JP2019190802A - 燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼炉の燃焼制御方法、および燃焼炉の燃焼制御装置 - Google Patents

燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼炉の燃焼制御方法、および燃焼炉の燃焼制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ごみやバイオマスを被処理物とする燃焼炉において、被処理物の供給量や物性などのように、直接的に計測することが困難な状態量を、実際のプロセスデータの観測値に基づいて精度よく推定する。【解決手段】1つ以上の状態量を説明変数とし、燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、複数の数値シミュレーションを実行するステップと、複数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、1つ以上の状態量と1つ以上の観測量との関係性を定式化するステップと、1つ以上の観測点において実際に計測を行い1つ以上の観測量の計測値を得るステップと、実際の計測で得られた1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、定式化された1つ以上の状態量と1つ以上の観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、1つ以上の状態量の推定値を得るステップと、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼炉の燃焼制御方法、および燃焼炉の燃焼制御装置に関する。
ごみ焼却プラントやバイオマス燃焼プラントなどの燃焼プロセスにおいては、排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、塩化水素、水銀などの有害物質の発生を極力抑制しつつ、高効率かつ安定して熱回収できる操業管理が求められている。しかしながら、これらのプラントでは雑多なごみやバイオマスを燃料すなわち被処理物としているため、被処理物の特性(材質、形状、水分、発熱量等)の変動が大きく、燃焼状態が変動しやすい。安定かつ高効率なプラント操業には安定した燃焼が不可欠である。そのために、燃焼前に、被処理物が投入されたピット内で被処理物を攪拌して均一化させるなどの操業上の取り組みや、燃焼状態の変動に対応するための様々な燃焼制御方法の開発がなされている。
これらのプラント、すなわちごみやバイオマスを被処理物とした燃焼炉においては、一般に炉内各部の温度分布や、炉出口の酸素濃度や、排ガス中の一酸化炭素濃度および窒素酸化物濃度などの観測値に基づいて、それらが適切な管理範囲を逸脱しないよう、炉内への被処理物の供給量や、炉内への燃焼空気あるいは再循環排ガスの供給量や、炉内温度を適切に保つために炉内に供給される冷却水の流量や、窒素酸化物を低減するために炉内へ供給される尿素水あるいはアンモニア等の脱硝薬剤の供給量などを調節するような燃焼制御が行われている。なお、「燃焼炉」の概念には「焼却炉」も含まれる。
しかしながら、一般にこれらの燃焼制御は、被処理物が燃焼したあとの結果として観測される観測値に基づいたフィードバック制御として構成されているため、燃焼炉における燃焼変動の根本的な原因である、被処理物であるごみやバイオマスの供給量や物性の変動の情報は、通常利用されていない。
これは、被処理物であるごみあるいはバイオマスの供給量や物性、すなわち水分や発熱量や化学組成を、被処理物が燃焼炉に投入される前に、リアルタイムでかつ高精度に計測することが可能な計測手法あるいは計測装置が存在していないことによる。そのため、被処理物であるごみやバイオオマスの供給量や物性が大きく変化した場合、燃焼制御が適切に機能せず、その結果として炉内各部の温度分布や、炉出口の酸素濃度や、排ガス中の一酸化炭素濃度および窒素酸化物濃度などが管理範囲を逸脱してしまうことがあるという課題があった。
こうした課題に対して、燃焼炉の内部の燃焼状態を熱流体解析すなわち数値シミュレーションによって模擬することで得られる情報を活用することが考えられている。
例えば特許文献1においては、ストーカ式焼却炉の燃焼制御方法において、ごみ量、空気量、移動速度のそれぞれを入力条件として各入力条件値の組み合わせによって種々の燃焼パターンを規定し、各燃焼パターンにおける焼却炉の燃焼ガス成分の濃度および温度分布を測定し、測定した濃度および温度分布に基づいて焼却炉内の熱流体解析を行って各燃焼パターンにおける燃焼ガス流の流れ状態を表す熱流体解析結果データを求め、予め各燃焼パターンにおける熱流体解析結果データを制御装置にデータベースとして入力しておき、プロセスデータを制御指標として給塵装置、ストーカ、ダンパ装置を制御装置により制御しつつ、当該入力条件値の燃焼パターンにおける燃焼ガス流の流れ状態を熱流体解析結
果データとしてデータベースから求めるとともに、燃焼ガス流の流れ状態が現在に較べてより良くなる熱流体解析結果データを持つ燃焼パターンをデータベースから求め、求めた燃焼パターンとなるように給塵装置、ストーカ、ダンパ装置を制御装置により制御することを特徴とする熱流体解析を用いた焼却炉の燃焼制御方法について記載されている。
また特許文献2においては、廃棄物焼却炉を有するプラントの制御装置において、焼却プロセスを表現するシミュレーションモデルを用いて廃棄物の乾燥、ガスの流れ、反応伝熱を計算し焼却炉の状態を推定する手段、推定した状態と実測値に基づく状態を比較し、その差が減少するようにシミュレーションモデルのパラメータを修正する手段、該修正後のシミュレーションモデルで再度状態を推定し、予め設定した状態との比較により該推定状態が設定状態に近づくように操作量を決定する手段を有することを特徴とする廃棄物焼却プラントの制御装置について記載されている。
特開平7−4628号公報 特開2000−097422号公報
これらの先行特許文献において記載されている燃焼制御方法あるいは制御装置においては、実際の燃焼炉にて得られたプロセスデータ、すなわち温度やガス組成等の観測値の情報に基づいて、その内部の燃焼状態を精緻に模擬する数値シミュレーションを実行することで、燃焼炉の内部の燃焼状態を推定する概念が用いられている。
この概念を応用することで、燃焼炉における燃焼変動の根本的な原因である、被処理物であるごみやバイオマスの供給量や物性の変動の情報など、実際の燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を、実際の燃焼炉にて得られたプロセスデータに基づく数値シミュレーションによって推定できる可能性があるが、実際の燃焼炉において、こうした枠組みによってこれらの状態量を精度よく推定することは、主に以下の3つの理由からこれまでは困難であった。
第1の理由は、実際の燃焼炉におけるプロセスデータとして、温度やガス組成等の観測値を得る上で、計測器の測定精度や、計測上のタイムラグ、計測器を用いることそのもの等に起因する誤差、すなわち観測誤差が発生することが避けられないことである。
第2の理由は、数値シミュレーションにおいて用いられる物理モデル(計算モデル)が完全ではないことである。すなわち、燃焼炉の内部で生じる被処理物の燃焼反応は、固気反応としての被処理物からの水分の蒸発および被処理物の熱分解および/または燃焼反応、蒸発した水分および熱分解反応により発生した熱分解ガスと燃焼空気との気相反応に代表される様々な化学的反応が同時並行的に進むものであるが、それらの反応に関与する数十から数百種類に及ぶ全ての化学種と、それら相互の化学反応式と、反応パラメータとを完全に解明し、シミュレーションに用いる計算モデルとして記述することは現実的には不可能である。また仮に記述できたとしても、そのような計算を実行するためには多大な計算機資源および計算時間を要する。
そのため実用上は、大幅に簡略化した反応モデルを用いることで、利用可能な計算機資源および計算時間のもとで数値シミュレーションを実行することになるが、得られた計算結果は計算モデルの簡略化に起因する誤差、すなわちモデル誤差が含まれることが避けられない。
第3の理由は、数値シミュレーションを実行する上で必須となる解析パラメータの値を正確に与えることが実質的に不可能であることである。例えばストーカ式焼却炉の内部での燃焼反応を模擬する場合、火格子上部に滞留する被処理物の熱分解および/または燃焼反応により発生するガス組成を仮定し、それらを流入境界条件として数値シミュレーションを行うことになるが、それら境界条件の値を正確に測定することは困難であるし、また実際の燃焼炉においては被処理物の処理量や物性は時々刻々と変化するため、それら境界条件の値を確定値として与えること自体が難しくなる。
また、前述の燃焼反応を記述する計算モデルで用いられる反応パラメータについても、一般には実験室規模の理想化された環境において計測された実験データに基づいて決められるため、対象とする燃焼炉の燃焼状態を記述する上で適切な値であるかどうかは定かではない場合が多い。
すなわち、実際の燃焼炉にて得られたプロセスデータ、すなわち温度やガス組成等の観測値の情報に基づいて、その内部の燃焼状態を精緻に模擬する数値シミュレーションを実行することで、被処理物であるごみやバイオマスの供給量や物性の変動の情報など、実際の燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を推定するためには、プロセスデータの観測誤差と、数値シミュレーションにおいて用いられる物理モデル(計算モデル)が完全でないことに起因するモデル誤差とを適切に考慮するとともに、予め確定的に与えることのできない解析パラメータを適切に推定する手法が必要となるという課題があった。
そこで本発明では、ごみやバイオマスを被処理物とする燃焼炉において、被処理物の供給量や物性などのように、直接的に計測することが困難な状態量を、実際のプロセスデータの観測値に基づいて精度よく推定することができる、燃焼炉の燃焼状態の推定方法を提供するとともに、該推定方法を活用することによって、被処理物の供給量や物性などが変化しても、それらに追従して適切な燃焼制御を行うことができる、燃焼炉の燃焼制御方法および燃焼制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様である燃焼炉の燃焼状態の推定方法は、被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼状態を推定することを特徴とする燃焼炉の燃焼状態の推定方法であって、前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、多数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性をあらかじめ定式化し、前記観測点において実際に計測された前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性に基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得て、該推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼状態の推定を行うことを特徴とする。
このように構成すると、実際の燃焼炉におけるプロセスデータの観測誤差と、数値シミュレーションにおけるモデル誤差を適切に考慮して、ごみやバイオマスを被処理物とする燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を、実際のプロセスデータの観測値に基づいて精度よく推定することができるため、燃焼炉の燃焼状態を的確に推定することが可能となる。
また、前記課題を解決するため、本発明の第2の態様である燃焼炉の燃焼制御方法は、
被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする燃焼炉の燃焼制御方法であって、前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、多数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性をあらかじめ定式化し、前記観測点において実際に計測された前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性に基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得て、該推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする。
このように構成すると、実際の燃焼炉におけるプロセスデータの観測誤差と、数値シミュレーションにおけるモデル誤差を適切に考慮して、ごみやバイオマスを被処理物とする燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を、実際のプロセスデータの観測値に基づいて精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて燃焼炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
また、前記課題を解決するため、本発明の第3の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする燃焼炉の燃焼制御装置であって、前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、多数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性をあらかじめ定式化し、前記観測点において実際に計測された前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性に基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得て、該推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする。
このように構成すると、実際の燃焼炉におけるプロセスデータの観測誤差と、数値シミュレーションにおけるモデル誤差を適切に考慮して、ごみやバイオマスを被処理物とする燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を、実際のプロセスデータの観測値に基づいて精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて燃焼炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第4の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記燃焼炉はストーカ式焼却炉であって、前記1つ以上の状態量として、該ストーカ式焼却炉の火格子上に供給される前記被処理物の供給量、該火格子上に滞留する前記被処理物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が火格子上で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成のいずれか1つを含むことを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉において直接的に計測することが困難な、火格子上に供給される前記被処理物の供給量、該火格子上に滞留する前記被処理物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が火格子上で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該ストーカ式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第5の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記燃焼炉は流動床式焼
却炉であって、前記1つ以上の状態量として、該流動床式焼却炉の流動層内に供給される前記被処理物の供給量、該流動層内に滞留する前記被処理物の水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が流動層内で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成のいずれか1つを含むことを特徴とする。
このように構成すると、流動床式焼却炉において直接的に計測することが困難な、流動層内に供給される前記被処理物の供給量、該流動層内に滞留する前記被処理物の水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が流動層内で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第6の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの化学組成として、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素のいずれか1つの濃度を含むことを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉において直接的に計測することが困難な、前記被処理物が熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの化学組成としての、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素の濃度を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該ストーカ式焼却炉あるいは該流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第7の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記1つ以上の観測点は、前記ストーカ式焼却炉の火格子より上方に配設された二次燃焼室の側壁および/または天井壁において、該ストーカ式焼却炉の火格子上に滞留する前記被処理物の表面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次空気および/または再循環排ガスの供給位置よりも低い位置に配設されたことを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉において直接的に計測することが困難な、火格子上に供給される前記被処理物の供給量、該火格子上に滞留する前記被処理物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が火格子上で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成との相関あるいは感度が高いプロセスデータの観測値の統計情報を効率的に得ることができるため、観測値の数が少なくても、前記の直接的に計測することが困難な状態量を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該ストーカ式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第8の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記1つ以上の観測点は、前記流動床式焼却炉の流動層部より上方に配設された二次燃焼室の側壁および/または天井壁において、該流動床式焼却炉の流動層界面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次空気および/または再循環排ガスの供給位置よりも低い位置に配設されたことを特徴とする。
このように構成すると、流動床式焼却炉において直接的に計測することが困難な、流動層内に供給される前記被処理物の供給量、該流動層内に滞留する前記被処理物の水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が流動層内で熱分解および/または燃焼反
応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成との相関あるいは感度が高いプロセスデータの観測値の統計情報を効率的に得ることができるため、観測値の数が少なくても、前記の直接的に計測することが困難な状態量を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第9の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記1つ以上の観測量として、前記1つ以上の観測点において計測された、炉内ガスの温度および/または該炉内ガスの化学組成を含むことを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉において直接的に計測することが困難な、前記被処理物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成との相関あるいは感度が特に高いプロセスデータの観測値の統計情報を効率的に得ることができるため、観測値の数がさらに少なくても、前記の直接的に計測することが困難な状態量を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第10の態様である燃焼炉の燃焼制御装置は、前記炉内ガスの化学組成として、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素のいずれか1つの濃度を含むことを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉において直接的に計測することが困難な、前記被処理物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、元素組成、前記被処理物が熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成との相関あるいは感度がきわめて高いプロセスデータの観測値の統計情報を効率的に得ることができるため、観測値の数がきわめて少なくても、前記の直接的に計測することが困難な状態量を精度よく推定することができ、さらにその推定値に基づいて該流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
さらに、本発明の第11の態様である燃焼炉の燃焼制御方法は、前記1つ以上の状態量の推定値に基づいて、前記ストーカ式焼却炉の火格子の送り速度、前記流動床式焼却炉への被処理物の供給速度、前記ストーカ式焼却炉の火格子下部または前記流動床式焼却炉の流動層下部から供給する一次空気および/または再循環排ガスの流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の二次燃焼室に供給する二次空気の流量および/または再循環排ガスの流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の炉内温度を下げるために炉内に供給される冷却水の流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の炉内における脱硝反応薬剤として供給される尿素水またはアンモニア水の流量の少なくとも1つを調節することを特徴とする。
このように構成すると、ストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉における燃焼変動の根本的な原因である、被処理物であるごみやバイオマスの供給量や物性の変動の情報など、実際の燃焼炉において直接的に計測することができない状態量を、実際の燃焼炉にて得られたプロセスデータに基づく数値シミュレーションによって推定するとともに、その推定値に基づいてストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉の燃焼制御を効果的に行うことが可能となる。
一実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法のステップを示す図である。 一実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼制御方法ならびに燃焼制御装置をストーカ式焼却プラントに適用した際のプロセスフローを示す図である。 一実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼制御方法ならびに燃焼制御装置を流動床式焼却プラントに適用した際のプロセスフローを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法のステップを示している。
はじめに、ステップ1として、燃焼炉において直接計測できず推定の対象となる状態量、ならびに、その推定において用いられ、直接的に計測することが可能な観測量およびその観測点を定義する。
後述するように、本実施形態において推定の対象となる状態量の推定は、観測点において得られる観測量の統計情報に基づいてなされるため、原理的には観測量あるいは観測点の数が大きいほど、推定したい状態量を精度よく推定することができる。しかし、観測量あるいは観測点の数が大きいと、観測に要する計測機器の設置コストや計測作業の労力、さらには推定のための計算量が増大する等の問題が生じるため、ステップ1において定義する観測量あるいは観測点の数は、推定したい状態量の推定精度と、前記のコストあるいは労力等を勘案した上で、適宜設定することが望ましい。
次に、ステップ2として、前記状態量を説明変数とし、前記観測量を目的変数とした、多数の数値シミュレーションを実行する。
本実施形態における数値シミュレーションの手法としては、有限体積法に基づく、化学種の輸送および化学反応を伴う数値流体シミュレーションが用いられる。具体的には、説明変数としての前記状態量の値を変化させた計算条件を多数作成し、それらの計算条件を与えた多数の数値シミュレーションを実行し、説明変数としての前記状態量の値と、それに対応する目的変数としての前記観測量の値とを、数値シミュレーションの実行結果として保存しておく。
次に、ステップ3として、ステップ2で実行した数値シミュレーションの実行結果に基づいて、前記状態量と、それに対応する前記観測量の値との関係性を定式化する。
本実施形態における、前記状態量と、前期観測量との関係の定式化の手法としては、多変数多項式回帰や、リッジ回帰、ラッソ回帰またはエラスティックネット等のスパース回帰などの手法を選択して用いることができるように構成されている。なお、定式化の手法としては必ずしもこれらに限定されるものではなく、前記状態量と、前記観測量との関係性を適切に精度よく定式化できる既往の手法を適宜採用することができる。
なお、ステップ2において、多数の数値シミュレーションを実行するためには相応の計算時間を必要とするため、本実施形態においては、対象とする燃焼炉の燃焼制御を開始する前に、前記ステップ1からステップ3までの作業を、あらかじめ実行しておくように構成されている。もちろん、数値シミュレーションの実行に必要な計算時間が実用上十分短くできるのであれば、対象とする燃焼炉の燃焼制御と並行して、ステップ1からステップ3までの作業、あるいはステップ2およびステップ3の作業を、リアルタイムに実行することもできる。
次に、ステップ4として、実際の燃焼炉における観測点において前記観測量の計測値を得る。計測値を得る方法としては、観測量の種類に応じて既往の計測器や計測手法の中から適宜選択して用いることができる。
次に、ステップ5として、前記観測量の計測値の統計情報と、ステップ3で定式化された前記状態量と前記観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得る。
本ステップ5の目的は、ステップ4において得られた前記観測量の情報から、それらを与える、直接計測することができない前記状態量の値を逆推定することである。
ここで、ステップ4において得られる前記観測量は、前記の通り、計測器の測定精度や、計測上のタイムラグ、計測器を用いることそのもの等に起因する観測誤差等を含んでいる。また、燃焼炉においては、その運転状態は一般に定常的ではなく、被処理物の処理量や性状の変動に基づく、時間的な変動を含んだ非定常的な運転状態となることが通常である。そのため、実際の燃焼炉における前記観測量の値は、バラつきをもった統計分布としてのみ得られることが通常である。
また、本実施形態のように燃焼炉の燃焼制御を対象とする場合、炉内の流れ場や反応場を支配する基礎方程式が非線形性を有するため、ステップ3において定式化される前記状態量と前記観測量との関係性は、一般に非線形性を有する。
これらの理由、すなわち観測量の値が確定値ではなくバラつきをもった統計分布としてのみ得られること、および前記状態量と前記観測量との関係性が一般に非線形性を有することから、ステップ3において定式化された前記状態量と前記観測量の関係性と、実際の燃焼炉で得られた前記観測量の情報とから、それらの値を与える前記状態量の値を解析的にあるいは確定的に逆算することは一般に不可能である。
そこで本実施形態においては、ベイズ推定を用いて、前記観測量の統計情報が得られたもとでの、前記状態量の事後確率分布を計算することにより、前記状態量の推定を行うように構成されている。
前記状態量の事後確率分布を求めるベイズ推定手法としては、例えばマルコフ連鎖モンテカルロ法またはハミルトニアンモンテカルロ法などを用いることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ステップ3において定式化された前記状態量と前記観測量の関係性と、実際の燃焼炉で得られた前記観測量の統計情報とから、それらの値を与える前記状態量の事後確率分布を適切に推定することができる手法を用いればよい。
最後に、ステップ6として、ステップ5で得られた前記1つ以上の状態量の推定結果、すなわち燃焼炉において直接測定できない状態量の推定結果を参照して、燃焼炉の燃焼状態の推定を行う。
以上、本発明の好適な実施形態について記述したが、状態量および観測量の定義、観測点における観測量の計測方法、得られた状態量の推定値を用いた具体的な制御対象および制御方法の詳細などの事項については、以下に例示する実施例のように、制御対象となる燃焼炉の形式に応じて、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更または修正を行って実施することができる。
図2は、本発明の一実施例として、上述した実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼制御方法ならびに燃焼制御装置をストーカ式焼却プラント20に適用した際のプ
ロセスフローを示したものである。すなわち本実施例において、焼却プラント20は、ストーカ式焼却炉21を中心として構成されている。
ごみクレーン22の作用によりごみホッパ23に投入された被処理物aは、ごみ供給装置24の作用によりストーカ式焼却炉21の内部に送りこまれる。ごみ供給装置24は油圧シリンダにより駆動され、その油量ないし油圧を変化させることにより、被処理物aの供給速度を調節することができる。
ストーカ式焼却炉21の内部に送り込まれた被処理物aは、ごみ送り装置25a〜25cの作用により、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cへと順次移送され、その過程で一次燃焼空気ba〜bcと反応することで焼却される。また、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cから発生した可燃ガス成分は、それらの上部空間すなわち二次燃焼室において、二次燃焼空気bdと反応して完全燃焼される。燃え残りは主灰cとして排出される。ここで、ごみ送り装置25a〜25cは油圧シリンダにより駆動され、その油量ないし油圧を変化させることにより、被処理物aの移送速度を調節することができる。
一次燃焼空気ba〜bcは、一次燃焼空気ブロワ26により所定の圧力まで昇圧された上で、一次燃焼空気調節ダンパ27a〜27cを経て、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21c各々の下部からストーカ式焼却炉21の内部に供給される。また、二次燃焼空気bdは、二次燃焼空気ブロワ28により所定の圧力まで昇圧された上で、二次燃焼空気調節ダンパ29を経て、ストーカ式焼却炉21の内部に供給される。ここで、供給される一次燃焼空気ba、bb、bcおよび二次燃焼空気bdの流量は、一次燃焼空気ブロワ26ないし二次燃焼空気ブロワ28の回転速度や、一次燃焼空気調節ダンパ27a〜27cないし二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を変化させることで調節することができる。
ストーカ式焼却炉21の内部での廃棄物(被処理物)aの燃焼により発生した燃焼排ガスdは、ストーカ式焼却炉21の出口から排出され、廃熱ボイラ30を経由して冷却されたのち、薬剤噴霧設備、バグフィルタ、脱硝触媒塔などから構成される排ガス浄化装置31を経由して有害物質や飛灰が除去された上で、煙突32から大気に排出される。
なお、燃焼排ガスdの一部は、排ガス浄化装置31の内部あるいはその下流で分岐し、排ガス再循環送風機33を経由して、再循環排ガスfとして焼却炉21に戻される。ここで、戻される再循環排ガスfの流量は、排ガス再循環送風機33の回転速度や、再循環排ガス量調節ダンパ34の開度を変化させることで調節することができる。
また、廃熱ボイラ30では、燃焼排ガスdとの熱交換により蒸気gが発生し、これは蒸気タービン発電機35に導かれて発電利用される。
さらに、焼却炉21の二次燃焼室には、炉内温度を下げるために供給される炉内冷却水hと、炉内における脱硝反応に用いられる脱硝薬剤iが供給される。脱硝薬剤iとしては、一般に尿素水またはアンモニア水が用いられる。ここで、炉内冷却水hおよび、脱硝薬剤iの流量は、それぞれ炉内冷却水量調節バルブ36および脱硝薬剤量調節バルブ37の開度を変化させることによって調節することができる。
また、本実施例における焼却プラント20には、焼却炉21内のごみの燃焼状態が適切に保たれ、かつ廃熱ボイラ30において所望の蒸気量が得られているかを検知する目的から、温度計、圧力計、流量計、排ガス濃度計等の多数の計測器が設置されている。これら多数の計測器のうち、燃焼状態の管理に特に用いられるものとして、火炎位置検出装置41、焼却炉出口排ガス温度計42、ボイラ出口排ガス酸素濃度計43、煙突排ガス濃度計
44、蒸気流量計45が図2において図示されている。
火炎位置検出装置41は、ストーカ式焼却炉21の内部の状況について得られた画像情報に対して所定の画像処理を行うことで、焼却炉21の内部における火炎の位置を効果的に検出する装置として構成、設置されている。
焼却炉出口排ガス温度計42は、ストーカ式焼却炉21の出口での燃焼排ガスdの温度を効果的に測定できるように構成、設置されている。
ボイラ出口排ガス酸素濃度計43は、廃熱ボイラ30の出口での燃焼排ガスdの酸素濃度を効果的に測定できるように構成、設置されている。
煙突排ガス濃度計44は、煙突32での燃焼排ガスdに含まれる各種ガス成分の濃度、具体的には酸素、一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、塩化水素、水銀等の濃度を効果的に測定できるように構成、設置されている。
蒸気流量計45は、廃熱ボイラ30における蒸気発生量を効果的に測定できるように構成、設置されている。
これらの計測器から得られた情報は、運転制御装置50に伝送され、その情報に基づいて焼却炉21の運転制御が行われる。本実施例における運転制御装置50としては、分散型制御システム(DCS:Distributed Control System)が用いられている。
運転制御装置50では、前記の火炎位置、焼却炉出口排ガス温度、ボイラ出口排ガス酸素濃度、煙突排ガス濃度、蒸気流量などの管理指標が所定の管理範囲を逸脱しないように焼却炉21を運転制御することを目的として、それらの管理指標そのものや、それらの管理指標と関連の深い物理量を制御量とした制御ロジックが実装されている。具体的には、前記の火炎位置、焼却炉出口排ガス温度、ボイラ出口排ガス酸素濃度、煙突排ガス濃度、蒸気流量などの計測値を参照して、前記のごみ供給装置24およびごみ送り装置25a〜25cの油量や油圧、一次燃焼空気ブロワ26、二次燃焼空気ブロワ28および排ガス再循環送風機33の回転数、ならびに一次燃焼空気調節ダンパ27a〜27c、二次燃焼空気調節ダンパ29、再循環排ガス量調節ダンパ34、炉内冷却水量調節バルブ36および脱硝薬剤量調節バルブ37の開度等を調節する。これにより、焼却炉21内のごみの燃焼状態が適切に保たれ、かつ所望の蒸気流量が得られるような焼却炉21の運転制御が行われる。
これらの機能に加えて、本実施例における運転制御装置50においては、ストーカ式焼却炉21において一般には直接計測することができない状態量である、炉内における被処理物aの供給量や物性の変動の情報、より具体的には、ストーカ式焼却炉21の火格子上に供給される前記被処理物aの供給量、該火格子上に滞留する前記被処理物aの滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量および元素組成と、前記被処理物aが火格子上で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成とを、燃焼状態推定装置70により推定し、その推定値に基づいて焼却炉21の燃焼制御を行うことができるように構成されている。
なお、前記熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの化学組成としては、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素の濃度が含まれる。
そこで本実施例では、これらの直接計測することができない状態量を推定するために、ストーカ式焼却炉21の二次燃焼室の側壁に複数の観測点61が配設されている。具体的には、二次燃焼室の側壁であって、火格子上に滞留する被処理物aの表面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置よりも低い位置に、3つの観測点61a〜61cが配設されている。
観測点61を前記の位置に配設することが望ましい理由は、火格子上に滞留する前記被処理物aの滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量および元素組成など、本実施例において推定の対象となる状態量の値は、火格子上に滞留する被処理物aの表面にできるだけ近い位置において得られる観測量の値との相関が非常に高いと考えられるためである。すなわち、観測点61の位置が火格子上に滞留する被処理物aの表面から一定距離以上離れてしまうと、流れ場や反応場の影響により、推定の対象となる状態量と観測量の相関が低くなってしまうため、前記状態量を精度よく推定することが困難となる。また、二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置よりも高い位置に観測点61を配設すると、該二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給に基づく流れ場や反応場の変化の影響により、前記状態量との相関の高い観測量を得ることが極めて困難となる。
なお図2においては、観測点61は、ストーカ式焼却炉21において、独立して制御することが可能なごみ送り装置25a〜25cおよび一次燃焼空気供給系統ba〜bcの長手方向の区分数(ここでは3)に対応して、3つの観測点61a〜61cが配設されるものとして図示されているが、焼却炉21の規模が大きく、前記長手方向の区分数が異なる場合には、それに応じて観測点の数を適宜増減させるのが望ましい。また、前記長手方向の区分数に対して、前記火格子上に滞留する被処理物aの表面との位置関係、および二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置との位置関係の制約を満たす範囲において、鉛直方向に複数の観測点を配置することもできる。あるいは、焼却炉21の側壁ではなく、前後壁や天井壁に観測点を設置してもよい。
本実施例における観測点61a〜61cは、具体的にはストーカ式焼却炉21の側壁に設けたノズル構造の測定孔に、計測される観測量に応じた計器を接続することにより構成されている。すなわち本実施例では、観測点61a〜61cにおける観測量として、炉内ガスの温度および化学組成を観測できるよう、熱電対およびガス濃度計がそれぞれの観測点に設置されている。
炉内ガスの化学組成としては、具体的には水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素等の濃度のうち、一部または全部を適宜選択して測定することができるように構成されている。なお、これらのガス濃度については、連続的に計測できる計測器あるいは計測方法を用いて測定してもよいし、間欠的あるいはバッチ的に計測できる計測器あるいは計測方法を用いて測定してもよい。
次に、本実施例における燃焼状態推定装置70の構成および機能について説明する。
本実施例における燃焼状態推定装置70は、シミュレーション実行部71、定式化部72、観測量入力部73、状態量推定部74、および推定値出力部75を含むように構成されている。
シミュレーション実行部71では、あらかじめ定義された、推定の対象となる状態量を説明変数とし、観測点における観測量を目的変数とした、多数の数値シミュレーションが実行される。
定式化部72では、シミュレーション実行部71で実行されたシミュレーションの実行結果に基づいて、前記状態量と、それに対応する前記観測量の値との関係性が定式化される。
観測量入力部73では、実際にストーカ式焼却炉21を運転することにより観測点61で得られた観測量の情報が入力される。
状態量推定部74では、観測点61で得られた観測量の統計情報と、定式化部72で定式化された前記状態量と前記観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記推定の対象となる状態量の推定値を得る。
推定値出力部75からは、前記推定の対象となる状態量の推定値が、運転制御装置50に対して出力され、運転制御装置50では、その情報に基づいて焼却炉21の燃焼制御が行われる。
以下、本実施例における推定の対象となる状態量と、それに基づく焼却炉21の燃焼制御の具体的な構成について説明する。
まず、本実施例におけるストーカ式焼却炉21では、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cの各々の火格子上に滞留する被処理物aの滞留量を推定対象の状態量とし、燃焼状態推定装置70において逐次的に算出されるその状態量の推定値に基づいて、ごみ供給装置24およびごみ送り装置25a〜25cの動作速度を調節することで、前記各々の火格子上における被処理物aの滞留量が一定となるような制御が行われている。
より具体的には、例えば乾燥帯21aの火格子上における被処理物aの滞留量の推定値が減少傾向にある場合には、ごみ供給装置24の動作速度を速めることで、乾燥帯21aの火格子上における被処理物aの滞留量を増加させるような調節が行われる。あるいは、燃焼帯21bの火格子上における被処理物aの滞留量の推定値が増加傾向にある場合には、ごみ送り装置25aの動作速度を減じることで、燃焼帯21bの火格子上における被処理物aの滞留量を減少させるような調節が行われる。
次に、本実施例におけるストーカ式焼却炉21では、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cの各々の火格子上に滞留する被処理物aから発生する熱分解ガスまたは燃焼ガスの組成を推定対象の状態量とし、燃焼状態推定装置70において逐次的に算出されるその状態量の推定値に基づいて、一次燃焼空気調節ダンパ27a〜27cの開度を調節することで、前記各々の火格子上における被処理物aの熱分解または燃焼反応の進行を一定に保つような制御が行われている。
より具体的には、例えば乾燥帯21aの火格子上における被処理物aから発生する熱分解ガスに含まれる可燃ガス成分、例えば一酸化炭素濃度の推定値が増加傾向にある場合には、乾燥帯21aの火格子上における被処理物aの熱分解反応が促進されていると推定されるので、一次燃焼空気調節ダンパ27aの開度を下げることにより、乾燥帯21aに供給される一次燃焼空気baの流量を減少させることで、乾燥帯21aの火格子上における被処理物aの熱分解反応を抑制するような調節が行われる。あるいは、後燃焼帯21cの火格子上における被処理物aから発生する燃焼ガスに含まれる可燃ガス成分、例えば一酸化炭素濃度の推定値が増加傾向にある場合には、後燃焼帯21cにおける被処理物aの未燃分の燃焼反応に対して十分な量の一次燃焼空気bcが供給されていない懸念があるため、一次燃焼空気調節ダンパ27cの開度を上げることにより、後燃焼帯21cに供給される一次燃焼空気bcの流量を増加させることで、後燃焼帯21cにおける被処理物aの未燃分の燃焼反応を確実に進行させるような調節が行われる。
また、本実施例におけるストーカ式焼却炉21では、乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cの各々の火格子上に滞留する被処理物aから発生する熱分解ガスまたは燃焼ガスの組成を推定対象の状態量とし、燃焼状態推定装置70において逐次的に算出されるその状態量の推定値に基づいて、二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を調節することで、二次燃焼室における燃焼反応に必要な量の二次燃焼空気bdを確実に供給するような制御が行われている。
より具体的には、例えば乾燥帯21a、燃焼帯21b、後燃焼帯21cの各々の火格子上における被処理物aから発生する熱分解ガスに含まれる可燃ガス成分、例えば水素濃度や一酸化炭素濃度の推定値の総和が増加傾向にある場合には、火格子上での被処理物aの熱分解および燃焼反応が活発になりつつあると推定されるので、二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を上げることにより、二次燃焼室に供給される二次燃焼空気bdの流量を増加させることで、二次燃焼室における燃焼反応に必要な量の二次燃焼空気bdを確実に供給するような調節が行われる。
以上と同様に、燃焼状態推定装置70において推定された、火格子上における被処理物aの滞留量やその物性の推定値、あるいは火格子上における被処理物aから発生する熱分解ガスまたは燃焼ガスの組成の推定値の推移に基づいて、炉内の燃焼状態の推移を把握することで、焼却炉21内の温度を調節するために供給される炉内冷却水hの流量や、焼却炉21内における脱硝反応のための反応薬剤iの供給量などを調節するように構成することもできる。
以上に例示した本実施例における燃焼制御手法においては、焼却炉出口排ガス温度や、ボイラ出口排ガス酸素濃度、煙突排ガス濃度など、焼却プロセスのより後段で得られる情報に基づいた従来のフィードバック的な燃焼制御方法に比較して、火格子上における被処理物aの滞留量やその物性の変動、火格子上での熱分解および燃焼反応の進行状況の変動などに応じて、フィードフォワード的な燃焼制御を行うことが可能となるため、それらの変動に追従して適切な燃焼制御を行うことが可能となる。
図3は、本発明の他の実施例として、上述した実施形態による燃焼炉の燃焼状態の推定方法、燃焼制御方法ならびに燃焼制御装置を流動床式焼却プラント120に適用した際のプロセスフローを示したものである。すなわち本実施例において、焼却プラント120は、流動床式焼却炉121を中心として構成されている。
ごみクレーン22の作用によりごみホッパ23に投入された被処理物aは、ごみ供給装置24の作用により流動床式焼却炉121の内部に送りこまれる。ここでは、ごみ供給装置24は電動機により駆動され、その回転数を変化させることにより、被処理物aの供給速度を調節することができる。
流動床式焼却炉121の内部に送り込まれた被処理物aは、その下部にあたる流動層部121aで、一次燃焼空気(流動空気)baと反応することで熱分解または燃焼される。ここで、流動層部121aには、流動層を形成するために珪砂等の固体粒子からなる流動媒体が充填され、その底面に配設した不図示の空気分散装置を介して一次燃焼空気baを流動空気として供給することにより、流動層が形成される。流動層部121aから発生した熱分解または燃焼ガス成分は、流動層部121aの上部空間である二次燃焼室において、二次燃焼空気bdと反応して完全燃焼される。燃え残りのうち、大径の不燃物は主灰cとして炉底から流動媒体とともに、不図示の流動媒体排出装置の作用により排出される。
一次燃焼空気baは、一次燃焼空気ブロワ26により所定の圧力まで昇圧された上で、
燃焼空気調節ダンパ27aを経て、前記の空気分散装置を介して流動床式焼却炉121の流動層部121aに供給される。また、二次燃焼空気bdは、二次燃焼空気ブロワ28により所定の圧力まで昇圧された上で、二次燃焼空気調節ダンパ29を経て、流動床式焼却炉121の二次燃焼室に供給される。ここで、供給される一次燃焼空気baおよび二次燃焼空気bdの流量は、一次燃焼空気ブロワ26ないし二次燃焼空気ブロワ28の回転速度や、一次燃焼空気調節ダンパ27aないし二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を変化させることで調節することができる。
以下、本実施例における、流動床式焼却炉121の内部での被処理物aの燃焼により発生した燃焼排ガスdの取扱い、排ガス再循環送風機33を経由した、再循環排ガスfの流動床式焼却炉121への再循環、蒸気タービン発電機35による発生蒸気の発電利用、流動床式焼却炉121の二次燃焼室への炉内冷却水hおよび脱硝薬剤iの供給、ならびに、計測器41〜45、および運転制御装置50の基本的な構成等については、図2に示した実施例における説明と重複するので説明は省略する。
さて、図3に示した実施例における運転制御装置50においては、流動床式焼却炉121において一般には直接計測することができない状態量である、流動層部121aの内部における被処理物aの熱分解または燃焼反応の変動の情報、より具体的には、流動層部121aの内部への前記被処理物aの供給量、該流動層部121aに滞留する前記被処理物aの滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量および元素組成と、前記被処理物aが流動層部121aで熱分解または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスまたは燃焼ガスの温度および化学組成とが、燃焼状態推定装置70によって推定され、その情報が焼却炉121の燃焼制御に用いられるように構成されている。なお、前記熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの化学組成としては、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、塩化水素の濃度が含まれる。
本実施例では、これらの直接計測することができない状態量を推定するために、流動床式焼却炉121の二次燃焼室の側壁に観測点61が配設されている。具体的には、該流動床式焼却炉121の流動層界面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置よりも低い位置に、1つまたは複数の観測点61が配設されている。
観測点61を前記の位置に配設することが望ましい理由は、流動層部121aに滞留する前記被処理物aの滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量および元素組成など、本実施例において推定の対象となる状態量の値は、流動層界面にできるだけ近い位置において得られる観測量の値との相関が非常に高いと考えられるためである。すなわち、観測点61の位置が流動層界面から一定距離以上離れてしまうと、流れ場や反応場の影響により、推定の対象となる状態量と観測量の相関が低くなってしまうため、前記状態量を精度よく推定することが困難となる。また、二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置よりも高い位置に観測点61を配設すると、該二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給に基づく流れ場や反応場の変化の影響により、前記状態量との相関の高い観測量を得ることが極めて困難となる。
なお図3においては、観測点61は1つのみ配設したように描かれているが、流動床式焼却炉121の寸法に応じて、同一の高さに複数の観測点を設置してもよいし、また、前記の流動層界面との位置関係、および二次燃焼空気bdおよび/または再循環排ガスfの供給位置との位置関係の制約を満たす範囲において、鉛直方向に複数の観測点を配置することもできる。あるいは、焼却炉121の天井壁に観測点を設置してもよい。
これらの観測点61の具体的な構造や、計器の接続方法、観測量の設定方法等、さらには本実施例における燃焼状態推定装置70の構成については、図2を用いて説明した実施例と重複するのでその説明は省略する。
以下、本実施例における推定の対象となる状態量と、それに基づく焼却炉121の燃焼制御の具体的な構成について説明する。
まず、本実施例における流動床式焼却炉121では、流動層部121aに滞留する被処理物aの滞留量を推定対象の状態量とし、燃焼状態推定装置70において逐次的に算出されるその状態量の推定値に基づいて、ごみ供給装置24の動作速度を調節することで、流動層部121aに滞留する被処理物aの滞留量が一定となるような制御が行われている。
より具体的には、例えば流動層部121aに滞留する被処理物aの滞留量の推定値が減少傾向にある場合には、ごみ供給装置24の動作速度を速めることで、流動層部121aに滞留する被処理物aの滞留量を増加させるような調節が行われる。
次に、本実施例における流動床式焼却炉121では、流動層部121aに滞留する被処理物aから発生する熱分解ガスまたは燃焼ガスの組成を推定対象の状態量とし、燃焼状態推定装置70において逐次的に算出されるその状態量の推定値に基づいて、二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を調節することで、二次燃焼室における燃焼反応に必要な量の二次燃焼空気bdを確実に供給するような制御が行われている。
より具体的には、例えば流動層部121aに滞留する被処理物aから発生する熱分解ガスに含まれる可燃ガス成分、例えば水素濃度や一酸化炭素濃度の推定値が増加傾向にある場合には、流動層部121aでの被処理物aの熱分解および燃焼反応が活発になりつつあると推定されるので、二次燃焼空気調節ダンパ29の開度を上げることにより、二次燃焼室に供給される二次燃焼空気bdの流量を前もって増加させることで、二次燃焼室における燃焼反応に必要な量の二次燃焼空気bdを確実に供給するような調節が行われる。
以上と同様に、燃焼状態推定装置70において推定された、流動層部121aにおける被処理物aの滞留量やその物性の推定値の推移、あるいは流動層部121aに滞留する被処理物aから発生する熱分解ガスの組成の推定値の推移に基づいて、炉内の燃焼状態の推移を把握することで、焼却炉121内の温度を調節するために供給される炉内冷却水hの流量や、焼却炉121内における脱硝反応のための反応薬剤iの供給量を調節するように構成することもできる。
以上に例示した本実施例における燃焼制御手法においても、図2を用いて説明したストーカ式焼却炉21を対象とした実施例と同様、焼却炉出口排ガス温度や、ボイラ出口排ガス酸素濃度、煙突排ガス濃度など、焼却プロセスのより後段で得られる情報に基づいた従来のフィードバック的な燃焼制御方法に比較して、流動層部121aにおける被処理物aの滞留量やその物性の変動、流動層部121aでの熱分解および燃焼反応の進行状況の変動などに応じて、フィードフォワード的な燃焼制御を行うことが可能となるため、それらの変動に追従して適切な燃焼制御を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態および実施例についてその詳細を説明したが、本発明は上記の実施例および実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想を逸脱しない範囲において種々変更又は修正を行って実施することが可能である。
20 ストーカ式焼却プラント
21 ストーカ式焼却炉
21a 乾燥帯
21b 燃焼帯
21c 後燃焼帯
22 ごみクレーン
23 ごみホッパ
24 ごみ供給装置
25a〜25c ごみ送り装置
26 一次燃焼空気ブロワ
27a〜27c 一次燃焼空気調節ダンパ
28 二次燃焼空気ブロワ
29 二次燃焼空気調節ダンパ
30 廃熱ボイラ
31 排ガス浄化装置
32 煙突
33 排ガス再循環送風機
34 再循環排ガス量調節ダンパ
35 蒸気タービン発電機
36 炉内冷却水量調節バルブ
37 脱硝薬剤量調節バルブ
41 火炎位置検出装置
42 焼却炉出口排ガス温度計
43 ボイラ出口排ガス酸素濃度計
44 煙突排ガス濃度計
45 蒸気流量計
50 運転制御装置
61、61a〜61c 観測点
70 燃焼状態推定装置
71 シミュレーション実行部
72 定式化部
73 観測量入力部
74 状態量推定部
75 推定値出力部
120 流動床式焼却プラント
121 流動床式焼却炉
121a 流動層部
a 被処理物
ba〜bc 一次燃焼空気
bd 二次燃焼空気
c 主灰
d 燃焼排ガス
f 再循環排ガス
g 蒸気
h 炉内冷却水
i 脱硝薬剤

Claims (11)

  1. 被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼炉の燃焼状態を推定する方法であって、
    前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、複数の数値シミュレーションを実行するステップと、
    前記複数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量との関係性を定式化するステップと、
    前記1つ以上の観測点において実際に計測を行い前記1つ以上の観測量の計測値を得るステップと、
    前記実際の計測で得られた前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得るステップと、
    前記推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼状態を推定するステップと、
    を含むことを特徴とする、燃焼炉の燃焼状態の推定方法。
  2. 被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼炉の燃焼制御を行う方法であって、
    前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、複数の数値シミュレーションを実行するステップと、
    前記複数の数値シミュレーションを実行して得られた結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量との関係性を定式化するステップと、
    前記1つ以上の観測点において実際に計測を行い前記1つ以上の観測量の計測値を得るステップと、
    前記実際の計測で得られた前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を得るステップと、
    前記推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼制御を行うステップと、
    を含むことを特徴とする、燃焼炉の燃焼制御方法。
  3. 被処理物を燃焼処理する燃焼炉の炉内において、直接的に計測することができない1つ以上の状態量を推定することにより、該燃焼炉の燃焼制御を行うように構成された燃焼制御装置であって、
    前記1つ以上の状態量を説明変数とし、前記燃焼炉に配設された1つ以上の観測点において直接的に計測することが可能である1つ以上の観測量を目的変数とした、複数の数値シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
    前記複数の数値シミュレーションの実行結果に基づいて、前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量との関係性を定式化する定式化部と、
    前記1つ以上の観測点において実際に計測された前記1つ以上の観測量の計測値を受け取る観測量入力部と、
    前記実際の計測で得られた前記1つ以上の観測量の計測値の統計情報と、前記定式化された前記1つ以上の状態量と前記1つ以上の観測量の関係性とに基づいて、ベイズ推定を行うことにより、前記1つ以上の状態量の推定値を導出する状態量推定部と、
    前記推定値に基づいて、前記燃焼炉の燃焼制御を行う制御部と、
    を備えることを特徴とする、燃焼炉の燃焼制御装置。
  4. 前記燃焼炉はストーカ式焼却炉であって、前記1つ以上の状態量は、前記ストーカ式焼却炉の火格子上に供給される前記被処理物の供給量、前記火格子上に滞留する前記被処理
    物の滞留量、水分、可燃分、灰分、発熱量、および元素組成、ならびに、前記被処理物が火格子上で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項3に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  5. 前記燃焼炉は流動床式焼却炉であって、前記1つ以上の状態量は、前記流動床式焼却炉の流動層内に供給される前記被処理物の供給量、前記流動層内に滞留する前記被処理物の水分、可燃分、灰分、発熱量、および元素組成、ならびに、前記被処理物が前記流動層内で熱分解および/または燃焼反応することにより発生する熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの温度および化学組成、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項3に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  6. 前記熱分解ガスおよび/または燃焼ガスの化学組成として、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、および塩化水素のうちの少なくとも1つの濃度を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  7. 前記1つ以上の観測点は、前記ストーカ式焼却炉の火格子より上方に配設された二次燃焼室の側壁および/または天井壁において、該ストーカ式焼却炉の火格子上に滞留する前記被処理物の表面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次燃焼空気および/または再循環排ガスの供給位置よりも低い位置に配設されたことを特徴とする、請求項4または6に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  8. 前記1つ以上の観測点は、前記流動床式焼却炉の前記流動層部より上方に配設された二次燃焼室の側壁および/または天井壁において、該流動床式焼却炉の流動層界面より高く、かつ該二次燃焼室に供給される二次燃焼空気および/または再循環排ガスの供給位置よりも低い位置に配設されたことを特徴とする、請求項5または6に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  9. 前記1つ以上の観測量は、前記1つ以上の観測点において計測された、炉内ガスの温度および/または該炉内ガスの化学組成を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  10. 前記炉内ガスの化学組成として、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エチレン、酸素、窒素、アンモニア、シアン化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、および塩化水素のうちの少なくとも1つの濃度を含むことを特徴とする、請求項9に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
  11. 前記制御部は、前記1つ以上の状態量の推定値に基づいて、前記ストーカ式焼却炉の火格子の送り速度、前記流動床式焼却炉への被処理物の供給速度、前記ストーカ式焼却炉の火格子下部または前記流動床式焼却炉の流動層下部から供給する一次燃焼空気および/または再循環排ガスの流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の二次燃焼室に供給する二次燃焼空気および/または再循環排ガスの流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の炉内温度を下げるために炉内に供給される冷却水の流量、前記ストーカ式焼却炉または前記流動床式焼却炉の炉内における脱硝反応薬剤として供給される尿素水またはアンモニア水の流量のうちの少なくとも1つを調節することを特徴とする、請求項4から10のいずれか1項に記載の燃焼炉の燃焼制御装置。
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