JP6297343B2 - 廃棄物処理設備 - Google Patents
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Description
このように、焼却炉での廃棄物の焼却に必要な酸素含有気体量の過不足を検出する検出機構と、該検出機構の検出結果に基づいて過給機の回転軸の回転数を過不足が解消されるように制御する制御機構とを設ければ、焼却炉で焼却処理される廃棄物の量および性状の経時変化に応じて、焼却炉に供給すべき酸素含有気体の量を適切に制御することが可能となる。
本発明の廃棄物処理設備は、例えば流動床式の焼却炉を用いて、脱水汚泥などの廃棄物を焼却処理する設備である。なお、本発明の廃棄物処理設備で焼却処理する廃棄物は、脱水汚泥に限定されるものではない。
<廃棄物処理設備の構成>
ここで、図1に、本発明の廃棄物処理設備の一例の実施形態の概略構成を示す。図1に示す廃棄物処理設備100は、廃棄物移送ライン1を介して投入される廃棄物を焼却する流動床式の焼却炉10と、回転軸23を介して接続されたコンプレッサー21およびタービン22を有して焼却炉10に酸素含有気体としての空気を供給する過給機20と、焼却炉10から排出される排ガスと過給機20のコンプレッサー21を介して吸引された空気との間で熱交換する熱交換器30とを備えている。また、廃棄物処理設備100は、熱交換器30を通過した排ガスから焼却灰などの固形分を分離して除去する気固分離装置としての集塵機50と、集塵機50を通過した排ガスを洗浄して外部に放出する排ガス処理装置としてのスクラバー60と、スクラバー60で洗浄された排ガスの一部を誘引ガスとして誘引することにより焼却炉10からスクラバー60側へと排ガスを導く誘引装置としての誘引ファン70とを備えている。
なお、過給機20のコンプレッサー21は、回転軸23を介して伝達される動力を利用して吸引した空気を熱交換器30に供給可能に構成されている。また、過給機20のタービン22は、熱交換器30を通った空気のエネルギーを利用して回転軸23を回転させると共にエネルギーを利用した後の空気を焼却炉10に供給可能に構成されている。
即ち、廃棄物処理設備100の過給機20は、タービン22を回転させて得られた動力を利用して回転軸23を回転させることで、コンプレッサー21を駆動させて空気を吸引すると共に、発電機24により発電することが可能に構成されている。
ここで、上述した廃棄物処理設備100では、熱交換器30において、焼却炉10から排出された高温の排ガスと、コンプレッサー21を介して吸引した空気との間で熱交換が行われ、焼却灰などを除去する前の排ガスから廃熱が有効に回収される。
また、集塵機50において、廃熱が回収されて温度が低下した排ガスから焼却灰などが除去された後、更に、スクラバー60において、排ガス中に含まれているSOXなどの有害成分が除去されて、清浄な排ガスがスクラバー60の煙突部61から排出される。なお、スクラバー60で処理された排ガスの一部は、誘引ファン70に誘引された後、返送ライン85を介してスクラバー60の煙突部61へと返送されて外部に放出される。
なお、廃棄物処理設備100の起動時など、回転軸23の回転によりコンプレッサー21を十分に駆動することができない場合におけるタービン22への空気の供給は、任意の手段を用いて行うことができる。具体的には、空気の供給は、図示しない起動用ブロアを用いて行ってもよい。また、空気の供給は、インバーター25などを利用しつつ外部から電力を供給して回転軸23を回転させ、コンプレッサー21を駆動させることにより行ってもよい。更に、空気の供給は、過熱器40に補助燃料を供給し、補助燃料を燃焼させることによって行ってもよい。
ここで、通常、焼却炉10で焼却処理される廃棄物の量および性状は、経時変化する。そのため、廃棄物の焼却時に供給すべき空気量も、かかる廃棄物の量および性状の経時変化に伴って変化する。従って、廃棄物処理設備100では、焼却炉10で焼却処理される廃棄物の量および性状の経時変化に応じて、焼却炉10に供給すべき空気の量を適切に制御する必要がある。しかしここで、廃棄物処理設備100では、回転軸23の回転を利用してコンプレッサー21を駆動するため、コンプレッサー21で吸引する空気の量は、回転軸23およびタービン22の回転数の影響を大きく受ける。一方、焼却炉10で焼却処理される廃棄物の量および性状などが変化して排ガス温度や必要空気流量が変動した場合であっても、慣性力などの影響を受け、タービン22および回転軸23の回転数は急激には変化しない。そのため、流量の調整を実施しない場合には、焼却炉10に送る空気の量が不足したり、過剰になったりする虞がある。そこで、本実施形態に係る廃棄物処理設備100では、温度センサ81A、入力装置91、判断装置92及び制御装置93を使用し、インバーター25を介して回転軸23の回転数を制御することにより、焼却炉10に送る空気の量を適切に制御する。
以下、焼却炉10に供給すべき空気の量を適切に制御する方法について、特に温度センサ81A、入力装置91、判断装置92及び制御装置93の関係性に着目して、具体的に説明する。
なお、上記実施形態では、1つの設定値を判断装置92に入力して制御を行ったが、本発明の廃棄物処理設備では、一定の幅を有する温度許容範囲の上限値および下限値を判断装置92に入力し、温度センサ81Aで測定した温度が温度許容範囲の下限値よりも低い場合には空気の供給量が過剰であると判断して回転軸23の回転数を下げ、温度センサ81Aで測定した温度が温度許容範囲の上限値よりも高い場合には空気の供給量が不足していると判断して回転軸23の回転数を増加させ、温度センサ81Aで測定した温度が温度許容範囲内の場合にはインバーター25を介した回転軸23の制御を行わないようにしてもよい。
また、本発明の廃棄物処理設備においては、上述した温度センサ81A又は10Aを設ける代わりに、図3に示す通り、排ガスの酸素濃度を測定する排ガス濃度センサ81Bを設け、排ガスの酸素濃度を用いて空気の量を適切に制御することもできる。即ち、排ガス濃度センサ81B、入力装置91および判断装置92を、「焼却炉での廃棄物の焼却に必要な酸素含有気体量の過不足を検出する検出機構」として機能させ、制御装置93およびインバーター25を、「酸素含有気体量の過不足が解消されるように焼却炉10に供給される酸素含有気体量を補正する制御機構」として機能させてもよい。
具体的には、図3に示す廃棄物処理設備100では、はじめに、入力装置91を介して排ガス濃度(酸素濃度)の設定値を判断装置92に入力する。ここで、前記排ガス濃度の設定値は、例えば、燃焼炉10における廃棄物が不完全燃焼を起こさない酸素濃度或いは当該酸素濃度に安全率をかけた値であり、実験的または理論的に求めることができる。次に、廃棄物処理設備100の運転中に、判断装置92は、まず、排ガス濃度センサ81Bで測定した酸素濃度の測定値と、入力装置91を介して入力された酸素濃度の設定値とに基づいて、焼却炉10への空気の供給量が過剰か不足かを判断する。そして、判断装置92は、その判断結果の信号を制御装置93に送る。ここで、前記判断装置92においては、排ガス濃度センサ81Bで測定した酸素濃度が入力装置91を介して入力した設定値よりも高い場合には、空気の供給量が過剰であると判断し、また、排ガス濃度センサ81Bで測定した酸素濃度が入力装置91を介して入力した設定値よりも低い場合には、空気の供給量が不足しているとの判断がなされる。そして、前記判断結果の信号を受けた制御装置93は、過給機20のインバーター25を介して回転軸23の回転数を制御し、空気量の過不足が解消されるようにする。ここで、前記制御装置93は、判断装置92により空気の供給量が過剰であると判断された場合には、インバーター25に対し、回転軸23の回転数を下げるように指示を与え、コンプレッサー21からの吸引空気量を減少させることにより、空気の供給量を設定値まで減少させる。一方、前記制御装置93は、判断装置92により空気の供給量が不足していると判断された場合には、インバーター25に対し、回転軸23の回転数を上げるように指示を与え、コンプレッサー21からの吸引空気量を増加させることにより、空気の供給量を設定値まで増加させる。
この場合、判断装置92において、排ガス濃度センサ81Cで測定した一酸化炭素濃度が入力装置91を介して入力した設定値よりも高い場合には、空気の供給量が不足していると判断し、また、排ガス濃度センサ81Cで測定した一酸化炭素濃度が入力装置91を介して入力した設定値よりも低い場合には、空気の供給量が過剰であると判断する以外は、前述と同様にして空気の供給量を制御することができる。
なお、上記実施形態では、1つの設定値を判断装置92に入力して制御を行ったが、本発明の廃棄物処理設備では、排ガスの温度を利用して制御を行った第1実施形態と同様に、一定の幅を有する濃度許容範囲の上限値および下限値を判断装置92に入力して制御を行ってもよい。
また、上記実施形態では、酸素濃度および一酸化炭素濃度の何れか一方を測定することにより焼却炉に供給すべき空気の量を制御しているが、本発明の廃棄物処理設備では、酸素濃度および一酸化炭素濃度の双方を用いて制御を行ってもよい。この場合においては、酸素濃度と一酸化炭素濃度との何れか一方の判断結果が優先してインバーター25に指示されるように構成すればよいが、例えば、平常時は酸素濃度の測定値に基づいて空気の量を制御し、急激な一酸化炭素濃度の増加が検出された場合に限り優先的に一酸化炭素濃度の測定値に基づいて空気の量を制御する、といった構成とすることもできる。
なお、図3に示すように、前記排ガスの流れでみて集塵機50が熱交換器30の下流側に設けられている場合、排ガス濃度センサ等の検出媒体は、ダストの存在による検出感度やメンテナンス等への影響の観点から、少なくとも集塵機50より下流側に設置されるのが一般的である。しかしながら、集塵機の下流側よりも上流側における検出結果を用いた方が、排ガス濃度センサで検出される濃度と、焼却炉で発生する排ガスの濃度との間のタイムラグをより短縮することができることから、排ガス濃度センサ81Bおよび81Cは、排ガスの流れ方向でみて前記集塵機より上流側に設置されているのが好ましい。この場合、排ガス濃度センサ81Bおよび81Cは、ダストの存在による検出感度やメンテナンス等の問題を回避するため、レーザー等の非接触式であるのが好ましい。
また、本発明の廃棄物処理設備においては、上述した濃度センサ81B及び81Cを設ける代わりに、図4に示す通り、焼却炉10に供給される廃棄物の投入量又は含水率を測定するセンサ1Aを廃棄物移送ライン1に設け、上述と同様の方法で制御することもできる。即ち、センサ1A、入力装置91および判断装置92を、「焼却炉での廃棄物の焼却に必要な酸素含有気体量の過不足を検出する検出機構」として機能させ、制御装置93およびインバーター25を、「酸素含有気体量の過不足が解消されるように焼却炉10に供給される酸素含有気体量を補正する制御機構」として機能させてもよい。
具体的には、図4に示す廃棄物処理設備100では、はじめに、入力装置91を介して、廃棄物の投入量又は含水率と、焼却に必要な空気量との関係式を判断装置92に入力する。ここで、前記関係式は、実験的または理論的に求めることができる。次に、廃棄物処理設備100の運転中に、判断装置92は、まず、センサ1Aで測定した廃棄物の投入量又は含水率の測定値と、入力装置91を介して入力された関係式とに基づいて、焼却に必要な空気量を算出する。次に、燃焼用空気ライン88から空気利用ライン89が分岐する位置と焼却炉10との間に設けられた流量計(図示せず)で測定した空気流量と、前記関係式を用いて算出した空気量とを比較し、焼却炉10への空気の供給量が過剰か不足かを判断する。そして、判断装置92は、その判断結果の信号を制御装置93に送る。そして、前記判断結果の信号を受けた制御装置93は、過給機20のインバーター25を介して回転軸23の回転数を制御し、空気量の過不足が解消されるようにする。ここで、前記制御装置93は、判断装置92により空気の供給量が過剰であると判断された場合には、インバーター25に対し、回転軸23の回転数を下げるように指示を与え、コンプレッサー21からの吸引空気量を減少させることにより、空気の供給量を必要量まで減少させる。一方、前記制御装置93は、判断装置92により空気の供給量が不足していると判断された場合には、インバーター25に対し、回転軸23の回転数を上げるように指示を与え、コンプレッサー21からの吸引空気量を増加させることにより、空気の供給量を必要量まで増加させる。
なお、上記実施形態では、廃棄物の投入量又は含水率と、焼却に必要な空気量との関係式を用いて制御を行ったが、本発明の廃棄物処理設備では、廃棄物の投入量又は含水率と、排ガス量との関係式や、廃棄物の投入量又は含水率と、排ガス温度との関係式などを利用して制御を行ってもよい。
また、上記実施形態では、焼却炉10に供給される廃棄物の投入量および含水率の何れか一方を測定することにより焼却炉に供給すべき空気の量を制御しているが、本発明の廃棄物処理設備では、廃棄物の投入量および含水率の双方を測定することにより焼却炉に供給すべき空気の量を制御することもできる。この場合においては、上述した酸素濃度および一酸化炭素濃度の双方を用いて制御する場合と同様に、廃棄物の投入量と廃棄物の含水率との何れか一方の判断結果が優先してインバーター25に指示されるように構成すればよい。
1A 重量センサ又は含水率センサ
10,210 焼却炉
10A 温度センサ
20,220 過給機
21,221 コンプレッサー
22,222 タービン
23,223 回転軸
24 発電機
25 インバーター
30,230 熱交換器
40 過熱器
50 集塵機
60 スクラバー
61 煙突部
70 誘引ファン
81 排ガス供給ライン
81A 温度センサ
81B 酸素濃度センサ
81C 一酸化炭素濃度センサ
82 集塵ライン
83 排ガス洗浄ライン
84 誘引ライン
85 返送ライン
86 圧縮空気ライン
87 加熱空気ライン
88 燃焼用空気ライン
89 空気利用ライン
89A 流量調整弁
91 入力装置
92 判断装置
93 制御装置
100,200 廃棄物処理設備
Claims (8)
- 廃棄物を焼却する焼却炉と、回転軸を介して接続されたコンプレッサーおよびタービンを有する過給機と、前記焼却炉から排出される排ガスと前記過給機から供給される酸素含有気体との間で熱交換する熱交換器とを備え、
前記コンプレッサーは、前記回転軸を介して伝達される動力を利用して吸引した酸素含有気体を前記熱交換器に供給可能に構成され、
前記タービンは、前記熱交換器を通った前記酸素含有気体のエネルギーを利用して前記回転軸を回転させると共にエネルギーを利用した後の酸素含有気体を前記焼却炉に供給可能に構成された、
廃棄物処理設備であって、
前記焼却炉での廃棄物の焼却に必要な前記酸素含有気体量の過不足を検出する検出機構と、
前記検出機構の検出結果に基づき、前記過不足が解消されるように前記回転軸の回転数を制御して前記焼却炉に供給される前記酸素含有気体量を補正する制御機構と、
を更に備え、
前記過給機は、前記回転軸の回転を利用して発電可能な発電機と、前記発電機に設けられて前記回転軸の回転数および前記発電機での発電量を制御するインバーターとを更に備え、
前記回転軸の回転数の制御が、前記インバーターを介して行われることを特徴とする、廃棄物処理設備。 - 前記検出機構は、前記焼却炉で発生する排ガスの温度を測定する温度センサと、前記排ガスの温度に基づき前記酸素含有気体量の過不足を判断する過不足判断部とを備える、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
- 前記検出機構は、前記焼却炉で発生する排ガスの酸素濃度および一酸化炭素濃度の少なくとも一方を測定する排ガス濃度センサと、前記酸素濃度および一酸化炭素濃度の少なくとも一方に基づき前記酸素含有気体量の過不足を判断する過不足判断部とを備える、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
- 前記排ガスの流れ方向でみて、前記熱交換器の下流側に集塵機を備え、
前記排ガス濃度センサが、前記排ガスの流れ方向でみて前記集塵機より上流側に設置されている、請求項3に記載の廃棄物処理設備。 - 前記排ガス濃度センサが、非接触式である、請求項3又は4に記載の廃棄物処理設備。
- 前記検出機構は、前記焼却炉へ投入される廃棄物の量および含水率の少なくとも一方を測定するセンサと、前記量および含水率の少なくとも一方に基づき前記酸素含有気体量の過不足を判断する過不足判断部とを備える、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
- 前記検出機構は、前記焼却炉へ投入される廃棄物の量および含水率の何れか一方のみを測定するセンサと、前記量および含水率の何れか一方に基づき前記酸素含有気体量の過不足を判断する過不足判断部とを備える、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
- 前記焼却炉は、流動床式焼却炉であり、
前記検出機構は、該焼却炉における流動媒体の温度を測定する温度センサと、前記流動媒体の温度に基づき前記酸素含有気体量の過不足を判断する過不足判断部とを備える、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
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