JP2004190913A - 石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置を提供する。
【解決手段】基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)に石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正し、かつ主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を比例積分して負荷指令を補正する石炭焚ボイラにおいて、圧力偏差ΔPから前記発熱量比Sを演算する自動修正回路11を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)に石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正し、かつ主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を比例積分して負荷指令を補正する石炭焚ボイラにおいて、圧力偏差ΔPから前記発熱量比Sを演算する自動修正回路11を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭焚ボイラにおける使用する石炭の発熱量の相違を自動修正するための発熱量自動修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭焚ボイラにおいて、使用する石炭の発熱量は銘柄や水分等により大きく変動する。従って、石炭焚ボイラでは、安定した運転状態及び負荷変化特性を維持するため、使用する石炭の性状が変化する毎に運転員による手動調整や制御系の再調整が必要であった。そのため、運転員による手動調整をなくすための手段が提案されている(例えば、[特許文献1][特許文献2][特許文献3])。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−337112号公報
【特許文献2】
特開平8−247401号公報
【特許文献3】
特開2000−205556号公報
【0004】
[特許文献1]の「ボイラの燃料発熱量補正方法」は、図2に示すように、燃料制御装置106を有する石炭焚ボイラにおいて、発熱量演算器103により実ボイラ運転状態におけるボイラ出熱、ボイラ効率および燃料流量から同燃料の実効発熱量を算出し、除算器104により上記燃料制御装置の調整時に使用した燃料の発熱量との比を求めて補正値とし、積算器105により上記燃料制御装置から出力される燃料投入量指令に前記補正値を乗ずることにより燃料流量の補正を行うものである。なおこの図で、101はボイラ出熱演算器、102はボイラ効率演算器、107は燃料操作端である。
【0005】
[特許文献2]の「ボイラの石炭発熱量推定装置」は、図3に示すように、火炉及び過熱器吸収熱量演算器212および再熱器吸収熱量演算器213の出力の和を減算入力し、石炭供給量センサの出力を受ける第1の積算器216の出力および火炉投入空気熱量演算器214の出力を加算入力し、ボイラ出口ガス流量センサの出力を受ける第2の積算器220の出力を減算入力する加減算器217、同加減算器の出力を受けて推定ボイラ出口ガス温度信号を出力する動的排ガス損失推定器221、同動的排ガス損失推定器の出力を受けるガス比熱演算器219、ガス比熱演算器および動的排ガス損失推定器の出力を受け第2の積算器へ出力を送る第3の積算器218、動的排ガス損失推定器の出力を加算入力し、ボイラ出口ガス温度センサ211aの出力を減算入力し、出力を動的排ガス損失推定器へフィードバックする減算器223、同減算器の出力を受け推定発熱量信号を出力し、第1乗算器へフィードバックする発熱量推定器224を設けるものである。なおこの図において、210は石炭供給量センサ、215は加算器である。
【0006】
[特許文献3]の「貫流ボイラ装置の運転方法」は、石炭焚き貫流ボイラの運転において、図4に示すように、部分負荷の亜臨界領域での空気過剰率を使用燃料石炭の炭種毎に個別に予め設定されたプログラムに従って制御するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した[特許文献1]および[特許文献2]では、使用中の石炭の発熱量を演算又は推定する必要があり、そのためボイラ各部の温度、圧力、流量等を検出するための多数の検出器と、多数の検出データを基に演算する多数の演算器を必要とし、装置が複雑となる問題点があった。
【0008】
また、[特許文献3]では、石炭の炭種毎に予めプログラムを作成する必要があり、プログラムのない新種の石炭種を用いる場合には、そのままでは適用できず、対応に時間がかかる問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)に石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正し、かつ主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を比例積分して負荷指令を補正する石炭焚ボイラにおいて、
前記圧力偏差ΔPから前記発熱量比Sを演算する自動修正回路(11)を備える、ことを特徴とする石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置が提供される。
【0011】
この構成により、自動修正回路(11)により主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算するので、得られた発熱量比Sに石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正することができる。従って、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器(自動修正回路)の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記自動修正回路(11)は、前記圧力偏差ΔPの積分値を逆符号に変換する演算器(12)と、その演算結果に補正ゲインを積算する積算器(14)と、その積算結果を積分する積分器(16)とを備え、その積分値を前記発熱量比Sとして石炭流量の指令値を修正する。
【0013】
この構成により、主蒸気圧力の実測値P1が高く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば負の値)が発生すると、演算器(12)により圧力偏差ΔPの積分値を逆符号(正の値)に変換し、積算器(14)により演算器の演算結果に補正ゲイン(1又は1以下の値)を積算し、積分器(16)により積算器の積算結果(正の値)を積分するので、発熱量比Sは大きく(例えば1以上の値に)なる。
発熱量比Sが大きくなると、これに石炭流量を積算して石炭流量を大きく見せるように修正するので、石炭流量調節器5により石炭流量の減操作が行われる。
その結果、主蒸気圧力の実測値P1が減少し、圧力偏差ΔPが0になり、発熱量比Sがある値で安定する。従って、石炭発熱量の修正はボイラマスタ積分値が0になるよう行われ、ボイラマスタとして、常に積分修正量が加わった状態は無くなる。
【0014】
また、前記積算器(14)は、安定運転時に1を補正ゲインとして積算し、負荷変化時に1より小さい値を補正ゲインとして積算する。
この構成により、安定運転時の発熱量の自動修正を早め、かつ負荷変化時の制御特性の変動を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の発熱量自動修正装置を備えた石炭焚ボイラの全体構成図である。この図において、石炭焚ボイラは、自然循環ボイラであり、火炉1に石炭供給ライン2から石炭(微粉炭)を供給して燃焼させ、給水ライン3からドラムに給水を供給し、ドラムで発生した水蒸気を水蒸気ライン4を介して蒸気タービンに供給して発電するようになっている。
【0017】
石炭供給ライン2には、石炭の供給流量を制御する石炭流量制御器5が設けられている。石炭流量制御器5は、石炭流量指令値と発熱量自動修正装置10からの修正後石炭流量を一致するように石炭の供給流量を制御して火炉1に供給する。
発熱量自動修正装置10は、積算器21を備え、石炭流量の測定値に発熱量補正値Sを積算し、石炭流量の修正値として石炭流量制御器5に出力するようになっている。
【0018】
この構成により、例えば、使用中の石炭の発熱量H1が基準炭の発熱量H0より小さく、基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)が1より小さい場合に、石炭流量の測定値が基準炭に基づく石炭流量よりも小さく出力され、石炭流量制御器5によって石炭流量を増加させるため石炭焚ボイラの総発熱量を実質的に同一にすることができる。
【0019】
水蒸気ライン4には、主蒸気圧力の圧力を検出する圧力計7と、蒸気流量を制御する流量制御弁8とが設けられている。圧力計7で検出した主蒸気圧力の実測値P1は発熱量自動修正装置10に入力され、流量制御弁8は制御装置10からの負荷指令値に応じて所定の出力MW1をタービンで発電するように蒸気流量を制御する。
【0020】
発熱量自動修正装置10は、減算器22、積分器23、比例器24、加算器25、26を備え、主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を減算器22で演算し、その減算値を積分器23、比例器24及び加算器25で比例積分し、その比例積分結果を負荷設定値に加算器26で加算して負荷指令を補正するようになっている。
【0021】
この構成により、主蒸気圧力の実測値P1が高く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば負の値)が発生すると、圧力偏差ΔPを比例積分した値(−)が負荷設定値に加算されるので、負荷指令値が減少し、ボイラ入力(給水、燃料、空気)を減少して主蒸気圧力を減少させことができる。これにより主蒸気圧力の実測値P1が低下するので、圧力偏差ΔPが0になり、その状態で加算器25の比例積分結果が補正値Δとして加算器26に加わった状態で安定する。
【0022】
本発明の発熱量自動修正装置10は、更に、主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算する自動修正回路11を備える。
【0023】
この自動修正回路11は、圧力偏差ΔPの積分値を逆符号に変換する演算器12と、その演算結果に補正ゲインを積算する積算器14と、その積算結果を積分する積分器16とを備え、その積分値を前記発熱量比Sとして石炭流量の指令値を修正するようになっている。
【0024】
また、積算器14は、安定運転時に1を補正ゲインとして積算し、負荷変化時に1より小さい値を補正ゲインとして積算し、安定運転時の発熱量の自動修正を早め、かつ負荷変化時の制御特性の変動を抑えるようになっている。
【0025】
さらに、図1において、本発明の発熱量自動修正装置10は、切替器18を備え、手動設定の発熱量比Sに切替えることもできるようになっている。
【0026】
上述した本発明の構成により、主蒸気圧力の実測値P1が低く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば正の値)が発生すると、演算器12により圧力偏差ΔPの積分値を逆符号(正の値)に変換し、積算器14により演算器の演算結果に補正ゲイン(1又は1以下の値)を積算し、積分器16により積算器の積算結果(負の値)を積分するので、発熱量比Sは小さく(例えば1以下の値に)なる。
【0027】
発熱量比Sが小さくなると、これに石炭流量の測定値を積算して石炭流量を小さく修正するので、石炭流量が指令値より小さくなるため、調節器5により供給する石炭流量が増加する。その結果、主蒸気圧力の実測値P1が増加し、圧力偏差ΔPが0になり、発熱量比Sがある値で安定する。従って、石炭発熱量の修正はボイラマスタ積分値が0になるよう行われ、ボイラマスタとして、常に積分修正量が加わった状態は無くなる。すなわち、上述した加算器25の比例積分結果である補正値Δが0となる。
【0028】
従って、本発明の構成により、自動修正回路11により主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算するので、得られた発熱量比Sに石炭流量の測定値を積算して石炭流量を修正することができる。従って、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器(自動修正回路)の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる。
【0029】
なお本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
上述したように、本発明の発熱量自動修正装置は、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発熱量自動修正装置を備えた石炭焚ボイラの全体構成図である。
【図2】従来の方法を示す構成図である。
【図3】従来の装置の構成図である。
【図4】従来の方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 火炉、2 石炭供給ライン、3 給水ライン、
4 水蒸気ライン、5 石炭流量制御器、7 圧力計、8 流量制御弁、
10 発熱量自動修正装置、11 自動修正回路、
12 演算器、14 積算器、16 積分器、
21 積算器、22 減算器、23 積分器、
24 比例器、25 加算器、26 加算器
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭焚ボイラにおける使用する石炭の発熱量の相違を自動修正するための発熱量自動修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭焚ボイラにおいて、使用する石炭の発熱量は銘柄や水分等により大きく変動する。従って、石炭焚ボイラでは、安定した運転状態及び負荷変化特性を維持するため、使用する石炭の性状が変化する毎に運転員による手動調整や制御系の再調整が必要であった。そのため、運転員による手動調整をなくすための手段が提案されている(例えば、[特許文献1][特許文献2][特許文献3])。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−337112号公報
【特許文献2】
特開平8−247401号公報
【特許文献3】
特開2000−205556号公報
【0004】
[特許文献1]の「ボイラの燃料発熱量補正方法」は、図2に示すように、燃料制御装置106を有する石炭焚ボイラにおいて、発熱量演算器103により実ボイラ運転状態におけるボイラ出熱、ボイラ効率および燃料流量から同燃料の実効発熱量を算出し、除算器104により上記燃料制御装置の調整時に使用した燃料の発熱量との比を求めて補正値とし、積算器105により上記燃料制御装置から出力される燃料投入量指令に前記補正値を乗ずることにより燃料流量の補正を行うものである。なおこの図で、101はボイラ出熱演算器、102はボイラ効率演算器、107は燃料操作端である。
【0005】
[特許文献2]の「ボイラの石炭発熱量推定装置」は、図3に示すように、火炉及び過熱器吸収熱量演算器212および再熱器吸収熱量演算器213の出力の和を減算入力し、石炭供給量センサの出力を受ける第1の積算器216の出力および火炉投入空気熱量演算器214の出力を加算入力し、ボイラ出口ガス流量センサの出力を受ける第2の積算器220の出力を減算入力する加減算器217、同加減算器の出力を受けて推定ボイラ出口ガス温度信号を出力する動的排ガス損失推定器221、同動的排ガス損失推定器の出力を受けるガス比熱演算器219、ガス比熱演算器および動的排ガス損失推定器の出力を受け第2の積算器へ出力を送る第3の積算器218、動的排ガス損失推定器の出力を加算入力し、ボイラ出口ガス温度センサ211aの出力を減算入力し、出力を動的排ガス損失推定器へフィードバックする減算器223、同減算器の出力を受け推定発熱量信号を出力し、第1乗算器へフィードバックする発熱量推定器224を設けるものである。なおこの図において、210は石炭供給量センサ、215は加算器である。
【0006】
[特許文献3]の「貫流ボイラ装置の運転方法」は、石炭焚き貫流ボイラの運転において、図4に示すように、部分負荷の亜臨界領域での空気過剰率を使用燃料石炭の炭種毎に個別に予め設定されたプログラムに従って制御するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した[特許文献1]および[特許文献2]では、使用中の石炭の発熱量を演算又は推定する必要があり、そのためボイラ各部の温度、圧力、流量等を検出するための多数の検出器と、多数の検出データを基に演算する多数の演算器を必要とし、装置が複雑となる問題点があった。
【0008】
また、[特許文献3]では、石炭の炭種毎に予めプログラムを作成する必要があり、プログラムのない新種の石炭種を用いる場合には、そのままでは適用できず、対応に時間がかかる問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)に石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正し、かつ主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を比例積分して負荷指令を補正する石炭焚ボイラにおいて、
前記圧力偏差ΔPから前記発熱量比Sを演算する自動修正回路(11)を備える、ことを特徴とする石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置が提供される。
【0011】
この構成により、自動修正回路(11)により主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算するので、得られた発熱量比Sに石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正することができる。従って、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器(自動修正回路)の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記自動修正回路(11)は、前記圧力偏差ΔPの積分値を逆符号に変換する演算器(12)と、その演算結果に補正ゲインを積算する積算器(14)と、その積算結果を積分する積分器(16)とを備え、その積分値を前記発熱量比Sとして石炭流量の指令値を修正する。
【0013】
この構成により、主蒸気圧力の実測値P1が高く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば負の値)が発生すると、演算器(12)により圧力偏差ΔPの積分値を逆符号(正の値)に変換し、積算器(14)により演算器の演算結果に補正ゲイン(1又は1以下の値)を積算し、積分器(16)により積算器の積算結果(正の値)を積分するので、発熱量比Sは大きく(例えば1以上の値に)なる。
発熱量比Sが大きくなると、これに石炭流量を積算して石炭流量を大きく見せるように修正するので、石炭流量調節器5により石炭流量の減操作が行われる。
その結果、主蒸気圧力の実測値P1が減少し、圧力偏差ΔPが0になり、発熱量比Sがある値で安定する。従って、石炭発熱量の修正はボイラマスタ積分値が0になるよう行われ、ボイラマスタとして、常に積分修正量が加わった状態は無くなる。
【0014】
また、前記積算器(14)は、安定運転時に1を補正ゲインとして積算し、負荷変化時に1より小さい値を補正ゲインとして積算する。
この構成により、安定運転時の発熱量の自動修正を早め、かつ負荷変化時の制御特性の変動を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の発熱量自動修正装置を備えた石炭焚ボイラの全体構成図である。この図において、石炭焚ボイラは、自然循環ボイラであり、火炉1に石炭供給ライン2から石炭(微粉炭)を供給して燃焼させ、給水ライン3からドラムに給水を供給し、ドラムで発生した水蒸気を水蒸気ライン4を介して蒸気タービンに供給して発電するようになっている。
【0017】
石炭供給ライン2には、石炭の供給流量を制御する石炭流量制御器5が設けられている。石炭流量制御器5は、石炭流量指令値と発熱量自動修正装置10からの修正後石炭流量を一致するように石炭の供給流量を制御して火炉1に供給する。
発熱量自動修正装置10は、積算器21を備え、石炭流量の測定値に発熱量補正値Sを積算し、石炭流量の修正値として石炭流量制御器5に出力するようになっている。
【0018】
この構成により、例えば、使用中の石炭の発熱量H1が基準炭の発熱量H0より小さく、基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)が1より小さい場合に、石炭流量の測定値が基準炭に基づく石炭流量よりも小さく出力され、石炭流量制御器5によって石炭流量を増加させるため石炭焚ボイラの総発熱量を実質的に同一にすることができる。
【0019】
水蒸気ライン4には、主蒸気圧力の圧力を検出する圧力計7と、蒸気流量を制御する流量制御弁8とが設けられている。圧力計7で検出した主蒸気圧力の実測値P1は発熱量自動修正装置10に入力され、流量制御弁8は制御装置10からの負荷指令値に応じて所定の出力MW1をタービンで発電するように蒸気流量を制御する。
【0020】
発熱量自動修正装置10は、減算器22、積分器23、比例器24、加算器25、26を備え、主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を減算器22で演算し、その減算値を積分器23、比例器24及び加算器25で比例積分し、その比例積分結果を負荷設定値に加算器26で加算して負荷指令を補正するようになっている。
【0021】
この構成により、主蒸気圧力の実測値P1が高く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば負の値)が発生すると、圧力偏差ΔPを比例積分した値(−)が負荷設定値に加算されるので、負荷指令値が減少し、ボイラ入力(給水、燃料、空気)を減少して主蒸気圧力を減少させことができる。これにより主蒸気圧力の実測値P1が低下するので、圧力偏差ΔPが0になり、その状態で加算器25の比例積分結果が補正値Δとして加算器26に加わった状態で安定する。
【0022】
本発明の発熱量自動修正装置10は、更に、主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算する自動修正回路11を備える。
【0023】
この自動修正回路11は、圧力偏差ΔPの積分値を逆符号に変換する演算器12と、その演算結果に補正ゲインを積算する積算器14と、その積算結果を積分する積分器16とを備え、その積分値を前記発熱量比Sとして石炭流量の指令値を修正するようになっている。
【0024】
また、積算器14は、安定運転時に1を補正ゲインとして積算し、負荷変化時に1より小さい値を補正ゲインとして積算し、安定運転時の発熱量の自動修正を早め、かつ負荷変化時の制御特性の変動を抑えるようになっている。
【0025】
さらに、図1において、本発明の発熱量自動修正装置10は、切替器18を備え、手動設定の発熱量比Sに切替えることもできるようになっている。
【0026】
上述した本発明の構成により、主蒸気圧力の実測値P1が低く圧力偏差ΔP(=P0−P1が例えば正の値)が発生すると、演算器12により圧力偏差ΔPの積分値を逆符号(正の値)に変換し、積算器14により演算器の演算結果に補正ゲイン(1又は1以下の値)を積算し、積分器16により積算器の積算結果(負の値)を積分するので、発熱量比Sは小さく(例えば1以下の値に)なる。
【0027】
発熱量比Sが小さくなると、これに石炭流量の測定値を積算して石炭流量を小さく修正するので、石炭流量が指令値より小さくなるため、調節器5により供給する石炭流量が増加する。その結果、主蒸気圧力の実測値P1が増加し、圧力偏差ΔPが0になり、発熱量比Sがある値で安定する。従って、石炭発熱量の修正はボイラマスタ積分値が0になるよう行われ、ボイラマスタとして、常に積分修正量が加わった状態は無くなる。すなわち、上述した加算器25の比例積分結果である補正値Δが0となる。
【0028】
従って、本発明の構成により、自動修正回路11により主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)から基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)を演算するので、得られた発熱量比Sに石炭流量の測定値を積算して石炭流量を修正することができる。従って、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器(自動修正回路)の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる。
【0029】
なお本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
上述したように、本発明の発熱量自動修正装置は、在来の石炭焚ボイラの制御装置に、特別な検出器を追加することなく、簡単な制御機器の追加のみで石炭の発熱量の相違を自動修正することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発熱量自動修正装置を備えた石炭焚ボイラの全体構成図である。
【図2】従来の方法を示す構成図である。
【図3】従来の装置の構成図である。
【図4】従来の方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 火炉、2 石炭供給ライン、3 給水ライン、
4 水蒸気ライン、5 石炭流量制御器、7 圧力計、8 流量制御弁、
10 発熱量自動修正装置、11 自動修正回路、
12 演算器、14 積算器、16 積分器、
21 積算器、22 減算器、23 積分器、
24 比例器、25 加算器、26 加算器
Claims (3)
- 基準炭の発熱量H0と使用中の石炭の発熱量H1との発熱量比S(=H1/H0)に石炭流量の指令値を積算して石炭流量の指令値を修正し、かつ主蒸気圧力の実測値P1と設定値P0の圧力偏差ΔP(=P0−P1)を比例積分して負荷指令を補正する石炭焚ボイラにおいて、
前記圧力偏差ΔPから前記発熱量比Sを演算する自動修正回路(11)を備える、ことを特徴とする石炭焚ボイラにおける発熱量自動修正装置。 - 前記自動修正回路(11)は、前記圧力偏差ΔPの積分値を逆符号に変換する演算器(12)と、その演算結果に補正ゲインを積算する積算器(14)と、その積算結果を積分する積分器(16)とを備え、その積分値を前記発熱量比Sとして石炭流量の指令値を修正する、ことを特徴とする請求項1に記載の発熱量自動修正装置。
- 前記積算器(14)は、安定運転時に1を補正ゲインとして積算し、負荷変化時に1より小さい値を補正ゲインとして積算する、ことを特徴とする請求項2に記載の発熱量自動修正装置。
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