JP4307141B2 - 容量可変コンデンサ回路、容量可変薄膜コンデンサ素子及び高周波部品 - Google Patents

容量可変コンデンサ回路、容量可変薄膜コンデンサ素子及び高周波部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流バイアス電圧の印加により容量を大きく変化できるが、高周波信号による容量の変化、ノイズ、非線形歪は小さく抑えることができる容量可変コンデンサ回路に関するものである。また、本発明は、誘電体層を薄膜技法により形成した薄膜コンデンサに関するものであり、特に直流バイアス電圧の印加により容量を大きく変化できるが、高周波信号による容量の変化、ノイズ、非線形歪は小さく抑えることができる容量可変薄膜コンデンサに関するものであり、さらに、耐電力に優れた容量可変薄膜コンデンサを用いた高周波用電圧制御型共振器、電圧制御型高周波フィルタ、電圧制御型整合回路素子および電圧制御型アンテナ共用器などの高周波部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜コンデンサとして、上下電極層および誘電体層が薄膜で形成された薄膜コンデンサがある。これは通常、電気絶縁性の支持基板上に薄膜状の下部電極層、誘電体層、上部電極層がこの順に積層している。このような薄膜コンデンサでは下部電極層、上部電極層が夫々スパッタ、真空蒸着などで形成されており、誘電体層もスパッタ、ゾルゲル法等で形成されている。このような薄膜コンデンサの製造では、通常、以下のようにフォトリソグラフィの手法が用いられる。先ず、絶縁性支持基板上の全面に下部電極層となる導体層を形成した後、必要部のみをレジストで覆い、その後、ウエットエッチング又は、ドライエッチングで不要部を除去して、所定形状の下部電極層を形成する。次に、支持基板上に薄膜誘電体層となる誘電体層を全面に形成し、下部電極層同様に、不要部を除去して所定形状の薄膜誘電体層を形成する。最後に上部電極層となる導体層を全面に形成し、不要部を除去して所定形状の上部電極層を形成する。また、保護層やハンダ端子部を形成することにより、表面実装が可能になる。また、薄膜誘電体層の材料として、(Ba,Sr1−xTi1−y3−zから成る誘電体材料を用いて、上部電極層と下部電極層との間に所定電位を与えて、誘電体層の誘電率を変化させて、容量を変化させる容量可変薄膜コンデンサも同様な構造である。直流バイアスの印加により容量を変化させる容量可変薄膜コンデンサとしては、例えば特許文献1(特開平11−260667号)に開示されている。
【0003】
容量可変薄膜コンデンサでは直流バイアスを印加することで誘電率が変化し、その結果として容量が変化する。容量の変化は高周波領域にも及び、高周波でも容量可変薄膜コンデンサとして利用可能となる。この様な高周波での容量可変薄膜コンデンサの容量変化を利用して、直流バイアスの印加により周波数特性を変化できる電子部品が得られる。例えば、上述の容量可変薄膜コンデンサと薄膜インダクタを組み合わせた電圧制御型薄膜共振器では、直流バイアスの印加により共振周波数を変化させることができる。また、容量可変薄膜コンデンサまたは電圧制御型薄膜共振器と薄膜インダクタ、薄膜キャパシタを組み合わせた電圧制御型薄膜帯域通過フィルタでは、直流バイアスの印加により通過帯域を変化させることができる。マイクロ波用の電圧制御型電子部品に関しては例えば特許文献2(特表平8−509103号)に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−260667号公報
【0005】
【特許文献2】
特表平8−509103号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような容量可変薄膜コンデンサを高周波用電子部品で用いる場合、容量可変薄膜コンデンサには容量可変用の直流バイアス電圧と、高周波信号の電圧(高周波電圧)が同時に印加されることになる。高周波電圧が高い場合は、高周波電圧によっても容量可変薄膜コンデンサの容量が変化するようになる。この様な容量可変薄膜コンデンサを高周波用電子部品に用いると、高周波電圧によるコンデンサの容量変化のため、波形歪、相互変調歪ノイズが生じるようになる。波形歪、相互変調歪ノイズを小さくするためには、高周波電界強度を下げ、高周波電圧による容量変化を小さくする必要があり、その為には、誘電体層の厚みを厚くすることが有効であるが、誘電体層の厚みを厚くすると直流電界強度も小さくなるため、容量変化率も下がってしまう問題がある。
【0007】
また、高周波ではコンデンサには電流が流れやすくなるため、コンデンサを高周波で使用中にはコンデンサの損失抵抗によりコンデンサが発熱し、破壊してしまう。この様な耐電力の問題に対しても誘電体の厚みを厚くし、単位体積当たりの発熱量を小さくすることが有効であるが、前述のように単純に誘電体層の厚みを厚くすると、直流電界強度も小さくなるため、直流バイアスによる容量変化率も下がってしまう問題がある。
【0008】
また、また、薄膜コンデンサを作製する際には、通常、下部電極、薄膜誘電体層、上部電極のほかに、保護層や、半田拡散防止層など、他の機能を担う層を順次被着していく。しかし、層の数が多くなればなるほど、フォトリソグラフィでの位置ずれ、エッチングの際の下の層へのダメージといった問題のほか、層の数が増えることで応力が増大し、結果、膜にクラックが生じるなど、特性不良や信頼性が低下してしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、高周波信号による容量変化が小さく、且つ直流バイアスによる容量変化は大きく、バイアスラインのような新たな構成要素が付加されても素子の大きさを維持するとともに、順次被着される薄膜の層の数を少なくして素子の小型集積化に有効であり、さらには使用可能な周波数範囲を拡大させ、なおかつ特性不良や信頼性の低下を抑制する容量可変薄膜コンデンサ素子を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、上述の容量可変薄膜コンデンサを用いて相互変調歪が小さく、耐電力に優れ、温度特性の良い高周波用電圧制御型薄膜共振器、電圧制御型薄膜高周波フィルタ、電圧制御型整合回路素子及び電圧制御型薄膜アンテナ共用器などの高周波部品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加電圧値によって容量が変化する第1乃至第Nの可変容量素子を順次直列接続するとともに前記第1の可変容量素子を入力端子に接続し、前記第Nの可変容量素子を出力端子に接続して成り、前記第1の可変容量素子の入力端子側端子部と第2iの可変容量素子−第2i+1の可変容量素子との各接続点の間に、抵抗成分及びまたはインダクタンス成分を含む共通入力端子側バイアスライン及び抵抗成分またはインダクタンス成分を含む個別入力端子側バイアスラインを設けるとともに、前記第Nの可変容量素子の出力端子側端子部と第2i−1の可変容量素子−第2iの可変容量素子との各接続点の間に、抵抗成分及びまたはインダクタンス成分を含む共通出力端子側バイアスライン及び抵抗成分またはインダクタンス成分を含む個別出力端子側バイアスラインを設け、前記入力端子が、高周波信号の信号入力端子と直流バイアスの供給端子とされていることを特徴とする容量可変コンデンサ回路(但し、N=2n+1、n≧1、1≦i≦n、i及びnは夫々整数)である。
【0012】
また、前記第1乃至第Nの可変容量素子は、複数の容量発生領域が合成されて成る。
【0013】
また本発明は、支持基板と、前記支持基板上に形成された下部電極層、前記下部電極層上に形成された薄膜誘電体層、および前記薄膜誘電体層上に形成された上部電極層からなり、順次直列接続された第1乃至第Nの可変容量素子と、前記第1の可変容量素子に接続された入力端子と、前記第Nの可変容量素子に接続された出力端子と、前記支持基板上に形成された導体ラインと薄膜抵抗とを含み、第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続点に一端が接続される個別入力端子側バイアスラインと、前記第1の可変容量素子の入力端子側端子部と前記個別入力端子側バイアスラインとの間に設けられる共通入力端子側バイアスラインと、前記支持基板上に形成された導体ラインと薄膜抵抗とを含み、第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続点に一端が接続される個別出力端子側バイアスラインと、前記第Nの可変容量素子の出力端子側端子部と前記個別出力端子側バイアスラインとの間に設けられる共通出力端子側バイアスラインと、を備え、前記第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続は、前記第2iの可変容量素子の上部電極層と第2i+1の可変容量素子の上部電極層とを接続する引出し電極層を介して行われ、前記第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続点における前記個別入力端子側バイアスラインとの接続は、前記引出し電極層と前記個別入力端子側バイアスラインを構成する前記導体ラインとを接続することにより行われ、前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続は、前記第2i−1の可変容量素子の下部電極層と第2iの可変容量素子の下部電極層とを共通化することにより行われ、前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続点における前記個別出力端子側バイアスラインとの接続は、前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子とで共通化された下部電極層と前記個別出力端子側バイアスラインを構成する導体ラインとを接続することにより行われ、前記入力端子は、高周波信号の信号入力端子と直流バイアス供給端子とが共用されている、容量可変薄膜コンデンサ素子(但し、N=2n+1、n≧1、1≦i≦n、i及びnは夫々整数)である。
【0014】
また前記個別入出力端子側バイアスライン、及び前記共通入出力端子側バイアスラインが、支持基板上に直接形成されている
【0015】
また、前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、その少なくとも一部にタンタルを含有し、且つ比抵抗が1mΩcm以上の薄膜抵抗を有する
【0016】
また、前記薄膜抵抗は、膜厚が40nm以上である
【0017】
また、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、導体ラインと薄膜抵抗とから成る
【0018】
また、前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi−Cr合金あるいはFe−Cr−Al合金などの高抵抗合金薄膜からなる
【0019】
また、前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi、Fe等の強磁性体薄膜から成る
【0020】
また、前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部が酸化物導電体、窒化物導電体または半導体から成る。
【0021】
また、前記薄膜誘電体層が、(Ba ,Sr 1−x Ti 1−y 3−z から成る。
【0022】
また、前記薄膜誘電体層が、(Ba,Sr1−xTi1−y3−zから成る。また、支持基板には、入力端子と出力端子が形成されている。また、入力端子は、高周波信号の信号入力端子と直流バイアス供給端子とが共用されている。
【0023】
また、これら容量可変薄膜コンデンサ素子が、共振回路の一部及び/又は複数の共振回路を接合する容量素子として用いられることを特徴とする高周波部品。
【0024】
【作用】
本発明の容量可変コンデンサ回路は、電圧を印加することにより容量が変化する容量可変コンデンサ回路において、前記容量可変コンデンサ回路が、直列に接続された第1乃至第Nの容量可変素子と、容量調整に用いる直流バイアス印加用の入力端子側バイアスライン及び出力端子側バイアスラインから成ることを特徴とする容量可変コンデンサ回路である。前記第1の可変容量素子の入力端子側端子部と第2iの可変容量素子−第2i+1の可変容量素子との各接続点の間に、各可変容量素子に対して共用される共通入力端子側バイアスラインと、各可変容量素子に対して形成された個別入力端子側バイアスラインを設けられている。また、前記第Nの可変容量素子の出力端子側端子部と第2i−1の可変容量素子−第2iの可変容量素子との各接続点の間に、各可変容量素子に対して共用される共通出力端子側バイアスラインと、各可変容量素子に対して形成された個別出力端子側バイアスラインを設けている。(但し、N=2n+1、n≧1、1≦i≦n)。従って、直列に接続する可変容量素子に印加される高周波電圧がそれぞれの可変容量素子に分圧されるので、個々の可変容量素子に印加される高周波電圧は減少する。このことから、高周波信号による容量の変化は小さく抑えることができる。また、個別入力端子側バイアスライン及び個別出力端子側バイアスラインを設けることにより、直流バイアスは個々の可変容量素子に独立に印加することができる。このことから、直流バイアスによる容量の変化は大きく保つことができる。
【0025】
さらに、個別入出力端子側バイアスラインは、共用する共通入出力端子側バイアスラインを介して入出力端子と接続されている。これにより、低周波領域での位相の増加を抑制することができるため、Qの高い周波数領域を低周波側に拡大することができる。さらには、共通バイアスラインを設けることにより、この回路の高周波特性は、抵抗成分あるいは/およびインダクタンス成分の大きさを、入出力端子側バイアスラインのみの回路においてn倍とした時とほぼ同等になるため、この回路を実際の素子とした場合、各入出力端子側バイアスラインの有する抵抗成分あるいは/およびインダクタンス成分の大きさを、素子形状などの制約のため大きくできない場合でも、それを補うことができ、結果的にQの高い周波数領域を拡大することができる。
【0026】
また、バイアスラインが少なくとも抵抗あるいは/およびインダクタンス成分を有することを特徴とする容量可変コンデンサ回路であることにより、バイアスラインに高周波信号が入り込むことはなく、また、直流電流は可変容量素子を流れないため、高周波的には直列接続された可変容量素子で、直流的には並列接続された可変容量素子と見ることができる。
【0027】
また、容量可変コンデンサ回路を構成する各可変容量素子同士の接続ラインが、個別入力端子側バイアスライン及び個別出力端子側バイアスラインにより交互に直流バイアスが供給されるため、接続された全ての可変容量素子に直流バイアスが安定して供給できるため、個々の可変容量素子の容量変化率を最大限に利用することができる。
【0028】
また、高周波信号の入力端子と直流バイアスの供給端子を共通化しているので、回路としての取り扱いが容易になる。また、従来の容量可変コンデンサを、容量可変コンデンサが利用される回路に変更を加えることなく、本発明の容量可変コンデンサ回路に基づく容量可変薄膜コンデンサ素子と単純に置き換えることができる。
【0029】
本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子は、電圧を印加することにより容量が変化する容量可変薄膜コンデンサ素子において、前記容量可変薄膜コンデンサ素子が複数個の容量可変薄膜コンデンサを有している。これは、上述の容量可変コンデンサ回路を現実の素子にしたものである。
【0030】
また前記個別入出力端子側バイアスライン及び前記共通入出力端子側バイアスラインを支持基板上に直接設けることにより、直列接続された容量可変素子上に設けられる際に必要な絶縁膜が不要となり、素子を構成する層の数を低減し、膜のクラックなどによる特性不良、信頼性の低下を抑制することができる。
【0031】
また、前記個別入出力端子側バイアスライン及び前記共通入出力端子側バイアスラインもしくはその一部に、タンタルを含有し且つ比抵抗が1mΩcm以上である薄膜抵抗を用いている。タンタルを含有することにより、窒化タンタルやTaSiN、Ta−Si−Oなどの高抵抗の薄膜抵抗を簡便に得ることができる。さらに、抵抗値が経時的に安定したバイアスラインとなるとともに、バイアスラインが高抵抗となるため、アスペクト比(バイアスラインの長さ/幅)を小さくすることが可能となる。従って、新たにバイアスラインを設けても素子の大きさを維持できるため、素子の小型化、高集積化に有効である。
【0032】
さらには、バイアスラインが高抵抗となることにより、上述のバイアスラインへの高周波信号の入り込みをより効果的に抑制することができる。そして、前記薄膜抵抗の膜厚を40nm以上とすることにより、高抵抗の薄膜抵抗を再現性良く作製することができる。
【0033】
また前記個別入出力側バイアスライン及び前記共通入出力端子側バイアスラインは、導体ラインと薄膜抵抗とから成っている。薄膜抵抗の抵抗値は、導体の抵抗値に対して非常に高くできるため、バイアスラインの抵抗は薄膜抵抗の抵抗値とほぼ等しくなり、薄膜抵抗の抵抗値は、その膜厚、ならびにアスペクト比を全てのバイアスラインにおいて同一にすることにより等しくすることができる。従って、全てのバイアスラインの抵抗値を等しくすることができ、容量可変薄膜コンデンサ素子のインピーダンスなどの電気的特性を均一にすることができる。
【0034】
また前記個別入出力端子側バイアスライン、及び前記共通入出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi−Cr合金あるいはFe−Cr−Al合金などの高抵抗合金薄膜から成っている。高抵抗の合金薄膜を用いることで、比較的短い抵抗線でも高抵抗が達成できる。
【0035】
また、前記個別入出力端子側バイアスライン及び共通入出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がAu、Ptなどの貴金属薄膜となっている。金属薄膜を極めて薄い膜にした場合、完全な膜には成らず、微小な島状の金属塊からなる膜になり、膜厚の減少に伴って抵抗値が急激に増加することが知られている。この性質により、抵抗率の小さな貴金属類を用いることで、高抵抗で耐酸化性に優れたバイアスラインを得ることができる。
【0036】
また、前記個別入出力端子側バイアスライン及び共通入出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi、Fe等の強磁性体薄膜から成っている。強磁性体では、透磁率μが大きいため、δ=1/√(πfμσ)(ただし、fは周波数、σは伝導率である。)で表わされる表皮深さが常磁性体よりも小さくなる傾向がある。従って、機械的に安定な厚みの膜を作製しても、高周波では表皮深さが薄くなり、抵抗が高くなるため、高抵抗のバイアスラインを作製することができる。また、酸化物導電体、窒化物導電体または半導体のいずれかとすることにより、支持基板との密着性のよいバイアスラインを作製することができる。
【0037】
また、本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子において、各可変容量素子が支持基板上に下部電極層、薄膜誘電体層、上部電極層を順次被着してなる。このことにより、各可変容量素子の容量を直流バイアスの印加により大きく変化させることができる。
【0038】
また、前記薄膜誘電体層が(Ba,Sr1−xTi1−y3−zからなり、可変容量素子の容量変化率が大きく、損失が小さい容量可変コンデンサ素子を作製することができる。
【0039】
また、入力端子は、高周波信号の信号入力端子と直流バイアス供給端子とが共用されているため、素子構造が簡略化される。
【0040】
また、本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子は、少なくとも前記入出力端子側バイアスライン、及び共通入出力端子側バイアスラインを被覆し、且つ窒化ケイ素及び酸化ケイ素の少なくとも1種類より成る保護膜を有しており、これにより、バイアスラインが酸化されるのを防止できるため、バイアスラインの抵抗値を経時的に一定とすることができ、信頼性が向上すると共に、耐湿性も確保できる。
【0041】
本発明は、高周波用電圧制御型共振器の一部(共振回路の一部として)、または、共振回路同士を結合する手段として前記容量可変薄膜コンデンサ素子を用いている。これにより、高周波的には直列接続され、直流的には並列接続された、容量可変薄膜コンデンサ素子を用いて共振器を作製することになり、波形歪、相互変調歪ノイズが小さく、耐電力に優れた高周波用電圧制御型共振器である高周波部品を実現できる。また、共振回路を具備した電圧制御型高周波フィルタ、電圧制御型アンテナ共用器においても同様に、高周波的には直列接続され、直流的には並列接続された、容量可変薄膜コンデンサ素子を用いることにより、波形歪、相互変調歪ノイズが小さく、耐電力に優れた電圧制御型高周波フィルタ、アンテナ共用器を作製することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる容量可変コンデンサ回路、及び容量可変薄膜コンデンサ素子及び高周波部品を図面に基づいて説明する。
【0043】
図1は、本発明のN=7(n=3)の場合の容量可変コンデンサ回路を示すものである。図1は、7個の可変容量素子C1〜C7(第1の可変容量素子C1、第2の可変容量素子C2、第3の可変容量素子C3、第4の可変容量素子C4、第5の可変容量素子C5、第6の可変容量素子C6、第7の可変容量素子C7)を直列に接続したものであり、さらに、抵抗成分またはインダクタンス成分(図では、抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23を示す。)を有する個別入力端子側バイアスライン(以下、第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインという)B11、B12、B13、及び個別出力端子側バイアスライン(以下、第1、第2、第3の出力端子側バイアスラインという)B21、B22、B23、さらに抵抗成分又はインダクタンス成分(図では抵抗成分RI、ROを示す。)を有する共通入力端子側バイアスラインBI、共通出力端子側バイアスラインBOを有している。
【0044】
図1では、高周波信号及び直流バイアスは共通端子であり、入力端子I、出力端子Oとなっている。
【0045】
そして、第1の可変容量素子C1の入力側端子部AIと、第2の可変容量素子C2−第3の可変容量素子C3の直列接続点A11、第4の可変容量素子C4−第5の可変容量素子C5の直列接続点A12、及び第6の可変容量素子C6−第7の可変容量素子C7の直列接続点A13との間に、抵抗成分RIを有し、共用する共通入力端子側バイアスラインBIを介して、抵抗成分R11を有する第1の入力端子側バイアスラインB11と、抵抗成分R12を有する第2の入力端子側バイアスラインB12と、抵抗成分R13を有する第3の入力端子側バイアスラインB13とを並列に設けている。
【0046】
また、第7の可変容量素子C7の出力側端子部AOと、第5の可変容量素子C5−第6の可変容量素子C6の直列接続点A21、第3の可変容量素子C3−第4の可変容量素子C4の直列接続点A22、及び第1の可変容量素子C1−第2の可変容量素子C2の直列接続点A23との間に、抵抗成分ROを有し、共用する共通入力端子側バイアスラインBOを介して、抵抗成分R21を有する第1の出力端子側バイアスラインB21と、抵抗成分R22を有する第2の出力端子側バイアスラインB22と、抵抗成分R23を有する第3の出力端子側バイアスラインB23とを並列に設けている。
【0047】
ここで、第1、第2、第3の入力端子側のバイアスラインB11、B12、B13の抵抗成分R11、R12、R13、及び第1、第2、第3の出力端子側のバイアスラインB21、B22、B23の抵抗成分R21、R22、R23は、直列接続した容量素子の高周波信号の周波数領域でのインピーダンスよりも大きな抵抗成分となっており、高周波信号は直列接続した可変容量素子C1〜可変容量素子C7を通り、直流バイアスは各可変容量素子C1〜C7に別々に印加されることになる。第1、第2、第3の入力端子側のバイアスラインB11、B12、B13の抵抗成分R11、R12、R13、及び第1、第2、第3の出力端子側のバイアスラインB21、B22、B23の抵抗成分R21、R22、R23が小さすぎると、高周波信号も第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインB11、B12、B13および出力端子側バイアスラインB21、B22、B23を流れることになり、高周波信号による容量変化が大きくなり、Qが低下する。また、抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23及びRI、ROが大きすぎると、容量可変素子に印加される直流バイアスが減少し、容量変化が小さくなる。また、時定数が大きくなり、直流バイアス印加後、容量変化が一定になるまでに時間がかかるようになる。このため、容量可変コンデンサ回路の使用条件に応じて抵抗値を決める必要がある。
【0048】
図1に示す回路図において、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、第1の可変容量素子C1にそのまま供給されて、接続点A23から第3の出力端子側バイアスラインB23及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第1の入力端子側バイアスラインB11を流れて接続点A11に供給され、接続点A11から第2の可変容量素子C2に供給され、接続点A23から第3の出力端子側バイアスラインB23及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れることになる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第1の入力端子側バイアスラインB11を流れて接続点A11に供給され、接続点A11から第3の可変容量素子C3に供給され、接続点A22から第2の出力端子側バイアスラインB22及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れることになる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第2の入力端子側バイアスラインB12を流れて接続点A12に供給され、接続点A12から第4の可変容量素子C4に供給され、接続点A22から第2の出力端子側バイアスラインB22及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れることになる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第2の入力端子側バイアスラインB12を流れて接続点A12に供給され、接続点A12から第5の可変容量素子C5に供給され、接続点A21から第1の出力端子側バイアスラインB21及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れることになる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第3の入力端子側バイアスラインB13を流れて接続点A13に供給され、接続点A13から第6の可変容量素子C6に供給され、接続点A21から第1の出力端子側バイアスラインB21及び共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子Oに流れことになる。また、入力端子Iから供給されたバイアス電流は、共通入力端子側バイアスラインBI、第3の入力端子側バイアスラインB13を流れて接続点A13に供給され、接続点A13から第7の可変容量素子C7に供給され、そのまま出力端子Oに流れことになる。
【0049】
ここで、抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23、RI、ROの設定においては、図2に示すように、直流に対する等価回路(可変容量素子C1〜C7を絶縁抵抗Rp1〜Rp7に置き換え)で説明する。
【0050】
抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23、RI、ROの上限値は、直列接続したC1〜C7にかかる電圧がバイアスラインの無い場合よりも大きくなる抵抗値を上限とする。バイアス電圧は図2の抵抗により分圧されるので、可変容量素子C1について考えると、
Rp1/(R23+RO+Rp1)>Rp1/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R23+RO<Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7となるようにする。
【0051】
同様に可変容量素子C2について考えると、
Rp2/(RI+R11+R23+RO+Rp2)>Rp2/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R11+R23+RI+RO<Rp1+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7となるようにする。
【0052】
同様に可変容量素子C3について考えると、
Rp3/(RI+R11+R22+RO+Rp3)>Rp3/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R11+R22+RI+RO<Rp1+Rp2+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7となるようにする。
【0053】
同様に可変容量素子C4について考えると、
Rp4/(RI+R12+R22+RO+Rp4)>Rp4/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R12+R22+RI+RO<Rp1+Rp2+Rp3+Rp5+Rp6+Rp7となるようにする。
【0054】
同様に可変容量素子C5について考えると、
Rp5/(RI+R12+R21+RO+Rp5)>Rp5/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R12+R22+RI+RO<Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp6+Rp7となるようにする。
【0055】
同様に可変容量素子C6について考えると、
Rp6/(RI+R13+R21+RO+Rp6)>Rp6/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R13+R21+RI+RO<Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp7となるようにする。
【0056】
同様に可変容量素子C7について考えると、
Rp7/(RI+R13+Rp7)>Rp7/(Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6+Rp7)が必要となり、R13+RI<Rp1+Rp2+Rp3+Rp4+Rp5+Rp6となるようにする。
【0057】
ここで、R11=R12=R13=R21=R22=R23=RI=RO=R、Rp1=Rp2=Rp3=Rp4=Rp5=Rp6=Rp7=Rpとすると、R<1.5Rpとなる。仮にRp=1GΩとすると、R<1.5GΩが得られる。各可変容量素子C1〜C7にかかるバイアス電圧が1/10になる抵抗値を限界とすると、R<150MΩとなる。
【0058】
また、時定数の4倍が応答時間より小さいことを要求すると、T>4×2×RCより、R<T/8Cとなり、応答時間を10μs、容量を1pFとするとR<10×10−6/(8×1×10−12)=1.25MΩとなる。仮に、応答時間がms程度でよければ、上限は125MΩ程度となる。
【0059】
また、抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23、RI、ROの下限値については、使用高周波信号の周波数で直列の可変容量素子C1〜C7であるためには、RI+R11よりC1+C2の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さく、RI+R12よりC1+C2+C3+C4の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さく、RI+R13よりC1+C2+C3+C4+C5+C6の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さい必要がある。また、RO+R21よりC6+C7の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さく、RO+R22よりC4+C5+C6+C7の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さく、RO+R23よりC2+C3+C4+C5+C6+C7の合成インピーダンスが小さくなる周波数が使用周波数より小さい必要がある。
【0060】
即ち、RI+R11>(C1+C2)/(ω×C1×C2)
RI+R12>(C2×C3×C4+C1×C3×C4+C1×C2×C4+C1×C2×C3)/(ω×C1×C2×C3×C4)
RI+R13>(C2×C3×C4×C5×C6+C1×C3×C4×C5×C6+C1×C2×C4×C5×C6+C1×C2×C3×C5×C6+C1×C2×C3×C4×C6+C1×C2×C3×C4×C5)/(ω×C1×C2×C3×C4×C5×C6)
RO+R21>(C6+C7)/(ω×C6×C7)
RO+R22>(C5×C6×C7+C4×C6×C7+C4×C5×C7+C4×C5×C6)/(ω×C4×C5×C6×C7)
RO+R23>(C3×C4×C5×C6×C7+C2×C4×C5×C6×C7+C2×C3×C5×C6×C7+C2×C3×C4×C6×C7+C2×C3×C4×C6×C7+C2×C3×C4×C5×C6)/(ω×C2×C3×C4×C5×C6×C7)
となる。ここで、R11=R12=R13=R21=R22=R23=RI=RO=R、C1=C2=C3=C4=C5=C6=C7=C=7pF、使用周波数を2GHzとすると、
R>3/ωC=210Ωが得られる。また、使用周波数の1/10までコンデンサであるためには、R>2.1kΩが必要となる。
【0061】
以上より、第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインB11、B12、B13の抵抗成分R11、R12、R13と共通入力端子側バイアスラインBIの抵抗成分RI、及び第1、第2、第3の出力端子側バイアスラインB21、B22、B23の抵抗成分R21、R22、R23と共通出力端子側バイアスラインBOの抵抗成分ROの値は、数kΩから100MΩ程度の範囲であればよい。
【0062】
さらに、本発明では、抵抗成分RI、ROを有する共通入出力端子側バイアスラインBI、BOを設けている。これは、BI及びBOに抵抗成分が無い場合において、R11、R12、R13、R21、R22、R23を全てn倍(図1ではn=3)にした時とほぼ同等となる。
【0063】
図3は、上記のことを説明する図である。aの曲線は、図1の回路においてC1=C2=C3=C4=C5=C6=C7=7pF、R11=R12=R13=R21=R22=R23=RI=RO=1MΩとした時の周波数による位相の変化を示すものである。bの曲線は、図1の回路においてC1=C2=C3=C4=C5=C6=C7=7pF、R11=R12=R13=R21=R22=R23=1MΩ、RI=RO=0Ωとした時の周波数による位相の変化を示すものである。cの曲線は、図1の回路においてC1=C2=C3=C4=C5=C6=C7=7pF、R11=R12=R13=R21=R22=R23=3MΩ、RI=RO=0Ωとした時の周波数による位相の変化を示すものである。尚、図3中の1.0E+03とは、10、即ち1kを示し、1.0E+6とは、10、即ち1.0Mを示す。
【0064】
図3から、周波数が100kHz以降において、aの曲線とcの曲線はほぼ一致している。さらに、aの曲線では、10MHz以降では位相がほぼ−90°であり、bの曲線では、100MHz以降で位相がほぼ−90°である。即ち、抵抗成分RI、ROを有する共通入出力端子側バイアスラインBI、BOを設けることにより、低周波領域での位相の増加を抑制して、Qの高い周波数領域を低周波側に拡大することができると共に、共通バイアスラインに抵抗成分が無い場合(RI=RO=0Ωの場合)において、バイアスラインの抵抗値をn倍にした場合と位相を同等にできるため、この回路を実際の素子とした場合、素子形状などによるバイアスラインの抵抗値への制約に対して効果的である。例えば図1では、同じアスペクト比の抵抗とした場合、その長さを1/3とでき、小型集積化に有利である。
【0065】
次に、図4乃至図8を用いて、図1の回路に基づいく容量可変薄膜コンデンサ素子を説明する。図4は透視状態の平面図であり、図5は作製途中での平面図であり、図6は図4でのA−A‘における断面図であり、図7は図4でのB−B’での断面図であり、図8は図4でのC−C‘での断面図である。
【0066】
図4乃至図8において、1は支持基板であり、2は下部電極層であり、31、32、33、34、35、36は導体ラインであり、4は薄膜誘電体層であり、5は上部電極層であり、61、62、63、64、65、66、67、68は薄膜抵抗であり、7は絶縁層であり、8は引き出し電極層であり、9は保護層であり、10は半田拡散防止層であり、111、112は半田端子部である。尚、この半田拡散防止層10及び半田端子部とで、入力端子、出力端子を構成している。また図1、図3において、C1〜C7は、バイアスにより容量が変化する可変容量素子を示す。
【0067】
支持基板1は、アルミナなどのセラミック基板、サファイアなどの単結晶基板などである。そして、支持基板1の上に下部電極層2、薄膜誘電体層4、上部電極層5を、順次支持基板の全面に成膜する。全層成膜終了後、上部電極層5、薄膜誘電体層4、下部電極層2を順次所定の形状にエッチングする。
【0068】
下部電極層2は、薄膜誘電体層4の形成に高温スパッタが必要となるため、高融点であることが必要である。具体的には、Pt、Pdなどである。さらに、下部電極層2のスパッタ終了後、薄膜誘電体層4のスパッタ温度である700〜900℃へ加熱され、薄膜誘電体層4のスパッタ開始まで一定時間保持することにより、平坦な膜となる。
【0069】
下部電極層2の厚みは、出力端子(半田端子112、半田拡散防止層10)から第7の可変容量素子C7までの抵抗成分や、第1の可変容量素子C1から第2の可変容量素子C2、第3の可変容量素子C3から第4の可変容量素子C4、第5の可変容量素子C5から第6の可変容量素子C6までの抵抗成分、下部電極層2の連続性を考慮した場合、厚いほうが望ましいが、支持基板1との密着性を考慮した場合は、相対的に薄い方が望ましく、両方を考慮して決定される。具体的には、0.1μm〜10μmである。0.1μmよりも薄くなると、電極自身の抵抗が大きくなるほか、電極の連続性が確保できなくなる可能性がある。一方、10μmより厚くすると、支持基板1との密着性が低下したり、支持基板1のそりを生じる恐れがある。
【0070】
薄膜誘電体層4は、少なくともBa、Sr、Tiを含有するペロブスカイト型酸化物結晶粒子からなる高誘電率の誘電体層である。この薄膜誘電体層4は、上述の下部電極層2の表面に形成されている。例えば、ペロブスカイト型酸化物結晶粒子が得られる誘電体をターゲットとして、スパッタリングを所望の厚みになる時間まで行う。基板温度を高く、例えば800℃としてスパッタリングを行うことにより、スパッタ後の熱処理を行うことなく、高誘電率で容量変化率の大きい、低損失の薄膜誘電体層が得られる。
【0071】
上部電極層5の材料としては、電極の抵抗を下げるため、抵抗率の小さなAuが望ましいが、薄膜誘電体層4との密着性向上の為に、Ptなどを密着層として用いることが望ましい。この上部電極層5の厚みは0.1μm〜10μmとなっている。厚みの下限については、下部電極層2と同様に、電極自身の抵抗を考慮して設定される。厚みの上限については、密着性を考慮して設定される。
【0072】
第1の入力端子側バイアスラインは、導体ライン32、34、薄膜抵抗63とから構成されており、第1の可変容量素子C1の入力端部である入力端子(半田端子111、半田拡散防止層10)から第2の可変容量素子C2と第3の可変容量素子C3との接続点、即ち、第2の可変容量素子C2の上部電極層5と第3の可変容量素子C3の上部電極層5とを接続する引き出し電極層8との間に設けられている。同様に、第2入力端子側バイアスラインは、導体ライン32、35、薄膜抵抗64とから構成され、前記入力端子から第4の可変容量素子C4と第5の可変容量素子C5との接続点との間に設けられており、第3入力端子側バイアスラインは、導体ライン32、36、薄膜抵抗65とから構成され、前記入力端子から第6の可変容量素子C6と第7の可変容量素子C7との接続点との間に設けられている。そして、これら第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインと前記入力端子との間には、共用する共通入力端子側バイアスラインが設けられている。共通入力端子側バイアスラインは導体ライン32、33、薄膜抵抗61とから構成されており、この共通入力端子側バイアスラインを介して第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインは、前記入力端子に対して並列に接続されている。
【0073】
従って、図1と対応させると、個別入力端子側バイアスラインである第1、第2、第3の入力端子側バイアスラインB11、B12、B13は、導体ライン32の一部と、導体ライン34、35、36と、その間に配置された薄膜抵抗63、64、65で夫々構成され、共通入力端子側バイアスラインBIは、導体ライン33と、導体ライン32の一部と、その間に配置された薄膜抵抗61とで構成されることになる。
【0074】
即ち、入力端部Iからから第2の可変容量素子C2と第3の可変容量素子C3との接続点までは、抵抗成分(薄膜抵抗61)を有する共通入力端子側バイアスラインBI及び抵抗成分(薄膜抵抗63)を有する個別入力端子側バイアスラインB11を介して接続されている。同様に、入力端部Iからから第4の可変容量素子C4と第5の可変容量素子C5との接続点までは、抵抗成分(薄膜抵抗61)を有する共通入力端子側バイアスラインBI及び抵抗成分(薄膜抵抗64)を有する個別入力端子側バイアスラインB12を介して接続されている。以下同様である。
【0075】
第1の出力端子側バイアスラインは、導体ライン31と薄膜抵抗66とから構成されており、第5の可変容量素子C5と第6の可変容量素子C6との接続点、即ち、第5の可変容量素子C5及び第6の可変容量素子C6の共通的な下部電極層2と、第7の可変容量素子C7の出力端部である出力端子(半田端子112、半田拡散防止層10)との間に設けられている。同様に、第2出力端子側バイアスラインは、導体ライン31と薄膜抵抗67とから構成され、第3の可変容量素子C3と第4の可変容量素子C4との接続点と、前記出力端子との間にもうけられており、第3出力端子側バイアスラインは、導体ライン31と薄膜抵抗68とから構成され、第1の可変容量素子C1と第2の可変容量素子C2との接続点と、前記出力端子との間に設けられている。そして、これら第1、第2、第3の出力端子側バイアスラインと前記入力端子との間には、共用する共通出力端子側バイアスラインが設けられている。共通出力端子側バイアスラインは導体ライン31、薄膜抵抗62とから構成されており、この共通出力端子側バイアスラインを介して第1、第2、第3の出力端子側バイアスラインは、前記出力端子に対して並列に接続されている。
【0076】
出力側のバイアスラインも、入力側のバイアスラインと同様、容量素子は、抵抗成分(薄膜抵抗66、67、68)を有する個別出力端子側バイアスラインB21、B22、B23と、共通出力端子側バイアスラインBOを介して出力端子に接続される。
【0077】
この導体ライン31、32、33、34、35、36は、上述の下部電極層2、薄膜誘電体層4、上部電極層5を形成した後、新たに成膜して得ることができる。その際には、リフトオフ法を用いることが望ましい。さらには、下部電極層2のパターニングの際に導体ラインを有する形状にパターニングを行うことによっても形成できる。
【0078】
この導体ラインの材料としては、バイアスラインの抵抗値のばらつきを抑制するために、低抵抗であるAuが望ましいが、薄膜抵抗61乃至68の抵抗が十分に高いので、Ptなど、下部電極層2と同一の材料、同一工程で形成してもよい。
【0079】
次に、バイアスラインを構成する薄膜抵抗61乃至68の材料は、タンタルを含有し、且つその比抵抗は1mΩcm以上である。具体的な材料として、窒化タンタルやTaSiN、Ta−Si−Oを例示することができる。例えば、窒化タンタルの場合、Taをターゲットして、窒素を加えてスパッタを行う、リアクティブスパッタ法により、所望する組成比、抵抗率の膜を成膜することができる。このスパッタの条件を適宜選択することにより、膜厚40nm以上で、比抵抗1mΩcm以上の膜を作製することができる。さらに、スパッタ終了後、レジストを塗布、所定の形状にした後、反応性イオンエッチング(RIE)などのエッチングプロセスにより、簡便にパターニングすることができる。
【0080】
また、本発明の容量可変薄膜コンデンサを周波数2GHzで使用し、各可変容量素子C1〜C7の容量を7pFとした場合、この周波数の1/10までC1〜C7が直列であるために必要なバイアスラインの抵抗値は、約2.1kΩ以上であればよい。本発明における薄膜抵抗の比抵抗率は1mΩcm以上であるため、例えばバイアスラインの抵抗値として10kΩを得る場合、薄膜抵抗のアスペクト比(長さ/幅)は、膜厚を50nmとした時、50以下とできるため、素子形状を大きくすることなく実現可能なアスペクト比を有する薄膜抵抗となる。
【0081】
これら薄膜抵抗61乃至68を含むバイアスラインは、支持基板1上に直接形成されている。これにより、素子上に形成する際に必要となる、下部電極層2、上部電極層4、引き出し電極層8との絶縁を確保するための絶縁層が不要となり、素子を構成する層の数を低減することが可能となる。さらに、高抵抗の薄膜抵抗を用いることにより、形状を大きくすることなく、素子を作成することができる。
【0082】
次に、絶縁層7は、この上に形成する引き出し電極層8と下部電極層2との絶縁を確保するために必要である。さらに、この絶縁層は、バイアスラインを被覆しており、薄膜抵抗が酸化されるのを防止できるため、バイアスラインの抵抗値を経時的に一定とすることができ、信頼性が向上する。絶縁層7の材料は耐湿性を向上させるために、窒化ケイ素および酸化ケイ素の少なくとも1種類よりなるものとする。これらは、被覆性を考慮して、化学気相堆積法(CVD)などにより、成膜することが望ましい。
【0083】
絶縁層7は、通常のレジストを用いるドライエッチング法などにより、所望の形状にすることができる。そして、絶縁層7には、薄膜抵抗63乃至65と引き出し電極層8との結合を確保するための導体ライン34〜36の一部を露出させるための貫通孔を設けている。その他では、上部電極層および半田端子部のみを露出させることが、耐湿性向上の観点から好ましい。
【0084】
次に、引き出し電極層8は、第1の可変容量素子C1の上部電極層5と一方の端子形成部111、または上部電極層5同士を連結させて、第1の可変容量素子C1を端子形成部111に接続するとともに、第2の可変容量素子C2と第3の可変容量素子C3、第4の可変容量素子C4と第5の可変容量素子C5、第6の可変容量素子C6と第7の可変容量素子C7、各々を直列接続するものである。さらには、C2とC3、C4とC5、C6とC7の各々にまたがる引き出し電極層8は、絶縁層7の貫通孔によってそれぞれ導体ライン34、35、36と結合している。また、材料としては、Au、Cuなどの低抵抗な金属を用いることが望ましい。また、引き出し電極層8は、絶縁層7との密着性を考慮して、Ti、Ni、などの密着層を使用してもよい。
【0085】
次に、保護層9を形成する。保護層9は、素子を外部から機械的に保護するほか、薬品等による汚染から保護する。形成時には、端子形成部111、112を露出するようにする。材料としては、耐熱性が高く、段差に対する被覆性が優れたものが良く、具体的には、ポリイミド樹脂やBCB(ベンゾシクロブテン)樹脂などを用いる。
【0086】
半田拡散防止層10は、半田端子形成の際のリフローや実装の際に、半田の電極への拡散を防止するために形成する。材料としては、Niが好適である。また、半田拡散防止層の表面には、半田濡れ性を向上させるために、半田濡れ性の高いAu、Cuなどを0.1μm程度形成する場合もある。
【0087】
最後に、半田端子部111、112を形成する。これは、実装を容易にするために形成する。半田ペーストを印刷後、リフローを行うことにより、形成するのが一般的である。
【0088】
以上述べた容量可変薄膜コンデンサ素子において、可変容量素子C1〜C7が高周波的には、直列接続され、しかも各可変容量素子C1〜C7は、主として薄膜抵抗61〜68で設定される抵抗値を有するバイアスラインで接続されることにより、直流的には、並列接続されている。
【0089】
また、バイアスラインもしくはその一部に窒化タンタルを含有し、且つ比抵抗が1mΩcm以上薄膜抵抗を用いることにより、薄膜抵抗のアスペクト比を低減して素子の小型化を実現している。さらには、バイアスラインを支持基板上に直接形成することにより、素子を構成する層の数が低減されている。
【0090】
また、上述の容量可変薄膜コンデンサ素子は、高周波部品の共振回路の一部(LC共振回路の容量成分)として用いられたり、また、この共振回路を結合する容量成分として用いられる。したがって、容量可変薄膜コンデンサ素子の下部電極層、上部電極層、または引き出し電極層を利用してインダクタを同時に形成したり、支持基板1の余白領域(容量可変薄膜コンデンサ素子が形成されていない領域)にその他の共振回路を形成して、容量可変薄膜コンデンサ素子を電圧制御型高周波共振回路部品に、さらに、その共振回路の複合部品である電圧制御型高周波フィルタ、電圧制御型整合回路素子および電圧制御型薄膜アンテナ共用器などの高周波部品にすることができる。
【0091】
【実施例1】
容量7pFの可変容量素子C1〜C7を直列接続し、1MΩの抵抗成分R11、R12、R13、R21、R22、R23、RI、ROをバイアスラインに備えた容量可変コンデンサ回路のインピーダンス特性を図9に、位相特性を図10に示した。尚、図中の1.0E+03とは、10、即ち1kを示し、1.0E+6とは、10、即ち1.0Mを示す。
【0092】
その結果、約7.8GHzに可変容量素子の自己共振が、100kHz付近にバイアスラインによる変曲点が見られ、この間では7素子の容量7pFの可変容量素子C1〜C7を直列接続した時の合成容量1pFとなっており、変曲点より低周波側では可変容量素子C1〜C7の容量7pFのコンデンサを並列接続した合成容量49pFとなっていることがわかる。これにより、変曲点と自己共振周波数の間の高周波信号に対しては、7素子の可変容量素子C1〜C7は直列になっているため可変容量素子1素子当たりにかかる高周波電圧は1/7になり、容量変化による波形歪が小さく、直流も含む変曲点以下の周波数に対しては、7素子の可変容量素子C1〜C7は並列になっており、容量変化を大きく保つことが出来ることがわかる。一方図10より、変曲点より高周波側においても、約10MHzまでは位相が−90°とはなっておらず、C1〜C7が直列接続した時の合成容量1pFとなってはいるが、Qが低いことがわかる。従って、Qをも考慮した場合、10MHz〜3GHzの周波数領域において、高周波電圧による容量変化に起因する波形歪が小さく、なおかつQの高い容量可変コンデンサ回路となる。
【0093】
【実施例2】
支持基板としてサファイアR基板上に、下部電極層2としてPtを、基板温度500℃でスパッタ法にて成膜した。薄膜誘電体層4として(Ba0.5Sr0.5)TiOからなるターゲットを用い、基板温度は800℃、成膜時間は15分で、同一バッチで成膜した。成膜開始前に、Pt電極の平坦化のためのアニールとして800℃で15分間保持した。その上に上部電極層5としてPtを同一バッチで成膜した。次にレジストを塗布し、フォトリソグラフィによりレジストを所定の形状に加工した後、ECR装置により上部電極層5をエッチングした。その後、同様に薄膜誘電体層4、下部電極層2をエッチングした。下部電極層2の形状は、導体ライン31〜36を含むものとした。次に、薄膜抵抗61〜68として、窒化タンタルをスパッタ法にて100℃で成膜した。スパッタ後、レジストをフォトリソグラフィにより所定の形状にした後、RIE装置を用いてエッチングを行い、レジスト層を除去した。薄膜抵抗のアスペクト比は全て20とした。
【0094】
次に、絶縁層7として、SiO2膜を、TEOSガスを原料とするCVD装置により成膜した。レジストを加工した後、RIE装置により所定の形状にエッチングを行った。
【0095】
次に、引出し電極層8として、Pt及びAuをスパッタにて成膜し、所定の形状に加工した。
【0096】
最後に保護層9、半田拡散防止層10、半田端子111、112を順次形成した。保護層9には、ポリイミド樹脂を、半田拡散防止層10にはNiを用いた。
【0097】
薄膜抵抗の膜厚は46nmであり、シート抵抗値を別途測定したところ、450kΩ/sqであった。その結果、薄膜抵抗の比抵抗は2070mΩcmであり、抵抗値は9MΩとなり、1mΩcm以上の比抵抗であることが確認された。
【0098】
上記で得られた容量可変薄膜コンデンサ素子をインピーダンスアナライザにより測定した結果を図11に示す。共通入出力端子側バイアスラインの有する薄膜抵抗の抵抗値が非常に高いため、測定周波数領域においてバイアスラインの影響は見られず、7素子が並列に接続されていることが確認できた。
【0099】
容量の周波数依存性を図12に示す。容量はほぼ1pFで一定であり、このことからも、7素子が並列に接続されていることが確認できる。容量変化率は、DC3V印加時で約25%であった。
【0100】
【発明の効果】
直列に接続した第1乃至第Nの可変容量素子に直流バイアス印加用の第1乃至第iの入力端子側バイアスライン、及び第1乃至第iの出力端子側バイアスラインを配置し、且つ第1乃至第iの入力端子側バイアスラインを、共用する共通入力端子側バイアスラインを介して入力端子と並列に配置し、且つ第1乃至第iの出力端子側バイアスラインを、共用する出力端子側バイアスラインを介して出力端子と並列に配置することにより、各可変容量素子に直流バイアス電圧を安定且つ均一に印加できる。(但しN=2n+1、n≧1、1≦i≦n)このため、容量の変化を大きくし、且つ高周波信号による容量の変化、ノイズ、非線形歪は小さく抑えることができる容量可変コンデンサ回路となる。
【0101】
さらに共通バイアスラインにより、低周波領域での位相の増加を抑制するとともに、回路の高周波特性が、抵抗成分あるいは/およびインダクタンス成分の大きさを、入出力端子側バイアスラインのみの回路においてn倍とした時とほぼ同等になるため、この回路を実際の素子とした場合、各入出力端子側バイアスラインの有する抵抗成分あるいは/およびインダクタンス成分の大きさを、素子形状などの制約のため大きくできない場合でも、それを補うことができるため、Qの高い周波数領域を低周波側に拡大することができる。
【0102】
また、前記バイアスラインもしくはその一部にタンタルを含有し且つ比抵抗が1mΩcm以上である薄膜抵抗を用い、且つ支持基板上に直接形成することにより、容量可変薄膜コンデンサ素子の形状を大きくすることなく、素子を構成する層の数を低減し、特性、信頼性を向上させることが可能となる。
【0103】
また、前記容量可変薄膜コンデンサ素子を用いることにより、直流バイアス電圧の印加により周波数特性を大きく変化できるが、高周波信号による周波数特性の変化、ノイズ、非線形歪は小さく抑えることができ、波形歪、相互変調歪ノイズを小さく抑えることができ、さらに耐電力に優れた高周波用電圧制御型共振器、電圧制御型高周波フィルタ、電圧制御型整合回路素子および電圧制御型アンテナ共用器などの高周波部品となる。
【0104】
尚、上述の実施例では、バイアスラインには、抵抗成分で説明している。しかし、高周波動作する回路においては、インダクタンス成分も抵抗成分と見なすことができるため、バイアスラインに接続した薄膜抵抗に変えて所定インダクタンス成分を有するインダクタンス素子に置き換えても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容量可変コンデンサ回路の回路図である。
【図2】本発明の容量可変コンデンサ回路を抵抗成分に置き換えた回路図である。
【図3】本発明の容量可変コンデンサ回路、及び図2に示す回路においてRI=RO=0とした回路の位相特性図である。
【図4】本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子の平面図である。
【図5】本発明での容量可変薄膜コンデンサ素子の作製途中段階での平面図である。
【図6】図1のA−A‘線の断面図である。
【図7】図1のB−B‘線の断面図である。
【図8】図1のC−C‘線の断面図である。
【図9】本発明の容量可変コンデンサ回路のインピーダンス特性図である。
【図10】本発明の容量可変コンデンサ回路の位相特性図である。
【図11】本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子のインピーダンスならびに位相特性図である。
【図12】本発明の容量可変薄膜コンデンサ素子の容量特性図である。
【符号の説明】
1・・・支持基板
2・・・下部電極層
31、32、33、34、35、36・・・導体ライン
4・・・薄膜誘電体層
5・・・上部電極層
61、62、63、64、65、66、67、68・・・薄膜抵抗
7・・・絶縁体層
8・・・引出し電極層
9・・・保護層
10・・・半田拡散防止層
111、112・・・半田端子部
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7・・・可変容量素子
B11、B12、B13・・・第1、第2、第3の入力端子側バイアスライン
B21、B22、B23・・・第1、第2、第3の出力端子側バイアスライン
BI、BO・・・入力端子側、共通出力端子側バイアスライン
R11、R12、R13、R21、R22、R23、RI、RO・・・抵抗成分
A11、A12、A13、A21、A22、A23・・・接続点
AI、AO・・・入力端子側、出力端子側端部
Rp1、Rp2、Rp3、Rp4、Rp5、Rp6、Rp7・・・可変容量素子を抵抗成分に置き換えた抵抗
I、O・・・入力、出力端子

Claims (13)

  1. 加電圧値によって容量が変化する第1乃至第Nの可変容量素子を順次直列接続するとともに前記第1の可変容量素子を入力端子に接続し、前記第Nの可変容量素子を出力端子に接続して成り、前記第1の可変容量素子の入力端子側端子部と第2iの可変容量素子−第2i+1の可変容量素子との各接続点の間に、抵抗成分及びまたはインダクタンス成分を含む共通入力端子側バイアスライン及び抵抗成分またはインダクタンス成分を含む個別入力端子側バイアスラインを設けるとともに、
    前記第Nの可変容量素子の出力端子側端子部と第2i−1の可変容量素子−第2iの可変容量素子との各接続点の間に、抵抗成分及びまたはインダクタンス成分を含む共通出力端子側バイアスライン及び抵抗成分またはインダクタンス成分を含む個別出力端子側バイアスラインを設け
    前記入力端子が、高周波信号の信号入力端子と直流バイアスの供給端子とされていることを特徴とする容量可変コンデンサ回路。(但し、N=2n+1、n≧1、1≦i≦n、i及びnは夫々整数である)
  2. 前記第1乃至第Nの可変容量素子は、複数の容量発生領域が合成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の容量可変コンデンサ回路。
  3. 支持基板と、
    前記支持基板上に形成された下部電極層、前記下部電極層上に形成された薄膜誘電体層、および前記薄膜誘電体層上に形成された上部電極層からなり、順次直列接続された第1乃至第Nの可変容量素子と、
    前記第1の可変容量素子に接続された入力端子と、
    前記第Nの可変容量素子に接続された出力端子と、
    前記支持基板上に形成された導体ラインと薄膜抵抗とを含み、第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続点に一端が接続される個別入力端子側バイアスラインと、
    前記第1の可変容量素子の入力端子側端子部と前記個別入力端子側バイアスラインとの間に設けられる共通入力端子側バイアスラインと、
    前記支持基板上に形成された導体ラインと薄膜抵抗とを含み、第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続点に一端が接続される個別出力端子側バイアスラインと、
    前記第Nの可変容量素子の出力端子側端子部と前記個別出力端子側バイアスラインとの間に設けられる共通出力端子側バイアスラインと、
    を備え、
    前記第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続は、前記第2iの可変容量素子の上部電極層と第2i+1の可変容量素子の上部電極層とを接続する引出し電極層を介して行われ、
    前記第2iの可変容量素子と第2i+1の可変容量素子との接続点における前記個別入力端子側バイアスラインとの接続は、前記引出し電極層と前記個別入力端子側バイアスラインを構成する前記導体ラインとを接続することにより行われ、
    前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続は、前記第2i−1の可変容量素子の下部電極層と第2iの可変容量素子の下部電極層とを共通化することにより行われ、
    前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子との接続点における前記個別出力端子側バイアスラインとの接続は、前記第2i−1の可変容量素子と第2iの可変容量素子とで共通化された下部電極層と前記個別出力端子側バイアスラインを構成する導体ラインとを接続することにより行われ、
    前記入力端子は、高周波信号の信号入力端子と直流バイアス供給端子とが共用されている、容量可変薄膜コンデンサ素子。(但し、N=2n+1、n≧1、1≦i≦n、i及びnは夫々整数である)
  4. 前記個別入出力端子側バイアスライン、及び前記共通入出力端子側バイアスラインが、支持基板上に直接形成されていることを特徴とする請求項3に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  5. 前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、その少なくとも一部にタンタルを含有し、且つ比抵抗が1mΩcm以上の薄膜抵抗を有することを特徴とする請求項に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  6. 前記薄膜抵抗は、膜厚が40nm以上であることを特徴とする請求項に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  7. 前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、導体ラインと薄膜抵抗とから成ることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  8. 前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi−Cr合金あるいはFe−Cr−Al合金などの高抵抗合金薄膜からなることを特徴とする請求項3に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  9. 前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部がNi、Fe等の強磁性体薄膜から成ることを特徴とする請求項に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  10. 前記個別入力端子側バイアスライン、個別出力端子側バイアスライン、前記共通入力端子側バイアスライン及び前記共通出力端子側バイアスラインは、少なくともその一部が酸化物導電体、窒化物導電体または半導体から成ることを特徴とする請求項に記載の可変薄膜コンデンサ素子。
  11. 前記薄膜誘電体層が、(Ba ,Sr 1−x Ti 1−y 3−z から成ることを特徴とする請求項乃至10のいずれかに記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  12. 前記支持基板には、前記入力端子と前記出力端子が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子。
  13. 請求項3に記載の容量可変薄膜コンデンサ素子が、共振回路の一部及び/又は複数の共振回路を接合する容量素子として用いられることを特徴とする高周波部品。
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