、容量形成領域10a、10b上の上部電極層24a、24bの先端部が円弧で構成される場合、弦の長さWと、弦から円弧の先端部までの距離Lとの関係を、W>Lとすることにより、円弧の曲率を幅に対して大きくすることができるため、より有効に電界を分散・緩和させることができるものとなる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、支持基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成され外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層と、前記誘電体層上に形成された上部電極層とからなるコンデンサにおいて、容量形成領域上の上部電極層の平面形状または先端形状を円もしくは円の一部を用いてなる構造にすることにより、容量形成領域での容量電極層の電界の分布を抑え、外部より高電流を印加しても耐える耐電力性の高い可変容量コンデンサとなる。
【0061】
また、この可変容量コンデンサを用いて共振回路、フィルタ回路などに用いることにより、耐電力性の高い高周波部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変容量コンデンサの平面図である。
【図2】図1のA−A‘線の断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明のかかる上部電極層の先端形状を示す平面図である。
【図4】本発明の他の可変容量コンデンサの断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、図4に示す可変容量コンデンサの上部電極層の形状を示す平面図である。
【図6】比較例の可変容量コンデンサの平面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b・・・容量形成部
21・・・支持基板
22、22a、22b・・・下部電極層
23・・・薄膜誘電体層
24、24a、24b・・・上部電極層
27・・・保護層
25、26・・・密着層
28、29・・・外部接続端子
41・・・支持基板
42・・・下部電極層
43・・・薄膜誘電体層
44・・・上部電極層
45・・・絶縁層
46・・・引出し電極層
Claims (10)
- 支持基板上に、第1下部電極層と第2下部電極層とを離間させて被着形成し、前記第1下部電極層と第2下部電極層とに跨がるように、外部電圧の印加により誘電率が変化する誘電体層を被着形成し、前記第1下部電極層及び前記誘電体層上に該誘電体層を介して前記第2下部電極層に対向して容量形成領域を形成する第1上部電極層を形成してなる可変容量コンデンサにおいて、
前記容量形成領域を形成する第1上部電極層の先端形状が、円弧状を成していることを特徴とする可変容量コンデンサ。 - 前記第2下部電極層及び前記誘電体層上に、該誘電体層を介して第1の下部電極層に対向し、且つ前記容量形成領域と異なる第2の容量形成領域を形成する第2の上部電極層を形成するとともに、前記第2の容量形成領域を形成する第2上部電極層の先端形状が、円弧状を成していることを特徴とする請求項1記載の可変容量コンデンサ。
- 前記複数の容量形成領域は、互いに並列接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の可変容量コンデンサ。
- 前記容量形成領域を形成する上部電極層の先端形状の円弧に対する弦の長さをW、前記弦から円弧状の先端部までの長さをLとした時、W>Lであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか記載の可変容量コンデンサ。
- 支持基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成され外部からの電圧印加により誘電率が変化する誘電体層と、前記誘電体層上に形成された上部電極層とからなる可変容量コンデンサにおいて、
前記下部電極層と前記上部電極層とで前記誘電体層を挟持して得られる容量形成領域の平面形状が概略円形状であることを特徴とする可変容量コンデンサ。 - 支持基板上に下部電極層、前記誘電体層、前記上部電極層を順次被着形成し、前記誘電体層は下部電極層上のみに形成され、且つ前記上部電極層が誘電体層上のみに形成されることを特徴とする請求項5に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記誘電体層上に複数の上部電極層を形成したことを特徴とする請求項6に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記誘電体層は、少なくともBa、Sr、Tiを含有するペロブスカイト型酸化物結晶粒子からなる高誘電率材料から成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の可変容量コンデンサ。
- 前記下部電極層及び上部電極層は、前記誘電体層に対して誘電率を変化せしめる外部電圧を印加するとともに、前記容量形成領域の容量を導出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の可変容量コンデンサ。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の可変容量コンデンサを用いてなる高周波部品。
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