JP2007294782A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低電圧動作に有利であると共に、ベース層のシート抵抗を低減してfmaxの増大及びGainの増大、更には高効率動作を可能とし、また特にエミッタ層を制御性良く高品質に形成でき、エミッタ注入効率を安定して得ることのできるHBT構造を具備する(並びにこれを主要な構成要素とする)半導体装置を提供すること。
【解決手段】 第1導電型のエミッタ層と、第2導電型のベース層と、第1導電型のコレクタ層とを半導体基体上に有するHBT(ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)を具備する半導体装置において、前記エミッタ層及び前記コレクタ層はGaAsを主成分とし、前記ベース層はGeを主成分とすることを特徴とする半導体装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、第1導電型のエミッタ層と、第2導電型のベース層と、第1導電型のコレクタ層とを半導体基体上に有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを具備する半導体装置に関するものである。
バイポーラトランジスタの一種であるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:以下、HBTとも称する。)は、エミッタ層にベース層よりもバンドギャップが広い材料を用いたバイポーラトランジスタであって、エミッタ層よりもベース層の不純物濃度を濃くしてもエミッタ層からベース層への電子の注入効率(エミッタ効率)を高く保つことができる。従って、エミッタ効率の劣化による電流利得の減少を引き起こすことなく、エミッタ・ベース間容量、ベース抵抗を低減でき、ベース層のパンチスルーを抑制できる等の基本的な利点を有する。
また、HBTは高い電流駆動能力を有することから、電力増幅器(パワーアンプ:以下、PAとも称する。)用デバイスとして優れ、更に単一電源動作が容易であるというメリットから、近年、移動体通信端末用PAで使用されている。
PAにおける重要な指標のひとつに電力付加効率(Power-Added Efficiency:PAE)がある。PAEは、出力パワーPoutと入力パワーPinとの差の、直流投入電力Pdcに対する比:(Pout−Pin)/Pdcとして定義される。PAEはPAの効率の良さを表す指標であり、この値が大きいほどパワーアンプの消費電力が抑制される。移動体通信の端末では、全消費電力のうち送信側パワーアンプによる電力消費が大きな割合を占めるため、この値を大きくすることは特に重要である。
最近のCDMA方式などのデジタル通信では、信号の歪に対しても厳しい規格が設けられているため、例えば、歪の指標であるACPRが一定値以下となるような条件下で効率を最大化することが必要になってくる。このため、線形性の良さもデバイスにとって重要な要素となる。
また、次世代の移動体通信端末を考えたとき、PA用トランジスタに対する潜在的要求事項としては、上述した事項のほか、電源電圧の低下に対応できること(低電圧動作)、より高い周波数で高利得・高効率動作が可能であること(高周波動作)などがある。
現在の移動体通信端末で使用されているGaAs系HBTの一例の断面構造を図8に示す。以下、この構造について簡単に説明する。
例えば、半絶縁性のS.I.GaAsからなる基板1上に、適切な(ここではn+型のGaAsからなる)バッファ層2を介してn+型のGaAsからなるサブコレクタ層3、n-型のGaAsからなるコレクタ層4、p+型のGaAsからなるベース層7、n型のInGaPからなる第1エミッタ層10、n型のGaAsからなる第2エミッタ層11、n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層12が順次積層されている。第1エミッタ層10、第2エミッタ層11にはAlGaAsを用いることもできる。
エミッタキャップ層12の上には、Ti/Pt/Auの積層構造のエミッタ電極13が形成されている。また、ベースコンタクト形成のために、エミッタキャップ層12、第2エミッタ層11の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極14は第1エミッタ層10の上に形成した後、熱処理等によってベース電極の一部と第1エミッタ層10を合金化させ、ベース層7とのオーミックコンタクトを形成してもよいし、図示したようにベース電極14が形成される領域のみ第1エミッタ層10を除去してもよい。
コレクタ電極15の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層3の上部にNi/Ge/Auの積層構造のコレクタ電極15が形成されている。電極と接していない半導体表面は、例えばSi34からなる絶縁膜16により覆われている。
このようなGaAs系HBTでは、エミッタ・ベースpn接合間の順方向ターン・オン電圧:Vbe-onが 〜1.3volt以上と高いことから、低電圧動作に対応しずらいという問題がある。
これに対して、InPを主要な構成要素(主成分)とするInP系HBTでは、エミッタ・ベースpn接合間の順方向ターン・オン電圧:Vbe-onが 〜0.7voltと低く、低電圧動作に有利である。
図9に、InP系HBTの一例の断面構造を示す。
例えば、半絶縁性のS.I.InPからなる基板21上に、適切な(ここではn+型のInGaAsからなる)バッファ層22を介して、n+型のInGaAsからなるサブコレクタ層23、n-型のInPからなるコレクタ層24、n+型のInPからなる高濃度薄層25、n-型のInGaAsPからなる組成変調(傾斜)層26、p+型のInGaAsからなるベース層27、n型のInPからなる第1エミッタ層30、n+型のInPからなる第2エミッタ層31、n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層32が順次積層されている。
エミッタキャップ層32の上には、Ti/Pt/Auの積層構造のエミッタ電極33が形成されている。また、ベース電極形成のために、第1エミッタ層30、第2エミッタ層31、エミッタキャップ層32の一部が除去されてメサ構造が形成され、ベース層27の上にベース電極34が形成されている。ベースコンタクトは第1エミッタ層30の上から合金化により形成してもよいし、図示したようにベース電極34が形成される領域のみ第1エミッタ層30を除去してもよい。
コレクタ電極35の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層23の上部に、Ti/Pt/Auの積層構造のコレクタ電極35が形成されている。電極と接していない半導体表面は、例えばSi34からなる絶縁膜36により覆われている。
このようなInP系HBTは、一般に高周波特性にも優れることから、先に述べたような低電圧動作だけでなく高周波動作にも有利と考えられる。
しかしながら、InP系HBTは、次世代移動体端末のPA用トランジスタに求められる基本特性を有しているものの、以下に示すような欠点を有する。
その第1は、よく知られているように、InP基板の価格がGaAs基板に比べてかなり高いことであり、また第2に、InGaAs層のオージェ係数がGaAs層に比べて大きいために、同程度の電流利得を得るために、InP系HBTではベース層の不純物濃度を低くせざるをえず、従ってベース層のシート抵抗が高くなる。このような高いベース抵抗は最大周波数(fmax)を低下させ、利得(Gain)を低下させる要因となる。
そこで、GaAs基板上にGaAsからなるコレクタ層、InGaPからなるエミッタ層を形成する一方、ベース層をGe(後記の特許文献1)又はSiGe(後記の特許文献2)で形成したHBTが提起されている。
こうしたHBTでは、ベース層をGe又はSiGeで形成しているために、ベース層の室温でのバンドギャップを小さくでき、更にGeのホール移動度が高いことからベース層のシート抵抗を低くすることができるという利点がある。
特開2003−243406公報(第2欄36〜50行目、図1) 特開2005−229074公報(第4頁44行目〜第5頁28行目、図1)
上述したように、ベース層にGeを用いたHBTは、室温でのベース層のバンドギャップを0.66eV程度と小さくすることができ、また、ベース層のシート抵抗を低くしてfmaxやGainに有利となり、更にベース層をGe単元素の結晶にすると、組成制御の必要がなく、結晶製造プロセスも容易となる。
しかしながら、これらのHBTでは、コレクタ層はGaAsからなっているが、エミッタ層はInGaPの三元系からなっているために、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層を形成する上での材料種が増え、その気相成長時の原料ガスの制御パラメータが増えると共に、InGaPの結晶が無秩序に成長し易いという問題がある。しかも、原料ガスの供給制御が乱れた場合に、図3に示すバンドギャップから明らかなように、InGaP層のバンドギャップがその組成比によっては微妙に変化し、ベース層との間の接合部の状態(即ち、エミッタからの電子の注入効率)が変化し易くなる。なお、図3は、米国特許第4,821,082号のFIG.6に基づくものであるが、IEEE Transactions on Electron Devices, vol.48,No.11(2001),pp.2631-2639を参考にして、GaAsSbベース層の伝導帯位置について修正を加えている。
しかも、エミッタ/ベースのヘテロ接合をInGaP/Geで構成しているので、図3から明らかなように、InGaPのバンドギャップが大きく、エミッタ層からベース層へのキャリア注入エネルギーが大きくなる。この結果、オフセット電圧(Voff)が大きくなるため、電力増幅器に応用した場合の効率が高くならない。
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、低電圧動作に有利であると共に、ベース層のシート抵抗を低減してfmaxの増大及びGainの増大、更には高効率動作を可能とし、また特にエミッタ層を制御性良く高品質に形成でき、高いエミッタ注入効率を安定して得ることのできるHBT構造を具備する(並びにこれを主要な構成要素とする)半導体装置を提供することにある。
即ち、本発明は、第1導電型のエミッタ層と、第2導電型のベース層と、第1導電型のコレクタ層とを半導体基体上に有するHBT(ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)を具備する半導体装置において、前記エミッタ層及び前記コレクタ層はGaAsを主成分とし、前記ベース層はGeを主成分とすることを特徴とする半導体装置に係るものである。ここで、上記の「主成分」とは、GaAs又はGeのみを成分とすることは勿論であるが、他のドーパント又は不純物が少量含まれていることも差支えないことを意味する。
本発明によれば、前記ベース層にGeを用いているので、エミッタ・ベース間のターン・オン電圧:Vbe-onを通常のGaAs系HBTよりも低くできる。これは、図3に示すように、GaAs系HBTのベース層に用いられるGaAsのバンドギャップ(Eg)が室温で約1.42eVであるのに対して、Geは約0.66eVと小さいからである。そして、GeはGaAsとほぼ格子定数が同じであるから、それらの間の格子整合が良好となる。
また、前記ベース層にGeを用いているために、ベース層のシート抵抗を小さくできる。これは、Geのホール移動度がGaAsやInGaAsと比べて5倍程度大きいためである。また、オージェ再結合係数はGaAsと同程度であってInGaAsよりも小さいため、一定の電流利得を得るためにドーピング濃度を下げる必要はない。つまり、ベース層への高濃度ドーピングが可能である。
また、バンドギャップが適度に大きいGaAsをエミッタ層に使用しているので、エミッタ/ベースのヘテロ接合をGaAs/Ge(又はGaAs/組成変調層/Ge)のように構成することにより、上述したInGaPをエミッタ層に用いる場合に比べて、エミッタ層からベース層へのキャリアの注入エネルギーが下がる。この結果、オフセット電圧(Voff)が下がるので、電力増幅器に応用した場合に効率が増大する。
また、前記エミッタ層、前記コレクタ層ともにGaAsを使用し、AlやPを含む化合物を使用しないので、これらの組成制御が必要でなく、各層間の接合部を安定に形成できると共に、構造も単純となり、製造コストを抑えることができる。しかも、AlGaAsに関わる問題(例えば酸素の取り込み)やInGaPに関わる問題(例えば結晶の秩序化・無秩序化)などの問題を回避でき、信頼性に優れた構造となる。
また、バンドギャップの大きなGaAsを前記コレクタ層に用いているため、移動体通信用端末で用いられるPAに要求される高い耐圧も確保できる。そして、GaAsの移動度は高いので、Ic−Vce特性の立ち上がり抵抗を小さくでき、高効率化にも有利である。
本発明においては、HBTの性能をより高める上で、前記コレクタ層は、第1コレクタ層と、この第1コレクタ層及び前記ベース層の間に挟まれ、半導体組成の変調によって電子親和力が変化した組成変調層、又は中間層とを有し、この組成変調層又は中間層の電子親和力は前記第1コレクタ層の電子親和力よりも大きいことが望ましい。
この場合、前記コレクタ層側の前記組成変調層と前記第1コレクタ層との間に、隣接する半導体層の不純物濃度よりも高濃度の不純物が添加された高濃度薄層が含まれていることが望ましい。
また、前記エミッタ層は、第1エミッタ層と、この第1エミッタ層及び前記ベース層の間に挟まれ、半導体組成の変調によって電子親和力が変化した組成変調層とを有し、この組成変調層の電子親和力は前記第1エミッタ層の電子親和力よりも大きいことが望ましい。
この場合、前記エミッタ層側の前記組成変調層と前記第1エミッタ層との間に、隣接する半導体層の不純物濃度よりも高濃度の不純物が添加された高濃度薄層が含まれていることが望ましい。
また、前記コレクタ層側の前記組成変調層並びに前記エミッタ層側の前記組成変調層の電子親和力がそれぞれ、前記ベース層に近づくにつれて増大しているのがよい。
また、前記組成変調層がInを含み、前記中間層はGeを主成分とするのがよい。
但し、前記へテロ接合バイポーラトランジスタが、AlGaAs等のAlを含む化合物を主成分としないこと、InGaP等のPを含む化合物を主成分としないことによって、構造が単純となり、従来型のGaAs系HBTと比較しても大きなコストダウンが得られる。
また、前記半導体基体には、半絶縁性のS.I.GaAs基板を用いるのがよい。前記エミッタ層、ベース層、コレクタ層にはそれぞれ、オーミックコンタクトが形成されているのが望ましいことは勿論である。
本発明の半導体装置は、上述したHBTを主要な構成要素とし、抵抗素子、容量素子、インダクタ等の受動素子も含む集積回路装置(MMIC)として構成されるのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
第1の実施の形態
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態を示すものである。
図1に示すように、本実施の形態によるHBTは、例えば、半絶縁性のS.I.GaAsからなる基板41上に、適切な(ここではn+型のGaAsからなる)バッファ層42を介して、n+型のGaAsからなるサブコレクタ層43、n-型のGaAsからなる第1コレクタ層44、n+型のGaAsからなる高濃度薄層45、例えばn-型のInGaAsからなる組成変調層(中間層)46、p+型のGeからなるベース層47、例えばn-型のInGaAsからなる組成変調層(中間層)48、n+型のGaAsからなる高濃度薄層49、n型のGaAsからなる第1エミッタ層50、n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層52が順次積層されたものである。
エミッタキャップ層52の上には、Ti/Pt/Auの積層構造のエミッタ電極53が形成されている。また、ベースコンタクト形成のために、エミッタキャップ層52、第1エミッタ層50、高濃度薄層49の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極54は組成変調層48の上に形成した後、熱処理等によって合金化層を形成し、ベース層47とのオーミックコンタクトを形成してもよいし、図示したようにベース電極54が形成される領域のみ組成変調層48を除去してもよい。
コレクタ電極55の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層43の上部に、Ni/Ge/Auの積層構造のコレクタ電極55が形成されている。
エミッタ電極53、ベース電極54、コレクタ電極55には、例えばTi/Pt/AuやNi/Ge/Auなどの積層体を用いることができる。また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi34からなる絶縁膜56により覆われている。
バッファ層42には例えばn+型のGaAsを用いることができるが、バッファ層42は省略することもできる。サブコレクタ層43は、厚さ200nm程度以上、濃度1×1018cm-3程度以上とする。n-型のGaAsからなる第1コレクタ層44は、厚さ200〜1000nm程度、濃度1×1017cm-3以下とする。n+型のGaAsからなる高濃度薄層45は、厚さ5nm程度以下、シートドーピング密度5×1011cm-2程度とする。n-型のInGaAsからなる組成変調層46は、厚さ5〜50nm程度、濃度1×1017cm-3程度以下とする。p+型のGeからなるベース層47は、厚さ30〜100nm程度、濃度1×1019〜5×1019cm-3程度とする。n-型のInGaAsからなる組成変調層48は、厚さ5〜20nm程度、濃度1×1017cm-3以下とする。n+型のGaAsからなる高濃度薄層49は、厚さ5nm程度以下、シートドーピング密度1×1012cm-2程度とする。n型のGaAsからなる第1エミッタ層50は、厚さ20〜200nm、濃度1×1017〜2×1019cm-3程度とする。n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層52は、厚さ50〜100nm程度、濃度1×1019〜2×1019cm-3程度とする。
ただし、上記した各材料層の膜厚、濃度等の数値は典型的なものであり、これらの値に限定されるものではない。
図2は、図1に示したHBTにおける、基板に垂直な方向のエネルギーバンド構造であり、伝導帯Ecと価電子帯Evのエネルギー位置を示す。
この構造によれば、ベース層47にGeを用いているため、エミッタ・ベース間のターン・オン電圧:Vbe-onを通常のGaAs系HBTよりも低くできる。これは、図3に示すように、GaAs系HBTのベース層に用いられるGaAsのバンドギャップ(Eg)が室温で約1.42eVであるのに対して、Geは約0.66eVと小さいからである。そして、GeはGaAsとほぼ格子定数が同じであるから、それらの間の格子整合が良好となる。
また、ベース層47にGeを用いているために、ベース層のシート抵抗を小さくできる。これは、Geのホール移動度がGaAsやInGaAsと比べて5倍程度大きいためである。また、オージェ再結合係数はGaAsと同程度であってInGaAsよりも小さいため、一定の電流利得を得るためにドーピング濃度を下げる必要はない。つまり、ベース層47への高濃度ドーピングが可能である。
また、エミッタ/ベース層のヘテロ接合において、上述したInGaPをエミッタ層に用いる場合に比べて、エミッタ層からベース層へのキャリアの注入エネルギーが下がる。この結果、オフセット電圧(Voff)が下がるので、電力増幅器に応用した場合に効率が増大する。
また、エミッタキャップ層52と組成変調層48、46を除いて、エミッタ層、コレクタ層ともにGaAsを使用し、AlやPを含む化合物を使用しないので、これらの組成制御が必要でなく、各層間の接合部を安定に形成できると共に、構造も単純となり、製造コストを抑えることができる。しかも、AlGaAsに関わる問題(例えば酸素の取り込み)やInGaPに関わる問題(例えば結晶の秩序化・無秩序化)などの問題を回避でき、信頼性に優れた構造となる。
更に、ベース層からコレクタ層への電流の流れをスムーズにする目的で、第1コレクタ層44とベース層47との間に、電子親和力がベース層に向かって増大する組成変調層46と、高濃度に不純物が添加された高濃度薄層45とが挿入されている。また、PAの電力付加効率を高める目的で、HBTのオフセット電圧(Voff)を下げられるように、上記と同様の組成変調層48と高濃度薄層49とが、第1エミッタ層50とベース層47との間にも挿入されている。
また、バンドギャップの大きなGaAsをコレクタ層に用いているため、移動体通信用端末で用いられるPAに要求される高い耐圧も確保できる。そして、GaAsの移動度は高いので、Ic−Vce特性の立ち上がり抵抗を小さくでき、高効率化にも有利である。
上記においては、組成変調層にInGaAsを用いた例を示したが、電子親和力がGaAsよりも大きくなるものであれば、それ以外の材料を用いてもよい。なお、基板41にGaAsを用いたので、低コスト化にとって有利である。
第2の実施の形態
図4〜図5は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。
図4に示すように、本実施の形態によるHBTは、例えば、半絶縁性のS.I.GaAsからなる基板61上に、適切な(ここではn+型のGaAsからなる)バッファ層62を介して、n+型のGaAsからなるサブコレクタ層63、n-型のGaAsからなる第1コレクタ層64、例えばn-型のGeからなる中間層66、p+型のGeからなるベース層67、n型のGaAsからなるエミッタ層70、n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層72が順次積層されたものである。
エミッタキャップ層72の上には、Ti/Pt/Auの積層構造のエミッタ電極73が形成されている。また、ベースコンタクト形成のために、エミッタキャップ層72、第1エミッタ層70の一部が除去され、メサ構造が形成されている。ベース電極74は図示のようにベース層67の上に直接形成してもよいが、第1エミッタ層70の一部を残し、その上から熱処理等によって合金化層を形成してもよい。
コレクタ電極75の形成のためにもメサ構造が形成され、サブコレクタ層63の上部に、Ni/Ge/Auの積層構造のコレクタ電極75が形成されている。
エミッタ電極73、ベース電極74、コレクタ電極75には、例えばTi/Pt/AuやNi/Ge/Auなどの積層体を用いることができる。また、電極と接していない半導体表面は、例えばSi34からなる絶縁膜76により覆われている。
バッファ層62には例えばn+型のGaAsを用いることができるが、バッファ層62は省略することもできる。サブコレクタ層63は、厚さ300nm程度以上、濃度1×1018cm-3程度以上とする。n-型のGaAsからなる第1コレクタ層64は、厚さ200〜1000nm程度、濃度1×1017cm-3以下とする。n-型のGeからなる中間層66は、厚さ5〜100nm程度、濃度1×1017cm-3程度以下とする。p+型のGeからなるベース層67は、厚さ30〜100nm程度、濃度1×1019〜5×1019cm-3程度とする。n型のGaAsからなるエミッタ層70は、厚さ20〜200nm、濃度1×1017〜2×1019cm-3程度とする。n+型のInGaAsからなるエミッタキャップ層72は、厚さ50〜100nm程度、濃度1×1019〜2×1019cm-3程度とする。
なお、上記した各材料層の膜厚、濃度等の数値は典型的なものであり、これらの値に限定されるものではない
図5は、図4に示したHBTにおける、基板に垂直な方向のエネルギーバンド構造であり、伝導帯Ecと価電子帯Evのエネルギー位置を示す。
本実施の形態による構造は、高濃度薄層を設けず、上述した第1の実施の形態に示した構造をより単純化したものであるが、上述した第1の実施の形態で述べたのと同じ効果を有する。つまり、低電圧動作が可能でベースのシート抵抗を低くでき、PAでの高効率化が可能となる等、また製造コストの低減も可能となる。
本実施の形態では、エミッタからコレクタへの準バリスティックなキャリア輸送の利用を前提としているため、コレクタ側のポテンシャル不連続を完全には取り除いていない。また、中間層66にGeを用いた例を示したが、電子親和力がGaAsよりも大きくなるものであれば、それ以外の材料を用いてもよい。
第3の実施の形態
図6〜図7は、本発明の第3の実施の形態を示すものである。
図6に示すように、本実施の形態におけるHBTは、n-型のGeからなる中間層66が形成されていないこと以外は、上述した第2の実施の形態と同様であるので、共通部分については説明を省略する。
従って、組成変調層も存在しないため、このHBTにおける、基板に垂直な方向のエネルギーバンド構造は図7に示す通りとなる。
本実施の形態による構造は、組成変調層を設けず、上述した第2の実施の形態に示した構造をより単純化したものであるが、上述した第2の実施の形態で述べたのと同じ効果を有する。
本実施の形態では、ベース・コレクタ間のポテンシャル障壁が大きくはなっているが、キャリア輸送にはそれ程の影響はなく、特にバイアスによってキャリア輸送が容易となる。
以上に述べた実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて種々に変形可能である。
例えば、上述した高濃度薄層をはじめ各層の不純物濃度や厚さを変更してよい。
また、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層の積層体のメサ構造の形状や各層に接続する電極の配置、各層の構成層数などは、上述した実施の形態に限定されず、種々の形状、配置等を採用することができる。
また、上述した実施の形態においてはnpn型のバイポーラトランジスタについて説明しているが、本発明はpnp型に適用することも可能である。
本発明によるHBTは、高い電流駆動能力を有し、低電圧動作が可能であって、高fmax、高Gainの電力増幅器用デバイスとして優れ、単一電源動作が容易であり、移動体通信端末用電力増幅器等に有用である。
本発明の第1の実施の形態によるHBTの断面図である。 同、HBTのバンド図である。 同、バンドギャップエネルギーと格子定数の関係を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態によるHBTの断面図である。 同、HBTのバンド図である。 本発明の第3の実施の形態によるHBTの断面図である。 同、HBTバンド図である。 従来例1のHBTの断面図である。 従来例2のHBTの断面図である。
符号の説明
41、61…半導体基板、42、62…バッファ層、43、63…サブコレクタ層、
44、64…第1コレクタ層、45、49…高濃度薄層、
46、48、66…組成変調層又は中間層、47、67…ベース層、
50、70…第1エミッタ層、52、72…エミッタキャップ層、
53、73…エミッタ電極、54、74…ベース電極、55、75…コレクタ電極、
56、76…絶縁膜

Claims (10)

  1. 第1導電型のエミッタ層と、第2導電型のベース層と、第1導電型のコレクタ層とを半導体基体上に有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを具備する半導体装置において、前記エミッタ層及び前記コレクタ層はGaAsを主成分とし、前記ベース層はGeを主成分とすることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記コレクタ層は、第1コレクタ層と、この第1コレクタ層及び前記ベース層の間に挟まれ、半導体組成の変調によって電子親和力が変化した組成変調層、又は中間層とを有し、この組成変調層又は中間層の電子親和力は前記第1コレクタ層の電子親和力よりも大きい、請求項1に記載した半導体装置。
  3. 前記エミッタ層は、第1エミッタ層と、この第1エミッタ層及び前記ベース層の間に挟まれ、半導体組成の変調によって電子親和力が変化した組成変調層とを有し、この組成変調層の電子親和力は前記第1エミッタ層の電子親和力よりも大きい、請求項1に記載した半導体装置。
  4. 前記コレクタ層側の前記組成変調層並びに前記エミッタ層側の前記組成変調層の電子親和力がそれぞれ、前記ベース層に近づくにつれて増大している、請求項2又は3に記載した半導体装置。
  5. 前記コレクタ層側の前記組成変調層と前記第1コレクタ層との間に、隣接する半導体層の不純物濃度よりも高濃度の不純物が添加された高濃度薄層が含まれている、請求項2に記載した半導体装置。
  6. 前記エミッタ層側の前記組成変調層と前記第1エミッタ層との間に、隣接する半導体層の不純物濃度よりも高濃度の不純物が添加された高濃度薄層が含まれている、請求項3に記載した半導体装置。
  7. 前記組成変調層がInを含み、前記中間層がGeを主成分とする、請求項2又は3に記載した半導体装置。
  8. 前記ヘテロ接合バイポーラトランジスタが、Alを含む化合物を主成分としない、請求項1に記載した半導体装置。
  9. 前記ヘテロ接合バイポーラトランジスタが、Pを含む化合物を主成分としない、請求項1に記載した半導体装置。
  10. 前記半導体基体がGaAsからなる、請求項1に記載した半導体装置。
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