JP3850206B2 - 燃焼制御方法及び燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴミ焼却炉の燃焼制御方法及び燃焼制御装置に関し、詳しくは、火炉内で被処理物を焼却処理し、その焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間を設けてあるゴミ焼却炉において、前記火炉内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御方法及び燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴミ焼却設備には、例えば図6に示すように、ゴミ焼却炉10の二次燃焼室13からの排ガスを煙突19に導く煙道Dに、その排ガス中に水を噴霧して前記排ガスを冷却する排ガス冷却装置15と、前記排ガスから除塵するバグフィルタ16と、除塵した後の排ガスを無害化処理する排ガス処理装置17と、無害化処理した後の排ガスを前記煙突に向けて送り出す誘引送風機18とが順に配置されている。前記ゴミ焼却炉10には、炉内の燃焼量を所定の条件下で制御するための燃焼制御機構1を設けてあり、この燃焼制御機構1には、火炉Fの出口に温度検出端7aを配置して、炉出口における燃焼排ガスの温度を検出する炉出口温度検出手段7と、前記バグフィルタ16の入口側の煙道Dにその検出端8aが配置され、排ガスの温度を検出する排ガス温度検出手段8と、前記バグフィルタ16の出口側の煙道Dに酸素検出端6aを配置して、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段6とを夫々備えている。前記排ガス冷却装置15に供給される噴霧水量は、前記排ガス温度検出手段8で検出する排ガス温度を目標排ガス温度に維持するように制御される。
【0003】
ゴミ焼却設備には、予め目標焼却処理量が設定されている。この目標焼却処理量を消化するために、炉内に供給されるゴミの給量が設定され、そのゴミの供給量に合わせて燃焼用空気が供給される。この燃焼用空気として、主として火床の下方に配置した一次空気供給機構12から前記火床上のごみに供給される一次空気と、二次燃焼空間に向けて配置した二次空気供給機構14から供給され、前記火床上でごみが燃焼して生成する燃焼ガスを二次燃焼させる二次空気とが供給される。前記一次空気は、火炉Fに設けた炉内温度検出手段(図示省略)により監視する炉内温度を、所定の炉内温度に維持するように調節され、前記二次空気は、前記炉出口温度検出手段7で検出する燃焼排ガスの温度を、設定炉出口温度 (例えば950℃)に維持するように調節して供給され、前記排ガス冷却装置15への噴霧水は、所定温度範囲(例えば160〜170℃の温度範囲)内に維持するように調節して供給され、前記一次空気及び二次空気の供給量はさらに、前記酸素濃度検出手段6で検出する排ガス中の酸素濃度を所定酸素濃度範囲内に維持するように調節される。前記所定酸素濃度範囲は、通常8〜10%程度に設定される。
【0004】
ところで、従来からゴミ焼却炉に投入されるごみの質によって、その燃焼発熱量が異なり、また、その理論空気量も異なることが知られている通り、ゴミの質の変化に応じて、一次空気供給機構から供給されるべき一次空気供給量の所要量が変化するのである。その一次空気供給量を適正化するために、従来のごみ焼却炉においては、前記炉出口温度検出手段7で検出した燃焼排ガスの温度と、前記排ガス温度検出手段8で検出した排ガス温度との差と、前記排ガス冷却装置15に噴霧供給される噴霧水量から冷却熱量を求め、前記一次空気供給機構12から供給される一次空気量と前記二次空気供給機構14から供給される二次空気量との合計空気供給量から前記煙道Dに排出される排ガス量を検出し、前記冷却熱量と対比して、炉内に投入されたゴミの燃焼発熱量を推定し、推定した燃焼発熱量を基に被処理物の燃焼量を設定していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この制御においては、燃焼指標として燃焼発熱量とは相関の低い炉出口温度を用いるほかなく、精度が低いのみならず、制御遅れも大きく、前記バグフィルタ16の入口温度、即ち前記排ガス温度検出手段8で検出する排ガス温度の変動が大きくなり(例えば設定温度の上下に10〜20%)、前記排ガス温度を上述の所定温度範囲内に維持することも困難であり、熟練操作員の状況判断による操作介入に頼ることが多かった。従って、上述のように、廃熱ボイラを備えないで、前記排ガス冷却装置15を備えるゴミ焼却炉10においては、炉内における被処理物の燃焼量、即ち、ゴミ投入速度、ゴミ搬送速度、空気供給量等を調節制御する燃焼制御の自動化が困難であった。因みに、廃熱ボイラを備えるゴミ焼却炉においては、ゴミの燃焼発熱量と比例関係にある廃熱ボイラの蒸気発生量を用いて、自動化率の高い燃焼制御が実現されている。
そこで、本発明のゴミ焼却炉の燃焼制御方法及び燃焼制御装置は、上記の問題点を解決し、時間遅れのないゴミの燃焼発熱量の検出により、操作員の操作介入の頻度を低くして、ゴミ焼却炉の燃焼制御の自動化率を向上することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔本発明の特徴手段〕
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御方法の特徴手段は、火炉内で被処理物を焼却処理し、その焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間を設けてあるゴミ焼却炉における火炉内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御方法において、燃焼用空気の供給量と排ガスの組成を基に、ゴミの燃焼熱量を推定する点に特徴を有するもので、夫々に以下のような特徴を備える。
【0008】
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御方法の第一特徴手段は、請求項1に記載の如く、火炉内及び二次燃焼空間内に供給された燃焼用空気供給量と、二次燃焼空間出口における排ガス中の酸素濃度とに基づき理論空気量を求め、前記理論空気量を定格焼却量の基準ゴミに対する定格理論空気流量で除して、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として燃焼量を無次元化した指標となる熱量指数を求め、その求めた熱量指数を基に前記火炉内に投入された被処理物の燃焼発熱量を推定し、前記推定した燃焼発熱量と目標発熱量との差に基づき、前記火炉内への被処理物供給量、前記火炉内への一次空気供給量、前記二次燃焼空間内への二次空気供給量のうちの少なくとも一つを調節して、前記被処理物の燃焼量を制御する点を特徴とする。
【0009】
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御方法の第二特徴手段は、請求項2に記載の如く、上記第一特徴手段における燃焼用空気供給量と、排ガス中の酸素濃度とに基づき、火炉に投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、
At =(1−Po2/0.21)×AT
(但し、AT :燃焼用空気供給量、Po2:排ガス中の酸素濃度)
として求め、求めた理論空気量を基に、前記燃焼発熱量(Q)を、
Q=a×At +b
(但し、At :理論空気量、a,bは予め設定された定数)
と定義した関係式を用いて推定する点を特徴とする。
【0010】
〔特徴手段の作用及び効果〕
上記本発明に係る燃焼制御方法の各特徴手段によれば、供給空気量と排ガス組成とから推定した被処理物の燃焼発熱量を指標とすることで、被処理物の燃焼量の制御を精度よく、且つ、時間遅れなく実現できるようになり、夫々に以下のような独特の作用効果を奏する。
【0011】
上記第一特徴手段によれば、操作員の操作介入を排除できるようになる。つまり、燃焼用空気供給量と排ガス中の酸素濃度とから被処理物の燃焼発熱量を推定するから、この推定結果による制御に時間遅れがなく、しかも、大きな誤差を伴わない。従って、応答性よく、しかも、精度の高く、被処理物の燃焼量を自動制御できる。
また、従来の廃熱ボイラを備えるゴミ焼却炉の制御系、つまり、被処理物の燃焼発熱量と比例関係にある廃熱ボイラの蒸気発生量を用いて被処理物の燃焼量を制御する制御系を転用して、熱量指数に対応する被処理物の燃焼による発熱量を、予め求めてある熱量指数との相関関係を基に、換算値として求めて、主蒸気流量を入力する代わりに換算値を入力することで、燃焼発熱量が目標発熱量になるように被処理物の燃焼量を制御することができる。
【0012】
上記第二特徴手段によれば、上記第一特徴手段の作用効果を一層高めることができる。つまり、被処理物に関する理論空気量を化学量論的に求め、これと直線関係にあるとする経験則に基づいて燃焼発熱量を求めるのである。この経験則は、ゴミ質により異なる関係式として求められており、実際に即した関係式を用いて燃焼発熱量を求めることができるのである。
【0013】
〔本発明の特徴構成〕
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御装置の特徴構成は、火炉内に被処理物を投入する被処理物供給機構と、前記火炉内に一次空気を供給する一次空気供給機構と、前記火炉内での前記被処理物の焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間と、前記二次燃焼空間内に二次空気を供給する二次空気供給機構とを設けてあるゴミ焼却炉における火炉内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御装置において、供給した燃焼用空気の総量と、煙道における排ガスの組成とを基に、炉内に投入されたゴミの燃焼発熱量を推定し、その燃焼発熱量を基準として燃焼制御を行う点に特徴を有し、夫々に以下のような特徴を備える。
【0014】
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御装置の第一特徴構成は、請求項3に記載の如く、二次燃焼空間の下流側の煙道に、前記二次燃焼空間出口における排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段を設け、火炉内に供給された一次空気供給量と前記二次燃焼空間内に供給された二次空気供給量とを合計して求めた燃焼用空気供給量と、酸素濃度検出手段で検出した排ガス中の酸素濃度とを基に理論空気量を求め、前記理論空気量を定格焼却量の基準ゴミに対する定格理論空気流量で除して、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として燃焼量を無次元化した指標となる熱量指数を求め、その求めた熱量指数を基に前記火炉内に投入された被処理物の燃焼発熱量を推定する燃焼発熱量推定手段を設け、前記燃焼発熱量推定手段で推定した燃焼発熱量と前記目標発熱量との差を基に、被処理物供給機構による被処理物供給量と、一次空気供給機構からの一次空気供給量と、二次空気供給機構からの二次空気供給量とをそれぞれ調節可能に構成した燃焼制御機構を設けて、被処理物の燃焼量を制御するように構成してある点を特徴とする。
【0015】
上記の目的のための本発明に係る燃焼制御装置の第二特徴構成は、請求項4に記載の如く、上記第一特徴構成における燃焼用空気供給量と、排ガス中の酸素濃度とに基づき、火炉に投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、
At =(1−Po2/0.21)×AT
(但し、AT :燃焼用空気供給量、Po2:排ガス中の酸素濃度)
として定めた演算式に基づき演算導出する理論空気量演算手段と、定数を予め設定可能な定数設定手段を備えて、前記理論空気量演算手段で演算導出した理論空気量と、前記定数設定手段に設定された定数とを基に、前記燃焼発熱量(Q)を、
Q=a×At +b
(但し、At :理論空気量、a,b:定数)
として定めた演算式に基づき演算導出する燃焼発熱量演算手段とで、燃焼発熱量推定手段を構成してある点を特徴とする。
【0016】
〔特徴構成の作用及び効果〕
上記本発明に係る燃焼制御装置の特徴構成によれば、上記燃焼制御方法の特徴手段と同様に、一次空気供給機構と二次空気供給機構とから供給された燃焼用空気の総量と、煙道における排ガスの組成とから推定した被処理物の燃焼発熱量を目標発熱量に対する指標とすることで、被処理物の燃焼量の制御を精度よく、且つ、時間遅れなく実現でき、夫々に以下のような作用効果を奏する。
【0017】
上記第一特徴構成によれば、上記燃焼制御方法の第一特徴手段を実現できて、操作員の操作介入を排除できるようになる。つまり、酸素濃度検出手段により二次燃焼空間出口における排ガス中の酸素濃度を検出することで、一次空気供給機構からの一次空気供給量と二次空気供給機構からの二次空気供給量との総量である燃焼用空気供給量とを基に、被処理物の理論空気量を求めることができ、この理論空気量と直線関係にあることが経験則として得られている被処理物の燃焼発熱量を推定できる。従って、被処理物の燃焼量と直接関係する燃焼発熱量を指標として、被処理物の燃焼量を制御できるのである。前記理論空気量は、炉内の燃焼状態を直ちに反映するものであるから、遅れなく制御操作量を設定できる。
また、従来の廃熱ボイラを備えるゴミ焼却炉の制御系、つまり、被処理物の燃焼発熱量と比例関係にある廃熱ボイラの蒸気発生量を用いて被処理物の燃焼量を制御する制御系を転用して、熱量指数に対応する被処理物の燃焼による発熱量を、予め求めてある熱量指数との相関関係を基に、換算値として求めて、主蒸気流量を入力する代わりに換算値を入力することで、燃焼発熱量が目標発熱量になるように被処理物の燃焼量を制御することができる。
【0018】
上記第二特徴構成によれば、上記第一特徴構成の作用効果を確実にする。つまり、燃焼発熱量推定手段において、被処理物の理論空気量を理論空気量演算手段で化学量論的に演算導出し、演算導出した理論空気量を基に、燃焼発熱量演算手段で経験則を用いて燃焼発熱量を推定するのである。前記燃焼発熱量演算手段で用いる経験則は、ゴミ質により異なる関係式としてあるから、実際に即した関係式により燃焼発熱量を推定できるのである。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記本発明に係るゴミ焼却炉の燃焼制御方法及び燃焼制御装置の実施の形態の一例について、以下に、図面を参照しながら説明する。尚、前記従来の技術において説明した要素と同じ要素並びに同等の機能を有する要素に関しては、先の図6に付したと同一の符号を付し、詳細の説明の一部は省略する。
【0020】
本発明に係るゴミ焼却炉には、図1に示すように、火炉F内に被処理物を投入する被処理物供給機構11と、前記火炉F内に一次空気を供給する一次空気供給機構12と、前記火炉F内での前記被処理物の焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間Sを形成した二次燃焼室13と、前記二次燃焼室13内に二次空気を供給する二次空気供給機構14とを設けてある。その燃焼制御装置の燃焼制御機構1では、前記火炉F内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して被処理物の燃焼量を制御するように構成してある。
【0021】
本発明に係る燃焼制御装置には、前記二次燃焼空間Sの下流側の煙道Dに、前記二次燃焼空間S出口における排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段6を設ける。さらに、その酸素濃度検出手段6で検出する排ガス中の酸素濃度を基に前記火炉F内に投入された被処理物の燃焼発熱量を推定する燃焼発熱量推定手段5を設け、その燃焼発熱量推定手段5で推定した燃焼発熱量を基に前記被処理物供給機構11と、前記一次空気供給機構12と、前記二次空気供給機構14とをそれぞれ調節可能に構成した燃焼制御機構1を設ける。前記燃焼発熱量推定手段5は、前記火炉F内に供給された一次空気供給量と前記二次燃焼空間S内に供給された二次空気供給量とを合計して求めた燃焼用空気供給量と、前記排ガス中の酸素濃度とを基に、前記被処理物の燃焼発熱量を推定するように構成する。また、前記燃焼制御機構1は、前記推定した燃焼発熱量と目標発熱量との差を基に、前記被処理物供給機構11による被処理物供給量と、前記一次空気供給機構12からの一次空気供給量と、前記二次空気供給機構14からの二次空気供給量とをそれぞれ調節可能として、前記被処理物の燃焼量を制御するように構成する。
【0022】
前記燃焼発熱量推定手段5は、理論空気量演算手段2と燃焼発熱量演算手段3とを備えるように構成する。前記理論空気量演算手段2は、前記燃焼用空気供給量と、前記排ガス中の酸素濃度とに基づき、前記火炉Fに投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、
At =(1−Po2/0.21)×AT
(但し、AT :燃焼用空気供給量(Nm3/h) 、Po2:排ガス中の酸素濃度(%) )として定めた演算式(第一式)に基づき演算導出するように構成する。また、前記燃焼発熱量演算手段3には、定数を予め設定可能な定数設定手段4を備えさせて、前記演算導出した理論空気量と、前記設定された定数とを基に、
Q=a×At +b
(但し、At :理論空気量、a,b:定数)
として定めた演算式(第二式)に基づき、前記燃焼発熱量(Q)を演算導出するように前記燃焼発熱量演算手段3を構成する。
【0023】
上記第二式の定数a,bは、例えば図2に示すような相関線図からこれを決定することが可能である。図示の相関線図は、定格量のゴミを火炉F内に投入した際の定格理論空気流量(Ao )と、その時に前記火炉F内で発生する燃焼発熱量と(Q)の相関を示したもので、廃熱ボイラを備える特定のゴミ焼却プラントを対象として求めたものである。図の横軸である定格理論空気流量は、炉内に投入するゴミの化学成分を分析し、検出された可燃性元素(C、S、H等)の量から、対象とした炉の定格焼却量(一時間あたり)のゴミが燃焼する際に発生する熱量を求め、ゴミの燃焼発熱量(Q)とし、その燃焼に要する必要酸素量から求めた必要空気流量を、定格理論空気流量(Ao )としたものである。この定格理論空気流量(Ao )は、前記理論空気量(At )に相当するものである。上記により各ゴミ質に対して求めた値は表1に示すとおりである。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示したデータを基に相関線を求めたのが図2であるが、得られた相関式は、
Q=Ao ×4.46×10+3−1.67×10+7
(但し、Q:燃焼発熱量(kJ/kg) 、Ao :定格理論空気流量(Nm3/h) )であった。この相関式の分散は1.0であり、図示のように、前記定格理論空気流量は、前記燃焼発熱量に対して直線相関を示している。図示の相関線上の点Aは低質ゴミ、点Bは基準ゴミ、点Cは高質ゴミの夫々の測定値である。
【0026】
以上説明した燃焼制御装置の構成により、図3に示すように、火炉F内で被処理物を焼却処理し、その焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間Sを設けてあるゴミ焼却炉の火炉F内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御方法を実施するのに、前記火炉F内及び前記二次燃焼空間S内に供給された燃焼用空気供給量と、前記二次燃焼空間S出口における排ガス中の酸素濃度とに基づき、前記投入された被処理物の燃焼発熱量を推定し、前記推定した燃焼発熱量と前記目標発熱量との差に基づき、前記火炉F内への被処理物供給量、前記火炉F内への一次空気供給量、前記二次燃焼空間S内への二次空気供給量のうちの少なくとも一つを調節して、前記被処理物の燃焼量を制御するするという本発明に係る燃焼制御方法を実現できる。
【0027】
ここで、前記理論空気量演算手段2では、前記第一式により前記燃焼用空気供給量(AT )と、前記排ガス中の酸素濃度(Po2)とに基づき、前記火炉Fに投入された被処理物に対する理論空気量(At )を求め、前記燃焼発熱量演算手段3では、前記第二式を用いて、前記理論空気量演算手段2で求めた理論空気量 (At )を基に前記燃焼発熱量(Q)を推定するのである。
【0028】
〔別実施形態〕
上記実施の形態において示さなかった本発明に係るゴミ焼却炉の燃焼制御方法及び燃焼制御装置の実施の形態について以下に説明する。
【0029】
〈1〉上記実施の形態に於いては、燃焼発熱量推定手段5を、理論空気量演算手段2と燃焼発熱量演算手段3とで構成し、燃焼用空気供給量と排ガス中の酸素濃度とに基づき、火炉Fに投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、 At =(1−Po2/0.21)×AT
(但し、AT :燃焼用空気供給量(Nm3/h) 、Po2:排ガス中の酸素濃度(%) )として求め、求めた理論空気量を基に、燃焼発熱量(Q)を、
Q=a×At +b
(但し、At :理論空気量(Nm3/kg)、a,bは予め設定された定数)
と定義した関係式を用いて推定する例について説明したが、ボイラ蒸気流量(t/h)が燃焼発熱量に比例するものであり、前記燃焼発熱量が上記第二の式のごとく理論空気量と直線関係にある点に着目し、供給された燃焼用空気の総量と、前記排ガス中の酸素濃度とから求めた理論空気量を、前記定格焼却量の基準ゴミに対する定格理論空気流量Ao(Nm3/h)で除して、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として燃焼量を無次元化した指標となる熱量指数Sh を求め、図4に示すようなボイラ蒸気流量(t/h) との直線的な相関関係を基に、主蒸気流量換算値を求めるように構成してもよい。
【0030】
前記熱量指数Sh は、例えば、
Sh =At /(Ats×Gvs)
(但し、At :火炉に投入された被処理物に対する理論空気量(Nm3/h) 、Ats:基準ゴミの理論空気量(Nm3/kg)、Gvs:定格焼却量(kg/h))
として定義することができ、この式における理論空気量At は、上記の式、
At =(1−Po2/0.21)×AT
から求まる。従って、前記熱量指数Sh は、
Sh =(1−Po2/0.21)×AT /(Ats×Gvs)
(但し、Po2:排ガス中の酸素濃度(%) 、AT :炉内に供給した燃焼用空気供給量(Nm3/h) 、Ats:基準ゴミの理論空気量(Nm3/kg)、Gvs:定格焼却量(kg/h))として定義できる。そして、前記燃焼指数Sh の主蒸気流量換算値Gsaは、例えば図4に示した相関関係から、
Gsa=c×Sh +d
(但し、c=0.1525、d=14.758)
として求めればよい。尚、上記c、dは、炉によって異なり、或いはゴミの状態によって、つまり、地域によって変化することがある。このように構成すれば、従来の廃熱ボイラを備えるゴミ焼却炉の制御系をそのまま転用して、主蒸気流量を入力する代わりに前記主蒸気流量換算値を入力することができる。
【0031】
〈2〉上記実施の形態に於いては、煙道Dに、二次燃焼室13からの排ガスを噴霧水で冷却する排ガス冷却装置15を設けてある例につき図1に示して説明したが、前記排ガス冷却装置15は、排ガス中に空気を供給して、前記排ガスを希釈冷却する空気冷却装置であってもよい。この場合には、酸素濃度検出手段6を前記空気冷却装置の上流側に配置してもよく、また、理論空気演算手段2において、燃焼用空気供給量を求めるのに、一次空気と二次空気の供給量の合計に前記空気冷却装置に供給された冷却用空気の供給量を加算してもよい。さらに、前記排ガス冷却装置15を設ける代わりに廃熱ボイラを設けてあってもよく、前記排ガス冷却装置15を廃熱ボイラに併設してあってもよい。
【0032】
〈3〉上記実施の形態に於いては、二次燃焼室13出口の煙道Dに、炉出口温度検出手段7の温度検出端7aを設けてある例を図1に示して説明したが、前記炉出口温度検出手段7の設置は任意であり、これを設けていなくてもよい。また、前記温度検出端7aの位置も図示と異なっていてもよい。
【0033】
〈4〉上記実施の形態に於いては、排ガス冷却装置15出口の煙道Dに、排ガス温度検出手段8の検出端8aを設けてある例を図1に示して説明したが、前記排ガス温度検出手段8の検出端8aは、バグフィルタ16の入口に配置してあってもよい。
【0034】
〈5〉上記実施の形態に於いては、バグフィルタ16出口の煙道Dに、酸素濃度検出手段6の酸素検出端6aを設けてある例を図1に示して説明したが、前記酸素検出端6aは、排ガス処理装置17出口側の煙道Dに配置してあってもよい。
【0035】
【実施例】
上述の燃焼制御方法について、その精度を確認するために、図2に示した相関線図を求める対象としたゴミ焼却炉により実験を行った。バグフィルタ出口側の煙道Dに設けてある酸素濃度検出手段6で検出した排ガス中の酸素濃度を基に、理論空気量演算手段2により火炉Fに投入された被処理物に関する理論空気量At を求め、求めた理論空気量At に対象としたゴミ焼却炉における定格焼却量を乗じて、前記定格焼却量のゴミに対する定格理論空気流量Ao(Nm3/h)を求め、また、炉内に供給した燃焼用空気供給量AT (Nm3/h) と、前記酸素濃度検出手段6で検出した排ガス中の酸素濃度Po2から、被処理物の理論空気量At(Nm3/h)を求め、これを前記定格理論空気流量で除して熱量指数とし、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として無次元化した燃焼量の指標とした。この熱量指数は、図4に示したように、実験的にボイラからのボイラ蒸気流量(t/h) と直線的な相関関係のあることから、ボイラ蒸気流量に代替可能なものである。
【0036】
対象としたゴミ焼却炉においては、廃熱ボイラからの主蒸気流量Gs をプロセスデータとして検出しており、通常は、この主蒸気流量Gs からゴミの燃焼量を算出して燃焼制御を行っている。実験に際しては、この主蒸気流量Gs を検出すると同時に、燃焼発熱量推定手段5を設けて、その定数設定手段4に、
a=4.46×10+3,b=1.67×10+7
を設定し、前記酸素濃度検出手段6で検出する酸素濃度を基に、これらa,bの値を用いて燃焼発熱量演算手段3で火炉F内のゴミの燃焼発熱量Qを推定し、この燃焼発熱量Qと目標発熱量とを対比して前記ゴミ焼却炉の燃焼制御を行った。図5は、前記ゴミ焼却炉の操業データを記録したものであるが、Gsaは上述の熱量指数から、図4に示した相関に基づき蒸気流量に換算した熱量指数の主蒸気流量換算値である。図示のように、前記熱量指数は前記主蒸気流量Gs とほぼ同様の挙動を示しており、燃焼指標として十分に使用可能であることが判る。むしろ、前記主蒸気流量Gs は前記主蒸気流量換算値Gsaに比して遅れを示しており、前記熱量指数が前記主蒸気流量よりも好ましい燃焼指標であるともいえる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、廃熱ボイラを備えないゴミ焼却炉においても、廃熱ボイラを備えるゴミ焼却炉と同程度の精度の燃焼制御ができるようになった。
【0038】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るゴミ焼却設備の一例につき構成を説明する説明図
【図2】 理論空気量と燃焼発熱量の関係を示す線図
【図3】 本発明に係る燃焼制御手順の一例を示す流れ図
【図4】 本発明に係る制御指標を説明する線図
【図5】 本発明の一実施例を示す線図
【図6】 従来のゴミ焼却設備の一例を示す説明図
【符号の説明】
1 燃焼制御機構
2 理論空気量演算手段
3 燃焼発熱量演算手段
4 定数設定手段
5 燃焼発熱量推定手段
6 酸素濃度検出手段
11 被処理物供給機構
12 一次空気供給機構
14 二次空気供給機構
F 火炉
S 二次燃焼空間
D 煙道
Claims (4)
- 火炉(F)内で被処理物を焼却処理し、その焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間(S)を設けてあるゴミ焼却炉において、
前記火炉(F)内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御方法であって、
前記火炉(F)内及び前記二次燃焼空間(S)内に供給された燃焼用空気供給量と、前記二次燃焼空間(S)出口における排ガス中の酸素濃度とに基づき理論空気量(A t )を求め、前記理論空気量(A t )を定格焼却量の基準ゴミに対する定格理論空気流量(A o )で除して、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として燃焼量を無次元化した指標となる熱量指数(Sh)を求め、
その求めた熱量指数(Sh)を基に前記火炉(F)内に投入された被処理物の燃焼発熱量を推定し、
前記推定した燃焼発熱量と前記目標発熱量との差に基づき、前記火炉(F)内への被処理物供給量、前記火炉(F)内への一次空気供給量、前記二次燃焼空間(S)内への二次空気供給量のうちの少なくとも一つを調節して、前記被処理物の燃焼量を制御する燃焼制御方法。 - 前記燃焼用空気供給量(AT )と、前記排ガス中の酸素濃度(Po2)とに基づき、前記火炉(F)に投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、
At =(1−Po2/0.21)×AT
として求め、求めた理論空気量(At )を基に、
Q=a×At +b
(但し、a,bは予め設定された定数)
と定義した関係式を用いて前記燃焼発熱量(Q)を推定する請求項1記載の燃焼制御方法。 - 火炉(F)内に被処理物を投入する被処理物供給機構(11)と、前記火炉(F)内に一次空気を供給する一次空気供給機構(12)と、前記火炉(F)内での前記被処理物の焼却処理に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼空間(S)と、前記二次燃焼空間(S)内に二次空気を供給する二次空気供給機構(14)とを設けてあるゴミ焼却炉において、
前記火炉(F)内に投入する被処理物の燃焼量を、その燃焼発熱量に対し目標発熱量を設定して制御する燃焼制御装置であって、
前記二次燃焼空間(S)の下流側の煙道(D)に、前記二次燃焼空間(S)出口における排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段(6)を設け、前記火炉(F)内に供給された一次空気供給量と前記二次燃焼空間(S)内に供給された二次空気供給量とを合計して求めた燃焼用空気供給量と、前記酸素濃度検出手段(6)で検出した排ガス中の酸素濃度とを基に理論空気量(A t )を求め、前記理論空気量(A t )を定格焼却量の基準ゴミに対する定格理論空気流量(A o )で除して、投入したゴミの燃焼量の基準ゴミの燃焼量に対する比率として燃焼量を無次元化した指標となる熱量指数(Sh)を求め、
その求めた熱量指数(Sh)を基に前記火炉(F)内に投入された被処理物の燃焼発熱量を推定する燃焼発熱量推定手段(5)を設け、前記燃焼発熱量推定手段(5)で推定した燃焼発熱量と前記目標発熱量との差を基に、前記被処理物供給機構(11)による被処理物供給量と、前記一次空気供給機構(12)からの一次空気供給量と、前記二次空気供給機構(14)からの二次空気供給量とをそれぞれ調節可能に構成した燃焼制御機構(1)を設けて、前記被処理物の燃焼量を制御するように構成してある燃焼制御装置。 - 前記燃焼用空気供給量と、前記排ガス中の酸素濃度とに基づき、前記火炉(F)に投入された被処理物に対する理論空気量(At )を、
At =(1−Po2/0.21)×AT
(但し、AT :燃焼用空気供給量、Po2:排ガス中の酸素濃度)
として定めた演算式に基づき演算導出する理論空気量演算手段(2)と、定数を予め設定可能な定数設定手段(4)を備えて、前記理論空気量演算手段(2)で演算導出した理論空気量と、前記定数設定手段(4)に設定された定数とを基に、前記燃焼発熱量(Q)を、
Q=a×At +b
(但し、At :理論空気量、a,b:定数)
として定めた演算式に基づき演算導出する燃焼発熱量演算手段(3)とで、前記燃焼発熱量推定手段(5)を構成してある請求項3記載の燃焼制御装置。
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