JP2006261199A - リードアウト部付き回路基板及びその製造方法 - Google Patents

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将弘 北原
Koji Mitsui
浩二 三井
Shinji Mizuno
伸二 水野
Yoko Shimomura
容子 下村
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Abstract

【課題】リードアウト部の裏面に貼り付けられる補強板の貼り付け強度を強くできてズレなどが生じないリードアウト部付き回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターン31をその上面に設けてなるリードアウト部35を有するリードアウト部付き回路基板10である。回路基板10はフレキシブル回路基板であって、リードアウト部35の裏面には、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層90を介して補強板80が貼り付けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、二つの電気回路間を接続するのに用いて好適なリードアウト部付き回路基板及びその製造方法に関するものである。
従来、他の部材の電気回路と接続するのに、リードアウト部を設けた構造の回路基板が用いられている。図8はこの種従来のリードアウト部付き回路基板500のリードアウト部550の近傍部分を拡大して示す要部拡大斜視図である。同図に示すリードアウト部付き回路基板500は、略帯状に形成された熱可塑性合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム〔以下「PETフイルム」という〕)製のフレキシブル回路基板510の上面に複数本の回路パターン520を並行に形成し、その端部の接点パターン521となる部分(この部分がリードアウト部550である)を除くその他の部分の上面を絶縁保護層530で覆い、且つリードアウト部550の裏面に感圧接着材によって補強板540を貼り付けて構成されている。ここで補強板540を貼り付けるのは、可撓性を有する合成樹脂フイルムからなるリードアウト部550に剛性を持たせて下記するコネクタ600への接続を容易且つ確実に行なわせるためである。一方絶縁保護層530を設けるのは、回路パターン520が他の部品と接触してショートすることを防止するためである。そして回路パターン520の保護を確実にするためには、前記絶縁保護層530をフレキシブル回路基板510上に複数回印刷硬化させることでその厚みを厚くするのが好適である。
一方コネクタ600は、矩形状の合成樹脂製のケース610内に金属板製の接点板620を複数枚収納固定して構成されている。各接点板620は前記各接点パターン521にそれぞれ対向する位置に設置され、ケース610の一側面に設けた開口611側に、前記リードアウト部550を挟持する略コ字状の接点部613を設け、また各接点部613の反対側にケース610から外部に露出する接続部615を設けて構成されている。そして前記リードアウト部550をコネクタ600の開口611内に挿入して各接点部613によってリードアウト部550を挟持して各接点部613と接点パターン521とを圧接接続する。
しかしながら上記従来のリードアウト部550には以下のような問題点があった。
(1)上記従来例においては、補強板540の貼り付けを、感圧接着材によって行なっているので、その貼り付け強度が必ずしも強固ではなく、リードアウト部550をコネクタ600に差し込んだ際に加わる強い力によって、補強板540がリードアウト部付き回路基板500からズレてしまう恐れがあった。
(2)リードアウト部付き回路基板500の実際の製造は、大きな合成樹脂フイルム上に複数のリードアウト部付き回路基板500を形成し、各リードアウト部550となる部分の裏面側に感圧接着材によって正規の寸法よりも少し大きめの補強板540を貼り付け、その後プレス金型によって各リードアウト部付き回路基板500の外形形状を抜き打ち加工することによって行う。その際補強板540の周囲も正規の寸法にカットされるが、補強板540を接着している感圧接着材は粘性を有しており、このためプレス金型を用いた際に粘性のある感圧接着材がこのプレス金型に付着して徐々にリードアウト部550の精度の良いカットができなくなる恐れがあり、同時に付着した感圧接着材を定期的にプレス金型から取り除くための別工程が必要になってしまう恐れがある。
(3)一方前述のように絶縁保護層530の厚みを印刷回数を増やして厚くすると、材料費及び製造工程の煩雑化によるコストアップが生じ、また絶縁保護層530の厚みが厚いのでフレキシブル回路基板510の柔軟性が損なわれるという問題もある。この問題を解決するには、フレキシブル回路基板510の回路パターン520を形成した面上に別途可撓性を有する絶縁性の樹脂製のフイルム板を接着材によって貼り付ければ良い。接着材としては例えばエポキシ樹脂系の接着材を用いる。このようにフイルム板を貼り付ければ、前述の従来例のように樹脂材を重ね塗りしただけの絶縁保護層530に比べて、回路パターン520への他の部品の接近等によるショートの危険性を更に確実に防止できるばかりか、樹脂材の印刷硬化を複数回行なう必要がなくてフイルム板の一回の接着作業で済み、またフレキシブル回路基板510に可撓性を有するフイルム板が貼り付けられるだけなのでその柔軟性が損なわれることもない。しかしながらフイルム板を上記接着材によって貼り付けた場合、フイルム板をフレキシブル回路基板510に所定の圧力で押し付けた状態(例えば20〜30kg/cm2)で、所定の高熱(例えば150℃)を所定時間(例えば1時間)印加することとなる。このためフレキシブル回路基板510及びフイルム板として、この熱と圧力に長時間耐えられる材質のものを選ばなければならず、たとえば高価なポリイミドフイルムを使用する必要が生じてしまう。逆に例えば安価なPETフイルムは前記長時間の熱と圧力によって変形・変質する恐れがあり、使用できない。
特開2004−87710号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、リードアウト部の裏面に貼り付けられる補強板の貼り付け強度を強くできてズレなどが生じず、また補強板を含むリードアウト部の外形をプレス金型によってカットしても補強板を接着するのに用いた接着材がプレス金型に付着してその作業性を阻害することもなく、またリードアウト部以外の回路への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できるリードアウト部付き回路基板及びその製造方法を提供することにある。
本願請求項1に記載の発明は、他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターンをその上面に設けてなるリードアウト部を有するリードアウト部付き回路基板において、前記回路基板はフレキシブル回路基板であって、前記リードアウト部の裏面には、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介して補強板が貼り付けられていることを特徴とするリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項2に記載の発明は、前記接着材層を構成する樹脂は、少なくとも光硬化性樹脂に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項3に記載の発明は、前記フレキシブル回路基板上面の前記接点パターンを除く回路上の少なくとも一部には、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介してフイルム板が貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項4に記載の発明は、前記フレキシブル回路基板は、前記回路を配線のみに用いてなる配線回路基板部と、前記回路を配線と配線以外の機能に用いてなる機能回路基板部とを具備し、前記フイルム板は前記接着材層を介して少なくとも前記配線回路基板部の上面を覆うように貼り付けられることを特徴とする請求項3に記載のリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項5に記載の発明は、前記機能回路基板部の上面には別途樹脂材を塗布することで構成される絶縁層が形成されるとともにスイッチ接点パターンを露出する露出部を設け、且つこのフレキシブル回路基板上に別のフレキシブル回路基板を載置することで別のフレキシブル回路基板に設けたスイッチ接点パターンと前記スイッチ接点パターンとを間隙を持って対向させてメンブレンスイッチを構成したことを特徴とする請求項4に記載のリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項6に記載の発明は、前記フイルム板は、前記配線回路基板部の他に、機能回路基板部の上面をも覆うように前記接着材層を介して貼り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のリードアウト部付き回路基板にある。
本願請求項7に記載の発明は、他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターンをフレキシブル回路基板上に設けることでリードアウト部を形成するリードアウト部付き回路基板の製造方法において、前記リードアウト部の裏面に、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介して補強板を貼り付ける工程と、前記接着材層に前記補強板又はフレキシブル回路基板の外面側から光を照射して硬化させることで前記補強板をフレキシブル回路基板に固定する工程とを具備することを特徴とするリードアウト部付き回路基板の製造方法にある。
請求項1に記載の発明によれば、補強板の貼り付け強度を強くできる。従ってこのリードアウト部にコネクタへの着脱等による強い応力が加わってもズレなどが生じることはない。また補強板を含むリードアウト部の外形をプレス金型によってカットしても補強板を接着するのに用いた接着材がプレス金型に付着してその作業性を阻害することもない。
請求項2に記載の発明によれば、少なくとも光硬化性樹脂に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含んだ樹脂を用いて接着材層を構成したので、接着材層に光を照射する前にこれを粘度が高くて固体に近い状態(半硬化状態、軟らかすぎない状態)にでき、従ってこの接着材層が破壊されない状態を容易に維持でき、フレキシブル回路基板への貼り付け・光による完全硬化が容易に行えるようになる。
請求項3に記載の発明によれば、フイルム板によってフレキシブル回路基板上に設けた回路への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できる。またこの接着材層は絶縁性確保のために設けたものではないので厚塗りする必要はなくて可撓性があり、同時にフイルム板にも可撓性があるのでフレキシブル回路基板の柔軟性が損なわれることはない。さらに接着材層は光によって硬化するので、長時間にわたって加熱と同時に加圧する必要はなく、従ってPETフイルムのように基板やフイルム板や補強板の材質として加熱や加圧に弱い材質の基材を用いても変形・変質する恐れがない。
請求項4に記載の発明によれば、フイルム板によって少なくとも配線回路基板部上に設けた回路への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できる。また配線回路基板部の柔軟性が損なわれることはない。
請求項5に記載の発明によれば、フレキシブル回路基板の機能回路基板部もメンブレンスイッチを構成する別のフレキシブル回路基板によって確実に保護することができる。
請求項6に記載の発明によれば、フレキシブル回路基板の機能回路基板部の回路もフイルム板によって確実に保護することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明にかかるリードアウト部付き回路基板を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1,図2は本発明の第一実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板(以下「回路基板」という)及びその製造方法を説明する図である。本実施形態にかかる回路基板を製造するには、まず図1に示すように回路基板10と、接着材層90を設けた補強板80と、接着材層130を設けたフイルム板110とを用意する。回路基板10は可撓性を有する熱可塑性の合成樹脂フイルム(この実施形態では厚み75μm〜50μmの透明なPETフイルム)からなる絶縁性の基板20上に所望の回路30を形成して構成されるフレキシブル回路基板である。回路30は導電ペースト(例えば銀ペースト〔溶剤に溶かしたウレタン系,フェノール系等の樹脂材に銀粉を混練したもの〕やカーボンペースト〔溶剤に溶かしたウレタン系,フェノール系等の樹脂材にカーボン粉を混練したもの〕等)をスクリーン印刷等によって基板20上に印刷形成したものを、所定温度で所定時間加熱することによって形成される。基板20や回路30の材質が種々変更可能であることはいうまでもなく、また回路30はスクリーン印刷以外の各種印刷方法や、銅箔エッチングのような印刷以外の各種パターン形成方法によって形成しても良い。なお回路30の厚みは例えば10μm程度である。そしてこれら複数本の回路30の端部(フイルム板110に覆われない部分)を接点パターン31とし、この接点パターン31を設けた部分をリードアウト部35としている。
補強板80は、可撓性を有する絶縁性の熱可塑性の合成樹脂フイルム(この実施形態では厚み188μmのPETフイルム、即ち回路基板10よりもその厚みを厚くして剛性を高くしたもの)を矩形状(リードアウト部35及びその近傍部分の形状と同一外形形状)に形成し、その上面(回路基板10に対向する側の面)に少なくとも光硬化性である紫外線硬化性樹脂を含む接着材層90を形成している。図1ではさらに接着材層90の露出する側の表面を覆うように剥離シート95が貼り付けられている。ここで補強板80は紫外線を通す透明な材料で構成されている。一方接着材層90は、その厚みが例えば35〜50μmとなるように補強板80の上面全体に形成されており、比較的粘度が高く(即ち固体状に近く)、同時に弱い粘着性(接着性)を有している。即ちこの実施形態に用いている接着材層90を構成する樹脂材は、少なくとも光硬化性である紫外線硬化性樹脂に、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含んだものに、溶剤を混合した液状の樹脂材を用い、この樹脂材を予め前記補強板80の表面に塗布し、次にそのままこの補強板80を例えば70〜80℃で加熱して溶剤を揮発させ、これによって樹脂材中の熱硬化性又は熱可塑性の樹脂成分を硬化させて樹脂材全体を半硬化状態(軟らかすぎない状態)、即ち比較的粘度が高く固体に近い状態とし、同時に前記粘性によって弱い粘着性(接着性)を有するようにしている。補強板80表面への接着材層90の形成は、この樹脂材を補強板80表面に垂らしてブレードで均一な層になるように引き伸ばして行っても良いし、スクリーン印刷等の印刷手段によって行なっても良い。なお必ずしも熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を混合しなくても、少なくとも紫外線硬化性樹脂を含む樹脂材のみで(紫外線硬化性樹脂のみでもよいし、紫外線硬化性樹脂に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂以外の部材を混合したものでも良い)半硬化状態、即ち比較的粘度が高く固体に近い状態であって且つその表面に弱い粘着性(接着性)を持たせることができる材質のものであれば、それを接着材層90としても良い。
以上のように接着材層90は半硬化状態なので、接着材層90の表面に剥離シート95を貼り付けたり剥がしたりしても、接着材層90が破壊されることはなくなる。なお剥離シート95は前記弱い接着性を有する接着材層90の表面に剥離自在に貼り付けることができる滑らかな表面を有する薄い樹脂シートで構成されている。ところで前記樹脂材に混合する紫外線硬化性樹脂としては、例えば紫外線硬化性のアクリレート樹脂等を用いる。アクリレート樹脂には、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルアクリレート等がある。また前記樹脂材に混合する熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂の中には熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがある。なお紫外線硬化性の樹脂及び熱硬化性の樹脂及び熱可塑性の樹脂として、他の各種材質のものを用いても良い。なお接着材層90の樹脂材による形成は、これを複数回印刷・半硬化させることで多層に形成しても良い。また接着材層90の樹脂材は、紫外線硬化性以外の各種光硬化性樹脂材で構成しても良い。
フイルム板110は、可撓性を有する絶縁性の熱可塑性の合成樹脂フイルム(この実施形態では厚み38μmのPETフイルム)によって構成され、回路基板10の幅と同一の幅で、且つその先端辺が回路基板10の先端部分を覆わないで接点パターン35が露出するように、回路基板10の先端辺よりも少し後退するようにしている。またフイルム板110の下面(回路基板10に対向する側の面)には少なくとも光硬化性である紫外線硬化性樹脂を含む接着材層130を形成している。図1では接着材層130の露出する側の表面を覆うように剥離シート140が貼り付けられている。ここでフイルム板110も前記補強板80と同様に、紫外線を通す透明な材料で構成されている。一方接着材層130は、その材質、厚み、形成方法において、前記接着材層90と同一のものが用いられており、フイルム板110の下面全体に形成されている。即ちこの接着材層130も比較的粘度が高く(即ち固体状に近い半硬化状態)、同時に弱い粘着性(接着性)を有している。また剥離シート140も前記補強板80に用いた剥離シート95と同一の材質、厚みのものを用いている。接着材層90と接着材層130の材質を同一にすれば、同一の材料を共用でき、材料費の低減化が図れる。また両接着材層90,130の材質(さらに厚みや形成方法)を同一にすれば、製造工程の簡素化が図れる。なおもちろん両接着材層90,130として、異なる材質及び/又は厚み及び/又は形成方法を用いてそれぞれ形成しても良い。
次に図1において、フイルム板110の接着材層130の表面(図1では下面)から剥離シート140を剥がし、図2に示すように接着材層130の露出した表面を回路基板10の回路30を設けた側の面に当接して両者を密着して貼り付ける。次に透明なフイルム板110の外面111側(接着材層130を設けた面の反対面側)からフイルム板110を透して前記接着材層130に、積算光量として〔1500mJ/cm2〕の紫外線を照射し、これによって接着材層130を完全に硬化させ、これによって回路基板10にフイルム板110を接着材層130を介して固定する。次に補強板80の接着材層90の表面(図1では上面)から剥離シート95を剥がし、図2に示すように接着材層90の露出した表面を回路基板10のリードアウト部35の裏面(接点パターン31を設けた面の反対側の面)に当接して両者を密着して貼り付け、次に透明な補強板80の外面81側(接着材層90を設けた面の反対面側)から補強板80を透して前記接着材層90に、積算光量として〔1500mJ/cm2〕の紫外線を照射し、これによって接着材層90を完全に硬化させ、これによって回路基板10に補強板80を接着材層90を介して固定する。上記紫外線の照射によって昇温する回路基板10の温度は100℃程度である。なお回路基板10の上下面にフイルム板110と補強板80とを同時に貼り付けて同時に紫外線を照射することで同時に両者を回路基板10に固定しても良い。そのとき照射する紫外線は一方向のみからでも良い。
補強板80とフイルム板110のそれぞれ外面81,111側から接着材層90,130に向けて紫外線を照射したのは、これらの逆側(回路基板10側)から紫外線を照射すると、透明でない回路30によって紫外線が遮られ、接着材層90,130の一部に完全硬化のなされない部分が生じる恐れがあるからである。なお一部に完全硬化しない恐れのある部分が生じても良い場合は、透明な回路基板10側から接着材層90,130に紫外線を照射しても良い。
以上のようにして回路基板10のリードアウト部35の裏面に補強板80を貼り付ける構造とすれば、接着材層90は紫外線によって確実に硬化して回路基板10と補強板80に固定されるので、その接着強度は強く、例えこのリードアウト部35を図8に示すコネクタ600に着脱した際に強い力が加わっても、補強板80が回路基板10からズレる恐れはない。またこの回路基板10の実際の製造を、大きな合成樹脂フイルム上に複数の回路基板10を形成し、各リードアウト部35の裏面側に接着材層90を介して補強板80を貼り付け、その後プレス金型によって各回路基板10の外形形状を抜き打ち加工することによって行う場合、補強板80の周囲も正規の寸法にカットされるが、補強板80を接着した接着材層90は確実に硬化していて粘性がないので、プレス金型に接着材が付着することはなく、従ってプレス金型によって常にリードアウト部35の精度の良いカットが継続して行えると同時に、付着した接着材をプレス金型から取り除くというような工程も不要になる。なお上記実施形態においては少なくとも紫外線硬化性の樹脂を含む接着材層90を補強板80側に予め形成したが、場合によってはその代りに接着材層90を予め回路基板10のリードアウト部35の裏面に形成しておいて、その上に補強板80を貼り付けても良い。要は少なくとも紫外線硬化性の樹脂を含む接着材層90を介して補強板90をリードアウト部35の裏面に貼り付ける構造であれば良い。
また回路基板10上面の前記接点パターン31を除く回路30上にフイルム板110を貼り付ける構造としたので、回路30への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できる。また少なくとも紫外線硬化性樹脂に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含んだ樹脂材を用いて接着材層130を構成したので、この接着材層130を粘度が高くて固体に近い状態に構成でき、従ってこの接着材層130が破壊されない状態を容易に維持でき、フイルム板110の回路基板10への貼り付け・硬化が容易に行えるようになる。また接着材層130は絶縁性確保のために設けたものではないので厚塗りする必要がなくて容易に可撓性を持たせることができ、同時にフイルム板110にも可撓性があるので、回路基板10の柔軟性が損なわれない。さらに接着材層130は紫外線によって硬化するので、長時間に亘って高温状態において加熱と加圧する必要はなく、従ってPETフイルムのように基板20やフイルム板110、さらには補強板80の材質として耐熱性に劣る加熱や加圧に弱い材質の基材を用いても変形・変質する恐れがなくなる。なお上記実施形態においては少なくとも紫外線硬化性の樹脂を含む接着材層130をフイルム板110側に予め形成したが、場合によってはその代りに接着材層130を予め回路基板10側に形成しておいて、その上にフイルム板110を貼り付けても良い。要は少なくとも紫外線硬化性の樹脂を含む接着材層130を介してフイルム板110を回路基板10に貼り付ける構造であれば良い。
〔第二実施形態〕
図3〜図5は本発明の第二実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板及びその製造方法の説明図である。本実施形態において、第一実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。この実施形態において回路基板10は、回路を配線と配線以外の機能に用いてなる略矩形状の機能回路基板部(以下この実施形態では「メンブレンスイッチ形成部」という)21と、メンブレンスイッチ形成部21の外周辺の一部から外方に向けて引き出され回路を配線のみに用いてなる配線回路基板部(以下この実施形態では「引出部」という)29とを具備して構成されている。回路基板10を構成する基板20の表面には各種回路が形成されており、メンブレンスイッチ形成部21上にはその回路30の一部としてマトリクス状に複数(12個)のスイッチ接点パターン30−1が形成され、引出部29上にはその根元側から先端のリードアウト部35まで引き出された他の電気回路に接続される回路30が複数本並列に設けられている。またメンブレンスイッチ形成部21上にはスイッチ接点パターン30−1の他に固定抵抗パターン32と接続パターン33とがスクリーン印刷等によって形成されている。ここで引出部29は、回路30を配線のみに用いており、従ってこれを前述のように配線回路基板部と定義し、またメンブレンスイッチ形成部21は回路を配線ばかりでなく、配線以外の機能(スイッチ接点パターン30−1や固定抵抗パターン32)にも用いており、従ってこれを前述のように機能回路基板部と定義する。
メンブレンスイッチ形成部21表面の各スイッチ接点パターン30−1部分に設けた円形の露出部43と、メンブレンスイッチ形成部21表面の接続パターン33部分に設けた矩形状の露出部44とを除く面全体には、絶縁層40が形成されている。従ってメンブレンスイッチ形成部21表面の固定抵抗パターン32は絶縁層40によって覆われる。絶縁層40は、別途樹脂材を塗布することで構成されており、具体的にこの実施形態で用いた絶縁層40は、溶剤入りの熱硬化性の合成樹脂からなるペースト状の絶縁塗料を印刷(スクリーン印刷)したものを焼成することによって形成される第一レジスト層の上に、溶剤を含まない合成樹脂からなるペースト状の絶縁塗料を印刷(スクリーン印刷)したものを硬化(紫外線硬化)させることによって形成される第二レジスト層を設けて構成されている。第一レジスト層用の熱硬化性の合成樹脂からなるペースト状の絶縁塗料としては、例えば溶剤入りのポリウレタン樹脂が好適である。ポリウレタン樹脂は、柔軟性が高く、可撓性のある回路基板10の柔軟性が十分保て、好適である。もちろん第一レジスト層はポリウレタン樹脂以外の各種熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂で構成しても良い。第二レジスト層用の溶剤を含まない合成樹脂からなるペースト状の絶縁塗料としては、溶剤を用いない紫外線硬化性(光硬化性)の合成樹脂(クリーム状である)が好適であり、例えば紫外線硬化性のアクリレート樹脂が好適である。アクリレート樹脂には、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルアクリレート等がある。もちろんアクリレート樹脂以外の各種紫外線硬化性を含む光硬化性の合成樹脂で第二レジスト層を構成しても良いし、さらに光硬化性でないどのような合成樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の両者を含む)であっても良い。例えば光硬化性でないエポキシ樹脂等がこれに該当する。この実施形態において第一レジスト層の上に第二レジスト層を積層して絶縁層40を構成したのは、絶縁層40の厚みを厚くして、この絶縁層40にメンブレンスイッチのスペーサとしての機能を確実に発揮させるためである。即ち紫外線硬化性の合成樹脂からなる絶縁塗料には溶剤が入っておらず、粘性が高いので、印刷層を容易に厚く(例えば35μm程度)印刷することができ、これに紫外線を照射して硬化することで第二レジスト層を形成すれば、第一レジスト層と第二レジスト層からなる絶縁層40の厚みを厚くできる。
一方この実施形態に用いる補強板80は第一実施形態のものと同一である。またフイルム板110は第一実施形態のものと同一であるが、その外形形状は引出部29の外形形状と略同一の外形形状に形成されている。
次にメンブレンスイッチ形成部21上にはこれと略同一外形形状の別の回路基板50が載置されることによってメンブレンスイッチ60(図5参照)が構成される。回路基板50は可撓性を有する熱可塑性の合成樹脂フイルム(この実施形態では厚み75μm〜50μmのPETフイルム)からなる絶縁性の基板51の下面(回路基板10に対向する面)に前記回路30と同じ材質からなる所望の回路を形成し、回路の所定位置(前記各スイッチ接点パターン30−1に対向する位置及び各接続パターン33に対向する位置)にスイッチ接点パターン53と接続パターン54を設け、さらに基板51の回路を形成した側の面の前記各スイッチ接点パターン53部分に設けた円形の露出部55と接続パターン54部分に設けた矩形状の露出部56を除く面全体に、前記絶縁層40と同じ絶縁保護層57を形成している。
そしてこの実施形態においては、図4に示すように、回路基板10の引出部29の上面にフイルム板110を貼り付け、また回路基板10のリードアウト部35の裏面に補強板80を貼り付けるが、両者の回路基板10への紫外線による貼り付け方法は第一実施形態で説明した補強板80とフイルム板110の回路基板10への貼り付け方法と同一なので、その説明は省略する。なおこのときフイルム板110の一端(リードアウト部35と反対側の端部)は少し絶縁層40の上に載っている。次に図5に示すように、メンブレンスイッチ形成部21上に別の回路基板50を載置し各スイッチ接点パターン30−1,53(図3参照)を間隙をもって対向させ、同時に両接続パターン33,54を接着材や図示しない機械的挟持手段等によって電気的に接続してメンブレンスイッチ60を構成する。ここで別の回路基板50とは、回路基板10上に載置される回路基板のことをいい、この別の回路基板50がこの実施形態のように回路基板10と別体の回路基板であるか、或いはこの回路基板10の一部を構成しているかは問わない。つまり回路基板50は回路基板10の一部として形成してこれを回路基板10上に折り曲げるように構成しても良い。
以上のように構成すれば、フイルム板110が回路基板10の一部を構成する配線回路基板部(引出部29)上に形成した回路30(図3参照)の表面を覆うように貼り付けられ、一方回路基板10の一部を構成する機能回路基板部(メンブレンスイッチ形成部21)上に形成した回路の表面は、メンブレンスイッチ60を構成する回路基板50が覆うので、回路基板10全体への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できる。言い換えれば、メンブレンスイッチのように回路の上下をフイルム板で覆っている部分を除くその他の部分に、フイルム板110を貼り付けることによって、回路基板10全体の回路への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止している。
〔第三実施形態〕
図6,図7は本発明の第三実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板及びその製造方法の説明図である。本実施形態において、第一,第二実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記第一,第二実施形態と同じである。この実施形態において第二実施形態と相違する主な点は、回路基板10全体の形状と略同一形状の1枚のフイルム板110を用いた点と、機能回路基板部(以下この実施形態では「メンブレンスイッチ形成部」という)21上の複数の所定位置に形成した図示しないスイッチ接点パターン上に金属弾性板製のドーム形状の反転板(可動接点板)121を接着材又は粘着テープ等で貼り付けることでスイッチ120を形成した点と、メンブレンスイッチ形成部21上の接続パターン33を省略した点とである。フイルム板110は、配線回路基板部(以下この実施形態では「引出部」という)29の外形形状と略同一外形形状の引出部用フイルム板部110−1と、メンブレンスイッチ形成部21の外形形状と略同一外形形状のメンブレンスイッチ用フイルム板部110−2とを具備して形成されている。但し引出部用フイルム板部110−1のリードアウト部35側の端部は、第一,第二実施形態と同様にリードアウト部35の部分が露出するように少し短く形成されている。またメンブレンスイッチ用フイルム板110−2の下面の前記各スイッチ120に対向する位置には、反転板121に接着材層130が接着しないようにするため、接着材層130を設けない円形の接着材層非形成部115が設けられている。なお図6においてはメンブレンスイッチ形成部21上のスイッチパターンや配線のみの回路の記載は省略している。
そしてこの実施形態においては、図7に示すように、回路基板10の上面を覆うようにフイルム板110を貼り付け、また回路基板10のリードアウト部35の裏面に補強板80を貼り付けるが、両者の回路基板10への紫外線による貼り付け方法は第一実施形態で説明した補強板80とフイルム板110の回路基板10への貼り付け方法と同一なので、その説明は省略する。
以上のように構成すれば、フイルム板110が、スイッチ120や固定抵抗パターン32を含む回路基板10上に形成した回路全体(他の回路と接続する機能を有するリードアウト部35上の接点パターン31を除く)の表面を覆うように貼り付けられる。従って回路基板10上に設けたスイッチ120や固定抵抗パターン32を含む回路全体への他の部品の接近・接触等によるショートの危険性を確実に防止できる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えばリードアウト部を設ける位置は、必ずしも回路基板から引き出した引出部の先端部分である必要はなく、例えば回路基板の何れかの辺の端部近傍又は回路基板内部の所望の位置等であっても良い。要は、他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターンをその上面に設けている回路基板の部分がリードアウト部である。また例えば上記第二,第三実施形態においては、機能回路基板部(メンブレンスイッチ形成部)21の表面にスイッチ接点パターン30−1や固定抵抗パターン32やスイッチ120を設けたが、機能回路基板部21の表面には、それ以外の各種機能を有する部品、例えばコンデンサ、LED等を搭載しても良い。また回路基板や補強板やフイルム板や回路等の材質は種々の変更が可能である。なお本発明でいう「回路」は、配線用の回路パターンの他に、スイッチ接点パターンや固定抵抗パターンやチップコンデンサやチップLED等の各種回路上に接続される各種電子部品をも含む概念である。
第一実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の分解斜視図である。 第一実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の要部斜視図である。 第二実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の分解斜視図である。 第二実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の製造方法説明図である。 第二実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の斜視図である。 第三実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の分解斜視図である。 第三実施形態にかかるリードアウト部付き回路基板の斜視図である。 従来のリードアウト部550近傍部分を示す要部拡大斜視図である。
符号の説明
10 回路基板(リードアウト部付き回路基板)
20 基板
21 メンブレンスイッチ形成部(機能回路基板部)
29 引出部(配線回路基板部)
30 回路
30−1 スイッチ接点パターン
31 接点パターン
32 固定抵抗パターン
35 リードアウト部
40 絶縁層
43 露出部
50 回路基板(別の回路基板)
53 スイッチ接点パターン
60 メンブレンスイッチ
80 補強板
90 接着材層
95 剥離シート
110 フイルム板
120 スイッチ
130 接着材層
140 剥離シート

Claims (7)

  1. 他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターンをその上面に設けてなるリードアウト部を有するリードアウト部付き回路基板において、
    前記回路基板はフレキシブル回路基板であって、前記リードアウト部の裏面には、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介して補強板が貼り付けられていることを特徴とするリードアウト部付き回路基板。
  2. 前記接着材層を構成する樹脂は、少なくとも光硬化性樹脂に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリードアウト部付き回路基板。
  3. 前記フレキシブル回路基板上面の前記接点パターンを除く回路上の少なくとも一部には、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介してフイルム板が貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリードアウト部付き回路基板。
  4. 前記フレキシブル回路基板は、前記回路を配線のみに用いてなる配線回路基板部と、前記回路を配線と配線以外の機能に用いてなる機能回路基板部とを具備し、前記フイルム板は前記接着材層を介して少なくとも前記配線回路基板部の上面を覆うように貼り付けられることを特徴とする請求項3に記載のリードアウト部付き回路基板。
  5. 前記機能回路基板部の上面には別途樹脂材を塗布することで構成される絶縁層が形成されるとともにスイッチ接点パターンを露出する露出部を設け、且つこのフレキシブル回路基板上に別のフレキシブル回路基板を載置することで別のフレキシブル回路基板に設けたスイッチ接点パターンと前記スイッチ接点パターンとを間隙を持って対向させてメンブレンスイッチを構成したことを特徴とする請求項4に記載のリードアウト部付き回路基板。
  6. 前記フイルム板は、前記配線回路基板部の他に、機能回路基板部の上面をも覆うように前記接着材層を介して貼り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のリードアウト部付き回路基板。
  7. 他の部材の電気回路と圧接接続する接点パターンをフレキシブル回路基板上に設けることでリードアウト部を形成するリードアウト部付き回路基板の製造方法において、
    前記リードアウト部の裏面に、少なくとも光硬化性樹脂を含む接着材層を介して補強板を貼り付ける工程と、
    前記接着材層に前記補強板又はフレキシブル回路基板の外面側から光を照射して硬化させることで前記補強板をフレキシブル回路基板に固定する工程とを具備することを特徴とするリードアウト部付き回路基板の製造方法。
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