JP2004207583A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧ならびにニー電圧を低減しながら、エミッタ抵抗の上昇によるエミッタ層からベース層への注入効率の低下、ベース層とコレクタ層の間の耐圧の劣化、または欠陥導入による信頼性低下などの基本的なトランジスタ特性の悪化を抑制できるヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】エミッタ層5、ベース層4およびコレクタ層3を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、ベース層4の電子親和力がエミッタ層5およびコレクタ層3の電子親和力よりも小さく、エミッタ層5とベース層4の間およびベース層4とコレクタ層3の間の少なくともいずれか一方に中間層11または12が形成され、中間層11または12の電子親和力は中間層11または12を挟む2つの層の電子親和力の間の値を有する構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】エミッタ層5、ベース層4およびコレクタ層3を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、ベース層4の電子親和力がエミッタ層5およびコレクタ層3の電子親和力よりも小さく、エミッタ層5とベース層4の間およびベース層4とコレクタ層3の間の少なくともいずれか一方に中間層11または12が形成され、中間層11または12の電子親和力は中間層11または12を挟む2つの層の電子親和力の間の値を有する構成とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に関し、特にヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置に用いられるトランジスタとしては、バイポーラトランジスタとMOS(金属−酸化膜−半導体)電界効果トランジスタなどの電界効果トランジスタに大別される。
【0003】
バイポーラトランジスタの一つであるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor、以下HBTとも称する)は、エミッタ層にベース層よりもバンドギャップが広い材料を用いたバイポーラトランジスタであり、エミッタ層よりもベース層の不純物濃度を濃くしてもエミッタ層からベース層への電子の注入効率(エミッタ効率)を高く保つことができる。
従って、ベース層厚を縮小してもベース層の抵抗を低く保ち、またベース層のパンチスルーを抑えてエミッタ・コレクタ間の耐圧を高く保つことができる。基本的に高速・高耐圧性能に優れたデバイスである。
【0004】
また、HBTは高い電流駆動能力を有することから、電力増幅器(パワーアンプ、以下PAとも称する)用デバイスとして優れ、さらに単一電源動作が容易であるというメリットから、近年、移動体通信端末用PAとして広範に使用されてきている。
【0005】
PAにおける効率の良さを示す指標として、電力付加効率(Power−Added Efficiency:PAE)が知られている。PAEは、付加電力、つまり出力パワーPout と入力パワーPinの差の、直流投入電力Pdcに対する比として定義され、この値が大きいほどパワーアンプの消費電力を抑制することが可能であるため、この値はパワーアンプにおける重要な指標のひとつとなっている。移動体通信端末では全消費電力のうち送信側パワーアンプによる電力消費が大きな割合を占めるため、特に重要である。
【0006】
上記のHBTのうちInPと格子整合するHBTとしては、例えば、基板上に、n型のInGaAsよりなるコレクタ層、p型のInGaAsよりなるベース層、および、n型のInPよりなるエミッタ層が順次積層された構成(第1世代のHBTとも称する)が知られている。
この第1世代のHBTは非常に高速に駆動させることが可能であるが、コレクタ層のバンドギャップが狭いためにベース・コレクタ間の耐圧が弱いという欠点がある。
【0007】
上記に対して、例えば基板上に、n型のInPよりなるコレクタ層、p型のInGaAsよりなるベース層、および、n型のInPよりなるエミッタ層が順次積層されたダブルヘテロ構造の構成(第2世代のHBTとも称する)が知られている。
この第2世代のHBTは、第1世代のHBTに対してコレクタ層をワイドギャップにした構造であって、耐圧を向上させることができる。
しかしながら、ベース層よりもコレクタ層の電子親和力が小さいために、そのままだとベース層からコレクタ層への電流の流れが妨げられるため、これを改善するために、ベース・コレクタ間のエネルギーバンドプロファイルをグレイディッドにするなどの工夫が必要となっている。
【0008】
ところで、このようなHBTを用いてパワーアンプを構成する場合、そのPAEを向上させるためにデバイス側に要求されることのひとつに、Ic −Vce特性におけるニー(Knee)電圧Vk の低減がある。
ニー電圧を低減するには、Ic −Vce特性におけるIc の立ち上がり電圧であるオフセット電圧Voffsetを小さくする必要がある。
上記のオフセット電圧Voffsetは、エミッタ・ベース間の順方向立ち上がり電圧Vteb とベース・コレクタ間の順方向立ち上がり電圧Vtbc の差、Vteb −Vtbc でほぼ決まる。
【0009】
ところが、エミッタの電子親和力がベースの電子親和力よりも小さなヘテロ接合系では、ベース層とコレクタ層の間に伝導体端のエネルギー不連続がない場合、エミッタ層とベース層の間に生じる伝導帯端のエネルギー不連続量をΔEcとすると、Vteb −Vtbc の値がほぼΔEcとなる。
すなわち、上記の第1世代のHBTでは、Vteb −Vtbc の値はそれなりに大きな値を取ることになってしまう。
一方、上記の第2世代のHBTでは、ベース層を中心にエミッタ層とコレクタ層が対称な構成となるので、この場合にはVteb −Vtbc の値をほぼ0に近づけられるものの、ベース・コレクタ間にグレイディッドなエネルギーバンドプロファイルの中間層を設けると、Vteb −Vtbc の値はそれなりの値となってしまう。
【0010】
一方、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きな、いわゆるスタッガード・タイプ(staggered type)のヘテロ接合系のHBTにおいては、Vteb −Vtbc の値がほぼ0となるため、オフセット電圧Voffsetを低減する上で好都合である。
【0011】
図7は上記のスタッガード・タイプのHBTの一例の断面図である。
上記の半導体装置は、例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4、n型のInPよりなるエミッタ層5、n型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。また、ベース、コレクタへのオーミックコンタクト形成のためにメサ構造が形成され、ベース層4、サブコレクタ層2の一部が、それぞれ、ベース電極8、コレクタ電極9と接するようになっている。
これらの電極は、例えばTi/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0012】
図8は、図7に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであることを示している。
このようなHBTにおいては、先に述べたように、オフセット電圧Voffsetの値を0に近づけやすいというメリットがある。
【0013】
例えば、下記の特許文献1および2には上述の第1世代のHBTについての記載があり、特許文献3には上述のスタッガード・タイプのHBTについての記載がある。
また、下記の特許文献4〜7には、AlGaAs/GaAs系など、その他の種類のHBTについての記載がある。
【0014】
【特許文献1】
特開平5−41388号公報
【特許文献2】
特開平6−326120号公報
【特許文献3】
特開2002−270616号公報
【特許文献4】
特開平6−260493号公報
【特許文献5】
特開平8−250509号公報
【特許文献6】
特開平11−176838号公報
【特許文献7】
特開2002−270817号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のスタッガード・タイプのHBTは、エミッタ層とベース層の間に生じる伝導帯端のエネルギー不連続量ΔEcが大きすぎると、エミッタ抵抗が高くなり、エミッタ層からベース層への電子の注入効率が下がってしまうという問題が生じる。
また、このΔEcが大きすぎるとベース層とコレクタ層の間の耐圧が低下するという問題が生じやすくなる。
さらに他の問題として、図7に示す構造のHBTにおいては、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が一部露出してしまい、これに起因して欠陥が導入されてしまうことがあり、信頼性が低下してしまうことになる。
このように、スタッガード・タイプのHBTは、オフセット電圧Voffsetの値を0にしやすく、ニー電圧を低減することができるという利点がある一方で、エミッタ抵抗の増加、ベース層とコレクタ層の間の耐圧低下、あるいは欠陥導入による信頼性低下などの基本的なトランジスタ特性を悪化させてしまう場合がある。
【0016】
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧を劣化させること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下してしまうことなどの基本的なトランジスタ特性が悪化することを抑制できるヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の半導体装置は、エミッタ層、ベース層およびコレクタ層を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、前記ベース層の電子親和力が、前記エミッタ層および前記コレクタ層の電子親和力よりも小さく、前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の少なくともいずれか一方に中間層が形成されており、前記中間層の電子親和力は前記中間層を挟む2つの層の電子親和力の間の値を有する。
【0018】
上記の本発明の半導体装置は、好適には、前記中間層が前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の両方に形成されている。
【0019】
上記の本発明の半導体装置は、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有する。
このHBTにおいて、エミッタ層とベース層の間およびベース層とコレクタ層の間の少なくともいずれか一方に、好ましくは両方に、それを挟む2つの層の電子親和力の間の値の電子親和力を有する中間層が形成されている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
第1実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図1は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・エミッタ中間層11、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極8近傍のベース・エミッタ中間層11は除去されていてベース電極8とベース層4が直接コンタクトしていてもよく、あるいは、ベース電極8とベース層4の間に、ベース・エミッタ中間層11の一部が介在してもいい。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0022】
図2は、図1に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・エミッタ中間層11の電子親和力は、これを挟むエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、即ち、エミッタ層よりも電子親和力が小さく、ベース層よりも電子親和力が大きい構成となっている。このようなエネルギープロファイルを有する構成材料として、例えばInGaAsSbを用いることができる。
特に、ベース・エミッタ中間層11は、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するようなプロファイルを有しており、これにより、ベース・エミッタ中間層11を挟むエミッタ層とベース層の電子親和力がなめらかに接続されるようなプロファイルとなっている。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、エミッタ層からベース層に向かって組成比が連続的に変化するような組成傾斜を有する構成となっている。
【0023】
本実施形態のHBTにおいて、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するような材料で構成されたベース・エミッタ中間層11が設けられているが、その理由は、図7に示す従来例に係るHBTにおいては、ベース層4とエミッタ層5の間にできる伝導帯端エネルギーの不連続によって、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が低下する可能性があるからである。これが問題となる程度は、この伝導帯端エネルギーの不連続量ΔEcの大きさに依存し、ΔEcが大きいほど大きな問題となる。
即ち、本実施形態のHBTにおいてベース・エミッタ中間層11を設けることにより、エミッタ抵抗を低減できる。
【0024】
また、ベース・エミッタ中間層11は、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が段階的に減少するようなプロファイルとしてもよい。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、エミッタ層からベース層に向かって組成比が複数段の階段状に変化するような組成傾斜を有する。即ち、一様な組成比の薄膜を複数層積層させ、各薄膜の組成比をエミッタ層からベース層に向かって複数段の階段状に変化させることにより擬似的な組成傾斜を設けた構成である。
さらに、ベース・エミッタ中間層11は、単にエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有する単一組成の層としても一定の効果が得られる。
【0025】
ベース・エミッタ中間層としては、上記のn+ 型のInGaAsSbのほか、例えばInAlGaAsあるいはInGaPなどを用いることもできる。
あるいは、上記のように組成比が複数段の階段状に変化するようなプロファイルとするには、例えばInGaAs薄膜とInAlAs薄膜の多層膜や、InP薄膜とGaAsSb薄膜の多層膜を用いることができる。
【0026】
その他、ベース層としては、例えばSbを含む材料を用いることができ、また、エミッタ層やコレクタ層としては、例えばPまたはAsを含む材料を用いることができる。
例えば、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4はそのままに、エミッタ層5にn+ 型のInGaAs層を用い、ベース・エミッタ中間層11としてInPを用いることもできる。この場合、ベース層とエミッタ層の間のΔEcが大きいため、中間層の存在はより重要となる。
【0027】
上記の説明から明らかなように、本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してエミッタ抵抗を低減し、エミッタ層からベース層への注入効率を高めることができ、パワーアンプに応用した場合、低歪高効率のパワーアンプを実現できる。
さらに、本実施形態の半導体装置のHBTは、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が露出しない構造をとりやすく、欠陥が導入されて信頼性が低下することを回避することができる。
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がることや、欠陥が導入されて信頼性が低下することなど、基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0028】
第2実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態と同様に、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図3は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・コレクタ中間層12、p+型のGaAsSbよりなるベース層4、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0029】
図4は、図3に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、これを挟むコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、即ち、コレクタ層よりも電子親和力が小さく、ベース層よりも電子親和力が大きい構成となっている。このようなエネルギープロファイルを有する構成材料として、例えばInGaAsSbを用いることができる。
特に、ベース・コレクタ中間層12は、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するようなプロファイルを有しており、これにより、ベース・コレクタ中間層12を挟むコレクタ層とベース層の電子親和力がなめらかに接続されるようなプロファイルとなっている。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、コレクタ層からベース層に向かって組成比が連続的に変化するような組成傾斜を有する構成となっている。
【0030】
本実施形態のHBTにおいて、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するような材料で構成されたベース・コレクタ中間層12が設けられているが、その理由は、図7に示す従来例に係るHBTにおいては、ベース層4とエミッタ層5の間にできる伝導帯端エネルギーの不連続ΔEcが大きくなるに従って、ベース層からコレクタ層への直接トンネリングが生じやすく、ベース層とコレクタ層の間の耐圧の低下が生じやすくなるからである。
即ち、本実施形態のHBTにおいてベース・コレクタ中間層12を設けることにより、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
【0031】
なお、第1実施形態において説明したベース・エミッタ中間層に対する補足は、ベース・コレクタ中間層に対してもそのままあてはまる。
即ち、第1実施形態のベース・エミッタ中間層11と同様に、ベース・コレクタ中間層12は、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が段階的に減少するようなプロファイルとしてもよい。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、コレクタ層からベース層に向かって組成比が複数段の階段状に変化するような組成傾斜を有する。即ち、一様な組成比の薄膜を複数層積層させ、各薄膜の組成比をコレクタ層からベース層に向かって複数段の階段状に変化させることにより擬似的な組成傾斜を設けた構成である。
さらに、ベース・コレクタ中間層12は、単にコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有する単一組成の層としても一定の効果が得られる。
【0032】
ベース・コレクタ中間層としては、上記のn+ 型のInGaAsSbのほか、例えばInAlGaAsあるいはInGaPなどを用いることもできる。
あるいは、上記のように組成比が複数段の階段状に変化するようなプロファイルとするには、例えばInGaAs薄膜とInAlAs薄膜の多層膜や、InP薄膜とGaAsSb薄膜の多層膜を用いることができる。
【0033】
その他、ベース層としては、例えばSbを含む材料を用いることができ、また、エミッタ層やコレクタ層としては、例えばPまたはAsを含む材料を用いることができる。
例えば、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4はそのままに、コレクタ層3にn+ 型のInGaAs層を用い、ベース・コレクタ中間層12としてInPを用いることもできる。この場合、ベース層とエミッタ層の間のΔEcが大きいため、中間層の存在はより重要となる。
【0034】
上記の説明から明らかなように、本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が下がるという基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0035】
第3実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図5は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・コレクタ中間層12、p+型のGaAsSbよりなるベース層4、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・エミッタ中間層11、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極8近傍のベース・エミッタ中間層11は除去されていてベース電極8とベース層4が直接コンタクトしていてもよく、あるいは、ベース電極8とベース層4の間に、ベース・エミッタ中間層11の一部が介在してもいい。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0036】
図6は、図5に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・エミッタ中間層11およびベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、それぞれ第1実施形態および第2実施形態に説明した特性を有している。
即ち、ベース・エミッタ中間層11は、これを挟むエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、ベース・コレクタ中間層12は、これを挟むコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有している。
ベース・エミッタ中間層11およびベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、徐々に連続的に変化するプロファイルや、複数段の階段状に変化するプロファイルとすることができ、さらにそれらを挟む層の間の単一の値とすることもできる。
【0037】
本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してエミッタ抵抗を低減し、エミッタ層からベース層への注入効率を高めることができ、パワーアンプに応用した場合、低歪高効率のパワーアンプを実現できる。
さらに、本実施形態の半導体装置のHBTは、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が露出しない構成とすることが容易なため、欠陥が導入されて信頼性が低下することを回避することができる。
さらに、従来のHBTと比較してベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の半導体装置のHBTは、エミッタ・ベース間の順方向立ち上がり電圧Vteb とベース・コレクタ間の順方向立ち上がり電圧Vtbc がほぼ等しいので、Vteb −Vtbc の値をほぼ0に近づけられる。
【0039】
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が下がること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下することなどの基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0040】
本発明の半導体装置は上記の実施形態に限定されない。
例えば、実施形態においてはnpn型のバイポーラトランジスタについて説明しているが、pnp型に適用することも可能である。
また、コレクタ層、ベース層およびエミッタ層の積層体のメサ構造の形状や各層に接続する電極の配置などは、実施形態に限定されず、種々の形状、配置を採用することができる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の半導体装置によれば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置において、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧を劣化させること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下してしまうことなどの基本的なトランジスタ特性が悪化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図2】図2は図1に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図3】図3は第2実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図4】図4は図3に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図5】図5は第3実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図6】図6は図5に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図7】図7は従来例に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図8】図8は図7に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…基板、2…サブコレクタ層、3…コレクタ層、4…ベース層、5…エミッタ層、6…キャップ層、7…エミッタ電極、8ベース電極、9…コレクタ電極、10…絶縁膜、11…ベース・エミッタ中間層、12…ベース・コレクタ中間層。
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に関し、特にヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置に用いられるトランジスタとしては、バイポーラトランジスタとMOS(金属−酸化膜−半導体)電界効果トランジスタなどの電界効果トランジスタに大別される。
【0003】
バイポーラトランジスタの一つであるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor、以下HBTとも称する)は、エミッタ層にベース層よりもバンドギャップが広い材料を用いたバイポーラトランジスタであり、エミッタ層よりもベース層の不純物濃度を濃くしてもエミッタ層からベース層への電子の注入効率(エミッタ効率)を高く保つことができる。
従って、ベース層厚を縮小してもベース層の抵抗を低く保ち、またベース層のパンチスルーを抑えてエミッタ・コレクタ間の耐圧を高く保つことができる。基本的に高速・高耐圧性能に優れたデバイスである。
【0004】
また、HBTは高い電流駆動能力を有することから、電力増幅器(パワーアンプ、以下PAとも称する)用デバイスとして優れ、さらに単一電源動作が容易であるというメリットから、近年、移動体通信端末用PAとして広範に使用されてきている。
【0005】
PAにおける効率の良さを示す指標として、電力付加効率(Power−Added Efficiency:PAE)が知られている。PAEは、付加電力、つまり出力パワーPout と入力パワーPinの差の、直流投入電力Pdcに対する比として定義され、この値が大きいほどパワーアンプの消費電力を抑制することが可能であるため、この値はパワーアンプにおける重要な指標のひとつとなっている。移動体通信端末では全消費電力のうち送信側パワーアンプによる電力消費が大きな割合を占めるため、特に重要である。
【0006】
上記のHBTのうちInPと格子整合するHBTとしては、例えば、基板上に、n型のInGaAsよりなるコレクタ層、p型のInGaAsよりなるベース層、および、n型のInPよりなるエミッタ層が順次積層された構成(第1世代のHBTとも称する)が知られている。
この第1世代のHBTは非常に高速に駆動させることが可能であるが、コレクタ層のバンドギャップが狭いためにベース・コレクタ間の耐圧が弱いという欠点がある。
【0007】
上記に対して、例えば基板上に、n型のInPよりなるコレクタ層、p型のInGaAsよりなるベース層、および、n型のInPよりなるエミッタ層が順次積層されたダブルヘテロ構造の構成(第2世代のHBTとも称する)が知られている。
この第2世代のHBTは、第1世代のHBTに対してコレクタ層をワイドギャップにした構造であって、耐圧を向上させることができる。
しかしながら、ベース層よりもコレクタ層の電子親和力が小さいために、そのままだとベース層からコレクタ層への電流の流れが妨げられるため、これを改善するために、ベース・コレクタ間のエネルギーバンドプロファイルをグレイディッドにするなどの工夫が必要となっている。
【0008】
ところで、このようなHBTを用いてパワーアンプを構成する場合、そのPAEを向上させるためにデバイス側に要求されることのひとつに、Ic −Vce特性におけるニー(Knee)電圧Vk の低減がある。
ニー電圧を低減するには、Ic −Vce特性におけるIc の立ち上がり電圧であるオフセット電圧Voffsetを小さくする必要がある。
上記のオフセット電圧Voffsetは、エミッタ・ベース間の順方向立ち上がり電圧Vteb とベース・コレクタ間の順方向立ち上がり電圧Vtbc の差、Vteb −Vtbc でほぼ決まる。
【0009】
ところが、エミッタの電子親和力がベースの電子親和力よりも小さなヘテロ接合系では、ベース層とコレクタ層の間に伝導体端のエネルギー不連続がない場合、エミッタ層とベース層の間に生じる伝導帯端のエネルギー不連続量をΔEcとすると、Vteb −Vtbc の値がほぼΔEcとなる。
すなわち、上記の第1世代のHBTでは、Vteb −Vtbc の値はそれなりに大きな値を取ることになってしまう。
一方、上記の第2世代のHBTでは、ベース層を中心にエミッタ層とコレクタ層が対称な構成となるので、この場合にはVteb −Vtbc の値をほぼ0に近づけられるものの、ベース・コレクタ間にグレイディッドなエネルギーバンドプロファイルの中間層を設けると、Vteb −Vtbc の値はそれなりの値となってしまう。
【0010】
一方、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きな、いわゆるスタッガード・タイプ(staggered type)のヘテロ接合系のHBTにおいては、Vteb −Vtbc の値がほぼ0となるため、オフセット電圧Voffsetを低減する上で好都合である。
【0011】
図7は上記のスタッガード・タイプのHBTの一例の断面図である。
上記の半導体装置は、例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4、n型のInPよりなるエミッタ層5、n型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。また、ベース、コレクタへのオーミックコンタクト形成のためにメサ構造が形成され、ベース層4、サブコレクタ層2の一部が、それぞれ、ベース電極8、コレクタ電極9と接するようになっている。
これらの電極は、例えばTi/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0012】
図8は、図7に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであることを示している。
このようなHBTにおいては、先に述べたように、オフセット電圧Voffsetの値を0に近づけやすいというメリットがある。
【0013】
例えば、下記の特許文献1および2には上述の第1世代のHBTについての記載があり、特許文献3には上述のスタッガード・タイプのHBTについての記載がある。
また、下記の特許文献4〜7には、AlGaAs/GaAs系など、その他の種類のHBTについての記載がある。
【0014】
【特許文献1】
特開平5−41388号公報
【特許文献2】
特開平6−326120号公報
【特許文献3】
特開2002−270616号公報
【特許文献4】
特開平6−260493号公報
【特許文献5】
特開平8−250509号公報
【特許文献6】
特開平11−176838号公報
【特許文献7】
特開2002−270817号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のスタッガード・タイプのHBTは、エミッタ層とベース層の間に生じる伝導帯端のエネルギー不連続量ΔEcが大きすぎると、エミッタ抵抗が高くなり、エミッタ層からベース層への電子の注入効率が下がってしまうという問題が生じる。
また、このΔEcが大きすぎるとベース層とコレクタ層の間の耐圧が低下するという問題が生じやすくなる。
さらに他の問題として、図7に示す構造のHBTにおいては、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が一部露出してしまい、これに起因して欠陥が導入されてしまうことがあり、信頼性が低下してしまうことになる。
このように、スタッガード・タイプのHBTは、オフセット電圧Voffsetの値を0にしやすく、ニー電圧を低減することができるという利点がある一方で、エミッタ抵抗の増加、ベース層とコレクタ層の間の耐圧低下、あるいは欠陥導入による信頼性低下などの基本的なトランジスタ特性を悪化させてしまう場合がある。
【0016】
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧を劣化させること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下してしまうことなどの基本的なトランジスタ特性が悪化することを抑制できるヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の半導体装置は、エミッタ層、ベース層およびコレクタ層を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、前記ベース層の電子親和力が、前記エミッタ層および前記コレクタ層の電子親和力よりも小さく、前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の少なくともいずれか一方に中間層が形成されており、前記中間層の電子親和力は前記中間層を挟む2つの層の電子親和力の間の値を有する。
【0018】
上記の本発明の半導体装置は、好適には、前記中間層が前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の両方に形成されている。
【0019】
上記の本発明の半導体装置は、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有する。
このHBTにおいて、エミッタ層とベース層の間およびベース層とコレクタ層の間の少なくともいずれか一方に、好ましくは両方に、それを挟む2つの層の電子親和力の間の値の電子親和力を有する中間層が形成されている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の半導体装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
第1実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図1は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・エミッタ中間層11、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極8近傍のベース・エミッタ中間層11は除去されていてベース電極8とベース層4が直接コンタクトしていてもよく、あるいは、ベース電極8とベース層4の間に、ベース・エミッタ中間層11の一部が介在してもいい。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0022】
図2は、図1に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・エミッタ中間層11の電子親和力は、これを挟むエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、即ち、エミッタ層よりも電子親和力が小さく、ベース層よりも電子親和力が大きい構成となっている。このようなエネルギープロファイルを有する構成材料として、例えばInGaAsSbを用いることができる。
特に、ベース・エミッタ中間層11は、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するようなプロファイルを有しており、これにより、ベース・エミッタ中間層11を挟むエミッタ層とベース層の電子親和力がなめらかに接続されるようなプロファイルとなっている。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、エミッタ層からベース層に向かって組成比が連続的に変化するような組成傾斜を有する構成となっている。
【0023】
本実施形態のHBTにおいて、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するような材料で構成されたベース・エミッタ中間層11が設けられているが、その理由は、図7に示す従来例に係るHBTにおいては、ベース層4とエミッタ層5の間にできる伝導帯端エネルギーの不連続によって、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が低下する可能性があるからである。これが問題となる程度は、この伝導帯端エネルギーの不連続量ΔEcの大きさに依存し、ΔEcが大きいほど大きな問題となる。
即ち、本実施形態のHBTにおいてベース・エミッタ中間層11を設けることにより、エミッタ抵抗を低減できる。
【0024】
また、ベース・エミッタ中間層11は、エミッタ層からベース層に向かって電子親和力が段階的に減少するようなプロファイルとしてもよい。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、エミッタ層からベース層に向かって組成比が複数段の階段状に変化するような組成傾斜を有する。即ち、一様な組成比の薄膜を複数層積層させ、各薄膜の組成比をエミッタ層からベース層に向かって複数段の階段状に変化させることにより擬似的な組成傾斜を設けた構成である。
さらに、ベース・エミッタ中間層11は、単にエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有する単一組成の層としても一定の効果が得られる。
【0025】
ベース・エミッタ中間層としては、上記のn+ 型のInGaAsSbのほか、例えばInAlGaAsあるいはInGaPなどを用いることもできる。
あるいは、上記のように組成比が複数段の階段状に変化するようなプロファイルとするには、例えばInGaAs薄膜とInAlAs薄膜の多層膜や、InP薄膜とGaAsSb薄膜の多層膜を用いることができる。
【0026】
その他、ベース層としては、例えばSbを含む材料を用いることができ、また、エミッタ層やコレクタ層としては、例えばPまたはAsを含む材料を用いることができる。
例えば、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4はそのままに、エミッタ層5にn+ 型のInGaAs層を用い、ベース・エミッタ中間層11としてInPを用いることもできる。この場合、ベース層とエミッタ層の間のΔEcが大きいため、中間層の存在はより重要となる。
【0027】
上記の説明から明らかなように、本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してエミッタ抵抗を低減し、エミッタ層からベース層への注入効率を高めることができ、パワーアンプに応用した場合、低歪高効率のパワーアンプを実現できる。
さらに、本実施形態の半導体装置のHBTは、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が露出しない構造をとりやすく、欠陥が導入されて信頼性が低下することを回避することができる。
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がることや、欠陥が導入されて信頼性が低下することなど、基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0028】
第2実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態と同様に、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図3は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・コレクタ中間層12、p+型のGaAsSbよりなるベース層4、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0029】
図4は、図3に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、これを挟むコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、即ち、コレクタ層よりも電子親和力が小さく、ベース層よりも電子親和力が大きい構成となっている。このようなエネルギープロファイルを有する構成材料として、例えばInGaAsSbを用いることができる。
特に、ベース・コレクタ中間層12は、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するようなプロファイルを有しており、これにより、ベース・コレクタ中間層12を挟むコレクタ層とベース層の電子親和力がなめらかに接続されるようなプロファイルとなっている。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、コレクタ層からベース層に向かって組成比が連続的に変化するような組成傾斜を有する構成となっている。
【0030】
本実施形態のHBTにおいて、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が連続的に徐々に減少するような材料で構成されたベース・コレクタ中間層12が設けられているが、その理由は、図7に示す従来例に係るHBTにおいては、ベース層4とエミッタ層5の間にできる伝導帯端エネルギーの不連続ΔEcが大きくなるに従って、ベース層からコレクタ層への直接トンネリングが生じやすく、ベース層とコレクタ層の間の耐圧の低下が生じやすくなるからである。
即ち、本実施形態のHBTにおいてベース・コレクタ中間層12を設けることにより、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
【0031】
なお、第1実施形態において説明したベース・エミッタ中間層に対する補足は、ベース・コレクタ中間層に対してもそのままあてはまる。
即ち、第1実施形態のベース・エミッタ中間層11と同様に、ベース・コレクタ中間層12は、コレクタ層からベース層に向かって電子親和力が段階的に減少するようなプロファイルとしてもよい。
この場合、例えばInGaAsSbの組成において、コレクタ層からベース層に向かって組成比が複数段の階段状に変化するような組成傾斜を有する。即ち、一様な組成比の薄膜を複数層積層させ、各薄膜の組成比をコレクタ層からベース層に向かって複数段の階段状に変化させることにより擬似的な組成傾斜を設けた構成である。
さらに、ベース・コレクタ中間層12は、単にコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有する単一組成の層としても一定の効果が得られる。
【0032】
ベース・コレクタ中間層としては、上記のn+ 型のInGaAsSbのほか、例えばInAlGaAsあるいはInGaPなどを用いることもできる。
あるいは、上記のように組成比が複数段の階段状に変化するようなプロファイルとするには、例えばInGaAs薄膜とInAlAs薄膜の多層膜や、InP薄膜とGaAsSb薄膜の多層膜を用いることができる。
【0033】
その他、ベース層としては、例えばSbを含む材料を用いることができ、また、エミッタ層やコレクタ層としては、例えばPまたはAsを含む材料を用いることができる。
例えば、p+ 型のGaAsSbよりなるベース層4はそのままに、コレクタ層3にn+ 型のInGaAs層を用い、ベース・コレクタ中間層12としてInPを用いることもできる。この場合、ベース層とエミッタ層の間のΔEcが大きいため、中間層の存在はより重要となる。
【0034】
上記の説明から明らかなように、本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が下がるという基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0035】
第3実施形態
本実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであるスタッガード・タイプのHBTを有し、図5は上記のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
例えば、半絶縁性のFeがドープされた単結晶InPよりなる基板1上に、n+ 型のInGaAsよりなるサブコレクタ層2、n- 型のInPよりなるコレクタ層3、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・コレクタ中間層12、p+型のGaAsSbよりなるベース層4、n+ 型のInGaAsSbよりなるベース・エミッタ中間層11、n型のInPよりなるエミッタ層5、n+ 型のInGaAsよりなるキャップ層6が順次積層されている。
キャップ層6の上にはエミッタ電極7が形成されている。ベースコンタクト形成のために、キャップ層6、エミッタ層5の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極8近傍のベース・エミッタ中間層11は除去されていてベース電極8とベース層4が直接コンタクトしていてもよく、あるいは、ベース電極8とベース層4の間に、ベース・エミッタ中間層11の一部が介在してもいい。
コレクタ電極9の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層2の上部にコレクタ電極9が形成されている。
エミッタ電極7、ベース電極8、コレクタ電極9は、例えば、Ti/Pt/Auの積層体から形成されている。
また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi3 N4 よりなる絶縁膜10により覆われている。
【0036】
図6は、図5に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図であり、伝導帯Cと価電子帯Vのエネルギー準位を示している。
エミッタやコレクタの電子親和力がベースの電子親和力よりも大きいエネルギーバンドプロファイルであり、いわゆるスタッガード・タイプであることを示している。
ここで、ベース・エミッタ中間層11およびベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、それぞれ第1実施形態および第2実施形態に説明した特性を有している。
即ち、ベース・エミッタ中間層11は、これを挟むエミッタ層とベース層の電子親和力の間の値を有しており、ベース・コレクタ中間層12は、これを挟むコレクタ層とベース層の電子親和力の間の値を有している。
ベース・エミッタ中間層11およびベース・コレクタ中間層12の電子親和力は、徐々に連続的に変化するプロファイルや、複数段の階段状に変化するプロファイルとすることができ、さらにそれらを挟む層の間の単一の値とすることもできる。
【0037】
本実施形態の半導体装置のHBTは、従来のHBTと比較してエミッタ抵抗を低減し、エミッタ層からベース層への注入効率を高めることができ、パワーアンプに応用した場合、低歪高効率のパワーアンプを実現できる。
さらに、本実施形態の半導体装置のHBTは、製造プロセスにおいて、エミッタ・ベース間のpn接合の表面が露出しない構成とすることが容易なため、欠陥が導入されて信頼性が低下することを回避することができる。
さらに、従来のHBTと比較してベース層とコレクタ層の間の耐圧が劣化するのを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の半導体装置のHBTは、エミッタ・ベース間の順方向立ち上がり電圧Vteb とベース・コレクタ間の順方向立ち上がり電圧Vtbc がほぼ等しいので、Vteb −Vtbc の値をほぼ0に近づけられる。
【0039】
本実施形態の半導体装置によれば、スタッガード・タイプの採用によりヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧が下がること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下することなどの基本的なトランジスタ特性が悪化するのを抑制することができる。
【0040】
本発明の半導体装置は上記の実施形態に限定されない。
例えば、実施形態においてはnpn型のバイポーラトランジスタについて説明しているが、pnp型に適用することも可能である。
また、コレクタ層、ベース層およびエミッタ層の積層体のメサ構造の形状や各層に接続する電極の配置などは、実施形態に限定されず、種々の形状、配置を採用することができる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の半導体装置によれば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置において、ヘテロ接合バイポーラトランジスタのオフセット電圧Voffsetならびにニー電圧の低減を可能にしながら、エミッタ抵抗が高くなってエミッタ層からベース層への注入効率が下がること、ベース層とコレクタ層の間の耐圧を劣化させること、あるいは欠陥が導入されて信頼性が低下してしまうことなどの基本的なトランジスタ特性が悪化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図2】図2は図1に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図3】図3は第2実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図4】図4は図3に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図5】図5は第3実施形態に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図6】図6は図5に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図7】図7は従来例に係る半導体装置のスタッガード・タイプのHBTの断面図である。
【図8】図8は図7に示すHBTに対応するエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…基板、2…サブコレクタ層、3…コレクタ層、4…ベース層、5…エミッタ層、6…キャップ層、7…エミッタ電極、8ベース電極、9…コレクタ電極、10…絶縁膜、11…ベース・エミッタ中間層、12…ベース・コレクタ中間層。
Claims (4)
- エミッタ層、ベース層およびコレクタ層を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを有する半導体装置であって、
前記ベース層の電子親和力が、前記エミッタ層および前記コレクタ層の電子親和力よりも小さく、
前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の少なくともいずれか一方に中間層が形成されており、
前記中間層の電子親和力は前記中間層を挟む2つの層の電子親和力の間の値を有する
半導体装置。 - 前記中間層が前記エミッタ層と前記ベース層の間および前記ベース層と前記コレクタ層の間の両方に形成されている
請求項1に記載の半導体装置。 - 前記中間層の電子親和力が前記中間層を挟む2つの層の電子親和力をなめらかに接続するようなプロファイルを有する
請求項1に記載の半導体装置。 - 前記中間層の電子親和力が前記中間層を挟む2つの層の電子親和力を接続するように複数段の階段状のプロファイルを有する
請求項1に記載の半導体装置。
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