JP2008076012A - 焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラム - Google Patents

焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】焼却炉の燃焼状況の変化が生じた場合でも安定して操業する。
【解決手段】制御量の目標値と実測値とに基づいて目標軌道を設定する(S1〜S2)。以後操作量を変更しなかった場合における制御量の変動分を計算する(S3)。これらから操作量不変更時における制御量と目標軌道との偏差を求める(S4)。また、焼却炉の状況に応じて制約条件を設定し(S5)、その制約条件に基づいて、上記偏差を補償するための制御入力偏差量を最適化する(S6)。尚、制御入力偏差量の最適化において、制御量の実測値と操作量の実績値に基づいて計算したむだ時間の結果から焼却炉の燃焼状況の変化を検出し(S61,S62)、必要に応じてモデルの切換を行う(S63,S64)。そして、求めた操作入力により制御対象を操作する(S8)。
【選択図】図3

Description

本発明は、焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラムに関するものである。特に、未来の挙動を予測しながら焼却炉を制御する焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラムに関する
近年の焼却炉においては、焼却炉で焼却された被燃焼物(都市ごみや産業廃棄物など)から発生した廃熱を用いて発生させた蒸気をエネルギーとして有効利用する要求が増えている。そして、焼却炉から効率的にエネルギーを回収するために、焼却炉を安定に操業することが必要である。その一方、焼却炉で焼却する可燃物の質や量の変動、焼却炉に対する操作量の変動などの様々な要因に伴い、焼却炉の燃焼状態が変化する。このため、従来から、かかる焼却炉の燃焼状態の変化に対応しつつ、焼却炉を安定に操業するための焼却炉の様々な制御方法が開発されている。
例えば、本出願人は、特許文献1で、流動床式焼却炉において、例えば制御量に対しても十分な数の操作量が確保できない場合や、或いは入熱が常に変動するような場合においても、常に安定燃焼を行いつつ、制御量を目標値に安定的に制御することを可能にするための流動床式焼却炉の制御方法およびその装置の技術を開発している。特許文献1には、流動床式焼却炉において、制御量として蒸気流量、ボイラ圧力、砂層温度を利用し、操作量であるごみ供給量、蒸気弁開度、一次空気量などによる影響度合いをモデル化し、モデル及び実績値を用いて制御量の未来の変化(予測値)を予測し、予測値と目標値の偏差を元に操作量を計算し、制御量を所望の目標値に追従させることにより流動床式焼却炉を制御するものであり、特に、操作量の計算に用いる目標値を、所定の操作量と所定の制御量とその目標値の関係、及び/若しくは所定の観測値とその目標値の関係に基づいて設定する技術が開示されている。
また、特許文献2には、焼却炉の蒸気流量の変動から蒸気流量を予測し、その予測精度を安定化解析手法または統計的処理により解析し、その評価結果から、予測制御の割合を調整しながら、焼却炉の蒸気流量を安定化させる技術が開示されている。
特開平11−325433号公報 特開2001−289401号公報
しかしながら、前述の特許文献1の技術では、モデルの精度により制御精度が左右されるという問題がある。また、むだ時間に対して燃焼状態の変化をより迅速に検出することができる観測量を利用しているものの、ごみ質変化や水分変化などのモデル変化が大きな場合は十分に制御を行うことができず、モデル変化をするためには再度モデル構築が必要であるという問題がある。
また、前述の特許文献2の技術では、過去の蒸気流量のみから蒸気流量を予測しているためにその予測精度が不十分であり、特に燃焼状態の変化時には対応ができないという問題がある。また、フィードバックによる制御系への補正値を演算して先行制御するものであり、厳密には予測制御を行っているものではなく、特に、補正値の演算の具体的な方法が明確に記載されていないため、その効果が不明確であるという問題がある。更に、焼却炉の燃焼状態の変化によるむだ時間を推定することなく、むだ時間が変化したことを安定化解析手法または統計的処理による予測精度の解析で検出しているにとどまっているため、むだ時間に対応しつつ、焼却炉を十分に制御することができないという問題がある。
本発明の目的は、焼却炉の燃焼状態に変化が生じた場合でも、安定して操業することができる焼却炉の制御方法及び装置、並びにプログラムを提供することである。
本発明に係る焼却炉の制御方法は、焼却炉に係る操作量を説明変数として目的変数である焼却炉に係る制御量を予測するモデルを用いて、制御量の現時点以降における予測値を求める予測値算出ステップと、制御量の現時点における実測値及び現時点以降の目標値から、制御量の目標軌道を定める目標軌道設定ステップと、焼却炉の状態に応じて操業上の制約条件を設定する制約条件設定ステップと、目標軌道と予測値との偏差を求める偏差算出ステップと、焼却炉の燃焼状況の変化を、燃焼速度の変化として、操作量から求めた無駄時間の変化で検出する燃焼状況変化検出ステップと、変化に応じて、モデルを変更するモデル切換ステップと、制約条件のもとで与えられる評価関数を考慮した上で、偏差を補償するように、モデルを用いて操作量を最適化する操作量最適化ステップと、を備え、予測値算出ステップは、燃焼炉の温度測定値から演算される燃焼重心位置を用いて予測値を求めることを特徴とする。
本発明に係る焼却炉の制御装置は、焼却炉に係る操作量を説明変数として目的変数である焼却炉に係る制御量を予測するモデルを用いて、制御量の現時点以降における予測値を求める予測値算出手段と、制御量の現時点における実測値及び現時点以降の目標値から、制御量の目標軌道を定める目標軌道設定手段と、焼却炉の状態に応じて操業上の制約条件を設定する制約条件設定手段と、目標軌道と予測値との偏差を求める偏差算出手段と、焼却炉の燃焼状況の変化を、燃焼速度の変化として、操作量から求めた無駄時間の変化で検出する燃焼状況変化検出手段と、変化に応じて、モデルを変更するモデル切換手段と、制約条件のもとで与えられる評価関数を考慮した上で、偏差を補償するように、モデルを用いて操作量を最適化する操作量最適化手段と、を備え、予測値算出手段は、燃焼炉の温度測定値から演算される燃焼重心位置を用いて予測値を求めることを特徴とする。
これによると、焼却炉で焼却する被焼却物の質(ごみカロリー、ごみの水分量など)や量(供給量)の変動、焼却炉に対する操作量の変動などにより焼却炉の燃焼状況の変化(即ち、燃焼速度の変化)が生じる場合でも、燃焼速度の変化として検出したむだ時間の変化に応じて操作量を最適化する際のモデルを切り換えて、焼却炉の燃焼状態の変化に伴うむだ時間の変化による影響を積極的に低減させることにより、焼却炉の状況に合わせて予測制御を行って制御量の予測精度低下を抑制するとともに、高精度で目標値へ追従を行うことができ、焼却炉の安定した制御を実現することができる。
ここで、本発明に係る焼却炉の制御方法及び制御装置は、焼却炉が、ストーカ炉であり、操作量が、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量の少なくとも一つを含んでも良い。
これによると、ストーカ炉において、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量の少なくとも一つを含む操作量とすることにより、燃焼量(即ち、燃焼速度)を操作することができ、操作量の自由度を高め、より高精度な制御を行うことができる。
また、本発明に係る焼却炉の制御方法は、モデル切換ステップが、更に、無駄時間の変化の大小に応じて、モデルを変更する必要性の有無を判断して良い。
同様に、本発明に係る焼却炉の制御装置は、モデル切換手段が、更に、無駄時間の変化の大小に応じて、モデルを変更する必要性の有無を判断して良い。
これによると、急激な焼却炉の燃焼状況の変化が発生した時などモデルの変更する必要性がある場合のみモデルを変更することにより、頻繁なモデル変更を抑制することができ、焼却炉の制御演算をより安定して行うことが可能になる。
また、本発明に係る焼却炉の制御方法は、モデル切換ステップが、更に、無駄時間が増加する方向に変化した場合にのみモデルを変更して良い。
同様に、本発明に係る焼却炉の制御装置は、モデル切換手段が、更に、無駄時間が増加する方向に変化した場合にのみモデルを変更して良い。
これによると、無駄時間が減少する方向に変化した場合は、制御ゲインが不足して追従性が損なわれるものの燃焼の安定性は維持されるが、無駄時間が減少する方向に変化した場合は、燃焼の安定性が損なわれるため、無駄時間が減少する方向に変化した場合のみモデルを変更することにより、燃焼の安定性を確保すると共に、頻繁なモデルの変更を回避することができ、更に安定した焼却炉の制御を実現することができる。
また、本発明に係る焼却炉の制御方法及び制御装置は、モデルが、線形モデルであってよい。
これによると、演算における係数記憶量を低減することができ、焼却炉のより安定した制御を行うことができる。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを上述した本発明に係る焼却炉の制御装置として機能させることが可能なプログラムであり、上述した本発明に係る焼却炉の制御装置と夫々同様の作用効果を奏する。尚、本発明のプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。ここで、コンピュータは、パーソナルコンピュータのような汎用型に限らず、特定用途を有する装置に組み込まれたものであってもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の実施形態による制御方法及び装置、並びにプログラムを適用する焼却炉の一例であるストーカ炉の概要を、図1に基づいて説明する。図1は、ストーカ炉の概略図を示すものである。
図1に示すように、ストーカ炉10は、下方に風箱12を有する複数のストーカ段13,14,15を備え、ストーカ段13〜15の上方に燃焼室16を備える。複数のストーカ段13,14,15は、後方に向かって下り傾斜しており、乾燥ストーカ13、燃焼ストーカ14、後燃焼ストーカ15の順に前後方向に階段状に縦列配置されている。ここで、乾燥ストーカ13の入口には、ごみ供給装置21を備えるごみ供給口20が設けられ、ごみ供給口20からごみ供給装置21を介して、ストーカ炉10に対して、被燃焼物であるごみが供給される。また、後燃焼ストーカ15の出口には灰出し口22が設けられ、灰出し口22から灰が回収される。そして、燃焼室16の上方には二次燃焼室17が設けられ、更に、二次燃焼室17の後流に熱回収ボイラ30が設置され、ストーカ炉10で発生
した熱を回収する。
ストーカ炉10では、ごみ供給口20から供給される被燃焼物は、ごみ供給装置21によりその供給量(以下、「ごみ供給量」と称する。)を操作されて、ごみ供給口20から順に、乾燥ストーカ13、燃焼ストーカ14、後燃焼ストーカ15の各ストーカ段上を順次流れ、乾燥されて燃焼させられる。即ち、ごみ供給口20から乾燥ストーカ13前部に供給された被燃焼物は、乾燥ストーカ13において、下方の風箱12から供給される一次空気と、炉内の輻射熱により乾燥される。特に、都市ごみは水分が多く含まれるため、この水分の蒸発と、一部熱分解がこの乾燥ストーカ13で行われる。次に、燃焼ストーカ14において、下方の風箱12から供給される一次空気により被燃焼物に着火させ、揮発分及び固定炭素分を燃焼させる。そして、後燃焼ストーカ15において、燃焼されずに通過してきた未燃分(主として固定炭素分)を完全に灰になるまで燃焼させる。また、燃焼室16で生じた燃焼ガスは、二次空気と混合されて二次燃焼室17に至り、そこで燃焼される。この際に発生した熱は付属のボイラ30により回収される。
ボイラ30は、ストーカ炉10に付属して設置されており、ストーカ炉10で発生した熱を回収する。ボイラ30は、ストーカ炉10のプロセスで発生した熱を利用して水を蒸発させるボイラドラム31を備えている。このボイラ30で発生した蒸気の持つエネルギーは、図示されない発電機によって電気エネルギーに変換され、余剰電力や設備所要電力として回収される。また、ボイラ30の下流側には、図示されないガス冷却装置、排ガス処理装置(バグフィルタ等)、誘引送風機、煙突が順に設置されている。ここで、誘引送風機(IDF)は、炉内の排ガスを誘引して煙突から放出するための送風機であり、炉内の圧力が高くなると回転数を上げて多量のガスを誘引するなど、炉内圧を一定(負圧)に保つために動作している。
次に、本発明の実施形態に係るストーカ炉10(制御対象A)の制御装置を、図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る制御装置のブロック線図を示すものである。本実施形態では、制御手法としてモデル予測制御手法を用いる。尚、以下で説明する本実施の形態に係る制御装置は、コンピュータにおいても同様に、プログラムとしてCPUにより読み出して実行することができる。また、このプログラムは、CD−ROMやFD、MOなどのリムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータの記憶装置にインストールすることが可能である。
制御装置1は、目標軌道生成部(目標軌道設定手段)2と、操作量不変時制御量変動分計算部(予測値算出手段)3と、操作量最適化計算部(操作量最適化手段)4と、制約条件設定部(制約条件設定手段)5と、制御対象特性推定計算部(燃焼状況変化検出手段)6a及び制御対象特性切換計算部(モデル切換手段)6bを有する適応計算部6と、制御量差分計算部(偏差算出手段)7及び操作量不変時制御量偏差計算部(偏差算出手段)8と、を備えている。
目標軌道生成部(目標軌道設定手段)2は、制御量の目標値r(k+i)と、制御量の実測値y(k)に基づいて、目標軌道yr(k+i)を設定する。
操作量不変時制御量変動分計算部(予測値算出手段)3は、制御量の実測値y(k)、操作入力u(k)、その他制御対象Aの観測量w(k)の履歴から、以後操作量を変更しなかった場合における制御量の変動分(現時点の値からの変動分)Δy0(k+i)を計算する。この操作量不変時における制御量の変動分Δy0(k+i)の計算に際しては、使用するモデルの種類(ARXモデル、ステップ応答モデル、プログラムからなるシミュレータなど)や操作入力の数(単入力か多入力か)によって、操作入力u(k)を必要としなかったり、制御量の実測値y(k)を必要としなかったり、あるいは、その他制御対象Aの観測量w(k)の現時刻以降の挙動を推定するモデルを必要としたり、その他、外乱の影響を推定する機能を含んでも良い。
一方、制約条件設定部(制約条件設定手段)5において、ストーカ炉10の状況に応じて制約条件を設定する。制約条件としては、例えば、操作入力や制御量の上下限制約、操作入力の変動量の制約、ストーカ炉10の出口温度など、直接の制御量ではないが、操業上定められている制約などがあり、いずれも直接あるいは間接的に操作入力の制約条件として表すことができる。また、これらの制約条件を、目標処理量や被燃焼物の質、炉内温度、燃え切り位置、ボイラドラム31の圧力(以下、「ボイラドラム圧力」と称する。)などによって変更することにより、ストーカ炉10の状況に合わせた操作が可能となり、より安定した自動操業が実現できる。
また、制御量差分計算部(偏差算出手段)7は、目標軌道生成部2で設定した目標軌道yr(k+i)と比較した場合の、制御量の実測値y(k)との差分yr(k+i)- y(k)を計算する。
操作量不変時制御量偏差計算部(偏差算出手段)8は、制御量差分計算部7から求めた目標軌道生成部2で設定した目標軌道yr(k+i)と制御量の実測値y(k)との差分yr(k+i)- y(k)と、操作量不変時制御量変動分計算部3で求めた以後操作量を変更しなかった場合における制御量の変動分Δyr(k+i)とから、操作量不変時において制御量が目標軌道とどれだけずれるかの偏差Δye(k+i)を計算する。
適応計算部6では、まず、制御対象特性推定計算部(燃焼状況変化検出手段)6aにおいて、過去の実測値y(k)と操作入力u(k)から制御対象特性(特に、ごみカロリー、水分)を計算する。そして、制御対象特性切換計算部(モデル切換手段)6bにおいて、制御対象特性推定計算部6aでの計算結果を元に操作量最適化計算部4で用いるモデルの切換の必要性の有無及び切換の際の計算を行う。
そして、操作量最適化計算部(操作量最適化手段)4において、操作量不変時制御量偏差計算部8で計算された操作量不変時において制御量が目標軌道とどれだけずれるかの差Δye(k+i)と、制約条件設定部5で設定された制約条件、調整パラメータと、適応計算部6で必要に応じて切り換えたモデル、に基づいて、Δye(k+i)を補償するための制御入力偏差量Δu(k)が最適化される。このΔu(k)を前制御周期の操作量u(k-1)に加算することによって、制御対象Aに入力する制御入力u(k)が求まる。
次に、本発明の実施形態に係る制御装置1を用いたストーカ炉10(制御対象A)の制御方法を、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3は、本実施形態に係る制御方法のフローチャートを示すものである。なお、本実施形態では、上述の制御装置と同様、制御手法としてモデル予測制御手法を用いる。
まず、制御量の目標値r(k+i)を設定する(ステップS1:目標軌道設定ステップ)。ここで、目標値r(k+i)は、炉内温度、ボイラドラム圧力、ボイラドラム31から排出される蒸気流量(以下、「蒸気流量」と称する。)のそれぞれの目標値を要素とするベクトルである。
次に、制御量の目標値r(k+i)と制御量の実測値y(k)とに基づいて、目標軌道生成部2が目標軌道yr(k+i)を設定する(ステップS2:目標軌道設定ステップ)。目標軌道yr(k+i)の設定方法としては、例えば、図5に示すものがある。これは、次式(数1)のように設定するものであり、制御量の実測値y(k)から制御量の目標値r(k+i)に一定の割合で近づけていくものである。なお、次式(数1)の行列Cを零行列にすれば、目標軌道yr(k+i)は制御量の目標値r(k+i)そのものに一致する。
Figure 2008076012
次に、操作量不変時制御量変動分計算部3が、モデルを用いて操作量不変時における制御量の変動分Δy0(k+i)を計算する(ステップS3:予測値算出ステップ)。ここで、モデルは、操作量である風箱12から供給される一次空気の量(以下、「一次空気量」と称する。)、ごみ供給量、ストーカ段13,14,15が被焼却物を送る速度(以下、「ストーカ送り速度」と称する。)および燃焼重心位置を説明変数として入力し、制御量である炉内温度、ボイラドラム圧力、蒸気流量を目的変数として出力とする。このモデルは次式(数2)で表される。
Figure 2008076012
また、ここで、燃焼重心位置は以下の式により算出される。
Figure 2008076012
なお、上式におけるpは火格子のゾーン数を示し、Tiは、火格子送り方向にゾーンを設けた各ゾーンでの火格子温度測定値を示す。すなわち、燃焼重心位置は、火格子温度測定値から算出される。
ここで、操作量不変時における制御量の変動分Δy0(k+i) は、今後操作量を変更しなかった場合の制御量の変動分である。このΔy0(k+i)を用いて、j≧0のときΔu0(k+j)=0とすれば、上述の式(数2)で表されるモデルを用いて、次式(数4)により、操作量不変時における制御量の変動分Δy0(k+i)が求まる。
Figure 2008076012
次に、制御量差分計算部7及び操作量不変時制御量偏差計算部8において、ステップS2で求めた目標軌道yr(k+i)と、ステップS3で求めた操作量不変時における制御量の変動分Δy0(k+i)と、現時点における制御量の実測値y(k)(炉内温度、ボイラドラム圧力、蒸気流量の実測値を要素に持つベクトル)とから、操作量不変時における制御量と目標軌道との偏差Δye(k+i)を次式(数5)により計算する(ステップS4:偏差算出ステップ)。
Figure 2008076012
次に、制約条件設定部5において、操作入力Δu(k+i)に対し、制約条件を設定する(ステップS5:制約条件設定ステップ)。例えば、操作入力の上下限制約、変動幅の上下限制約は、次式(数6)で表される。
Figure 2008076012
また、制御量に関する制約条件なども操作量の関数として表されるから、これらの制約条件はすべて、次式(数7)の形に帰着することができる。
Figure 2008076012
そして、操作量最適化計算部4において、未来の一定区間において、ステップS4で求めた偏差Δye(k+i)を補償するための偏差入力Δu(k)を、適応計算部6(制御対象特性推定計算部6a及び制御対象特性切換計算部6b)で必要に応じて切り換えたモデルを用いて求める(ステップS6:燃焼状況変化検出ステップ、モデル切換ステップ、操作量最適化ステップ)。ここで、モデルは、操作量である一次空気量、ごみ供給量、ストーカ送り速度および燃焼重心位置を説明変数として入力とし、制御量である炉内温度、ボイラドラム圧力、蒸気流量を目的変数として出力とするモデルであり、次式(数8)で表される。
Figure 2008076012
さて、上述の式(数8)で表されたモデルから、現時点以降の操作入力が制御量に及ぼす影響を表す部分Δy+(k+i)を抽出すると次式(数9)となる。
Figure 2008076012
ここでの目的は、偏差Δye(k+i)を補償するための偏差入力Δu(k)を求めることである。そのためには、Δye(k+i)とΔy+(k+i)が、未来の一定区間において、できるだけ一致するような偏差入力Δu(k)を求めればよい。具体的には、上述の制約条件(数7)のもとで、次式(数10)で与えられる評価関数Jを最小化するΔu(k)を求めればよい。次式(数10)は、二次計画問題として解かれ、現時点での操作量の偏差ベクトルΔu(k)が求まる。
Figure 2008076012
そして、上記ステップS6で求めた操作量の偏差Δu(k)を、前時点の操作量u(k-1)に加算することによって、現時点における操作入力を行う操作量u(k)を求める(ステップS7:操作量最適化ステップ)。即ち、次式(数11)によって、現時点における一次空気量、ごみ供給量、ストーカ送り速度を求める。
Figure 2008076012
そして、上記操作量u(k)を制御対象Aに入力して、操作対象を操作する(ステップS8)。即ち、u(k)に基づいて、一次空気量、ごみ供給量、ストーカ送り速度を操作する。
ステップS8が終了するとステップS1に戻り、以上のステップS1からステップS8までの処理を制御周期ごとに繰り返す。
ここで、ステップS6での偏差入力Δu(k)の詳細な計算方法を図4のフローチャートに基づいて説明する。図4は、偏差入力Δu(k)の詳細な計算方法のフローチャートを示すものである。
まず、制御対象特性推定計算部6aにおいて、過去の操作量u(k)(一次空気量、ごみ供給量、ストーカ送り速度および燃焼重心位置)の変化量と蒸気流量の実測値y(k)の時系列を元に、時系列区間での投入ごみカロリー(特性変化量)を推定する(ステップS61:燃焼状況変化検出ステップ)。推定の手法としては、熱バランス式、物質バランス式を元に演算する方法、各パラメータの平均値などの代表値を元に演算する方法などが上げられる。そして、ここで推定したごみカロリーの結果(以下、「カロリー推定値」と称する。)をKとする。
そして、ステップS61で求まるごみカロリー推定値Kと、ゴミ供給量の実績値Sと、ストーカ送り速度の実績値Vと、からごみ供給量を変化させた場合に蒸気流量が変化するまでのむだ時間Td(特性切換係数)を次式(数12)に従い演算する(ステップS62:燃焼状況変化検出ステップ)。尚、次式の関数Fは、シミュレータを用いるか、あるいは実操業データを元にして予め求めておいた関数式を用いる。
Figure 2008076012
次に、制御対象特性切換計算部6bにおいて、ステップS62で得られたむだ時間Tdと、前回計算した際の値PreTdとの差を用いて、次式(数13)に従って、モデル切換有無を計算する(ステップS63:モデル切換ステップ)。尚、初回の計算時には、前回計算した際のカロリー計算値PreTdとして、今回の計算値であるカロリー計算値Calを用いることとする。
Figure 2008076012
尚、数13中、αはごみ供給量の急激な変化(突発的に廃棄物が過剰に入ってしまうような給塵外乱の場合などの突発的過剰供給、ごみ切れ等)、或いはごみ発熱量の急激な変化への対応を抑制するパラメータであり、過去の操業データにより設定する。また、βは不感帯の役割をするものであり、計算誤差等の影響を吸収する値を求めることにより設定する。
ステップS63において、数13の式を満たさない場合はモデル切換の必要がないと判断して(ステップS63:False)、モデルの変更を行わない。即ち、次式(数14)に従い、ステップS3で用いたモデル(数2)を用いて、数8の式に従って偏差入力Δu(k)を計算する(ステップS65:操作量最適化ステップ)。
Figure 2008076012
一方、ステップS63において、数13の式を満たす場合はモデル切換の必要があると判断して(ステップS63:True)、モデルの変更を行う(ステップS64:モデル切換ステップ)。モデルの変更の具体的な方法としては、オンラインにて制御周期毎に逐次的に変更する手法が考えられる。
ここで、このステップS63において、数13の式を満たす場合にモデル切換の必要があると判断して(ステップS63:True)、モデルの変更を行う(ステップS64:モデル切換ステップ)方法では、例えば、周期的な外乱が印加されている場合にはその影響を低減することが困難である。即ち、周期外乱による影響をモデル特性の変動と誤認識してしまうために、常にモデル特性の変更を続けることとなり、燃焼を安定化させることが困難になる。また、外乱が印加されていない場合においてもモデルを頻繁に変更することは、予測制御の計算において数値的に不安定な状況を誘発することもあり、モデルの変更は必要最低限にすることが望まれる。従って、本実施の形態では、ステップS63において、数13の式を満たす場合においても、更に、変更を必要とする場合と、それ以外の
場合と、を分離して判断する。具体的には、図6に示すとおり、予めむだ時間Tdの代表点をN−1個選び、それにTd=0を加えたN個の区間毎に代表モデルxnを用意しておく。そして、次式(数15)に従いモデルの変更を行うかどうかを判断する。
Figure 2008076012
これは、ステップS62で得られたむだ時間Tdが、前回演算値PreTdと異なる区間に属した場合には、モデルの変更を行うことを表している。この数15の式を満たす場合は、モデル切換の必要があると判断して(ステップS63:True)、下記に示す式(数16)に従って、モデルの変更を行う。そして、変更したモデルに基づいて、数8の式に従って偏差入力Δu(k)を計算する(ステップS65:操作量最適化ステップ)。
Figure 2008076012
尚、数15の式を満たさない場合は、モデル切換の必要がないと判断して(ステップS63:False)、モデルの変更を行わない。即ち、次式(数14)の式に従い、ステップS3で用いたモデル(数2)を用いて、数8の式に従って偏差入力Δu(k)を計算する(ステップS65:操作量最適化ステップ)。
また、更にモデルの変更の頻度を低下させる場合には、数15の式の替わりに次式(数17)に従いモデルの変更を行う。
Figure 2008076012
数17の式は、数15の条件式において、むだ時間Tdが増加する方向に変化した場合のみを示している。即ち、ステップS62で得られたむだ時間Tdが、前回演算値PreTdと異なる区間に属した場合であっても、むだ時間Tdが減少の方向に変化した場合は、モデル変更を行わないことを表している。これは、むだ時間Tdが減少の際は制御ゲインが不足する(追従性が損なわれる)が燃焼の安定は維持されるため、モデルの変更を実施するものとしている。一方、むだ時間Tdが増加の際は燃焼の安定も損なわれるため、それを回避するためにモデルの変更を実施するものとしている。この数17の式を満たす場合は、モデル切換の必要があると判断して(ステップS63:True)、下記に示す式(数18)に
従って、モデルの変更を行う。そして、変更したモデルに基づいて、数8の式に従って偏差入力Δu(k)を計算する(ステップS65:操作量最適化ステップ)。
Figure 2008076012
数18の式は、むだ時間Tdが増加方向の際のみモデルの変更を行うために、減少方向への変化が開始された時点とそこから増加へ転じた際のモデルダイナミクスに大きな差異が発生する場合があり、それを急激に変化させず、漸近的に変化させることで、より安定な制御演算を実現している。
尚、この数17の式を満たさない場合は、モデル切換の必要がないと判断して(ステップS63:False)、モデルの変更を行わない。即ち、次式(数14)の式に従い、ステップS3で用いたモデル(数2)を用いて、数8の式に従って偏差入力Δu(k)を計算する(ステップS65:操作量最適化ステップ)。
次に、上述した本実施形態に係るストーカ炉の制御方法及び装置、並びにプログラムを用いた場合の実験結果について、図7及び図8に基づいて、説明する。図7は従来の制御方法、装置並びにプログラムを用いた場合の制御結果を示す図である。図8は本実施形態に係る制御方法、装置並びにプログラムを用いた場合の制御結果を示す図である。
図7に示すように、従来技術の制御方法、装置並びにプログラムを用いた場合は、制御開始直後は蒸気流量を目標値(図7の目標蒸気流量)に追従させているのが、カロリーが上昇した時点(T)以降は蒸気流量も安定せず、それに従ってごみ供給量も振動的になっているのが確認される。このように、従来技術の制御方法を用いた場合は、カロリーが変動した場合に予測制御でのモデルが一致しないために、蒸気流量を目標値(図7の目標蒸気流量)へ追従させることができず、ストーカ炉を安定して制御できないことがわかる。
一方、図8に示すように、カロリーが上昇した時点(T)直後は蒸気流量が一時的に大きく変動しているが、次第に蒸気流量が安定するのが確認される。このように、本実施形態に係る制御方法を用いた場合は、カロリーが変動した場合に、カロリーが変動した時点ではモデルが切り換わっていないために一時的に蒸気流量が大きく変動するものの、カロリーが変動して燃焼状況の変化を検出して予測制御でのモデルを切り換えることにより、ごみ供給量を適切に操作して、蒸気流量を目標値(図8の目標蒸気流量)へ追従させることができ、ストーカ炉を安定して制御できることがわかる。
以上に説明したように、本実施形態に係る焼却炉の制御方法(図3及び図4に示すフローチャート)及び制御装置1、並びにプログラムによると、焼却炉で焼却する被焼却物の質(ごみカロリー、ごみの水分量など)や量(供給量)の変動、焼却炉に対する操作量の変動などにより焼却炉の燃焼状況の変化(即ち、燃焼速度の変化)が生じる場合でも、適応計算部6において、燃焼速度の変化として検出したむだ時間の変化に応じて操作量を最適化する際のモデルを切り換えて(図4に示すフローチャートのステップS61〜64:燃焼状況変化検出ステップ及びモデル切換ステップ)、焼却炉の燃焼状態の変化に伴うむだ時間の変化による影響を積極的に低減させることにより、焼却炉の状況に合わせて予測制御を行って制御量の予測精度低下を抑制するとともに、高精度で目標値へ追従を行うことができ、焼却炉の安定した制御を実現することができる。
また、操作量として、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量および燃焼重心位置を用い、制御対象特性推定計算部6aにおいて、燃焼状況の変化(燃焼速度の変化)を、操作量から求めた無駄時間として検出しており(図4に示すフローチャートのステップS61,S62:燃焼状況変化検出ステップ)、ストーカ炉において、燃焼量(即ち、燃焼速度)を操作することができ、操作量の自由度を高め、より高精度な制御を行うことができる。更に、制御量として、蒸気流量を用いており、蒸気流量の変動を予測することでむだ時間による影響を低減することができる。
また、制御対象特性切換計算部6bにおいて、更に、燃焼状況の変化に応じてモデルを変更する必要性の有無を判断して(図4に示すフローチャートのステップS63:モデル切換ステップ)、急激な焼却炉の燃焼状況の変化が発生した時などモデルの変更する必要性がある場合のみモデルを変更することにより、頻繁なモデル変更を抑制することができ、焼却炉の制御演算をより安定して行うことが可能になる。
また、制御対象特性切換計算部6bにおいて、無駄時間が減少する方向に変化した場合のみモデルを変更している(図4に示すフローチャートのステップS63:モデル切換ステップ)。従って、無駄時間が減少する方向に変化した場合は、制御ゲインが不足して追従性が損なわれるものの燃焼の安定性は維持されるが、無駄時間が減少する方向に変化した場合は、燃焼の安定性が損なわれるため、無駄時間が減少する方向に変化した場合のみモデルを変更することにより、燃焼の安定性を確保すると共に、頻繁なモデルの変更を回避することができ、更に安定した焼却炉の制御を実現することができる。
更に、操作量不変時制御量変動分計算部3において、モデルの説明変数として、火格子温度制御測定値から算出される燃焼重心位置を含ませることにより(図3に示すフローチャートのステップS3:予測値算出ステップ)、ストーカ炉において、モデルの構築及び将来の予測値を安定且つ高精度に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。
本実施の形態では、焼却炉としてストーカ炉に適用し、予測制御のモデルにおいて、モデルの説明変数として操作量であるごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量および燃焼重心位置を用い、モデルの目的変数として制御量として炉内温度とボイラドラム圧力と蒸気流量を用いたが、それに限られない。即ち、様々な焼却炉に対して適用すると共に、焼却炉の予測制御を正確に行うために、説明変数及び目的変数として適切な操作量に対する制御量と観測量を用いたモデルを使用する。
なお、制御量として炉内温度を用いる場合、炉内温度は、熱電対により計測されることが通常であるが、放射温度計や輝度センサなど電磁波を利用するセンサを使用することが望ましい。熱電対による温度計測は、温度変化に対する応答性が悪く、遅れ時間も無視できず、制御性能を悪化させる要因となる。
また、上述の実施形態では、操作量不変時の制御量変動分を予測計算しているが、操作量を変えたときの制御量変動分を予測計算してもよい。
また、ストーカ炉の制御プログラムは、記憶部のROMに予め読み出し専用に書き込まれていても良いし、CD等の記録媒体に記録されたものが必要時に読み出されて記憶部に書き込まれても良いし、さらにはインターネット等の電気通信回線を介して伝送されて記憶部に書き込まれても良い。
ストーカ炉の概略図を示すものである。 本実施の形態に係る制御装置のブロック線図である。 本実施の形態に係る制御方法のフローチャートである。 偏差入力の詳細な計算方法のフローチャートである。 目標軌道の設定方法を表す一例の図である。 むだ時間の区間とその区間に対応する代表モデルの関係を示す図である。 従来の制御方法、装置並びにプログラムを行った場合の実験結果である。 本実施の形態による制御方法、装置並びにプログラムを行った場合の実験結果である。
符号の説明
1 制御装置
2 目標軌道生成部(目標軌道設定手段)
3 操作量不変時制御量変動分計算部(予測値算出手段)
4 操作量最適化計算部(操作量最適化手段)
5 制約条件設定部(制約条件設定手段)
6 適応計算部
6a 制御対象特性推定計算部(燃焼状況変化検出手段)
6b 制御対象特性切換計算部(モデル切換手段)
7 制御量差分計算部(偏差算出手段)
8 操作量不変時制御量偏差計算部(偏差算出手段)
10 ストーカ炉
S1、S2 目標軌道設定ステップ
S3 予測値算出ステップ
S4 偏差算出ステップ
S5 制約条件設定ステップ
S6 燃焼状況変化検出ステップ、モデル切換ステップ、操作量最適化ステップ
S61、S62 燃焼状況変化検出ステップ
S63、S64 モデル切換ステップ
S65 操作量最適化ステップ
S7 操作量最適化ステップ

Claims (15)

  1. 焼却炉に係る操作量を説明変数として目的変数である焼却炉に係る制御量を予測するモデルを用いて、前記制御量の現時点以降における予測値を求める予測値算出ステップと、
    前記制御量の現時点における実測値及び現時点以降の目標値から、前記制御量の目標軌道を定める目標軌道設定ステップと、
    前記焼却炉の状態に応じて操業上の制約条件を設定する制約条件設定ステップと、
    前記目標軌道と前記予測値との偏差を求める偏差算出ステップと、
    前記焼却炉の燃焼状況の変化を、燃焼速度の変化として、前記操作量から求めた無駄時間の変化で検出する燃焼状況変化検出ステップと、
    前記変化に応じて、前記モデルを変更するモデル切換ステップと、
    前記制約条件のもとで与えられる評価関数を考慮した上で、前記偏差を補償するように、前記モデルを用いて前記操作量を最適化する操作量最適化ステップとを備え、
    前記予測値算出ステップは、燃焼炉の温度測定値から演算される燃焼重心位置を用いて前記予測値を求めることを特徴とする焼却炉の制御方法。
  2. 前記焼却炉は、ストーカ炉であり、
    前記操作量は、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の焼却炉の制御方法。
  3. 前記モデル切換ステップは、更に、前記無駄時間の変化の大小に応じて、前記モデルを変更する必要性の有無を判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼却炉の制御方法。
  4. 前記モデル切換ステップは、更に、前記無駄時間が増加する方向に変化した場合にのみモデルを変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の焼却炉の制御方法。
  5. 前記モデルは、線形モデルであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の焼却炉の制御方法。
  6. 焼却炉に係る操作量を説明変数として目的変数である焼却炉に係る制御量を予測するモデルを用いて、前記制御量の現時点以降における予測値を求める予測値算出手段と、
    前記制御量の現時点における実測値及び現時点以降の目標値から、前記制御量の目標軌道を定める目標軌道設定手段と、
    前記焼却炉の状態に応じて操業上の制約条件を設定する制約条件設定手段と、
    前記目標軌道と前記予測値との偏差を求める偏差算出手段と、
    前記焼却炉の燃焼状況の変化を、燃焼速度の変化として、前記操作量から求めた無駄時間の変化で検出する燃焼状況変化検出手段と、
    前記変化に応じて、前記モデルを変更するモデル切換手段と、
    前記制約条件のもとで与えられる評価関数を考慮した上で、前記偏差を補償するように、前記モデルを用いて前記操作量を最適化する操作量最適化手段とを備え、
    前記予測値算出手段は、燃焼炉の温度測定値から演算される燃焼重心位置を用いて前記予測値を求めることを特徴とする焼却炉の制御装置。
  7. 前記焼却炉は、ストーカ炉であり、
    前記操作量は、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の焼却炉の制御装置。
  8. 前記モデル切換手段は、更に、前記無駄時間の変化の大小に応じて、前記モデルを変更する必要性の有無を判断することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の焼却炉の制御装置。
  9. 前記モデル切換手段は、更に、前記無駄時間が増加する方向に変化した場合にのみモデルを変更することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の焼却炉の制御装置。
  10. 前記モデルは、線形モデルであることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の焼却炉の制御装置。
  11. 焼却炉に係る操作量を説明変数として目的変数である焼却炉に係る制御量を予測するモデルを用いて、前記制御量の現時点以降における予測値を求める予測値算出処理と、
    前記制御量の現時点における実測値及び現時点以降の目標値から、前記制御量の目標軌道を定める目標軌道設定処理と、
    前記焼却炉の状態に応じて操業上の制約条件を設定する制約条件設定処理と、
    前記目標軌道と前記予測値との偏差を求める偏差算出処理と、
    前記焼却炉の燃焼状況の変化を、燃焼速度の変化として、前記操作量から求めた無駄時間の変化で検出する燃焼状況変化検出処理と、
    前記変化に応じて、前記モデルを変更するモデル切換処理と、
    前記制約条件のもとで与えられる評価関数を考慮した上で、前記偏差を補償するように、前記モデルを用いて前記操作量を最適化する操作量最適化処理とを、コンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記予測値算出処理は、燃焼炉の温度測定値から演算される燃焼重心位置を用いて前記予測値を求めるように前記コンピュータに実行させることを特徴とする燃焼炉の制御プログラム。
  12. 前記焼却炉は、ストーカ炉であり、
    前記操作量は、ごみ供給量、ストーカ送り速度、一次空気量の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
  13. 前記モデル切換処理は、更に、前記無駄時間の変化の大小に応じて、前記モデルを変更する必要性の有無を判断することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のプログラム。
  14. 前記モデル切換処理は、更に、前記無駄時間が増加する方向に変化した場合にのみモデルを変更することを特徴とする請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載のプログラム。
  15. 前記モデルは、線形モデルであることを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載のプログラム。
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