JP2004200461A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 半導体装置特性シミュレーション方法及び半導体装置特性シミュレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレーション方法において、
複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション工程と、
前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション工程と、
前記第1のシミュレーション工程の結果と前記第2のシミュレーション工程の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価工程と
を備えることを特徴とする
半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項2】
複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレ−タにおいて、
複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション手段と、
前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション手段と、
前記第1のシミュレーション手段の結果と前記第2のシミュレーション手段の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価手段と
を備えることを特徴とする
半導体装置特性シミュレータ。
【請求項3】
複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする方法であって、
少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタを形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出工程と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出工程と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出工程と、
前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出工程と
を有する
半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項4】
前記劣化量算出工程において、式1を用い、前記劣化の変動量△PDの経時変化を求める
【数1】
ここで、CD、BDは定数である
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項5】
前記回復量算出工程において、式2を用い、前記回復量△PRの経時変化を求める
【数2】
ここで、CR、BRは定数である
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項6】
前記基礎劣化量算出工程において、前記トランジスタを形成してから経過した時間を複数の領域に分割し、各領域において異なる関数を用いて前記基礎劣化量XDの経時変化を表わす
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項7】
前記劣化量算出工程において、少なくとも、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgにより発生する劣化の変動量と、前記トランジスタに印加された直前のゲート電圧Vgpによって発生する劣化の変動量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する劣化の変動量とを求める
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項8】
前記回復量算出工程において、少なくとも、前記回復量の前記トランジスタに印加されたゲート電圧の依存性として、前記トランジスタに過去に印加された最大ゲート電圧Vgmによって発生する回復量と、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgによって発生する回復量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する回復量とを求める
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項9】
前記総劣化量算出工程において、前記トランジスタの特性が所定の許容劣化値まで劣化する時は、該劣化値に達するまでの累積時間をトランジスタの寿命として出力する
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項10】
複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする半導体装置特性シミュレータであって、
少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタが形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出手段と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出手段と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくともゲート電圧の前記第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出手段と、
前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出手段と
を有する
半導体装置特性シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタ及びMISトランジスタから構成される半導体装置の特性劣化のシミュレーション方法及びシミュレータに関し、特に、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)現象によるMISトランジスタと半導体装置の特性劣化のシミュレーション方法及びシミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路装置の高密度化、高集積化、微細化の進行に伴い、それを構成するMOSトランジスタの寸法の微細化は著しい。その中で、トランジスタ特性の劣化によるMOSトランジスタの信頼性が大きな問題となっていた。
MOSトランジスタ特性の劣化により、例えば、ドレイン電流が時間とともに減少し、その結果回路の遅延時間が時間とともに増大する。この遅延時間の増大はある程度以上に増大すると半導体集積回路内あるいは外部との信号の入出力動作のタイミングエラーを生じ、半導体集積回路が組み込まれているシステム全体の誤動作を引き起こす。
【0003】
これまでは、MOSトランジスタの特性劣化について、ホットキャリア劣化が主に研究されてきた。例えば、特許文献1と特許文献2は、ホットキャリア劣化に関することが開示してある。
ホットキャリア劣化現象は、MOSトランジスタのドレイン端において高電界により高エネルギーの電子・正孔(以下「ホットキャリア」と呼ぶ)が発生し、このホットキャリアがゲート酸化膜の特性を劣化させるものである。
ホットキャリア劣化をシミュレーションする既存技術として、現在も利用されている、1985年のIEEEで発表されているLucky Electronモデル(以後、LEモデルと称す。)は、式3のように示され、Hot Electronに関する1つの現象に限った劣化モデルを計算する方法である。
【0004】
【数3】
ここで、△Pは、時間timeを経過した時にトランジスタ特性の劣化量を表わし、Ids、Ib、wはそれぞれソース・ドレイン電流、基板電流、チャネル幅を表わし、m、nは比例定数である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−135388号公報
【特許文献2】
特開2001−352059号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでは、LEモデルで、すなわちIds、Ibデータで表現できるトランジスタ劣化は最も注力すべき劣化現象であった。
しかし、MOSトランジスタの微細化に伴い、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)という新たな劣化現象が発見され問題視されるようになってきた。
NBTI劣化の一つには、高温で基板に対して負の電圧をトランジスタのゲート電極に印加し続けるとトランジスタの駆動能力が劣化する現象がある。特に、ゲート絶縁膜に窒化物を採用した表面チャンネル構造のp型MOSトランジスタで劣化が大きい。
MOSトランジスタにおいて、NBTI劣化は、シリコン基板と酸化シリコン絶縁膜の界面で起きる化学反応の平衡状態が高温及び負電圧によって変化することに起因すると解釈されている。
NBTIによる劣化現象では、トランジスタ特性の劣化が時間につれて進みながら、その劣化量が増大したり、減少したりして変動する。
【0007】
NBTI劣化現象に関しては、その劣化を発生させないように、トランジスタの構造を改良する研究がされているが、NBTI劣化現象の存在を前提にして、その詳細を正確に把握し、NBTI劣化を見込んで半導体デバイスを信頼性良く設計する、いわゆるシミュレーションによる研究方法もある。
しかし、従来のシミュレーション手法、例えばLEモデルでは、NBTI劣化現象における劣化の変動に関し対応が出来ず、そのため、NBTI現象による劣化量を正確に見積もって半導体デバイスを信頼性良く設計することができない。これによって、トランジスタの特性劣化に対して、設計マージンを正確に設定することが困難である。
【0008】
トランジスタの特性劣化に対して、必要以上に大きな設計マージンを付けることは、半導体チップの面積を大きくする可能性があるので、できる限りさけなければならない。又、トランジスタの特性劣化に対して、必要以上に小さなマージンを付けることは、製品の寿命が短くなる恐れがある。
NBTI劣化に関して、式4と式5を実現する信頼性回路シミュレータが既に市販されている。しかしながら、式4と5の関係は、劣化の直流部分の変化を正確に表現していないため、NBTI現象における劣化量を実際より多く見積もる危険性が高いと指摘されている。
また、NBTI劣化において温度やゲート電圧による劣化の変動は今まで全く知られていない。しかし、劣化の変動を考慮しないと、NBTI劣化現象を正確に捉えず、正確な見積りができない、例えば、劣化量を実際より小さく或は多く見積もる危険性がある。
【0009】
【数4】
【数5】
ここで、△Pは、時間timeを経過した時にトランジスタ特性の劣化量を表わし、Q、C、nは比例定数である。Tは絶対温度、T0は実験時の絶対温度、Vg0は基準となるゲート電圧、Vgjはある時点jのゲート電圧、△tjはVgjが加えられた時間、timeはVg0、T0に換算された時間を表わす。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トランジスタの劣化現象における劣化量の変動を正確にシミュレーションし、半導体装置を信頼性良く設計することを可能とするシミュレータ及びその方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体特性シミュレーション方法は、複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレーション方法において、複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション工程と、前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション工程と、前記第1のシミュレーション工程の結果と前記第2のシミュレーション工程の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体特性シミュレータは、複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレ−タにおいて、複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション手段と、前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション手段と、前記第1のシミュレーション手段の結果と前記第2のシミュレーション手段の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体特性シミュレーション方法は、複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする方法であって、少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタを形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出工程と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出工程と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出工程と、前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出工程とを有する。
【0014】
前記劣化量算出工程において、前述した式1を用い、前記劣化の変動量△PDの経時変化を求める。
前記回復量算出工程において、前述した式2を用い、前記回復量△PRの経時変化を求める。
【0015】
前記基礎劣化量算出工程において、前記トランジスタを形成してから経過した時間を複数の領域に分割し、各領域において異なる関数を用いて前記基礎劣化量XDの経時変化を表わす。
【0016】
前記劣化量算出工程において、少なくとも、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgにより発生する劣化の変動量と、前記トランジスタに印加された直前のゲート電圧Vgpによって発生する劣化の変動量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する劣化の変動量とを求める。
【0017】
前記回復量算出工程において、少なくとも、前記回復量の前記トランジスタに印加されたゲート電圧の依存性として、前記トランジスタに過去に印加された最大ゲート電圧Vgmによって発生する回復量と、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgによって発生する回復量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する回復量とを求める。
【0018】
前記総劣化量算出工程において、前記トランジスタの特性が所定の許容劣化値まで劣化する時は、該劣化値に達するまでの累積時間をトランジスタの寿命として出力する。
【0019】
本発明の半導体装置特性シミュレータは、複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする半導体装置特性シミュレータであって、少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタが形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出手段と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出手段と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくともゲート電圧の前記第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出手段と、前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出手段とを有する。
【0020】
本発明の半導体特性シミュレーション方法において、基礎劣化量XDと、劣化の変動量△PDと、特性の回復量△PRと、総劣化量△Pを求める。これによって、特性の変動において、基礎劣化量XDに対する劣化の変動(増加)と、特性の回復(基礎劣化量XDに対する劣化の減少)とを考慮してシミュレーションを行なう。これによって、トランジスタの形成後、測定工程やバーンイン工程など最初に電圧を加えてから経過した時間または、使用に供し始めてから経過した時間に依存するトランジスタの特性の劣化量を求める。
【0021】
本発明によれば、ゲート電圧を印加してから経過した時間tの対数(log(t))を変数となる関数を用い、トランジスタ特性の劣化の変動量の経時変化と、トランジスタ特性の回復量の経時変化を求め、劣化と回復を正確に計算する。
本発明によれば、異なる時間領域において異なる関数を定義し、それらを用い基礎劣化量XDの経時変化を表わす。
また、本発明によれば、劣化量と回復量のゲート電圧Vgの依存性と、温度の依存性とを求める。
これによって、劣化量と、劣化後の回復量と、総劣化量を正確に求める。
【0022】
本発明によれば、劣化量ライブラリを作成し、その劣化量ライブラリを用い回路の劣化量を求め、大規模回路について劣化量を高速に求める。
また、本発明によれば、トランジスタの複数の使用条件において、トランジスタの劣化量と回復量を連続的に求め、劣化量を正確に求める。
これによって、実際の使用状態と近い劣化量と、劣化後の回復量と、総劣化量を正確に求める。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の半導体特性シミュレータ及び半導体特性シミュレーション方法の実施の形態について、添付した図面を参照して説明する。
第1の実施の形態
本願発明者は、NBTI劣化現象、特に、劣化、及び劣化後に特性の回復の詳細を実験データにより捉え、その実験データに基づき、NBTI劣化現象をシミュレーションするために、劣化及び回復を表わす経験式を見出した。
図1は、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)劣化現象として、例えば、MISトランジスタの駆動能力や、しきい値電圧などの特性の経時変化を概略的に示しており、一例として印加されたゲート電圧によってトランジスタの特性が時間と共に劣化していく例を示している。図1(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図1(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間を示している。
図1(a)と(b)に示すように、負のゲート電圧Vgを印加すると、トランジスタの特性は曲線Dのように劣化し、即ち、総劣化量△Pが増大する。一方、負のゲート電圧Vgを下げると、トランジスタの特性は曲線Rのように回復する。この劣化と回復は、印加されたゲート電圧信号Vgと同じ周期で繰り返して発生する。
【0024】
また、ゲート電圧Vgの各周期において、劣化の最小値或は回復の最大値を結んだ曲線は、特性の変動いわゆる劣化と回復とに関係しない、いわゆる劣化量の直流部分とも言われる。以下、この直流部分の劣化量は、「基礎劣化量」XDと呼ぶ。特性の変動は、この基礎劣化量XDに対するものである。
従来のシミュレーション方法は、劣化と回復を考慮しないので、この基礎劣化量XD部分だけをシミュレーションしていた。
【0025】
図1(b)において、Vgのローレベルに対応して劣化が発生する期間、即ち、曲線Dの時間領域TDは、「劣化期間」と呼ぶ。また、Vgのハイレベルに対応して回復が発生する期間、即ち、曲線Rの時間領域TRは、「回復期間」と呼ぶ。
以下は、劣化期間TDにおいて、基礎劣化量XDに対して発生する劣化の増加量を「劣化量の変動量」或は只「劣化量」と呼び、△PDと記し、回復期間TRにおいて、基礎劣化量XDに対して発生する劣化の減少量は「回復量」と呼び、△PRと記す。
【0026】
<劣化量△PDの計算>
本発明において、実験測定結果を解析した結果、前述した式1のように、Vgのローレベル電圧が印加してから経過した時間tの対数log(t)の線形式を用い、劣化量△PDを計算する。
式1において、△PDは、トランジスタの特性劣化量又は初期特性からの劣化率、例えば特性値Vth、Swingなどの劣化量や、gm、Ids、Ioff、Ig、Swingなどの劣化率、及び例えばSPICEシミュレータのような回路シミュレータの定数Vth0、u0、rdswなどの劣化率又は劣化量をあらわす。CD、BDは定数をあらわす。
【0027】
図1に示すように、△PDの経時変化はゲート電圧Vgに依存する。即ち、定数CD、BDは、印加されたゲート電圧Vgによって決められる。
本発明において、実験データに基づいて得られた式6、もしくは、式7を用い、ゲート電圧Vgに依存する定数CDを求める。また、式8、もしくは、式9を用い、ゲート電圧Vgに依存する定数BDを求める。実際に、式6と式8は多くの実験データを再現できたが、一部の実験結果は式7、9とよく一致するので、両方を使用する可能性がある。
【0028】
【数6】
【数7】
ここで、CDV、nCV、αCV、βCVは実験で得られる定数である。
【0029】
【数8】
【数9】
ここで、BDV、nBV、αBV、βBVは実験で得られる定数である
【0030】
劣化量△PDは、現在印加されているゲート電圧Vgだけでなく、直前のゲート電圧Vgpにも依存する。図2は、劣化量△PDの直前のゲート電圧Vgpの依存性を図示している。
図2は、図1と同じように、MISトランジスタの特性のゲート電圧による劣化を示している。図2(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図2(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間を示している。
図2(a)において、期間T1に、例えば、2つの電圧Vg1aとVg1bをそれぞれトランジスタのゲート電極に印加するとする。一例として、Vg1a=0V、Vg1b=−0.6Vとする。図2(b)に示すように、ゲート電圧Vg2をトランジスタに印加すると、トランジスタの特性は劣化する。ゲート電圧Vg2を印加している期間T2には、トランジスタの劣化量は、期間T1においてトランジスタに印加した電圧Vg1aとVg1bによって異なる。期間T1に電圧Vg1aを印加した場合は、トランジスタの特性が曲線D1に沿って劣化する、期間T1に電圧Vg1bを印加した場合は、トランジスタの特性が曲線D2に沿って劣化する。
【0031】
本発明において、実験データに基づいて、現在のゲート電圧Vgの依存性を表わす式6、式7、式8、式9に劣化量△PDの直前のゲート電圧Vgpの依存性を加え、式10、若しくは、式11、及び式12、若しくは、式13を得て、定数CD、BDの現在のゲート電圧Vgの依存性、及び直前のゲート電圧Vgpの依存性を表わす。これらの式により、例えば、式1において時間t=0よりも前に加えた直前のゲート電圧Vgpと現在のゲート電圧Vgから定数CD、BDを計算する。
【0032】
【数10】
【数11】
ここで、CDVP、nCVP、αCVP、βCVPは実験で得られる定数である。
【0033】
【数12】
【数13】
ここで、BDVP、nBVP、αBVP、βBVPは実験で得られる定数である
【0034】
劣化量△PDは、動作中のトランジスタの温度にも依存する。劣化量△PDの温度依存性として、式10〜13(或は、式6〜9)における定数CDV、BDVの絶対温度Tとの関係を式14と式15で表す。式14と式15には、CDVT、QDC、BDVT、QDBは実験などから得られる定数、T0は実験時の絶対温度である。
【0035】
【数14】
【数15】
【0036】
<回復量△PRの計算>
本願発明者は、実験測定結果に基づいて、NBTI劣化現象において、劣化後に特性の回復の詳細を実験データにより捉え、その実験データに基づき、回復を表わす経験式を見出した。
本発明において、前述した式2のように、Vgのハイレベル電圧が印加してから経過した時間tの対数log(t)の線形式を用い、回復量△PRを計算する。即ち、劣化の後に回復を始めてからの時間tでの回復量△PRを計算する。
【0037】
式2では、△PRは、トランジスタの特性劣化量又は初期特性からの劣化率、例えば特性値Vth、Swingなどの劣化量や、gm、Ids、Ioff、Ig、Swingなどの劣化率、及び例えばSPICEシミュレータのような回路シミュレータの定数Vth0、u0、rdswなどの劣化率又は劣化量をあらわす。CR、BRは定数をあらわす。
【0038】
図1に示すように、回復量△PRの経時変化はゲート電圧Vgに依存する。さらに、回復量△PRは、劣化に伴う回復量に対して過去に加えた最大ゲート電圧Vgmに依存する。
図3は、回復量△PRの最大ゲート電圧Vgmの依存性を図示している。
図3は、MISトランジスタの特性のゲート電圧による劣化を示している。図3(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図3(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間の対数を示している。
【0039】
図3(a)において、例えば、ゲート電圧VgmとVgxをそれぞれトランジスタのゲート電極に印加するとし、従って、図3(a)でゲート電圧Vgmは最大のゲート電圧となる。図3(b)に示すように、ゲート電圧VgmとVgxをトランジスタに印加すると、トランジスタは劣化し、ゲート電圧VgmとVgxを下げると、トランジスタの特性はそれぞれ線R3とR4に沿って回復する。実験結果からは、回復量の経時変化を表わす線R3とR4の勾配は、主に過去に加えた最大ゲート電圧Vgmに依存する。即ち、図3(b)において、R3とR4の勾配は、略同じである。
【0040】
本発明において、実験データに基づいて得られた式16、もしくは、式17を用い、最大ゲート電圧Vgmに依存する定数CRを求める。また、式18、もしくは、式19を用い、最大ゲート電圧Vgmに依存する定数BRを求める。劣化量△PDの計算と同じように、実際に、式16と式18を用いると多くの実験データを再現することができたが、一部の実験結果は式17、式19とよく一致するので、両方を示した。
【0041】
【数16】
【数17】
ここで、CRVM、nCRVM、αCRVM、βCRVMは実験で得られる定数である。
【0042】
【数18】
【数19】
ここで、BRVM、nBRVM、αBRVM、βBRVMは実験で得られる定数である。
【0043】
回復量△PRは、過去に印加した最大のゲート電圧Vgmだけでなく、現在印加されているゲート電圧Vgにも依存する。
本発明において、実験データにづいて、過去に印加した最大のゲート電圧Vgmの依存性を表わす式16、式17、式18、式19に回復量△PRの現在印加されているゲート電圧Vgの依存性を加え、式20、若しくは、式21、及び式22、若しくは、式23とし、定数CR、BRの現在のゲート電圧Vgの依存性、及び過去に印加した最大のゲート電圧Vgmの依存性を表わす。これらの式により、例えば、式2において回復の前に(t<0)印加した最も絶対値の大きいゲート電圧Vgmと現在ゲート電圧Vgから定数CR、BRを計算する。
【0044】
【数20】
【数21】
ここで、CRV、nCRV、αCRV、βCRVは実験で得られる定数である。
【0045】
【数22】
【数23】
ここで、BRV、nBRV、αBRV、βBRVは実験で得られる定数である。
【0046】
回復量△PRは、動作中のトランジスタの温度にも依存する。回復量△PRの温度依存性として、式20〜式23(或は、式16〜19)における定数CRVM、BRVMの絶対温度Tとの関係を式24と式25で表す。式24と式25には、CRVMT、QRC、BRVMT、QRBは実験などから得られる定数、T0は実験時の絶対温度である。
【0047】
【数24】
【数25】
【0048】
<総劣化量△Pの計算>
劣化期間TDにおいて発生した総劣化量△Pは、式26のように、基礎劣化量XD(t)と劣化量△PD(t)との和になる。
回復期間TRにおいて発生した総劣化量△Pは、式27のように、基礎劣化量XD(t)と直前の劣化期間の劣化量△PD(t)の和から回復量△PR(t)を差し引いた値になる。
【0049】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【数31】
【0050】
式28〜式31は、NBTI劣化における基礎劣化量XD(t)の従来の計算式であり、前述した式4と式5によって得られる。
式28と式29は、例えば、図1(a)に示されたのようなローレベルVg1とハイレベルVg2とからなるパルス状のゲート電圧信号Vgを加えた時の基礎劣化量XD(t)を表わしている。
ここでtはゲート電圧がVg1もしくはVg2を印加してから経過した時間、time1はVg1を加えた総累積時間、time2はVg2を加えた総累積時間。又、C,α、β,γ,n,Qは実験などによって得られる定数である。
【0051】
式30と式31は、複数の電圧値を有する任意のゲート電圧信号Vgを加えた時の基礎劣化量XD(t)を表わしている。即ち、式28と式29は、式30と式31の特例となる。
式30と式31において、tはゲート電圧がVgiに変えてからの時間、timeiは任意の電圧Vgiを加えた総累積時間。又、C,α、β,γ,n,Qは実験などによって得られる定数である。
【0052】
シミュレーションでは、劣化量△PDの計算、または、回復量△PRの計算を実行するかどうかを判別する基準を設ける。例えば、ゲート電圧Vgはある値以上になると、劣化の変動が始まると判定し、式1、及び式6〜式15で表わされる劣化量△PD、式26で表わされる総劣化量△Pを求める。ゲート電圧Vgはある値以下になると、回復が始まると判定し、式2、及び式16〜式25で表わされる回復量△PR、式27で表わされる総劣化量△Pを求める。
【0053】
以上に、説明を簡単にするために、基礎劣化量XD(t)を従来の計算式28〜式31(或は、式4と式5)を用いて表わしていたが、本願発明者は実験データに基づいて、実際の基礎劣化量XD(t)を、式4と式5のような1つの時間領域に定義された1つの関数で表わすのでなく、複数の時間領域における複数の異なる関数で表わすことを見出した。
図4は、基礎劣化量XD(t)の経時変化を図示し、従来の計算法と本発明の計算法を比較する。
破線は、式4と式5で表わされる従来の計算式による基礎劣化量XD′の経時変化を示し、実線は、本発明による基礎劣化量の経時変化を示す。従来の式4と式5では、基礎劣化量XD′は全時間範囲で1つの関数で表現される。
一方、本発明では、例えば、3つの時間範囲(t<t1、t1<t<t2、t>t2)に、それぞれ異なる関数を使って各時間範囲内の基礎劣化量XD1、XD2、XD3を表わす。例えば、式32と式33を用いる。
【0054】
【数32】
【数33】
【0055】
式32と式33において、Vg0は基準となるゲート電圧、Vgjはある時点jのゲート電圧、△tjはVgjが加えられた時間、timeはVg0、T0に換算された時間、kは時間領域を表す添え字、stimekはVg0、T0条件下における領域kの始まる時間、etimekは同じく領域kの終了する時間である。
式32と式33で総劣化量△Pを求める時は、前述と同じように、例えば、劣化量△PD、もしくは回復量△PRを計算しておいて、そして、式32でこれまで経過した時間timeを計算し、式33に代入して基礎劣化量XDを得る。総劣化量△Pは式26又は式27で得られる。
式32と式33によって、劣化量は実際の値と近い値となり、実際より多く見積もる可能性が低くなる。
【0056】
本実施形態によれば、新しいNBTIの劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路(例えば、設計ルールが180nmよりも小さい場合)の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
従来技術の劣化式を時間で区切ることにより劣化量を実際に近いものにできる。多くの場合、劣化量を減らせる。
新しいNBTI劣化現象として、劣化の変動を考慮することによってより正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を増える。
新しいNBTI回復現象を考慮することによってより正確で最終的な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を大幅に減らせる。
これら正確な信頼性劣化マージンをシミュレーションすることにより、従来技術より劣化量を減った場合にはMISトランジスタのサイズを小さくすることが可能となり製品のウェハ占有面積を削減し、結果としてウェハ1枚あたりに製造できる製品数が増加し、製造コストを下げることが可能となる。従来技術より劣化量が増える場合、製品に対して寿命をまっとうできるように予め対策を施した回路を設計することが可能である。
【0057】
第2の実施の形態
次に、本発明に係る半導体特性シミュレータの一実施形態を説明する。
本実施形態のシミュレータは、MISトランジスタなどから構成される一つの回路に対して、半導体製造工程やユーザーの使用などにおける複数のストレス状態及び使用状態を連続的に処理し、トランジスタ及び回路の特性劣化及び回復をシミュレーションし、トランジスタ及び回路の特性変化を評価する。
例えば、半導体製造工程における電圧を加える測定工程におけるMISトランジスタの劣化や回復や、測定工程の後の放置による回復、温度を加え初期故障をスクリーニングする製造工程のバーンイン工程における劣化と回復、バーンイン工程の後の放置による回復、ユーザー使用時に電圧、温度を加える時に発生する劣化と回復、ユーザー使用後の放置による回復など、一部または全てを連続的に計算する。こうすることによって、より正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、例えば、バーンイン工程を考慮するだけよりは劣化量を劇的に減らすことができる。
【0058】
図5は、本実施形態に係る半導体特性シミュレータ1の構成を示す図である。
半導体特性シミュレータ1は、第1の実施形態で説明した劣化と回復の演算をするコンピュータシステムからなり、例えば、演算、制御を行なうプロセッサ(CPU)2と、シミュレーションモデル及びこのモデルに必要なデータを格納したメモリ3と、シミュレーションに必要な条件などのデータを入力する入力部4と、シミュレーションの結果を出力する出力部5と、プロセッサ2、メモリ3、入力部4、及び出力部5を接続するバス6とを含む。なお、半導体特性シミュレータ1は、以上の構成を複数有しても良い。
【0059】
メモリ3には、第1の実施形態で説明したようなシミュレーションに必要な、実験で得られた定数群7、シミュレーションを実施すべき対象回路の接続関係のデータであるネットリスト8、シミュレーションを行なうモデル9などを格納している。
入力部4から、シミュレーションを実施すべき対象回路のネットリスト8とシミュレーションモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先が入力される。
【0060】
また、回路の複数の使用状態を連続的に処理し、トランジスタ及び回路の特性劣化及び回復を正確にシミュレーションするために、回路とトランジスタの特性劣化をシミュレーションする時に、回路とトランジスタの使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間が入力部4から入力される。
また、シミュレーションで得られた劣化量を評価するために、劣化後の回路及び各トランジスタの故障判定基準として劣化許容値も入力される。シミュレーションで得られた劣化量を劣化許容値と比較し、劣化後の回路の最適化を行なう。
出力部5は、シミュレーションで得られたトランジスタの寿命、劣化量、総劣化量、及び劣化後特性を出力する。
【0061】
シミュレータ1によってシミュレーションを行なう時に必要な定数群7は、図6に示す構成で測定する。図6において、例えば、ソース・ドレイン電流Idsを測定するDCテスタからなる測定器11によりトランジスタの特性を測定する。測定器制御部12は、例えばコンピュータからなり、トランジスタの特性の実験値より、第1の実施形態で説明した定数群を計算し、シミュレータ1に出力する。測定器制御部12は、測定器11を制御してデータの測定や、定数の計算を自動的に行ない、トランジスタと回路の複数の使用条件での劣化を連続的にシミュレーションする。
測定器11と測定器制御部12は、シミュレーションに用いられる定数をトランジスタのゲート長毎に測定し、さらに、各トランジスタのソース・ドレイン間電圧に依存して測定し、出力し、メモリ3に保存する。
このようにシミュレーションに必要なデータ測定や定数計算を自動化することにより、大量のパラメータを短時間で取得することが可能となり、また、高速に劣化と回復を計算し、新しいNBTI劣化現象と回復現象を正確に捉えることができる。
【0062】
次に、図7〜図10のフローチャートを参照して、半導体特性シミュレータ1の動作を説明する。
図7は、半導体装置特性シミュレータ1の演算内容を示すフローチャートである。
最初に、シミュレーションを実施すべき対象回路のネットリスト7とシミュレーションモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先を入力する。シミュレーションモデル9を実行し、対象回路の特性及びそれを構成するトランジスタの特性劣化のシミュレーションを開始する。
【0063】
ステップS1:
対象回路のある使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間を入力する。
ステップS2:
劣化による回路の特性変化を評価するために、劣化前の回路特性をシミュレーションし、その結果をメモリ3に保存する。
【0064】
ステップS3:
対象回路を構成するMISトランジスタ毎に、例えば、第1の実施形態で説明し式1,式2、式6から式33で定義されるような計算方法によって、入力された使用条件及び指定された経過時間に達するまで、トランジスタの劣化量、回復量、総劣化量、及びそれらの電圧と温度依存性を計算する。得られたトランジスタの寿命、劣化量を出力する。
【0065】
ステップS4:
さらに別の使用条件でのシミュレーションを続ける場合、例えばバーンイン工程での動作の後にそれとは違う温度、電圧条件で、ユーザーによる動作が続く場合は、ステップS1に戻り、次の使用条件を入力し、その条件で、劣化前の回路特性シミュレーション(ステップS2)とトランジスタ毎のシミュレーション(ステップS3)を繰り返す。
これ以上別の使用条件が続かない場合は、ステップS5に進む。
【0066】
ステップS5:
劣化による回路の特性変化を評価するために、前述した複数の使用条件で得られた総劣化量から、劣化後の回路特性をシミュレーションする。
ステップS6:
劣化後のシミュレーション結果とメモリ3に保存されている劣化前の回路特性とを表示し比較し、劣化による回路の特性変化を評価する。
また、上記のシミュレーションで得られた各条件でトランジスタ毎の劣化量から、例えば、劣化量ライブラリを作成し保存し、同じトランジスタで構成された他の回路の特性劣化シミュレーションに使う。
また、劣化後のシミュレーション結果から、特性の劣化による回路の遅延時間の増大を算出し、回路毎の遅延量のライブラリを作成し保存し、他の回路の特性劣化シミュレーションに使う。
【0067】
図8は劣化前の回路特性のシミュレーションを示している。
ステップS11:
メモリ3に格納されている回路シミュレータ、SPICEなどの回路シミュレータを用い、対象回路のシミュレーションを行ない、劣化前の回路特性を抽出する。
このシミュレーション結果は、例えば、ゲート電圧やソース・ドレイン電圧の時間推移で構成される。
ステップS12:
得られたシミュレーション結果から、MISトランジスタ毎に実効ゲート電圧を算出し、ステップ3に進む。
実効ゲート電圧の算出は、測定器11で計算されメモリ3に格納された定数群7を用いて行なう。
【0068】
図9はトランジスタ毎の劣化シミュレーションを示している。
ステップS21:
MISトランジスタ毎に、例えば、第1の実施形態で説明し式1,式2、及び式6から式33を用い、入力された使用条件及び指定された経過時間に達するまで、トランジスタの劣化量、回復量、及びそれらの電圧と温度依存性を計算する。
ステップS22:
MISトランジスタ毎に入力された故障判定基準となる劣化許容値を用い、瞬間総劣化量は劣化許容値に達するまでのトランジスタの寿命を計算する。
劣化量、回復量の計算、寿命の計算は、測定器11で計算されてメモリ3に格納された定数群7を用いて行なう。
計算された劣化量及び寿命を出力する。
【0069】
ステップS23:
入力された全ての使用条件で、過去に計算された劣化量からMISトランジスタ毎の総劣化量を計算し、ステップ4に進む。
例えば、現在の使用条件において、計算された劣化量△PDの最大値、もしくは回復量△PRの最小値を調べる。式32を用いて過去の全て及び現在の使用条件を全て足した時間timeを計算し、式33に代入して得た値をXDとなる。それまでの総劣化量△Pは式26又は式27で得られる。
【0070】
図10は劣化後回路特性のシミュレーションを示している。
ステップS31:
これまでの各条件で発生した劣化量の和となる総劣化量から、MISトランジスタ劣化後のモデルパラメータ、例えばSPICEにおける劣化後のVth0やu0,rdswを計算する。計算された結果を出力する。
ステップS32:
算出されたモデルパラメータを用いて、SPICEなどの回路シミュレーションを行ない、劣化後の回路特性を計算する。
【0071】
このようにして、MISトランジスタなどから構成される一つの回路に対して、複数の使用状態で発生したトランジスタの劣化及び回復は連続的にシミュレーションされ、回路の特性変化は評価される。
【0072】
なお、実際の使用条件では、動作中の周期的なストレス状態と異なって、前述したような処理後の非周期の放置期間、例えば、半導体製造工程において測定した後の放置、バーンイン工程の後の放置、ユーザー使用後に電源をオンからオフにした後の放置などが多く存在する。
このような放置期間内に、トランジスタ及び回路の特性が回復し続け、劣化のない完全な状態に近い状態まで回復できることもある。
本実施形態のシミュレータは、回復が十分行なわれた後、十分回復したことを検知し、総劣化量の計算に反映させる。例えば、式26〜33で計算される総劣化量△Pがある一定の値まで回復したことを判定し、その場合に、劣化と回復の計算に必要なパラメータ或は一部をもう一度設定する。例えば、この時に、回復量の最大ゲート電圧Vgmの依存関係がなくなるので、回復量を計算する時に最大ゲート電圧Vgmの値をリセットする。
【0073】
本実施形態によれば、新しいNBTIの劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路(例えば、設計ルールが180nmより小さい場合)の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
実際の半導体製造工程や、ユーザーの使用などの複数の使用条件を考慮することにより、より正確な劣化量をシミュレーションできる。通常、従来のように一工程だけを考慮する場合より、劣化量をさらに大幅に減らすことができる。
シミュレーションに必要な定数の計算及び実験データ測定を自動化することにより、シミュレーションに必要な大量のパラメータを短時間で取得することが可能となり、また、高速に劣化量と回復量を計算でき、新しいNBTI劣化、回復現象を正確に捉えることができる。
【0074】
第3の実施の形態
次に、本発明に係る半導体特性シミュレータの他の実施形態を説明する。
本実施形態のシミュレータは、大規模集積回路(VLSI)の劣化シミュレーションに好適である。大規模集成回路の場合は、回路の構成が多くかつ複雑なので、全てのトランジスタについて劣化と回復のシミュレーションを行なうことは非常に時間が掛かるので、非現実である。そのため、事前にトランジスタまたは基本回路の劣化シミュレーションで得られた結果からトランジスタまたは基本回路の劣化量ライブラリを作成しておく。対象回路の劣化シミュレーションを行なう時に、その劣化量ライブラリを用いて対象回路におけるトランジスタ及び基本回路の劣化量を短時間に求めることができる。
【0075】
図11は、本実施形態に係る半導体特性シミュレータ20の構成を示す図である。
半導体特性シミュレータ20の構成は、基本的に第1の実施形態の半導体特性シミュレータ1と同様である、但し、メモリに記憶された、計算に必要なデータが異なる。また、シミュレータ全体の動作手順も異なる。
本実施形態において、第2の実施形態と同じ構成に同じ参照番号を用いる。
【0076】
半導体特性シミュレータ20は、例えば、プロセッサ(CPU)2と、シミュレーションモデル及びシミュレーションに必要なデータを格納したメモリ3と、シミュレーションに必要な条件などのデータを入力する入力部4と、シミュレーションの結果を出力する出力部5と、プロセッサ2、メモリ3、入力部4、及び出力部5を接続するバス6とを含む。なお、半導体特性シミュレータ20は、以上の構成を複数有しても良い。
【0077】
メモリ3には、シミュレーションに必要な実験で得られた定数群7、シミュレーションを実施すべき対象回路の接続関係のデータであるネットリスト8、シミュレーションを行なうモデル9に加えて、事前にトランジスタについて行なったシミュレーション結果から作成した劣化量データである劣化量ライブラリ21、大規模回路となる対象回路を構成する基本回路のデータである基本回路ライブラリ22、対象回路の回路図23などを格納している。
入力部4から、回路の使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間が入力される。また、許容劣化値は故障判定基準として入力される。
出力部5は、シミュレーションで発見した故障箇所、及び劣化後特性を出力する。
また、図示していないが、シミュレーションに必要な定数群7を決めるために、実験データを測定し、定数を計算する測定手段は配置されている。
【0078】
構成するか基本的な回路群毎に劣化量ライブラリ21として予め劣化量を用意しておく。劣化量ライブラリ21は、例えば、第2の実施形態で説明したように、事前に行なったトランジスタと別の回路の劣化シミュレーションの結果をもって作成しても良く、または、全てのトランジスタが最も厳しい劣化をするという仮定で、劣化量を計算しておいてライブラリを作成する。これは、例えば、式32、式33を用いることで容易に算出できる。
シミュレータ20は、以上の劣化量ライブラリ21を用い、基本的な回路群のデータからなる基本回路ライブラリ22から構成される、回路図23となる対象回路について、高速かつ正確に特性の劣化を計算する。
【0079】
次に、図12のフローチャートを参照して、半導体特性シミュレータ20の動作を説明する。
図12は、半導体装置特性シミュレータ20の演算内容を示すフローチャートである。
最初に、シミュレーションを実施すべき対象回路のシミュレーションのモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先を入力する。シミュレーションのモデル9を実行し、対象回路の特性及びそれを構成するトランジスタの特性劣化のシミュレーションを開始する。
【0080】
ステップS41:
初期の回路シミュレーションを行なう。
具体的に、劣化量ライブラリ21と基本回路ライブラリ22を用い、基本回路ライブラリ22に含まれる基本回路群からなる構成される、回路図23となる対象回路について、高速に基本回路の劣化量を計算する。
ステップS42:
劣化量は入力される故障判定基準の劣化量が無視できない程大きい回路のみを抽出する。同時に対象回路の動作波形と動作パターンも抽出する。
ステップS43:
抽出された回路、動作波形及び基本回路ライブラリ22によって、例えば、SPICEシミュレーションが可能となるようなネットリスト8を合成する。
【0081】
ステップS44:
ネットリスト8を用い、例えば、第2の実施形態で説明したように、より正確な回路シミュレーションを行なう。
ステップS45:
回路シミュレーションの結果より、入力された故障判定基準を用いて回路の故障判定を行なう。
ステップS46:
シミュレーション結果として、例えば、故障判定の結果により、故障となった箇所、及び劣化後の回路の遅延値などを出力する。
【0082】
本実施形態によれば、大規模回路の場合であっても、高速に正確に劣化と回復シミュレーションができる。
【0083】
以上、本発明を好ましい実施の形態に基づき説明したが、本発明は以上に説明した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改変が可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、劣化現象において、劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
従来の劣化の計算式を時間で区切ることにより劣化量を実際に近いものにできる。多くの場合、劣化量を減らせる。
特性劣化の変動を考慮することによってより正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量が増える。
特性の回復を考慮することによってより正確で最終的な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を大幅に減らせる。
半導体装置の製造からユーザーの使用までの複数の使用条件を考慮することにより、より正確な劣化量をシミュレーションでき、一工程だけを考慮する場合より劣化量をさらに大幅に減らすことができる。
また、本発明によれば、大規模回路の場合であっても、高速に正確に劣化と回復シミュレーションができる。
【0085】
これら正確な信頼性劣化マージンをシミュレーションすることにより、従来技術より劣化量を減った場合にはMISトランジスタのサイズを小さくすることが可能となり製品のウェハ占有面積を削減し、結果としてウェハ1枚あたりに製造できる製品数が増加し、製造コストを下げることが可能となる。従来技術より劣化量が増える場合、製品に対して寿命をまっとうできるように予め対策を施した回路を設計することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性劣化と回復、及びそれらのゲート電圧依存性を示す図である。
【図2】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性劣化量のゲート電圧依存性を示す図である。
【図3】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性回復量のゲート電圧依存性を示す図である。
【図4】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性の基礎劣化量の時間領域の依存性を示す図である。
【図5】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの構成を示す図である。
【図6】
本発明の第2の実施形態に係る定数測定器の構成を示す図である。
【図7】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図8】
図7に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図9】
図8に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図10】
図9に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図11】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの構成を示す図である。
【図12】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…シミュレータ、2…CPU、3…メモリ、4…出力部、5…入力部、6…バス、7…定数群、8…ネットリスト、9…モデル、11…測定器、12…制御部、20…シミュレータ、21…劣化量ライブラリ、22…基本回路ライブラリ、23…回路図、△PD…劣化量、△PR…回復量、XD…基礎劣化量。
【発明の名称】 半導体装置特性シミュレーション方法及び半導体装置特性シミュレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレーション方法において、
複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション工程と、
前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション工程と、
前記第1のシミュレーション工程の結果と前記第2のシミュレーション工程の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価工程と
を備えることを特徴とする
半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項2】
複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレ−タにおいて、
複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション手段と、
前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション手段と、
前記第1のシミュレーション手段の結果と前記第2のシミュレーション手段の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価手段と
を備えることを特徴とする
半導体装置特性シミュレータ。
【請求項3】
複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする方法であって、
少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタを形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出工程と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出工程と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出工程と、
前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出工程と
を有する
半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項4】
前記劣化量算出工程において、式1を用い、前記劣化の変動量△PDの経時変化を求める
【数1】
ここで、CD、BDは定数である
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項5】
前記回復量算出工程において、式2を用い、前記回復量△PRの経時変化を求める
【数2】
ここで、CR、BRは定数である
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項6】
前記基礎劣化量算出工程において、前記トランジスタを形成してから経過した時間を複数の領域に分割し、各領域において異なる関数を用いて前記基礎劣化量XDの経時変化を表わす
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項7】
前記劣化量算出工程において、少なくとも、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgにより発生する劣化の変動量と、前記トランジスタに印加された直前のゲート電圧Vgpによって発生する劣化の変動量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する劣化の変動量とを求める
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項8】
前記回復量算出工程において、少なくとも、前記回復量の前記トランジスタに印加されたゲート電圧の依存性として、前記トランジスタに過去に印加された最大ゲート電圧Vgmによって発生する回復量と、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgによって発生する回復量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する回復量とを求める
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項9】
前記総劣化量算出工程において、前記トランジスタの特性が所定の許容劣化値まで劣化する時は、該劣化値に達するまでの累積時間をトランジスタの寿命として出力する
請求項3に記載の半導体装置特性シミュレーション方法。
【請求項10】
複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする半導体装置特性シミュレータであって、
少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタが形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出手段と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出手段と、
前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくともゲート電圧の前記第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出手段と、
前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出手段と
を有する
半導体装置特性シミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタ及びMISトランジスタから構成される半導体装置の特性劣化のシミュレーション方法及びシミュレータに関し、特に、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)現象によるMISトランジスタと半導体装置の特性劣化のシミュレーション方法及びシミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路装置の高密度化、高集積化、微細化の進行に伴い、それを構成するMOSトランジスタの寸法の微細化は著しい。その中で、トランジスタ特性の劣化によるMOSトランジスタの信頼性が大きな問題となっていた。
MOSトランジスタ特性の劣化により、例えば、ドレイン電流が時間とともに減少し、その結果回路の遅延時間が時間とともに増大する。この遅延時間の増大はある程度以上に増大すると半導体集積回路内あるいは外部との信号の入出力動作のタイミングエラーを生じ、半導体集積回路が組み込まれているシステム全体の誤動作を引き起こす。
【0003】
これまでは、MOSトランジスタの特性劣化について、ホットキャリア劣化が主に研究されてきた。例えば、特許文献1と特許文献2は、ホットキャリア劣化に関することが開示してある。
ホットキャリア劣化現象は、MOSトランジスタのドレイン端において高電界により高エネルギーの電子・正孔(以下「ホットキャリア」と呼ぶ)が発生し、このホットキャリアがゲート酸化膜の特性を劣化させるものである。
ホットキャリア劣化をシミュレーションする既存技術として、現在も利用されている、1985年のIEEEで発表されているLucky Electronモデル(以後、LEモデルと称す。)は、式3のように示され、Hot Electronに関する1つの現象に限った劣化モデルを計算する方法である。
【0004】
【数3】
ここで、△Pは、時間timeを経過した時にトランジスタ特性の劣化量を表わし、Ids、Ib、wはそれぞれソース・ドレイン電流、基板電流、チャネル幅を表わし、m、nは比例定数である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−135388号公報
【特許文献2】
特開2001−352059号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでは、LEモデルで、すなわちIds、Ibデータで表現できるトランジスタ劣化は最も注力すべき劣化現象であった。
しかし、MOSトランジスタの微細化に伴い、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)という新たな劣化現象が発見され問題視されるようになってきた。
NBTI劣化の一つには、高温で基板に対して負の電圧をトランジスタのゲート電極に印加し続けるとトランジスタの駆動能力が劣化する現象がある。特に、ゲート絶縁膜に窒化物を採用した表面チャンネル構造のp型MOSトランジスタで劣化が大きい。
MOSトランジスタにおいて、NBTI劣化は、シリコン基板と酸化シリコン絶縁膜の界面で起きる化学反応の平衡状態が高温及び負電圧によって変化することに起因すると解釈されている。
NBTIによる劣化現象では、トランジスタ特性の劣化が時間につれて進みながら、その劣化量が増大したり、減少したりして変動する。
【0007】
NBTI劣化現象に関しては、その劣化を発生させないように、トランジスタの構造を改良する研究がされているが、NBTI劣化現象の存在を前提にして、その詳細を正確に把握し、NBTI劣化を見込んで半導体デバイスを信頼性良く設計する、いわゆるシミュレーションによる研究方法もある。
しかし、従来のシミュレーション手法、例えばLEモデルでは、NBTI劣化現象における劣化の変動に関し対応が出来ず、そのため、NBTI現象による劣化量を正確に見積もって半導体デバイスを信頼性良く設計することができない。これによって、トランジスタの特性劣化に対して、設計マージンを正確に設定することが困難である。
【0008】
トランジスタの特性劣化に対して、必要以上に大きな設計マージンを付けることは、半導体チップの面積を大きくする可能性があるので、できる限りさけなければならない。又、トランジスタの特性劣化に対して、必要以上に小さなマージンを付けることは、製品の寿命が短くなる恐れがある。
NBTI劣化に関して、式4と式5を実現する信頼性回路シミュレータが既に市販されている。しかしながら、式4と5の関係は、劣化の直流部分の変化を正確に表現していないため、NBTI現象における劣化量を実際より多く見積もる危険性が高いと指摘されている。
また、NBTI劣化において温度やゲート電圧による劣化の変動は今まで全く知られていない。しかし、劣化の変動を考慮しないと、NBTI劣化現象を正確に捉えず、正確な見積りができない、例えば、劣化量を実際より小さく或は多く見積もる危険性がある。
【0009】
【数4】
【数5】
ここで、△Pは、時間timeを経過した時にトランジスタ特性の劣化量を表わし、Q、C、nは比例定数である。Tは絶対温度、T0は実験時の絶対温度、Vg0は基準となるゲート電圧、Vgjはある時点jのゲート電圧、△tjはVgjが加えられた時間、timeはVg0、T0に換算された時間を表わす。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トランジスタの劣化現象における劣化量の変動を正確にシミュレーションし、半導体装置を信頼性良く設計することを可能とするシミュレータ及びその方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体特性シミュレーション方法は、複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレーション方法において、複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション工程と、前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション工程と、前記第1のシミュレーション工程の結果と前記第2のシミュレーション工程の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体特性シミュレータは、複数のトランジスタで構成される回路の特性をシミュレーションする半導体装置特性シミュレ−タにおいて、複数の使用条件に基づいて、劣化前の前記回路のシミュレーションを行なう第1のシミュレーション手段と、前記複数の使用条件に基づいて、劣化後の前記回路のシミュレーションを行なう第2のシミュレーション手段と、前記第1のシミュレーション手段の結果と前記第2のシミュレーション手段の結果とを比較し、劣化による前記回路の特性を評価する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の半導体特性シミュレーション方法は、複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする方法であって、少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタを形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出工程と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出工程と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出工程と、前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出工程とを有する。
【0014】
前記劣化量算出工程において、前述した式1を用い、前記劣化の変動量△PDの経時変化を求める。
前記回復量算出工程において、前述した式2を用い、前記回復量△PRの経時変化を求める。
【0015】
前記基礎劣化量算出工程において、前記トランジスタを形成してから経過した時間を複数の領域に分割し、各領域において異なる関数を用いて前記基礎劣化量XDの経時変化を表わす。
【0016】
前記劣化量算出工程において、少なくとも、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgにより発生する劣化の変動量と、前記トランジスタに印加された直前のゲート電圧Vgpによって発生する劣化の変動量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する劣化の変動量とを求める。
【0017】
前記回復量算出工程において、少なくとも、前記回復量の前記トランジスタに印加されたゲート電圧の依存性として、前記トランジスタに過去に印加された最大ゲート電圧Vgmによって発生する回復量と、前記トランジスタに印加された現在のゲート電圧Vgによって発生する回復量と、前記トランジスタの温度Tによって発生する回復量とを求める。
【0018】
前記総劣化量算出工程において、前記トランジスタの特性が所定の許容劣化値まで劣化する時は、該劣化値に達するまでの累積時間をトランジスタの寿命として出力する。
【0019】
本発明の半導体装置特性シミュレータは、複数のMIS(Metal Insulator Silicon)トランジスタから構成される半導体装置における前記トランジスタの特性の経時変化をシミュレーションする半導体装置特性シミュレータであって、少なくとも前記トランジスタに印加されたゲート電圧、前記トランジスタの温度、前記トランジスタが形成してから経過した時間に依存する前記トランジスタの特性の基礎劣化量XDを求める基礎劣化量算出手段と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第1のレベル期間において、少なくとも前記ゲート電圧の第1のレベルと、前記ゲート電圧の第1のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の劣化の変動量△PDを求める劣化量算出手段と、前記トランジスタに印加されたゲート電圧の第2のレベル期間において、少なくともゲート電圧の前記第2のレベルと、前記ゲート電圧の第2のレベルを印加してから経過した時間と、前記トランジスタの温度に依存する前記トランジスタの特性の回復量△PRを求める回復量算出手段と、前記ゲート電圧の第1のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記劣化の変動量△PDとを加算し、前記ゲート電圧の第2のレベル期間において、前記基礎劣化量XDと前記回復量△PRとを減算し、前記トランジスタの特性の総劣化量△Pを求める総劣化量算出手段とを有する。
【0020】
本発明の半導体特性シミュレーション方法において、基礎劣化量XDと、劣化の変動量△PDと、特性の回復量△PRと、総劣化量△Pを求める。これによって、特性の変動において、基礎劣化量XDに対する劣化の変動(増加)と、特性の回復(基礎劣化量XDに対する劣化の減少)とを考慮してシミュレーションを行なう。これによって、トランジスタの形成後、測定工程やバーンイン工程など最初に電圧を加えてから経過した時間または、使用に供し始めてから経過した時間に依存するトランジスタの特性の劣化量を求める。
【0021】
本発明によれば、ゲート電圧を印加してから経過した時間tの対数(log(t))を変数となる関数を用い、トランジスタ特性の劣化の変動量の経時変化と、トランジスタ特性の回復量の経時変化を求め、劣化と回復を正確に計算する。
本発明によれば、異なる時間領域において異なる関数を定義し、それらを用い基礎劣化量XDの経時変化を表わす。
また、本発明によれば、劣化量と回復量のゲート電圧Vgの依存性と、温度の依存性とを求める。
これによって、劣化量と、劣化後の回復量と、総劣化量を正確に求める。
【0022】
本発明によれば、劣化量ライブラリを作成し、その劣化量ライブラリを用い回路の劣化量を求め、大規模回路について劣化量を高速に求める。
また、本発明によれば、トランジスタの複数の使用条件において、トランジスタの劣化量と回復量を連続的に求め、劣化量を正確に求める。
これによって、実際の使用状態と近い劣化量と、劣化後の回復量と、総劣化量を正確に求める。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の半導体特性シミュレータ及び半導体特性シミュレーション方法の実施の形態について、添付した図面を参照して説明する。
第1の実施の形態
本願発明者は、NBTI劣化現象、特に、劣化、及び劣化後に特性の回復の詳細を実験データにより捉え、その実験データに基づき、NBTI劣化現象をシミュレーションするために、劣化及び回復を表わす経験式を見出した。
図1は、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)劣化現象として、例えば、MISトランジスタの駆動能力や、しきい値電圧などの特性の経時変化を概略的に示しており、一例として印加されたゲート電圧によってトランジスタの特性が時間と共に劣化していく例を示している。図1(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図1(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間を示している。
図1(a)と(b)に示すように、負のゲート電圧Vgを印加すると、トランジスタの特性は曲線Dのように劣化し、即ち、総劣化量△Pが増大する。一方、負のゲート電圧Vgを下げると、トランジスタの特性は曲線Rのように回復する。この劣化と回復は、印加されたゲート電圧信号Vgと同じ周期で繰り返して発生する。
【0024】
また、ゲート電圧Vgの各周期において、劣化の最小値或は回復の最大値を結んだ曲線は、特性の変動いわゆる劣化と回復とに関係しない、いわゆる劣化量の直流部分とも言われる。以下、この直流部分の劣化量は、「基礎劣化量」XDと呼ぶ。特性の変動は、この基礎劣化量XDに対するものである。
従来のシミュレーション方法は、劣化と回復を考慮しないので、この基礎劣化量XD部分だけをシミュレーションしていた。
【0025】
図1(b)において、Vgのローレベルに対応して劣化が発生する期間、即ち、曲線Dの時間領域TDは、「劣化期間」と呼ぶ。また、Vgのハイレベルに対応して回復が発生する期間、即ち、曲線Rの時間領域TRは、「回復期間」と呼ぶ。
以下は、劣化期間TDにおいて、基礎劣化量XDに対して発生する劣化の増加量を「劣化量の変動量」或は只「劣化量」と呼び、△PDと記し、回復期間TRにおいて、基礎劣化量XDに対して発生する劣化の減少量は「回復量」と呼び、△PRと記す。
【0026】
<劣化量△PDの計算>
本発明において、実験測定結果を解析した結果、前述した式1のように、Vgのローレベル電圧が印加してから経過した時間tの対数log(t)の線形式を用い、劣化量△PDを計算する。
式1において、△PDは、トランジスタの特性劣化量又は初期特性からの劣化率、例えば特性値Vth、Swingなどの劣化量や、gm、Ids、Ioff、Ig、Swingなどの劣化率、及び例えばSPICEシミュレータのような回路シミュレータの定数Vth0、u0、rdswなどの劣化率又は劣化量をあらわす。CD、BDは定数をあらわす。
【0027】
図1に示すように、△PDの経時変化はゲート電圧Vgに依存する。即ち、定数CD、BDは、印加されたゲート電圧Vgによって決められる。
本発明において、実験データに基づいて得られた式6、もしくは、式7を用い、ゲート電圧Vgに依存する定数CDを求める。また、式8、もしくは、式9を用い、ゲート電圧Vgに依存する定数BDを求める。実際に、式6と式8は多くの実験データを再現できたが、一部の実験結果は式7、9とよく一致するので、両方を使用する可能性がある。
【0028】
【数6】
【数7】
ここで、CDV、nCV、αCV、βCVは実験で得られる定数である。
【0029】
【数8】
【数9】
ここで、BDV、nBV、αBV、βBVは実験で得られる定数である
【0030】
劣化量△PDは、現在印加されているゲート電圧Vgだけでなく、直前のゲート電圧Vgpにも依存する。図2は、劣化量△PDの直前のゲート電圧Vgpの依存性を図示している。
図2は、図1と同じように、MISトランジスタの特性のゲート電圧による劣化を示している。図2(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図2(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間を示している。
図2(a)において、期間T1に、例えば、2つの電圧Vg1aとVg1bをそれぞれトランジスタのゲート電極に印加するとする。一例として、Vg1a=0V、Vg1b=−0.6Vとする。図2(b)に示すように、ゲート電圧Vg2をトランジスタに印加すると、トランジスタの特性は劣化する。ゲート電圧Vg2を印加している期間T2には、トランジスタの劣化量は、期間T1においてトランジスタに印加した電圧Vg1aとVg1bによって異なる。期間T1に電圧Vg1aを印加した場合は、トランジスタの特性が曲線D1に沿って劣化する、期間T1に電圧Vg1bを印加した場合は、トランジスタの特性が曲線D2に沿って劣化する。
【0031】
本発明において、実験データに基づいて、現在のゲート電圧Vgの依存性を表わす式6、式7、式8、式9に劣化量△PDの直前のゲート電圧Vgpの依存性を加え、式10、若しくは、式11、及び式12、若しくは、式13を得て、定数CD、BDの現在のゲート電圧Vgの依存性、及び直前のゲート電圧Vgpの依存性を表わす。これらの式により、例えば、式1において時間t=0よりも前に加えた直前のゲート電圧Vgpと現在のゲート電圧Vgから定数CD、BDを計算する。
【0032】
【数10】
【数11】
ここで、CDVP、nCVP、αCVP、βCVPは実験で得られる定数である。
【0033】
【数12】
【数13】
ここで、BDVP、nBVP、αBVP、βBVPは実験で得られる定数である
【0034】
劣化量△PDは、動作中のトランジスタの温度にも依存する。劣化量△PDの温度依存性として、式10〜13(或は、式6〜9)における定数CDV、BDVの絶対温度Tとの関係を式14と式15で表す。式14と式15には、CDVT、QDC、BDVT、QDBは実験などから得られる定数、T0は実験時の絶対温度である。
【0035】
【数14】
【数15】
【0036】
<回復量△PRの計算>
本願発明者は、実験測定結果に基づいて、NBTI劣化現象において、劣化後に特性の回復の詳細を実験データにより捉え、その実験データに基づき、回復を表わす経験式を見出した。
本発明において、前述した式2のように、Vgのハイレベル電圧が印加してから経過した時間tの対数log(t)の線形式を用い、回復量△PRを計算する。即ち、劣化の後に回復を始めてからの時間tでの回復量△PRを計算する。
【0037】
式2では、△PRは、トランジスタの特性劣化量又は初期特性からの劣化率、例えば特性値Vth、Swingなどの劣化量や、gm、Ids、Ioff、Ig、Swingなどの劣化率、及び例えばSPICEシミュレータのような回路シミュレータの定数Vth0、u0、rdswなどの劣化率又は劣化量をあらわす。CR、BRは定数をあらわす。
【0038】
図1に示すように、回復量△PRの経時変化はゲート電圧Vgに依存する。さらに、回復量△PRは、劣化に伴う回復量に対して過去に加えた最大ゲート電圧Vgmに依存する。
図3は、回復量△PRの最大ゲート電圧Vgmの依存性を図示している。
図3は、MISトランジスタの特性のゲート電圧による劣化を示している。図3(a)は、ゲート電圧信号Vgを示し、図3(b)には、縦軸が任意の特性量の総劣化量△P、横軸が時間の対数を示している。
【0039】
図3(a)において、例えば、ゲート電圧VgmとVgxをそれぞれトランジスタのゲート電極に印加するとし、従って、図3(a)でゲート電圧Vgmは最大のゲート電圧となる。図3(b)に示すように、ゲート電圧VgmとVgxをトランジスタに印加すると、トランジスタは劣化し、ゲート電圧VgmとVgxを下げると、トランジスタの特性はそれぞれ線R3とR4に沿って回復する。実験結果からは、回復量の経時変化を表わす線R3とR4の勾配は、主に過去に加えた最大ゲート電圧Vgmに依存する。即ち、図3(b)において、R3とR4の勾配は、略同じである。
【0040】
本発明において、実験データに基づいて得られた式16、もしくは、式17を用い、最大ゲート電圧Vgmに依存する定数CRを求める。また、式18、もしくは、式19を用い、最大ゲート電圧Vgmに依存する定数BRを求める。劣化量△PDの計算と同じように、実際に、式16と式18を用いると多くの実験データを再現することができたが、一部の実験結果は式17、式19とよく一致するので、両方を示した。
【0041】
【数16】
【数17】
ここで、CRVM、nCRVM、αCRVM、βCRVMは実験で得られる定数である。
【0042】
【数18】
【数19】
ここで、BRVM、nBRVM、αBRVM、βBRVMは実験で得られる定数である。
【0043】
回復量△PRは、過去に印加した最大のゲート電圧Vgmだけでなく、現在印加されているゲート電圧Vgにも依存する。
本発明において、実験データにづいて、過去に印加した最大のゲート電圧Vgmの依存性を表わす式16、式17、式18、式19に回復量△PRの現在印加されているゲート電圧Vgの依存性を加え、式20、若しくは、式21、及び式22、若しくは、式23とし、定数CR、BRの現在のゲート電圧Vgの依存性、及び過去に印加した最大のゲート電圧Vgmの依存性を表わす。これらの式により、例えば、式2において回復の前に(t<0)印加した最も絶対値の大きいゲート電圧Vgmと現在ゲート電圧Vgから定数CR、BRを計算する。
【0044】
【数20】
【数21】
ここで、CRV、nCRV、αCRV、βCRVは実験で得られる定数である。
【0045】
【数22】
【数23】
ここで、BRV、nBRV、αBRV、βBRVは実験で得られる定数である。
【0046】
回復量△PRは、動作中のトランジスタの温度にも依存する。回復量△PRの温度依存性として、式20〜式23(或は、式16〜19)における定数CRVM、BRVMの絶対温度Tとの関係を式24と式25で表す。式24と式25には、CRVMT、QRC、BRVMT、QRBは実験などから得られる定数、T0は実験時の絶対温度である。
【0047】
【数24】
【数25】
【0048】
<総劣化量△Pの計算>
劣化期間TDにおいて発生した総劣化量△Pは、式26のように、基礎劣化量XD(t)と劣化量△PD(t)との和になる。
回復期間TRにおいて発生した総劣化量△Pは、式27のように、基礎劣化量XD(t)と直前の劣化期間の劣化量△PD(t)の和から回復量△PR(t)を差し引いた値になる。
【0049】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【数31】
【0050】
式28〜式31は、NBTI劣化における基礎劣化量XD(t)の従来の計算式であり、前述した式4と式5によって得られる。
式28と式29は、例えば、図1(a)に示されたのようなローレベルVg1とハイレベルVg2とからなるパルス状のゲート電圧信号Vgを加えた時の基礎劣化量XD(t)を表わしている。
ここでtはゲート電圧がVg1もしくはVg2を印加してから経過した時間、time1はVg1を加えた総累積時間、time2はVg2を加えた総累積時間。又、C,α、β,γ,n,Qは実験などによって得られる定数である。
【0051】
式30と式31は、複数の電圧値を有する任意のゲート電圧信号Vgを加えた時の基礎劣化量XD(t)を表わしている。即ち、式28と式29は、式30と式31の特例となる。
式30と式31において、tはゲート電圧がVgiに変えてからの時間、timeiは任意の電圧Vgiを加えた総累積時間。又、C,α、β,γ,n,Qは実験などによって得られる定数である。
【0052】
シミュレーションでは、劣化量△PDの計算、または、回復量△PRの計算を実行するかどうかを判別する基準を設ける。例えば、ゲート電圧Vgはある値以上になると、劣化の変動が始まると判定し、式1、及び式6〜式15で表わされる劣化量△PD、式26で表わされる総劣化量△Pを求める。ゲート電圧Vgはある値以下になると、回復が始まると判定し、式2、及び式16〜式25で表わされる回復量△PR、式27で表わされる総劣化量△Pを求める。
【0053】
以上に、説明を簡単にするために、基礎劣化量XD(t)を従来の計算式28〜式31(或は、式4と式5)を用いて表わしていたが、本願発明者は実験データに基づいて、実際の基礎劣化量XD(t)を、式4と式5のような1つの時間領域に定義された1つの関数で表わすのでなく、複数の時間領域における複数の異なる関数で表わすことを見出した。
図4は、基礎劣化量XD(t)の経時変化を図示し、従来の計算法と本発明の計算法を比較する。
破線は、式4と式5で表わされる従来の計算式による基礎劣化量XD′の経時変化を示し、実線は、本発明による基礎劣化量の経時変化を示す。従来の式4と式5では、基礎劣化量XD′は全時間範囲で1つの関数で表現される。
一方、本発明では、例えば、3つの時間範囲(t<t1、t1<t<t2、t>t2)に、それぞれ異なる関数を使って各時間範囲内の基礎劣化量XD1、XD2、XD3を表わす。例えば、式32と式33を用いる。
【0054】
【数32】
【数33】
【0055】
式32と式33において、Vg0は基準となるゲート電圧、Vgjはある時点jのゲート電圧、△tjはVgjが加えられた時間、timeはVg0、T0に換算された時間、kは時間領域を表す添え字、stimekはVg0、T0条件下における領域kの始まる時間、etimekは同じく領域kの終了する時間である。
式32と式33で総劣化量△Pを求める時は、前述と同じように、例えば、劣化量△PD、もしくは回復量△PRを計算しておいて、そして、式32でこれまで経過した時間timeを計算し、式33に代入して基礎劣化量XDを得る。総劣化量△Pは式26又は式27で得られる。
式32と式33によって、劣化量は実際の値と近い値となり、実際より多く見積もる可能性が低くなる。
【0056】
本実施形態によれば、新しいNBTIの劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路(例えば、設計ルールが180nmよりも小さい場合)の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
従来技術の劣化式を時間で区切ることにより劣化量を実際に近いものにできる。多くの場合、劣化量を減らせる。
新しいNBTI劣化現象として、劣化の変動を考慮することによってより正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を増える。
新しいNBTI回復現象を考慮することによってより正確で最終的な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を大幅に減らせる。
これら正確な信頼性劣化マージンをシミュレーションすることにより、従来技術より劣化量を減った場合にはMISトランジスタのサイズを小さくすることが可能となり製品のウェハ占有面積を削減し、結果としてウェハ1枚あたりに製造できる製品数が増加し、製造コストを下げることが可能となる。従来技術より劣化量が増える場合、製品に対して寿命をまっとうできるように予め対策を施した回路を設計することが可能である。
【0057】
第2の実施の形態
次に、本発明に係る半導体特性シミュレータの一実施形態を説明する。
本実施形態のシミュレータは、MISトランジスタなどから構成される一つの回路に対して、半導体製造工程やユーザーの使用などにおける複数のストレス状態及び使用状態を連続的に処理し、トランジスタ及び回路の特性劣化及び回復をシミュレーションし、トランジスタ及び回路の特性変化を評価する。
例えば、半導体製造工程における電圧を加える測定工程におけるMISトランジスタの劣化や回復や、測定工程の後の放置による回復、温度を加え初期故障をスクリーニングする製造工程のバーンイン工程における劣化と回復、バーンイン工程の後の放置による回復、ユーザー使用時に電圧、温度を加える時に発生する劣化と回復、ユーザー使用後の放置による回復など、一部または全てを連続的に計算する。こうすることによって、より正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、例えば、バーンイン工程を考慮するだけよりは劣化量を劇的に減らすことができる。
【0058】
図5は、本実施形態に係る半導体特性シミュレータ1の構成を示す図である。
半導体特性シミュレータ1は、第1の実施形態で説明した劣化と回復の演算をするコンピュータシステムからなり、例えば、演算、制御を行なうプロセッサ(CPU)2と、シミュレーションモデル及びこのモデルに必要なデータを格納したメモリ3と、シミュレーションに必要な条件などのデータを入力する入力部4と、シミュレーションの結果を出力する出力部5と、プロセッサ2、メモリ3、入力部4、及び出力部5を接続するバス6とを含む。なお、半導体特性シミュレータ1は、以上の構成を複数有しても良い。
【0059】
メモリ3には、第1の実施形態で説明したようなシミュレーションに必要な、実験で得られた定数群7、シミュレーションを実施すべき対象回路の接続関係のデータであるネットリスト8、シミュレーションを行なうモデル9などを格納している。
入力部4から、シミュレーションを実施すべき対象回路のネットリスト8とシミュレーションモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先が入力される。
【0060】
また、回路の複数の使用状態を連続的に処理し、トランジスタ及び回路の特性劣化及び回復を正確にシミュレーションするために、回路とトランジスタの特性劣化をシミュレーションする時に、回路とトランジスタの使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間が入力部4から入力される。
また、シミュレーションで得られた劣化量を評価するために、劣化後の回路及び各トランジスタの故障判定基準として劣化許容値も入力される。シミュレーションで得られた劣化量を劣化許容値と比較し、劣化後の回路の最適化を行なう。
出力部5は、シミュレーションで得られたトランジスタの寿命、劣化量、総劣化量、及び劣化後特性を出力する。
【0061】
シミュレータ1によってシミュレーションを行なう時に必要な定数群7は、図6に示す構成で測定する。図6において、例えば、ソース・ドレイン電流Idsを測定するDCテスタからなる測定器11によりトランジスタの特性を測定する。測定器制御部12は、例えばコンピュータからなり、トランジスタの特性の実験値より、第1の実施形態で説明した定数群を計算し、シミュレータ1に出力する。測定器制御部12は、測定器11を制御してデータの測定や、定数の計算を自動的に行ない、トランジスタと回路の複数の使用条件での劣化を連続的にシミュレーションする。
測定器11と測定器制御部12は、シミュレーションに用いられる定数をトランジスタのゲート長毎に測定し、さらに、各トランジスタのソース・ドレイン間電圧に依存して測定し、出力し、メモリ3に保存する。
このようにシミュレーションに必要なデータ測定や定数計算を自動化することにより、大量のパラメータを短時間で取得することが可能となり、また、高速に劣化と回復を計算し、新しいNBTI劣化現象と回復現象を正確に捉えることができる。
【0062】
次に、図7〜図10のフローチャートを参照して、半導体特性シミュレータ1の動作を説明する。
図7は、半導体装置特性シミュレータ1の演算内容を示すフローチャートである。
最初に、シミュレーションを実施すべき対象回路のネットリスト7とシミュレーションモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先を入力する。シミュレーションモデル9を実行し、対象回路の特性及びそれを構成するトランジスタの特性劣化のシミュレーションを開始する。
【0063】
ステップS1:
対象回路のある使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間を入力する。
ステップS2:
劣化による回路の特性変化を評価するために、劣化前の回路特性をシミュレーションし、その結果をメモリ3に保存する。
【0064】
ステップS3:
対象回路を構成するMISトランジスタ毎に、例えば、第1の実施形態で説明し式1,式2、式6から式33で定義されるような計算方法によって、入力された使用条件及び指定された経過時間に達するまで、トランジスタの劣化量、回復量、総劣化量、及びそれらの電圧と温度依存性を計算する。得られたトランジスタの寿命、劣化量を出力する。
【0065】
ステップS4:
さらに別の使用条件でのシミュレーションを続ける場合、例えばバーンイン工程での動作の後にそれとは違う温度、電圧条件で、ユーザーによる動作が続く場合は、ステップS1に戻り、次の使用条件を入力し、その条件で、劣化前の回路特性シミュレーション(ステップS2)とトランジスタ毎のシミュレーション(ステップS3)を繰り返す。
これ以上別の使用条件が続かない場合は、ステップS5に進む。
【0066】
ステップS5:
劣化による回路の特性変化を評価するために、前述した複数の使用条件で得られた総劣化量から、劣化後の回路特性をシミュレーションする。
ステップS6:
劣化後のシミュレーション結果とメモリ3に保存されている劣化前の回路特性とを表示し比較し、劣化による回路の特性変化を評価する。
また、上記のシミュレーションで得られた各条件でトランジスタ毎の劣化量から、例えば、劣化量ライブラリを作成し保存し、同じトランジスタで構成された他の回路の特性劣化シミュレーションに使う。
また、劣化後のシミュレーション結果から、特性の劣化による回路の遅延時間の増大を算出し、回路毎の遅延量のライブラリを作成し保存し、他の回路の特性劣化シミュレーションに使う。
【0067】
図8は劣化前の回路特性のシミュレーションを示している。
ステップS11:
メモリ3に格納されている回路シミュレータ、SPICEなどの回路シミュレータを用い、対象回路のシミュレーションを行ない、劣化前の回路特性を抽出する。
このシミュレーション結果は、例えば、ゲート電圧やソース・ドレイン電圧の時間推移で構成される。
ステップS12:
得られたシミュレーション結果から、MISトランジスタ毎に実効ゲート電圧を算出し、ステップ3に進む。
実効ゲート電圧の算出は、測定器11で計算されメモリ3に格納された定数群7を用いて行なう。
【0068】
図9はトランジスタ毎の劣化シミュレーションを示している。
ステップS21:
MISトランジスタ毎に、例えば、第1の実施形態で説明し式1,式2、及び式6から式33を用い、入力された使用条件及び指定された経過時間に達するまで、トランジスタの劣化量、回復量、及びそれらの電圧と温度依存性を計算する。
ステップS22:
MISトランジスタ毎に入力された故障判定基準となる劣化許容値を用い、瞬間総劣化量は劣化許容値に達するまでのトランジスタの寿命を計算する。
劣化量、回復量の計算、寿命の計算は、測定器11で計算されてメモリ3に格納された定数群7を用いて行なう。
計算された劣化量及び寿命を出力する。
【0069】
ステップS23:
入力された全ての使用条件で、過去に計算された劣化量からMISトランジスタ毎の総劣化量を計算し、ステップ4に進む。
例えば、現在の使用条件において、計算された劣化量△PDの最大値、もしくは回復量△PRの最小値を調べる。式32を用いて過去の全て及び現在の使用条件を全て足した時間timeを計算し、式33に代入して得た値をXDとなる。それまでの総劣化量△Pは式26又は式27で得られる。
【0070】
図10は劣化後回路特性のシミュレーションを示している。
ステップS31:
これまでの各条件で発生した劣化量の和となる総劣化量から、MISトランジスタ劣化後のモデルパラメータ、例えばSPICEにおける劣化後のVth0やu0,rdswを計算する。計算された結果を出力する。
ステップS32:
算出されたモデルパラメータを用いて、SPICEなどの回路シミュレーションを行ない、劣化後の回路特性を計算する。
【0071】
このようにして、MISトランジスタなどから構成される一つの回路に対して、複数の使用状態で発生したトランジスタの劣化及び回復は連続的にシミュレーションされ、回路の特性変化は評価される。
【0072】
なお、実際の使用条件では、動作中の周期的なストレス状態と異なって、前述したような処理後の非周期の放置期間、例えば、半導体製造工程において測定した後の放置、バーンイン工程の後の放置、ユーザー使用後に電源をオンからオフにした後の放置などが多く存在する。
このような放置期間内に、トランジスタ及び回路の特性が回復し続け、劣化のない完全な状態に近い状態まで回復できることもある。
本実施形態のシミュレータは、回復が十分行なわれた後、十分回復したことを検知し、総劣化量の計算に反映させる。例えば、式26〜33で計算される総劣化量△Pがある一定の値まで回復したことを判定し、その場合に、劣化と回復の計算に必要なパラメータ或は一部をもう一度設定する。例えば、この時に、回復量の最大ゲート電圧Vgmの依存関係がなくなるので、回復量を計算する時に最大ゲート電圧Vgmの値をリセットする。
【0073】
本実施形態によれば、新しいNBTIの劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路(例えば、設計ルールが180nmより小さい場合)の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
実際の半導体製造工程や、ユーザーの使用などの複数の使用条件を考慮することにより、より正確な劣化量をシミュレーションできる。通常、従来のように一工程だけを考慮する場合より、劣化量をさらに大幅に減らすことができる。
シミュレーションに必要な定数の計算及び実験データ測定を自動化することにより、シミュレーションに必要な大量のパラメータを短時間で取得することが可能となり、また、高速に劣化量と回復量を計算でき、新しいNBTI劣化、回復現象を正確に捉えることができる。
【0074】
第3の実施の形態
次に、本発明に係る半導体特性シミュレータの他の実施形態を説明する。
本実施形態のシミュレータは、大規模集積回路(VLSI)の劣化シミュレーションに好適である。大規模集成回路の場合は、回路の構成が多くかつ複雑なので、全てのトランジスタについて劣化と回復のシミュレーションを行なうことは非常に時間が掛かるので、非現実である。そのため、事前にトランジスタまたは基本回路の劣化シミュレーションで得られた結果からトランジスタまたは基本回路の劣化量ライブラリを作成しておく。対象回路の劣化シミュレーションを行なう時に、その劣化量ライブラリを用いて対象回路におけるトランジスタ及び基本回路の劣化量を短時間に求めることができる。
【0075】
図11は、本実施形態に係る半導体特性シミュレータ20の構成を示す図である。
半導体特性シミュレータ20の構成は、基本的に第1の実施形態の半導体特性シミュレータ1と同様である、但し、メモリに記憶された、計算に必要なデータが異なる。また、シミュレータ全体の動作手順も異なる。
本実施形態において、第2の実施形態と同じ構成に同じ参照番号を用いる。
【0076】
半導体特性シミュレータ20は、例えば、プロセッサ(CPU)2と、シミュレーションモデル及びシミュレーションに必要なデータを格納したメモリ3と、シミュレーションに必要な条件などのデータを入力する入力部4と、シミュレーションの結果を出力する出力部5と、プロセッサ2、メモリ3、入力部4、及び出力部5を接続するバス6とを含む。なお、半導体特性シミュレータ20は、以上の構成を複数有しても良い。
【0077】
メモリ3には、シミュレーションに必要な実験で得られた定数群7、シミュレーションを実施すべき対象回路の接続関係のデータであるネットリスト8、シミュレーションを行なうモデル9に加えて、事前にトランジスタについて行なったシミュレーション結果から作成した劣化量データである劣化量ライブラリ21、大規模回路となる対象回路を構成する基本回路のデータである基本回路ライブラリ22、対象回路の回路図23などを格納している。
入力部4から、回路の使用条件、例えば、温度、電圧、その条件での経過時間が入力される。また、許容劣化値は故障判定基準として入力される。
出力部5は、シミュレーションで発見した故障箇所、及び劣化後特性を出力する。
また、図示していないが、シミュレーションに必要な定数群7を決めるために、実験データを測定し、定数を計算する測定手段は配置されている。
【0078】
構成するか基本的な回路群毎に劣化量ライブラリ21として予め劣化量を用意しておく。劣化量ライブラリ21は、例えば、第2の実施形態で説明したように、事前に行なったトランジスタと別の回路の劣化シミュレーションの結果をもって作成しても良く、または、全てのトランジスタが最も厳しい劣化をするという仮定で、劣化量を計算しておいてライブラリを作成する。これは、例えば、式32、式33を用いることで容易に算出できる。
シミュレータ20は、以上の劣化量ライブラリ21を用い、基本的な回路群のデータからなる基本回路ライブラリ22から構成される、回路図23となる対象回路について、高速かつ正確に特性の劣化を計算する。
【0079】
次に、図12のフローチャートを参照して、半導体特性シミュレータ20の動作を説明する。
図12は、半導体装置特性シミュレータ20の演算内容を示すフローチャートである。
最初に、シミュレーションを実施すべき対象回路のシミュレーションのモデル9の参照先、例えばトランジスタのSPICE回路シミュレータのパラメータの参照先を入力する。シミュレーションのモデル9を実行し、対象回路の特性及びそれを構成するトランジスタの特性劣化のシミュレーションを開始する。
【0080】
ステップS41:
初期の回路シミュレーションを行なう。
具体的に、劣化量ライブラリ21と基本回路ライブラリ22を用い、基本回路ライブラリ22に含まれる基本回路群からなる構成される、回路図23となる対象回路について、高速に基本回路の劣化量を計算する。
ステップS42:
劣化量は入力される故障判定基準の劣化量が無視できない程大きい回路のみを抽出する。同時に対象回路の動作波形と動作パターンも抽出する。
ステップS43:
抽出された回路、動作波形及び基本回路ライブラリ22によって、例えば、SPICEシミュレーションが可能となるようなネットリスト8を合成する。
【0081】
ステップS44:
ネットリスト8を用い、例えば、第2の実施形態で説明したように、より正確な回路シミュレーションを行なう。
ステップS45:
回路シミュレーションの結果より、入力された故障判定基準を用いて回路の故障判定を行なう。
ステップS46:
シミュレーション結果として、例えば、故障判定の結果により、故障となった箇所、及び劣化後の回路の遅延値などを出力する。
【0082】
本実施形態によれば、大規模回路の場合であっても、高速に正確に劣化と回復シミュレーションができる。
【0083】
以上、本発明を好ましい実施の形態に基づき説明したが、本発明は以上に説明した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の改変が可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、劣化現象において、劣化及び回復現象を扱うことにより、微細化がさらに進んだ半導体回路の設計に対して、高速かつ最適に信頼性劣化マージンを与えるものである。
従来の劣化の計算式を時間で区切ることにより劣化量を実際に近いものにできる。多くの場合、劣化量を減らせる。
特性劣化の変動を考慮することによってより正確な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量が増える。
特性の回復を考慮することによってより正確で最終的な劣化量をシミュレーションできる。多くの場合、劣化量を大幅に減らせる。
半導体装置の製造からユーザーの使用までの複数の使用条件を考慮することにより、より正確な劣化量をシミュレーションでき、一工程だけを考慮する場合より劣化量をさらに大幅に減らすことができる。
また、本発明によれば、大規模回路の場合であっても、高速に正確に劣化と回復シミュレーションができる。
【0085】
これら正確な信頼性劣化マージンをシミュレーションすることにより、従来技術より劣化量を減った場合にはMISトランジスタのサイズを小さくすることが可能となり製品のウェハ占有面積を削減し、結果としてウェハ1枚あたりに製造できる製品数が増加し、製造コストを下げることが可能となる。従来技術より劣化量が増える場合、製品に対して寿命をまっとうできるように予め対策を施した回路を設計することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性劣化と回復、及びそれらのゲート電圧依存性を示す図である。
【図2】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性劣化量のゲート電圧依存性を示す図である。
【図3】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性回復量のゲート電圧依存性を示す図である。
【図4】
本発明の第1の実施形態において、トランジスタ特性の基礎劣化量の時間領域の依存性を示す図である。
【図5】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの構成を示す図である。
【図6】
本発明の第2の実施形態に係る定数測定器の構成を示す図である。
【図7】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図8】
図7に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図9】
図8に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図10】
図9に続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【図11】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの構成を示す図である。
【図12】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置特性シミュレータの演算内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…シミュレータ、2…CPU、3…メモリ、4…出力部、5…入力部、6…バス、7…定数群、8…ネットリスト、9…モデル、11…測定器、12…制御部、20…シミュレータ、21…劣化量ライブラリ、22…基本回路ライブラリ、23…回路図、△PD…劣化量、△PR…回復量、XD…基礎劣化量。
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