JP2005201621A - ごみガス化溶融方法と装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術では自己熱溶融できない低カロリーごみを、灯油等の燃料を用いることなく自己熱溶融を可能とし、かつ、熱量当たりの排ガス量を低減する。
【解決手段】 ごみを流動層式ガス化炉6で酸素をガス化剤としてガス化し、得られた熱分解ガスと固形分を溶融炉9で燃焼溶融させ、溶融炉の排ガスを煙道を経て外部に排出するごみガス化溶融方法であって、溶融炉9下流側の煙道から排ガスの一部を抜き出し、抜き出した排ガスを循環排ガスとして流動層式ガス化炉6と溶融炉9に供給するとともに、溶融炉9に燃焼のための酸素を供給し、酸素と循環排ガスは予め混合した後、ガス化炉及び溶融炉に供給する。ガス化炉へ供給する酸素量は、流動層温度を検出し、検出された流動層温度に基づいて制御し、溶融炉の温度は、溶融炉の炉内あるいは炉出口の温度を検出し、検出した温度を入力として溶融炉へ供給する循環排ガス量を制御することにより制御される。
【選択図】 図1
【解決手段】 ごみを流動層式ガス化炉6で酸素をガス化剤としてガス化し、得られた熱分解ガスと固形分を溶融炉9で燃焼溶融させ、溶融炉の排ガスを煙道を経て外部に排出するごみガス化溶融方法であって、溶融炉9下流側の煙道から排ガスの一部を抜き出し、抜き出した排ガスを循環排ガスとして流動層式ガス化炉6と溶融炉9に供給するとともに、溶融炉9に燃焼のための酸素を供給し、酸素と循環排ガスは予め混合した後、ガス化炉及び溶融炉に供給する。ガス化炉へ供給する酸素量は、流動層温度を検出し、検出された流動層温度に基づいて制御し、溶融炉の温度は、溶融炉の炉内あるいは炉出口の温度を検出し、検出した温度を入力として溶融炉へ供給する循環排ガス量を制御することにより制御される。
【選択図】 図1
Description
本発明はごみガス化溶融方法及び装置に係り、特に、適用処理物範囲の拡大、設備コスト、ユーティリティの節減、熱効率の向上、排煙処理コストの低減に配慮したごみガス化溶融方法及び装置に関する。
従来技術によるごみガス化溶融装置の構成を説明する。流動層式ガス化炉の流動層内に酸化剤として空気が吹き込まれ、この空気は、供給シュートから流動層式ガス化炉内に入ったごみと反応し熱分解ガスが発生する。この熱分解反応熱(部分燃焼熱)により流動層の温度は約600℃に維持されている。流動層式ガス化炉(以下、ガス化炉という)は空気比が1以下、通常のごみであれば空気比0.3〜0.6といった空気比で運転されている。
ガス化炉内での灰の溶融粘着トラブルを避けるため、流動層も含めたガス化炉の温度が約900℃以下になるように空気比が制御されている。すなわち流動層並びに炉内の温度が高くなり過ぎるようであれば、ガス化炉の空気比を下げ、逆に温度が下がり過ぎるようであれば空気比を増す操作を行って炉内温度を制御している。あるいは、空気量を一定としておき、ごみの供給量を変えて制御するケースも採用されることがある。ここでは、流動層の温度に基づいて流動層に供給される空気量を制御する場合について説明する。
ガス化炉の流動層は、通常、粒径が1ミリ程度の砂を層内媒体として使用している場合が多い。すなわち、流動層内には細かい砂が充填されている。一方、ごみ中には粗大な不燃異物が混入しているのが通例であり、これらの不燃異物は流動層の底部に沈積し、ガス化炉底部の配管を通じて炉外に排出される。
ガス化炉でごみから発生した熱分解ガス及びチャーは、煙道を通じて溶融炉に入り、溶融炉に吹き込まれた空気と反応し完全燃焼する。チャーに含まれる灰の大部分は、溶融炉の高熱により溶融し、スラグとなって溶融炉底部からスラグ排出装置を経由し排出される。
溶融炉は1、300℃以上の高温燃焼炉であるため、空気比が高過ぎると大量のサーマルNOxが生成する。かといって、逆に空気比を下げ過ぎると不完全燃焼になってしまう。そのため、やや過剰の空気比として1.0〜1.05近辺の空気比を目標として制御されている。ここでは、溶融炉出口のO2濃度を測定し、測定されたO2濃度に基づいて溶融炉に供給される空気量を調整する。
但し、ごみ質、量の変動が少ない場合には、制御を省略し溶融炉への空気量を半固定とし手動弁で調節し、コスト低減を優先したプラントもある。
若干の未燃分とNOxを含んだ溶融炉の排ガスは、ボイラに入り、未燃分は配管からボイラに吹き込まれた空気により完全に燃焼する。このボイラでの空気比は完全燃焼をさせるため、通常1.2〜1.3程度になるように制御されている。ボイラの排ガスは、エアヒータ、ガス急冷塔、第1の集じん器、第2の集じん機、誘引送風機を経て煙突から大気に放出される。ボイラでの空気比は、通常、第2の集じん機出口のO2濃度を測定し、測定されたO2濃度に基づいてボイラに供給される空気量を変えることにより制御されている。
水分が多く発熱量が低いごみでは、火炎温度が低くごみ灰の溶融温度(約1350℃程度)に達しないため、ごみ単独の燃焼熱では灰を溶融することができない。すなわち、自己熱溶融ができない。
例えば、図2は水分50%、60%、70%のごみについて、それぞれ火炎温度を計算した結果である。水分50%のごみでは広範囲の空気比で一般的な灰の溶融温度1350℃を越えているが、水分60%のごみではごく狭い範囲の空気比で灰の溶融温度1350℃を越えているのみである。
水分70%のごみに至っては、どのような空気比であっても灰の溶融温度には達していない。すなわち、高水分の低カロリーごみの場合には、高価な灯油などの高カロリー燃料の助燃が無ければ灰を溶融できない。
前記第1の集じん器の上流側煙道にはダイオキシンを吸着するために活性炭が吹き込まれる。この活性炭は第1の集じん器の捕集灰と共に、配管を通じて溶融炉に戻され、活性炭及び活性炭に吸着されたダイオキシンは溶融炉の高熱で燃焼あるいは熱分解される。
第2の集じん機の上流側煙道には消石灰が吹き込まれ、排ガス中の塩素を吸着除去する。第2の集じん機の捕集灰は、第2の集じん機の底部から取り出されて灰安定化装置に送られ、薬剤などで安定化処理をされた後に埋立処分されている。
この従来技術における大きな課題は以下の3つである。
1)低カロリーごみでは自己熱溶融が出来ないため、高価な外部燃料の助燃が必要である。
2)ごみ中に水分が40〜60%も含まれるため天然ガス、油あるいは石炭焚ボイラと比較し、単位熱量当たりの排ガス量が多く排ガスの顕熱損失が多い。すなわち、熱効率が低い。
3)排ガス量が多いため大容量の排ガス処理設備が必要である。
1)低カロリーごみでは自己熱溶融が出来ないため、高価な外部燃料の助燃が必要である。
2)ごみ中に水分が40〜60%も含まれるため天然ガス、油あるいは石炭焚ボイラと比較し、単位熱量当たりの排ガス量が多く排ガスの顕熱損失が多い。すなわち、熱効率が低い。
3)排ガス量が多いため大容量の排ガス処理設備が必要である。
特許文献1には、流動床式ガス化炉の流動化ガスとして当該ガス化炉から排出される熱分解ガスの一部を循環供給し、この熱分解ガスとともにまたは前記熱分解ガスと別に酸素をガス化炉に供給することが記載されている。
特許文献2には、流動床熱分解炉でごみを流動媒体とともに流動化させながら熱分解ガス化し、得られる熱分解ガスをボイラで燃焼させて蒸気を加熱する場合において、ボイラの途中から燃焼ガスを抜き出し、これを流動化空気と混合して熱分解炉に導入することが記載されている。
特許文献3には、ごみを低空気比で部分酸化燃焼するガス化炉と、ガス化炉で発生する未燃成分及び固形分(チャー)を燃焼溶融する溶融炉と、溶融炉からの未燃成分を完全燃焼させる二次燃焼室と、二次燃焼室からの排ガスを処理する排ガス処理設備と、を備えたごみガス化溶融設備において、溶融炉内を還元雰囲気(理論空気比未満)とし、二次燃焼室に、完全燃焼用ガスとして排ガス処理された燃焼排ガスを多段に供給する例が示されている。
特許文献4には、廃棄物を流動層ガス化炉で低温でガス化し、得られるガスとチャーを溶融炉に導入して高温でガス化する方法において、流動層ガス化炉でのガス化のための送入ガスを、空気、酸素富活空気、酸素とスチームの中から選択し、溶融炉でのガス化のための送入ガスを酸素富活空気または酸素の中から選択することが記載されている。
近年、ごみ自身の燃焼熱を利用して灰を溶融、無害化するガス化溶融炉システムが実用化されつつある(例えば、非特許文献1参照)。
この他に、地球温暖化ガスの抑制を目的とし、排ガス循環酸素燃焼の技術が研究されている。例えば、流動層燃焼に関しては非特許文献2、非特許文献3、微粉炭燃焼に応用した例としては非特許文献4、非特許文献5が公開されている。
これらの従来技術は、いずれも、排煙中のCO2濃度を極力高くすることにより、排煙中のCO2の吸収、固定化を容易にする目的で研究されている。
上記従来技術においては、次のような課題がある。
(1)低カロリーごみでは自己熱溶融が出来ず灯油などの外部燃料を必要とする。
(2)ガス焚、油焚、石炭焚ボイラと比較し、熱量当たりの排ガス量が多く排ガスの顕熱損失が多いため、熱効率が低い。
(3)熱量当たりの排ガス量が多く、排ガス処理設備が大きい。
(1)低カロリーごみでは自己熱溶融が出来ず灯油などの外部燃料を必要とする。
(2)ガス焚、油焚、石炭焚ボイラと比較し、熱量当たりの排ガス量が多く排ガスの顕熱損失が多いため、熱効率が低い。
(3)熱量当たりの排ガス量が多く、排ガス処理設備が大きい。
特許文献1〜4記載の技術は、上記課題を解決していない。また、非特許文献1〜5記載の技術も、上記課題を解決していない。
本発明の課題は、従来技術では自己熱溶融ができない低カロリーごみを、灯油などの外部燃料を用いることなく自己熱溶融を可能とし、かつ、熱量当たりの排ガス量を低減すると同時に高い熱効率を得ることにある。
本発明は、上記の課題を、ごみを流動層式ガス化炉で酸素をガス化剤としてガス化し、得られた熱分解ガスと固形分を溶融炉で燃焼溶融させ、溶融炉の排ガスを煙道を経て外部に排出するごみガス化溶融方法であって、溶融炉下流側の前記煙道から排ガスの一部を抜き出し、抜き出した排ガスを循環排ガスとして前記流動層式ガス化炉と溶融炉に供給するとともに、前記溶融炉に燃焼のための酸素を供給する手順を含んでなるごみガス化溶融方法により達成するものである。
(1)空気中に含まれる窒素は不活性であり、ガス化、燃焼に於いて、単なる希釈剤としての役割しか果たしていないため、炉内温度を下げる原因物質となっている。酸素をガス化剤として使用することにより、水分量が70パーセントを超えるような高水分のごみや低カロリー廃棄物の高温燃焼が容易になる。
(2)ガス化剤に窒素が含まれない分、排ガス量が少なく、集じん機、脱硝設備、煙突などの排ガス処理設備をコンパクト化、低コスト化できると同時に排ガス顕熱損失を少なくできるため、プラントとして高い熱効率を実現できる。
(3)酸素を使用することにより、ガス化炉、溶融炉の温度が過度に上昇するという問題に対しては、CO2、H2Oが主体である溶融炉排ガスを再循環することにより温度を制御できる。
(1)空気中に含まれる窒素は不活性であり、ガス化、燃焼に於いて、単なる希釈剤としての役割しか果たしていないため、炉内温度を下げる原因物質となっている。酸素をガス化剤として使用することにより、水分量が70パーセントを超えるような高水分のごみや低カロリー廃棄物の高温燃焼が容易になる。
(2)ガス化剤に窒素が含まれない分、排ガス量が少なく、集じん機、脱硝設備、煙突などの排ガス処理設備をコンパクト化、低コスト化できると同時に排ガス顕熱損失を少なくできるため、プラントとして高い熱効率を実現できる。
(3)酸素を使用することにより、ガス化炉、溶融炉の温度が過度に上昇するという問題に対しては、CO2、H2Oが主体である溶融炉排ガスを再循環することにより温度を制御できる。
上記ごみガス化溶融方法において、酸素と循環排ガスは、予め混合された後、流動層式ガス化炉及び溶融炉に供給されることが望ましい。
また、流動層式ガス化炉へ供給される循環排ガス量は、循環排ガスだけで流動層部のガス流速が層内媒体の流動開始速度以上、かつ層内媒体の飛散速度未満となるように設定され、流動層式ガス化炉へ供給される酸素量は、流動層温度を検出し、検出された流動層温度があらかじめ設定された温度よりも高いときは減らし、検出された流動層温度があらかじめ設定された温度よりも低いときは増加させるように制御されることが望ましい。
さらに、溶融炉の温度制御については、溶融炉の炉内あるいは炉出口の温度を検出し、検出した温度を入力として溶融炉へ供給する循環排ガス量を制御することにより溶融炉の温度を制御することが望ましい。
また、流動層式ガス化炉へのごみ供給の有無を連続的に検出し、流動層式ガス化炉へ供給される酸素量を、ごみ供給の有無の検出結果と、前記検出された流動層温度に基づいて制御するようにするのが望ましい。この場合、流動層式ガス化炉へのごみ供給が予め定めた時間を越えて中断しており、流動層温度が予め定めた限界温度以下であるとき、流動層式ガス化炉への酸素供給を停止するようにするのがよい。
上記の課題はまた、ごみを熱分解してガス化する流動層式ガス化炉と、この流動層式ガス化炉で得られた熱分解ガスと固形分を燃焼溶融する溶融炉と、この溶融炉から排出される排ガスを導く煙道と、前記煙道に分岐して設けられた排ガス抜き出し配管と、この排ガス抜き出し配管に吸い込み側を接続して設けられ、煙道の排ガスの一部を抜き出して加圧し、循環排ガスとして送出する循環送風機と、前記流動層式ガス化炉に接続され、開度制御可能なガス化炉酸素制御弁を介して流動層式ガス化炉に酸素を供給するガス化炉酸素供給配管と、前記溶融炉に接続され、開度制御可能な溶融炉酸素制御弁を介して前記溶融炉に酸素を供給する溶融炉酸素供給配管と、前記循環送風機で加圧された循環排ガスの一部を開度制御可能なガス化炉循環排ガス制御弁を介して前記ガス化炉に供給するガス化炉循環排ガス供給配管と、前記循環送風機で加圧された循環排ガスの他の一部を開度制御可能な溶融炉循環排ガス制御弁を介して前記溶融炉に供給する溶融炉循環排ガス供給配管と、前記流動層式ガス化炉の流動層温度を検出、出力する流動層温度計と、この流動層温度計の出力を入力として前記ガス化炉酸素制御弁の開度を制御するガス化炉酸素制御手段と、前記溶融炉の温度を検出、出力する溶融炉温度計と、この溶融炉温度計の出力を入力として前記溶融炉循環排ガス制御弁の開度を制御する溶融炉循環排ガス制御手段と、前記溶融炉出側の煙道内の排ガスの酸素濃度を検出、出力する酸素濃度計と、この酸素濃度計の出力を入力として前記溶融炉酸素制御弁の開度を制御する溶融炉酸素制御手段と、を有してなり、前記ガス化炉酸素供給配管とガス化炉循環排ガス供給配管は、それぞれガス化炉酸素制御弁の下流側とガス化炉循環排ガス供給配管に介装された弁の下流側で互いに合流して同一の配管で流動層式ガス化炉に接続され、酸素と循環排ガスは混合された状態で流動層式ガス化炉に流入するよう構成されているごみガス化溶融装置によっても達成される。
前記ガス化炉酸素制御手段は、流動層温度が所定の温度範囲を超えて高い場合は、ガス化炉に供給する酸素量を減じ、流動層温度が所定の温度範囲よりも低い場合は、ガス化炉に供給する酸素量を増すように、ガス化炉酸素制御弁の開度を制御し、溶融炉循環排ガス制御手段は、溶融炉の温度があらかじめ定めた温度範囲を超えて高い場合は、溶融炉に供給する循環排ガス量を増し、溶融炉の温度があらかじめ定めた温度範囲よりも低い場合は、溶融炉に供給する循環排ガス量を減ずるように、溶融炉循環排ガス制御弁の開度を制御し、溶融炉酸素制御手段は、溶融炉出側煙道内の排ガスの酸素濃度が、あらかじめ定めた濃度範囲を超えて高い場合は、溶融炉に供給する酸素量を減じ、あらかじめ定めた濃度範囲よりも低い場合は、溶融炉に供給する酸素量を増すように、溶融炉酸素制御弁の開度を制御するように、それぞれ構成するのが望ましい。
また、前記溶融炉酸素供給配管と溶融炉循環排ガス供給配管は、それぞれ介装された溶融炉酸素制御弁の下流側と溶融炉循環排ガス制御弁の下流側で互いに合流して同一の配管で溶融炉に接続され、酸素と循環排ガスは混合された状態で溶融炉に流入するよう構成するのが望ましい。
さらに、流動層式ガス化炉に供給されるごみの通過の有無を連続的に検出、出力する給じん検出器を備え、前記ガス化炉酸素制御手段を、前記流動層温度計の出力に加えて、前記給じん検出器の出力を入力として前記ガス化炉酸素制御弁の開度を制御するよう構成するのが望ましい。この場合、前記給じん検出器を、流動層式ガス化炉へのごみ供給が予め定めた時間を越えて中断しているときごみ切れ信号を出力するよう構成し、前記流動層温度計を、流動層温度が予め定めた限界温度以下であるとき流動層温度異常低下信号を出力するよう構成し、前記ガス化炉酸素制御手段を、ごみ切れ信号と流動層温度異常低下信号の双方が入力されたとき、流動層式ガス化炉への酸素供給を停止するよう構成するのがよい。
本発明による効果は下記の通りである。
1)ガス化溶融システムの適用処理物範囲の拡大。従来、自己熱溶融が困難であった高水分下水汚泥、高灰分の埋立ごみなどの低カロリー廃棄物を自己熱溶融でき、処理コストの低減が可能になる。
2)助燃が不要な分、処理時のCO2発生量の削減が可能になる。
3)排ガス量が少なく、排煙処理設備のコンパクト化、コスト低減が可能になる。ガス急冷塔、バグフィルタ、脱硝設備、煙突などの設備容量を半減できる。
4)排ガスの顕熱損失を少なくできるため、プラントの熱効率向上に役立つ。
1)ガス化溶融システムの適用処理物範囲の拡大。従来、自己熱溶融が困難であった高水分下水汚泥、高灰分の埋立ごみなどの低カロリー廃棄物を自己熱溶融でき、処理コストの低減が可能になる。
2)助燃が不要な分、処理時のCO2発生量の削減が可能になる。
3)排ガス量が少なく、排煙処理設備のコンパクト化、コスト低減が可能になる。ガス急冷塔、バグフィルタ、脱硝設備、煙突などの設備容量を半減できる。
4)排ガスの顕熱損失を少なくできるため、プラントの熱効率向上に役立つ。
(実施例1)
本発明の実施例1を図1に示す。図示のごみガス化溶融システムは、供給シュート5を備えた流動層式ガス化炉(以下、ガス化炉という)6と、ガス化炉6に煙道12aで接続された溶融炉9と、溶融炉9に煙道12bで接続されたボイラ3と、ボイラ3に煙道12cで接続され酸素流路を内装したエアヒータ14と、エアヒータ14に煙道12dで接続されたガス急冷塔13と、ガス急冷塔13に煙道12eで接続された集じん器15と、集じん器15に煙道12fで接続された集じん機10と、集じん機10にダンパー18を介装した煙道12gで接続された誘引送風機16と、誘引送風機16の出側に煙道12hで接続された煙突17と、溶融炉9底部に接続されたスラグ排出装置11と、集じん機10底部に接続された灰安定化装置25と、ボイラ3、ガス急冷塔13及び集じん器15の各底部を溶融炉9に接続するガス捕集灰再循環系と、酸素を、ガス化炉6、溶融炉9及びボイラ3に供給する酸素供給系と、ボイラ3の排ガスをガス化炉6、溶融炉9及びボイラ3に再循環させる排ガス再循環系と、を含んで構成されている。
本発明の実施例1を図1に示す。図示のごみガス化溶融システムは、供給シュート5を備えた流動層式ガス化炉(以下、ガス化炉という)6と、ガス化炉6に煙道12aで接続された溶融炉9と、溶融炉9に煙道12bで接続されたボイラ3と、ボイラ3に煙道12cで接続され酸素流路を内装したエアヒータ14と、エアヒータ14に煙道12dで接続されたガス急冷塔13と、ガス急冷塔13に煙道12eで接続された集じん器15と、集じん器15に煙道12fで接続された集じん機10と、集じん機10にダンパー18を介装した煙道12gで接続された誘引送風機16と、誘引送風機16の出側に煙道12hで接続された煙突17と、溶融炉9底部に接続されたスラグ排出装置11と、集じん機10底部に接続された灰安定化装置25と、ボイラ3、ガス急冷塔13及び集じん器15の各底部を溶融炉9に接続するガス捕集灰再循環系と、酸素を、ガス化炉6、溶融炉9及びボイラ3に供給する酸素供給系と、ボイラ3の排ガスをガス化炉6、溶融炉9及びボイラ3に再循環させる排ガス再循環系と、を含んで構成されている。
煙道12eには活性炭を導入する配管40が、煙道12fには消石灰を導入する配管41が、それぞれ接続されている。
ガス捕集灰再循環系は、集じん器15の底部を溶融炉9に接続する配管23と、ガス急冷塔13の底部を配管23に接続する配管24aと、ボイラ3の底部を配管23に接続する配管24bとを含んで構成されている。
酸素供給系は、酸素発生装置1と、吸い込み側を配管49で酸素発生装置1に接続された送風機19と、送風機19出口と前記エアヒータ14に内装された酸素流路の入り側を接続する配管50と、エアヒータ14に内装された酸素流路の出側を開度制御可能なガス化炉酸素制御弁(以下、制御弁33という)の入り側に接続する配管21aと、制御弁33の出側とガス化炉6を接続する配管21bと、配管21aに分岐して設けられた配管4及び配管20と、配管4に入り側を接続され出側を配管46でボイラ3に接続されたボイラ酸素制御弁(以下、制御弁39という)と、配管20に入り側を接続され出側を配管43で溶融炉9に接続された開度制御可能な溶融炉酸素制御弁(以下、制御弁45という)と、前記煙道12gの酸素濃度を検出する酸素濃度計(以下、O2計37という)と、O2計37の出力を入力として制御弁39の開度を制御するボイラ酸素制御手段(以下、制御器38という)と、前記煙道12bの酸素濃度を検出する酸素濃度計(以下、O2計34という)と、O2計34の出力を入力として制御弁45の開度を制御する溶融炉酸素制御手段(以下、制御器44という)と、ガス化炉6の流動層8の温度を検出する流動層温度計(以下、温度計31という)と、温度計31の出力を入力として制御弁33の開度を制御するガス化炉酸素制御手段(以下、制御器32という)とを含んで構成されている。
なお、以下の説明で酸素という場合は、工業的あるいは商業的に酸素として通用する気体を意味し、空気に含まれた状態での酸素を含まない。
排ガス再循環系は、煙道12cに分岐して設けられた排ガス抜き出し配管(以下、配管26という)と、配管26に入り側を接続して設けられた循環送風機30と、循環送風機30の出側と前記配管21bを接続する配管27と、配管27と前記配管46を開度制御可能な制御弁47を介して連通する配管29と、配管27と前記配管43を開度制御可能な溶融炉循環排ガス制御弁(以下、制御弁36という)を介して連通する配管28と、前記配管27が配管21bに接続される直前の位置で配管27に介装された開度制御可能なガス化炉循環排ガス制御弁(以下、制御弁48という)と、前記溶融炉9の温度を検出する溶融炉温度計(以下、温度計42という)と、温度計42の出力を入力として制御弁36の開度を制御する溶融炉循環排ガス制御手段(以下、制御器35という)とを含んで構成されている。
配管21a,21bがガス化炉酸素供給配管であり、配管20,43が溶融炉酸素供給配管である。また、配管27,21bがガス化炉循環排ガス供給配管であり、配管28,43が溶融炉循環排ガス供給配管である。したがって、前記ガス化炉酸素供給配管とガス化炉循環排ガス供給配管は、それぞれ制御弁33の下流側、制御弁48の下流側で互いに合流しており、酸素と循環排ガスは同じ配管21bを通って混合されてガス化炉6へ流入する。同様に、前記溶融炉酸素供給配管と溶融炉循環排ガス供給配管は、それぞれ制御弁45の下流側、制御弁36の下流側で互いに合流しており、酸素と循環排ガスは同じ配管43を通って混合されて溶融炉9へ流入する。
酸素発生装置1から供給される酸素は送風機19により昇圧された後、エアヒータ14に内装された酸素流路を通過しつつボイラ3から導入される排ガスで予熱され、配管21a、制御弁33、配管21bを通じてガス化炉6へ、配管21a、配管20、制御弁45、配管43を通じて溶融炉9へ、配管21a、配管4、制御弁39、配管46を通じてボイラ3へ、それぞれ供給される。
多くのごみの場合、酸素のみを吹き込んでガス化溶融を行うと、ガス化炉6、溶融炉9の炉内温度が局部的に過度の高温になるため、循環送風機30を用いてボイラ3の出口排ガスの一部分を配管26を通じて吸引し循環排ガスとして、配管27、制御弁48、配管21bを通じてガス化炉6へ、配管27、配管28、制御弁36、配管43を通じて溶融炉9へ、配管27、配管29、制御弁47、配管46を通じてボイラ3へ、それぞれ供給し、炉内温度を調整する。すなわち、ガス化炉6へ供給される酸素は、配管21bにおいて、配管27から流入する循環排ガスと混合された後、ガス化炉6へ供給され、溶融炉9へ供給される酸素は、配管43において、配管28から流入する循環排ガスと混合された後、溶融炉9へ供給され、ボイラ3へ供給される酸素は、配管46において、配管29から流入する循環排ガスと混合された後、ボイラ3へ供給される。
循環排ガスを酸素とは別個にガス化炉6、溶融炉9、ボイラ3に吹き込むことも可能である。しかし、本実施例では、酸素吹き込みノズルの近傍での局所高温部の発生防止、マスフローの増加による噴流の炉内貫通力の向上、混合改善などを考えて、酸素と循環排ガスは予め混合した状態で各々の炉やボイラに吹き込む方法を採用した。ガス化炉6の流動層では、高濃度酸素吹き込みノズルの近傍に高温部が生じクリンカトラブルが発生し易いため、酸素と循環排ガスは必ず予混合した状態で流動層に吹き込む必要がある。
この(酸素+循環排ガス)混合気とごみの反応熱(部分燃焼熱)によりガス化炉6の流動層8の温度は約600℃に維持される。ガス化炉6は空気比が1以下、通常のごみであれば空気比0.3〜0.6といった空気比で運転されている。
ガス化炉6内での灰の溶融粘着トラブルを避けるため、流動層も含めたガス化炉6の温度が約900℃以下になるように空気比を制御する。
通常の空気によるガス化では、炉内温度が高くなり過ぎるようであれば、空気量を減じあるいはごみ量を増してガス化炉6の空気比を下げ、逆に温度が下がり過ぎるようであれば空気量を増すあるいはごみ量を減じて空気比を増すことで炉内温度を制御している。しかし、流動層式ガス化の場合、流動層を安定して流動化させるという点で、空気量の変化幅には制約があり、極端に空気比を変化させることはできない。すなわち空気量を下げ過ぎると、流動化不良によるクリンカトラブルが発生し、逆に空気量が多すぎると、炉内ガス流速が過大となり層内媒体及び未反応のごみが炉外に飛散してしまう、といった障害が生ずる。
これに対し、本実施例のように(酸素+循環排ガス)混合気によるガス化であれば、流量の増減に加えて酸素濃度の制御によっても空気比を制御できる。図1に示した例では、配管27から供給される循環排ガスのみでごみを含む流動層8の安定流動化を実現し、空気比の制御は、制御弁33を経て配管21aから供給される酸素の増減のみによっている。
すなわち、配管27からの循環排ガス量は安定流動化を維持できる必要最低限の量で固定し、制御はしない。制御器32は、温度計31で検出される温度があらかじめ設定された温度範囲を超えて高いとき、ガス化炉6に供給する酸素量を減じ、温度計31で検出される温度があらかじめ設定された温度範囲よりも低いとき、ガス化炉6に供給する酸素量を増すように、制御弁33の開度を制御する。
ガス化炉6の空気比制御は、温度計31の出力に基づき、制御器32、制御弁33を介して、配管21aからガス化剤として供給される酸素量の調整によっている。具体的には、流動層8の温度が下限温度(例えば500℃)を下回った場合には制御器32、制御弁33を介して、配管21bから供給される酸素量を増加し、燃焼を促進させて流動層温度を高める。逆に、流動層8の温度が上限温度(例えば800℃)に近づいた場合には、配管21bから供給される酸素量を減少させ、燃焼反応を抑制して温度を低下させる。このように制御することで、流動層の温度が適正範囲(例えば500℃〜800℃)に保たれる。
上述のように構成し、制御すれば、流動化状態の維持と空気比の変化への対応を独立して実行することが可能となる。もちろん、酸素と循環排ガスは混合された状態で流動層の下方から供給され、酸素にも流動化の作用がある。
ガス化炉6で発生した熱分解ガス及びチャーは、煙道12aを通じて溶融炉9に入り、配管43を通じて溶融炉9に吹き込まれる(酸素+循環排ガス)混合気と反応し燃焼する。
溶融炉9においては、煙道12bの酸素濃度を検出するO2計34の出力を入力とする制御器44により、制御弁45を介して、配管20から配管43に送り込まれる酸素量が制御され、溶融炉9の空気比が1.0〜1.05に保たれている。制御器44は、O2計34で検出される酸素濃度があらかじめ設定された濃度範囲を超えて高いとき、溶融炉9に供給する酸素量を減じ、O2計34で検出される酸素濃度があらかじめ設定された濃度範囲よりも低いとき、溶融炉9に供給する酸素量を増すように、制御弁45の開度を制御する。配管28、制御弁36を経て配管43に送り込まれ、配管43で酸素と混合されて溶融炉9に吹き込まれる循環排ガスは単なる希釈剤であり、その目的は、溶融炉9の温度調整である。すなわち、溶融炉9の温度が高くなりすぎた場合には、温度計42の出力を入力とする制御器35が、制御弁36を介して、配管43に送り込まれる循環排ガス量を増してテンパリングして溶融炉9の温度を下げ、温度が下がりすぎた場合には、配管43に送り込まれる循環排ガス量を減らして溶融炉9の温度を高める。
ごみ量、ごみ質に大きな変動が無い場合には、溶融炉9で必要とする酸素量はほぼ一定であるので、図1で示した溶融炉9出口のO2計34、制御器44、制御弁45を省略し、配管20からの酸素量は手動弁でほぼ固定して運転することによるコストダウンも可能である。
チャーに含まれる灰の大部分は溶融炉9の高熱により溶融し、スラグとなってスラグ排出装置11を経由し排出される。
溶融炉9の排ガス中に僅かに含まれるCO、ススなどの未燃分は、配管46から吹き込まれた(酸素+循環排ガス)混合気によりボイラ3で完全に燃焼する。このボイラ3では、集じん機10出口のO2計37の出力を入力とする制御器38が、制御弁39を介して、配管4からの酸素量を調整することにより、空気比を1.2〜1.3程度に制御している。
ボイラ3で完全燃焼した排ガスは、エアヒータ14、ガス急冷塔13、集じん器15、集じん機10を経て浄化され、煙突17から大気に放出される。
集じん器15の上流にはダイオキシンを吸着するために、配管40を通じて活性炭が吹き込まれる。この活性炭は捕集灰と共に、集じん器15底部から配管23を通じて再び溶融炉9に戻され、活性炭及び活性炭に吸着されたダイオキシンは溶融炉9の高熱で燃焼あるいは熱分解される。
集じん機10の上流には、配管41を通じて消石灰が吹き込まれ、排ガス中の塩素を吸着除去する。集じん機10の前記消石灰を含む捕集灰は灰安定化装置25に送られ、薬剤などで安定化処理をされた後に埋立処分される。
図1に示したごみガス化溶融システムを、水分70%、60%、50%のごみに適用した結果を図3〜図5、表1〜表3に示す。
(水分50%の場合)
水分50%の基準ごみであれば先の図2に示したように、通常の空気を用いても溶融温度1350℃以上を維持できる。この水分50%のごみに対し本実施例を適用し、(酸素総量+循環排ガス総量)混合気中の酸素濃度が25%になるように循環排ガス量を制御した場合について計算したところ、火炎温度は図3に示したように十分に溶融温度を維持できた。この時のごみ1kg当たりのボイラ−出口、エアヒータ〜煙突出口の排ガス量、循環排ガス量を計算した結果を従来技術と比較して表1に示す。
(水分50%の場合)
水分50%の基準ごみであれば先の図2に示したように、通常の空気を用いても溶融温度1350℃以上を維持できる。この水分50%のごみに対し本実施例を適用し、(酸素総量+循環排ガス総量)混合気中の酸素濃度が25%になるように循環排ガス量を制御した場合について計算したところ、火炎温度は図3に示したように十分に溶融温度を維持できた。この時のごみ1kg当たりのボイラ−出口、エアヒータ〜煙突出口の排ガス量、循環排ガス量を計算した結果を従来技術と比較して表1に示す。
(水分60%の場合)
図2に示したようにごく狭い空気比の範囲でのみ火炎温度を1350℃以上に維持できていた水分60%のごみに本実施例を適用し、(酸素総量+循環排ガス総量)混合気中の酸素濃度が30%になるように循環排ガス量を制御した場合について計算した結果、火炎温度は図4に示すように、空気のみの場合よりも広い空気比の範囲で十分に溶融温度を維持できた。
(水分70%の場合)
図2に示したようにどのように空気比を調整しても火炎温度が1350℃に達せず、灯油などの助燃が不可欠であった水分70%のごみであっても、本実施例を適用することにより灯油などの助燃無しでガス化溶融できた。すなわち、従来技術であればごみ0.9kgに対し灯油0.1kgを助燃しなければならなかった水分70%のごみに、本実施例を適用し(酸素総量+循環排ガス総量)混合気中の酸素濃度が60%になるように循環排ガス量を制御した場合について計算したところ、助燃無しでも図5に示したように広範囲の空気比で十分に溶融温度1350℃を維持できた。
以上示したように、本実施例によれば、排ガス量を半減できるため、ガス急冷塔、集じん機、脱硝設備、煙突などの排煙処理設備の大幅なコンパクト化、コスト低減が可能であり、更に排ガス顕熱損失の減少による熱効率の向上が可能になる。又、従来、ガス化溶融システムの適用が困難であった高水分汚泥、高灰分廃棄物(例えば埋立ごみ)などを自己熱溶融でき、処理コストの低減が可能になるとともに、助燃が不要な分、ガス化処理時のCO2発生量が削減される。
本実施例によれば、次のような効果が得られる。
1)ガス化溶融システムの適用処理物範囲が拡大される。従来、自己熱溶融が困難であった高水分下水汚泥、高灰分の埋立ごみなどの低カロリー廃棄物を自己熱溶融でき、処理コストの低減が可能になる。
2)助燃が不要な分、処理時のCO2発生量の削減が可能になる。
3)排ガス量が少なく、排煙処理設備のコンパクト化、コスト低減が可能になる。ガス急冷塔、バグフィルタ、脱硝設備、煙突などの設備容量を半減できる。
1)ガス化溶融システムの適用処理物範囲が拡大される。従来、自己熱溶融が困難であった高水分下水汚泥、高灰分の埋立ごみなどの低カロリー廃棄物を自己熱溶融でき、処理コストの低減が可能になる。
2)助燃が不要な分、処理時のCO2発生量の削減が可能になる。
3)排ガス量が少なく、排煙処理設備のコンパクト化、コスト低減が可能になる。ガス急冷塔、バグフィルタ、脱硝設備、煙突などの設備容量を半減できる。
本実施例はボイラを有するガス化溶融システムであるが、ボイラを持たない小型のガス化溶融システムに対しても本発明は有効に適用できる。また、ボイラを持たず、溶融炉9に二次燃焼室を備えるシステムにおいては、二次燃焼室にも、酸素と循環排ガスの混合気体を供給するようにすればよい。この場合は、二次燃焼室出口にO2計を設け、検出した酸素濃度を入力として酸素量を調整することにより、空気比を制御する。
(実施例2)
次に、図6を参照して本発明に係るごみガス化溶融装置の実施例2を説明する。図6に示すごみガス化溶融装置が前記図1に示すごみガス化溶融装置と異なるのは、ガス化炉6、溶融炉9の各起動操作に関連する構成およびガス化炉6にごみを供給する給じん機73が記載されている点である。
次に、図6を参照して本発明に係るごみガス化溶融装置の実施例2を説明する。図6に示すごみガス化溶融装置が前記図1に示すごみガス化溶融装置と異なるのは、ガス化炉6、溶融炉9の各起動操作に関連する構成およびガス化炉6にごみを供給する給じん機73が記載されている点である。
ガス化炉6、溶融炉9の各起動操作に関連する構成として、ガス化炉6の起動バーナ63と、起動バーナ63に接続されて燃料の油を供給する油配管65と、油配管65に介装された油量弁57と、溶融炉9の起動バーナ64と、起動バーナ64に接続されて燃料の油を供給する油配管66と、油配管66に介装された油量弁58と、が示され、さらに、制御弁48よりも上流側の配管27を起動バーナ63に接続する燃焼用空気配管71と、燃焼用空気配管71に介装された連動弁52と、連動弁52の上流側の燃焼用空気配管71を起動バーナ64に接続する燃焼用空気配管72と、燃焼用空気配管72に介装された連動弁53と、制御弁33と配管27の接続点の間の配管21bに介装された弁51と、配管26に介装された手動弁60と、手動弁60下流側の配管26に分岐して接続され末端が大気に開放された空気吸引配管2と、空気吸引配管2に介装された手動弁70と、が設けられている。油量弁58と連動弁53はリンク機構で連動しており、油量弁57と連動弁52もリンク機構で連動している。他の構成は実施例1と同じであるので、同一の符号を付して説明を省略する。
上記システムの定常状態での運転においては、弁51、手動弁60が全開、手動弁70、連動弁52,53及び油量弁57,58が全閉されているほかは、前記実施例1で述べたとおりであり、実施例1と同様の効果が得られる。
前記定常状態での運転は、ごみが安定に供給されている状態が前提であるが、現実には、ごみを完全に安定供給することは難しい。特に、ごみ供給系におけるごみ閉塞、給じん機73への異物の噛み込みなどのトラブルによるごみ供給の中断(ごみ切れ)を無くすことは難しい。
プラント停止に際し、ごみ供給を停止すると、酸素は供給されているため、ガス化炉6内の可燃物減少に伴い、空気比が上昇する。空気比が1.0以下の領域では空気比の増加に伴い炉内温度が上昇する。しかし、空気比が1.0を越えると余剰空気による希釈効果により炉内温度、層温度が低下する。すなわち、ごみの供給停止あるいは中断により流動層8の温度は一旦上昇した後、低下の一途をたどる。流動層温度が更に低下して下限温度以下になると、温度計31の信号を受けて制御器32が制御弁33の開度を増し、大量の酸素が配管21a,配管21bを通じてガス化炉6の流動層8に吹き込まれる。この状態になると、系内で可燃物が無いにもかかわらず、一方的な酸素の供給が続くため、遂には、系内循環ガス中の酸素濃度が100%近い高濃度に達する。
この時、熱容量が大きい炉内及び煙道はまだ高温であり且つ高酸素濃度でもあるため通常の大気あるいは排ガス中では、酸化、腐食されない筈の計測器、起動バーナのインペラ−などが損傷してしまう。
以上、プラント停止のためにごみの供給を意図的に停止した場合について説明したが、ごみ供給トラブルにより予期せぬごみ切れが生じた場合も同様な現象が生ずる。
このようなトラブルを防止するため、ごみ供給停止時に炉内温度が一旦上昇し、高空気比側で温度が低下することを運転員が確認した後、手動により弁51を閉止し、系内が過度の酸素濃度になることを防止している。計画停止の場合には、炉内の温度を運転員が監視し、手動で弁51を閉止すれば、系内の酸素濃度の上昇を抑えることができる。しかし、供給系のトラブルによる突然のごみ切れの場合には、運転員が往々にして見逃し、対応が手遅れになる場合が多く、高酸素濃度による機器の損傷を招く恐れがある。
(実施例3)
次に、図7を参照して本発明に係るごみガス化溶融装置の実施例3を説明する。図7に示すごみガス化溶融装置が前記図6に示すごみガス化溶融装置と異なるのは、供給シュート5に、ごみ通過の有無を連続的に検出して出力する給じん検出器74が設置され、給じん検出器74の出力が制御器32に入力されるようになっている点と、制御器32は温度計31の出力と給じん検出器74の出力を入力として動作するように構成されている点である。他の構成は前記図6に示す実施例2と同じであるので同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図7を参照して本発明に係るごみガス化溶融装置の実施例3を説明する。図7に示すごみガス化溶融装置が前記図6に示すごみガス化溶融装置と異なるのは、供給シュート5に、ごみ通過の有無を連続的に検出して出力する給じん検出器74が設置され、給じん検出器74の出力が制御器32に入力されるようになっている点と、制御器32は温度計31の出力と給じん検出器74の出力を入力として動作するように構成されている点である。他の構成は前記図6に示す実施例2と同じであるので同一の符号を付して説明を省略する。
給じん検出器74は、ごみ切れが発生した場合(例えば予め定めた時間が経過する間、供給シュート5をごみが通過しなかった場合、前記予め定めた時間が経過してから次にごみが供給シュート5を通過するまで)、ごみ切れ信号(“給じんゼロ”)を制御器32に出力する。制御器32は、給じん検出器74からごみ切れ信号が入力されている間に、温度計31から流動層温度が予め定められた限界温度以下に低下したことを示す流動層温度異常低下信号(流動層温度“低”の信号)が入力された場合、制御弁32を閉止するように構成されている。
定常運転状態すなわちごみ等の専焼ガス化溶融状態の各機器の作動状況は実施例2の場合と同じであるので、ここでは省略する。
以下、ごみの計画停止あるいは供給系トラブルによる予期せぬごみ切れが生じた場合の機器の作動状況を図7を参照して説明する。
1)計画停止あるいはごみ切れにより流動層8へのごみの供給が途絶え、予め定められた時間が経過すると、給じん検出器74はごみ切れ信号“給じんゼロ”を制御器32に出力する。
2)一方、配管21a、配管21bを通じたガス化炉6への酸素供給量がそのままであるので、ガス化炉6の炉内並びに流動層8が空気(酸素)不足のガス化状態から空気(酸素)過剰の燃焼状態に移行する。空気比1.0以下のガス化状態から空気比1.0までの間は、空気比の増加に伴い温度が上昇する。しかし、空気比が増して1.0を越えると、過剰酸素による希釈効果のため流動層8の温度が低下する。
3)流動層8の温度が予め定められた限界温度以下になると、温度計31が、流動層8の温度“低”の信号を制御器32に出力する。
4)制御器32が、温度計31からの流動層8の温度“低”と給じん検出器74からの“給じんゼロ”の信号を受け、制御弁33を自動で閉止する。
5)この時、制御器44はO2計34からの酸素濃度“高”の信号を受け制御弁45を閉止し、又、制御器38はO2計37からの酸素濃度“高”の信号を受け、制御弁39を閉止しているため、配管20及び配管4からの系への酸素の供給は遮断されている。
6)したがって、系内の酸素濃度がこれ以上増加する事は無く、高酸素濃度による機器の損傷は生じない。
1)計画停止あるいはごみ切れにより流動層8へのごみの供給が途絶え、予め定められた時間が経過すると、給じん検出器74はごみ切れ信号“給じんゼロ”を制御器32に出力する。
2)一方、配管21a、配管21bを通じたガス化炉6への酸素供給量がそのままであるので、ガス化炉6の炉内並びに流動層8が空気(酸素)不足のガス化状態から空気(酸素)過剰の燃焼状態に移行する。空気比1.0以下のガス化状態から空気比1.0までの間は、空気比の増加に伴い温度が上昇する。しかし、空気比が増して1.0を越えると、過剰酸素による希釈効果のため流動層8の温度が低下する。
3)流動層8の温度が予め定められた限界温度以下になると、温度計31が、流動層8の温度“低”の信号を制御器32に出力する。
4)制御器32が、温度計31からの流動層8の温度“低”と給じん検出器74からの“給じんゼロ”の信号を受け、制御弁33を自動で閉止する。
5)この時、制御器44はO2計34からの酸素濃度“高”の信号を受け制御弁45を閉止し、又、制御器38はO2計37からの酸素濃度“高”の信号を受け、制御弁39を閉止しているため、配管20及び配管4からの系への酸素の供給は遮断されている。
6)したがって、系内の酸素濃度がこれ以上増加する事は無く、高酸素濃度による機器の損傷は生じない。
本実施例によれば、前記実施例1と同様の効果が得られるとともに、給じん停止あるいはごみ切れ時の、機器の高酸素濃度による損傷を防止できる。機器の高酸素濃度による損傷が防止されるので、装置稼働率の向上、並びに機器保守費が低減される効果がある。
1 酸素発生装置
2 空気吸引配管
3 ボイラ
4 配管
5 供給シュート
6 ガス化炉
8 流動層
9 溶融炉
10 集じん機
11 スラグ排出装置
12a〜12h 煙道
13 ガス急冷塔
14 エアヒータ
15 集じん器
16 誘引送風機
17 煙突
18 ダンパー
19 送風機
20、21a、21b、22、23、24a、24b 配管
25 灰安定化装置
26〜29、40、41、43、46、49、50 配管
30 循環送風機
31、42 温度計
32,35,38,44 制御器
33,36,39,45,47,48 制御弁
34,37 O2計
51 弁
52,53 連動弁
57,58 油量弁
60 手動弁
63,64 起動バーナ
65,66 油配管
70 手動弁
71,72 燃焼用空気配管
73 給じん機
74 給じん検出器
2 空気吸引配管
3 ボイラ
4 配管
5 供給シュート
6 ガス化炉
8 流動層
9 溶融炉
10 集じん機
11 スラグ排出装置
12a〜12h 煙道
13 ガス急冷塔
14 エアヒータ
15 集じん器
16 誘引送風機
17 煙突
18 ダンパー
19 送風機
20、21a、21b、22、23、24a、24b 配管
25 灰安定化装置
26〜29、40、41、43、46、49、50 配管
30 循環送風機
31、42 温度計
32,35,38,44 制御器
33,36,39,45,47,48 制御弁
34,37 O2計
51 弁
52,53 連動弁
57,58 油量弁
60 手動弁
63,64 起動バーナ
65,66 油配管
70 手動弁
71,72 燃焼用空気配管
73 給じん機
74 給じん検出器
Claims (11)
- ごみを流動層式ガス化炉で酸素をガス化剤としてガス化し、得られた熱分解ガスと固形分を溶融炉で燃焼溶融させ、溶融炉の排ガスを煙道を経て外部に排出するごみガス化溶融方法であって、溶融炉下流側の前記煙道から排ガスの一部を抜き出し、抜き出した排ガスを循環排ガスとして前記流動層式ガス化炉と溶融炉に供給するとともに、前記溶融炉に燃焼のための酸素を供給する手順を含んでなるごみガス化溶融方法。
- 請求項1記載のごみガス化溶融方法において、酸素と循環排ガスは予め混合された後、流動層式ガス化炉及び溶融炉に供給されることを特徴とするごみガス化溶融方法。
- 請求項1または2に記載のごみガス化溶融方法において、流動層式ガス化炉へ供給される循環排ガス量は、循環排ガスだけで流動層部のガス流速が層内媒体の流動開始速度以上、かつ層内媒体の飛散速度未満となるように設定され、流動層式ガス化炉へ供給される酸素量は、流動層温度を検出し、検出された流動層温度があらかじめ設定された温度よりも高いときは減らし、検出された流動層温度があらかじめ設定された温度よりも低いときは増加させるように制御されることを特徴とするごみガス化溶融方法。
- 請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のごみガス化溶融方法において、溶融炉の炉内あるいは炉出口の温度を検出し、検出した温度を入力として溶融炉へ供給する循環排ガス量を制御することにより溶融炉の温度を制御することを特徴とするごみガス化溶融方法。
- 請求項3に記載のごみガス化溶融方法において、流動層式ガス化炉へのごみ供給の有無が連続的に検出され、流動層式ガス化炉へ供給される酸素量は、ごみ供給の有無の検出結果と、検出された流動層温度に基づいて制御されることを特徴とするごみガス化溶融方法。
- 請求項5に記載のごみガス化溶融方法において、流動層式ガス化炉へのごみ供給が予め定めた時間を越えて中断しており、流動層温度が予め定めた限界温度以下であるとき、流動層式ガス化炉への酸素供給が停止されることを特徴とするごみガス化溶融方法。
- ごみを熱分解してガス化する流動層式ガス化炉と、この流動層式ガス化炉で得られた熱分解ガスと固形分を燃焼溶融する溶融炉と、この溶融炉から排出される排ガスを導く煙道と、前記煙道に分岐して設けられた排ガス抜き出し配管と、この排ガス抜き出し配管に吸い込み側を接続して設けられ、煙道の排ガスの一部を抜き出して加圧し、循環排ガスとして送出する循環送風機と、前記流動層式ガス化炉に接続され、開度制御可能なガス化炉酸素制御弁を介して流動層式ガス化炉に酸素を供給するガス化炉酸素供給配管と、前記溶融炉に接続され、開度制御可能な溶融炉酸素制御弁を介して前記溶融炉に酸素を供給する溶融炉酸素供給配管と、前記循環送風機で加圧された循環排ガスの一部を弁を介して前記ガス化炉に供給するガス化炉循環排ガス供給配管と、前記循環送風機で加圧された循環排ガスの他の一部を開度制御可能な溶融炉循環排ガス制御弁を介して前記溶融炉に供給する溶融炉循環排ガス供給配管と、前記流動層式ガス化炉の流動層温度を検出、出力する流動層温度計と、この流動層温度計の出力を入力として前記ガス化炉酸素制御弁の開度を制御するガス化炉酸素制御手段と、前記溶融炉の温度を検出、出力する溶融炉温度計と、この溶融炉温度計の出力を入力として前記溶融炉循環排ガス制御弁の開度を制御する溶融炉循環排ガス制御手段と、前記溶融炉出側の煙道内の排ガスの酸素濃度を検出、出力する酸素濃度計と、この酸素濃度計の出力を入力として前記溶融炉酸素制御弁の開度を制御する溶融炉酸素制御手段と、を有してなり、前記ガス化炉酸素供給配管とガス化炉循環排ガス供給配管は、それぞれガス化炉酸素制御弁の下流側とガス化炉循環排ガス供給配管に介装された弁の下流側で互いに合流して同一の配管で流動層式ガス化炉に接続され、酸素と循環排ガスは混合された状態で流動層式ガス化炉に流入するよう構成されているごみガス化溶融装置。
- 請求項7記載のごみガス化溶融装置において、前記ガス化炉酸素制御手段は、流動層温度が所定の温度範囲を超えて高い場合は、ガス化炉に供給する酸素量を減じ、流動層温度が所定の温度範囲よりも低い場合は、ガス化炉に供給する酸素量を増すように、ガス化炉酸素制御弁の開度を制御し、溶融炉循環排ガス制御手段は、溶融炉の温度があらかじめ定めた温度範囲を超えて高い場合は、溶融炉に供給する循環排ガス量を増し、溶融炉の温度があらかじめ定めた温度範囲よりも低い場合は、溶融炉に供給する循環排ガス量を減ずるように、溶融炉循環排ガス制御弁の開度を制御し、溶融炉酸素制御手段は、溶融炉出側煙道内の排ガスの酸素濃度が、あらかじめ定めた濃度範囲を超えて高い場合は、溶融炉に供給する酸素量を減じ、あらかじめ定めた濃度範囲よりも低い場合は、溶融炉に供給する酸素量を増すように、溶融炉酸素制御弁の開度を制御するように、それぞれ構成されていることを特徴とするごみガス化溶融装置。
- 請求項8記載のごみガス化溶融装置において、前記溶融炉酸素供給配管と溶融炉循環排ガス供給配管は、それぞれ介装された溶融炉酸素制御弁の下流側と溶融炉循環排ガス制御弁の下流側で互いに合流して同一の配管で溶融炉に接続され、酸素と循環排ガスは混合された状態で溶融炉に流入するよう構成されていることを特徴とするごみガス化溶融装置。
- 請求項7〜9のうちのいずれか1項に記載のごみガス化溶融装置において、流動層式ガス化炉に供給されるごみの通過の有無を連続的に検出、出力する給じん検出器を備え、前記ガス化炉酸素制御手段は、前記流動層温度計の出力に加えて、前記給じん検出器の出力を入力として前記ガス化炉酸素制御弁の開度を制御するよう構成されていることを特徴とするごみガス化溶融装置。
- 請求項10に記載のごみガス化溶融装置において、前記給じん検出器は、流動層式ガス化炉へのごみ供給が予め定めた時間を越えて中断しているときごみ切れ信号を出力するよう構成され、前記流動層温度計は流動層温度が予め定めた限界温度以下であるとき流動層温度異常低下信号を出力するよう構成され、前記ガス化炉酸素制御手段は、ごみ切れ信号と流動層温度異常低下信号の双方が入力されたとき、流動層式ガス化炉への酸素供給を停止するよう構成されていることを特徴とするごみガス化溶融装置。
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