JP3840322B2 - ガス化灰溶融方法と装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はごみガス化灰溶融システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2に従来技術によるごみのガス化灰溶融システムを示す。
ガス化炉1に供給されたごみは、同時に吹き込まれた空気と反応して還元雰囲気でガス化され可燃性のガスと固体のチャーが生成する。ごみ中の金属類、瓦礫などの不燃物はチャーに含まれるか或いは比重などの物性の差を利用してチャーからは分離される。従って、図2に示した様に、ガス化炉1からは可燃性のガス、固体のチャー、不燃物の3種類が排出される。この時、不燃物からは金属類を回収した後、埋め立て処理などに利用される。可燃性のガスとチャーはガス火炉1の後流の灰溶融炉2に送られて、熱源として利用される。
【0003】
すなわち、図2に示した従来技術では、可燃ガスとチャーは共に灰溶融炉2に送られて燃焼し、チャー中の灰は灰溶融炉2で溶融してスラグとして排出される。灰溶融炉2からの燃焼ガスは後流の熱回収部3で熱回収された後、図示していない排ガス処理装置により清浄化され煙突を通じて大気に放出される。
以上、説明した従来技術によるごみのガス化灰溶融システムには下記の問題点がある。
【0004】
ガス化炉で生成する可燃性ガスとチャーの発熱量は原料であるごみの性状、特にごみ中の水分により強く影響を受ける。図4は原料ごみ中の水分とガス化した時に生成する可燃性ガスおよびチャーの発熱量の関係を示す。図4に示すように空気で原料ごみをガス化した場合には、空気中の窒素による希釈のため生成した可燃性ガスの発熱量は1000kcal/kgにも達せず、通常のガスバーナでは安定した燃焼は非常に困難である。一方、生成したチャーの発熱量は空気中窒素およびごみ中の水分による希釈は受けないため、発熱量は3000kcal/kg以上と高発熱量である。
【0005】
図2の従来技術のシステムでは、ガス化炉1で生成した可燃性ガスおよびチャーを共に灰溶融炉2に送り、燃焼させることにより高温を得ようとしている。図5はこの時の灰溶融炉2の空気比と炉内温度の関係を示している。チャー中に灰分として含まれるごみから得られた灰を安定して溶融するためには、少なくとも1400℃以上の炉内温度を保つ必要がある。図5で分かるように、水分50%のごみをガス化した時に生成する可燃性ガスとチャーを灰溶融炉2で燃焼した場合、灰溶融炉2のガス温度は1400℃に達しない。すなわち、図5は、運転中にごみの水分が50%になった場合には、灰溶融炉2内の温度が低下し、灰の固化、閉塞による運転中断といったトラブルが生じることを示している。
【0006】
地方自治体で収集したごみの性状変化は非常に大きく、且つ、水分などの組成を事前に予測することはほとんど不可能といってよい。すなわち、ごみ性状の変化は全くランダムな現象である。
【0007】
従って、図2の従来システムでは、(a)ごみの性状変化に起因する可燃ガスとチャーの性状変化により、頻繁に灰の溶融不良を生じて運転を中断していた。この対策として、灰溶融炉2に重油などの高価な助燃燃料を供給して灰溶融炉2の温度維持を図っている従来技術もあるが、この場合には、運転コストが高い、という問題が生ずる。
【0008】
図3は以上のような灰溶融炉2内の温度低下という問題を回避するために考案された他の従来技術を示す。このシステムは、ガス化炉1で生成するガスをチャー分離器4を通し、可燃ガスとチャーを分離する。発熱量が高いチャーは灰溶融炉2に送り、灰溶融炉2を高温に維持し、灰の安定溶融を図っている。チャー分離器4でチャーを分離した後の低発熱量の可燃ガスは灰溶融炉2とは別に設けたボイラ5で燃焼させる。
【0009】
この方式によりチャーの生成量並びにその性状が安定している限りにおいては、灰溶融炉2内の温度は安定した高温を維持でき、灰を溶融できる。しかし、先に述べたようにごみの性状変化は大きく、しかも予測不可能である。ガス化炉1から生成した可燃性ガスは非常に発熱量が低い上に、ガス化炉1に供給するごみの性状変動により、ガス発生量と発熱量が大きく変動する。そのため、図4に示した低発熱量の可燃性ガスをボイラ5において、安定して単独燃焼することは実際的にはほとんど不可能なため、図3に示したボイラ5では、やはり重油等の助燃が必要である。さらに、比較的高カロリーであるチャーにしてもごみの性状によっては、ごみ1トン当たりのチャー生成量には大きな差があるため、ガス化1からのチャーの量、性状も変化し、その結果、灰溶融炉6の温度もまた変動する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術では、以下のような問題点がある。
(a)灰溶融炉内の温度維持が難しく、灰の固化などのトラブルによる運転中断が避けられない。
(b)安定した運転を行うためには、高価な他燃料(重油など)の助燃が必要で、運転コストが高い。
(c)高カロリー熱源であるチャーの生成量、性状の変動が直接、灰溶融炉の温度変動をもたらすため灰溶融状態が変化し、安定な溶融ができない。
【0011】
本発明の課題は低質ごみのガス化灰溶融システムにおいて灰溶融炉の温度維持を図り、温度維持のための助燃を必要としないようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためにガス化炉で生成したチャーと可燃ガスを分離する手段を設け、チャーを灰溶融炉へ供給し、可燃物の一種であるごみ質などの影響を受け難く、且つ高カロリーのチャーで灰溶融炉を高温に維持し、可燃性ガス灰溶融炉の溶融スラグ取り出し部よりも下流に吹き込んで燃焼させるものである。
【0013】
すなわち、本発明は次の構成からなる。ごみをガス化するためのガス化炉の後流に灰溶融部を接続したごみガス化灰溶融方法において、ガス化炉で生成したチャーと可燃ガスと不燃物の混合物から不燃物を分離し、更に前記チャーと可燃ガスを分離して分離したチャーを灰溶融部に導き、チャーの燃焼熱により灰溶融部の温度を灰溶融温度以上に維持すると共に、前記チャーと分離した直後の可燃ガスを灰溶融部の溶融スラグ取り出し部よりも下流に吹き込んで燃焼させるごみガス化灰溶融方法である。
【0014】
このとき、ガス化炉で生成した可燃ガスを灰溶融炉から排出する高温のスラグと接触させるように吹き込むことにより可燃ガスの安定な着火、燃焼を行わせることができる。また、ガス化炉で生成した可燃ガスと分離したチャーを一旦、ホッパなどの容器に貯留させた後に、灰溶融炉の燃焼状態に応じて、灰溶融炉へのチャーの供給量を制御することにより、灰溶融炉の燃焼状態、特に炉内温度の変動を抑えて安定溶融を図ることができる。
【0015】
また、本発明は次の構成からなる。ごみをガス化するためのガス化炉と、ガス化炉で生成したチャーと可燃ガスと不燃物の混合物から不燃物を分離する第1分離手段と、更に前記チャーと可燃ガスを分離する第2分離手段と、前記第2分離手段で分離されたチャーを導入して燃焼させる灰溶融炉と、前記第2分離手段で分離された直後の可燃ガスを灰溶融炉の溶融スラグ取り出し部よりも下流に設けられた吹込口から導入して燃焼させる燃焼炉とを備えたごみガス化灰溶融装置である。
【0016】
このとき、燃焼炉の吹込口は燃焼炉内の水平断面に形成される仮想円の接線方向に可燃ガスが吹き込まれるように開口させることで、可燃ガスを旋回流として、灰溶融炉からの溶融スラグと高温ガスにより可燃ガスが燃焼し易くなる。
【0017】
【作用】
本発明によれば、都市ごみ及び/又は各種廃棄物に含まれる可燃物のガス化で生成するチャーは元々、高い発熱量を有している。また、仮にごみ質が低下しチャーの発熱量が低下したとしても、灰溶融に充分な熱量を有している。従って、チャーにより灰溶融炉の温度を維持することにより、助燃なしで灰溶融炉を安定に高温に維持することが可能となる。例えば図6に示すように、ガス化炉で生成した600℃の可燃ガスを燃焼しても灰溶融温度1400℃以上に昇温することはできないが、図7に示したように、チャーを燃焼すれば容易に灰溶融温度以上に炉の温度を維持できる。
【0018】
発電量の変動が激しく低カロリーの可燃ガスは、灰溶融炉からの高温排ガス中に吹き込んで完全燃焼させることができる。灰溶融炉からの燃焼ガスの温度は1000℃以上の高温のため、これと接触混合させることにより、低カロリーの可燃ガスでも安定した火炎を維持し、完全に燃焼できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1(a)にごみガス化灰溶融システムの系統を示し、図1(a)のごみガス化灰溶融システムの灰溶融部および燃焼部の構造の一例を図1(b)に示す。
【0020】
ガス化炉1に供給されたごみは、ガス化剤として吹き込まれた空気と反応して可燃性のガスおよび固体のチャーを生成する。ごみ中の不燃異物は主として比重の差を利用してガス火炉1内で分離し、炉外に排出される。チャーは軽いため生成した可燃ガスに随伴してチャー分離器4に入る。チャー分離器4で分離したチャーは一旦、ホッパ10に貯蔵された後、フィーダ11を経由して溶融部6に送られて溶融部6に吹き込まれた空気と反応(燃焼)し、高温の燃焼ガスを発生し、チャー中に含まれた灰を溶融する。溶融部6の温度信号は炉温信号線14を通じてコントローラ13に送られ、コントローラ13は溶融部6の温度が設定値よりも低下した場合にはモータ12によりフィーダ11の回転数を変えて、溶融部6へのチャーの供給量を増加し、溶融部6の温度が高すぎた場合にはチャー供給量を減少させる。このような方法により、溶融部6の炉内温度を灰の溶融、スラグ化に最適な温度範囲に保つことができる。
【0021】
溶融スラグは溶融部6下部より排出される。溶融部6で灰の溶融に使用した高温の燃焼ガスは後段の燃焼部7に入る。燃焼部7にはチャー分離器4で分離した可燃ガスと空気を吹き込み、溶融部6から流下するスラグ及び高温ガスと接触混合させて完全燃焼させる。図1(b)の灰溶融部6および燃焼部7の構造では、可燃ガスと空気は流下する高温の溶融スラグと接触しつつ炉内の水平断面に形成される仮想円の接線方向に吹き込まれるので、可燃ガスと空気の混合流体は旋回流を形成しつつ安定燃焼する。
【0022】
スラグは燃焼部7の下部に設けられた水槽15の水中に落下し、水砕スラグとして回収される。
燃焼部7から排出された高温の燃焼ガスは熱回収部8に送られ、例えば蒸気などの形で熱回収が行われる。
【0023】
以上のように、ごみガス化炉1で生成した発熱量の変動が激しく、低カロリーの可燃ガスとチャーを分離し、高発熱量のチャーにより灰溶融部6を高温に維持し、低発熱量の可燃ガスは灰溶融部6出口において1300℃〜1600℃のスラグと灰溶融部6から排出する1000℃以上の高温燃焼ガスとに接触するように燃焼部7へ吹き込んで燃焼させることにより、低カロリー可燃ガスの安定な燃焼並びにチャーによる安定な灰溶融を実現できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によればごみのガス化灰溶融システムに、助燃なしに安定した連続運転ができるようになり、システムの信頼性向上、運転コストの低減が可能となると共に、チャーと分離した直後の可燃性ガスを燃焼部へ供給し、燃焼させることにより、従来技術より熱回収の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は本発明の実施の形態のごみガス化灰溶融システムの系統を示す図であり、図1(b)は図1(a)のごみガス化灰溶融システムの灰溶融部および燃焼部の構造の一例を示した図である。
【図2】 従来技術のガス化灰溶融システムの系統図である。
【図3】 従来技術のガス化灰溶融システムの系統図である。
【図4】 ごみをガス化したときに生成したチャーと可燃ガスの発熱量を示す図である。
【図5】 ごみをガス化したときに生成したチャーと可燃ガスを分離しないで燃焼させた時の燃焼炉内の温度を示す図である。
【図6】 ごみをガス化したときに生成した可燃ガスのみを単独で燃焼させたときの燃焼炉内温度示す図である。
【図7】 ごみをガス化したときに生成したチャーのみを単独で燃焼させたときの燃焼炉内の温度を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス火炉 2 灰溶融炉
3 熱回収部 4 チャー分離器
5 ボイラ 6 灰溶融部
7 燃焼部 8 熱回収部
10 ホッパ 11 フィーダ
12 モータ 13 コントローラ
14 炉温信号線 15 水槽
Claims (6)
- ごみをガス化するためのガス化炉の後流に灰溶融部を接続したごみガス化灰溶融方法において、
ガス化炉で生成したチャーと可燃ガスと不燃物の混合物から不燃物を分離し、更に前記チャーと可燃ガスを分離して分離したチャーを灰溶融部に導き、チャーの燃焼熱により灰溶融部の温度を灰溶融温度以上に維持すると共に、前記チャーと分離した直後の可燃ガスを灰溶融部の溶融スラグ取り出し部よりも下流に吹き込んで燃焼させることを特徴とするごみガス化灰溶融方法。 - ガス化炉で生成した可燃ガスを灰溶融炉から得られる高温のスラグと接触させるように吹き込むことにより可燃ガスの安定な着火、燃焼を行わせることを特徴とする請求項1記載のごみガス化灰溶融方法。
- ガス化炉で生成した可燃ガスと分離したチャーを一旦、ホッパなどの容器に貯留させた後に、灰溶融炉の燃焼状態に応じて、灰溶融炉へのチャーの供給量を制御することを特徴とする請求項1記載のごみガス化灰溶融方法。
- ごみをガス化するためのガス化炉と、ガス化炉で生成したチャーと可燃ガスと不燃物の混合物から不燃物を分離する第1分離手段と、更に前記チャーと可燃ガスを分離する第2分離手段と、該第2分離手段で分離されたチャーを導入して燃焼させる灰溶融炉と、前記第2分離手段で分離された直後の可燃ガスを灰溶融炉の溶融スラグ取り出し部よりも下流に設けられた吹込口から導入して燃焼させる燃焼炉とを備えたことを特徴とするごみガス化灰溶融装置。
- 燃焼炉の吹込口は燃焼炉内の水平断面に形成される仮想円の接線方向に可燃ガスが吹き込まれるように開口していることを特徴とする請求項4記載のごみガス化灰溶融装置。
- ガス化炉で生成した可燃ガスや不燃物と分離したチャーを一旦、貯留させるためのホッパと、灰溶融炉の燃焼状態に応じて、灰溶融炉へのチャーの供給量を制御するチャー供給量制御手段とを備えたことを特徴とする請求項4記載のごみガス化灰溶融装置。
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