JP2004198904A - 光学補償フィルム及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で定義される面内リターデーション値(R0値)が20nm〜70nm、下記一般式(2)で定義される厚み方向のリターデーション値(Rt値)が60nm〜400nmであり、且つ、脂肪族多価アルコールエステルを含有するセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする光学補償フィルム。
一般式(1):R0値=(nx−ny)×d
一般式(2):Rt値=((nx+ny)/2−nz)×d
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学補償フィルム、該光学補償フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、低電圧、低消費電力でIC回路への直結が可能であり、特に、薄型化が可能であることから、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等の表示装置として広く用いられている。この液晶表示装置の基本的な構成は、液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
【0003】
液晶表示装置は、低電圧、低消費電力、薄型化の上で他の表示装置にはない大きな特長を有する反面、その最大の問題は視野角が狭いことであり、この課題に対する改良要望は益々強まる一方であり、更なる改良技術の開発が進められている。具体的には、TN型(TN−TFT)液晶表示装置の偏光板に傾斜配向したディスコティック液晶化合物からなる光学異方層を設けた光学補償フィルムなどがその例である。しかしながら、テレビ用途を初めとした広視野角の要望は年々高まって来ている。
【0004】
上記課題に対する改良手段の1つとして、TNやSTNタイプとは異なるタイプの液晶が提案されるに至った。すなわち、TNやSTNタイプの液晶セルは、電圧オフ時に液晶分子が配向板に平行で、電圧オン時に液晶分子が配向板に垂直に配向するタイプであるのに対し、電圧オフ時に液晶分子が配向板に垂直で、電圧オン時に配向板に平行のタイプ、例えば、誘電異方性が負のネガ型液晶を用いた、所謂、垂直配向(VA)型のものが開発されるに至った。
【0005】
このVA型液晶表示装置は、電圧オフ時に液晶分子が配向板に垂直で、電圧オン時に液晶分子が配向板に平行に配向させる垂直配向モードの液晶セルであることから、黒がしっかり黒として表示され、コントラストが高く、特に、マルチ分割されたVA型液晶表示装置においては、上下左右で160°の視野角を確保することが可能になった。しかしながら、液晶画面が大きくなるに従って、更に斜め45°方向(45°、135°、225°、315°方向)の視野角を広げる要望が高まってきている。
【0006】
このような視野角を拡大するため、延伸されたポリマーフィルムを光学補償フィルムとして用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、セルロースエステルフィルムは吸水性があるため、環境の影響を受けやすく、その結果として、光学特性の変動により視野角等の特性が変動しやすいという問題があった。
【0008】
特に、セルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとしても兼用するには、高温高湿下での偏光子の吸湿による収縮や劣化、粘着剤層の劣化等による偏光板と液晶セルのガラス基板との剥離を防止するという、熱湿に対する耐久性が特に重要であり、その上、更に高い透明性、強度、ハンドリング性等が併せて要求される。特に、光学特性が変化すると視野角特性が変化してしまうためその改善が強く求められていた。
【0009】
そのため、経時や環境条件の変動があっても特性変化がなく、且つ、大画面でも優れた視野角特性を長期間維持できる光学補償フィルムが求められていた。
【0010】
ところで、偏光板用保護フィルムに使用されるセルローストリアセテートフィルムには、フィルムの柔軟性向上や透湿性向上を目的として、可塑剤が使用されている。一方、セルローストリアセテートフィルムを単純に薄膜化すると、フィルムの透湿性が劣化して十分に水分をカットすることができず、偏光板にしたときに接着剤や偏光子が劣化を起こしやすいという問題があった。
【0011】
この対策として、薄膜化した分だけ可塑剤を増量することが考えられるが、可塑剤を単純に増量するだけでは透湿性の改良効果が十分ではなく、また、保留性の劣化等、新たな問題を引き起こすことが判明した。
【0012】
保留性とは、高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質を保留性という。従来のセルロースエステルフィルムではこの保留性が悪く液晶画像表示装置の機能低下を来している。
【0013】
上記保留性に基づく、フィルムの質量減少を防止するために、クエン酸エステルを用いた例(例えば、特許文献2参照。)、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールエステルを用いた例(例えば、特許文献3参照。)、グリセリドを用いた例(例えば、特許文献4参照。)、ジグリセリンエステルを用いた例(例えば、特許文献5参照。)等が、各々開示されているが、前記文献開示の技術を用いても、いずれも透湿性の改良効果が十分ではなく、また保留性に基づく、フィルムの質量減少の変化の抑制効果も十分ではなかった。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−14230号公報
【0015】
【特許文献2】
特開平11−92574号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平11−124445号公報
【0017】
【特許文献4】
特開平11−246704号公報
【0018】
【特許文献5】
特開2000−63560号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、光学特性が経過時間で変化しにくく、ロール状態での保管性にも優れた光学補償フィルムを提供することであり、偏光板の収率が高くまた、大画面であっても視野角特性に優れた偏光板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜5により達成された。
【0021】
1.前記一般式(1)で定義される面内リターデーション値(R0値)が20nm〜70nm、前記一般式(2)で定義される厚み方向のリターデーション値(Rt値)が60nm〜400nmであり、且つ、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とから形成された脂肪族多価アルコールエステルを含有するセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする光学補償フィルム。
【0022】
2.前記モノカルボン酸が、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することを特徴とする前記1に記載の光学補償フィルム。
【0023】
3.前記脂肪族多価アルコールが、2価〜20価であることを特徴とする前記1または2に記載の光学補償フィルム。
【0024】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【0025】
5.前記4に記載の偏光板を偏光子と液晶セルの間に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者は、上記課題を改善するため鋭意検討を重ねた結果、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有するセルロースエステルフィルムが光学補償フィルムとして優れていることを見出し、上記課題を達成することができた。
【0027】
《脂肪族多価アルコールエステル》
本発明に係る脂肪族多価アルコールエステルについて詳細に説明する。
【0028】
本発明に係る脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルとから形成される。
【0029】
(脂肪族多価アルコール)
本発明に係る脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールであるが、下記一般式(3)で表されるものが好ましい。
【0030】
一般式(3)
R1−(OH)m
式中、R1は、n価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数を表し、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表し、mは、2〜20が好ましい。
【0031】
一般式(3)において、n価の脂肪族有機基の中で、2価の基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、エテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基、3−ペンチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)等が挙げられる。
【0032】
一般式(3)において、n価の脂肪族有機基の中で、3価の基としては、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、1,2,3−プロパントリイル基等が挙げられる。
【0033】
一般式(3)において、n価の脂肪族有機基の中で、4価の基としては、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基等が挙げられる。
【0034】
また、上記のn価の脂肪族有機基は、更に置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、2−メトキシエチル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基など)、アリール基、(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基など)、カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−トリルチオ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メトキシエチルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トリフルオロアセチルアミノ基等)、アルキルウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、メトキシエチルウレイド基、ジメチルウレイド基等)、アリールウレイド基(例えば、フェニルウレイド基等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、トリフルオロメチルスルホンアミド基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド基、トリルスルホンアミド基等)、アルキルアミノスルホニルアミノ基(例えば、メチルアミノスルホニルアミノ基、エチルアミノスルホニルアミノ基等)、アリールアミノスルホニルアミノ基(例えば、フェニルアミノスルホニルアミノ基等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピロリル基、インドリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、キノリル基、チエニル基等)が挙げられる。
【0035】
好ましい脂肪族多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が挙げられる。
【0036】
中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが特に好ましく用いられる。
【0037】
(モノカルボン酸)
本発明に係る脂肪族多価アルコールエステル形成に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができるが、セルロースエステルフィルムの透湿性向上、保留性向上の観点から、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いることが好ましい。
【0038】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0039】
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0040】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有しても良い。
【0041】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
【0042】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。このほか、芳香族モノカルボン酸の芳香環には置換基を有していてもよい。
【0043】
(脂肪族多価アルコールエステルの分子量)
本発明に係る多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。保留性の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0044】
ここで、上記の脂肪族多価アルコールエステルの分子量は、市販のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置を用いて測定できる。
【0045】
本発明に係る脂肪族多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、脂肪族多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
【0046】
本発明に用いられる、芳香環としては、芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、p−テルフェニル環、ジフェニルメタン環、トリフェニルメタン環、ビベンジル環、スチルベン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等)や芳香族複素環、例えば、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0047】
本発明に用いられるシクロアルキル環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等が挙げられる。
【0048】
以下、本発明に係る脂肪族多価アルコールエステルの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
【化1】
【0050】
【化2】
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
本発明に係る脂肪族多価アルコールエステルの使用量(含有量でもよい)は、セルロースエステルフィルムに対して3質量%〜30質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、5質量%〜25質量%の範囲であり、特に好ましくは、5質量%〜20質量%の範囲である。
【0054】
《セルロースエステルフィルムの屈折率異方性、遅相軸角》
本発明に係るセルロースエステルフィルムの屈折率異方性について説明する。
【0055】
本発明に係るセルロースエステルフィルムの面内方向におけるリターデーション値R0(nm)は、20nm〜70nmの範囲であることが必須要件であるが、好ましくは、25nm〜50nmの範囲である。また、厚み方向におけるリターデーション値Rt(nm)は、60nm〜400nmの範囲であることが必須要件であるが、好ましくは、100nm〜200nmの範囲である。
【0056】
また、RtとR0の比としては、1<Rt(nm)/R0(nm)であることが好ましい。
【0057】
リターデーション値(R0、Rt)、遅相軸角θ0を求めるには、自動複屈折率計を用いてセルロースエステルフィルムを590nmの波長において複屈折測定を行い求めることができる。平均屈折率はアッベの屈折率計により求めることができる。ちなみに、リターデーション値の算出は、上記一般式(1)、(2)を用いて行うことが出来る。
【0058】
また、セルロースエステルフィルムの幅手方向と面内遅相軸とのなす角度θ1(ラジアン)と面内方向のリターデーションR0が下記一般式(a)で表される関係にあることがより好ましい。(θ0(°)よりθ1(ラジアン)を求める。)
一般式(a)
p≦1−sin2(2θ1)・sin2(πR0/λ)
式中、pは、0.99900以上であることが好ましく、0.99990以上であることがより好ましく、0.99995以上であることが更に好ましく、0.99999以上が特に好ましい。ここで、λは、R0及びθ1を求めるための複屈折率測定の際の光の波長(nm)を表し、380nm〜650nmの範囲にある。好ましくは、λが590nmの時に上式を満たすことが好ましく、更に好ましくはλが400nmの時に上式を満たすことである。
【0059】
(光学補償フィルムの膜厚)
本発明の光学補償フィルムの膜厚は、液晶表示装置の薄膜化を行いながら、且つ、該フィルムの透湿度、引き裂き強度等をバランスよく、両立させる観点から、10μm〜200μmの範囲が好ましく、特に好ましくは、40μm〜150μmの範囲である。
【0060】
また、本発明の光学補償フィルムは、透湿性、寸法安定性にも優れるため偏光板用保護フィルムと兼ねて好ましく用いられる。更に、偏光板の作製時、二色性物質を含有する偏光子と本発明の光学補償フィルムとを貼合するが、生産効率向上の観点から、長尺ロールとして作製された光学補償フィルムが好ましく用いられる。本発明において、長尺とは、500m以上を示すが、好ましくは1000m以上であり、特に好ましくは1000m〜4000mである。本発明の光学補償フィルムはロール状態で保管しても光学特性の変化が少ないだけでなく、巻き形状の劣化も少なく、偏光板化したときの故障が少ないため好ましい。
【0061】
(光学補償フィルムの透湿度)
本発明の光学補償フィルムの、JIS Z 0208で規定される、透湿度は、20〜260(g/m2;24h、25℃、90%RH)であることが好ましい。
【0062】
(光学補償フィルムの保留性)
本発明の光学補償フィルムのJIS Z 0208で規定される、保留性は、0.0%〜2.0%の範囲になるように調整することが好ましい。
【0063】
ここで、保留性とは、高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質をいい、具体的には、サンプルを、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定した後、80℃、90%RHの条件下で2週間放置し、さらに2週間放置後のサンプルを23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定し、以下の式で保留性を計算する。
【0064】
保留性=(処理前のサンプル質量−処理後のサンプル質量)/処理前のサンプル質量×100(%)
また、保留性の好ましい範囲を詳細に説明すると、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
【0065】
(セルロースエステル)
本発明に係るセルロースエステルフィルムの作製に用いられるセルロースエステルについて説明する。
【0066】
本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素原子数が2〜22以下の脂肪酸あるいは芳香族カルボン酸のエステルであり、特に低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを挙げることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。
【0067】
セルローストリアセテートの場合には、フィルム強度の観点から、重合度250〜400、アセチル置換度2.6〜2.9が好ましく用いられ、さらに好ましくは2.65〜2.85である。
【0068】
特に好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは、炭素原子数2〜6のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、アセチル基以外のアシル基(たとえばプロピオニル基またはブチリル基の置換度)をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
【0069】
式(I):2.6≦X+Y≦2.9
式(II):0≦X≦2.5
セルロースエステルの中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でも、1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9の範囲にあるものが好ましい。また、アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これ等は公知の方法で合成することができる。また、これらのアシル基は、セルロースのグルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していても良いし、例えば、2、3位に比べて、6位に高い比率で置換する、或いは、低い比率で置換するなどの分布を持った置換がなされていても良い。
【0070】
セルロースエステルは、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独あるいはブレンドして用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターということがある)から合成されたセルロースエステルを単独あるいはブレンドして用いることが好ましい。
【0071】
(セルロースエステルフィルムの製造方法)
次に、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
【0072】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液を流延、乾燥して行われる。ドープ液には必要に応じて各種添加剤を混合することができる。
【0073】
ドープ液中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜30質量%が好ましく、更に好ましくは15〜25質量%である。
【0074】
また、ドープ粘度は(10Pa・sec〜50Pa・sec)の範囲に調整されることが良好なフィルムの平面性を得る点から好ましい。
【0075】
本発明に係るのドープ液に用いられる溶剤は、単独でも併用でもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が60質量%〜98質量%であり、貧溶剤が40質量%〜2質量%の範囲である。
【0076】
本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの平均酢化度55%では良溶剤になり、平均酢化度60%では貧溶剤となる。
【0077】
本発明に用いられる良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。
【0078】
また、本発明に用いられる貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0079】
上記記載のドープ液を調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。
【0080】
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0081】
溶剤を添加した後の加熱温度は、使用溶剤の常圧での沸点以上で、かつ溶剤が沸騰しない範囲の温度が、セルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45℃〜120℃であり、60℃〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は、設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。このほか、公知の冷却溶解法によってドープを調製することも好ましい。
【0082】
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾材を用いて濾過する。
濾材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾材の目詰まりが発生しやすいという問題点がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
【0083】
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(R)等のプラスチック製の濾材やステンレス等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
【0084】
ドープ液の濾過は通常の方法で行うことができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾材前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい濾過の温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃が更に好ましい。
【0085】
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×106Pa以下であることが好ましく、1.2×106Pa以下であることがより好ましく、1.0×106Pa以下であることが更に好ましい。なお、フィルム製造の際に、後述するテンター工程の前後で幅手両端部のスリット加工を行うが、その際にできるフィルムの耳部にあたる切り屑(返材ともいう)は、再度ドープ調整の際に添加溶解されて原料の一部として利用することが好ましい。返材の含有量が多いドープは濾圧が低下され、以下に述べる輝点異物も低減される。ドープ中のセルロースエステルの5〜40%が返材由来であることが好ましく、得に10〜30%が好ましい。
【0086】
得られたセルロースエステルフィルムは本発明に係る光学補償フィルムとして、偏光子の間に配置されるため異常な屈折光を発生させるような異物は表示装置の性能劣化の原因となる。その点で、いわゆる輝点状の異常(輝点異物)が問題となる。
【0087】
本発明において、偏光クロスニコル状態で認識される輝点とは、2枚の偏光板を直交(クロスニコル)状態にし、その間にセルロースエステルフィルムをおいて反対側より光源の光を当てて観測されるものをいう。この様な輝点は、偏光クロスニコル状態では、暗視野中で、輝点の箇所のみ光って観察されるので、容易にその大きさと個数を識別することができる。
【0088】
本発明の光学補償フィルムは、偏光クロスニコル状態で認識される大きさが5〜50μmの異物(輝点)が250mm2当たり150個以下で、かつ50μmを越える異物が0個であることが好ましい。好ましくは、5〜50μmの輝点が50個以下であり、特に好ましくは0〜10個である。このような輝点が多いと、液晶表示装置のコントラストが低下するなど画像に重大な悪影響を及ぼす。
【0089】
(添加剤)
本発明の光学補償フィルムには、必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤、染料等の添加剤を添加してもよい。
【0090】
本発明では、可塑剤機能を有する多価アルコールエステルと従来の可塑剤を併用することができる。従来の可塑剤の使用量は、ゼロまたは多価アルコールエステルを使用しないときに比べ少ない量が好ましく、具体的にはセルロースエステルに対して0〜30質量%が好ましく、0〜25質量%が更に好ましく、特に好ましくは0〜20質量%である。
【0091】
本発明に用いることのできる可塑剤としては特に限定されないが、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤等を好ましく用いることができる。リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、グリコレート系可塑剤ではブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。これ等の可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0092】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明においては、特に370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0093】
本発明に係るセルロースエステルフィルムに添加される紫外線吸収剤は、分子内に芳香族環(芳香環ともいう)を2つ以上有する紫外線吸収剤が好ましく用いられる。ここで、芳香族環は、上記の芳香環と同義である。
【0094】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例として、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のTINUVIN109、171、326、327、328等を好ましく用いることができるが、本発明はこれ等に限定されるものではない。
【0095】
紫外線吸収剤は単独で用いてもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0096】
紫外線吸収剤の添加方法は、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0097】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6〜2.0質量%がさらに好ましい。
【0098】
フィルムの黄味を改善する目的で緑色もしくは青系の染料を添加してもよい。色味は、通常の写真用支持体にみられる様なグレーに着色できるものが好ましい。セルロースエステルに対する質量割合で0.1%以下の濃度で好ましく添加される。
【0099】
本発明には必要に応じてマット剤として酸化珪素等の金属酸化物微粒子あるいは有機物微粒子を加えてもよい。
マット剤微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
【0100】
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等が挙げられる。微粒子の平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるため、本発明においては、微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは7〜20nmである。
【0101】
酸化珪素の微粒子としては特に限定されないが、例えば日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、OX50、TT600等が挙げられ、好ましくはAEROSIL 200、200V、R972、R972V、R974、R202、R805、R812等が挙げられる。
【0102】
各種添加剤はセルロースエステルが溶解しているドープ液にバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特にマット剤は濾材への負荷を減らすために一部または全量をインライン添加することが好ましい。
【0103】
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性を良くするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは3〜5質量部である。
【0104】
本発明において、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液と、各種添加剤と少量のセルロースエステルとを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサーが好ましく用いられる。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器には、圧力計、温度計等の計器類を適宜配設するのが好ましい。
【0105】
流延(キャスト)工程における支持体は、無端ベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度は0℃〜溶剤の沸点未満の温度が好ましい。温度が高い方が乾燥速度が速くできるが、あまり高過ぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
【0106】
好ましい支持体温度は0℃〜50℃であり、5℃〜30℃がさらに好ましい。支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水バットを支持体に接触させる方法がある。温水バットを用いる方が、熱の伝達が効率的に行われ、支持体の温度が一定になる間での時間が短く好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い温度の風を使う必要があることがある。
【0107】
光学補償フィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量は、10%〜120%が好ましく、更に好ましくは20%〜40%または60%〜120%であり、特に好ましくは20%〜30%または70%〜115%である。
【0108】
(セルロースエステルフィルムや光学補償フィルム中の残留溶媒量)
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
【0109】
残留溶媒量=((加熱処理前のフィルム質量−加熱処理後のフィルム質量)/加熱処理後のフィルム質量)×100(%)
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間加熱することをいう。
【0110】
また、光学補償フィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を2質量%以下にすることが好ましく、更に0.1質量%以下が好ましい。
【0111】
フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
【0112】
支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多いところで、テンター方式で幅保持または延伸を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため好ましいだけでなく、延伸により本発明の光学補償フィルムとして重要な光学特性を付与することができる。フィルムを乾燥させる手段は、特に制限なく、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、寸法安定性を良くするためには50〜140℃で行うことがさらに好ましい。
【0113】
本発明の光学補償フィルムは、流延後支持体から剥離したフィルムを溶剤を含有した状態で延伸操作を行う方法が好ましい方法の一例として用いられる。以下、その延伸方法について説明する。
【0114】
本発明の光学補償フィルムの製造において、セルロースエステルを溶解したドープ液を流延用支持体に流延後、支持体上で乾燥させ、次いで、流延用支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が100質量%以下、特に10〜100質量%の範囲にある間に、少なくとも1方向に1.0〜4.0倍延伸することが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
【0115】
延伸の際に、ウェブ中の残留溶媒量が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。ウェブ中の残留溶媒量の更に好ましい範囲は10〜50質量%、特に12〜40質量%が最も好ましい。また、延伸倍率が小さすぎると十分な位相差が得られず、大きすぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。延伸倍率の更に好ましい範囲は1.1〜3.5倍の範囲であり、さらに好ましくは1.15〜2倍である。
【0116】
本発明に係るセルロースエステルを用いて溶液流延製膜したものは、特定の範囲の残留溶媒量であれば高温に加熱しなくても延伸可能であるが、乾燥と延伸を兼ねると、工程が短くてすむので好ましい。しかし、ウェブの温度が高すぎると、可塑剤が揮散するので、室温(15℃)〜180℃以下の範囲が好ましい。
【0117】
また、互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを本発明で規定する範囲とするための有効な方法であるばかりでなく、フィルムの膜厚変動が減少できる点でも好ましい。セルロースエステルフィルム支持体の膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、光学補償フィルムとして用いたとき着色等の問題が生じる。セルロースエステルフィルム支持体の膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。本発明の光学補償フィルムは膜厚のばらつきが少ない点でも好ましい。以上の様な目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ0.8〜4.0倍、0.4〜1.2倍の範囲とすることが好ましい。
【0118】
本発明においては、流延製膜時、流延支持体上において製膜されるセルロースエステルフィルムの幅手方向の屈折率が最大となるように上記記載の各種条件を調整することが好ましい。
【0119】
上記に記載のように本発明に係る光学的に二軸性を有するセルロースエステル支持体は、フィルムの屈折率nx、ny、nzがnx>ny>nzの関係を満たしている。本発明において、前述の『幅手方向の屈折率が最大となる』とは、nxの方向が幅手方向に略等しいということである。
【0120】
ここで、方向が略等しいとは、軸同士の向きが略平行であることを示す。ここで、略平行とは、当該各々の軸のなす角が±10°以内であり、好ましくは±3°以内、さらに好ましくは±1°以内であり、特に好ましくは、±0°である。
【0121】
《偏光板》
本発明の偏光板について説明する。
【0122】
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学補償フィルムをアルカリ鹸化処理した後に、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0123】
また、本発明の偏光板においては、二色性物質を含有する偏光子の光透過軸と前記偏光子に貼合する光学補償フィルムの流延製膜時の幅手方向の延伸方向とが略平行になるように貼合されることが好ましい。尚、本発明において、直交しているとは上記記載のように軸同士が略直交していることを表し、また、方向が一致しているとは、軸同士の向きが略平行であることを示す。ここで、略平行とは、当該各々の軸のなす角が±10°以内であり、好ましくは±3°以内、さらに好ましくは±1°以内であり、特に好ましくは、±0°である場合を表す。
【0124】
本発明の偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。こうして得られた偏光子を、セルロースエステルフィルムと貼合する。
【0125】
このとき、セルロールエステルフィルムのうちの少なくとも一枚は、本発明の光学補償フィルムが用いられる。もう一方の面には、別のセルロースエステルフィルムを用いることができる。もう一方の面にも本発明の光学補償フィルム用に製造したセルロースエステルフィルムを用いてもよいし、市販のセルロースエステルフィルム(コニカタック KC8UX2MW、KC4UX2MW、KC5UN(コニカ(株)製))を表面側のもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いることができる。表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層を有することが好ましい。反射防止層(酸化珪素層、酸化チタン層)、帯電防止層、防汚層は塗布、スパッタ、CVD、大気圧プラズマCVD、真空蒸着等の方法で好ましく設けられる。
【0126】
《液晶表示装置》
上記ようにして得られる、本発明の偏光板を、液晶セルの両面に配置して貼合し、本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。
【0127】
また、偏光板の作製時には、本発明の光学補償フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸が平行となるように貼合することが好ましい。これによって、黒表示のときの光漏れが著しく改善され、15型以上、好ましくは19型以上の大画面の液晶表示装置であっても、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、特にVA型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。
【0128】
本発明の光学補償フィルムには必要に応じてさらに液晶性化合物を用いた光学異方性層を形成することができ、TN,VA,OCB,HAN等の各種駆動方式を採用した液晶表示装置の視野角特性を最適化することができる。
【0129】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明の態様を具体的に説明するが、本発明はこれ等に限定されない。
【0130】
実施例1
《光学補償フィルム101の作製》
下記のドープ液を調製し、該ドープ液をベルト流延装置を用いてキャストしたフィルムを作製後、剥離、乾燥して、本発明の光学補償フィルム101を作製した。
【0131】
(ドープ液の調製)
下記記載のセルロースエステル、脂肪族多価アルコールエステル、紫外線吸収剤、酸化珪素微粒子と溶剤Aを添加混合し、ドープを調整した。
【0132】
セルロースエステルA 160kg
(セルロースアセテートプロピオネート)
アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8
脂肪族多価アルコールエステル
(ジプロピレングリコールジベンゾエート) 40kg
酸化珪素微粒子(アエロジルR972V) 0.3kg
紫外線吸収剤A(3種混合)
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.8kg
(溶剤Aの組成)
メチレンクロライド 770kg
エタノール 65kg
以上を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープ液を作製した。次いで、ベルト流延装置を用い、ドープ液を33℃、1.8m幅のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンドの温度は30℃に制御した。ステンレスバンド支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が80%になるまで溶媒を蒸発させステンレスバンド支持体から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムは、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥させ、テンターで幅手両端を把持し、130℃で1.35倍に延伸した後、両端をスリットして、さらに120℃のロール搬送ゾーンで乾燥させた後、両端には高さ10μm、幅15mmのエンボス加工を施し、膜厚80μm、R0(30nm)、Rt(135nm)のセルロースエステルフィルムを得た。
【0133】
これを本発明の光学補償フィルム101とする。
《光学補償フィルム102〜118の作製》
光学補償フィルム101の作製において、ジプロピレングリコールジベンゾエートを表1に記載の脂肪族多価アルコールエステルに変更し、セルロースエステルも適宜変更した以外は同様にして、光学補償フィルム102〜118を各々作製した。
【0134】
得られた光学補償フィルム101〜118について、以下に示すようにして、リターデーション値(R0及びRt)並びに、遅相軸角θ0を測定した。
【0135】
《リターデーション(R0及びRt)、遅相軸角θ0》
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、作製した光学補償フィルム101〜118を23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において複屈折率、遅相軸角θ0(°)測定を行った。平均屈折率はアッベの屈折率計により求めた。
【0136】
(経時保存による、リターデーション値、遅相軸角の変動評価)
次いで、上記の光学補償フィルム101〜118の各々を30℃〜40℃、65%RH〜85%RHの倉庫で1ヶ月間保管し、リターデーション、遅相軸角(光学補償フィルムの幅方向と遅相軸とのなす角)の変化を測定した。
【0137】
《巻き形状劣化》
ロール状の光学補償フィルム試料を埃付着防止のためポリエチレンシートをかけて、30℃〜40℃、65%RH〜85%RHの倉庫で1ヶ月間保管し、1ヶ月経過後の巻きの状態を目視で観察し、下記のようにランク評価した。
【0138】
◎:ロールの表面に皺、変形等の変化は認められない
○:ロールの表面に僅かに皺が認められるが、変形は認められない
△:ロールの表面に弱い皺が認められ、一部に変形も認められる
×:ロールの表面〜内部に強い皺、表面に強い変形が有り、内部まで変形有り
また、上記のランクについての実用性判断は下記の通りである。
【0139】
◎:切除することなく使用可能
○:数m切除して使用可能
△:表面から数巻き分(数m〜数10m程度)切除により使用可能
×:巻きの変形が認められなくなる、内部(数10m以上)まで切除しなければ使用できない
表1に記載の脂肪族多価アルコールエステル、セルロースエステルA、Bの内容を以下に示す。
【0140】
《脂肪族多価アルコールエステル》
a:トリメチロールプロパンと酢酸:安息香酸=1:1の混合エステル
b:トリメチロールプロパンと酢酸:シクロヘキサンカルボン酸とのエステル
c:トリメチロールプロパンと酢酸:シクロヘキサンカルボン酸=1:1との混合エステル
d:3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールと安息香酸とのエステル
e:3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル
f:キシリトールと安息香酸とのエステル
g:キシリトールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル
《セルロースエステル》
A:セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)
B:セルロースアセテート
(アセチル基置換度2.7)
得られた結果を表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
表1から、比較に比べて、本発明の光学補償フィルムは、リターデーション(R0、Rt)の変動がほとんど認められず、保管中の巻き形状の劣化もほとんどないことが判る。
【0143】
実施例2
《偏光板101〜118の作製》
延伸処理したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上述の保管後の光学補償フィルム101〜118の各々を鹸化処理し一方の面に使用し、偏光膜の片側に貼り付けた。もう一方の面には市販のセルローストリアセテートフィルム(コニカタックKC8UX2MW、コニカ(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。このようにして偏光板を作製し、下記のようにして、故障発生、視認性評価を行ったところ、比較の光学補償フィルム115〜118を各々用いて作製した偏光板115〜118に比べて、本発明の光学補償フィルム101〜114を用いて作製した、本発明の偏光板101〜114では、故障発生(泡や異物の巻き込み等の故障)がなく、大画面用として断裁する場合でも、高収率であった。
【0144】
《故障発生》
作製直後の偏光板を目視観察し、下記のようなランク評価を行った。
【0145】
○:泡や異物の巻き込み等の故障が全くない
×:泡や異物の巻き込み等の故障がある(実用不可)
実施例3
《液晶パネル101〜118の作製》
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
【0146】
富士通製15型ディスプレイVL−150SDのあらかじめ貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した本発明の偏光板101〜114及び比較の偏光板115〜118をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
【0147】
その際、その偏光板の貼合の向きは、光学補償フィルムの面が、液晶セル側となるように、且つ、あらかじめ貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶パネル101〜118を各々作製した。
【0148】
こうして得られた各液晶パネルを、ELDIM社製EZ−contrastにより視野角を測定した。視野角は、液晶セルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲であらわした。その結果、本発明の偏光板を用いた、本発明の液晶パネル(表示装置)101〜114では、斜め45°方向から測定したときに160°以上の視野角であることが確認された。一方、比較の偏光板を用いた、比較の液晶パネル115〜118は、160°に達しなかった。
【0149】
上記のように、本発明の光学補償フィルム、本発明の偏光板を用いた液晶パネル(液晶表示装置ともいう)は視野角が著しく改善された。これらの表示装置はそのまま長期間放置しても、縁の白抜けも認められず経時でも画面の周辺部でコントラストの低下は認められず、高いコントラストを維持できることが確認された。それに対して比較の偏光板を貼合した液晶パネル(液晶表示装置)は周辺部でコントラストの低下が認められた。
【0150】
また、下記に記載のようにして、液晶パネル101〜118の視認性評価を行ったところ、比較に比べて、本発明の液晶パネルは、視認性が優れていることがわかった。
【0151】
《視認性評価》
液晶パネル(液晶表示装置)を目視観察し、斜め方向の視認性を下記のようにランク評価した。
【0152】
◎:黒がしまって見え、鮮明であり、像の白抜けも認められない
○:黒がしまって見え、鮮明であるが、わずかに像の白抜けが認められる
△:黒のしまりがなく、鮮明さがやや低く、像の白抜けが認められる
×:黒のしまりがなく、鮮明さが低く、像の白抜けが気になる
本発明においては、○、◎が実用可である。
【0153】
得られた結果を表2に示す。
【0154】
【表2】
【0155】
表2から、視認性についても、本発明の液晶パネルは、極めて良好な特性を示すことが判る。
【0156】
【発明の効果】
本発明により、光学特性が経過時間で変化しにくく、ロール状態での保管性にも優れた光学補償フィルムを提供することであり、偏光板の収率が高くまた、大画面であっても視野角特性に優れた偏光板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することができた。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で定義される面内リターデーション値(R0値)が20nm〜70nm、下記一般式(2)で定義される厚み方向のリターデーション値(Rt値)が60nm〜400nmであり、且つ、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とから形成された脂肪族多価アルコールエステルを含有するセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする光学補償フィルム。
一般式(1)
R0値=(nx−ny)×d
〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)を各々表す。〕
一般式(2)
Rt値=((nx+ny)/2−nz)×d
〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕 - 前記モノカルボン酸が、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
- 前記脂肪族多価アルコールが、2価〜20価であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
- 請求項4に記載の偏光板を偏光子と液晶セルの間に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
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