JP2004189815A - エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板材料 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキシブル印刷配線板材料であるフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料及びボンディングシートに好適に使用できる、優れた耐繰り返し屈曲性、接着性、耐熱性、耐湿性、電気的信頼性を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、ポリアミド系ブロック共重合体(c)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、該ポリアミド系ブロック共重合体(c)が、一般式(1)
N−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)
[{CO−A−CONH−R1−NH−
(CO−R2−CONH−R1−NH)]−H (1)
{式中、Aは2価のオリゴマー構造を表し、R1およびR2はそれぞれ2価の有機基を表し、aおよびbは平均重合度を表す。}
で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、一般式(2)
X−COOH (2)
{式中、Xは置換されていても良いアルキル基または、置換されていても良いアリール基を表す。}で示されるカルボキシ基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル印刷配線板材料であるフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料及びボンディングシートに使用される、優れた耐繰り返し屈曲性、接着性、耐熱性、耐湿性を有するエポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料及びボンディングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚ましく、特に通信用・民生用の電子機器の小型化、軽量化、高密度化が進み、これらの性能に対する要求がますます高度なものとなっている。このような要求に対して、フレキシブル印刷配線板は可撓性を有し、繰り返し屈曲に耐える特性を有しているため狭い空間に立体的高密度の実装が可能であり、電子機器への配線、ケーブル、或いはコネクター機能を付与した複合部品としてその用途が拡大しつつある。このフレキシブル印刷配線板は、フレキシブル印刷配線用基板上に常法により回路を作製したものであり、使用目的によっては、この回路の上にカバーレイを被せて保護している。
【0003】
フレキシブル印刷配線用基板は高い耐熱性と優れた電気・機械特性を備えている電気絶縁性の基材フィルムと金属箔とを接着剤を介して積層一体化したもので、このフレキシブル印刷配線用基板に要求される特性としては、接着性、密着性、耐熱性、電気的信頼性、加工性等が挙げられる。
【0004】
特に近年では、ICチップをフレキシブル印刷配線板に直接搭載したCOF(Chip on Flex)が実用化されたり、CSP(Chip ScalePackaging)、MCM(Multi Chip Module)のインターポーザとしてフレキシブル印刷配線基板が採用されたりするなど、半導体パッケージ構成材料としてのフレキシブル印刷配線基板は耐熱性、耐湿性、電気的信頼性の更なる向上が求められている。
【0005】
カバーレイは、フレキシブル印刷配線板の回路保護、屈曲性の向上等の為に設けるものである。カバーレイ材料の種類には電気絶縁性の基材フィルムの片面に接着剤を塗布したフィルムベースカバーレイ、接着剤層が絶縁層を兼ねるドライフィルムタイプ、液状タイプ等がある。これらカバーレイに要求される特性は、保存性、密着性、耐熱性、電気的信頼性、加工性等が挙げられる。
【0006】
ボンディングシートは、離型材の片面に接着剤を塗布したものと別の離型材とを貼り合わせたもので、フレキシブル印刷配線板とフレキシブル印刷配線板とを貼り合わせて多層フレキシブル印刷配線板を製造する場合やフレキシブル印刷配線板と補強板とを貼り合わせる場合等の接着材料として使用される。このボンディングシートに要求される特性は保存性、密着性、耐熱性、電気的信頼性、加工性等が挙げられる
【0007】
従来、これらの要求を満たすことのできる、フレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料、ボンディングシート等のフレキシブル印刷配線板材料に使用される接着剤として、ナイロン/エポキシ樹脂系、アクリル/フェノール樹脂系、ポリエステル/エポキシ樹脂系、ニトリルゴム(NBR)/エポキシ樹脂系等の接着剤が提案されているが、接着性、耐熱性、耐湿性及び電気信頼性を同時に満たすものは無かった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−81282
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点を解決することを目的として、特に高温、高湿下における電気信頼性に優れたエポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料及びボンディングシートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記性能を同時に満足させるエポキシ樹脂組成物が得られることを見出したものである。即ち本発明は、
(1)エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、ポリアミド系ブロック共重合体(c)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、該ポリアミド系ブロック共重合体(c)が、一般式(1)
N−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)
[{CO−A−CONH−R1−NH−
(CO−R2−CONH−R1−NH)]−H (1)
{式中、Aは2価のオリゴマー構造を表し、R1およびR2はそれぞれ2価の有機基を表し、aおよびbは平均重合度を表す。}
で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、
一般式(2)
X−COOH (2)
{式中、Xは置換されていても良いアルキル基または、置換されていても良いアリール基を表す。}
で示されるカルボキシ基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(2)ポリアミド系ブロック共重合体(c)が下記式(3)
【0011】
【化2】
Figure 2004189815
【0012】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均値であって、x=3〜7、y=1〜4、z=1〜15、l+m=2〜200、n=2〜100の正数をそれぞれ示し、m/(l+m)≧0.04である。)
で示される構造を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)である上記(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)硬化剤(b)がフェノール類である上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)平面状支持体の両面または片面に上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を有するシート、
(5)平面状支持体がポリイミドフィルムである上記(4)に記載のシート、
(6)平面状支持体が金属箔である上記(4)に記載のシート、
(7)平面状支持体が剥離フィルムである上記(4)に記載のシート、
(8)上記(4)記載のシートを用いたフレキシブル印刷配線用基板、
(9)上記(4)記載のシートを用いたカバーレイフィルム、
(10)上記(4)記載のシートを用いたボンディングシート、
(11)上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。なお、以下において高分子の平均重合度または繰り返し数はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定可能である。
本発明で用いられるエポキシ樹脂(a)は、例えばポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで、多官能エポキシ樹脂とはグリシジル基を2つ以上有するエポキシ樹脂のことである。
【0014】
ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂が挙げられる。
【0015】
各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0016】
脂環式エポキシ樹脂としては、例えばシクロヘキサン等の脂肪族骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられ、脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0017】
複素環式エポキシ樹脂としては、例えばイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂が挙げられ、グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸類からなるエポキシ樹脂が挙げられ、グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばアニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0018】
ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0019】
これらエポキシ樹脂のうち、どのエポキシ樹脂を用いるかは要求される特性によって適宜選択されるが、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール骨格とナフトール骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。フェノール骨格とナフトール骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂は、フェノール骨格中にメチル基を有するものがより好ましく、例えばNC−7000(商品名:日本化薬(株)製)、NC−7300(商品名:日本化薬(株)製)として市販されている。フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、NC−3000(商品名:日本化薬(株)製)として市販されている。トリフェニルメタン骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、EPPN−501H、EPPN−502H(商品名:日本化薬(株)製)として市販されている。ジシクロペンタジエン骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、XD−1000(商品名:日本化薬(株)製)として市販されている。更に、これらエポキシ樹脂は耐熱性、難燃性付与等必要に応じ1種又は2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0020】
本発明で用いられる硬化剤(b)としては、例えば酸無水物、アミン類、フェノール類、イミダゾール類、ジヒドラジン類、ルイス酸、ブレンステッド酸塩類、ポリメルカプトン類、イソシアネート類、ブロックイソシアネート類等が挙げられる。
【0021】
酸無水物としては、例えばフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。
【0022】
アミン類としては、例えばジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン、ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類が挙げられる。
【0023】
フェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類が挙げられる。
【0024】
イミダゾール類としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類が挙げられる。
これら硬化剤のうち、どの硬化剤を用いるかは接着剤に要求される特性によって適宜選択されるが、フェノール類が好ましい。
【0025】
これら硬化剤(b)の使用量はエポキシ樹脂(a)のエポキシ基に対する硬化剤の当量比において通常0.3〜2.0の範囲で、好ましくは0.4〜1.6の範囲で、更に好ましくは0.5〜1.3の範囲で用いられる。上記硬化剤は2種以上を混合して用いることもできる。
【0026】
本発明におけるポリアミド系ブロック共重合体(c)の製造に用いられる、一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体は、まず、一般式(4)
N−R1−NH (4)
(式中R1は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジアミンと一般式(5)
HOOC−R2−COOH (5)
(式中R1は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジカルボン酸を、ジアミンのモル数がジカルボン酸のモル数に対して過剰になるように仕込んで重縮合することにより、下記一般式(6)
N−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)−H (6)
(式中R1、R2及びaは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド体を調製し、次いで、この両末端にアミノ基を有するポリアミド体と一般式(7)
HOOC−A−COOH (7)
(式中Aは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーを、式(6)の化合物中のアミノ基のモル数が式(7)の化合物中のカルボキシル基のモル数を越えないように仕込んで重縮合することにより得ることが出来る。
上記において、式(4)の化合物と式(5)の化合物の重縮合反応、及び式(6)の化合物と式(7)の化合物の重縮合反応の反応温度は、両者共に通常20〜150℃、好ましくは50〜120℃、反応時間は通常30分〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
【0027】
こうして得られる式(1)のポリアミド系ブロック共重合体のaは、式(4)のジアミンと式(5)のジカルボン酸の仕込み比によって決定され、平均値で通常1〜30、好ましくは3〜20である。
また、式(1)におけるbは、式(6)のポリアミド体と式(7)のオリゴマーの仕込み比によって決定され、平均値で通常1〜20、好ましくは1〜10である。
【0028】
式(4)のジアミンと式(5)のジカルボン酸との重縮合反応や式(6)のポリアミド体と式(7)のジカルボン酸との重縮合反応は、好ましくは縮合剤としての芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で行うことが出来る。
【0029】
ここで使用できる芳香族亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリルや、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル等が挙げられる。芳香族亜リン酸エステルの使用量は、式(4)または式(6)の化合物の末端アミノ基1モルに対して、通常0.5〜5.0モル、好ましくは1.0〜2.5モルである。
【0030】
また、ピリジン誘導体としては、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジンなどが挙げられ、その使用量は、得られる式(1)のポリアミド系ブロック共重合体1重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0031】
一般式(4)で示されるジアミンは、芳香族ジアミンでも脂肪族ジアミンでも良いが、芳香族ジアミンが好ましい。
芳香族ジアミンの具体例としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノクロロベンゼン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノアゾベンゼン等の置換(炭素数3以下のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アゾ基)または非置換のジアミノベンゼン類;ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル等の芳香環を2個有するジアミン類;アミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル等のジアミノフェニルエーテル類;メチレンジアニリン、メチレンビス(メチルアニリン)、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(ジブロモアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン等のジアミノアニリン類;ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシドやジアミノフルオレンなどが挙げられ、中でもジアミノジフェニルエーテル類またはジアミノアニリン類が好ましく、ジアミノジフェニルエーテルまたはメチレンビス(ジエチルアニリン)が特に好ましい。
【0032】
一般式(4)で示される脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヒドロキシプロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘプタンジアミン、ヘキサンジアミン、ジアミノジエチルアミン、ジアミノジプロピルアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、アザペンタンジアミンや、トリアザウンデカンジアミンなどが挙げられる。
一般式(4)で示されるジアミンは、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良い。
【0033】
一般式(5)で示されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸でも脂肪族ジカルボン酸でも良いが、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼン二酢酸、ベンゼンジプロピオン酸、ビフェニルジカルボン酸、オキシジ安息香酸、チオジ安息香酸、ジチオジ安息香酸、ジチオビス(ニトロ安息香酸)、カルボニルジ安息香酸、スルホニルジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、メチレンジ安息香酸、イソプロピリデンジ安息香酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジ安息香酸、ピリジンジカルボン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸や、ジヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。
【0034】
一般式(5)で示される脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、ジ(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシりんご酸、(メタ)アクリルアミドコハク酸や、(メタ)アクリルアミドりんご酸などが挙げられる。
一般式(5)で示されるジカルボン酸は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、少なくとも水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、特にイソフタル酸とヒドロキシイソフタル酸を併用することが好ましい。水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用する場合、式(5)の化合物中に該芳香族ジカルボン酸成分が占める割合は1モル%以上が好ましい。
【0035】
一般式(7)で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーは、数平均分子量200〜10,000、好ましくは数平均分子量500〜5,000のオリゴマーであり、その具体例としては、両末端にカルボキシル基を持ったポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンや、シリコーンゴムなどが挙げられ、ゴム構造を有する化合物が好ましく、中でも両末端カルボキシル基を有するブタジエン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。
【0036】
式(4)の化合物と式(5)の化合物の重縮合反応及び式(6)の化合物と式(7)の化合物の重縮合反応において、反応に不活性な溶媒を使用する好ことができる。不活性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルイミダゾリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジンのような非プロトン性極性溶媒、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の無極性溶媒、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジオキサンや、トリオキサンなど、またはこれらの混合溶媒を用いて行ってもよい。これら溶媒の使用量は、得られる式(2)のポリアミド系ブロック共重合体1重量部に対して通常0.5〜50重量部、好ましくは1.0〜20重量部である。
【0037】
本発明におけるポリアミド系ブロック共重合体(c)の製造に用いられる、一般式(2)で示されるカルボキシ基含有化合物は、分子内に1個以上、好ましくは1〜4、特に好ましくは2以下のカルボキシル基を有する脂肪族または芳香族化合物であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸などの脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、4−メチル安息香酸、2−メチル安息香酸、4−ノニル安息香酸、4−クロル安息香酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、ナフトールカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることが出来る。
一般式(2)で示されるカルボキシ基含有化合物は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、特に4−メチル安息香酸、サリチル酸、イソフタル酸の使用が好ましい。
【0038】
一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と一般式(2)で示されるカルボキシル基含有化合物との重縮合反応においては、上記したような芳香族亜リン酸エステル及びピリジン誘導体を使用するのが好ましく、その使用量は、芳香族亜リン酸エステルが式(2)の化合物の末端アミノ基1モルに対して、通常0.5〜5.0モル、好ましくは1.0〜2.5モル、ピリジン誘導体が得られる本発明のポリアミド系ブロック共重合体1重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0039】
ポリアミド系ブロック共重合体(c)の製造は、必要に応じて式(1)のポリアミド系ブロック共重合体を得る際に使用したのと同様な不活性溶媒を用いて行ってもよい。溶媒の使用量は、得られるポリアミド系ブロック共重合体(c)1重量部に対して通常0.5〜50重量部、好ましくは1.0〜20重量部である。また、反応温度は通常20〜150℃、好ましくは50〜120℃である。反応時間は通常30分〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
【0040】
尚、ポリアミド系ブロック共重合体(c)の製造は、一旦単離した一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と一般式(2)で示されるカルボキシル基含有化合物とを縮合反応することによっても得られるが、一般式(4)で示されるジアミンと一般式(5)で示されるジカルボン酸と一般式(7)で示される両末端にカルボキシル基を有する重合体を例えば芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で重縮合して得た一般式(1)で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体の反応液に、更に一般式(2)で示されるカルボキシル基含有化合物と必要に応じて芳香族亜リン酸エステルと三級アミンを追加して行うことも出来、むしろこの方法の方が効率的である。
【0041】
反応終了後、貧溶媒の使用や溶媒除去等で析出を行い、再溶解再沈殿および/または洗浄後、濾過し、乾燥させ本発明のポリアミド系ブロック共重合体を単離することができる。
用い得る貧溶媒は本発明におけるポリアミド系ブロック共重合体が溶解しにくい溶媒であれば良く、具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンや、これらを含有する混合溶媒等が挙げられる。
【0042】
このようにして得られるポリアミド系ブロック共重合体(c)は下記式(3)
【化3】
Figure 2004189815
【0043】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4、z=5〜15、l+m=2〜200、n=2〜100の整数をそれぞれ示し、l/(l+m)≧0.04である。)
で示される構造を有するものが特に好ましい。
【0044】
本発明で用いられるポリアミド系ブロック共重合体(c)はエポキシ樹脂組成物中で通常5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で使用される。
【0045】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を含有させることもできる。硬化促進剤としてはエポキシ樹脂の硬化を促進するものであればどのようなものでも良く、例えばイミダゾール類、有機リン化合物、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他の添加物を加えることができる。例えば天然ワックス類、合成ワックス類および長鎖脂肪族酸の金属塩類等の可塑剤、酸アミド類、エステル類、パラフィン類などの離型剤、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、コアシェル構造架橋ゴム等の応力緩和剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム等の無機難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、ブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤、炭酸カルシウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、低α線シリカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、マグネシア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、フェライト、希土コバルト、金、銀、ニッケル、銅、鉛、鉄粉、酸化鉄、砂鉄等の金属粉、黒鉛、カーボン、弁柄、黄鉛等の無機質充填剤または導電性粒子等、染料や顔料等の着色剤、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイト繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、炭素繊維などの有機系繊維、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、希釈剤、消泡剤、他の各種の樹脂、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等を配合することもできる。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、ポリアミド系ブロック共重合体(c)並びに、必要に応じ硬化促進剤及び他の添加剤を所定の割合で、好ましくは溶媒中で均一に混合させることによりワニス状組成物として得ることができる。溶媒としては、例えばトルエン、エタノール、セロソルブ、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等の有機溶媒が挙げられる。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化は、主に加熱硬化により行うが、例えば室温前後での触媒や酸素、湿気によって起こる常温硬化、紫外線照射で発生する酸による触媒によって起こる光硬化等を併用することも可能である。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、平面支持体の両面または片面に塗布され、溶媒を除去した状態のシートとして好ましく使用される。本発明のシートの好ましい用途としてはフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料、ボンディングシート(以下、これらをあわせてフレキシブル印刷配線板材料という)が挙げられ、本発明のエポキシ樹脂組成物はこれらを構成する接着剤として作用する。フレキシブル印刷配線用基板の構成は、電気絶縁性フィルム/接着剤/金属箔からなる構造であり、金属箔は電気絶縁性フィルムの片面のみに接着されていても、両面接着されていても良い。接着剤の厚さは一般に5〜20μmであるが、使用状況等により適宜決められる。カバーレイ材料の形態としては基材フィルムの片面に接着剤を塗布したフィルムベースカバーレイが主流である。フィルムベースカバーレイの構成は、電気絶縁性フィルム/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に15〜50μmであるが、使用状況等により適宜決められる。この他、カバーレイの形態としてはドライフィルムタイプ、液状タイプ等がある。ドライフィルムタイプは離型材/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤層が絶縁層も兼ねる。接着剤の厚さは一般に25〜100μmであるが、使用状況等により適宜決められる。液状タイプはコーティング、硬化により絶縁層を形成するものである。ボンディングシートの構成は、離型材/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に10〜50μmであるが、使用状況等により適宜決められる。
【0050】
以下、上記したフレキシブル印刷配線板材料の製造方法について述べる。
本発明のフレキシブル印刷配線用基板の製造方法は、溶剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤溶液を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて電気絶縁性フィルムに塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤溶液中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付き離型材の接着剤塗布面と金属箔とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で10〜20μmであればよい。
【0051】
本発明のフィルムベースカバーレイの製造方法は、溶剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤溶液をロールコーター、コンマコーター等を用いて電気絶縁性フィルムに塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤溶液中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付きフィルムの接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で15〜50μmであればよい。
【0052】
本発明のドライフィルムタイプのカバーレイの製造方法は、溶剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤溶液として、ロールコーター、コンマコーター等を用いて離型材に塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤溶液中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付き離型材の接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で25〜100μmであればよい。
【0053】
本発明の液状タイプのカバーレイの製造方法は、溶媒を含む本発明のエポキシ樹脂組成物をコーティング方法に適した粘度に調整して得られる。
【0054】
本発明のボンディングシートの製造方法は、溶剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤溶液として、ロールコーター、コンマコーター等を用いて離型フィルム上に塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤溶液中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付き離型材の接着剤塗布面と離型処理を施したコート紙とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で15〜100μmであればよい。
【0055】
本発明で使用可能な電気絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム、アラミドフィルム等が例示され、なかでも耐熱性、寸法安定性、機械特性等からポリイミドフィルムが好ましい。フィルムの厚さは通常12.5〜75μmの範囲であるが、必要に応じて適宜の厚さのものを使用すれば良い。また、これらのフィルムの片面もしくは両面に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等の表面処理を施してもよい。
【0056】
本発明で使用可能な金属箔としては、電解銅箔、圧延銅箔、アルミニウム箔、タングステン箔、鉄箔等が例示され、一般的には、加工性、屈曲性、電気伝導率等から電解銅箔及び圧延銅箔が用いられる。金属箔の厚さは一般的に1〜70μmであるが、使用状況等により適宜決められる。
【0057】
本発明で使用可能な離型材としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TPX(ポリメチルペンテン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、シリコーン離型剤付きポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びPEフィルム、ポリエチレン樹脂コート紙、ポリプロピレン樹脂コート紙及びTPX樹脂コート紙等が挙げられ、離型材の厚さは、フィルムベースのもので13〜75μm、紙ベースのもので50〜200μmが好ましいが、必要に応じて適宜の厚さのものが使用される。
【0058】
【実施例】
以下、更に実施例を以って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、%および部は、特記しない限り重量基準である。また、エポキシ当量、水酸基当量の単位はg/eqである。
【0059】
合成例1
ポリアミド系ブロック共重合体Aの合成
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた500mlの反応器に、イソフタル酸10.12g(0.0609モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸1.86g(0.0102モル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル15.96g(0.0797モル)と、塩化リチウム1.52gを仕込み、乾燥窒素を流しながら、N−メチル−2−ピロリドン179.4gと、ピリジン18.0gを加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を攪拌し95℃に保ち、亜リン酸トリフェニル39.0gを2時間で滴下し、さらに2時間反応させた。次に、反応器内を95℃に保ち、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)25.2gをN−メチル−2−ピロリドン25.2gに溶解させた溶液全量を1時間で滴下し、さらに2時間反応させた。その後、反応器内を60℃以下に冷却し、4−メチル安息香酸2.75g(0.020モル)、亜リン酸トリフェニル6.3gを添加して、再び95℃まで加熱し、同温度で3時間攪拌した。
【0060】
上記で調製したポリアミド系ブロック共重合体溶液を50℃以下に冷却した後、全量1000ml容器に移し、室温で攪拌しながら、メタノール126gを加えた後、10℃以下に冷却し、イオン交換水50gを30分かけて滴下した。その後更に10℃以下で1時間攪拌し、ポリアミド系ブロック共重合体分散スラリーを調製した。
【0061】
2000ml容器にイオン交換水700gを仕込み、室温で攪拌しながら、前記ポリアミド系ブロック共重合体スラリーを1分程度かけて加え、ポリアミド系ブロック共重合体の微粉末分散液を得た。その後さらに室温で1時間攪拌し、分散液を濾過した後、1000ml容器にイオン交換水500gを仕込み、攪拌しながら、前記濾過して得られたポリアミド系ブロック共重合体微粉末を徐々に加え、再分散させ、室温で30分攪拌洗浄した後、濾過した。
【0062】
温度計、分留装置、水蒸気導入口、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、前記濾過して得られた水洗後のポリアミド系ブロック共重合体微粉末と、イオン交換水500gを加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱した。その後加熱を停止し、反応器内を攪拌しながら、水蒸気を150g/時間程度で約24時間吹込み、洗浄を行った。分留装置より留出する液量は、3,600gであった。その後、反応器内を50℃以下に冷却した後、濾過した。
【0063】
濾過して得られた水蒸気洗浄後のポリアミド系ブロック共重合体の微粉末を、75℃で72時間熱風乾燥し、目的とするポリアミド系ブロック共重合体Aの微粉末を得た。
【0064】
合成例2
ポリアミド系ブロック共重合体Bの合成
合成例1で4−メチル安息香酸の代わりにイソフタル酸3.32g(0.020モル)を用いた以外は合成例1と同様にして、ポリアミド系ブロック共重合体Bの微粉末を得た。
【0065】
合成例3
式(2)の化合物を使用しないポリアミド系ブロック共重合体Cの合成
合成例1で4−メチル安息香酸を用いなかった以外は合成例1と同様にして両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体Cの微粉末を得た。
【0066】
実施例1
(評価用フレキシブル印刷配線用基板の作成)
エポキシ樹脂組成物として、表1の実施例1に示す各成分をシクロペンタノン200部とMEK(メチルエチルケトン)200部を混合した混合溶媒に溶解して固形分濃度40%の樹脂溶液を調製した。硬化剤の配合量は当量比で1.0とした。次に厚さ25μmのユーピレックスSGAフィルム(商品名、宇部興産株式会社製、ポリイミドフィルム)上に、前記樹脂溶液をロールコーターを用いて、乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、乾燥条件140℃、3分で溶剤を除去した。接着剤層は、ユーピレックスフィルムを湾曲させても割れ、欠け、剥がれを生じたりせず、十分な強度とフレキシビリティを有していた。この半硬化状態の接着剤付きユーピレックスフィルムの接着剤面に厚さ18μmのBHN箔(商品名;ジャパンエナジー社製圧延銅箔)の粗化処理面を貼り合わせ、170℃、5MPaで60分間加熱圧着してフレキシブル印刷配線用基板を得た。なお、表1の各欄の数値は「部」を表す。
【0067】
(評価用フィルムベースカバーレイの作成)
厚さ25μmのユーピレックスSGAフィルム(商品名、宇部興産株式会社製、ポリイミドフィルム)上に前記樹脂溶液をロールコーターを用いて、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、乾燥条件140℃、3分で溶剤を除去した。接着剤層は、ユーピレックスフィルムを湾曲させても割れ、欠け、剥がれを生じたりせず、十分な強度とフレキシビリティを有していた。この接着剤層付きユーピレックスフィルムの接着剤面にシリコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコート紙を熱圧着してフィルムベースカバーレイを得た。
【0068】
試験例1
得られた本発明のフレキシブル印刷配線用基板およびフィルムベースカバーレイにつき下記物性を測定した。
(フレキシブル印刷配線用基板のピール強度の測定)
得られたフレキシブル印刷配線用基板をテンシロン試験機(東洋ボールドウィン製)を用いて、JIS C6481に準拠して測定した。結果を表に示した。
(フィルムベースカバーレイのピール強度の測定)
厚さ35μmのBHN箔(商品名;ジャパンエナジー社製圧延銅箔)の銅箔光沢面に前記カバーレイフィルムを170℃、5MPaで60分間加熱圧着しピール強度測定用サンプルとした。評価用サンプルをテンシロン試験機(東洋ボールドウィン製)を用いて、JIS C6481に準拠して測定した。結果を表2に示した。
(半田耐熱性試験)
JIS C6471に準拠した。前記フィルムベースカバーレイのピール強度の測定サンプルと同じものをサンプルとして用いた。20℃、60%RHで24時間保持したサンプル及び100℃、30分煮沸吸水処理を施したサンプルを25mm角にカットし、これを260℃半田浴上に30秒間浮かべた後、外観を目視により検査した。この際膨れ、剥がれ等の有無について確認し、結果を表2に下記の基準で示した。
○:膨れ、剥がれなし
×:膨れ、剥がれ発生
(MIT耐折性試験)
JIS P8115に準拠した。 前記フィルムベースカバーレイのピール強度の測定サンプルと同じものをサンプルとして用いた。10mm幅にカットしたサンプルについてMIT試験機(安田精機製作所製)による屈曲試験を行った。先端屈曲経0.38mmR、荷重0.5kgの条件で屈曲試験を行いクラック、浮き、剥がれ等の生じる回数を記録した。結果を表2に示した。
【0069】
試験例2
前記評価用フレキシブル印刷配線用基板にエッチングにより、IPC−SM−840に規定されている櫛型電極(Aパターン:導体/線間=100μm/100μm)を形成し電気信頼性試験と埋め込み性試験を行った。
(回路埋め込み性)
評価用回路にカバーレイフィルムを貼り合わせ、170℃、5MPaで60分間加熱圧着した。顕微鏡で観察し、銅回路のカバーレイの接着剤の回路中における埋め込み性を見た。また、40℃で10日間放置後に同様に回路埋め込み性を確認し、結果を表2に下記の基準で示した。
○:埋め込み不良なし
(電気信頼性)
評価用回路にカバーレイフィルムを貼り合わせ、170℃、5MPaで60分間加熱圧着し、電気信頼性試験用サンプルとした。121℃、85%RHで電極間に50Vの直流電流を168時間印加し、試験後に電極間を顕微鏡で観察し、マイグレーションの有無を確認し、結果を表2に下記の基準で示した。
○:マイグレーション不良なし
【0070】
実施例2〜3、比較例1〜2
エポキシ樹脂組成物として、表1の実施例2〜3及び比較例1〜2の各欄に示す各成分をシクロペンタノン200部とMEK(メチルエチルケトン)200部を混合した混合溶媒に溶解した樹脂溶液を用いた以外は実施例1と同様に行いフレキシブル印刷配線用基板及びフィルムベースカバーレイを作成し、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2004189815
【0072】
尚、表1において略号は下記のものを示す。
エポキシ樹脂A:EPPN−501H(トリフェニルメタン骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製;エポキシ当量:167)
エポキシ樹脂B:NC−3000(フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製;エポキシ当量:294)
エポキシ樹脂C:RE−310S(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製;エポキシ当量:182)
硬化剤A:カヤハードTPM(トリフェニルメタン骨格を有するノボラック樹脂;日本化薬株式会社製;水酸基当量:97)
硬化剤B:カヤハードGPH(ビフェニル骨格を有するフェノールノボラック樹脂;日本化薬株式会社製;水酸基当量:203)
硬化促進剤A:キュアゾール2PHZ−PW(四国化成工業株式会社製;2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
イオン捕捉剤A:DHT−4A(協和化学工業株式会社製、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤、Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HO)
イオン捕捉剤B:IXE−100(東亞合成株式会社製、リン酸ジルコニウム系イオン捕捉剤)
フィラーA:キスマ8N(協和化学工業株式会社製、水酸化マグネシウム)
【0073】
【表2】
Figure 2004189815
【0074】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた接着性、半田耐熱性、電気的信頼性を同時に満たし、それを用いたフレキシブル印刷配線板の信頼性は極めて高いものとなる。

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、ポリアミド系ブロック共重合体(c)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、該ポリアミド系ブロック共重合体(c)が、一般式(1)
    N−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)
    [{CO−A−CONH−R1−NH−
    (CO−R2−CONH−R1−NH)]−H (1)
    {式中、Aは2価のオリゴマー構造を表し、R1およびR2はそれぞれ2価の有機基を表し、aおよびbは平均重合度を表す。}
    で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド系ブロック共重合体と、
    一般式(2)
    X−COOH (2)
    {式中、Xは置換されていても良いアルキル基または、置換されていても良いアリール基を表す。}
    で示されるカルボキシ基含有化合物とを縮合して得られた共重合体であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ポリアミド系ブロック共重合体(c)が下記式(3)
    Figure 2004189815
    (式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均値であって、x=3〜7、y=1〜4、z=1〜15、l+m=2〜200、n=2〜100の正数をそれぞれ示し、m/(l+m)≧0.04である。)
    で示される構造を有するフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 硬化剤(b)がフェノール類である請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 平面状支持体の両面または片面に請求項1乃至3の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を有するシート。
  5. 平面状支持体がポリイミドフィルムである請求項4に記載のシート。
  6. 平面状支持体が金属箔である請求項4に記載のシート。
  7. 平面状支持体が剥離フィルムである請求項4に記載のシート。
  8. 請求項4記載のシートを用いたフレキシブル印刷配線用基板。
  9. 請求項4記載のシートを用いたカバーレイフィルム。
  10. 請求項4記載のシートを用いたボンディングシート。
  11. 請求項1乃至3の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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