JP4262994B2 - エスカレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置を有するエスカレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
エスカレータに乗っているとき移動することは少ないが、それでも、エスカレータは本来、動く階段であって、ちょっと移動する場合にも暗いと不安を感ずることもあるので、照明装置を設けることもある。このような従来のエスカレータの照明装置は、安全性や意匠の観点からスカートガード、乗降板などに、例えば30Wの直管形状の蛍光灯を複数個、配設していた。しかし、このような蛍光灯は安全性の観点から容易に取り外せるようにはなっておらず、エスカレータの保有者が保守点検会社に連絡し、連絡を受けた保守点検会社の作業員が交換を行う必要がある。また、蛍光灯の寿命は6000時間程度であるが、その照度は電源のON、OFFの回数と照明時間に応じて低下するので、所定の照度を確保できる時間は、数ヶ月程度と短い。したがって、蛍光灯の交換の作業は比較的頻繁に行う必要がありしかも、作業員が交換作業を行うまでの間、蛍光灯が切れたままで運用することになり、安全性及び意匠の点から問題があった。
【0003】
また蛍光灯を用いる場合、比較的大きくなりしかも、それほど明るくない、という問題もあった。なお、照明装置の光源として冷陰極管を用いるエスカレータも知られている(特許文献1参照)が、これでは、局部的な照明となり、エスカレータの乗客の不安を完全に除去できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
・特開平11−193193(段落[0008]、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来のエスカレータの照明装置の問題点に鑑みてなされたもので、エスカレータの乗客の不安を完全に取り除き、しかも安全性及び意匠の面からも好ましいエスカレータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によれば、エスカレータの通路に沿って設置され、回転する手すりを支える手すりデッキと、前記通路の内側に設けられ、上部に透光板による透光部を有し、光透過特性を有するパネル内板と、前記通路の外側に設けられ、前記パネル内板に対向し、光散乱反射特性を有するパネル外板とから成り、前記手すりデッキを支える欄干パネルと、前記パネル内板の透光板に沿って配設され、前記パネル内板と前記パネル外板の間に、その発光が導かれる発光部と、この発光部の点灯、または明るさを制御する電源装置とを有することを特徴とするエスカレータを提供する。
【0007】
本発明の請求項2によれば、エスカレータの通路に沿って設置され、回転する手すりを支える手すりデッキと、この手すりデッキを支え、前記通路の内側に設けられる光透過特性を有するパネル内板と、前記通路の外側に設けられ、前記パネル内板に対向し、光散乱反射特性を有するパネル外板とから成り、これ等パネル板の基部において、透光板による透光部を有する欄干パネルと、この欄干パネルの基部に設けられた内レッジにおいて、前記透光板に沿って設けられ、この透光板及び前記通路の踏段の側部に対向する 2 面それぞれを透光部材で形成される凹部に配設された発光部と、前記凹部の前記2面の透光部材から投光する前記発光部の点灯、または明るさを制御する電源装置とを有することを特徴とするエスカレータを提供する。
【0008】
さらに、本発明の請求項3によれば、本発明の前記発光部は、白熱球ランプ、蛍光ランプ、若しくは多色発光する冷陰極蛍光ランプ、半導体発光素子、有機エレクトロルミネセンス素子のいずれかで構成されることを特徴とするエスカレータを提供する。
【0009】
また、本発明の請求項4によれば、本発明の前記発光部は、少なくも3個の発光体、若しくは少なくも 2 個の発光体により構成されて少なくも3群に纏められた発光群より成り、前記電源装置は、この複数の発光体の1個の発光体、若しくは複数の発光群の1群に纏められた発光体の、点滅若しくは明るさを減じる減光を、前記通路の踏段の移動方向及び移動速度に同期して、移動させる制御を行うことを特徴とするエスカレータを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に、本発明の一実施形態のエスカレータの断面を、また図2にこのエスカレータの全体構成を示す。エスカレータ10の通路の両側に設けられる欄干パネル11の上部に手すりデッキ12が設けられ、欄干パネル11の基部内側には内レッジ13がまた基部外側には外デッキ14が設けられる。更に内レッジ13の下側にはスカートガードパネル15が設けられ、このスカートガードパネル15の通路側に、乗客が乗る踏段16が設けられる。
【0011】
一方、手すりデッキ12の上には回転するゴム製の手すり17が設けられている。図示していないが、手すりデッキ12と手すり17の間にはボールベアリングが設けられ、手すり17と踏段16は同期して、上階UFから下階DFにあるいは、下階DFから上階UFに向かって移動する。
【0012】
そして、上記手すりデッキ12の内側(通路側)には、例えば図2に示すように、照明装置の光源となる冷陰極蛍光ランプ19が3本(19a、19b、19c)、手すり12に沿って設置されている。勿論、冷陰極蛍光ランプ19の本数はもっと多くてよいが、ここでは説明を簡単にするために3本とした。手すりデッキ12は、図1に示すように中央上部に凹部23を有する。
【0013】
3本の冷陰極蛍光ランプ19a,19b,19cは、上記凹部23に配設された個別の導線21a,21b,21cにより、照明電源装置22a,22b,22cに接続されている。これらの照明電源装置22a,22b,22cによって上記冷陰極蛍光ランプは、後述するようにオンオフ制御及び発光色制御される。
【0014】
なお、上記3本の冷陰極蛍光ランプ19a、19b、19cについて共通に説明するときには、冷陰極蛍光ランプ19として表示する場合もあり、導線21a,21b,21cについても同様に表示する場合もある。
【0015】
欄干パネル11は図3に示すように、通路側に位置し光透過特性を有するパネル内板25と、外側に位置するパネル外板26とから成り、パネル内板22の冷陰極蛍光ランプ19が欄干パネル11に接近している部分には光透過特性の特に良好な透光板24が設けられる。パネル外板26は光を散乱反射する特性を有していれば更に良い。
【0016】
冷陰極蛍光ランプ19としては例えば図4(a)に示すような構造をしたものを用いる。ガラス外管41a内のガラス内管41bの両端に一対の電極42a,42bを設け、その内に例えば水銀ガス43を封入する。ガラス内管41bの内面には蛍光体44を塗布しており、冷電極42a,42b管に電圧を印加することによって発光させる。
【0017】
なお、上記冷陰極蛍光ランプ19としては、図4(b)に示すような外部電極型の蛍光ランプを用いることもできる。即ちガラス外管45a内側のガラス内管45b内に例えばキセノンガス46を封入し、ガラス外管45aの外側に設けた一対の電極47a,47b間に電圧を印加して、発光させる。
【0018】
このような冷陰極蛍光ランプ19から発した光は、図3に示すように透光板24を通って欄干パネル11内に入り、パネル外板26で乱反射され、図1に示すようにパネル内板25の内側に当って、エスカレータ10の通路を照らすことになる。
【0019】
図2に示したように、照明電源装置は各蛍光ランプに対応して設けられているので、これらの照明電源装置を順次切り替えあるいは点灯するランプを複数本としそれらを移動させることにより、そのエスカレータが上階から下階に動いている状態にあるか、下階から上階に動いている状態にあるかを、遠くから判別するようにすることもできる。また、移動速度が変わるエスカレータでは、そのランプの切り替えや明るさの移動の速度を、エスカレータの踏段の移動速度に比例させれば、エスカレータが現在、速い速度で動いているか遅い速度で動いているかも、離れた位置から知ることができる。
【0020】
また、照明電源装置により冷陰極蛍光ランプに印加する電圧を制御して、輝度、明るさや色を制御するようにすることも可能である。
【0021】
なお、上記実施形態の説明では、冷陰極蛍光ランプを手すりデッキの中に組み込んだ例について説明したが、手すりデッキとは別に設けてもよい。また、冷陰極蛍光ランプは、欄干パネルの上端部に設けて、端部から欄干パネル内に光を入射させるようにしてもよい。
【0022】
上記実施形態では、図2に示すように、冷陰極蛍光ランプは手すりデッキ内に一列に配設していたが、蛍光ランプの配設スペースを少し大きく取ることにより、並行に複数本を配設するようにすることもできる。
【0023】
このように複数本の冷陰極蛍光ランプを併設する場合には、各蛍光ランプを個別の色を発するものようにし、これらを切り替えることにより、照明の色を変えることができる。例えば、時間帯によって異なる発光色としたり、混雑している場合には赤系の発光色として警報を発するようにすることもできる。
【0024】
本発明のこの実施形態によれば、冷陰極蛍光ランプは欄干パネルの上部に設けられ、エスカレータの通路の踏段を上方から照らすことになり、乗客は安心してエスカレータに乗ることができる。
【0025】
本発明の上記実施形態では、欄干パネルの上部から光を欄干パネルに入射させたが、下方から入射させるようにすることもできる。
【0026】
本発明のこのような実施形態について次に説明する。図5において、図1と同じ番号は同じ機能を有する部材を意味する。この実施形態の上記実施形態と異なるのは、冷陰極蛍光ランプが内レッジに設けられた点である。即ち、冷陰極蛍光ランプ51は内レッジ52に設けられた凹部53内に配設され、その前面には透光性を有する樹脂又はガラス54が設けられる。欄干パネル55はパネル内板55aと光の散乱反射特性を持つパネル外板55bを有し、その下側端面は透光板55cを有している。内レッジ52の透光板55cの方向にも透光板55dが設けられている。
【0027】
冷陰極蛍光ランプ51から発した光は、内レッジ52に設けられたガラス54を通ってエスカレータ10の通路及び踏段16を照らすと共に、透光板55dを通った光は欄干パネル55の下方の端部に設けられた透光板55cを通ってパネル外板55bに当り、乱反射してパネル内板55aからエスカレータの通路を照らす。この実施形態で用いるランプとしても、図4(a)に示した通常の冷陰極蛍光ランプや同図(b)に示した外部電極型の蛍光ランプを用いることができる。
【0028】
本発明のこの実施形態によれば、内レッジ内に設けられた1つの蛍光ランプにより、欄干パネルを介してエスカレータの通路全体を照明できると共に、足元及び踏段を同時に照らすことができる利点がある。
【0029】
本発明では、図6に示すように、エスカレータを照らす光源を外デッキに設けることもできる。即ち、外デッキ61は凹部62を有しており、この中に冷陰極蛍光ランプ63が配設され、この前面には、透光性を有する樹脂又はガラス64が設けられている。図1に示した実施形態と同一番号は同じ機能を有する部材を意味する。この実施形態における、欄干パネル65はパネル内板65aもパネル外板65bも光透過性を有する。冷陰極蛍光ランプ63から発した光は前面のガラス64を通ってパネル外板65bに当り、更にパネル内板65aを通って、エスカレータ内の通路を照らす。
【0030】
本発明のこの実施形態によれば、エスカレータ内通路だけでなく、エスカレータ全体を明るくすることができる利点があり、上述の実施形態で述べたように光源のランプを複数本併置して、発光色を変えれば、エスカレータをカラフルに照明することが可能である。
【0031】
更に、本発明では、図5に示すように光源を内レッジに設けたものにおいて、エスカレータの踏段を照らす光源を、エスカレータの内レッジとスカートガードパネルの間に更に設置することもできる。このような本発明の実施形態の構成を図7に示す。同図において、図5に示した実施形態と同一番号は同じ機能を有する部材を意味する。この実施形態では、内レッジ52とスカートガードパネル15の間に冷陰極蛍光ランプ61を設け、この前面に設けたガラス62を介して光を踏段16に当てる。
【0032】
この実施形態では、冷陰極蛍光ランプ51から発した光は、直接、足元を照らすと共に、欄干パネルを介してエスカレータの通路を照らす。更に、冷陰極蛍光ランプ61から発した光は、踏段16を照らすことができる。即ちこの実施形態によれば、エスカレータの乗客が周囲をあまねく照らすことができ、安全性を更に増すことができる利点がある。
【0033】
なお、上記図7に示した実施形態では、エスカレータの内レッジとスカートガードパネルの間に設けた光源(冷陰極蛍光ランプ)の他に、内レッジにも冷陰極蛍光ランプを設けていた。しかし本発明では、エスカレータの内レッジとスカートガードパネルの間にのみ冷陰極蛍光ランプを設け、エスカレータの踏段や足元を照らすようにしてもよい。この場合に更に、手すりデッキに冷陰極蛍光ランプを設けて、図3に示した構造の欄干パネルを介してエスカレータの通路を照らすこともできる。
【0034】
また、上記実施形態の説明では、パネル外板により光を反射する構造を有していたが、例えば図1で示したように、手すりデッキに冷陰極蛍光ランプを設けるような場合、その下面に光を通すガラス又は樹脂を設けて直接、あるいは別部品をはめ込んで、欄干パネルの内側又は外側を照らすようにすることもできる。あるいは、内レッジ内に冷陰極蛍光ランプを設けるときにも、その前面に透光性のガラス又は樹脂を設けて直接、欄干パネルの内側を照らすようにすることもできる。これはデッキタイプにもデッキレスタイプにも適用可能である。このようにすれば、直接光により照らすことになるので、光の効率は高くしたがって明るく照らすことができる利点がある。
【0035】
その他、本発明においては、冷陰極蛍光ランプを手すりデッキ、内レッジ、外デッキ、内レッジとスカートガードパネルの間に設けるなど適宜組み合わせて、用いることが可能である。また、図5乃至図7の実施形態においても図2により説明したように、各蛍光ランプに対応する照明電源装置を制御することにより、エスカレータの動きの方向、速度など種々の状態をエスカレータから遠くにいる顧客に示すことが可能である。
【0036】
なお、光源として冷陰極蛍光ランプを用いたが、LED(半導体発光素子)や有機EL(エレクトロルミネセンス)を用いても良く、発光色は白色に限らず設置場所、周囲環境、光量、時刻、季節等に応じて他の色を用いても良い。また、本発明の目的を達成するものであれば光源としての冷陰極蛍光ランプ、LED、有機EL等を適当にまぜて配置しても良いことはもちろんである。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、冷陰極蛍光ランプ、LED、有機ELなどを所定の位置に設置しているので、エスカレータの乗客の不安を完全に取り除き、しかも安全性及び意匠の面からも好ましいエスカレータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のエスカレータの構造を示す図。
【図2】本発明一実施形態のエスカレータの全体構成を示す図。
【図3】本発明一実施形態において冷陰極蛍光ランプから発した光が欄干パネルに当たる様子を説明するための図。
【図4】本発明の一実施形態で用いる光源の構造を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態のエスカレータの構造を示す図。
【図6】本発明の更に他の実施形態のエスカレータの構造を示す図。
【図7】本発明の更に他の実施形態のエスカレータの構造を示す図。
【符号の説明】
10・・・エスカレータ、
11,55,65・・・欄干パネル、
12・・・手すりデッキ、
13,52・・・内レッジ、
14,61・・・外デッキ、
15・・・スカートガードパネル、
16・・・踏段、
17・・・手すり、
19,19a,19b,19c,51,61・・・冷陰極蛍光ランプ、
22a,22b,22c・・・照明電源装置、
24,55c・・・透光板、
25,55a・・・パネル内板、
26,55b・・・パネル外板、
41a,45a・・・ガラス外管、
41b,45b・・・ガラス内管、
42a,42b,47a,47b・・・電極、
43・・・水銀ガス、
44・・・蛍光体、
46・・・キセノンガス、
54,64・・・ガラス。

Claims (4)

  1. エスカレータの通路に沿って設置され、回転する手すりを支える手すりデッキと、
    前記通路の内側に設けられ、上部に透光板による透光部を有し、光透過特性を有するパネル内板と、前記通路の外側に設けられ、前記パネル内板に対向し、光散乱反射特性を有するパネル外板とから成り、前記手すりデッキを支える欄干パネルと、
    前記パネル内板の透光板に沿って配設され、前記パネル内板と前記パネル外板の間に、その発光が導かれる発光部と、
    この発光部の点滅、または明るさを制御する電源装置とを有することを特徴とするエスカレータ。
  2. エスカレータの通路に沿って設置され、回転する手すりを支える手すりデッキと、
    この手すりデッキを支え、前記通路の内側に設けられる光透過特性を有するパネル内板と、前記通路の外側に設けられ、前記パネル内板に対向し、光散乱反射特性を有するパネル外板とから成り、これ等パネル板の基部において、透光板による透光部を有する欄干パネルと、
    この欄干パネルの基部に設けられた内レッジにおいて、前記透光板に沿って設けられ、この透光板及び前記通路の踏段の側部に対向する 2 面それぞれを透光部材で形成される凹部に配設された発光部と、
    前記凹部の前記2面の透光部材から投光する前記発光部の点滅、または明るさを制御する電源装置とを有することを特徴とするエスカレータ。
  3. 前記発光部は、一般的な照明灯である熱球ランプ、蛍光ランプ、若しくは多色発光する冷陰極蛍光ランプ、半導体発光素子、有機エレクトロルミネセンス素子のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1または2記載のエスカレータ。
  4. 前記発光部は、少なくも3個の発光体、若しくは少なくも 2 個の発光体により構成されて少なくも3群に纏められた発光群より成り、
    前記電源装置は、この複数の発光体の1個の発光体、若しくは複数の発光群の1群に纏められた発光体の、点滅若しくは明るさを減じる減光を、前記通路の踏段の移動方向及び移動速度に同期して、移動させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のエスカレータ。
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