JP2001267260A - 半導体モデリング方法 - Google Patents

半導体モデリング方法

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JP2001267260A
JP2001267260A JP2000084716A JP2000084716A JP2001267260A JP 2001267260 A JP2001267260 A JP 2001267260A JP 2000084716 A JP2000084716 A JP 2000084716A JP 2000084716 A JP2000084716 A JP 2000084716A JP 2001267260 A JP2001267260 A JP 2001267260A
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impurity
semiconductor
modeling method
pile
layer
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Yoichi Hayashi
洋一 林
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si/SiO界面での不純物パイルアップ
をシミュレーション可能であり,不純物濃度に依存する
電気特性(例えば,基板バイアス依存性)を高速計算の
もとに解析可能な半導体モデリング方法を提供する。 【解決手段】 Si基板領域の不純物の一部をSi/S
iO界面に移動させ,これを不純物パイルアップとし
て構成する。この方法によれば,従来のFairモデル
では表せなかったSi/SiO界面における不純物パ
イルアップを,点欠陥に関連した拡散方程式を解くこと
なく(すなわち従来のペア拡散モデルを用いず)表すこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,半導体中の不純物
拡散およびMOS型電界効果トランジスタ(MOSFE
T)のしきい電圧の逆短チャネル効果(RSCE:Re
verse Short Channel Effec
t)をモデル化するための半導体モデリング方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体中の不純物拡散を表す従来のモデ
ルは,図13に示すように,次の2つに分類される。そ
の一つは,解析対象領域を設定し,各々の不純物に対し
て1つの拡散方程式を解き,半導体中の不純物分布を計
算することによって得られるモデル(以下,「Fair
モデル」という)である。もう一つは,解析対象領域を
設定し,点欠陥と不純物がペアを形成して拡散すること
を想定して,点欠陥自身と不純物/点欠陥ペアそれぞれ
に関する拡散方程式を解き,半導体中の不純物分布を計
算することによって得られるモデル(以下,「ペア拡散
モデル」という)である。
【0003】Fairモデルは,解くべき方程式の数が
少ないため,計算時間が短く,短時間で半導体シミュレ
ーション結果を得ることが可能であるという利点を有す
る。しかし,不純物拡散に対する点欠陥の影響について
は,拡散方程式に反映されておらず,拡散定数などのモ
デルパラメータを増減させることによって対処していた
ため,不純物拡散に対する点欠陥の影響が大きい場合に
は,シミュレーション精度が低下するおそれがあった。
【0004】一方,ペア拡散モデルは,不純物拡散に対
する点欠陥の影響について充分に考慮されているため,
高精度なシミュレーションが可能である反面,不純物の
数が増加すれば解くべき方程式の数も増加するため,計
算に要する時間が増大する欠点もあった。
【0005】このような両モデルの特徴から,一般的
に,モデルパラメータ調整によって所定の精度のシミュ
レーションが期待できる場合にはFairモデルが選択
され,それ以外の場合にはペア拡散モデルが選択されて
いた。
【0006】過剰な点欠陥が半導体中に存在する場合の
不純物拡散のメカニズムについて図14を用いて説明す
る。過剰な点欠陥は,主に高ドーズのイオン注入工程で
発生する。特に,MOSFETのソース/ドレイン(S
/D)イオン注入工程で発生した過剰な点欠陥は,その
直後の熱処理によって不純物とペアを組むことになる。
この不純物/点欠陥のペアは,分離と結合を繰り返しな
がら拡散する。点欠陥は,Si/SiO界面に到達し
たところで消滅してしまうため,これとペアを組んでい
た不純物は,そこで堆積(パイルアップ)する。図15
は,ゲート長が2.03μm,0.52μm,0.21
μmとした場合のチャネル方向の距離Distance
と不純物濃度Conc.との関係を示している。図中,
不純物濃度が低い部分はチャネルに対応しており,その
両側のドレイン,ソースに対応する部分に不純物パイル
アップによる不純物濃度の上昇が見られる。
【0007】パイルアップ量は,S/Dイオン・インプ
ランテーション(インプラ)位置に近いゲート端で最も
大きく,チャネルに向かって減少する。ゲート長が短く
なるにつれてしきい電圧が高くなるMOSFETの逆短
チャネル効果は,主にこの不純物のパイルアップが原因
で発生していると考えられている。
【0008】図16は,基板バイアスVBが0V,−3
V,−5Vのときのゲート長Lgとしきい電圧Vthの
関係を示している。
【0009】半導体デバイスにおいて,応答速度や集積
度を高めようとしてデバイス寸法を小さくすると,一般
的にこれに応じてゲート長も短くなる。一方,しきい電
圧Vthはゲート長Lgに関係なく一定であることが回
路設計上望ましいが,ゲート長Lgが短くなると(図1
6では1μm以下),しきい電圧Vthが上下に変動す
る逆短チャネル効果が見られる。
【0010】従来,MOSFETにおけるしきい電圧の
逆短チャネル効果をモデリングする場合,(1)Fai
rモデルを用いて不純物分布を計算し,パイルアップし
た不純物の代わりに固定電荷あるいはその他の要素(例
えば,膜厚Toxを厚くしたゲート端の酸化膜)を用い
ることによって電気特性を求める方法,(2)ペア拡散
モデルを用いて不純物分布を計算し,そのまま電気特性
を求める方法,などが採用されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来の
方法(1)(2)には幾つかの問題点があった。
【0012】1.Fairモデルでは,Si/SiO
界面における不純物パイルアップをシミュレーションで
きない。
【0013】2.Fairモデルにおいて,不純物のパ
イルアップの代わりに固定電荷などを用いても,不純物
のプロファイルは変更されない。このため,例えば,逆
短チャネル効果の基板中不純物濃度依存性,あるいは,
基板バイアス依存性などの電気特性を詳細に解析できな
い。
【0014】3.ペア拡散モデルは,上述のように計算
に要する時間が長いため,プロセス/デバイス/回路間
の感度解析,プロセス最適化,プロセスばらつき解析,
モデルパラメータのキャリブレーションなど,複数回の
計算を実行する必要がある場合,シミュレーションの効
率化を図る上でペア拡散モデルの採用は困難となる。
【0015】4.ペア拡散モデルは,拡散スピードが速
い点欠陥を扱う。したがって,シミュレーション用コン
ピュータに十分な解析領域が必要となり,大容量の計算
用メモリが不可欠となる。
【0016】本発明は,上記のような問題点に鑑みてな
されたものであり,その目的は,Si/SiO界面で
の不純物パイルアップをシミュレーション可能であり,
不純物濃度に依存する電気特性(例えば,基板バイアス
依存性)を高速計算のもとに解析可能な半導体モデリン
グ方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に,請求項1に記載のように,SiO層のデータを格
納する第1工程と,SiO層に接して形成されたSi
層のデータを格納する第2工程と,Si層を複数の領域
に分割し,各領域に含まれる不純物の量を設定する第3
工程と,各領域に含まれる不純物の単位時間における領
域間の移動量を設定する第4工程と,SiO層とSi
層との界面付近に,不純物パイルアップ部を構成する第
5工程と,第1工程,第2工程,第3工程,第4工程,
および第5工程が終了した後,各領域の不純物分布を単
位時間毎に計算する第6工程と,を含むことを特徴とす
る半導体モデリング方法が提供される。かかる方法によ
れば,一つの不純物濃度計算に対して一つの拡散方程式
を解く従来のモデル(Fairモデル)によって表すこ
とができなかったSi/SiO界面での不純物パイル
アップを,点欠陥に関連した拡散方程式を解くことなく
(ペア拡散モデルを用いることなく)表すことが可能と
なる。
【0018】請求項2に記載の半導体モデリング方法に
よれば,Si層から界面への不純物の移動量は,界面に
おける不純物のパイルアップ位置とSi層における移動
した不純物の元の位置との距離の関数で与えられる。こ
の方法によれば,高速かつ高精度に不純物移動量を計算
することが可能となる。
【0019】請求項3に記載のように,不純物の移動前
の半導体中の全不純物量と,不純物の移動後の半導体中
の全不純物量とが等しくなるように,不純物を移動させ
ることによって,不純物移動量の計算に誤差が含まれて
いる場合であっても,半導体の不純物濃度の総量が保存
されるため,精度の高い不純物移動量が得られる。
【0020】請求項4に記載の半導体モデリング方法
は,Si層から界面への不純物の移動量が,移動した不
純物の元の位置における不純物濃度が真性キャリア濃度
以下にならないように計算されることを特徴としてい
る。この方法によれば,不純物の移動量を計算する際に
誤った解への収束を回避することが可能となる。
【0021】請求項5に記載の半導体モデリング方法に
よれば,不純物パイルアップ部は,界面からの高さ方向
と界面上の横方向への不純物の多次元分布によって構成
される。この方法によれば,不純物の他次元(2次元)
プロファイルが得られ,より詳細な半導体のモデル化が
実現する。
【0022】請求項6に記載の半導体モデリング方法に
よれば,不純物パイルアップ部における不純物密度のピ
ーク値が,Si層における不純物濃度の関数で与えられ
る。この方法によれば,不純物パイルアップの半導体プ
ロセス条件依存性が得られる。
【0023】請求項7に記載の半導体モデリング方法
は,界面以外の1または2以上の他の界面に対して,他
の界面毎に個別の条件で不純物パイルアップ部を構成す
ることを特徴としている。この方法によれば,多様なプ
ロセスに基づく半導体のモデル化が可能となる。
【0024】請求項8に記載のように,請求項1〜7に
記載の半導体モデリング方法を,半導体におけるしきい
電圧の逆短チャネル効果のモデル化に用いれば,逆短チ
ャネル効果を短時間にかつ高精度にシミュレーションす
ることが可能となる。
【0025】請求項9に記載の半導体モデリング方法
は,チャネル長を基準に2種類の半導体デバイスモデル
を用意し,チャネル長が長い半導体デバイスモデルのモ
デルパラメータを決定した後,チャネル長が短い半導体
デバイスモデルのモデルパラメータを決定することを特
徴としている。この方法によれば,パラメータの調節に
ついての効率化が実現するとともに,物理的に精度の高
いパラメータ調節が可能となる。
【0026】請求項10に記載の半導体モデリング方法
は,半導体の複数のプロセス条件毎に,モデルパラメー
タを決定し,各プロセス条件のモデルパラメータを用い
て補間式を算出し,補間式を半導体の全プロセス共通の
モデルパラメータとして用いることを特徴としている。
この方法によれば,目標とする電気特性のプロセス条件
依存性が共通のモデルパラメータによって表すことがで
きない場合であっても,設定したプロセス条件の範囲内
において目標とする電気特性を得ることが保証される。
【0027】そして,請求項8〜10に記載の半導体モ
デリング方法は,請求項11に記載のようにSOIプロ
セスによって形成された半導体,あるいは,請求項12
に記載のようにLOCOS法によって形成された半導体
のモデル化にも適用可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら,
本発明にかかる半導体モデリング方法の好適な実施の形
態について詳細に説明する。なお,以下の説明および添
付された図面において,略同一の機能および構成を有す
る構成要素については,同一符号を付することによって
重複説明を省略する。
【0029】第1の実施の形態 本発明の第1の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図1,図2,図17に基づいて説明する。
【0030】SiO層と,このSiO層に接するS
i層を有する半導体をシミュレーションする場合,図1
7に示すように,まずシミュレーション用コンピュータ
に対して,SiO層に関するデータとSi層に関する
データをインプットする工程が実施される。その後,本
実施の形態にかかる半導体モデリング方法において特徴
的な工程,すなわちSi基板領域の不純物の一部をSi
/SiO界面に移動させ,これを不純物パイルアップ
として構成する工程が実施される。かかる方法によれ
ば,従来のFairモデルでは表せなかったSi/Si
界面における不純物パイルアップを,点欠陥に関連
した拡散方程式を解くことなく(すなわち従来のペア拡
散モデルを用いず)表すことが可能となる。
【0031】従来のFairモデルによれば,不純物
(例えばボロン(B))は,濃度の高い領域から低い領
域へ拡散するだけで,これとは逆に,濃度の低いSi/
SiO 界面に向けてボロンが拡散してボロン濃度が増
加していくパイルアップ現象を表すことはできなかっ
た。
【0032】そこで,拡散方程式をΔt毎に解いて不純
物分布を計算する工程において,まず,基板領域のある
セル(解析領域を数値計算のために幾つかに分割して得
られる領域)における不純物の一部分をSi/SiO
界面に移動させる。そして,この不純物移動作業工程を
全てのセルに対して実施する。この工程は,図2に示す
ように,予め設定されたTED(過渡増速拡散)持続時
間tEが経過するまで繰り返される。持続時間tEが経
過した後は,従来と略同一の計算が実行される。
【0033】以上のように,本発明の第1の実施の形態
にかかる半導体モデリング方法によれば,ペア拡散モデ
ルを用いることなく,点欠陥を扱わないFairモデル
の範疇において不純物パイルアップを表すことが可能と
なる。したがって,不純物濃度に依存する各種電気特性
の解析が高速化される。加えて,ペア拡散モデルを用い
た場合に比べて,計算に必要なメモリ領域は大幅に縮小
され,大容量メモリの適用は不要となる。
【0034】第2の実施の形態 本発明の第2の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図2,図3に基づいて説明する。
【0035】第2の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によれば,第1の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法と同様に,Si基板領域の不純物の一部をS
i/SiO界面に移動させ,これを不純物パイルアッ
プとして構成し,さらに,この不純物移動量が,不純物
の移動元からパイルアップ位置までの距離の関数で与え
られることを特徴としている。
【0036】不純物移動量を距離の関数とする場合,次
の2つの方法のいずれかを選択することが好ましい。
【0037】1.距離(r)の指数関数,ガウス分布,
誤差関数,球の方程式,等の解析式を用いる方法(図3
(a))
【0038】例えば,指数関数を用いる場合,
【0039】 ΔC(X,Y)=Cint(x)×exp(-r/λbulk) ・・・(式1)
【0040】が解析式となる。ここで,ΔC(X,Y)
は不純物移動量であり,Cint(x)はSi/SiO
界面の一つのセル上におけるドーパントパイルアップ
量であり,λbulkは減衰長である。
【0041】2.1次元のペア拡散モデルを解いて,不
純物移動途中の点欠陥再結合をも考慮する方法(図3
(b))
【0042】上記1の方法によれば,高速に不純物移動
量を計算することが可能であるため,半導体モデリング
において利便性が高い。これに対して,上記2の方法に
よれば,不純物移動途中における点欠陥の再結合による
セル上の不純物濃度変化も考慮されるため,より高精度
に不純物移動量を計算することが可能となる。しかも,
1次元計算を採用しているため,計算用メモリの規模を
抑えつつ,高速計算が可能となる。
【0043】第3の実施の形態 本発明の第3の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図4に基づいて説明する。
【0044】Si基板領域からSi/SiO界面へ不
純物を移動させても,移動前と移動後のSi基板内にお
ける不純物の総量は保存されなければならない。かかる
観点から,第3の実施の形態にかかる半導体モデリング
方法は,上述の第2の実施の形態にかかる半導体モデリ
ング方法に対して,解析領域内の不純物濃度の総量を保
存しつつ不純物を移動させる工程を備えたことを特徴と
している。すなわち,計算した不純物移動量とセル面積
との積の総和を”1”とする分布関数を定義し,不純物
移動量を再計算する。
【0045】指数関数を用いて不純物移動量を求める場
合,式1によって得られた不純物移動量ΔC(X,Y)
をさらに次式を用いて計算し,不純物移動量ΔC(X,
Y) *を求める。
【0046】 ΔC(X,Y)*=ΔC(X,Y)・(1/UNIT) ・・・(式2)
【0047】ここで,1/UNITは,
【0048】 1/UNIT=Cint(x)・ΔS(x,y)/ΣΔC(xi,yj)・ΔS(xi,yj) ・・・(式3)
【0049】によって求められる。そして,ΔS(x,
y)はx,y座標上の任意の位置におけるセル面積であ
る。
【0050】このように,第3の実施の形態にかかる半
導体モデリング方法によれば,不純物移動量の計算に誤
差が含まれている場合であっても,半導体の不純物濃度
の総量が保存されるため,精度の高い不純物移動量が得
られる。
【0051】第4の実施の形態 本発明の第4の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図5に基づいて説明する。
【0052】一般的に,外因性半導体において,真性キ
ャリア濃度以下となる領域は発生し得ない。この点,第
4の実施の形態にかかる半導体モデリング方法は,第2
の実施の形態にかかる半導体モデリング方法によって不
純物が移動した後のその領域(セル上)の不純物濃度が
真性キャリア濃度以下になった場合,不純物濃度が真性
キャリア濃度以下とならないように,
【0053】 (セル上の不純物濃度)−(真性キャリア濃度) ・・・(式4)
【0054】を用いて不純物移動量を再計算する工程を
有する。
【0055】このように,第4の実施の形態にかかる半
導体モデリング方法によれば,誤った数値解への収束を
回避することが可能であって,シミュレーションの収束
性,安定性の向上および物性的な側面からのシミュレー
ション精度の向上が実現する。
【0056】第5の実施の形態 本発明の第5の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図6に基づいて説明する。
【0057】第5の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法は,縦(高さ,深さ)方向の不純物拡散を考慮し
た第1の実施の形態にかかる半導体モデリング方法に対
して,さらに横(チャネル)方向の不純物分布をも考慮
したことを特徴としている。かかる方法によれば,不純
物パイルアップの2次元分布が構成され,しきい電圧の
逆短チャネル効果をより詳細にシミュレーションするこ
とが可能となる。
【0058】第1の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によって計算された不純物パイルアップ量を2次
元分布とする方法を説明する。
【0059】まず,SiO層の上にマスクを設定す
る。そして,マスクされていない領域には一様に不純物
パイルアップ量を設定する。これに対してマスクされて
いる領域(チャネル領域)には,マスク端からマスク内
側に向かってパイルアップ量が減少するように不純物パ
イルアップが設定される。
【0060】このマスクを用いた方法によれば,例え
ば,S/Dインプラによってゲート端に発生する不純物
パイルアップをモデル化することが可能となる。
【0061】マスク端(ゲート端)付近における不純物
パイルアップ量は,指数関数で表すことができる。
【0062】 Cint(x)=Cpile×exp(-x/λint) ・・・(式5)
【0063】式5において,Cint(x)は,Si/
SiO界面における一つのセル上の不純物パイルアッ
プ量であり,Cpileは,不純物パイルアップ量のピ
ーク値であり,λintは,Si/SiO界面のパイ
ルアップのチャネル長手方向への減衰長である。
【0064】第5の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によれば,チャネル領域のゲート端において濃度
が高く,チャネル中央(ゲート(マスク)内側)に向か
って濃度が低くなる不純物の2次元プロファイルが得ら
れる。ここで,ゲート長を短く設定すると,ゲート端に
おける不純物の高濃度領域の影響によって,チャネル領
域は基板全体の不純物濃度が高くなった場合と同等の状
態となり,この結果しきい電圧が上昇する。このよう
に,第5の実施の形態にかかる半導体モデリング方法に
よれば,しきい電圧の逆短チャネル効果についてより詳
細に解析することが可能となる。
【0065】第6の実施の形態 本発明の第6の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図7に基づいて説明する。
【0066】第6の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法は,第5の実施の形態にかかる半導体モデリング
方法に対して,さらに不純物パイルアップ量のピーク値
を基板における不純物濃度の関数として求める工程を備
えたことを特徴としている。
【0067】Si/SiO界面のパイルアップのピー
ク値は,基板における不純物濃度が高くなると共に大き
くなる。したがって,しきい電圧の逆短チャネル効果
は,基板における不純物濃度が大きくなるに従い顕著に
なる。逆短チャネル効果は,Si/SiO界面から基
板深さ方向に広がる空乏層内のドーパント濃度に依存す
る。一般に熱平衡状態において,Si/SiO界面か
ら基板深さ方向に広がる空乏層幅は,基板がSiである
場合,8×LD(デバイ長)程度であることが知られて
いる(S.M.Sze:Wiley−Intersci
ence,1981)。第6の実施の形態にかかる半導
体モデリング方法によれば,まず,S/Dインプラ位置
から十分に離れたチャネル領域の深さ方向の空乏層幅
(熱平衡状態)が計算される。そして,不純物のパイル
アップ量のピーク値Cpileは,その空乏層内のドー
パント総量Cdepの関数で与えられる。
【0068】Cpile=f(Cdep) ・・・(式6)
【0069】式6において,f(Cdep)は例えば,
【0070】 f(Cdep)=aCdepα+bCdepβ+cCdepγ+・・・+z ・・・(式7)
【0071】とされる。なお,式7において,Cdep以外
は,全て係数(フィッティング・パラメータ)である。
【0072】以上のように,第6の実施の形態にかかる
半導体モデリング方法によれば,不純物パイルアップの
ピーク値が基板における不純物濃度の関数として表現さ
れるため,しきい電圧の逆短チャネル効果のプロセス条
件依存性を解析することが可能となる。また,式(7)
の右辺の項数を増加させるだけで,シミュレーション結
果を実測値に容易に合致させることが可能となる。
【0073】第7の実施の形態 本発明の第7の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図8,図9に基づいて説明する。
【0074】第7の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法は,所期の逆短チャネル効果を表すためのモデル
パラメータの調節において効果的に作用する。
【0075】まず,チャネル長が長いデバイス(長チャ
ネルデバイス)のしきい電圧Vth−基板バイアスVs
ub特性をシミュレーションのターゲットとして,基板
領域の不純物濃度Nsub,拡散定数,偏析係数(Si
/SiO界面における化学ポテンシャルの差),金属
と半導体との仕事関数差ΔWfなどのゲート長Lgに無
関係に決定するモデルパラメータが調節される(図8
(1))。なお,長チャネルデバイスとは,ゲート長L
gが長いデバイスをいい,ここでゲート長Lgの長短
は,ゲート長Lgが変化してもしきい電圧Vthが一定
値を維持するか否かを基準として区別される。例えば,
図16の特性の場合,ゲート長Lgが約1μm以上であ
るデバイスを長チャネルデバイスとする。
【0076】次に,しきい電圧Vth−ゲート長Lg特
性(以下,「Vth−Lg特性」という)におけるしき
い電圧Vthのフォールオフが,ゲートとドレインとの
オーバラップ長Lovによって調節される(図8
(2))。
【0077】さらに,Vth−Lg特性の大きさ(V
t,conドーズ量水準)が,不純物パイルアップ量の
ピーク値Cpileによって調節される(図8
(3))。Vth−Lg特性の傾きが,不純物パイル
アップ量のチャネル長手方向への減衰に関連したパラメ
ータλintによって調節される(図8(4))。Vt
h−Lg特性の基板バイアス依存性が,不純物移動に係
る領域範囲に関連したパラメータλbulkによって調
節される(図8(5))。そして,実測されたVth−
Lg特性と一致するまで,このパラメータ調節工程を繰
り返す。なお,Vt,conは,不純物濃度を調節すた
めの不純物である。
【0078】図9は,不純物パイルアップのモデルパラ
メータ依存性を示している。
【0079】図9(a)は,パラメータ:Cpileを
1×1018cm−3,2.6×1018cm−3,5
×1018cm−3に変化させた場合のSi/SiO
界面チャネル長手方向の距離Distanceと不純物
濃度Conc.との関係を示している。なお,X軸0.
0の位置がチャネル中央に対応しており,約0.6μm
以上がドレインにあたる。
【0080】図9(b)は,パラメータ:λintを
0.08μm,0.12μm,0.15μmに変化させ
た場合のSi/SiO界面チャネル長手方向の距離D
istanceと不純物濃度Conc.との関係を示し
ている。なお,X軸0.0の位置がチャネル中央に対応
しており,約0.6μm以上がドレインにあたる。
【0081】図9(c)は,パラメータ:λbulkを
0.2μm,0.5μm,1.0μm,5.0μmに変
化させた場合のSi/SiO界面からの深さDept
hと不純物濃度Conc.との関係を示している。X軸
は,チャネルにおいて不純物濃度が最も高い位置(例え
ば,チャネル中央から約0.45μmの位置,図9
(b)参照)での深さDepthを示しており,0.0
の位置がSi/SiO界面に対応している。
【0082】以上のように,第7の実施の形態にかかる
半導体モデリング方法は,まず,ゲート長Lgに無関係
に決定することが可能なパラメータについてゲート長L
gを長くとって調節した後,それ以外のパラメータにつ
いての調節を行うことによってゲート長Lgが短いとき
のしきい電圧Vthの変化をシミュレーションすること
を特徴としている。したがって,パラメータの調節につ
いての効率化が実現するとともに,物理的に精度の高い
パラメータ調節が可能となる。そして,第7の実施の形
態にかかる半導体モデリング方法によれば,電気特性の
調節範囲とモデルパラメータが対応しているため,シミ
ュレーション結果を実際の半導体の電気特性に一致させ
ることが容易となる。
【0083】第8の実施の形態 本発明の第8の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図10に基づいて説明する。
【0084】異なるプロセス条件によって製造された半
導体のVth−Lg特性をターゲットとして,シミュレ
ーション結果を実測値に一致させるようにモデルパラメ
ータを調節しようとしても各プロセス共通のモデルパラ
メータが見つからず,プロセス条件毎にモデルパラメー
タの値が異なってしまう場合がある。この点,第8の実
施の形態にかかる半導体モデリング方法によれば,異な
るプロセス条件における各モデルパラメータから補間式
が導かれ,各プロセスに対してモデルパラメータの代わ
りにこの補間式が適用される。
【0085】補間式は,プロセス条件が2種類のときは
1次式(線形方程式)となり,3種類のときは2次式と
なり,4種類の場合は3次式となる。図10にプロセス
条件がX1,X2,X3の3種類のときの補間式
【0086】λint(x)=ax2+bx+c ・・・(式8)
【0087】と,この補間式に基づくプロセス条件X−
モデルパラメータλintの特性曲線を示す。
【0088】第8の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によれば,目標とする電気特性(例えば,しきい
電圧Vth)のプロセス条件依存性が共通のモデルパラ
メータによって表すことができない場合であっても,設
定したプロセス条件の範囲内において目標とする電気特
性を得ることが保証される。
【0089】第9実施の形態 本発明の第9の実施の形態にかかる半導体モデリング方
法を図11に基づいて説明する。
【0090】SOI(Silicon On Insu
lator)デバイスのようにSiO層によって分離
された複数のSi層が存在する場合,Si/SiO
面も複数存在することになる。そして,これらの複数の
界面は物理的に,不純物パイルアップが発生する界面
と,発生しない界面に分類される。
【0091】例えば,SOIプロセスによれば,図11
に示すように,ゲート酸化膜(SiO層)1とBOX
層(SiO層)3に挟まれるSi層(SOI層)2
と,基板であるSi層4が存在することになる。これら
の2つのSi層2,4のうち,基板であるSi層4では
熱処理による不純物パイルアップが発生しない。この不
純物パイルアップの発生の有無は,外気(ガス,空気)
と各層の位置関係によって決まる。外気に接しているゲ
ート酸化膜1の直下のSi層2では不純物パイルアップ
が発生する可能性があるが,その下のBOX層3の更に
下に位置するSi層4では不純物パイルアップが発生す
ることはない。
【0092】また,SOI層(Si層)2には,ゲート
酸化膜(SiO層)1によって形成されるSi/Si
界面(フロント側)と,BOX層(SiO層)3
によって形成されるSi/SiO界面(バック側)が
存在する。この2つの界面でも,それぞれ不純物パイル
アップ量が異なる。
【0093】第9の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によれば,不純物パイルアップが発生する界面と
発生しない界面について選択的に個別にパラメータが調
節され,さらに,不純物パイルアップ量が異なる2つの
界面についても選択的にパラメータが調節される。した
がって,精度の高いシミュレーション結果が得られるこ
とになる。
【0094】なお,第9の実施の形態にかかる半導体モ
デリング方法は,SOIプロセスのみならず,バルクM
OSFETプロセス,分離プロセス(LOCOS,ST
I)においてSi/SiO界面に発生する不純物パイ
ルアップのモデル化に適用可能である。
【0095】以上,第1〜9の実施の形態にかかる半導
体モデリング方法について説明したが,これらの半導体
モデリング方法を用いて得られたVth−Lg特性を図
12に示す。ここでは,3つのプロセス条件No1,
2,3についての特性曲線が示されているが,いずれも
実測値に極めて近似した結果が得られている。
【0096】添付図面を参照しながら本発明の好適な実
施の形態について説明したが,本発明はかかる実施の形
態に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に
記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例ま
たは修正例に想到し得ることは明らかであり,それらに
ついても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解
される。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように,本発明にかかる半
導体モデリング方法によれば,Si/SiO界面での
不純物パイルアップをシミュレーション可能であり,不
純物濃度に依存する電気特性を高速に解析することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図である。
【図8】本発明の第7の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図(その1)である。
【図9】本発明の第7の実施の形態にかかる半導体モデ
リング方法の説明図(その2)である。
【図10】本発明の第8の実施の形態にかかる半導体モ
デリング方法の説明図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態にかかる半導体モ
デリング方法の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる半導体モデリン
グ方法によって得られたしきい電圧−チャネル長特性曲
線図である。
【図13】従来の2種類の不純物拡散モデルの説明図で
ある。
【図14】不純物拡散のメカニズムの説明図である。
【図15】チャネル長手方向距離と不純物濃度との関係
を示す特性曲線図である。
【図16】ゲート長としきい電圧との関係を示す特性曲
線図である。
【図17】シミュレーション用コンピュータおよびこれ
にインプットされるデータを示すブロック図である。
【符号の説明】
1:ゲート酸化膜(SiO層) 2:Si層(SOI層) 3:BOX層(SiO層) 4:基板(Si層) Cint:不純物パイルアップ量 Cpile:不純物パイルアップ量のピーク値 X:プロセス条件
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/00 H01L 21/94 A 29/78 29/78 301Z 21/336 624 29/786

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO層のデータを格納する第1工程
    と;前記SiO層に接して形成されたSi層のデータ
    を格納する第2工程と;前記Si層を複数の領域に分割
    し,前記各領域に含まれる不純物の量を設定する第3工
    程と;前記各領域に含まれる不純物の単位時間における
    前記領域間の移動量を設定する第4工程と;前記SiO
    層と前記Si層との界面付近に,不純物パイルアップ
    部を構成する第5工程と;前記第1工程,第2工程,第
    3工程,第4工程,および第5工程が終了した後,前記
    各領域の不純物分布を単位時間毎に計算する第6工程
    と;を含むことを特徴とする,半導体モデリング方法。
  2. 【請求項2】 前記不純物の移動量は,前記不純物のパ
    イルアップ位置と前記移動した不純物の元の位置との距
    離の関数で与えられることを特徴とする,請求項1に記
    載の半導体モデリング方法。
  3. 【請求項3】 前記不純物を移動させる前の全不純物量
    と,前記不純物の移動させた後の全不純物量が等しくな
    るように,不純物を移動させることを特徴とする,請求
    項1または2に記載の半導体モデリング方法。
  4. 【請求項4】 前記不純物の移動量は,前記移動した不
    純物の元の位置における不純物濃度が真性キャリア濃度
    以下にならないように計算されることを特徴とする,請
    求項1,2,または3に記載の半導体モデリング方法。
  5. 【請求項5】 前記不純物パイルアップ部は,前記界面
    からの高さ方向と前記界面上の横方向への不純物の多次
    元分布によって構成されることを特徴とする,請求項
    1,2,3,または4に記載の半導体モデリング方法。
  6. 【請求項6】 前記不純物パイルアップ部における不純
    物密度のピーク値は,前記Si層における不純物濃度の
    関数で与えられることを特徴とする,請求項1,2,
    3,4,または5に記載の半導体モデリング方法。
  7. 【請求項7】 前記界面以外の1または2以上の他の界
    面に対して,前記他の界面毎に個別の条件で不純物パイ
    ルアップ部を構成することを特徴とする,請求項1,
    2,3,4,5,または6に記載の半導体モデリング方
    法。
  8. 【請求項8】 半導体におけるしきい電圧の逆短チャネ
    ル効果をモデル化することを特徴とする,請求項1,
    2,3,4,5,6,または7に記載の半導体モデリン
    グ方法。
  9. 【請求項9】 チャネル長を基準に2種類の半導体デバ
    イスモデルを用意し,チャネル長が長い半導体デバイス
    モデルのモデルパラメータを決定した後,チャネル長が
    短い半導体デバイスモデルのモデルパラメータを決定す
    ることを特徴とする,請求項8に記載の半導体モデリン
    グ方法。
  10. 【請求項10】 前記半導体の複数のプロセス条件毎
    に,モデルパラメータを決定し,前記各プロセス条件の
    モデルパラメータを用いて補間式を算出し,前記補間式
    を前記半導体の全プロセス共通のモデルパラメータとし
    て用いることを特徴とする,請求項8または9に記載の
    半導体モデリング方法。
  11. 【請求項11】 前記半導体は,SOIプロセスによっ
    て形成されることを特徴とする,請求項8,9,または
    10に記載の半導体モデリング方法。
  12. 【請求項12】 前記半導体は,LOCOS法によって
    形成されることを特徴とする,請求項8,9,10,ま
    たは11に記載の半導体モデリング方法。
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