JP4234727B2 - 溶融炉の炉内状況監視・制御方法及び該装置 - Google Patents
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そこで、炉内温度を測定して、これに応じた運転を行う技術が提案されている。例えば特許文献3(特開平10−89653号公報)では、溶融炉の炉内温度が所定の値を超えて上昇した時に、温度の低い燃焼用空気を過剰に供給して溶融炉の炉内温度を下げる構成が開示されている。炉内温度の検出には温度センサを用いている。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、ガス化溶融システムにおける溶融炉にて、炉内状況を適確に把握することができ、さらには溶融炉を安定運転するための適切な制御を可能としたガス化溶融炉における溶融炉の炉内状況監視・制御方法及び該装置を提案することを目的とする。
耐火壁の外側に水冷壁が配設された炉本体を有し、上部が二次燃焼室に連通し、下部にスラグ出滓口を備え、廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスを炉壁に設けられた熱分解ガスバーナより導入し、該熱分解ガスの燃焼熱によりガス中の灰分を溶融する溶融炉の炉内状況監視・制御方法において、
前記水冷壁の冷却水通路が鉛直方向に複数に分割されており、一又は近接する複数の前記冷却水通路からなる冷却ブロックが上部、中間、下部に3つ存在し、
各冷却ブロックにおける冷却水流量と、冷却水の入口側と出口側の温度差とから夫々の冷却ブロックにおける吸熱量を算出し、該算出した吸熱量に基づいて、上部ブロックでは燃焼排ガス発生状況、中間ブロックでは助燃料供給状況、下部ブロックではスラグ出滓状況を夫々監視することを特徴とする。
また、耐火壁の肉厚が薄くなると冷却水の吸熱が増大するため、耐火壁の侵食が検出できるとともに、ブロック毎に吸熱量を測定しているため、侵食位置も特定できるようになり、耐火壁の補修、メンテナンスが容易になる。
中間ブロックは炉内の燃焼域に相当し、この吸熱量が異常値を示した場合、燃焼状態が良好でないと判断できる。例えば、吸熱量が異常に高い値を示した場合には助燃料の供給量過多により燃焼温度が高くなりすぎていると判断できる。
従って、本発明のように助燃料供給量を調節することにより燃焼状態を良好に保つことが可能となるとともに、助燃料供給量を適正化することが可能となり、経済的な運転が可能となる。
上部ブロックは溶融炉の排ガス出口側に相当し、この吸熱量が異常値を示した場合、例えば吸熱量が高い値を示した場合には、燃焼域が排ガス出口側に存在するため排ガス量が増大したと推定される。これは、燃焼空気量、廃棄物供給量、あるいは補助燃料が所定量以上に供給されているため、燃焼排ガス量が増大したと判断できる。排ガス量が増大すると溶融炉および二次燃焼室でのガス滞留時間が短く、充分な燃焼時間が得られず不完全燃焼となり、CO、DXN類の発生の原因となる。
従って、本発明のように、燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料のうち少なくとも一を制御し、排ガス量を所定量に戻すことにより、溶融炉を安定運転することが可能となる。
下部ブロックは溶融炉のスラグ出滓口に相当し、この吸熱量が異常値を示した場合、例えば吸熱量が低い値の場合には、スラグ出滓口が閉塞している若しくは閉塞傾向であると判断できる。従って、本発明のように、燃焼空気量、廃棄物供給量、酸素バーナ出力のうち少なくとも一を制御することによりスラグ出滓口近傍の温度を高くし、スラグ固化による閉塞を防止することが可能となる。
前記水冷壁の冷却水通路が鉛直方向に複数に分割されており、一又は近接する複数の前記冷却水通路からなる冷却ブロックが上部、中間、下部に3つ存在し、
各冷却ブロックにおける冷却水流量を計測する流量計測手段と、冷却水の入口側と出口側の温度を夫々計測する温度計測手段と、前記流量計測手段で計測された冷却水流量と前記温度計測手段で計測された冷却水の入口側と出口側の温度の差から吸熱量を算出する制御手段と、を備え、
前記吸熱量に基づいて、上部ブロックでは燃焼排ガス発生状況、中間ブロックでは助燃料供給状況、下部ブロックではスラグ出滓状況を夫々監視することを特徴とする。
さらに、前記制御手段は、前記上部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料供給量のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする。
さらにまた、前記制御手段は、前記下部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、前記スラグ出滓口を加温するバーナ出力のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする。
即ち、冷却ブロック毎に冷却水流量と温度差の積から吸熱量の推移を求めることにより、炉内の温度変化が適確に且つリアルタイムで把握できる。さらに、鉛直方向に並んだ複数の冷却ブロック毎にその温度変化を検出することができるため、溶融炉の各部位における状況を適宜監視することが可能である。
図1は本発明の実施例に係る炉内監視・制御装置を備えた溶融炉の構成図、図2はガス化溶融システムの概略を示す全体構成図である。
廃棄物投入ホッパ21から投入された廃棄物40は、必要に応じて破砕、乾燥された後に給じん機22を介して流動床式ガス化炉23へ定量供給される。流動床ガス化炉23では、温度約120〜230℃、空気比0.2〜0.7程度の燃焼空気41が炉下部から風箱24を介して炉内に吹き込まれ、流動層温度が500〜600℃程度に維持されている。
廃棄物40は流動床ガス化炉23で熱分解ガス化され、ガス、タール、チャー(炭化物)に分解される。タールは、常温では液体となる成分であるが、ガス化炉内ではガス状で存在する。
チャーは流動層内で徐々に微粉化され、ガス及びタールに同伴して旋回溶融炉1へ導入される。以下、旋回溶融炉1へ導入されるこれらの成分を総称して熱分解ガス43と呼ぶ。
前記旋回溶融炉1では、熱分解ガス43と燃焼空気44の混合ガスが燃焼することにより炉内温度が1300〜1500℃に維持され、熱分解ガス43中の灰分が溶融、スラグ化される。溶融したスラグは、旋回溶融炉1の内壁面に付着、流下し、炉底部のスラグ出滓口から排出される。旋回溶融炉1から排出されたスラグは、水砕水槽28で急冷され、スラグコンベア29により搬出されて水砕スラグとして回収される。回収された水砕スラグは、路盤材等に有効利用することが可能である。
燃焼排ガスは、ボイラ部27で熱回収されて、200〜250℃程度まで冷却される。ボイラ部27から排出された燃焼排ガスは、減温塔30へ導入され、直接水噴霧により150℃程度まで冷却される。減温塔30から排出された燃焼排ガスは、必要に応じて煙道で消石灰、活性炭が噴霧され、反応集塵装置31に導入される。反応集塵装置31では、燃焼排ガス中の煤塵、酸性ガス、DXN類等が除去される。反応集塵装置31から排出された集塵灰は薬剤処理して埋立処分され、燃焼排ガスは蒸気式加熱器32で再加熱され、触媒反応装置33でNOxが除去された後、誘引ファン34を介して煙突35より大気放出される。
同図に示されるように、旋回溶融炉1は断面円形状の炉本体2を有しており、該炉本体2の側壁には、熱分解ガス43を吹き込む一又は複数の熱分解ガスバーナ4が配設され、該熱分解ガスバーナ4には燃焼空気(一次空気)44を導入する燃焼空気供給ノズル5が付設されている。また、熱分解ガスバーナ4の近傍には、助燃バーナ12が配設されている。さらに、炉本体2の上部は二次燃焼室26に連通しており溶融炉1で発生した燃焼排ガスは二次燃焼室26に送られるようになっている。炉本体2の底部にはスラグ出滓口6が設けられている。スラグ出滓口6には、溶融スラグが固化して閉塞しないように酸素バーナ7が設けられている。酸素バーナ7は通常は使用しないが、スラグ出滓口6が閉塞あるいは閉塞傾向にある場合に着火し、閉塞の度合いによってバーナ出力を調整しながらスラグ出滓口6を加温し、溶融スラグの固化による閉塞を防止する。
炉本体2は外側を鉄皮20で被覆され、内壁は耐火材で形成される。耐火材で保護された炉壁内には複数の冷却管が埋設された水冷壁3が形成され、炉壁を冷却するようになっている。そして、この水冷構造により冷却・固化したスラグのセルフコート層を炉内壁面に形成させ、耐火材の侵食を防止するようにしている。耐火材としては、耐火材としては、耐火レンガ、不定形耐火物等が適宜用いられる。
3つの冷却ブロックのうち、上部ブロック8は炉本体2の二次燃焼室26に通じる絞り構造のデフューザ部に位置し、中間ブロック9は炉本体2の直胴部に位置し、下部ブロック10は炉底部に位置する。このとき、上部、中間、下部の冷却ブロックは夫々離間して(間に他の冷却水通路が存在する)設けてもよいし、隣接して設けてもよい。冷却水通路である水冷管は炉壁の円周上に沿って配置されることが好ましい。
夫々の冷却水通路には、冷却水流量及び温度差を検出する検出計が備えられている。入口側には冷却水11の温度を計測する温度計11Aが設けられる。上部ブロック8には、冷却水11a’の出口側温度を計測する温度計13、冷却水流量を計測する流量計14が設けられ、同様に、中間ブロック9では温度計15、流量計16、下部ブロック10では温度計17、流量計18が設けられている。
また、耐火壁の肉厚が薄くなると冷却水の吸熱が増大するため、耐火壁の侵食が検出できるとともに、ブロック毎に吸熱量を測定しているため、侵食位置も特定できるようになり、耐火壁の補修、メンテナンスが容易になる。
中間ブロック9は炉内の燃焼域に相当し、この部位の吸熱量が異常値を示した場合、助燃料45の供給状況が適切でないため燃焼状態が良好でないと判断できる。例えば、吸熱量が異常に高い値を示した場合には助燃料45の供給量過多により燃焼温度が高くなりすぎていると判断できる。
このように、中間ブロック9ではその吸熱量に基づいて助燃料45の供給状況を監視する。中間ブロック9における吸熱量の時間的変化を測定し、これに基づき助燃料供給状況の良否を判断する。また、予め正常運転時における吸熱量の適正範囲を設定しておき、吸熱量がこの適正範囲内に存在しない場合には、助燃料45の供給量が適正でないと判断するようにしてもよい。
吸熱量が異常値を示した際に、正常範囲より大きい場合には助燃料45の供給量が過多であり、一方、吸熱量が正常範囲より小さい場合には、助燃料45の供給量が不足であると判断できる。
さらに、中間ブロック9の吸熱量に応じて助燃料供給量を制御することが好ましい。吸熱量が大きい場合には助燃料供給量を低減し、小さい場合には助燃料供給量を増大させる。このように、助燃料供給量を調節することにより燃焼状態を良好に保つことが可能となるとともに、助燃料供給量を適正化することが可能となり、経済的な運転が可能となる。
このように、上部ブロック8ではその吸熱量に基づいて燃焼排ガス発生状況を監視する。これは、中間ブロック9と同様に、吸熱量の時間的変化から異常状態を検出してもよいし、予め設定した吸熱量の適正範囲から異常状態を検出してもよい。
さらに好適には、上部ブロック8の吸熱量に応じて、排ガス量が適正となるように燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料供給量のうち少なくとも何れか一を制御する。これにより、排ガス量を所定量に戻すことができ、溶融炉の安定運転が可能となる。
このように、下部ブロック10ではその吸熱量に基づいてスラグ出滓状況を監視する。これは、中間ブロック9、上部ブロック8と同様に、吸熱量の時間的変化から異常状態を検出してもよいし、予め設定した吸熱量の適正範囲から異常状態を検出してもよい。
さらに好適には、下部ブロック10の吸熱量に応じて、燃焼空気量、廃棄物供給量、酸素バーナ7出力のうち少なくとも一を制御する。これによりスラグ出滓口近傍の温度を高くし、スラグ固化による閉塞を防止することが可能となる。
2 炉本体
3 水冷壁
4 熱分解ガスバーナ
5 燃焼空気ノズル
6 スラグ出滓口
7 酸素バーナ
8 上部ブロック
9 中間ブロック
10 下部ブロック
12 助燃バーナ
11A、13、15、17 温度計
14、16、17 流量計
19 制御装置
23 ガス化炉
26 二次燃焼室
Claims (9)
- 耐火壁の外側に水冷壁が配設された炉本体を有し、上部が二次燃焼室に連通し、下部にスラグ出滓口を備え、廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスを炉壁に設けられた熱分解ガスバーナより導入し、該熱分解ガスの燃焼熱によりガス中の灰分を溶融する溶融炉の炉内状況監視・制御方法において、
前記水冷壁の冷却水通路が鉛直方向に複数に分割されており、一又は近接する複数の前記冷却水通路からなる冷却ブロックが上部、中間、下部に3つ存在し、
各冷却ブロックにおける冷却水流量と、冷却水の入口側と出口側の温度差とから夫々の冷却ブロックにおける吸熱量を算出し、該算出した吸熱量に基づいて、上部ブロックでは燃焼排ガス発生状況、中間ブロックでは助燃料供給状況、下部ブロックではスラグ出滓状況を夫々監視することを特徴とする溶融炉の炉内状況監視・制御方法。 - 前記中間ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、主として助燃料供給量を制御することを特徴とする請求項1記載の溶融炉の炉内状況監視・制御方法。
- 前記上部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料供給量のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする請求項1記載の溶融炉の炉内状況監視・制御方法。
- 前記下部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、前記スラグ出滓口を加温するバーナ出力のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする請求項1記載の溶融炉の炉内状況監視・制御方法。
- 耐火壁の外側に水冷壁が配設された炉本体を有し、上部が二次燃焼室に連通し、下部にスラグ出滓口を備え、炉壁に廃棄物を熱分解して発生させた熱分解ガスを導入する熱分解ガスバーナが設けられ、該熱分解ガスの燃焼熱によりガス中の灰分を溶融する溶融炉の炉内状況監視・制御装置において、
前記水冷壁の冷却水通路が鉛直方向に複数に分割されており、一又は近接する複数の前記冷却水通路からなる冷却ブロックが上部、中間、下部に3つ存在し、
各冷却ブロックにおける冷却水流量を計測する流量計測手段と、冷却水の入口側と出口側の温度を夫々計測する温度計測手段と、前記流量計測手段で計測された冷却水流量と前記温度計測手段で計測された冷却水の入口側と出口側の温度の差から吸熱量を算出する制御手段と、を備え、
前記吸熱量に基づいて、上部ブロックでは燃焼排ガス発生状況、中間ブロックでは助燃料供給状況、下部ブロックではスラグ出滓状況を夫々監視することを特徴とする溶融炉の炉内状況監視・制御装置。 - 前記制御手段は、前記中間ブロックの吸熱量が異常値を示した場合に、主として助燃料供給量を制御することを特徴とする請求項5記載の溶融炉の炉内状況監視・制御装置。
- 前記制御手段は、前記上部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料供給量のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする請求項5記載の溶融炉の炉内状況監視・制御装置。
- 前記制御手段は、前記上部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、助燃料供給量のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする請求項5記載の溶融炉の炉内状況監視・制御装置。
- 前記制御手段は、前記下部ブロックにて前記吸熱量が異常値を示した場合に、燃焼空気量、廃棄物供給量、前記スラグ出滓口を加温するバーナ出力のうち少なくとも何れか一を制御することを特徴とする請求項5記載の溶融炉の炉内状況監視・制御装置。
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