JP4042886B2 - エポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線板材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル印刷配線板の材料であるフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ及びボンディングシートに好ましく使用される、優れた耐繰り返し屈曲性、接着性、耐熱性、耐湿性を有するエポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ及びボンディングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚ましく、特に通信用・民生用の電子機器の小型化、軽量化、高密度化が進み、これらの性能に対する要求がますます高度なものとなっている。このような要求に対して、フレキシブル印刷配線板は可撓性を有し、繰り返し屈曲に耐える特性を有しているため狭い空間に立体的高密度の実装が可能であり、電子機器への配線、ケーブル、或いはコネクター機能を付与した複合部品としてその用途が拡大しつつある。このフレキシブル印刷配線板は、フレキシブル印刷配線用基板上に常法により回路を作製したものであり、使用目的によっては、この回路の上にカバーレイを被せて保護している。
【0003】
フレキシブル印刷配線用基板は高い耐熱性と優れた電気・機械特性を備えている電気絶縁性の基材フィルムと金属箔とを接着剤を介して積層一体化したもので、このフレキシブル印刷配線用基板に要求される特性としては、接着性、密着性、耐熱性、電気特性、加工性等に優れることが挙げられる。
【0004】
特に近年では、ICチップをフレキシブル印刷配線板に直接搭載したCOF(Chip on Flex)が実用化されたり、CSP(ChipScale Packaging)、MCM(Multi Chip Module)のインターポーザとしてフレキシブル印刷配線基板が採用されるなど、半導体パッケージ構成材料としてのフレキシブル印刷配線基板は耐熱性、耐湿性の更なる向上を求められている。
【0005】
カバーレイは、フレキシブル印刷配線基板の回路保護、屈曲性の向上等の為に設けるものである。カバーレイの種類としては電気絶縁性の基材フィルムの片面に接着剤を塗布したフィルムベースカバーレイ、接着剤層が絶縁層を兼ねるドライフィルムタイプのカバーレイ、液状タイプのカバーレイ等がある。これらカバーレイに要求される特性としては、保存性、密着性、耐熱性、電気特性、加工性等に優れることが挙げられる。
【0006】
ボンディングシートは、離型材の片面に接着剤を塗布したものと別の離型材とを貼り合わせたもので、複数のフレキシブル印刷配線板を貼り合わせて多層フレキシブル印刷配線板を製造する場合やフレキシブル印刷配線板と補強板とを貼り合わせる場合等の接着材料として使用される。このボンディングシートに要求される特性としては保存性、密着性、耐熱性、電気特性、加工性等に優れることが挙げられる
【0007】
従来、これらの要求を満たすべく、フレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料、ボンディングシート、樹脂付き金属箔等の印刷配線板材料に使用される接着剤として、ナイロン/エポキシ樹脂系接着剤、アクリル/フェノール樹脂系接着剤、ポリエステル/エポキシ樹脂系接着剤、ニトリルゴム(NBR)/エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤が提案されているが、繰り返し屈曲性を満足させるためガラス転移温度は低く設計されており耐熱性及び耐湿性において満足なものでは無かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点を解決することを目的として、繰り返し屈曲性に優れると同時に耐熱性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂組成物及びそれを用いたフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料及びボンディングシートを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記性能を同時に満足させるエポキシ樹脂組成物を見いだし本発明を完成した。即ち、本発明は
(1)ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物中の2級アルコール性水酸基の一部又は全部をグリシジル基で置換して得られるエポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、及びフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)を含有し、それらの配合重量比が(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.05〜0.90であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(2)配合重量比が(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.30〜0.70である上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)フェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)がフェノール性水酸基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸とジアミンを反応させて得られたポリアミドオリゴマーを原料とするものであって、該ジアミンとして3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いて得られたものである上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)フェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)が下記式
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4、z=5〜15、l+m=2〜200の整数をそれぞれ示し、m/(l+m)≧0.04である。)
で示される共重合体である上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(5)ビスフェノール型エポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂である上記(1)乃至(4)のいずれか1にに記載のエポキシ樹脂組成物、
(6)硬化剤(b)がフェノール系硬化剤である上記(1)乃至(5)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)硬化後のガラス転移点が80℃以上である上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(8)硬化後のガラス転移点が120℃以上である上記(7)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(9)上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたフレキシブル印刷配線用基板、
(10)上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたカバーレイ、
(11)上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたボンディングシート、
(12)上記(1)乃至(8)の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は特定な構造のエポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、並びにフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)を含有する。
【0013】
本発明で用いるエポキシ樹脂(a)は、ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物中の2級アルコール性水酸基の一部又は全部をグリシジル基で置換して得られたものであれば特に制限はない。ここで用いうるポリフェノール類のグリシジルエーテル化物の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のポリフェノール類のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
【0014】
これらグリシジルエーテル化物のうち、どのグリシジルエーテル化物を用いるかは要求される特性によって適宜選択されるが、ビスフェノールA又はビスフェノールFのグリシジルエーテル化物、即ちビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。更に、これらグリシジルエーテル化物は耐熱性、難燃性付与等必要に応じ1種又は2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0015】
本発明において用いるエポキシ樹脂(a)は、ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物中の2級アルコール性水酸基の一部又は全部をグリシジル基で置換して得られ、例えば次の方法で合成できる。即ち、大過剰量のエピハロヒドリンに上記グリシジルエーテル化物、4級アンモニウム塩、カセイソーダを溶解後反応させることで、そのグリシジルエーテル化物中の2級アルコール性水酸基の一部または全部をグリシジル化する。反応後得られたエポキシ樹脂を必要により洗浄し不純物イオン等を取り除いても良い。
【0016】
本発明で用いられる硬化剤(b)としては、例えば酸無水物、アミン類、フェノール類、イミダゾール類、ジヒドラジン類、ルイス酸、ブレンステッド酸塩類、ポリメルカプトン類、イソシアネート類、ブロックイソシアネート類等が挙げられる。
【0017】
用いうる酸無水物の具体例としては、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0018】
用いうるアミン類の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン、ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類等が挙げられる。
【0019】
用いうるフェノール類の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類等が挙げられる。
【0020】
用いうるイミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等の各種イミダゾール類、及びそれらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類等が挙げられる。
【0021】
これら硬化剤のうち、どの硬化剤を用いるかはエポキシ樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択されるが、好ましくはフェノール類である。
これら硬化剤の使用量はエポキシ樹脂(a)のエポキシ基に対する硬化剤の当量比が通常0.3〜2.0、好ましくは0.4〜1.6、更に好ましくは0.5〜1.3の範囲である。上記硬化剤は2種以上を混合して用いることもできる。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化後のTg(ガラス転移点)は耐熱性、耐湿性、耐プレッシャークッカ性の観点から80℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。この場合のTgとはエポキシ樹脂組成物をフィルム状に成型・硬化したものを動的粘弾性法(DMA法)により測定したときのtanδが極大となる温度である。
【0023】
本発明ではフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)を使用する。これは耐屈曲性、接着性を付与するために必要であり、添加により硬化物にフレキシビリティを付与すると同時にフレキシブル印刷配線板を構成する材料との接着強度を増すことが出来る。本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)に対するフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)の配合重量比は、(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.05〜0.90であるが、好ましくは(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.30〜0.70である。
【0024】
本発明において用いるフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)は、例えば次の方法で合成できる。即ち、フェノール性水酸基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸成分に対して過剰量のジアミンを加え、これらを例えば、亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で縮合剤を使用して、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒中で窒素等の不活性雰囲気下にて加熱攪拌、縮合反応を行って、フェノール性水酸基を含有するポリアミドオリゴマーを生成させる。この結果、得られた両末端がアミノ基となったフェノール性水酸基含有ポリアミドオリゴマー溶液に、両末端にカルボキシル基をもつポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体を添加し、重縮合することにより得ることができる。また、ジカルボン酸をジアミンに対して過剰にして、両末端がカルボン酸基となったポリアミドを合成し、これに対して両末端がアミノ基のポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体を反応させることもできる。更には、これらポリアミドまたはポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体の末端を変性して、ブロック化できる官能基にすることも可能である。このようなカルボキシル基とアミノ基以外の官能基の組み合わせとして、ビニル基と−NH基または−SH基との組み合わせ等が挙げられる。尚、上記ジカルボン酸成分とジアミンは少なくともそのどちらか一方の全部又は一部がフェノール性水酸基を含有していれば良く、この条件を満たす限り、フェノール性水酸基を含有しないジカルボン酸又はジアミンを併用することができる。
【0025】
フェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)に用いうるフェノール性水酸基を有するジカルボン酸の具体例としては、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシフタル酸、3−ヒドロキシフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸等が、又、フェノール性水酸基を有しないジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジカルボキシルナフタレン、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、3,3′−メチレン二安息香酸等が挙げられる。
【0026】
用いうるフェノール性水酸基を含有するジアミンの具体例としては、3,3′−ジアミン−4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ジフロロメタン、3,4−ジアミノ−1,5−ベンゼンジオール、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビスフェニル、3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)メタン等が、又、フェノール性水酸基を含有しないジアミンの具体例としては、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノナフタレン、ピペラジン、ヘキサネチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニル等が挙げられ、3,4′−ジアミノジフェニルエーテルが好ましいが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0027】
また、両末端に種々の官能基を持つポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体は、Goodrich社からHycar CTBNとして市販されており、これらを前記のフェノール性水酸基含有ポリアミドとブロック化するために使用することができる。
【0028】
こうして得られるフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)のうち下記式
【0029】
【化3】
【0030】
(式中、x、y、z、l、m及びnは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4、z=5〜15、l+m=2〜200の整数をそれぞれ示し、m/(l+m)≧0.04である。)
で示される共重合体が好ましい。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を含有させることもできる。この硬化促進剤としては、例えばトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、例えば、トリエチルアミン、テトラエタノールアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン又は2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−メチルピペラジン等の第3級アミン系化合物、例えば1,8−ジアザ−ビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート等のホウ素系化合物が挙げられる。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他の添加物を加えることができる。例えば天然ワックス類、合成ワックス類および長鎖脂肪族酸の金属塩類等の可塑剤、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤、ニトリルゴム、ブタジエンゴム等の応力緩和剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム等の無機難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、ブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤、溶融シリカ、結晶性シリカ、低α線シリカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マグネシア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、フェライト又は希土コバルト、や金、銀、ニッケル、銅、鉛、鉄粉、酸化鉄、砂鉄等の金属粉並びに黒鉛、カーボン、弁柄、黄鉛等の無機質充填剤または導電性粒子、染料や顔料等の着色剤、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイト繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、炭素繊維などの有機系繊維、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、希釈剤、消泡剤、他の各種の樹脂、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)およびフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)、並びに必要に応じ硬化促進剤及びその他の添加剤を溶媒中で均一に混合して得ることができ、下記する接着剤として使用する場合、上記各成分を所定の割合で溶媒中で均一に混合させることによりワニスとする。溶媒としては、例えばトルエン、エタノール、セロソルブ、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量は、エポキシ樹脂組成物の使用目的により、適当な粘度となるように調整することが好ましいが、通常エポキシ樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、50〜200重量部である。
【0034】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化は、主に加熱硬化により行うが、例えば室温前後での触媒や酸素、湿気によって起こる常温硬化、紫外線照射で発生する酸による触媒によって起こる光硬化等を併用することも可能である。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、フレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ、ボンディングシート(以下、これらをあわせてフレキシブル印刷配線板材料という)を構成する接着剤として好ましく使用できる。フレキシブル配線用基板の構成は、電気絶縁性フィルム/接着剤/金属箔からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に10〜20μmであるが、使用状況等により適宜決められる。カバーレイの形態としては基材フィルムの片面に接着剤を塗布したフィルムベースカバーレイが主流である。フィルムベースカバーレイの構成は、電気絶縁性フィルム/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に15〜50μmであるが、使用状況等により適宜決められる。この他、カバーレイの形態としてはドライフィルムタイプ、液状タイプ等がある。ドライフィルムタイプのカバーレイは離型材/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤層が絶縁層も兼ねる。接着剤の厚さは一般に25〜100μmであるが、使用状況等により適宜決められる。液状タイプのカバーレイはコーティング、硬化により絶縁層を形成するものである。ボンディングシートの構成は、離型材/接着剤/離型材からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に15〜50μmであるが、使用状況等により適宜決められる。
【0036】
本発明のフレキシブル印刷配線用基板及びカバーレイにおいて使用可能な電気絶縁性フィルムの具体例としては、ポリイミドフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム、アラミドフィルム等が挙げられ、なかでも耐熱性、寸法安定性、機械特性等からポリイミドフィルムが好ましい。フィルムの厚さは通常12.5〜75μmであるが、必要に応じて適宜決められる。また、これらのフィルムの片面もしくは両面に、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等の表面処理を施してもよい。
【0037】
本発明で使用可能な金属箔の具体例としては、電解銅箔、圧延銅箔、アルミニウム箔、タングステン箔、鉄箔等が挙げられ、一般的には、加工性、屈曲性、電気伝導率等から電解銅箔及び圧延銅箔が用いられる。金属箔の厚さは一般的に18〜70μmであるが、使用状況等により適宜決められる。
【0038】
本発明で使用可能な離型材の具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリオレフィンの耐熱性フィルム(TPXフィルム;例えばオピュラン、三井化学(株)製)、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、シリコーン離型剤付きポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びPEフィルム、ポリエチレン樹脂コート紙、ポリプロピレン樹脂コート紙及びTPX樹脂コート紙等が挙げられ、離型材の厚さは、フィルムベースのもので13〜75μm、紙ベースのもので50〜200μmが好ましいが、必要に応じて適宜決められる。
【0039】
以下、上記したフレキシブル印刷配線板材料の製造方法について述べる。本発明のフレキシブル印刷配線用基板の製造方法は、予め調製された本発明のエポキシ樹脂組成物からなるワニス(接着剤)を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて前記電気絶縁性フィルムに塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤層を設けた電気絶縁性フィルムに金属箔を熱ロールにより熱圧着させて連続的に張り合わせた後、アフターキュアを行う。圧着条件は、通常温度80〜200℃、線圧10〜500N/cm、速度0.5〜10m/minである。アフターキュアは通常80〜200℃で0.5〜10時間の範囲で行う。
【0040】
本発明のフィルムベースカバーレイの製造方法は、予め調製された本発明のエポキシ樹脂組成物からなるワニス(接着剤)をロールコーター、コンマコーター等を用いて前記電気絶縁性フィルムに塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付きフィルムの接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で15〜50μmであればよい。
【0041】
本発明のドライフィルムタイプのカバーレイの製造方法は、予め調製された本発明のエポキシ樹脂組成物からなるワニス(接着剤)を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて離型材に塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付き離型材の接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で25〜100μmであればよい。
【0042】
本発明の液状タイプのカバーレイは、予め調製された本発明のエポキシ樹脂組成物からなるワニス(接着剤)をコーティング方法に適した粘度に調整して得られる。
【0043】
本発明のボンディングシートの製造方法は、予め調製された本発明のエポキシ樹脂組成物からなるワニス(接着剤)を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて離型材に塗布する。これをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去して接着剤層を形成する。この接着剤付き離型材の接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で15〜50μmであればよい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を以て本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、%および部は、特記しない限り重量基準である。また、エポキシ当量、水酸基当量の単位はg/eqである。
【0045】
合成例1
ポリアミドA(フェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体)の合成。
イソフタル酸19.93g(120ミリモル)、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル30.63g(153ミリモル)、5−ヒドロキシイソフタル酸3.64g(20ミリモル)、塩化リチウム3.9g、塩化カルシウム12.1g、N−メチル−2−ピロリドン240ml、ピリジン54mlを1リットルの4ツ口丸底フラスコの中に入れ、攪拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル74gを加えて、90℃で4時間反応させて、フェノール性水酸基含有ポリアミドオリゴマーを生成させた。これに両末端にカルボキシル基を持つポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(Hycar CTBN、BF Goodrich製。ポリブタジエン−アクリロニトリル部に含有するアクリロニトリル成分が17モル%で、分子量が約3600)48gを240mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解した液を加えて、更に4時間反応させた後、室温に冷却、この反応液をメタノール20リットルに投入して本発明に使用するポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体部の含有量:50%、フェノール性水酸基を約14モル%含有)を析出させた。この析出ポリマーを更にメタノールで洗浄し、更にメタノール還流して精製した。このポリマーの固有粘度は0.85dl/g(ジメチルアセトアミド、30℃)であった。ポリマー粉末を拡散反射法により赤外スペクトルを測定したところ、1674cm-1にアミドカルボニル基を、2856−2975cm-1にブタジエン部分のC−H結合に基づく吸収を、2245cm-1にニトリル基に基づく吸収を認めた。
【0046】
合成例2
エポキシ樹脂C(ビスフェノールA型エポキシ樹脂中のアルコール性2級水酸基をグリシジル基で置換したエポキシ樹脂)の合成
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポミックR302(三井化学株式会社製) 1400gと4級アンモニウム塩:テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC) 10gをエピクロルヒドリン 3.45Lに溶解させた後撹拌下35℃でフレーク状カセイソーダ 300gを100分かけて添加した。添加後さらに40℃で2時間反応を行った。反応終了後、水洗を行い油水分離後、油層より過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し反応生成物をメチルイソブチルケトン5Lに溶解させ、さらに30%NaOH86ml加え70℃で1時間反応させた。反応終了後、水洗を2回行い、油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量325、軟化点68℃のエポキシ樹脂C 1530gを得た。
【0047】
合成例3
エポキシ樹脂D(ビスフェノールF型エポキシ樹脂中のアルコール性2級水酸基をグリシジル基で置換したエポキシ樹脂)の合成
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:エピコート4002P(油化シェルエポキシ(株)製) 180gと4級アンモニウム塩:テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC) 1.3gをエピクロルヒドリン 540mlに溶解させた後撹拌下45℃でフレーク状カセイゾーダ 50gを100分かけて添加した。添加後さらに45℃で1.5時間反応を行った。反応終了後、水洗を行い、油水分離後、油層より過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し反応生成物をメチルイソブチルケトン600mlに溶解させ、さらに30%NaOH15ml加え70℃で1時間反応させた。反応終了後水洗を2回行い、油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量345、軟化点69℃のエポキシ樹脂D 200gを得た。
【0048】
実施例1
(フレキシブル印刷配線用基板の実施例)
表1の実施例1の欄に示す組成物(数値は重量比、以下実施例2〜6、比較例1、2においても同様)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1重量部に対しMEK(メチルエチルケトン)1重量部の混合溶媒に溶解して50重量%の樹脂溶液(本発明のエポキシ樹脂組成物)を調製した。硬化剤の配合量は当量比で1.0とした。次に厚さ25μmのカプトンフィルム(商品名、東レ・デュポン社製、ポリイミドフィルム)上に、前記樹脂溶液をロールコーターを用いて、乾燥後の厚さが18μmとなるように塗布し、120℃、10分の乾燥条件で溶剤を除去し接着剤層を形成した。接着剤層は、カプトンフィルムを湾曲させても割れ、欠け、剥がれを生じたりせず、十分な強度とフレキシビリティを有していた。この半硬化状態の接着剤付きカプトンフィルムの接着剤面に厚さ35μmのBHN箔(商品名;ジャパンエナジー社製圧延銅箔)の処理面を温度 100℃、線圧2kg/cmの条件で圧着した。次いでこれを160℃×2時間加熱処理を行い、接着剤を硬化させて本発明のフレキシブル印刷配線用基板を得た。このようにして得られたフレキシブル印刷配線用基板を評価用のサンプルとして、その物性を評価し結果を表2に示した。尚、表1中のポリアミド樹脂配合重量比は、(c)/{(a)+(b)+(c)}を表す。
【0049】
(フィルムベースカバーレイの実施例)
表1の実施例1の欄に示す組成物をNMP1重量部に対しMEK1重量部の混合溶媒に溶解して50重量%の樹脂溶液を調製した。次に厚さ25μmのカプトンフィルム(商品名、東レ・デュポン社製、ポリイミドフィルム)上に前記樹脂溶液をロールコーターを用いて、乾燥後の厚さが35μmとなるように塗布し、100℃、10分の乾燥条件で溶剤を除去し接着剤層を形成した。接着剤層は、カプトンフィルムを湾曲させても割れ、欠け、剥がれを生じたりせず、十分な強度とフレキシビリティを有していた。この接着剤層付きカプトンフィルムの接着剤面にシリコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコート紙を熱圧着して本発明のフィルムベースカバーレイを得た。この様にして得られたフィルムベースカバーレイについて評価用のサンプルを作成し、その物性を評価し結果を表3に示した。
【0050】
(ドライフィルムカバーレイの実施例)
表1の実施例1の欄に示す組成物をNMP1重量部に対しMEK1重量部の混合溶媒に溶解して50重量%の樹脂溶液を調製した。次に前記樹脂溶液をシリコーン処理を行ったPETフィルム(厚さ25μm)上に、乾燥後の厚さが75μmとなるようにロールコーターで塗布し、100℃、10分の加熱乾燥条件で溶剤を除去し、樹脂分(接着剤)を半硬化状態とした。この半硬化状態の接着剤付きPETフィルムの接着剤面にシリコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコート紙(厚さ130μm)を熱圧着して本発明のドライフィルムカバーレイを得た。このようにして得られたドライフィルムカバーレイについて評価用のサンプルを作製し、その物性を評価し結果を表4に示した。
【0051】
(液状カバーレイの実施例)
表1の実施例1の欄に示す組成物をNMP1重量部に対しMEK1重量部の混合溶媒に溶解して50重量%の樹脂溶液を調製した。このようにして得られた本発明の液状カバーレイについて評価用のサンプルを作製し、その物性を評価し結果を表5に示した。
【0052】
(ボンディングシートの実施例)
表1の実施例1の欄に示す組成物をNMP1重量部に対しMEK1重量部の混合溶媒に溶解して50重量%の樹脂溶液を調製した。次にこの樹脂溶液をシリコーン処理を行ったPETフィルム(厚さ25μm)上に、乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターで塗布し、100℃、10分の加熱乾燥条件で溶剤を除去し、樹脂分(接着剤)を半硬化状態とした。この半硬化状態の接着剤付きPETフィルムの接着剤面にシリコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコート紙(厚さ130μm)を熱圧着して本発明のボンディングシートを得た。このようにして得られたボンディングシートについて評価用のサンプルを作製し、その物性を評価し結果を表6に示した。
【0053】
実施例2〜6、比較例1、2
(フレキシブル印刷配線用基板の実施例)
表1の実施例2〜10及び比較例1、2の各欄に示す組成物を用いた以外は実施例1と同様に行いフレキシブル印刷配線用基板を作成した。このフレキシブル印刷配線用基板の物性の評価結果を表2に示した。
【0054】
(フィルムベースカバーレイの実施例)
表1の実施例2〜10及び比較例1、2の各欄に示す組成物を用いた以外は実施例1と同様に行いフィルムベースカバーレイを作成した。このフィルムベースカバーレイの物性の評価結果を表3に示した。
【0055】
(ドライフィルムカバーレイの実施例)
表1の実施例2〜10及び比較例1、2の各欄に示す組成物を用いた以外は実施例1と同様に行いドライフィルムカバーレイを作成した。このドライフィルムカバーレイの物性の評価結果を表4に示した。
【0056】
(液状カバーレイの実施例)
表1の実施例2〜10及び比較例1、2の各欄に示す組成物を用いた以外は実施例1と同様に行い液状カバーレイを作成した。この液状カバーレイの物性の評価結果を表5に示した。
【0057】
(ボンディングシートの実施例)
表1の実施例2〜10及び比較例1、2の各欄に示す組成物を用いた以外は実施例1と同様に行いボンディングシートを作成した。このボンディングシートの物性の評価結果を(表6)に示した。
【0058】
尚、実施例、比較例のおける評価用サンプルの作成方法及び物性の評価方法は以下のとおり
・評価用サンプルの作成方法
(DMA測定用サンプル)
離型剤を塗布したアルミニウム板上に、実施例及び比較例で作製した樹脂溶液を乾燥膜厚が80μm程度になるようにアプリケータで塗布した。これを120℃、10分の乾燥条件で溶剤を除去し、その後160℃×2時間硬化した。アルミニウム板から硬化塗膜を剥がし、5mm幅にカットしたものをDMA測定用サンプルとした。
(フレキシブル印刷配線用基板)
実施例及び比較例で作製したフレキシブル印刷配線用基板をそのまま評価用サンプルとした。なお評価項目は剥離強度、半田耐熱試験、長期加熱後の剥離強度、プレッシャークッカ試験(PCT)後の剥離強度とした。
(カバーレイ評価用フレキシブル印刷配線板)
実施例1で作製したフレキシブル印刷配線用基板にJIS C6471に準拠した1mm幅の回路を定法(スクリーン印刷→銅エッチング)により作成したものを、以下のカバーレイ評価用フレキシブル印刷配線板として用いた。
(フィルムベースカバーレイ)
フィルムベースカバーレイの離型材を剥がし、カバーレイ評価用フレキシブル印刷配線板と160℃×5MPaの条件で30分間加熱圧着したものを評価用サンプルとして用いた。なお評価項目は半田耐熱試験、MIT耐折性試験、回路埋め込み性とした。
(ドライフィルムカバーレイ)
ドライフィルムカバーレイの離型材を片面剥がし、カバーレイ評価用フレキシブル印刷配線板と160℃×5MPaの条件で30分間加熱圧着し、最後に反対面の離型材を剥がしたものを評価用サンプルとして用いた。なお評価項目は半田耐熱試験、MIT耐折性試験、回路埋め込み性とした。
(液状カバーレイ)
カバーレイ評価用フレキシブル印刷配線板にアプリケータを用いて乾燥膜厚40μmとなるように液状カバーレイを塗布、100℃、10分乾燥した後、160℃で30分間加熱硬化したものを評価用サンプルとして用いた。なお評価項目は半田耐熱試験、MIT耐折性試験、回路埋め込み性とした。
(ボンディングシート)
ボンディングシートの片側の離型材を剥がし、厚さ35μmのBHN箔(前出)の光沢面にボンディングシートの接着剤塗布面を仮止めする。次にもう片側の離型材を剥がし、この接着剤塗布面に厚さ25μmのカプトンフィルムをのせ、カプトンフィルム/ボンディングシート(離型材除去品)/BHN箔の光沢面という構成で、160℃×5MPaの条件で30分間加熱圧着したものを評価用サンプルとして用いた。なお評価項目は剥離強度、半田耐熱試験、長期加熱後の剥離強度、プレッシャークッカ試験(PCT)後の剥離強度とした。
【0059】
・評価用サンプルの物性評価方法
▲1▼Tg(DMA法):前記DMA測定用サンプルを動的粘弾性測定装置(セイコーインストゥルメンツ製:DMS−100)にて測定した。測定温度範囲は20〜300℃、測定条件は昇温2℃/分、測定周波数は10Hz、測定モードはずりモードにて行い、tanδが極大となる温度をTgとした。測定結果を表1に示した。
▲2▼剥離強度:評価用サンプルを10mm幅にカットしたものをテンシロン試験機(東洋ボールドウィン製)を用いて90゜方向に50mm/minで銅箔側から引き剥がしその強度を測定した。
▲3▼半田耐熱試験:JIS C6471に準拠した。20℃、60%RHで24時間処理を行ったサンプルを25mm角にカットし、これを350℃半田浴上に30秒間浮かべた後、外観を目視により検査した。この際膨れ、剥がれ等の有無について確認した。
尚、評価結果は○:膨れ、剥がれなし ×:膨れ、剥がれありの基準で表中に示した。
▲4▼長期加熱後の剥離強度:剥離強度測定用サンプルを150℃×240時間加熱処理した後、剥離強度を測定した。
▲5▼プレッシャークッカ試験(PCT)後の剥離強度:剥離強度評価用サンプルを121℃、2気圧で20時間処理した後、剥離強度を測定した。
▲6▼MIT耐折性試験:JIS P8115に準拠した。前記評価用サンプルを10mm幅にカットしたサンプルについてMIT試験機(安田精機製作所製)による屈曲試験を行った。先端屈曲経0.38mmR、荷重0.5kgの条件で屈曲試験を行いクラック、浮き、剥がれ等の生じる回数を記録した。外観を目視により検査した。
▲7▼回路埋め込み性:カバーレイ評価用印刷配線板の回路を40倍実体顕微鏡で観察し、銅回路のカバーレイの接着剤の回路中における埋め込み性を見た。
尚、評価結果は○:埋め込み不良なし ×:埋め込み不良ありの基準で表中に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
尚、表1において略号は下記のものを示す。
エポキシ樹脂A:エポミックR−302(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三井化学株式会社製;エポキシ当量650)
エポキシ樹脂B:EOCN1020(フェノールノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製;エポキシ当量210)
エポキシ樹脂C:合成例2による。(エポキシ当量325、軟化点68℃)
エポキシ樹脂D:合成例3による。(エポキシ当量345、軟化点69℃)
硬化剤A:PN−80(フェノールノボラック樹脂;日本化薬株式会社製;水酸基当量:105)
促進剤A:トリフェニルホスフィン
NBR:ニポール1072(ニトリルゴム;アクリロニトリル含有率約27%、カルボキシル基含有率0.075%;日本ゼオン社製)
ポリアミドA:合成例1による。
【0067】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた接着性、半田耐熱性等を保持し、且つ長期間高温、高湿条件下に曝した後でも諸物性が良好であり、本発明のエポキシ樹脂組成物を使用したフレキシブル印刷配線板の信頼性は極めて高いものとなる。
Claims (12)
- ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物中の2級アルコール性水酸基の一部又は全部をグリシジル基で置換して得られるエポキシ樹脂(a)、硬化剤(b)、及びフェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)を含有し、それらの配合重量比が(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.05〜0.90であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 配合重量比が(c)/{(a)+(b)+(c)}=0.30〜0.70である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- フェノール性水酸基含有ポリアミド−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体(c)がフェノール性水酸基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸とジアミンを反応させて得られたポリアミドオリゴマーを原料とするものであって、該ジアミンとして3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いて得られたものである請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- ビスフェノール型エポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1乃至4のいずれか1にに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤(b)がフェノール系硬化剤である請求項1乃至5の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化後のガラス転移点が80℃以上である請求項1乃至6の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化後のガラス転移点が120℃以上である請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたフレキシブル印刷配線用基板。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたカバーレイ。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いたボンディングシート。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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