JPH025222Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は燃焼炉の空気制御装置に関するもので
ある。

一般に燃焼炉、加熱炉、或いはボイラ等では、
不完全燃焼を防止して安定した操業を行うために
燃料に対して十分な量の空気を送ることが必要で
ある。

例えば加熱炉やボイラにおける空気制御方法と
しては、空燃比（燃料量に対する空気量の割合）
を一定にする方法、或いは排ガス中の酸素濃度を
制御するための制御系の出力信号に基づいて空燃
比を変位させるカスケード制御法が採用されてい
る。このカスケード制御法とは、空燃比を予め設
定しておいて、負荷変動があつたときには燃料量
と空気量を変化させ、その結果生じる排ガス中の
酸素濃度を検出して空燃比を修正する方法であ
る。

ところで燃焼炉については、被焼却物も発熱源
となりしかもその投入量や性状により負荷が変動
する。例えば下水処理に利用されている活性汚泥
の使用済のものを燃焼する場合には、汚泥ケーキ
投入量、ケーキ性状に加えて含水率も負荷変動の
大きな要因になる。このためこの種の燃焼炉で
は、負荷変動を見込んで十分な量の空気が送られ
るように空燃比を定め、一定の空燃比に基づいて
空気を送るようにしていた。しかしながらこのよ
うな空気制御方法によれば、燃焼炉内における空
気が必要量よりも過剰気味になることがあるた
め、排熱損失が大きくなつて燃料が無駄に消費さ
れる場合があり、更にはNOxやSOx等の公害源
物質の発生が促進されるようになる。

本考案はこのような事情に基づいてなされたも
のであり、安定した操業を行うことができ、しか
も燃料の節減を図ることのできる燃焼炉の空気制
御装置を提供することを目的とするものである。

以下図面によつて本考案の実施例について説明
する。

第１図は本考案の実施例を示す構成図であり、
ALは燃焼炉へ燃焼用の空気を導入するための空
気導入路である。この空気導入路ALには吸入ダ
ンパ１、空気流入ブロワＢ、空気流量計１１、圧
力計１２が設けられている。１０は吸込ダンパの
開度を調整するための操作器、１３は測温計であ
る。

２は空燃比を設定するための空燃比設定器、３
０は空気量補正手段である。前記空気量補正手段
３０は、燃焼炉より排出される排ガス中の酸素濃
度値に基づいて空燃比を補正する補正手段３Ａ
と、前記酸素濃度値に基づいて後述する空気量設
定値を補正する補正手段３Ｂとを有する。そして
補正手段３Ａにおいては、酸素濃度設定器３１Ａ
により設定された酸素濃度設定値と酸素濃度検出
計３１Ｂにより検出された酸素濃度値との偏差に
基づいて空燃比の補正値が求められ、この空燃比
の補正値は、空燃比設定器２により設定された空
燃比と共に減算器２１に入力される。この減算器
２１では設定された空燃比から前記補正値を減算
することにより空燃比の設定値を補正する。

４は燃焼炉へ送られる燃料の単位時間当りの流
量を検出するための燃料流量計であり、ここで検
出された燃料の流量は加算手段５に入力される。
一方６は燃焼炉へ送られる被焼却物例えば汚泥ケ
ーキ（使用済の活性汚泥を固めたもの）の単位時
間当りの投入量を求める被焼却物投入量検出計
（以下単に「投入量検出計」という。）であり、こ
の投入量検出計６としては、例えば汚泥ケーキを
燃焼炉内へ投入するための搬送ベルトに組み合わ
せられた重量計等が用いられる。６１は汚泥ケー
キの含水率を求める含水率検出計であり、ここか
らの出力信号は、投入量検出計６からの出力信号
と共に補正投入量演算器６２に入力される。この
補正投入量演算器６２では、検出された含水率と
検出された投入量とに基づいて補正投入量（汚泥
ケーキの投入量から含水量を差し引いた値）が演
算され、補正投入量演算器６２からの出力信号は
積算器６３に入力される。この積算器６３は、補
正投入量に比率を積算して汚泥ケーキの可燃分の
投入量（単位時間当りの投入量）を求めるもので
あり、ここからの出力信号は加算手段５に入力さ
れる。この例では、前記補正投入量演算器６２と
積算器６３とにより、被焼却物の可燃分を算出す
るための可燃分算出手段６０が構成されている。
こうして加算手段５においては、燃料流量と汚泥
ケーキの可燃分との加算値が求められることにな
る。そして加算手段５からの出力信号は前記減算
器２１からの出力信号と共に積算手段７に入力さ
れ、この積算手段７では減算器２１により求めた
空燃比の設定値に前記加算値を積算することによ
つて空気流量が求められる。

７１は減算器であり、積算手段７からの出力信
号と前記補正手段３Ｂからの出力信号とが入力さ
れる。したがつてこの減算器７１では、積算手段
７で求められた空気量（空気流量）から、前記補
正手段３Ｂで求められた補正値を減算することに
より、空気量の設定値が算出されることになる。
尚この設定値は、例えば空気の温度、圧力が夫々
T₀，P₀であるときの値である。またこの実施例
では、前記減算器２１、積算手段７及び減算器７
１によつて、空気量設定値を求めるための設定空
気量演算手段７０が構成されている。

一方前記空気流量計１１により検出された空気
量に対応する信号は、平均化回路８１を介して補
正演算器８に入力され、検出された空気量はこの
補正演算器８において、圧力計１２により検出さ
れた圧力と測温計１３により検出された温度とに
基づいて、所定の温度T₀、圧力P₀における空気
量に換算される。そして補正演算器８からの出力
信号（以下「検出空気量信号」という。）は、前
記減算器７１からの出力信号（以下「設定空気量
信号」という。）と共に操作器指令手段９に入力
され、この操作器指令手段９においては、前記設
定空気量信号と検出空気量信号との偏差値を比例
積分することによつて、操作器１０を操作するた
めの操作指令信号が出力される。この操作指令信
号を受けて操作器１０は吸込ダンパ１の開度を調
整するようになる。

次に上述実施例の作用について説明する。汚泥
ケーキの投入量及び含水率が夫々投入量検出計６
及び含水率検出計６１により夫々検出され、これ
ら検出値に基づいて補正投入量演算手段６２にお
いて含水量を差し引いた汚泥ケーキの投入量が求
められ、積算器６３によつて汚泥ケーキの可燃分
の投入量が算出される。そしてこの可燃分の投入
量は加算手段５にて燃料流量と加算され、これら
加算値は発熱源の総量として扱われる。一方空燃
比設定器２により設定された空燃比は排ガス中の
酸素濃度に応じて減算器２１により修正され、修
正された空燃比と加算器５における加算値とが積
算手段７にて積算されて空気量設定値が算出され
る。更にこの空気量は排ガス中の酸素濃度に応じ
て減算器７１により修正され、修正された空気量
設定値と、空気流量計１１により検出され、温
度、圧力の補正がされた実際の空気量とに基づい
て操作指手段９から操作指令信号が発せられ、こ
の操作指令信号により操作器１０が作動して吸込
ダンパ１の開度が調整されることになる。今吸込
ダンパ１がある大きさの開度に調整されており、
この状態で汚泥ケーキの投入量が多くなると可燃
分が増加するので積算手段７にて求められる空気
量が大きいものとなり、したがつて検出空気量信
号よりも設定空気量信号が大きくなつて、吸込ダ
ンパ１の開度が大きくなるように操作器１０が作
動する。またこれとは逆に汚泥ケーキの投入量が
少なくなると可燃分が減少するので吸込ダンパ１
の開度が小さくなるように操作器１０が作動す
る。更に汚泥ケーキ投入量は一定であるが含水率
が多くなると相対的に可燃分が減少するので吸込
ダンパ１の開度は小さくされ、逆に含水率が少な
くなると相対的に可燃分が増加するので吸込ダン
パ１の開度は大きくされる。

本考案によれば、排ガス中の酸素濃度に基づい
て空燃比及び空気流量を補正しているため、煙道
からの排熱損失を減らし、燃料の節減を図ること
ができる。そして被焼却物例えば汚泥ケーキの可
燃分を求め、燃料のみならずこの可燃分も発熱源
として捉え、燃料と可燃分との加算値を空燃比に
積算して空気流量を求めているため、汚泥ケーキ
やケーキ性状の変動があつてもその変動に追従し
て空気流量の目標値が調整されるから、燃焼炉に
常に適正な量の空気が送られて安定した操業を行
うことができ、NOxやSOx等の公害源物質の発
生を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す構成図である。 １……吸込ダンパ、１０……操作器、１１……
空気流量計、１２……圧力計、１３……測温計、
２……空燃比設定器、３０……空気量補正手段、
３Ａ，３Ｂ……補正手段、４……燃料流量計、５
……加算手段、６……被焼却物投入量検出計、６
０……可燃分算出手段、６１……含水率検出計、
６２……補正投入量演算手段、６３……可燃分算
出手段、７……積算手段、７０……設定空気量演
算手段、２１，７１……減算器、８……補正演算
器、９……操作器指令手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 空気流量の設定値と空気導入路の空気流量検出
   値及び圧力検出値とに基づいて、空気導入路に設
   けられた吸込ダンパの操作指令信号を得る燃焼炉
   の空気制御装置において、 空燃比設定器と、燃焼炉よりの排ガス中の酸素
   濃度設定値及び酸素濃度検出値に基づいて空燃比
   の補正値と空気流量の補正値とを演算により求め
   て出力する空気量補正手段と、燃焼炉に投入され
   る被焼却物の投入量及び含水率の各検出値と定数
   とに基づいて被焼却物の可燃分投入量を求める可
   燃分算出手段と、燃料流量の検出値と前記可燃分
   算出手段よりの可燃分投入量とを加算する加算手
   段と、前記空燃比設定器よりの空燃比設定値から
   前記空燃比の補正値を減算すると共にその減算値
   に前記加算手段よりの加算値を乗じて空気流量の
   設定値を求め、更にこの設定値から前記空気流量
   の補正値を減算してその減算値を空気流量の設定
   値として出力する設定空気量演算手段とを設けた
   ことを特徴とする燃焼炉の空気制御装置。