JP2004203618A - 乗客コンベア - Google Patents

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Masahiko Nakai
雅彦 仲井
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Toshiba Elevator and Building Systems Corp
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Toshiba Elevator Co Ltd
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Abstract

【課題】インレット部における安全装置が動作する前に、インレット部が引き込まれる可能性のある個所であることの注意を喚起して安全装置をできるだけ作動させないようにし、もって乗客コンベアの稼動効率を向上させる。
【解決手段】欄干の上部を摺動した手すりベルト6は、スカート部7の端部に進入する。スカート部7には手すりベルト6を包囲するようにほぼ筒状をなすインレットゴム8が設けられている。このインレットゴム8の近傍に位置するスカート部7の端部またはインレットゴム8の端部に照明器具16を設ける。この照明器具16は、冷陰極管17またはLED素子を光源とするもので、点灯することにより乗客コンベアの利用者に対してインレット部9が引き込まれる可能性のある個所であることの注意を喚起する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、利用者に対しインレット部が巻き込まれる可能性のある個所であることの注意を喚起する照明器具を設けたエスカレータまたは動く歩道などの乗客コンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗客コンベアであるエスカレータは、無端状に連結された多数の踏段が、上下の階床間に傾斜して設けられたガイドレールに案内支持されて循環走行するもので、踏段に乗った利用客を移動させるようになっている。
【0003】
踏段を案内支持するガイドレールは、主枠内に設けられており、この主枠には踏段の幅方向両側に一対の欄干が立設され、この一対の欄干にそれぞれ踏段と同一速度で同一方向に移動する手すりベルトが設けられている。これら踏段や手すりベルトは、主枠内に配置された駆動装置により駆動され、駆動装置は制御装置により制御されるようになっている。
【0004】
手すりベルトは、その走行に応じて欄干の上部を摺動し、欄干の基部と踏段との間に設けられたスカート部の端部内に順次進入する。すなわち手すりベルトは、エスカレータの上昇運転時には上階降り口側におけるスカート部の端部から進入し、下降運転時には下階降り口側におけるスカート部の端部からその内側に侵入する。
【0005】
エスカレータの手すりベルトが進入するスカート部の端部においては、手すりベルトの進入に巻き込まれて利用者の手や異物が引き込まれるおそれがあるので、スカート部に進入する手すりベルトの周囲にほぼ筒状をなすインレットゴムを設け、このインレットゴム内に利用者の手や異物がスカート部内に引き込まれた際には安全スイッチが動作して駆動装置の給電を停止しブレーキを動作させる安全装置が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、安全装置が動作してエスカレータの駆動装置が停止すると、エスカレータの管理者は、原因を取り除いて再起動させるが、インレットゴムを含む安全装置の作動が、例えば子供の悪戯により発生した場合には原因がわからず、この場合には管理者がエスカレータの保守点検会社に通報し、保守点検技術者が現地に出向いて安全装置の動作を確認すると共に故障保持回路を復帰させていた。その間、エスカレータは停止して使用できない状態にあり、エスカレータの稼動効率が低下することになる。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、インレット部における安全装置が動作する前に利用者に対して注意を喚起して安全装置をできるだけ作動させないようにし、もってエスカレータの稼動効率を向上させるようにした乗客コンベアを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、欄干の上部を摺動して手すりベルトが進入するスカート部の端部に、手すりベルトを包囲するようにインレットゴムを設け、このインレットゴムの近傍に位置するスカート部の端部またはインレットゴムの端部に照明器具を設けたことを特徴とする。
【0009】
このように構成すれば、照明器具の点灯によりインレット部が引き込まれる可能性のある個所であることを利用者に注意喚起でき、利用者に対して安全装置を動作させるような行動を取らせないように自制させることができる。
【0010】
この場合、インレットゴムおよび照明器具は、乗り口側および降り口側のそれぞれ設けられ、降り口側の照明器具のみ点灯するように構成することができる。
【0011】
また照明器具は、インレットゴムに近接センサを設け、この近接センサの動作により点灯させるように構成することができる。
【0012】
さらに照明器具は、複数本で構成し、定常時は白色の光源を点灯し、インレットゴムに設けられた近接センサが動作した際には赤色系の光源を点灯するように構成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は乗客コンベアの一例として一般的なエスカレータの設置状態を示す概略正面図であり、図2は本発明の第1実施の形態に係るエスカレータの主要部を示す側面図、図3は図2のIII−III線に沿う正面断面図である。
【0014】
図1において、上階1aと下階1bに跨ってエスカレータ2の主枠3が設けられ、この主枠3内に設けられた、図示しないガイドレールに案内支持されて多数の踏段4が循環走行するようになっている。
【0015】
主枠3は、長手方向一端部の上階機械室内に図示しない駆動装置が設けられ、この駆動装置には、伝達継手、減速機構を介して動力駆動チェーンが連結され、この駆動チェーンにより駆動スプロケットが駆動されるようになっている。主枠3の長手方向他端部の下階機械室内には従動スプロケットが設けられ、この従動スプロケットと駆動スプロケットとに無端状の踏段チェーンが巻き掛けられ、この踏段チェーンに多数の踏段4が等ピッチで連結されている。
【0016】
踏段4は、その前後に前輪および後輪が取付けられており、これら前輪および後輪を介して主枠3内に設けられた往路ガイドレール、帰路ガイドレールおよび反転ガイドレールからなるガイドレールに案内支持されることにより、多数の踏段4は、踏段チェーンの移動に連動して循環走行するようになっている。
【0017】
主枠3の幅方向両側には欄干5が立設され、この欄干5の上部には多数の踏段4と同期して走行する手すりベルト6が設けられている。これら手すりベルト6および踏段4は、上階機械室内に設置された制御装置により駆動制御される。
【0018】
欄干5と踏段4の基部との間にはスカート部7が設けられる。欄干5の上部を摺動する手すりベルト6は、降り口側では、このスカート部7の端部に進入し、乗り口側ではスカート部7の端部から送り出されてくる。スカート部7の各端部には、図2および図3に示すように、ゴム等の弾性部材でほぼ筒状に形成され、手すりベルト6を包囲するように設けられたインレットゴム8を有するインレット部9が設けられている。このインレットゴム8は、スカート部7の端部に形成された開口部を通してその内側から外側に突出するように設けられている。このインレットゴム8を含むインレット部9には安全装置が設けられる。安全装置は、図3に示すように、スカート部7の内方側におけるインレットゴム8の端部に取付けられた支持板10を有し、またスカート部7の内部にはホルダー11が設けられている。
【0019】
支持板10の下端部には水平に延びる水平部10aが形成され、この水平部10aがホルダー11内のローラ機構12により水平方向に移動自在に支持されている。そして支持板10とホルダー11との間にはスプリング13が設けられ、このスプリング13により支持板10と一体にインレットゴム8がスカート部7の端部から突出する方向に弾性的に付勢され、その突出量がストッパ14により一定に保持されている。支持板10の水平部10aには作動片10bが設けられ、この作動片10bに対向して安全スイッチとしてのリミットスイッチ15が設けられ、インレットゴム8がスプリング13に抗してスカート部7内に没入したときに、この動作でリミットスイッチ15が作動するようになっている。
【0020】
すなわち、手すりベルト7が矢印で示す、スカート部7の端部に進入する方向に走行しているときに、その方向に利用者の手や異物が引き込まれてインレットゴム8に接触すると、この接触でインレットゴム8が支持板10とともにスプリング13に抗してスカート部7内に没入するように移動する。そしてインレットゴム8ととともに支持板10が所定の距離だけ移動したときに、この支持板10の作動片10bを介してリミットスイッチ15が操作されて作動し、この作動でエスカレータの運転動作が停止し、また管理者に対する通報が行なわれる。
【0021】
スカート部7の端部の、インレットゴム8の近傍には、インレットゴム8を取り囲むように照明器具16が設けられている。この照明器具16は、冷陰極管17を光源とするもので、スカート部7の端部に形成された開口部に透光部材18が嵌め込まれ、この透光部材18の背面側に1本または白色と赤色系に着色された複数本の冷陰極管17が設けられ、この冷陰極管17を支持して包囲する保護カバー19によりスカート部7の内側に取付けられている。この冷陰極管17は、ガラス管内壁に螢光体層を塗布しており、管内ガスを放電し、生じる紫外線により蛍光体層を励起発光するもので放電のための冷陰極が管の内側に電極があるタイプあるいはガラス管の外側に電極があるタイプのいずれでも採用できる。
【0022】
この冷陰極管17を点灯するための電源は、エスカレータの制御回路用電源を利用することができ、また一般電源のコンセントから供給を受けることもできる。 照明器具16は、エスカレータの運行中、手すりベルト6が進入する乗り口側のみ常時点灯させるが、以下のようにすることもできる。すなわち、インレットゴム8の外周の一部に近接センサ20を設ける。この近接センサ20は、利用者の手や異物が接近したことを検出するもので、その検出信号により、冷陰極管17が1本の場合には点灯させ、複数本の場合には切り換えて点灯させるようにする。
【0023】
図4は、2本の冷陰極管を駆動する場合の駆動回路の一例を示すブロック図である。駆動回路は、電源回路21、スイッチング回路22、発振回路23、高圧トランス24、スイッチ回路25、制御回路26を備え、さらに光検知器27、パルス回路28を備えている。光検知器27は、周囲の明るさに応じた調光信号を出力し、パルス回路28はその調光信号を受け、調光信号に応じてデューティ比を可変するパルス信号を出力する。電源回路21はエスカレータの制御電源等から供給された電力に基づき一定の電圧の電源を供給する。スイッチング回路22は、電源回路21からの電源を、パルス回路28のパルス信号に基づき制御して発振回路23へ供給する電源の入り切りを行なう。発振回路23は、正弦波を発生し、高圧トランス24に加えられる。高圧トランス24は、冷陰極管17の点灯に必要な電圧を発生し、冷陰極管17は、電圧が加えられた期間だけ発光する。スイッチ回路25は、近接センサ20が作動した際に制御回路26により切り換えられ、2本の冷陰極管17を、例えば白色から赤色系に切り換えて点灯する。冷陰極管が1本の場合はON−OFF動作となり消灯から点灯に切り換える。
【0024】
このようにして、冷陰極管17の、例えば管径が4mm前後と細く、寿命も長いという特性を利用して、冷陰極管17を光源とする照明器具16を構成し、この照明器具16をスカート部7の端部に設けることにより、スカート部7の端部内側の狭い空間に照明器具16を設置することができてエスカレータの運行中にインレット部9の外周囲を照らすことができる。したがって照明器具16の点灯により、エスカレータの利用者に対してインレット部9が引き込まれる可能性のある個所であることを認知させやすくなり、インレットゴム8内に利用者の手や異物がスカート部7内に引き込まれたり、悪戯をするような行動を自制させることができる。これにより、安全装置のリミットスイッチ15が動作してエスカレータの運転停止から再起動に至る運行停止状態を少なくでき、エスカレータの稼動効率を向上することができる。
【0025】
またインレット部9に利用者の手や異物が近付いたときに近接センサ20が動作して冷陰極管17を点灯させたり、2本の冷陰極管17を白色から赤色系に変えて点灯させるようにすることにより、利用者に対する注意喚起をより一層高めて警告を発することができる。
【0026】
さらに照明器具16の冷陰極管17の交換、清掃等の保守点検作業も、冷陰極管17が有する長寿命特性によりエスカレータの寿命まで、ほとんど行なう必要がない。
【0027】
図5は、本発明の第2実施の形態に係るエスカレータの主要部を示す側面図であり、図6は図5のVI−VI線に沿う正面断面図である。本実施の形態では、冷陰極管17を光源とする照明器具16を、インレットゴム8の突出方向の端部に形成した溝内に設けたものであり、その他の構成は第1実施の形態と同様である。
【0028】
冷陰極管17を光源とする照明器具16は、管径が細いのでインレットゴム8の突出方向の端部に形成した溝内に配設することが可能である。このように構成すれば、引き込まれる可能性のある個所であるインレットゴム8の端部を直接照らし出してエスカレータの利用者に対して注意を喚起して警告を発することができる。
【0029】
なお、上記各実施の形態における冷陰極管に代えてLED素子、有機EL(エレクトロルミネセンス)を光源として照明器具を構成することもできる。また冷陰極管、LED素子、有機ELを組合せたものを光源として照明器具を構成することもできる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の乗客コンベアによれば、インレットゴムの近傍に位置するスカート部またはインレットゴムの端部に照明器具を設けたことにより、インレット部における安全装置が動作する前に利用者に対して注意を喚起して安全装置をできるだけ作動させないようにし、もって乗客コンベアの稼動効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗客コンベアの一例として一般的なエスカレータの設置状態を示す概略正面図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係るエスカレータの主要部を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う正面断面図である。
【図4】2本の冷陰極管を駆動する場合の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係るエスカレータを示す側面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う正面断面図である。
【符号の説明】
1a…上階
1b…下階
2…エスカレータ
3…主枠
4…踏段
5…欄干
6…手すりベルト
7…スカート部
8…インレットゴム
9…インレット部
10…支持板
10a…水平部
10b…作動片
11…ホルダー
12…ローラ機構
13…スプリング
14…ストッパ
15…リミットスイッチ
16,29…照明器具
17…冷陰極管
18…透光部材
19…保護カバー
20…近接センサ
21…電源回路
22…スイッチング回路
23…発振回路
24…高圧トランス
25…スイッチ回路
26…制御回路
27…光検知器
28…パルス回路

Claims (6)

  1. 循環走行する踏段と、この踏段を支持する主枠と、前記踏段に幅方向両側に位置して前記主枠に立設された欄干と、この欄干と前記踏段との間に設けられたスカート部と、前記欄干の上部を摺動して前記スカート部の端部に進入する手すりベルトと、この手すりベルトが進入する前記スカート部の端部に、前記手すりベルトを包囲するように設けられたインレットゴムと、このインレットゴムの近傍に位置する前記スカート部に設けられた照明器具とを備えてなる乗客コンベア。
  2. 循環走行する踏段と、この踏段を支持する主枠と、前記踏段に幅方向両側に位置して前記主枠に立設される欄干と、この欄干と前記踏段との間に設けられたスカート部と、前記欄干の上部を摺動して前記スカート部の端部に進入する手すりベルトと、この手すりベルトが進入する前記スカート部の端部に、前記手すりベルトを包囲するように設けられたインレットゴムと、このインレットゴムの端部に設けられた照明器具とを備えてなる乗客コンベア。
  3. 前記インレットゴムおよび照明器具は、乗り口側および降り口側のそれぞれ設けられ、乗り口側の照明器具のみ点灯することを特徴とする請求項1または2に記載の乗客コンベア。
  4. 前記インレットゴムに近接センサを配設し、この近接センサの動作により前記照明器具を点灯することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の乗客コンベア。
  5. 前記照明器具は、複数本からなり、定常時は白色の光源が点灯し、前記近接センサの動作により赤色系の光源が点灯することを特徴とする請求項4に記載の乗客コンベア。
  6. 前記照明器具は、冷陰極管、LED、または有機ELを使用、あるいはこれらを組合せて使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の乗客コンベア。
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