JP3556078B2 - ゴミ焼却炉の給塵速度制御方法及びゴミ焼却炉 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴミ焼却炉の給塵速度制御方法に関し、詳しくは、投入されたゴミを搬送しながら焼却処理する火炉における発生熱により蒸気を発生する廃熱ボイラを備え、前記火炉における発生熱量を所定範囲内に維持すべく、給塵機構による前記火炉への単位時間当たりのゴミ投入量を制御するゴミ焼却炉の給塵速度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴミ焼却設備には、図2に示すように、投入されるゴミを受け入れるホッパ1aと、前記ホッパ1aから火炉Fにゴミを投入する給塵機構7と、前記火炉Fに投入されたゴミを搬送しながら焼却するストーカ機構1bからなる火床と、前記火床上に形成される燃焼領域からの燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼室1cとを設けて構成してあるゴミ焼却炉1と、前記二次燃焼室1cからの排ガスを煙突6に導く煙道4に、前記排ガスの熱、即ち前記火床上で焼却されるゴミの焼却生成熱を回収して蒸気を発生する廃熱ボイラ2と、前記排ガス中の粉塵等を除去する除塵装置3と、前記除塵後の排ガスを無害化する排ガス処理装置5とを順次配置し、さらに、前記ゴミ焼却炉1からの排ガスを前記廃熱ボイラ2で生成する蒸気によりタービンを回転駆動して発電する発電装置9を設けてあり、前記火炉Fにおけるゴミの燃焼により発生する蒸気の量を所定範囲内に維持しながら所定量のゴミの焼却を遂行するための燃焼制御装置10を付設して構成されていた。前記燃焼制御装置10は、火炉Fに空気を供給する空気供給装置8及び前記給塵機構7を制御するように構成してある。
【0003】
そして、その燃焼制御装置10にフィードバックデータを出力すべく、前記廃熱ボイラ2からの蒸気の流量を検出する蒸気流量検出手段21と、その蒸気の温度を検出する蒸気温度検出手段22と、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段23とを設けてあった。前記蒸気流量検出手段21と前記蒸気温度検出手段22とは前記廃熱ボイラ2からの発生蒸気量を所定範囲内に維持するためのものであり、前記酸素濃度検出手段23は排ガスの成分組成を所定範囲に維持するためのものであり、具体的には排ガス中の酸素濃度を例えば8%程度に維持する。
【0004】
前記燃焼制御装置10には、前記給塵機構7により火炉F内にゴミを投入する給塵速度を制御するための給塵制御手段11を備えており、その給塵速度制御は、過去3時間内にホッパに投入されたゴミの重量の移動平均値と、同じく過去3時間内に炉内で発生した発熱量の移動平均値とから、炉内のゴミの単位重量当たりの平均発熱量を算出し、これを基に前記給塵機構7のホッパ内のゴミを炉内に投入する動作速度を制御することで行われていた。つまり、炉内に投入されるゴミの低位発熱量を前記平均発熱量であると推定して、炉内の発生熱量を一定に維持するように、炉内に投入されるゴミの重量を前記平均発熱量に見合うように前記給塵機構のゴミ投入量を制御していた。上記3時間の移動平均値を用いるのは、ホッパにゴミが投入されてから火炉内の燃え切り位置に達するまでの平均所要時間(例えば、ホッパ滞留時間(具体例をあげれば、約1〜1.5時間)と火炉内に投入されてから燃え切り位置に達するまでの時間(具体例をあげれば、約0.5〜1時間)を基準とする)を基準として投入されるゴミのゴミ質を平均化して把握することにあり、火炉に投入されるゴミの質の変動に対処しようとするものである。
【0005】
さらに詳しく説明すれば、ゴミの計量はホッパ投入前にクレーンで掴み上げた際に行われるから、例えば給塵機構が押込給塵機構である場合には、1回に投入されたゴミが数回乃至中数回にわたって分割して投入されることになり、1回に押し込まれるゴミの質についてみれば、毎回ゴミ質の変動があるが、火炉内でのゴミは、数回乃至十数回にわたって押込まれた投入ゴミ量に相当するゴミが燃焼していることになり、燃焼発熱は平均化された現象となってから、投入されるゴミに関しても平均化することが必要なのである。しかも、ゴミの質は前記クレーンで掴み上げた際に嵩密度から判定するから、前記押込給塵機構の数回乃至十数回の押込動作によって火炉に投入されるゴミの嵩密度の平均値から判定していることになり、この点からも平均値で把握することが必要であったのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記従来のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法においては、実際に給塵機構によりホッパから炉内に投入されるゴミの単位重量当たりの発熱量と上述の移動平均値として求めた平均発熱量との間には大きな誤差が生じる場合があり、次のような問題を招いていた。例えば急に多量の水分の多いゴミがホッパ内に投入される場合、炉内に投入されたゴミの低位発熱量が急激に低下して燃焼発熱量が低下するが、これに拘わらず過去3時間の投入ゴミの燃焼発熱量から投入されるゴミの燃焼発熱量を推定している(従って、ゴミの嵩密度もこれに対応している)ために、実際に投入されるゴミの水分が多ければ、投入されるゴミの嵩密度が前記平均発熱量に対応するゴミの嵩密度よりも大きくなるのが通常で、投入ゴミ量を増量すべく設定されたゴミ投入量に対して、実際に投入されるゴミの量は少なくなり、しかも水分が多いために投入されたゴミの燃焼発熱量は逆に低下する場合があり、こうした制御に対する逆応答により炉内発熱量を一定に保つのが困難になるという問題がある。また、これと逆に、乾燥度が高く、低位発熱量の高いゴミが多量にホッパ内に投入された場合には、炉内に投入されたゴミの燃焼発熱量が急激に増大して、投入ゴミ量を減量すべく設定されたゴミ投入量に対して、上記と同様の理由により、逆に炉内に投入されるゴミ量は設定されたほどには減少せず、しかもゴミが乾燥しているために投入されたゴミの燃焼発熱量が逆に増大する場合があり、ここでも逆応答により炉内発熱量を一定に保つのが困難になる場合があるという問題を有している。さらに、ゴミの平均発熱量を、燃焼制御装置に付随する記憶手段に過去のデータとして記憶させたものから算出しているために、炉の立ち上げの際や、制御電源の停電等による記憶消失の後には、給塵制御の指標となるべき基準、即ち炉内ゴミの平均発熱量が給塵機構の投入ゴミ量に反映できないために、適切な給塵制御ができなくなるという問題も有していた。
そこで、本発明のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法並びにゴミ焼却炉は、上記の問題点を解決し、適切な給塵量を設定することにより、制御に対する逆応答を防止して、炉内の発熱量をさらに安定化させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔第1特徴構成〕
上記の目的のための本発明のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法は、請求項1に記載の如く、炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を、前記火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉(F)に供給された空気量(Fa)とから
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって求め、
当該理論空気量(At)と、プロセスデータから求められる前記火炉(F)におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)とに基づいて、低位発熱量(Hu)を次の経験式、
Hu = b1× Qo / ( At − b2 × Qo )
(但し、b1,b2 は夫々設定される定数)
により求め、前記ゴミ投入量(Gr)を、前記火炉(F)における目標発生熱量(Qs)と前記求めた低位発熱量(Hu)とに基づき、
Gr = Qs / Hu
として求めて前記給塵機構を制御する点にある。
【0008】
〔第1特徴構成の作用効果〕
上記特徴構成によれば、ゴミ投入量を実情に即して制御できるようになる。つまり、従来はホッパに投入されてから火炉内で燃え切るまでの時間に見合う時間の前記ホッパへの投入ゴミの計量結果の平均値からゴミの低位発熱量を推定していたのに対して、実際に燃焼しているゴミの低位発熱量に基づいてゴミ投入量を設定するから、次に火炉に投入されるゴミの質に対して従来のような大きな誤差は生じない。従って、給塵速度の制御の精度を大幅に向上できるようになる。
【0009】
詳しく説明すれば、前記火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度と、前記火炉に供給された空気量とから炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量を求める。そして、燃焼制御装置に入力されるプロセスデータから求められる前記火炉におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量と、前記理論空気量とに基づいて経験式によって前記炉内ゴミの低位発熱量を求めるから、炉内の実際の燃焼状態に即したゴミの低位発熱量が求められる。尚、ゴミの嵩密度とその低位発熱量との間には高い相関がある。
【0010】
従って、給塵機構によりホッパから投入されるゴミの性状に近いゴミをの性状を基準として給塵速度を決定するから、逆方向の制御応答を防止して、前記給塵機構の制御の静定を早めることが出来るようになる。
その結果、適切な給塵量を設定することが可能になる。
【0011】
〔第2特徴構成〕
上記の目的のための本発明のゴミ焼却炉は、請求項2に記載の如く、火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉に供給された空気量(Fa)とから、前記火炉に投入されたゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって演算導出する理論空気量演算手段と、炉の燃焼制御装置からのプロセスデータに基づき前記火炉におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)を演算導出する発生熱量演算手段と、前記理論空気量演算手段で演算導出した理論空気量(At)と、前記発生熱量演算手段で演算導出した発生熱量(Qo)とを基に、経験式
Hu=b 1 ×Qo/(At―b 2 ×Qo)
(但し、b 1 ,b 2 は夫々設定される定数)
によって、炉内ゴミの低位発熱量(Hu)を演算導出する低位発熱量演算手段とを備え、
前記給塵制御手段を、前記火炉における目標発生熱量 (Qs) と前記演算導出した低位発熱量 (Hu) とに基づき、前記火炉への単位時間当たりのゴミ投入量 (Gr) を、
Gr=Qs/Hu
として設定する給塵量設定手段を備えて、前記設定したゴミ投入量(Gr)に基づき前記給塵機構の給塵動作を制御するように構成した点にある。
【0012】
〔第2特徴構成の作用効果〕
上記第2特徴構成によれば、ゴミ投入量を、実際に補正されるべき方向に適正に補正できるようになる。つまり、理論空気量演算手段で排ガス中の酸素濃度と火炉に供給された空気量とから理論空気量を演算導出するのはリアルタイムに実行でき、発生熱量演算手段ではゴミの燃焼に基づく発生熱量を炉内ゴミの燃焼に基づく発生熱量をプロセスデータに基づき演算導出するから、サンプリング間隔程度の短時間間隔で炉内の燃焼発熱量を把握でき、低位発熱量演算手段で前記理論空気量とこの燃焼発熱量とを基に前記炉内ゴミの低位発熱量を所定の関係式により求めるように構成してあるから、演算導出された前記低位発熱量に係わるゴミは、ホッパから給塵機構により火炉に投入されるゴミと、前記ホッパに同時に投入されたか或いは少なくとも1回前に前記ホッパに投入されたゴミであり、前記投入されるゴミとの性状に大きな差は生じない。仮に、前記ホッパに投入されるゴミの性状に、投入毎に大きな差を生じた場合でも、その大きな差が表れるのは現状の移動平均を求める時間と較べれば僅かな時間である。また、性状の変化をもたらす前記ホッパ内での投入ゴミの境界部が明確に生じても、火炉へのゴミの投入の際及び投入後にはゴミが攪拌されて、火炉の火床上では境界が明瞭ではなくなる。
【0013】
しかも、性状の異なるゴミの混合したものが順次燃焼領域に供給されるから、前後のゴミが同時に燃焼するようになり、演算導出される低位燃焼発熱量は次第に火炉に投入されるゴミのものに近付くのである。こうした低位燃焼発熱量を基に、給塵制御手段によって、設定された目標発生熱量を基準として給塵機構の給塵動作を制御するから、前記給塵機構により前記ホッパから火炉に供給されるゴミの給塵速度は、火炉におけるゴミの燃焼発熱量を目標発生熱量に近付けるように制御されることになり、従って、火炉内の燃焼発熱量と目標発生熱量との間の乖離を防止できる。
その結果、火炉への給塵量を適正に維持できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記本発明の請求項2に係るゴミ焼却炉の実施の形態の一例について、以下に、図面を参照しながら説明する。図1に示すゴミ焼却設備には、本発明の請求項1に係る給塵速度制御方法が適用可能である。尚、前記従来の技術において説明した要素と同じ要素並びに同等の機能を有する要素に関しては、先の図2に付したと同一の符号を付し、詳細の説明の一部は省略する。
【0015】
図1に示すように、ゴミ焼却設備には、除塵装置3としてバグフィルタ3Aを備え、燃焼制御装置10にフィードバックデータを出力すべく、廃熱ボイラ2からの蒸気の流量を検出する蒸気流量検出手段21と、その蒸気の温度を検出する蒸気温度検出手段22と、前記バグフィルタ3A出口の煙道4における排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段23と、火炉Fにおける発生熱量を検出する発生熱量検出手段20として、発生熱量演算手段14を設けてあり、前記発生熱量演算手段14には前記蒸気流量検出手段21と前記蒸気温度検出手段22及びその他の発生熱量に関連するプロセスデータが入力される。前記燃焼制御装置10には、発生熱量を所定範囲内に維持すべく、給塵機構7のゴミ供給速度を制御する給塵制御手段11を備えている。
【0016】
さらに、前記火炉Fからの煙道4の下流側における排ガス中の酸素濃度として前記酸素濃度検出手段23で検出した酸素濃度と、前記火炉Fに供給された空気量とから、前記火炉Fに投入されたゴミの燃焼に要する理論空気量を演算導出する理論空気量演算手段13と、前記燃焼制御装置10におけるプロセスデータに基づき前記火炉Fにおける発生熱量を演算導出する発生熱量演算手段14と、前記理論空気量演算手段13で演算導出した理論空気量と、前記発生熱量演算手段14で演算導出した発生熱量とを基に、炉内ゴミの低位発熱量を演算導出する低位発熱量演算手段15とを備えている。
【0017】
前記給塵制御手段11は、前記火炉における目標発生熱量と前記演算導出したゴミの低位発熱量とに基づき、前記火炉Fへの単位時間当たりのゴミ投入量を設定する給塵量設定手段12を備えて、前記設定したゴミ投入量に基づき前記給塵機構7の給塵動作を制御するように構成してある。
【0018】
上記ゴミ焼却炉の給塵機構7の制御のための給塵量の設定は以下のようにして行われる。つまり、先ず理論空気量演算手段13において、前記酸素濃度検出手段23で検出した排ガス中の酸素濃度と(Po)と、前記燃焼制御装置10に入力されるプロセスデータに基づき得られる火炉Fに供給された空気量(Fa)とから炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を求め、予め前記理論空気量(At)と炉内のゴミ低位発熱量(Hu)とに関する経験式を基に、低位発熱量演算手段15で、廃熱ボイラ2で発生した蒸気の温度(Ts)及び流量(Gs)を主とする前記燃焼制御装置10に入力されるプロセスデータから前記火炉Fにおける発生熱量(Qo)を求め、この発生熱量(Qo)と前記理論空気量演算手段13で求めた理論空気量(At)とを基に、所定の関係式に基づいて前記低位発熱量(Hu)を求める。ここに、前記廃熱ボイラ2で発生する蒸気の総エンタルピと、排ガスの持ち去る熱量とが主な出熱量であり、前記廃熱ボイラ2への給水の総エンタルピと、火炉への供給空気の持ち込む熱量とが主な入熱量であり、前記発生熱量(Qo)は、この出熱量から入熱量を減じたものとして求められる。ここに、前記蒸気の総エンタルピは、前記流量(Gs)と前記温度(Ts)の積に蒸気の定圧比熱を乗じて得られるものであるが、他に大きい熱損失がある場合にはその熱損失を前記出熱量に加算すればよく、さらに、排ガス冷却を行っている場合には、冷却熱量も出熱量に加算される。排ガスに冷却用空気或いは噴霧水を吹き込んでいる場合には、この持ち込み熱量を入熱量に加算すればよく、また、二次燃焼領域に攪拌用ガスを吹き込んでいる場合には、その持ち込み熱量も前記入熱量に加算される。
上記低位発熱量演算手段15で求めた低位発熱量(Hu)と、前記燃焼制御装置10で設定される前記火炉における目標発生熱量(Qs)とから、給塵量設定手段12では、
Gr = Qs / Hu
として前記給塵機構7から単位操作当たりに投入されるべきゴミ投入量(Gr)を設定する。
【0019】
上記理論空気量演算手段13における演算の一例を示すと、排ガス中の酸素濃度をPoとし、前記火炉Fに供給された空気量をFaとすれば、
At = Fa ×(1− Po / 0.21)
として炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を求めることができる。
また、予め前記理論空気量(At)と炉内ゴミの低位発熱量(Hu)とに関する経験式の一例を示すと、例えば1週間の操炉実績から、
At =2.019 × Hu − 1227
とすることができる。
そして、低位発熱量演算手段15での算式の一例を示すと、上記経験式を基に、両定数を用いて、前記火炉Fにおける発生熱量をQoとし、前記理論空気量をAtとして、
Hu = 1227 × Qo / ( 2.019 × Qo − At )とした関係式を定めて前記低位発熱量(Hu)を求めることができる。
【0020】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
〈1〉上記実施の形態に於いては、ゴミ焼却炉にストーカ機構1bで構成される火床を備えた例について説明したが、前記火床は他の形式のものであってもよい。
〈2〉上記実施の形態に於いては、除塵装置3としてバグフィルタ3Aを備えた例について説明したが、前記除塵装置3は例えば電機集塵機等の他の形式のものであってもよい。
〈3〉上記実施の形態に於いては、廃熱ボイラ2を備えるゴミ焼却設備の例について説明したが、前記廃熱ボイラ2を備えず、ガス冷却機構により排ガスを冷却するものであってもよい。この場合には、発生熱量(Qo)は、先述のように冷却用空気或いは噴霧水の冷却熱量を主として求めればよい。
〈4〉上記実施の形態に於いては、酸素濃度検出手段23をバグフィルタ3A出口に設けた例について説明したが、前記酸素濃度検出手段23は他の煙道4に設けられてあってもよく、例えば、燃焼反応の完結している廃熱ボイラ2出口或いはガス冷却機構出口に配置してあってもよい。
〈5〉上記実施の形態に於いては、ゴミの低位発熱量(Hu)と理論空気量(At)の関係式を一次近似式として求めた結果を用いて低位発熱量演算手段15での低位発熱量(Hu)算出に用いる例について説明したが、前記関係式を用いることなく、炉内のゴミの燃焼量を判定する手段を設けて、発生熱量(Qo)と求めた燃焼量とから低位発熱量(Hu)を求めるようにしてあってもよい。
〈6〉上記実施の形態に於いては、ゴミの低位発熱量(Hu)をプロセスデータに基づいて求めるように説明したが、サンプリング毎に記憶手段に記憶しておいて、適宜の時間の平均値を求めて平均低位発熱量として求めるようにしてあってもよい。
〈7〉上記実施の形態に於いては、ゴミの嵩密度の算出については触れなかったが、ホッパ1aに投入する際のクレーンの掴み量と掴み重量とから前記ホッパ1a内のゴミの平均嵩密度を求めて火炉F内に投入されるゴミの嵩密度としてもよく、予めゴミの低位発熱量と嵩密度の相関を求めておいて、低位発熱量演算手段15で火炉F内のゴミの低位発熱量(Hu)を求めた際に、同時に嵩密度を算出するようにしてあってもよい。
〈8〉上記実施の形態に於いては、給塵量設定手段12で火炉Fにおける目標発生熱量(Qs)と低位発熱量演算手段15で求めた炉内ゴミの低位発熱量(Hu)とからゴミ投入量(Gr)を求める例について説明したが、前記目標発生熱量(Qs)は、廃熱ボイラ2からの蒸気発生量を基準に定めてもよいが、さらに1日のゴミの焼却目標を基にこれを補正するようにしてあってもよい。つまり、設備の操業条件によって、優先されるべきものが発電量であったり、ゴミの焼却処理量であったりするから、目的に応じて設定条件を変更できるようにしてあればよいのである。また、例えば、施設内で蒸気の消費のある場合には、蒸気溜めをバッファとして用いることができるから、発生蒸気量を主体に前記ゴミ投入量(Gr)を設定できる。
【0021】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゴミ焼却炉の説明図
【図2】従来のゴミ焼却炉の説明図【符号の説明】
2 廃熱ボイラ
4 煙道
7 給塵機構
11 給塵制御手段
12 給塵量設定手段
13 理論空気量演算手段
14 発生熱量演算手段
15 低位発熱量演算手段
F 火炉
At 理論空気量
Fa 供給空気量
Gr ゴミ投入量
Hu ゴミの低位発熱量
Po 排ガス中酸素濃度
Qo 発生熱量
Qs 目標発生熱量
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴミ焼却炉の給塵速度制御方法に関し、詳しくは、投入されたゴミを搬送しながら焼却処理する火炉における発生熱により蒸気を発生する廃熱ボイラを備え、前記火炉における発生熱量を所定範囲内に維持すべく、給塵機構による前記火炉への単位時間当たりのゴミ投入量を制御するゴミ焼却炉の給塵速度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴミ焼却設備には、図2に示すように、投入されるゴミを受け入れるホッパ1aと、前記ホッパ1aから火炉Fにゴミを投入する給塵機構7と、前記火炉Fに投入されたゴミを搬送しながら焼却するストーカ機構1bからなる火床と、前記火床上に形成される燃焼領域からの燃焼ガスを二次燃焼させる二次燃焼室1cとを設けて構成してあるゴミ焼却炉1と、前記二次燃焼室1cからの排ガスを煙突6に導く煙道4に、前記排ガスの熱、即ち前記火床上で焼却されるゴミの焼却生成熱を回収して蒸気を発生する廃熱ボイラ2と、前記排ガス中の粉塵等を除去する除塵装置3と、前記除塵後の排ガスを無害化する排ガス処理装置5とを順次配置し、さらに、前記ゴミ焼却炉1からの排ガスを前記廃熱ボイラ2で生成する蒸気によりタービンを回転駆動して発電する発電装置9を設けてあり、前記火炉Fにおけるゴミの燃焼により発生する蒸気の量を所定範囲内に維持しながら所定量のゴミの焼却を遂行するための燃焼制御装置10を付設して構成されていた。前記燃焼制御装置10は、火炉Fに空気を供給する空気供給装置8及び前記給塵機構7を制御するように構成してある。
【0003】
そして、その燃焼制御装置10にフィードバックデータを出力すべく、前記廃熱ボイラ2からの蒸気の流量を検出する蒸気流量検出手段21と、その蒸気の温度を検出する蒸気温度検出手段22と、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段23とを設けてあった。前記蒸気流量検出手段21と前記蒸気温度検出手段22とは前記廃熱ボイラ2からの発生蒸気量を所定範囲内に維持するためのものであり、前記酸素濃度検出手段23は排ガスの成分組成を所定範囲に維持するためのものであり、具体的には排ガス中の酸素濃度を例えば8%程度に維持する。
【0004】
前記燃焼制御装置10には、前記給塵機構7により火炉F内にゴミを投入する給塵速度を制御するための給塵制御手段11を備えており、その給塵速度制御は、過去3時間内にホッパに投入されたゴミの重量の移動平均値と、同じく過去3時間内に炉内で発生した発熱量の移動平均値とから、炉内のゴミの単位重量当たりの平均発熱量を算出し、これを基に前記給塵機構7のホッパ内のゴミを炉内に投入する動作速度を制御することで行われていた。つまり、炉内に投入されるゴミの低位発熱量を前記平均発熱量であると推定して、炉内の発生熱量を一定に維持するように、炉内に投入されるゴミの重量を前記平均発熱量に見合うように前記給塵機構のゴミ投入量を制御していた。上記3時間の移動平均値を用いるのは、ホッパにゴミが投入されてから火炉内の燃え切り位置に達するまでの平均所要時間(例えば、ホッパ滞留時間(具体例をあげれば、約1〜1.5時間)と火炉内に投入されてから燃え切り位置に達するまでの時間(具体例をあげれば、約0.5〜1時間)を基準とする)を基準として投入されるゴミのゴミ質を平均化して把握することにあり、火炉に投入されるゴミの質の変動に対処しようとするものである。
【0005】
さらに詳しく説明すれば、ゴミの計量はホッパ投入前にクレーンで掴み上げた際に行われるから、例えば給塵機構が押込給塵機構である場合には、1回に投入されたゴミが数回乃至中数回にわたって分割して投入されることになり、1回に押し込まれるゴミの質についてみれば、毎回ゴミ質の変動があるが、火炉内でのゴミは、数回乃至十数回にわたって押込まれた投入ゴミ量に相当するゴミが燃焼していることになり、燃焼発熱は平均化された現象となってから、投入されるゴミに関しても平均化することが必要なのである。しかも、ゴミの質は前記クレーンで掴み上げた際に嵩密度から判定するから、前記押込給塵機構の数回乃至十数回の押込動作によって火炉に投入されるゴミの嵩密度の平均値から判定していることになり、この点からも平均値で把握することが必要であったのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記従来のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法においては、実際に給塵機構によりホッパから炉内に投入されるゴミの単位重量当たりの発熱量と上述の移動平均値として求めた平均発熱量との間には大きな誤差が生じる場合があり、次のような問題を招いていた。例えば急に多量の水分の多いゴミがホッパ内に投入される場合、炉内に投入されたゴミの低位発熱量が急激に低下して燃焼発熱量が低下するが、これに拘わらず過去3時間の投入ゴミの燃焼発熱量から投入されるゴミの燃焼発熱量を推定している(従って、ゴミの嵩密度もこれに対応している)ために、実際に投入されるゴミの水分が多ければ、投入されるゴミの嵩密度が前記平均発熱量に対応するゴミの嵩密度よりも大きくなるのが通常で、投入ゴミ量を増量すべく設定されたゴミ投入量に対して、実際に投入されるゴミの量は少なくなり、しかも水分が多いために投入されたゴミの燃焼発熱量は逆に低下する場合があり、こうした制御に対する逆応答により炉内発熱量を一定に保つのが困難になるという問題がある。また、これと逆に、乾燥度が高く、低位発熱量の高いゴミが多量にホッパ内に投入された場合には、炉内に投入されたゴミの燃焼発熱量が急激に増大して、投入ゴミ量を減量すべく設定されたゴミ投入量に対して、上記と同様の理由により、逆に炉内に投入されるゴミ量は設定されたほどには減少せず、しかもゴミが乾燥しているために投入されたゴミの燃焼発熱量が逆に増大する場合があり、ここでも逆応答により炉内発熱量を一定に保つのが困難になる場合があるという問題を有している。さらに、ゴミの平均発熱量を、燃焼制御装置に付随する記憶手段に過去のデータとして記憶させたものから算出しているために、炉の立ち上げの際や、制御電源の停電等による記憶消失の後には、給塵制御の指標となるべき基準、即ち炉内ゴミの平均発熱量が給塵機構の投入ゴミ量に反映できないために、適切な給塵制御ができなくなるという問題も有していた。
そこで、本発明のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法並びにゴミ焼却炉は、上記の問題点を解決し、適切な給塵量を設定することにより、制御に対する逆応答を防止して、炉内の発熱量をさらに安定化させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔第1特徴構成〕
上記の目的のための本発明のゴミ焼却炉の給塵速度制御方法は、請求項1に記載の如く、炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を、前記火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉(F)に供給された空気量(Fa)とから
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって求め、
当該理論空気量(At)と、プロセスデータから求められる前記火炉(F)におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)とに基づいて、低位発熱量(Hu)を次の経験式、
Hu = b1× Qo / ( At − b2 × Qo )
(但し、b1,b2 は夫々設定される定数)
により求め、前記ゴミ投入量(Gr)を、前記火炉(F)における目標発生熱量(Qs)と前記求めた低位発熱量(Hu)とに基づき、
Gr = Qs / Hu
として求めて前記給塵機構を制御する点にある。
【0008】
〔第1特徴構成の作用効果〕
上記特徴構成によれば、ゴミ投入量を実情に即して制御できるようになる。つまり、従来はホッパに投入されてから火炉内で燃え切るまでの時間に見合う時間の前記ホッパへの投入ゴミの計量結果の平均値からゴミの低位発熱量を推定していたのに対して、実際に燃焼しているゴミの低位発熱量に基づいてゴミ投入量を設定するから、次に火炉に投入されるゴミの質に対して従来のような大きな誤差は生じない。従って、給塵速度の制御の精度を大幅に向上できるようになる。
【0009】
詳しく説明すれば、前記火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度と、前記火炉に供給された空気量とから炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量を求める。そして、燃焼制御装置に入力されるプロセスデータから求められる前記火炉におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量と、前記理論空気量とに基づいて経験式によって前記炉内ゴミの低位発熱量を求めるから、炉内の実際の燃焼状態に即したゴミの低位発熱量が求められる。尚、ゴミの嵩密度とその低位発熱量との間には高い相関がある。
【0010】
従って、給塵機構によりホッパから投入されるゴミの性状に近いゴミをの性状を基準として給塵速度を決定するから、逆方向の制御応答を防止して、前記給塵機構の制御の静定を早めることが出来るようになる。
その結果、適切な給塵量を設定することが可能になる。
【0011】
〔第2特徴構成〕
上記の目的のための本発明のゴミ焼却炉は、請求項2に記載の如く、火炉からの燃焼排ガスを導く煙道の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉に供給された空気量(Fa)とから、前記火炉に投入されたゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって演算導出する理論空気量演算手段と、炉の燃焼制御装置からのプロセスデータに基づき前記火炉におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)を演算導出する発生熱量演算手段と、前記理論空気量演算手段で演算導出した理論空気量(At)と、前記発生熱量演算手段で演算導出した発生熱量(Qo)とを基に、経験式
Hu=b 1 ×Qo/(At―b 2 ×Qo)
(但し、b 1 ,b 2 は夫々設定される定数)
によって、炉内ゴミの低位発熱量(Hu)を演算導出する低位発熱量演算手段とを備え、
前記給塵制御手段を、前記火炉における目標発生熱量 (Qs) と前記演算導出した低位発熱量 (Hu) とに基づき、前記火炉への単位時間当たりのゴミ投入量 (Gr) を、
Gr=Qs/Hu
として設定する給塵量設定手段を備えて、前記設定したゴミ投入量(Gr)に基づき前記給塵機構の給塵動作を制御するように構成した点にある。
【0012】
〔第2特徴構成の作用効果〕
上記第2特徴構成によれば、ゴミ投入量を、実際に補正されるべき方向に適正に補正できるようになる。つまり、理論空気量演算手段で排ガス中の酸素濃度と火炉に供給された空気量とから理論空気量を演算導出するのはリアルタイムに実行でき、発生熱量演算手段ではゴミの燃焼に基づく発生熱量を炉内ゴミの燃焼に基づく発生熱量をプロセスデータに基づき演算導出するから、サンプリング間隔程度の短時間間隔で炉内の燃焼発熱量を把握でき、低位発熱量演算手段で前記理論空気量とこの燃焼発熱量とを基に前記炉内ゴミの低位発熱量を所定の関係式により求めるように構成してあるから、演算導出された前記低位発熱量に係わるゴミは、ホッパから給塵機構により火炉に投入されるゴミと、前記ホッパに同時に投入されたか或いは少なくとも1回前に前記ホッパに投入されたゴミであり、前記投入されるゴミとの性状に大きな差は生じない。仮に、前記ホッパに投入されるゴミの性状に、投入毎に大きな差を生じた場合でも、その大きな差が表れるのは現状の移動平均を求める時間と較べれば僅かな時間である。また、性状の変化をもたらす前記ホッパ内での投入ゴミの境界部が明確に生じても、火炉へのゴミの投入の際及び投入後にはゴミが攪拌されて、火炉の火床上では境界が明瞭ではなくなる。
【0013】
しかも、性状の異なるゴミの混合したものが順次燃焼領域に供給されるから、前後のゴミが同時に燃焼するようになり、演算導出される低位燃焼発熱量は次第に火炉に投入されるゴミのものに近付くのである。こうした低位燃焼発熱量を基に、給塵制御手段によって、設定された目標発生熱量を基準として給塵機構の給塵動作を制御するから、前記給塵機構により前記ホッパから火炉に供給されるゴミの給塵速度は、火炉におけるゴミの燃焼発熱量を目標発生熱量に近付けるように制御されることになり、従って、火炉内の燃焼発熱量と目標発生熱量との間の乖離を防止できる。
その結果、火炉への給塵量を適正に維持できるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記本発明の請求項2に係るゴミ焼却炉の実施の形態の一例について、以下に、図面を参照しながら説明する。図1に示すゴミ焼却設備には、本発明の請求項1に係る給塵速度制御方法が適用可能である。尚、前記従来の技術において説明した要素と同じ要素並びに同等の機能を有する要素に関しては、先の図2に付したと同一の符号を付し、詳細の説明の一部は省略する。
【0015】
図1に示すように、ゴミ焼却設備には、除塵装置3としてバグフィルタ3Aを備え、燃焼制御装置10にフィードバックデータを出力すべく、廃熱ボイラ2からの蒸気の流量を検出する蒸気流量検出手段21と、その蒸気の温度を検出する蒸気温度検出手段22と、前記バグフィルタ3A出口の煙道4における排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段23と、火炉Fにおける発生熱量を検出する発生熱量検出手段20として、発生熱量演算手段14を設けてあり、前記発生熱量演算手段14には前記蒸気流量検出手段21と前記蒸気温度検出手段22及びその他の発生熱量に関連するプロセスデータが入力される。前記燃焼制御装置10には、発生熱量を所定範囲内に維持すべく、給塵機構7のゴミ供給速度を制御する給塵制御手段11を備えている。
【0016】
さらに、前記火炉Fからの煙道4の下流側における排ガス中の酸素濃度として前記酸素濃度検出手段23で検出した酸素濃度と、前記火炉Fに供給された空気量とから、前記火炉Fに投入されたゴミの燃焼に要する理論空気量を演算導出する理論空気量演算手段13と、前記燃焼制御装置10におけるプロセスデータに基づき前記火炉Fにおける発生熱量を演算導出する発生熱量演算手段14と、前記理論空気量演算手段13で演算導出した理論空気量と、前記発生熱量演算手段14で演算導出した発生熱量とを基に、炉内ゴミの低位発熱量を演算導出する低位発熱量演算手段15とを備えている。
【0017】
前記給塵制御手段11は、前記火炉における目標発生熱量と前記演算導出したゴミの低位発熱量とに基づき、前記火炉Fへの単位時間当たりのゴミ投入量を設定する給塵量設定手段12を備えて、前記設定したゴミ投入量に基づき前記給塵機構7の給塵動作を制御するように構成してある。
【0018】
上記ゴミ焼却炉の給塵機構7の制御のための給塵量の設定は以下のようにして行われる。つまり、先ず理論空気量演算手段13において、前記酸素濃度検出手段23で検出した排ガス中の酸素濃度と(Po)と、前記燃焼制御装置10に入力されるプロセスデータに基づき得られる火炉Fに供給された空気量(Fa)とから炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を求め、予め前記理論空気量(At)と炉内のゴミ低位発熱量(Hu)とに関する経験式を基に、低位発熱量演算手段15で、廃熱ボイラ2で発生した蒸気の温度(Ts)及び流量(Gs)を主とする前記燃焼制御装置10に入力されるプロセスデータから前記火炉Fにおける発生熱量(Qo)を求め、この発生熱量(Qo)と前記理論空気量演算手段13で求めた理論空気量(At)とを基に、所定の関係式に基づいて前記低位発熱量(Hu)を求める。ここに、前記廃熱ボイラ2で発生する蒸気の総エンタルピと、排ガスの持ち去る熱量とが主な出熱量であり、前記廃熱ボイラ2への給水の総エンタルピと、火炉への供給空気の持ち込む熱量とが主な入熱量であり、前記発生熱量(Qo)は、この出熱量から入熱量を減じたものとして求められる。ここに、前記蒸気の総エンタルピは、前記流量(Gs)と前記温度(Ts)の積に蒸気の定圧比熱を乗じて得られるものであるが、他に大きい熱損失がある場合にはその熱損失を前記出熱量に加算すればよく、さらに、排ガス冷却を行っている場合には、冷却熱量も出熱量に加算される。排ガスに冷却用空気或いは噴霧水を吹き込んでいる場合には、この持ち込み熱量を入熱量に加算すればよく、また、二次燃焼領域に攪拌用ガスを吹き込んでいる場合には、その持ち込み熱量も前記入熱量に加算される。
上記低位発熱量演算手段15で求めた低位発熱量(Hu)と、前記燃焼制御装置10で設定される前記火炉における目標発生熱量(Qs)とから、給塵量設定手段12では、
Gr = Qs / Hu
として前記給塵機構7から単位操作当たりに投入されるべきゴミ投入量(Gr)を設定する。
【0019】
上記理論空気量演算手段13における演算の一例を示すと、排ガス中の酸素濃度をPoとし、前記火炉Fに供給された空気量をFaとすれば、
At = Fa ×(1− Po / 0.21)
として炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を求めることができる。
また、予め前記理論空気量(At)と炉内ゴミの低位発熱量(Hu)とに関する経験式の一例を示すと、例えば1週間の操炉実績から、
At =2.019 × Hu − 1227
とすることができる。
そして、低位発熱量演算手段15での算式の一例を示すと、上記経験式を基に、両定数を用いて、前記火炉Fにおける発生熱量をQoとし、前記理論空気量をAtとして、
Hu = 1227 × Qo / ( 2.019 × Qo − At )とした関係式を定めて前記低位発熱量(Hu)を求めることができる。
【0020】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
〈1〉上記実施の形態に於いては、ゴミ焼却炉にストーカ機構1bで構成される火床を備えた例について説明したが、前記火床は他の形式のものであってもよい。
〈2〉上記実施の形態に於いては、除塵装置3としてバグフィルタ3Aを備えた例について説明したが、前記除塵装置3は例えば電機集塵機等の他の形式のものであってもよい。
〈3〉上記実施の形態に於いては、廃熱ボイラ2を備えるゴミ焼却設備の例について説明したが、前記廃熱ボイラ2を備えず、ガス冷却機構により排ガスを冷却するものであってもよい。この場合には、発生熱量(Qo)は、先述のように冷却用空気或いは噴霧水の冷却熱量を主として求めればよい。
〈4〉上記実施の形態に於いては、酸素濃度検出手段23をバグフィルタ3A出口に設けた例について説明したが、前記酸素濃度検出手段23は他の煙道4に設けられてあってもよく、例えば、燃焼反応の完結している廃熱ボイラ2出口或いはガス冷却機構出口に配置してあってもよい。
〈5〉上記実施の形態に於いては、ゴミの低位発熱量(Hu)と理論空気量(At)の関係式を一次近似式として求めた結果を用いて低位発熱量演算手段15での低位発熱量(Hu)算出に用いる例について説明したが、前記関係式を用いることなく、炉内のゴミの燃焼量を判定する手段を設けて、発生熱量(Qo)と求めた燃焼量とから低位発熱量(Hu)を求めるようにしてあってもよい。
〈6〉上記実施の形態に於いては、ゴミの低位発熱量(Hu)をプロセスデータに基づいて求めるように説明したが、サンプリング毎に記憶手段に記憶しておいて、適宜の時間の平均値を求めて平均低位発熱量として求めるようにしてあってもよい。
〈7〉上記実施の形態に於いては、ゴミの嵩密度の算出については触れなかったが、ホッパ1aに投入する際のクレーンの掴み量と掴み重量とから前記ホッパ1a内のゴミの平均嵩密度を求めて火炉F内に投入されるゴミの嵩密度としてもよく、予めゴミの低位発熱量と嵩密度の相関を求めておいて、低位発熱量演算手段15で火炉F内のゴミの低位発熱量(Hu)を求めた際に、同時に嵩密度を算出するようにしてあってもよい。
〈8〉上記実施の形態に於いては、給塵量設定手段12で火炉Fにおける目標発生熱量(Qs)と低位発熱量演算手段15で求めた炉内ゴミの低位発熱量(Hu)とからゴミ投入量(Gr)を求める例について説明したが、前記目標発生熱量(Qs)は、廃熱ボイラ2からの蒸気発生量を基準に定めてもよいが、さらに1日のゴミの焼却目標を基にこれを補正するようにしてあってもよい。つまり、設備の操業条件によって、優先されるべきものが発電量であったり、ゴミの焼却処理量であったりするから、目的に応じて設定条件を変更できるようにしてあればよいのである。また、例えば、施設内で蒸気の消費のある場合には、蒸気溜めをバッファとして用いることができるから、発生蒸気量を主体に前記ゴミ投入量(Gr)を設定できる。
【0021】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゴミ焼却炉の説明図
【図2】従来のゴミ焼却炉の説明図【符号の説明】
2 廃熱ボイラ
4 煙道
7 給塵機構
11 給塵制御手段
12 給塵量設定手段
13 理論空気量演算手段
14 発生熱量演算手段
15 低位発熱量演算手段
F 火炉
At 理論空気量
Fa 供給空気量
Gr ゴミ投入量
Hu ゴミの低位発熱量
Po 排ガス中酸素濃度
Qo 発生熱量
Qs 目標発生熱量
Claims (2)
- 投入されたゴミを搬送しながら焼却処理する火炉(F)における発生熱により蒸気を発生する廃熱ボイラ(2)を備え、前記火炉(F)における発生熱量(Qo)を所定範囲内に維持すべく、給塵機構(7)による前記火炉(F)への単位時間当たりのゴミ投入量(Gr)を制御するゴミ焼却炉の給塵速度制御方法であって、
炉内のゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を、前記火炉(F)からの燃焼排ガスを導く煙道(4)の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉(F)に供給された空気量(Fa)とから
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって求め、
当該理論空気量(At)と、炉の燃焼制御装置からのプロセスデータから求められる前記火炉(F)におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)とに基づいて、低位発熱量(Hu)を次の経験式、
Hu=b1×Qo/(At―b2×Qo)
(但し、b1,b2は夫々設定される定数)
により求め、
前記ゴミ投入量(Gr)を、前記火炉(F)における目標発生熱量(Qs)と前記求めた低位発熱量(Hu)とに基づき、
Gr=Qs/Hu
として求めて前記給塵機構(7)を制御するゴミ焼却炉の給塵速度制御方法。 - ホッパ(1a)から火炉(F)にゴミを投入する給塵機構(7)と、前記火炉(F)に投入されたゴミの焼却生成熱により蒸気を発生する廃熱ボイラ(2)と、前記火炉(F)における発生熱量を検出する発生熱量検出手段(20)と、前記発生熱量を所定範囲内に維持すべく、前記給塵機構(7)のゴミ供給速度を制御する給塵制御手段(11)とを備えるゴミ焼却炉であって、
前記火炉(F)からの燃焼排ガスを導く煙道(4)の下流側における排ガス中の酸素濃度(Po)と、前記火炉(F)に供給された空気量(Fa)とから、火炉(F)に投入されたゴミの燃焼に要する理論空気量(At)を
At=Fa×(1―Po / 0 . 21)
の関係式によって演算導出する理論空気量演算手段(13)と、
炉の燃焼制御装置からのプロセスデータに基づき前記火炉(F)におけるゴミの燃焼に基づく発生熱量(Qo)を演算導出する発生熱量演算手段(14)と、
前記演算導出した理論空気量(At)と、前記演算導出した発生熱量(Qo)とを基に、経験式
Hu=b 1 ×Qo/(At―b 2 ×Qo)
(但し、b 1 ,b 2 は夫々設定される定数)
によって、炉内ゴミの低位発熱量(Hu)を演算導出する低位発熱量演算手段(15)とを備え、
前記給塵制御手段(11)を、前記火炉(F)における目標発生熱量(Qs)と前記演算導出した低位発熱量(Hu)とに基づき、前記火炉(F)への単位時間当たりのゴミ投入量(Gr)を、
Gr=Qs/Hu
として設定する給塵量設定手段(12)を備えて、前記設定したゴミ投入量(Gr)に基づき前記給塵機構(7)の給塵動作を制御するように構成してあるゴミ焼却炉。
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