JP3712329B2 - プロセスの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスの将来の状態を予測し、その予測結果に基づいて操作量を決定してプロセスを制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロセスの応答特性として、応答時間遅れが大きいものがある。例えば火力発電プラントでは、燃料投入量に変更を加えてから主蒸気温度が変化するまでの時間が長く、その時定数は数分〜20分程度である。
【0003】
従って通常のフィードバック制御では制御偏差(主蒸気温度偏差)が大きくなるという問題があった。
【0004】
これに対して、将来のプロセス状態を事前に予測し、その予測値に基づいて操作量を決定する予測制御方法がある。予測制御方法には、例えば以下の文献に開示された従来技術がある。
【0005】
(1)特開平9-274507号公報
(2)特開平6-257702号公報
(3)特開平10-116105号公報
上記従来技術(1)には、物理式に基づく複数の集中定数化モデルとむだ時間モデルによりプロセスモデルを構成して、入力変数を状態観測器により推定し、プロセス量の将来値を計算する方法が述べられている。
【0006】
上記従来技術(2)には、モデル規範形適応制御方式をプロセスと分散形PID(比例、積分、微分)制御装置とで構成される制御対象に対して並列に付加して適応制御系を構成する方法が記載されている。
【0007】
上記従来技術(3)には、一般化予測制御系を含む複数の制御系を切り替えながら制御する場合に、制御指令値が大きくずれることなくスムーズに切り替わるようにする方法が述べられている。
【0008】
これらのような予測制御技術の適用により、将来のプロセスの状態を予測して先行的に操作量を決定するため、制御偏差を小さくすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、適用するプロセスの特性や予測するプロセス量の種類、また、それを制御するための操作量の種類によって、望ましい予測時間は異なる。そのため、一つのプロセス量の予測値に基づいて複数の操作量を決定する場合には、予測制御の効果が最大限発揮できない場合があった。
【0010】
ところが、上記従来技術(1)〜(3)には、操作量との関係に応じた予測時間の決定方法に関しては記載されていない。
【0011】
例えば、火力発電プラントでは、蒸気温度を制御するための操作量として燃料流量と蒸気温度減温器のスプレー水流量などがあるが、燃料に対する蒸気温度の応答時間よりもスプレー水流量に対する応答時間の方が短い。そのため、制御量である蒸気温度の予測時間を例えば燃料に合わせて設定すると、スプレー水流量を効果的に決定できない。
【0012】
本発明の目的は、予測制御により同一の制御量に対して複数の操作量を有する制御対象を精度良く制御することができるプロセスの制御装置および方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、制御対象とすべきプロセス量(被制御量)の将来の値を予測する予測手段と、該予測手段から出力される予測値に基づいて前記被制御量を制御するために操作するプロセス量(操作量)を決定する操作量算出手段とを有する制御装置において、1つの被制御量に対して複数の操作量が存在するものであって、前記予測手段は、前記制御対象のプロセスを模擬した制御対象モデルと、前記操作量算出手段を模擬した制御器モデルとを具備し、前記制御器モデルが、前記制御対象モデルから出力された被制御量を用いて操作量を演算すること、及び、前記制御対象モデルが、複数の前記制御器モデルから出力された操作量を用いて被制御量を演算することを、各予測時刻が到来するまで、および、各予測時間間隔が経過するまでのうち少なくとも一方まで繰り返すことで、複数の予測値を演算して出力し、前記操作量算出手段は、前記複数の予測値を用いて前記複数の操作量をそれぞれ決定することを特徴としている。
【0014】
前記予測手段は、例えば、複数の操作量のうち前記被制御量に対しての時定数が小さい方の操作量を決定する前記操作量算出手段と等価またはその入出力特性を模擬した制御器モデルを少なくとも含んで構成することが好ましい。
【0015】
また、前記予測手段は、例えば所定のプロセスに関する制御信号または操作量のうち少なくとも一方と被制御量であるプロセス量との関係を模擬したプロセスモデルと、例えば前記操作量算出手段と等価またはその入出力特性を模擬した制御器モデルとを備える構成としてもよい。
【0016】
また、上述した本発明において、予め定義した制御性能評価値に基づいて対応する操作量に対して複数の予測時間をそれぞれ決定する予測時間決定手段もさらに備える構成としてもよい。
【0017】
また、上述した本発明において、予め定義した制御性能評価値に基づいて前記制御器モデルや前記プロセスモデルのパラメータ値を設定するパラメータ設定手段をさらに具備すればなお良い。
【0018】
また、上記目的を達成するために本発明は、火力発電プラントの蒸気温度の将来値を予測する予測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温度予測値に基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、蒸気温度減温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス分配ダンパ開度のうち少なくとも一つを操作量として決定する、一つまたは複数の操作量算出手段とを有する火力発電プラントの制御装置または方法において、同一位置における蒸気温度に対して、予測時刻および予測時間間隔のうち少なくとも一方が異なる複数の予測値を演算し出力し、前記出力された複数の予測値を用いて前記燃料流量、前記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダンパ開度のうち2つ以上の操作量を決定することを特徴とする。
【0019】
また、上記本発明による火力発電プラントの制御装置または方法においては、燃焼ガス温度の推定値と蒸気温度測定値とを少なくとも用いて、該蒸気温度を測定した時刻以降の蒸気温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推定すると共に、所定時間経過後の蒸気温度を予測する際には、推定した前記蒸気温度と推定した伝熱管温度とを使用するものであって、前記燃焼ガス温度は、前記時刻以前の前記伝熱管温度推定値と前記時刻以降の蒸気温度の測定値とを少なくとも使用して算出する構成としてもよい。
【0020】
また、上記本発明による制御装置または方法は、廃棄物焼却プロセスに対しても、火力発電プラントと同様に適用することができる。ただしこの場合、前記被制御量は、廃棄物焼却プロセスに係わる排出ガス中のCO(一酸化炭素)濃度、塩化フェノール濃度、窒素酸化物濃度、およびダイオキシン類濃度のうち少なくとも一つであり、前記操作量は、焼却炉への廃棄物の投入量、該焼却炉内の搬送速度、乾燥用空気流量、燃焼用空気流量、空気温度、および燃焼ガス無害化処理用の薬剤投入量のうちいずれかを少なくとも含むものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0022】
本実施の形態では、本発明を火力発電プラントの蒸気温度予測制御に適用した例について述べたものである。以下、図を参照して説明する。
【0023】
対象とする石炭焚き火力発電プラント100の基本構成の一例を図2に示す。
【0024】
本例の石炭焚き火力発電プラント100においては、ボイラ150で燃料と空気をバーナー160に供給して燃焼させ、給水ポンプ140により循環する供給水を火炉水壁152で蒸発させる。さらに過熱器154で昇温して過熱状態となった蒸気はタービン加減弁121を介して高圧タービン130に導かれて高圧タービン130を駆動する。高圧タービンを通過した蒸気は再熱器156で再び昇温されて低圧タービン120に入る。高圧タービン130および低圧タービン120の回転により発電機110で電力を発生させる。
【0025】
以降、高圧タービン130入口の蒸気を主蒸気、低圧タービン120入口の蒸気を再熱蒸気と称する。主蒸気及び再熱蒸気の温度を制御する目的で、過熱器154と再熱器156の入口に過熱器減温器154aと再熱器減温器156aがある。減温器154a,156aには給水ポンプ140通過後の低温の水が導かれ、減温器スプレ水量調節弁154b及び156bをそれぞれ介して高温の蒸気中に注入する構造になっている。
【0026】
再熱器減温器156aは非常用であり、再熱蒸気温度が設定値を超えた場合にのみ作動する。
【0027】
また、ボイラ150には燃焼ガスを再循環させるためのガス再循環ファン142が設けられており、これも蒸気温度を調整する手段の一つとなっている。
【0028】
また、プラントによっては過熱器と再熱器との間に隔壁を設けてガスの流路を二分し、それぞれのガス流量の配分を調整するガス分配ダンパが設けられている場合もある。この場合は、ガス分配ダンパも蒸気温度の調整手段となる。
【0029】
火力発電プラントには、上記構成機器の他にもタービンを駆動後の蒸気を冷却水126により冷却する復水器125や燃焼排ガス処理装置170などの機器もある。排ガス処理装置170を通過したガスは煙突175から大気へ放出される。
【0030】
プラント100の運転状態は、発電機出力測定器111、主蒸気温度(過熱器出口蒸気温度)測定器122、過熱器入口蒸気温度測定器127、主蒸気圧力測定器123、再熱蒸気(再熱器出口蒸気温度)温度測定器124、再熱器入口蒸気温度測定器124a等のデータ測定装置で計測され、運転制御装置300へ伝送される。プラントには、この他にも種々のプロセス量を計測するための装置が取り付けられており、それらによる計測値も運転制御装置300で取込んでいる。ここでは、それらの詳細な説明は省略する。
【0031】
運転制御装置300はこれらのプロセスデータを基にして、プラントの運転状態を把握し、プラントが望ましい状態になるように燃料流量調節弁162、空気流量調節弁161、タービン加減弁121、給水ポンプ140などの機器を制御している。
【0032】
火力プラントでは蒸気温度のように、応答時間が比較的長い制御量があり、この制御は一般に難しいとされている。そこで、主蒸気温度及の制御に、本発明の特徴である予測制御技術を適用する。
【0033】
予測制御の目的は、時定数が大きく、応答が遅いプロセス値に対して、その将来の挙動を予測し、先行的に操作量を決定することにより、制御精度を向上させることである。
【0034】
運転制御装置300の機能構成を説明する。図3に示すように、マスタ制御部370とそれに基づくサブループ制御部390とで構成されている。マスタ制御部370は通常制御コントローラ375と、本発明を適用している蒸気温度予測制御コントローラ380とに分かれている。マスタ制御部370では、負荷指令信号に基づく各種操作量指令信号を作成し、その値に蒸気温度、蒸気圧力、ガスO2濃度などの測定値に基づく補正を加えて操作量を決定する。
【0035】
サブループ制御部390には、タービン制御コントローラ391、給水ポンプコントローラ392、燃料流量調節弁コントローラ393、押込みファンコントローラ394、誘引ファンコントローラ395、スプレ流量コントローラ396、ガス再循環流量コントローラ397がある。
【0036】
これらのコントローラは互いに信号伝送ネットワーク400に接続されており、信号の授受が可能である。サブループ制御部390の各コントローラからの出力は、プラント100の各アクチュエータ101に送られ、機器を操作する。
【0037】
また、運転制御装置300は図4に示すハードウエア構成になっている。外部入力インターフェイス301、出力インターフェイス302を介して信号伝送ネットワーク400と接続されている。受信した信号を必要に応じて記憶装置303にストアーしながら、演算処理装置304にて各種指令信号を演算・生成する。指令信号は出力インターフェイスを介して制御対象へ送られる。
【0038】
また、外部入力インターフェイス301にはキーボード930とマウス940とから成る外部入力装置900及びデータ記憶装置500が接続されている。また出力インターフェイス302には画像表示装置910と磁気ディスク装置950が接続されており、運転員とのインターフェイスとして機能する。
【0039】
次に、本発明を適用した蒸気温度予測コントローラ380について、図1を用いて説明する。蒸気温度予測コントローラ380には、予測部330とその出力である予測値Ysとプラント出力値(制御量:蒸気温度)Yとのうちいずれか一方を制御器320にフィードバックするための切替部339とパラメータ調整部340とが具備されている。なお、予測制御を行わない場合は、切替部339で蒸気温度Yを選択し、燃料流量及びスプレ水流量の両方に対して蒸気温度の現在の測定値を出力する。
【0040】
主蒸気温度を制御するための操作量としては、燃料流量に対する操作量指令値Uaと減温器スプレ水流量に対する操作量指令値Ubがある。操作量指令値Uaは負荷指令に基づいてユニットマスタ315で操作量基準値を生成し、その値と制御量Yの測定値または予測値Ysと目標値Rsとの偏差に基づくPI(比例・積分)制御器320aの出力値との和として算出される。
【0041】
操作量指令値Ubは制御量Yの測定値または予測値Ysと目標値Rsとの偏差に基づいてP(比例)制御器320bの出力値として算出される。
【0042】
本発明の特徴は、予測対象プロセス量は同じであるが、異なる操作量(燃料流量、減温器スプレ水流量)に対して、予測時間の異なる二つの予測値Ys(t+τa),Ys(t+τb)を演算して出力するようにしていることである。
【0043】
操作量の一つとなる燃料流量は、それを操作してから蒸気温度にその影響が現れる時間は比較的長く数分〜20分程度である。これは、燃料の燃焼プロセス、燃焼ガスから蒸気への伝熱プロセス、ガスや蒸気の流動遅れなどの要因が存在することに起因している。これに対して、もう一方の操作量となる減温器スプレ水は過熱器154の入口で作用するため、過熱器154の出口位置での蒸気温度である主蒸気温度へは、数分の範囲で影響が現れる。
【0044】
このため、例えば、燃料流量に対して有効な予測時間を選択する場合、減温器スプレ水流量に対しては予測時間が長すぎることになる。その場合、スプレ水流量に対する予測制御の効果が十分発揮されないばかりか、かえって蒸気温度の制御性能を低下させる原因となる。
【0045】
本発明によれば、決定すべき操作量の時間的特性に応じて予測時間の異なる予測値を出力するので、複数の操作量に対しても予測制御の効果を最大限に発揮することができる。
【0046】
本例では出力する予測値は2個であるが、本発明において出力する予測値の数に制限はない。
【0047】
上記図1の予測部330の機能を説明する。
【0048】
まず、目的とする時間(予測時間)先の主蒸気温度の目標値を計算する。主蒸気温度目標値は、一定である場合もあるが、負荷変化に伴って目標値が変化する場合がある。
【0049】
負荷変化計画が既知の場合には、負荷の関数である蒸気温度目標値Rs(数1)から、その負荷変化計画に基づいて将来の負荷変化を算出する。
【0050】
【数1】
【0051】
将来の負荷変化が未知の場合には、現在サンプリングステップkでの蒸気温度目標値Rs(k)と1サンプリングステップ前の目標値Rs(k-1)と、サンプリング時間間隔Δt秒から、n秒先の目標値を次式で算出する。
【0052】
【数2】
【0053】
本例では、目標値の変化を一次式で近似して求めているが、本発明はこの方法に限定されるものではない。また、目標値は現在サンプリングステップkにおける値R(k)を用いても良い。
【0054】
このようにして求めた将来の蒸気温度目標値に対して、蒸気温度が将来の同時刻に何度Cになるかを予測する。
【0055】
次に、操作量の決定方法を説明する。制御方式はPI(比例・積分)またはP(比例)制御を採用している。その具体的計算方法をPI制御の場合を例に示す。
【0056】
【数3】
【0057】
【数4】
【0058】
ここで、Uは前述した操作量指令値、ΔUは操作量指令値の変化分、Ysは蒸気温度予測値、Kcは比例ゲイン、Tcは積分時間である。
【0059】
数3及び数4により操作量指令値Ua,Ubが決定されると、この値からプラント100の燃料流量調節弁162の開度とスプレ水流量調節弁開度154bが操作される。
【0060】
本例の予測部330には、例えば図5に示すように、火炉水壁モデル331と、過熱器減温器(スプレ)モデル332と、過熱器モデル333と、負荷指令(計画)値に基づいて諸プロセス量を設定する関数発生器331a〜331eとから成る制御対象モデルと、上記図1のPI制御器320a及びP制御器モデル320bの機能と等価な制御器モデル334及び335とから構成されている。
【0061】
従って、本実施形態の予測部330はプラントの制御系の影響も考慮して予測値を演算するモデルとなっている。
【0062】
火炉水壁モデル331、過熱器減温器モデル332、過熱器モデル333はエネルギー保存式に基づいてモデル化している。
【0063】
火炉水壁モデル331のモデル式を次に示す。火炉水壁部では、輻射熱伝達と対流熱伝達の和として伝熱量を表す
【0064】
【数5】
【0065】
【数6】
【0066】
【数7】
【0067】
【数8】
【0068】
【数9】
【0069】
ここで、Vは容積[m3]、γは比重量[kg/m3]、Hはエンタルピー[J/kg]、Fは流量[kg/s]、Aは伝熱面積[m2]、αは熱伝達率[J/(m2・s・K)]、βは輻射熱伝達係数及び有効輻射伝熱面積に係わる係数[J/(s・K4)]、θは温度[°C]、Mは重量[kg]、Cは比熱[J/(kg・K)]である。また、添え字sは蒸気、mは伝熱管(メタル)、fは燃料、aは空気、grfは再循環ガス、msは伝熱管から蒸気、gmは燃焼ガスから伝熱管、inは入口位置、oは出口位置をそれぞれ表す。また、添え字中の数字1は火炉水壁部、2は過熱器減温器部、3は過熱器部を表すものとする。
【0070】
過熱器減温器モデル332のモデル式を次式に示す。
【0071】
【数10】
【0072】
【数11】
【0073】
ここで、添え字s2oは減温器出口位置、2inはスプレ水を表す。
【0074】
過熱器モデル333では、熱交換器の特性をエネルギー保存式に基づいてモデル化している。モデル式を示す。
【0075】
【数12】
【0076】
【数13】
【0077】
【数14】
【0078】
【数15】
【0079】
過熱器モデル333は数14及び数15に基づき状態観測器を構成して、これを利用して過熱器入口ガス温度を推定する機能を有している。
【0080】
このガス温度推定機能について具体的に説明する。
【0081】
エンタルピと温度は、次式の関係にあり、相互に値を変換することが可能である。数16、17は蒸気についての関係式であるが、ガスに対しても同様の関係が成り立つ。
【0082】
【数16】
【0083】
【数17】
【0084】
ここに、CPsは定圧比熱[J/(kg・K)]、HsBoは基準エンタルピ[J/kg]である。
【0085】
数14、15に、数16、17を代入して整理すると次式が得られる。
【0086】
【数18】
【0087】
【数19】
【0088】
ここで、数18、19を整理すると次式となる。
【0089】
【数20】
【0090】
【数21】
【0091】
【数22】
【0092】
【数23】
【0093】
【数24】
【0094】
【数25】
【0095】
【数26】
【0096】
【数27】
【0097】
【数28】
【0098】
【数29】
【0099】
【数30】
【0100】
【数31】
【0101】
数20及び数21を時間的に離散化し、マトリクス表現すると次式となる。
【0102】
【数32】
【0103】
【数33】
【0104】
【数34】
【0105】
【数35】
【0106】
【数36】
【0107】
【数37】
【0108】
数32が状態方程式であり、出力方程式は次式で表される。
【0109】
【数38】
【0110】
ここで、ZMは観測ベクトル(x1:出口蒸気温度に対応)、CMは観測行列、VMは観測ノイズベクトルである。
【0111】
次に、この物理式モデルに基づいて蒸気温度を予測する。
【0112】
状態XM(k)のうち、x1(過熱器出口蒸気温度)は測定可能であるが、x2(過熱器伝熱管温度)は測定困難であるため、カルマンフィルタを適用して状態XM(k)を推定する。
【0113】
カルマンフィルタを用いた状態観測器314のアルゴリズムを説明する。
【0114】
現在サンプリングステップをkとすると、(k-1)サンプリングステップにおける諸値を用いて状態方程式(数32)より算出した状態値には上付き添字Pを、カルマンフィルタを構成して求める最尤推定値には上付き添字SPをつけて表すことにする。
【0115】
XM SP(k)は次式により求められる。
【0116】
【数39】
【0117】
【数40】
【0118】
【数41】
【0119】
【数42】
【0120】
ここで、上付き添字Tは転置行列、上付き添字−1は逆行列を意味する。
【0121】
この状態観測器を用いて、過熱器出口蒸気温度を計算することができる。過熱器出口蒸気温度の前回値として、計算の初回のみ測定値を使用するが、2回目以降は計算値を使用して計算する。過熱器出口蒸気温度の計算値と目標値との偏差に基づいて制御器モデル334及び335で次時間ステップの操作量(燃料流量、スプレ水流量)を算出し、火炉水壁モデル331の燃料流量と減温器モデル332のスプレ水流量を変更して再び過熱器出口蒸気温度を計算する。この操作を所定の予測時間に相当する回数まで繰り返して蒸気温度の予測値を算出する。
【0122】
さて、数15の右辺には過熱器入口ガス温度θg3inが必要であるが、高温のガス温度は直接計測することが困難である。ガス温度は火炉水壁モデル331で計算できるが、前述の状態観測器を用いてより正確にガス温度を決定できるようにしている。
【0123】
現在サンプリングステップをkとすると、ステップ(k-1)での諸値を用いて数36により現在の過熱器出口蒸気温度を推定する。将来の蒸気温度を予測するためには、(k-1)時点で得られる情報から、現在ステップkの蒸気温度が正しく求められていることが前提になる。
【0124】
推定しているガス温度θg3inが適切でないと、XM SP(k)に誤差を生じる原因になる。そこで、本発明では、現在ステップkにおける過熱器出口蒸気温度x1(k)(=θs3o(k))の測定値と、ステップ(k-1)における伝熱管温度の最尤推定値x2 SP(k-1)(=θm3 SP(k-1))を用いて、状態方程式(数32)の関係から次式を導き、ガス温度θg3inを算出する。
【0125】
【数43】
【0126】
ここで、θs3o(k)はステップkにおける出口蒸気温度測定値である。
【0127】
現在ステップkにおける過熱器出口蒸気温度の推定値が測定値と一致するように、ガス温度を決定することができる。火炉水壁モデルの出口ガス温度θg1oと式(43)で計算したガス温度θg3inとの偏差に基づいて、修正部336で逐次火炉水壁モデルのβgm1を修正している。この方法によれば、逐次、適切なガス温度を決定でき、火炉水壁モデル331の特性も逐次修正できるので、現在ステップにおけるモデル誤差が小さくなる。また、モデル誤差が小さいため、予測精度が向上する。
【0128】
なお、本例では過熱器入口蒸気温度θs3inはサンプリングステップ(k-1)における値を用いているが、ステップkにおける測定値を用いてもよい。
【0129】
以上、予測方法の具体的方法を述べたが、本発明は本実施形態に示した予測方法に限定されるものではない。火炉水壁モデル331、過熱器減温器モデル332、過熱器モデル333はそれぞれ対象機器の特性を模擬しているモデルなら、物理的因果関係を模擬した物理モデル以外であっても良い。例えば、統計的方手法による回帰式モデルでも、ニューラルネットワークによる学習型モデルでも良い。その際、蒸気温度の目標値と測定値との偏差分を出力とする相関モデルとしても良い。
【0130】
本発明では、同一の制御対象プロセス量を制御するための異なる操作量に対して予測時間の異なる予測値を演算する。パラメータ調整部340は、例えば図6に示すような燃料流量に対する予測時間τaとスプレ流量に対する予測時間τbとを決定すると共に、制御器320a、320bの比例ゲイン、積分時間も決定する。
【0131】
パラメータ調整部340は、例えば図7に示すように、プラントモデル355と、予測部330を模擬した予測機能モデル350と、予測機能モデル350及びプラントモデル355内の制御対象モデルパラメータを調整するモデル調整部342と、制御器320aのパラメータ(比例ゲインKc1,積分時間Tc)及び制御器320bのパラメータ(比例ゲインKc2)と予測時間間隔τa,τbを算出するパラメータ最適化部348とから構成されている。
【0132】
プラントモデル355は、制御器320a及び320bと等価な制御器モデル346a、346bと、制御対象100のモデル344とから構成され、予測機能モデル350にも、プラントモデル355と同じモデルが含まれている。
【0133】
制御器モデル346aはPI(比例・積分)制御器を表す次式の伝達関数で定義する。
【0134】
【数44】
【0135】
ここで、sはラプラス演算子である。
【0136】
同様に、制御器モデル346bはP(比例)制御器を表す次式で定義する。
【0137】
【数45】
【0138】
制御対象モデル344は燃料流量と蒸気温度との関係を模擬したモデル344aと減温器スプレ水流量と蒸気温度との関係を模擬したモデル344bとから成る。
【0139】
制御対象モデル344の二つのモデル344aと344bはそれぞれ一次遅れと無駄時間で模擬し、次式の伝達関数で定義する。
【0140】
【数46】
【0141】
【数47】
【0142】
ここで、Kp1,Kp2はゲイン、Tp1,Tp2は時定数、Lp1,Lp2は無駄時間に相当するモデルパラメータである。
【0143】
予測機能モデル350では、プラントモデル355と全く同じモデルを持っているので、先の時間ステップまでシミュレーション計算することによりプラントモデル355の出力値を予測したことになる。この予測値をプラントモデル355へ出力し、目標値との偏差を計算して、制御器モデル346a及び346bを介してプラントモデル355の出力を計算する。
【0144】
すなわち、実際の制御対象100に対して、予測制御を実施した場合を模擬している。パラメータ調整部340は、この予測制御の模擬計算により、制御対象モデル344が最も望ましい状態になるように予測時間τa,τb及び制御器パラメータである比例ゲインKc1,Kc2、積分時間Tcとを決定する。
【0145】
予測時間、制御器パラメータなどの具体的決定方法を説明する。
まず、制御対象モデル344の応答特性を制御対象100の特性と合わせる必要がある。火力プラントでは、プラント新設時や定期検査終了時にプラント特性を把握するために試験運転を実施する。
【0146】
その一つとして、各種操作量に対してステップ応答試験を実施する。モデル調整部342はそのステップ応答試験のデータを取り込み、制御対象モデル344及び344’のモデルパラメータKp1,Kp2,Tp1,Tp2,Lp1,Lp2を調整する。
【0147】
これらの調整には、運転員が介入し、試運転データを用いてオフラインで実施する。図8にモデルパラメータ調整のマンマシンインターフェイスを示す。図8は画像表示装置910に表示され、外部入力装置900を用いて操作やデータ入力ができる。
【0148】
例として制御対象モデル344aの調整過程について説明する。制御対象モデル344bについても同様の手順で調整できる。
【0149】
グラフ表示エリア911にはプラント試運転時のステップ応答の応答波形915がグラフ表示される。この波形からモデルパラメータKp1,Tp1,Lp1を決定するために補助線912,914,916が表示される。補助線914はステップ応答試験開始時の定常状態の出力レベルAを表しており、画面上でマウスポインタカーソル918を用いて上下に移動させることができる。出力レベルは定格レベルに対してパーセント表示されている。
【0150】
また、数値表示エリア920には出力レベルAの他、各種数値が表示され、その値をキーボード930からの入力により直接変更することができる。また、増減ポインタ922をマウスでクリックすることにより表示されている値を微小間隔で増加または減少させることができる。補助線914と数値表示エリア920内の値は連動して変化する。
【0151】
これらの方法により、運転員が出力レベルAの値を決定する。同様にして補助線912が示すステップ応答試験終了時の定常状態における出力レベルBを決定する。
【0152】
さらに応答波形立ち上がり時の変曲点における接線916を決定する。接線916は出力レベルA及びBと同様の方法で図8に示す点C及び点Dを決定することにより特定する。
【0153】
以上から点A〜Dが決定されると、以下のようにしてモデルパラメータKp1,Tp1,Lp1が決定される。
【0154】
ステップ応答試験時の操作量の変化幅K2(%)よりゲインKp1は
【0155】
【数48】
【0156】
【数49】
【0157】
とする。
【0158】
ステップ応答試験開始(操作量変化開始)時刻Qから無駄時間Lp1は
【0159】
【数50】
【0160】
とする。
【0161】
また、時定数Tp1は接線916上で線分EPの長さが0.632K1となる時刻Pより、
【0162】
【数51】
【0163】
とする。
【0164】
以上、モデル調整部342の処理手順を整理して図9に示す。すなわち、本処理手順では、ステップ応答試験データとして目標値R、被制御量Y1を読み込み(ステップ5001)、該データを用いて出力レベルA、Bおよび接戦916の形状を特定するための点C、Dを決定し(ステップ5002、5003)、これら点A〜Dの値からプラントモデルのパラメータKp1、Tp1、Lp1を決定する(ステップ5004)。
【0165】
次に、予測時間τa,τb及び制御器パラメータKc1,Kc2,Tcの決定方法について説明する。
【0166】
パラメータ最適化部348では制御性能評価値Jを最小にするパラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tcの組合わせを求める。ここで、制御性能評価値Jは次式で定義する。
【0167】
【数52】
【0168】
ここでRm(t)はモデル目標値、Ym(t)は制御対象モデル344の出力値、Uam(t)及びUbm(t)はそれぞれ制御器モデル346a及び346bの出力値であり制御対象モデル344に対する操作量に相当する。p、qは重み係数である。
【0169】
Jの値はシミュレーションにより近似的に計算することができる。数52の右辺{ }内第一項、第二項及び第三項の値を各計算時間ステップにおいて計算し、それらの和を積算することにより求める。すなわち、計算時間間隔をΔtとすると次式で表される。
【0170】
【数53】
【0171】
制御器パラメータKc1,Kc2,Tcは制御器の取り得る値として、それぞれ上・下限値を定める。また、予測時間τa,τbはそれぞれ、0からTp1×αaとTp2×αbまでとする。αaとαbは係数であり、任意に設定可能である。
【0172】
この範囲内で、パラメータを順次所定の刻み幅で変化させてt=0からTまでシミュレーション計算を行い、その都度評価値Jを計算する。最終的に評価値Jが最小になるパラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tcの組合わせを最適値とする。
【0173】
τa,τb,Kc1,Kc2,Tcの組合わせによっては制御系が安定しない場合があるので、評価値Jを計算する前にHurwitzの安定判別法などを用いて安定性を確認することが望ましい。不安定な組合わせに対しては評価値Jを計算せずに、パラメータ値を変更して、最適値探索を進める。
【0174】
また、最適なパラメータτs,Kc,Tcの組合わせを求める方法は上記方法に限定されるものではなく、山登り法、遺伝アルゴリズムなどの最適化方法を用いても良い。
【0175】
モデル目標値Rm(t)が変化する場合も同様にパラメータの最適値が計算できる。
【0176】
なお、火力プラントの起動時には、蒸気温度目標値を所定のタイムスケジュールに従って上げていく昇温過程が存在する。昇温過程においては、目標値との偏差を小さくすることのみならず、機器材料に与える影響を考慮すると昇温率を目標値の昇温率と合わせることも大切な要素となる。
【0177】
その場合には、評価値J(数52右辺{ }内)に次の昇温率の項を加えることが望ましい。
【0178】
【数54】
【0179】
ここで、rはp,qと同様、重み係数である。
【0180】
なお、制御器モデル346、制御対象モデル344、予測機能モデル350はそれぞれ数44、45、46、47で定義したが、これらのモデル化はこの方法に限定されるものではない。例えば、前述した予測部330と全く同じモデルで構成してもよい。
【0181】
また、評価値Jも数52または数53に限定されるものではなく、任意に設定可能である。また、フィードバックを伴う閉ループ系に対して、評価値を計算する方法が例えば次の文献に示されている。
【0182】
「一般化ISEを評価規範としたロバストI-PDコントローラMinimax最適化による設計」、河辺 徹、片山 徹、計測自動制御学会論文集、Vol.32,No.8,pp1226〜1233(1996)。
【0183】
この方法によりシミュレーションによらずt=0から評価時間∞までの評価値が計算できる場合もある。
【0184】
以上で述べた、パラメータ最適化部348の処理手順を図10に示す。
【0185】
本処理手順では、図10のステップ1101〜1104に示すように、パラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tcの値をそれぞれ所定の範囲内を、所定の刻み幅で変化させて、すべての組合わせの評価が終了した時、最適値探索を終了する。
【0186】
前述したように、パラメータ最適値の探索には山登り法などの最適化手法を導入してももちろん良い。
【0187】
また、本発明で用いる予測時間を決定する方法としては、例えば特開平9-146612号公報に述べられている方法等、他の方法を用いても良い。
【0188】
次に、目標値が時間的に変化する場合の、目標値Rm(t)の設定方法を説明する。
【0189】
図11にモデル目標値Rm(t)の設定支援のためのマンマシンインターフェイスを示す。グラフエリア911には時間軸(横軸)に対する目標値Rmの値930のグラフが表示される。
【0190】
グラフ上のRm値930の線上の点をマウスでクリックしてドラッグすることにより、グラフ波形形状を変更することができる。その時の折れ線の座標は数値で座標表示エリア932に表示される。座標表示エリア932には全座標点を一度に表示できない場合、スクロールバー934が表示されて、マウス操作により上下にスクロールすることができる。
【0191】
また、数47の評価値Jを算出する際に必要となる評価時間Tは評価時間入力欄936にキーボードから数値で入力する。目標値Rmと評価時間Tの入力終了後、設定ボタン938をマウスでクリックすることにより設定が完了する。
【0192】
以上のようにして予測時間間隔τa,τb及び制御器パラメータKc1,Kc2,Tcを決定した場合の制御結果のシミュレーション例を図12に示す。本例は目標値をステップ変化させた場合の応答である。
【0193】
上記構成によれば、予測制御を行わない場合に比べて目標値への追従が早くなり、かつ、オーバーシュート量が減少しており、制御性能が向上していることがわかる。
【0194】
さらに、本発明による上記構成によれば、制御性能がもっとも向上する予測時間を操作量に応じて決定できる他、予測制御を実施した場合の制御器パラメータの最適値も決定することができるので、予測制御方式の効果を最大限に発揮させることができる。
【0195】
さらに、本発明による上記構成によれば、従来それらの制御器パラメータを試行錯誤的に調整していたのに対して、調整時間が短縮できる効果もある。
【0196】
シミュレーションによる効果は、図13に示すように画面上に表示してユーザが確認可能であるように構成する。
【0197】
例えば、グラフエリア911にはシミュレーション結果による応答波形を表示する。また、パラメータ表示欄924には、その時のパラメータτa,τb,Kc1,Kc2,Tcの値を表示する。また、切替えボタン926をマウスでクリックするたびにグラフエリア911に表示されるグラフがモデル出力値Ym(t)と操作量Uam(t),Ubm(t)とに順に切り替える。
【0198】
また、切替えボタン928により、モデル出力値Ym(t)または操作量Uam(t),Ubm(t)を単独に表示させるか、各グラフを並べて表示するかを切り替える機能を設けても良い。
【0199】
以上、パラメータ調整部340により、プラントの試運転時または定期検査時などの機会を利用してオフライン的に調整する方法を説明したが、本発明は以下に述べるようにプラントの運転を制御しながらオンライン的に使用することもできる。
【0200】
例えば、パラメータ調整部340をプラントの運転中に所定の時間間隔で周期的に起動する。例えば5分毎に起動し、パラメータ調整部348によって予測時間τa,τb及び制御器パラメータKc1,Kc2,Tcを決定する。パラメータ調整部348の処理手順は図10と同じである。
【0201】
このようにすると、プラント100の運転状態(負荷帯、負荷変化条件)に応じて随時、適正な予測時間間隔τs及び制御器パラメータKc,Tcを決定できるので制御性能をさらに向上させることができる。
【0202】
また、予測時間間隔τs及び制御器パラメータKc,Tcを決定する前に、モデル調整部342により制御対象モデル344の特性が制御対象100の特性と合うように随時、制御対象モデル344を調整することもできる。制御対象モデルを回帰式モデルやニューラルネットワークモデルとすれば、直近(直前)のデータで相関式を作り直したり、ニューラルネットワークで再学習することによりモデル特性を逐次調整する構成としてもよい。
【0203】
上記構成によれば、プラントの運転点(運転状態)近傍の特性に制御対象モデル344の特性を常に合わせることができるので、予測制御の効果がさらに向上する。また、制御対象モデル344はプラントの広範囲な運転状態を模擬する必要がなくなるため、比較的簡単なモデルで近似できるようになり、演算負荷が減少する効果もある。
【0204】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0205】
本実施形態の制御装置は、上記第1の実施の形態において、図14に示すような構成を有する蒸気温度予測コントローラ380を用いたものである。
【0206】
上記第1の実施の形態における蒸気温度予測コントローラ380と異なる点は、予測値Ysと目標値Rsとの偏差をPI制御器320aとP制御器320bにフィードバックするのではなく、プラント出力値(蒸気温度の測定値)をフィードバックして、予測値YsからはP制御器320c及び320dによって操作量に補正を加える構成にした点である。この場合には、プラントモデル355も同じ構成にする。
【0207】
さらに、切替部339は、予測値に基づく補正値をそのまま出力するか、0を出力して実質的に予測制御を使わないようにするかを切り替える機能を持つものとする。
【0208】
本実施形態では、予測値に基づく操作量の補正量算出部としてP制御器320c及び320dを用いているが、他の方法であってももちろん良い。
【0209】
本実施形態の構成によっても、上記第1の実施の形態と同様に、同一の制御量に対し複数の操作量が存在するプロセスにおいて、該複数の操作量のそれぞれに対応して互いに異なる予測時間における予測値を演算し、それぞれの予測値に基づいて操作量を決定することができる。
【0210】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0211】
本実施形態では、本発明を廃棄物焼却プラントの運転制御装置に適用している。廃棄物焼却プラントの概要を図15により説明する。
【0212】
図15はストーカ式焼却炉を持つ廃棄物焼却プラント1000の構成の一例を示す。
【0213】
一般家庭から出される廃棄物(ごみ)は、ごみ収集車700によって集められる。集められたごみは、ごみピット614へ一旦貯蔵される。
【0214】
ごみピット614のごみは、クレーン612で焼却炉ホッパ610へ運ばれる。その途中で重量測定器201があり、ごみの重量を計測する。ホッパ610へ投入後、押し出し機630によってストーカ上に運ばれる。ストーカは前段の乾燥ストーカ626と後段の燃焼ストーカに分かれている。乾燥ストーカでは、主に投入ごみの水分を蒸発させる。燃焼ストーカでは、乾燥したごみを燃焼させる。燃焼後の灰は、灰ピット638に一旦堆積した後で、埋め立て処理される。
【0215】
ごみの乾燥状態は、乾燥ストーカの移送速度で、また、燃焼量は燃焼ストーカの移送速度で主に制御している。
【0216】
乾燥ストーカ626及び燃焼ストーカ628には下部から、それぞれ乾燥用空気及び燃焼用空気が吹き込まれるようになっている。空気はファン620により送り込まれるが、その途中に、燃焼ガスの一部と熱交換(不図示)して昇温するエアヒータ622が設置されている。
【0217】
乾燥ストーカ626と燃焼ストーカ628とへの空気量はファン620とそれぞれのストーカへの配分量を調節する空気ダンパ624の開度によって制御される。
【0218】
燃焼ガスは、排ガス処理装置632によってダストや有害物質をある程度除去した後で煙突634から排出される。
【0219】
燃焼ガスの一部は、煙突より放出される前にガス分析装置115へ送られてCO(一酸化炭素)濃度、O2(酸素)濃度、NOx(窒素酸化物)の濃度を随時オンラインで測定している。また、ダイオキシン類濃度はオフラインで定期的に測定している。
【0220】
また、ストーカ626、628上部で2箇所、排ガス処理装置632の入口に1個所、煙突634の入口に1箇所、ガス温度センサ640、642、644、646が設置してあり、燃焼ガス温度を測定している。
【0221】
さて、廃棄物を焼却処理する施設では、有害物質の排出を抑制することが重要である。特にダイオキシン類は炉内を高温に保つことによって熱分解する性質が知られている。高温状態を維持することは、基本的に完全燃焼状態を維持することである。しかし、廃棄物の焼却では、焼却炉に投入される廃棄物の組成や含水率が一定ではなく、安定に燃焼させることが難しい。
【0222】
そこで、ダイオキシン類の排出量を抑制することを目的に、本発明の予測制御方法を適用する。
【0223】
ダイオキシン類の濃度がオンラインで測定できることが望ましいが、できない場合には、ダイオキシン類濃度の指標となるプロセスデータで代用する。その一つとして、CO濃度や塩化フェノールがあり、これらの値は比較的短時間で測定が可能であり、ダイオキシン類濃度とある程度相関が認められる。
【0224】
そこで、予測対象プロセス量を排出ガス中のCO濃度とする。この値はガス分析装置115でオンライン測定している。本例では排出ガス中のCO濃度であるが、塩化フェノールなど、ダイオキシン類濃度を推定でき、比較的短時間で測定可能な物質であればそれ以外でも良い。
【0225】
また、予測値に基づいて操作するプロセス量(操作量)は燃焼ストーカの移送速度とごみ投入量(速度)である。
【0226】
本実施形態の運転制御装置300は、上記第1の実施の形態で説明した火力プラントの場合と同様に、焼却プラント1000に配備された各アクチュエータの操作量を決定するための制御系を有し、その制御系には制御の対象となるプロセス量(本例ではCO濃度)の予測コントローラ380が備えられている。
【0227】
予測コントローラ380は、例えば図16に示すように、制御プロセス量(CO濃度)を変化させるための操作量を算出する操作量1算出部321a、操作量2算出部321bと、各操作量に対応して異なる予測時間の予測値をそれぞれ出力する予測部330、予測部330に含まれる制御器モデル等の各種モデルのパラメータを調整するパラメータ調整部340と、切替部332と、P制御器321c、321dとを備えている。
【0228】
本実施形態の予測コントローラ380では、重量測定器201で計測したごみの重量に基づいて、操作量演算部321a及び321bで燃焼ストーカ移送速度とごみ投入量(速度)を演算する。さらに、本発明の予測制御方法により将来のCO濃度を予測し、P制御器321cと321dにより燃焼ストーカの移送速度とごみ投入量に対する操作量に補正を加えるようにしている。
【0229】
投入されたごみはまず乾燥ストーカ626上で乾燥した後、燃焼ストーカ628に移動する。このため、ごみの投入量の変更が燃焼状態に影響するまでの時間は比較的長い。これに対して、燃焼ストーカ移送速度の変更は、すぐに現在の燃焼状態に影響する。そのため、両操作量に対して予測制御を実施する場合には、それぞれに適した予測時間を用いる方法が有効である。
【0230】
次に、本実施形態の予測部330について説明する。
【0231】
排ガス中のCO濃度をごみ供給量(速度)、燃焼ストーカ移送速度、乾燥空気流量、燃焼空気流量、(前回サンプリング分までの)CO濃度測定値との関数として次式でモデル化している。
【0232】
【数55】
【0233】
ここで、COは排ガス中のCO濃度、Fwはごみ供給量(速度)、CSVは燃焼ストーカ移送速度、Fdaは乾燥空気流量、Fcaは燃焼空気流量であり、kは現在サンプリングステップを表す。
【0234】
予測時にはFw,CSV,Fda,Fcaを現在ステップの値で保持された状態で、数55の右辺のCOの値を順次、左辺の計算値に置き換えて将来のCO濃度を計算する。
【0235】
予測部330の構成を図17に示した。数55のCO相関モデル360と、操作量算出部321a及び321bのモデル322a及び322bと、P制御器321cと321dのモデル322c及び322dとで構成されている。
【0236】
本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様にパラメータ調整部340を備えており、燃焼ストーカ移送速度とごみ投入量(速度)に対応する予測時間と、P制御器321cと321dの比例定数を決定する。
【0237】
本実施の形態では、予測制御に対する操作量として燃焼ストーカ移送速度とごみ投入量を選択しているが、乾燥ストーカ移送速度、乾燥空気量、燃焼空気量などでも良く、また、それらの組合わせであっても良い。
【0238】
また、ダイオキシン類はCl(塩素)を含む化合物であるため、排ガス中の塩素を別の安定な塩素化合物として固定化して除去することによりダイオキシン類の排出量を抑制する方法がある。この場合例えば、石灰石や消石灰のようなカルシウム化合物をダイオキシン抑制剤として用いることができる。その時、次式のような反応によりCaCl2(塩化カルシウム)として塩素分が固定化される。
【0239】
【数56】
【0240】
従って、操作量としてカルシウム化合物などのダイオキシン抑制剤の投入量を用いても良い。また、制御量としてダイオキシン類の濃度のみならず、(窒素酸化物)濃度でも良く、NOx濃度を予測しても良い。
【0241】
【発明の効果】
本発明によれば、単一の制御量に対して複数の操作量が存在するプロセスに対して、各操作量に対応して異なる予測時間における予測値を演算し、それぞれの予測値に基づいて操作量を決定するので制御精度が高い制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態における予測コントローラの構成を表すブロック線図。
【図2】火力発電プラントの構成を示す説明図。
【図3】制御装置の構成とプラントとの関係を表す説明図。
【図4】制御装置のハード構成を示すブロック図。
【図5】予測部の構成を表すブロック線図。
【図6】予測時間間隔の説明図。
【図7】パラメータ調整部の構成を表すブロック線図。
【図8】制御対象モデルのパラメータ調整支援画面を表す説明図。
【図9】モデル調整部の処理手順を表すフローチャート。
【図10】パラメータ最適化部の処理手順を表すフローチャート。
【図11】目標値の設定画面を表す説明図。
【図12】予測制御の効果を示す説明図。
【図13】調整効果確認画面を表す説明図。
【図14】第二の実施の形態における予測コントローラの構成を表すブロック線図。
【図15】廃棄物焼却プラントの構成を表すブロック線図。
【図16】第三の実施の形態における予測コントローラの構成を表すブロック線図。
【図17】第三の実施の形態における予測部の構成を表すブロック線図。
【符号の説明】
100…火力発電プラント、110…発電機、111…発電機出力計測装置、120…低・中圧タービン、121…タービン加減弁、122…過熱器出口蒸気温度測定器、123…主蒸気圧力測定器、124…再熱蒸気温度測定器、125…復水器、126…冷却水、130…高圧タービン、140…給水ポンプ、150…ボイラ、152…火炉水壁、154…過熱器、156…再熱器、160…バーナー、161…空気流量調節弁、162…燃料流量調節弁、170…排ガス処理装置、175…煙突、300…運転制御装置、320a,b…制御器、330…予測部、331a…火炉水壁モデル、331b…スプレモデル、331c…過熱器モデル、339…切替部、340…パラメータ調整部、342…モデル調整部、344…制御対象モデル、346…制御器モデル、348…パラメータ最適化部、350…予測機能モデル。
Claims (14)
- 制御対象とすべきプロセス量(被制御量)の将来の値を予測する予測手段と、該予測手段から出力される予測値に基づいて前記被制御量を制御するために操作するプロセス量(操作量)を決定する操作量算出手段とを有する制御装置において、
1つの被制御量に対して複数の操作量が存在するものであって、
前記予測手段は、前記制御対象のプロセスを模擬した制御対象モデルと、前記操作量算出手段を模擬した制御器モデルとを具備し、前記制御器モデルが、前記制御対象モデルから出力された被制御量を用いて操作量を演算すること、及び、前記制御対象モデルが、複数の前記制御器モデルから出力された操作量を用いて被制御量を演算することを、各予測時刻が到来するまで、および、各予測時間間隔が経過するまでのうち少なくとも一方まで繰り返すことで、複数の予測値を演算して出力し、
前記操作量算出手段は、前記複数の予測値を用いて前記複数の操作量をそれぞれ決定することを特徴とするプロセスの制御装置。 - 請求項1に記載のプロセスの制御装置において、
前記予測手段は、
前記複数の操作量のうち前記制御対象量に対しての時定数が大きい方の操作量を決定するために設けられた前記操作量算出手段の一部構成を模擬した制御器モデルを少なくとも含んでいること
を特徴とするプロセスの制御装置。 - 請求項1に記載のプロセスの制御装置において、
前記予測手段は、
前記複数の操作量のうち前記制御対象量に対しての時定数が小さい方の操作量を決定するために設けられた前記操作量算出手段の一部構成を模擬した制御器モデルを少なくとも含んでいることを特徴とするプロセスの制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のプロセスの制御装置において、
予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出し、該評価値を用いて前記複数の予測値の各々について予測時刻または予測時間間隔を決定する予測時間決定手段をさらに具備すること
を特徴とするプロセスの制御装置。 - 請求項2または3に記載のプロセスの制御装置において、
予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出し、該評価値を用いて前記制御器モデルのパラメータ値を設定するパラメータ設定手段をさらに具備すること
を特徴とするプロセスの制御装置。 - 請求項5に記載のプロセスの制御装置において、
前記操作量算出手段は、比例制御器および積分制御器のうち少なくとも一方を含んで構成されており、
前記パラメータ設定手段が設定するパラメータ値は、前記比例制御器の比例ゲインまたは前記積分制御器の積分時間に対応するものであること
を特徴とするプロセスの制御装置。 - 火力発電プラントの蒸気温度の将来値を予測する予測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温度予測値に基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、蒸気温度減温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス分配ダンパ開度のうち少なくとも一つを操作量として決定する、一つまたは複数の操作量算出手段とを有する火力発電プラントの制御装置において、
前記予測手段は、前記火力プラントの運転に関する制御信号および前記操作量のうち少なくとも一方と前記蒸気温度との関係を模擬した熱交換器モデル、および、前記蒸気温度減温器を模擬した蒸気温度減温モデルのうち少なくとも一方とから構成される制御対象モデルと、前記操作量算出手段と等価またはその特性を模擬した一つ又は複数の操作量算出モデルとを具備し、前記操作量算出モデルが、前記制御対象モデルから出力された蒸気温度を用いて操作量を演算すること、及び、前記制御対象モデルが、一つ又は複数の前記操作量算出モデルから出力された操作量を用いて蒸気温度を演算することを複数の特定の各時刻が到来するまで繰り返すことより、前記複数の特定の各時刻における蒸気温度を算出し、
前記操作量算出手段は、前記出力された複数の予測値を用いて前記燃料流量、前記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダンパ開度のうち2つ以上の操作量を決定すること
を特徴とする制御装置。 - 請求項7に記載の火力発電プラントの制御装置において、
前記予測手段は、前記燃料流量、前記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダンパ開度のうち前記蒸気温度に対しての時定数が小さい操作量を決定する前記操作量算出手段の一部構成と等価またはその入出力特性を模擬した制御器モデルを少なくとも含んで構成すること
を特徴とする制御装置。 - 請求項7又は8に記載の火力発電プラントの制御装置において、
予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出し、該評価値を用いて前記複数の予測値の各々について予測時刻および予測時間間隔のうち一方を決定する予測時間決定手段をさらに具備すること
を特徴とする制御装置。 - 請求項7〜9のいずれかに記載の火力発電プラントの制御装置において、
前記操作量算出手段は、比例制御器および積分制御器のうち少なくとも一方を含んで構成されており、
予め定義した制御性能を評価するための評価値を算出し、該評価値を用いて前記比例制御器の比例ゲインまたは積分制御器の積分時間を算出する制御器パラメータ設定手段をさらに具備すること
を特徴とする制御装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のプロセスの制御装置において、
前記被制御量は、廃棄物焼却プロセスに係わる排出ガス中のCO(一酸化炭素)濃度、塩化フェノール濃度、窒素酸化物濃度、およびダイオキシン類濃度のうち少なくとも一つであり、
前記操作量は、焼却炉への廃棄物の投入量、該焼却炉内の搬送速度、乾燥用空気流量、燃焼用空気流量、空気温度、および燃焼ガス無害化処理用の薬剤投入量のうちいずれかを少なくとも含むこと
を特徴とするプロセスの制御装置。 - 制御対象とすべきプロセス量(被制御量)の将来の値を予測し、該予測値に基づいて前記被制御量を制御するために操作するプロセス量(操作量)を決定するプロセスの制御方法において、
1つの被制御量に対して複数の操作量が存在するものであって、
前記プロセス量を決定するステップを模擬した制御器モデルで、前記制御対象のプロセ スを模擬した制御対象モデルにより演算された被制御量を用いて操作量を演算し、前記制御対象モデルで、前記制御器モデルにより演算された操作量を用いて被制御量を演算することを、各予測時刻が到来するまで、および、各予測時間間隔が経過するまでのうち少なくとも一方まで繰り返すことで、複数の予測値を演算して出力し、
前記出力された複数の予測値を用いて前記複数の操作量をそれぞれ決定すること
を特徴とするプロセスの制御方法。 - 火力発電プラントの蒸気温度の将来値を予測する予測手段と、該予測手段の出力値である蒸気温度予測値に基づいて前記火力発電プラントの燃料流量、蒸気温度減温器スプレ流量、再循環ガス流量およびガス分配ダンパ開度のうち少なくとも一つを操作量として決定する、一つまたは複数の操作量算出手段とを有する火力発電プラントの制御方法において、
前記操作量を決定するステップを模擬した操作量算出モデルで、前記火力プラントの運転に関する制御信号および前記操作量のうち少なくとも一方と前記蒸気温度との関係を模擬した熱交換器モデル、および、前記蒸気温度減温器を模擬した蒸気温度減温器モデルのうち少なくとも一方とから構成される制御対象モデルで演算された蒸気温度を用いて操作量を演算し、前記制御対象モデルで、前記操作量算出モデルにより演算された操作量を用いて蒸気温度を演算することを、各予測時刻の到来するまで、および、各予測時間間隔の経過するまでのうち少なくとも一方まで繰り返すことより、複数の予測値を演算して出力し、
前記出力された複数の予測値を用いて前記燃料流量、前記蒸気温度減温器スプレ流量、前記再循環ガス流量および前記ガス分配ダンパ開度のうち2つ以上の操作量を決定すること
を特徴とする制御方法。 - 請求項13に記載の火力発電プラントの制御方法において、
燃焼ガス温度の推定値と蒸気温度測定値とを少なくとも用いて、該蒸気温度を測定した時刻以降の蒸気温度と前記熱交換器の伝熱管温度とを推定すると共に、所定時間経過後の蒸気温度を予測する際には、推定した前記蒸気温度と推定した伝熱管温度とを使用する方法であって、
前記燃焼ガス温度は、前記時刻以前の前記伝熱管温度推定値と前記時刻以降の蒸気温度の測定値とを少なくとも使用して算出すること
を特徴とする制御方法。
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