JP4126317B2 - ガス化溶融システムの運転制御方法及び該システム - Google Patents
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ガス化溶融システムの概略を図6に示す。ガス化溶融システムは、熱分解してガス化するガス化炉3と、該ガス化炉3にて生成された熱分解ガスを高温燃焼し、ガス中の灰分を溶融スラグ化する溶融炉6と、該溶融炉6の排ガスが導入され、排ガス中の未燃分を燃焼する二次燃焼室12と、減温塔14、除塵装置15、蒸気式加熱器16、触媒反応装置17等からなる排ガス処理設備とを備えている。廃棄物の資源化、減容化及び無害化を図るために、溶融炉6からスラグを取り出して路盤材等の土木資材として再利用したり、二次燃焼室12の高温排ガスからボイラ部13にて廃熱を回収して発電を行うなどしている。
このようなガス化溶融システムでは、廃棄物を処理対象とした場合、廃棄物の投入量や発熱量の変動により燃焼が不安定となり、流動床ガス化炉の流動層温度が変動してしまうという問題があった。流動層温度の変動が著しいと、熱分解が適正に行われなかったり流動が不安定化してしまう惧れがある。
また、特許文献2(特開2004−132667号公報)では、燃焼空気を酸素濃度の高い空気と窒素濃度の高い空気とに分離し、高窒素濃度空気を流動床ガス化炉に導入して高酸素濃度空気を溶融炉に導入する構成を開示している。このとき、流動層温度低下の場合は、流動床ガス化炉へ高酸素濃度空気の一部を導入して部分燃焼を活発化させ、流動層温度を制御するようにしている。
また、流動床ガス化炉とともに溶融炉温度を安定化させる制御方法として、特許文献3(特開2001−182925号公報)では、流動層温度を流動用空気量にて制御し、溶融炉温度をごみ供給量操作により制御し、さらにごみ供給量操作による流動層温度への干渉を相殺する構成が開示されている。
特許文献1及び2では流動層温度の変動に応じて燃焼空気の空気比を制御する構成を提案しているが、空気比の制御のみでは流動層温度制御に限界があり、廃棄物の投入量、発熱量の著しい変動についていけない場合がある。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、廃棄物の投入量や発熱量の変動に対応して各状況に応じた適切な制御を行うことができ、流動層温度を安定化して適性な燃焼状態を維持することができるガス化溶融システムの運転制御方法及び該システムを提案することを目的とする。
前記流動床ガス化炉の流動層温度を検出し、該流動層温度の正常範囲を超える第1の温度域にて前記流動床ガス化炉への燃焼空気供給量を制御し、該第1の温度域を超える第2の温度域にて前記流動床ガス化炉への廃棄物投入量を制御することを特徴とする。
このとき、前記廃棄物投入量は前記第2の温度域内で段階的に制御されることが好ましい。
このように、燃焼空気供給量と廃棄物投入量を時間ずれさせて重複復帰させることにより、急激な温度変化を防止し、安定した制御が可能となる。
このように、排ガス中の酸素濃度に基づいて旋回溶融炉へ供給する燃焼空気量を制御することにより、前段側の流動床ガス化炉にて燃焼空気量制御や廃棄物投入量制御を行っても溶融炉側では適正な燃焼を行うことができ、安定運転が可能となるとともに排ガスのCO濃度低減が図れる。
前記流動床ガス化炉の流動層温度を検出する温度センサと、
前記流動床ガス化炉への燃焼空気供給量を制御する空気量制御手段と、廃棄物投入量を制御する廃棄物投入量制御手段と、
前記流動層温度の正常範囲を超える第1の温度域と、該第1の温度域を超える第2の温度域とが予め設定され、前記第1の温度域にて前記空気量制御手段を制御し、前記第2の温度域にて前記廃棄物投入量制御手段を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
さらにまた、前記溶融炉の後流側の排ガス中酸素濃度を検出するO2濃度センサを設け、該O2濃度センサの検出値に基づき前記溶融炉への燃焼空気供給量を制御することを特徴とする。
流動層温度の変動幅が小さい第1の温度域では流動床ガス化炉の燃焼空気供給量を制御し、変動幅が大きい第2の温度域では、廃棄物投入量を制御することにより効果的に流動層温度の回復を図るようにしている。これにより、他の制御要素に殆ど影響を及ぼすことなく広い温度変動幅にも対応した制御を行うことができ、流動層温度を安定化することが可能となる。
また、排ガス中の酸素濃度に基づいて旋回溶融炉へ供給する燃焼空気供給量を制御することにより、前段側の流動床ガス化炉にて燃焼空気量制御や廃棄物投入量制御を行っても溶融炉側では適正な燃焼を行うことができ、安定運転が可能となるとともに排ガス中のCO濃度低減が図れる。
図1は本発明の実施例に係るガス化溶融システムの全体構成図、図2は図1のガス化溶融システムにおける制御を説明する図で、(a)は燃焼空気量を制御する場合、(b)は給じん量を制御する場合を示し、図3は図2における燃焼空気量制御と給じん量制御の関係を示す図、図4は第1の温度域での燃焼空気量の制御フローを示す図、図5は第2の温度域での給じん量の制御フローを示す図である。
廃棄物投入ホッパ1から投入された廃棄物40は、必要に応じて破砕、乾燥された後に給じん機2を介して流動床式ガス化炉3へ定量供給される。流動床ガス化炉3では、温度約120〜230℃、空気比0.2〜0.7程度の燃焼空気41が炉下部から風箱4を介して炉内に吹き込まれ、流動層温度が500〜600℃程度に維持されている。
廃棄物40は流動床ガス化炉3で熱分解ガス化され、ガス、タール、チャー(炭化物)に分解される。タールは、常温では液体となる成分であるが、ガス化炉内ではガス状で存在する。ガス化炉3の不燃物は不燃物排出口5より逐次排出される。
チャーは流動層内で徐々に微粉化され、ガス及びタールに同伴して旋回溶融炉6へ導入される。以下、溶融炉6へ導入されるこれらの成分を総称して熱分解ガスと呼ぶ。
前記旋回溶融炉6では、熱分解ガスと燃焼空気42の混合ガスが燃焼するとともに必要に応じて種火バーナ26、補助燃料バーナ27により炉内温度が1300〜1500℃に維持され、熱分解ガス中の灰分が溶融、スラグ化される。溶融したスラグは、旋回溶融炉6の内壁面に付着、流下し、炉底部のスラグ出滓口7からスラグ抜出シュート8を経て排出される。旋回溶融炉6から排出されたスラグは、水砕槽9で急冷され、スラグコンベア10により搬出されて水砕スラグとして回収される。回収された水砕スラグは、路盤材等に有効利用することが可能である。
燃焼排ガスは、ボイラ部13で熱回収されて、200〜250℃程度まで冷却される。ボイラ部13から排出された燃焼排ガスは、減温塔14へ導入され、直接水噴霧により150℃程度まで冷却される。減温塔14から排出された燃焼排ガスは、必要に応じて煙道で消石灰、活性炭が噴霧され、反応集塵装置15に導入される。反応集塵装置15では、燃焼排ガス中の煤塵、酸性ガス、DXN類等が除去される。反応集塵装置15から排出された集塵灰は薬剤処理して埋立処分され、燃焼排ガスは蒸気式加熱器16で再加熱され、触媒反応装置17でNOxが除去された後、誘引ファン18を介して煙突19より大気放出される。
燃焼空気41は送風機23により供給され、該供給ライン上にはFDFダンパ24が配置されている。FDFダンパ24は、開度制御することにより風箱4に供給する燃焼空気供給量を調整する。FDFダンパ24の開度制御は、制御装置35により行われる。
該制御装置35では、前記温度センサ22により検出された流動層温度の検出値に基づいて、前記FDFダンパ24の開度制御を行い、流動床ガス化炉3に供給する燃焼空気量を制御する。好適には、複数の温度センサ22により検出した温度の平均値に基づいて制御することが好ましい。
二次燃焼室12の側壁には一又は複数の補助燃料バーナ27が設けられており、二次燃焼室内の温度を維持するようになっている。
さらに、二次燃焼室12には燃焼空気43が供給される。燃焼空気43は、旋回溶融炉6に供給される燃焼空気42と同一の送風機29により供給される。送風機29から送給される燃焼空気は2次FDFダンパ30を経由した後に分岐され、一方はOFAダンパ31を介して二次燃焼室12へ供給され、他方は熱分解ガスダクト25に供給されて溶融炉内に導入される。OFAダンパ31は、開度制御により二次燃焼室12に供給する燃焼空気供給量を調整する。OFAダンパ31の制御は、制御装置35により行われる。
流動層温度は温度センサ22により検出した検出値を用いる。また、流動層温度の適正範囲を超える第1の温度域と、該第1の温度域を超える第2の温度域を設け、温度変動の小さい第1の温度域では燃焼空気量制御を行い、温度変動の大きい第2の温度域では給じん量制御を行う。このとき、第1の温度域では給じん量制御は行わず、一方第2の温度域では燃焼空気量制御を行わないようにし、夫々の温度域では単独の制御とする。
燃焼空気量制御は、FDFダンパ24の開度調整を行うことにより流動層内へ導入する燃焼空気量を調整する。給じん量制御は、モータ33の回転数制御により廃棄物40の切り出し量を制御する。何れも、流動層20に設置された温度センサ22の検出値に基づき、制御装置35により制御される。
図2(a)に示されるように、予め設定された流動層温度の設定値SPから高温側に温度ATH1、低温側に温度ATL2の範囲内(ATL1<PV<ATH2;PVは検出値)を流動層温度の正常範囲とし、正常範囲以上で且つ上限温度ATH2、下限温度ATL1を超えない温度範囲を第1の温度域とする(ATH1≦PV<ATH2,ATL1<PV≦ATL2)。流動層温度の検出値PVが第1の温度域に存在する場合には、燃焼空気量を制御する。燃焼空気量は、第1の温度域の高温側では一定の割合で減少させ、低温側では一定の割合で増加させる。
まず、温度センサにて検出した流動層20の検出値PVが、正常範囲内であるか否かを判定する。検出値PVを、正常範囲の上限値を示す空気量変更パラメータ温度ATH1と、下限値を示す空気量変更パラメータ温度ATL1と比較し、ATL1<PV<ATH1である場合には正常範囲内と判断し、燃焼空気量制御を行わない。
一方、検出値PVが正常範囲内に存在せず、且つPV≧ATH1である場合には、燃焼空気量制御を行う。このとき、燃焼空気量制御は下記式(1)により行われる。
温度センサ22にて検出した流動層20の検出値PVが上昇傾向にない場合、即ち下降傾向にある場合には、以下のフローで給じん量制御を行う。
検出値PVを、給じん量変更パラメータ温度MTL3と、給じん量変更パラメータ温度MTL4と比較し、MTL3<PV≦MTL4である場合には、給じん量操作パラメータの設定値MPが通常値MP1になるように給じん量制御を行う。
検出値PVが上記範囲内になく、MTL2<PV≦MTL3である場合には、給じん量操作パラメータの設定値MPを、通常値MP1から給じん量操作パラメータの設定値MP2だけ変更するように制御する。即ち、このときの給じん量はMP1−MP2となる。
同様に、MTL1<PV≦MTL2である場合には、給じん装置を停止する。
このように、燃焼空気量と給じん量を時間ずれさせて重複復帰させることにより、急激な温度変化を防止し、正確な制御が可能となる。
このとき、旋回溶融炉6及び二次燃焼室12における燃焼状態が酸素濃度の検出値に反映されるまでのタイムラグがあるため、このタイムラグを考慮に入れた制御を行うことが好ましい。
このように、排ガス中のO2濃度に基づいて旋回溶融炉6及び二次燃焼室12へ供給する燃焼空気量を制御することにより、前段側の流動床ガス化炉3にて燃焼空気量制御や給じん量制御を行っても溶融炉側では適正な燃焼を行うことができ、安定運転が可能となるとともに、排ガスのCO濃度低減が図れる。
6 旋回溶融炉
12 二次燃焼室
22 温度センサ
23、29 送風機
24 FDFダンパ
25 熱分解ガスダクト
30 2次FDFダンパ
31 OFAダンパ
34 O2濃度センサ
35 制御装置
41、42、43 燃焼空気
Claims (8)
- 流動床ガス化炉にて廃棄物を熱分解して熱分解ガスを発生させ、該熱分解ガスが導入された溶融炉にて該熱分解ガスの燃焼熱により灰分を溶融するガス化溶融システムの運転制御方法において、
前記流動床ガス化炉の流動層温度を検出し、該流動層温度の正常範囲を超える第1の温度域にて前記流動床ガス化炉への燃焼空気供給量を制御し、該第1の温度域を超える第2の温度域にて前記流動床ガス化炉への廃棄物投入量を制御することを特徴とするガス化溶融システムの運転制御方法。 - 前記廃棄物投入量は前記第2の温度域内で段階的に制御されることを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの運転制御方法。
- 前記流動層温度が回復した場合に燃焼空気供給量と廃棄物投入量を重複して復帰することを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの運転制御方法。
- 前記廃棄物投入量は、前記燃焼空気供給量から時間ずれさせて復帰させることを特徴とする請求項3記載のガス化溶融システムの運転制御方法。
- 前記溶融炉の後流側の排ガス中酸素濃度を検出し、該検出値に基づき前記溶融炉への燃焼空気供給量を制御することを特徴とする請求項1記載のガス化溶融システムの運転制御方法。
- 廃棄物を熱分解して熱分解ガスを発生させる流動床ガス化炉と、該熱分解ガスの燃焼熱により灰分を溶融する溶融炉とからなるガス化溶融システムにおいて、
前記流動床ガス化炉の流動層温度を検出する温度センサと、
前記流動床ガス化炉への燃焼空気供給量を制御する空気量制御手段と、廃棄物投入量を制御する廃棄物投入量制御手段と、
前記流動層温度の正常範囲を超える第1の温度域と、該第1の温度域を超える第2の温度域とが予め設定され、前記第1の温度域にて前記空気量制御手段を制御し、前記第2の温度域にて前記廃棄物投入量制御手段を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とするガス化溶融システム。 - 前記制御装置は、前記流動層温度が回復した場合に燃焼空気供給量と廃棄物投入量を重複して復帰することを特徴とする請求項6記載のガス化溶融システム。
- 前記溶融炉の後流側の排ガス中酸素濃度を検出するO2濃度センサを設け、該O2濃度センサの検出値に基づき前記溶融炉への燃焼空気供給量を制御することを特徴とする請求項6記載のガス化溶融システム。
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