JP2004188720A - 液体収納容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】負圧の安定化に対してより高い信頼性が得られるとともに、液体漏れが生じない液体収納容器を提供する。
【解決手段】液体の収納空間を画成するとともに液体供給に伴って変位する可動部材を有する液体収納室10と、外部からの収納空間内部への気体の導入を許容し、かつ収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁30と、一方向弁から導入された気体を収納空間に導く導入路17と、を具えた構成にあって、導入路の給気口17Aが、使用時の姿勢において収納空間の上部に位置しているようにする。これにより、液体を消費しきるために内部の負圧をほぼ一定に保つことが可能となると共に、液体収納容器内における負圧を適切な値に保つための空気導入も液体収納容器内の気相部分で行われるため、インクの漏れ等も発生せず、また確実な空気導入が可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】液体の収納空間を画成するとともに液体供給に伴って変位する可動部材を有する液体収納室10と、外部からの収納空間内部への気体の導入を許容し、かつ収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁30と、一方向弁から導入された気体を収納空間に導く導入路17と、を具えた構成にあって、導入路の給気口17Aが、使用時の姿勢において収納空間の上部に位置しているようにする。これにより、液体を消費しきるために内部の負圧をほぼ一定に保つことが可能となると共に、液体収納容器内における負圧を適切な値に保つための空気導入も液体収納容器内の気相部分で行われるため、インクの漏れ等も発生せず、また確実な空気導入が可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、記録部としてのペンあるいは記録ヘッドや記録装置などの液体使用装置に、インクなどの液体を無駄なくかつ安定して供給するための液体収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へと液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置には、記録媒体に対し記録ヘッドを移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うものや、これとは逆に固定した記録ヘッドに対し記録媒体を移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うもの等がある。
【0003】
かかるインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに一体不可分にまたは分離可能にインクタンクが取り付けられ、このインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにしたオンキャリッジ方式と称されるものがある。また、キャリッジ上に搭載される記録ヘッドとは別体に、インクタンクを記録装置の他の部位に固定的に据え付け、可撓性チューブを介してインクタンクと記録ヘッドとを連結してインクを供給するチューブ供給方式と称されるものがあるが、ここにはインクタンク(メインタンク)と記録ヘッドとの中間タンク(サブタンク)として機能する第2のインクタンクが記録ヘッドないしキャリッジ上に搭載されて、この第2のインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにした形態のものも含まれる。
【0004】
これらの方式にあって、記録ヘッドに直接的にインクを供給するインクタンクには、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生させる機構が設けられる。
【0005】
かかる負圧発生機構としては、インクを含浸保持するスポンジ等の多孔質部材をインクタンク内に収納し、そのインクの保持力によって適切な負圧を生じさせるものがある。
【0006】
また、弾性力をもち、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の材料で形成させた袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものもある。
【0007】
さらに、可撓性のフィルムで袋状部材を形成し、その内部または外部に、袋状部材が容積を拡張する方向にフィルムを付勢するばね等を接合することにより、負圧を発生させるようにしたものもある。
【0008】
しかしながら、上記いずれの機構においても、インクタンク内のインク残量が少なくなってくるに伴って負圧は強くなる傾向を持ち、その負圧レベルが所定値を超えると、記録ヘッドに対しインクを安定して供給することができなくなる。その結果、インクを完全に消費しきらない内にインクタンクが使用に耐えなくなってしまう問題がある。
【0009】
そこで、負圧レベルが所定の水準よりあまり大きくならないようにするために、次のような幾つかの機構が提案されている。
【0010】
例えば、特許文献1あるいは特許文献2では、タンクに疎水性膜と管状の通気口とを設け、さらにその管内に球体を配設することによって、内部の負圧が増大した際に、タンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。すなわち、これら公報においては、外部から容器内に連通する管状の通気口(ボス)を具備し、外径がボスの内径より小さい球体をボス内壁に設けた複数の突起リブに取り付けることで、球体とボスとで略環状のオリフィスを形成する構成が開示されている。かかるオリフィスは、インクの毛管現象が少量のインクを液体シールとしてオリフィス内に保持するような大きさに選定される。また、容器内負圧が記録ヘッドの動作範囲の限界に近づくときに、その負圧がインクの毛管現象に打ち勝ち、液体シールが無効とされるような形状とされている。すなわち、このときに外気が容器内に気泡として入り込むことで、一定レベル以上になった内部負圧が緩和されるものである。
【0011】
また、特許文献3では、可撓性シートでなるインク袋内に穴付き板と突起付き板とを対向配置するとともにそれらの間にばね部材を配設し、インク残量が減ってインク袋が縮み、内部負圧が所定値を超えるところで突起が穴に挿入して、穴付き板と可撓性シートとを剥離させてタンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。そしてこの機構では、空気の取り込みが行われると穴付き板と可撓性シートとが密接し、その間のインクのメニスカス保持力、換言すれば液体シールによってインク漏洩を防止するものである。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−125240号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平7−125241号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平6−183023号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法においては、空気を取り込む部分に複数の部品を要し、その箇所における構造の複雑化を伴っていた。
【0016】
また、図1(a)に示すように、収納容器T内に中に空気がある程度導入された状態で環境変化(外気圧の低下や温度上昇など)によって容器内の圧力が極端に高くなった場合には、図1(b)に示すように、容器内からインクが押し出され、インクジェット記録ヘッドに適用する場合にあってはインク吐出口Nや通気口Aを通じてインクが漏れることがある。可撓性シートでなる袋状部材に液体を収納した場合には、空気の減圧膨張分を許容して内部圧力の上昇を緩和するためのある程度のバッファ効果は期待できるが、それにも限界がある。
【0017】
そこで、特許文献2あるいは特許文献3では、タンク下部に迷路状の通路を設け、その部分に内部圧力上昇であふれるインクを移動させておく方法が開示されている。この方法は効果的であるが、迷路状通路を形成させることにより構造が一層複雑化し、また迷路状の通路の他端が常に大気と連通しているので、ある程度のインク蒸発は免れ得ない。
【0018】
さらに、これらの従来例では、インクタンクに直接に大気を導入する開口部を設けているために、その開口部の大きさや設置場所によっては、インクタンク内のインクがほとんど消費されてインクタンク内のインクがなくなる付近においては、相対的にタンク内の気体の量が多くなり、大気導入による負圧解消時にインク吐出口や開口部(通気口)におけるメニスカス維持が不完全となる場合があり、インク漏れや、これに伴う大気導入の不完全性につながる恐れがある。
【0019】
特に開口部(通気口)が内部のインクに直接に触れている構成の場合には、開口部からのインク漏れを防ぐため、この開口部の開口面積や開口形状の管理を正確に行う必要が生じる。
【0020】
加えて、容器内外の気圧差、温度の上昇や下降、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度など、種々の条件により液体シールが破られ、内部の圧力が所定値にならなくても空気が導入されてしまったり、逆にインクが漏出してしまう不都合が生じる。また、これらの条件は記録ヘッドやインクタンクの設計あるいはインクの物性等によって種々変わり得るものであり、また、使用する形態に合わせて開口部の形状や寸法、あるいは負圧発生機構の基本構成等に応じて、それぞれ設計の適正化が必要となるという問題もある。
【0021】
また、特許文献3に開示の技術では、薄い板状部材と可携性シートとの微小な隙間から空気を導入する構造であるため、その隙間に液体が侵入した場合に生じる毛管力により上記剥離を行わせるため力が変化し、その結果、空気導入を行うときの負圧が安定しないという問題もあった。
【0022】
以上のことから、本発明者らは、液体収納容器内に空気を導入するにあたり、液体に接する部分には当該導入用開口部をなるべく設けないようにすることが上記の問題に対して有効であるととらえ、更にこのことにより、開口部が液体に接しなければ、その開口面積や開口形状など厳密に規定する必要はなく、設計への自由度も増すことを見出し、本発明に至った。
【0023】
本発明は、以上に鑑み、液体収納容器内において強まった負圧を解消するための収納容器内への空気の導入を、収納容器内の適切な位置で行うようにすることで、負圧の安定化に対してより高い信頼性が得られるとともに、急激な環境変化に対しても液体漏れが起きないようになし、ひいては無駄な液体消費が生じないようにした液体収納容器(インクタンクなど)およびこの液体収納容器を用いた液体使用装置(インクジェット記録装置など)を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明液体収納容器は、少なくとも一部に液体の収納空間を画成するとともに前記液体の外部への供給に伴って変位する可動部材と、当該収納された液体を外部に供給する液体供給口とを有する液体収納室と、
外部からの前記収納空間の内部への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁と、
前記一方向弁と前記収納空間との間を結合して前記導入された気体を前記収納空間に導く導入路と、
を具え、該導入路の前記収納空間側にある給気口が、使用時の姿勢において前記収納空間内の上部に位置してなることを特徴とする。
【0025】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0026】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「用紙」または単に「紙」ともいうものとする。
【0027】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供される液体を言うものとする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0029】
なお、以下においては、本発明をインクジェット記録装置に適用した諸実施形態について説明する。すなわち、液体収納容器はインクジェット記録ヘッドに供給するインクを収納するものであり、よって以下の説明では「液体」を「インク」と表現することもある。特に、色材を含むインクに対して本発明は有効であり、顔料を成分に有するインクに対しては、一層優れたインク供給性を確保できるので、より好ましいものである。
【0030】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態で用いる液体収納容器であり、液体収納容器1にインクジェット記録ヘッド20(以下、単に「記録ヘッド」と称する)が一体に取り付けられている。ここで液体収納容器(以下、「インク収納容器」とも言う)は、概してインク収納空間10Aが画成されるインク収納室10と、使用時の状態(図示の状態)においてインク収納室の上方に位置する弁室30との2室からなり、その両室は空気導入路17で互いに内部が連通されている。そして、インク収納室10内には記録ヘッド20から吐出させるためのインクが充填され、記録ヘッド20に供給される。ここで、空気導入路17は使用時の状態においてインク収納室の上方に位置していることにより、空気の出口となる給気口17Aもインク収納室内の上部に位置することになる。
【0031】
なお、記録ヘッド20におけるインクの吐出方式は特に限定されず、例えば、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出させることができる。
【0032】
インク収納室10の一部には、可動部である可動部材11が配設されており、この部分と外装13との間でインクを収納する空間を画成している。この可動部材11から見たインク収納空間10Aに対する外側空間、すなわち図における可動部材11に対して右側の空間は、大気連通口12によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間10A内には、下方に設けられているインク供給口18および弁室30との間の空気導入路17を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
【0033】
外装13は、上記のインク収納空間10Aを画成するとともに、可動部材11を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。本例の可動部材11は変形可能な可撓性膜(シート部材)によって形成され、その中央部分は平板状の支持部材である支持板14によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、この可動部材11は、その中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。この可動部材11は、後述するように、インク収納空間10A内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、可動部材11の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、その可動部材11の中央部分がほぼ垂直姿勢を保ったまま、図の左右方向に平行移動する。このように可動部材11がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
【0034】
またインク収納空間10A内には、支持板14を介して可動部材11を図の右方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッド20のインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材15が設けられている。なお、図2の状態は、インク収納空間10A内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材15は圧縮された状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。
【0035】
記録ヘッド20とインク収納室10との結合は、記録ヘッドに設けられている供給管21がインク収納室10内に挿入されることによってなされる。これによって両者が流体的に結合され、記録ヘッド20へインクが供給可能となる。なお、この供給管21の周囲にはシール部材24が取り付けられることで、供給管21とインク収納室10との密着を確実なものにしている。また、供給管21の内部にはフィルタ23が備えられ、供給されるインク中に混入した不純物が記録ヘッド20内へ流れ込んでいくことを防止している。
【0036】
次いで弁室30について説明する。弁室30は空気導入路17を介してインク収納空間10Aとの間で内部が連通している。本例においては、空気導入路17の形成部材に内径0.2mmのステンレス製パイプを用いている。さらに、空気導入路17の外周部周囲の密閉性を向上させるために、ステンレス製パイプの周囲にゴム製のシール部材38が取り付けられている。
【0037】
弁室30には、一方向弁の構成要素である開口部36を有して弁閉鎖部材となる弁閉鎖板34と、開口部36を密閉する弁シール部材37とを設けてあり、さらに弁閉鎖板34は可撓性シート31と接合されて、開口部36が弁閉鎖板34および可撓性シート31とを貫通している。さらに、この弁室30内においても空気導入路17および開口部36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そして可撓性シート31より図中上側の空間は大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。そして弁室30の外装33は、可撓性シート31を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。
【0038】
また、この可撓性シート31も、中央部分の弁閉鎖板と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっており、中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖板34の上下動が円滑に行われる。
【0039】
弁室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、弁規制ばね35を設けてある。ここでも弁規制ばね35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって弁閉鎖部材34を図の上方に押す構成としている。この弁規制ばね35の伸縮によって、開口部36に対する弁シール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から開口部36を介して弁室内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
【0040】
ここで弁シール部材37としては、開口部36が確実に密閉されるものであればよい。すなわち、少なくとも開口部36と接触する部位が開口面を確実にシールする形状を有していれば足り、密着状態が確保できるものであれば材質は特に限定されない。しかし、この密着は弁規制ばね35の伸長力で達成されるものであるので、この伸長力の作用によって動く可撓性シート31と弁閉鎖板34に追随しやすいもの、すなわち収縮性をもつゴムのような弾性体で弁シール部材37を形成することは、より好ましい。
【0041】
図3(a)〜(e)を用い、以上の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0042】
図3(a)はインク収納空間内にインクが十分に満たされている状態を示す。このときには、ばね部材15が圧縮された状態であるためにその圧縮変位量に従った伸長力(圧縮による反力)が支持板14を介して可動部材11に作用する。また、このときの伸長力の向きは図2の右側方向、すなわちばね部材15が伸長する方向に働き、このときにインク収納空間10A内で作用している圧力は、室の内側に向かって作用する。すなわち、ここで作用している圧力は、インクを内部に引き込む方向であることから、大気圧を「0」とすれば負の符号を有する値(負圧)となる。
【0043】
このように負圧がインク収納空間内で作用していることによって、記録ヘッド20内におけるインク吐出用のノズルのメニスカスに対しても負圧が作用し、記録ヘッド20に設けられているインク吐出口からのインクの漏出が防止される。
【0044】
一方、この状態のときに弁室30内においては、開口部36が弁シール部材37によって密閉された状態となるようにしている。また、この弁室30内における圧力は、インク収納空間10Aとの間にある空気導入路17を介して、前述の負圧が作用する。しかし、この弁室30内でも弁規制ばね35の伸長力が働いており、内部の負圧に対して、弁規制ばね35と弁閉鎖板34とによる負圧に逆らう力が大きくなっている状態を維持していることで一方向弁の密閉が保たれる。
【0045】
さらに記録ヘッド20からのインク吐出が進行し、インク収納空間10A内のインク残量が減少していくが、これに伴ってインク収納空間10A内の負圧も強まっていく。
【0046】
図4はインク収納空間10A内の負圧とインク残量との関係を示す。図3(a)の状態からインク消費が続くと図3(b)の状態となり、インク量の減少に伴って密閉空間であるインク収納空間10A内の体積も実質的に減少していき、これに従い可動部材11は図の左方へ向かっていく。この可動部材11の変位に従って支持板14も左方に向かい、ばね部材15も圧縮が進行していく。このばね部材15の圧縮の進行はその伸長力の増大を意味し、負圧も図4のa点からb点まで強まっていく。
【0047】
この図3(b)の状態からさらにインク消費が進行することによって、可動部材11の位置もさらに左方へ変位して行き、図3(c)の状態となる。これによりインク収納室10内の負圧もさらに強まり、負圧も図4におけるc点まで変化する。この状態においては、インク収納室10内の負圧と、弁室30内における弁規制部材34によって作用する力とがつりあう。
【0048】
ここまでで、弁規制ばね35による弁シール部材37の圧接状態が変化しないことから、このあともインク消費が継続されて負圧がさらに強まっていけば、弁規制ばね35による力では弁室30内の開口部36を弁シール部材37で密閉しきれなくなって行く。これはすなわち図3(d)の状態であり、また図4のd点の負圧変化である。この関係に至った瞬間に、開口部36のシール部材37による密閉が解除される。
【0049】
この結果、図3(d)の矢印で示されるように開口部36からの空気の流入が上から下方向へと生じ、さらに空気導入路17を介し、その下方端部にある空気導入口17Aによりインク収納空間10A内に取り込まれていく。この大気の取り込みによって減少していったインク収納空間10A内の容積は増大して行き、同時に、強まっていった負圧は逆に弱まる方向に進んでいく。これに伴い、弁室30内においては、開口部36と弁シール部材37とが再び密着する。これはすなわち図3(e)の状態であり、図4のd点からe点への負圧変化である。
【0050】
この後に、さらにインクが消費されていくと、図3(d)の状態と図3(e)の状態との間を推移することになり、図4のe点以降に示したように負圧の変化は非常に小さくなり、ほぼ一定の負圧値を保ってインク消費が進んで行く。すなわち、このようにインクを消費し続けていっても、図3(d)の状態と図3(e)の状態とが繰り返されるので、ある程度までインクが消費された後は、インク収納空間10A内の負圧は必要以上に強まることはなく、安定した吐出状態を維持しつつ、インク収納空間10A内のインクを最後まで使い切ることが可能となる。
【0051】
以上のように、インク収納室10に対して弁室30が上方に位置することによって、弁室からインク収納室へと空気を流す空気導入路の開口部が、インク収納室の上方に存在する。これにより、空気の流れはインク中を通ることなく、空気部分のみで行われる。このため、負圧調整のための空気の取り込みも確実に、安定してなされることになる。また、インク中に気泡を発生させることもないので、気泡が記録ヘッド20側に移送されてしまうような不都合を防止できる。
【0052】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、使用時の姿勢においてインク収納室の上方に弁室が位置する構成であったが、それらの位置関係によらず、空気導入路を適切に構成することで所期の目的を達成することができる。
【0053】
図5は本発明の第2の実施形態で用いる液体収納容器であり、液体収納容器2に第1の実施形態と同様の記録ヘッド20が一体に取り付けられている。ここで液体収納容器(以下、「インク収納容器」とも言う)は、概してインク収納空間40Aが画成されるインク収納室40と、弁室30と、空気導入路収納室50との3室からなり、インク収納室40と弁室30とは空気導入路収納室50内に配設された空気導入路51を介して内部が連通されている。そして、インク収納室40A内には記録ヘッド20から吐出させるためのインクが充填され、記録ヘッド20に供給される。なお、本例で用いられている弁室も、第1の実施形態に係る図2に示したものと同様のもので、インク収納室に対して取り付けられている場所およびその向きが異なるだけであるので、図1と同じ符号を付して参照する。
【0054】
インク収納室40の一部には、可動部である可動部材41が配設されており、この部分と外装43との間でインクを収納する空間を画成している。この可動部材41から見たインク収納空間40Aに対する外側空間、すなわち図における可動部材41に対して上側の空間は、大気連通口42によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間40A内には、下方に設けられているインク供給口48および弁室30との間に設けられている空気導入路51への連通部を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
【0055】
外装43は、上記のインク収納空間40Aを画成するとともに、可動部材41を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。本例の可動部材41も、第1の実施形態と同様、変形可能な可撓性膜(シート部材)によって形成され、その中央部分は平板状の支持部材である支持板44によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、この可動部材41は、その中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。この可動部材41は、後述するように、インク収納空間40A内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、可動部材41の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、その可動部材41の中央部分がほぼ水平姿勢を保ったまま、図の上下方向に平行移動する。このように可動部材41がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
【0056】
またインク収納空間40A内には、支持板44を介して可動部材41を図の上方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッド20のインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材45が設けられている。なお、図5の状態は、インク収納空間40A内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材45は圧縮された状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。また、インクは、インク収納空間40A内の全てに充満させるのではなく、少量の空気を残しておくように充填される。このようにすることにより、液体収納容器2の周囲における環境温度や気圧の変動に起因してインク収納空間40Aの内圧が変わって内部体積の膨張や収縮が起こった際に、より膨張・収縮量の大きい空気の部分に対し、ばね部材45の伸長・収縮力で吸収する構成としている。
【0057】
記録ヘッド20とインク収納室40との結合は、上記実施形態1と同様に行われる。
【0058】
次いで弁室30について説明する。弁室30は空気導入路51を介してインク収納空間40Aとの間で内部が連通している。本例においては、空気導入路51の形成部材に内径1mmのステンレス製パイプを用いている。さらに、空気導入路51の外周部周囲の密閉性を向上するために、ステンレス製パイプの周囲にゴム製のシール部材38が取り付けられている。
【0059】
弁室30には、一方向弁の構成要素である開口部36を有して弁閉鎖部材となる弁閉鎖板34と、開口部36を密閉する弁シール部材37とを設けてあり、さらに弁閉鎖板34は可撓性シート31と接合されて、開口部36が弁閉鎖板34および可撓性シート31とを貫通している。さらに、この弁室30内においても空気導入路51への連通部および開口部36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そして可撓性シート31より図中下側の空間は大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。そして弁室30の外装33は、可撓性シート31を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。
【0060】
また、この可撓性シート31も、中央部分の弁閉鎖板と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっており、中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖板34の上下動が円滑に行われる。
【0061】
弁室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、弁規制ばね35を設けてある。ここでも弁規制ばね35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって弁閉鎖部材34を図の下方に押す構成としている。この弁規制ばね35の伸縮によって、開口部36に対する弁シール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から開口部36を介して弁室内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
【0062】
以上のようにしてインク収納空間40Aと弁室30の内部空間との間で空気導入路51を介した連通がなされているが、ここで空気導入路51の他端部にはさらにチューブ52が接続され、隔壁53を貫いてインク収納空間40A内へ挿入されている。空気導入路51とチューブ52との連結部の周囲はゴム製のシール部材55を密着させた状態で覆われるとともに、このシール部材55により空気導入路ないしチューブが挿通される隔壁53部分の密閉性を保っている。さらに隔壁53には大気連通口54が設けられ、空気導入路収納室50内における空気導入路51の外側を大気圧に等しくするようにしている。
【0063】
このように空気導入路51にチューブ52を接続していることから、弁室30から導入される空気は、空気導入路51を介し、チューブ52他端の開口部からインク収納空間40A内へ流れていくことになり、この部分が収納空間内部への給気口として作用する。ここでチューブ52としては、柔軟で可饒性をもつシリコーンチューブを用い、その給気口52Aは、可動部材41のシートの内側(インク収納空間側)に接着されている。
【0064】
このようにすることで、チューブ52は可動部材41の動きに対して追随し、またチューブの給気口52Aはインク収納空間の上部に位置することになる。さらに、本例ではインクが最大限充填されたときにも、上部に少量の空気を残すようにしていることから、液体収納容器2が通常の静置状態にあるときには、給気口52Aはインクに触れないようにできる。また液体収納容器2の全体が傾いた場合にこの給気口52Aがインクに触れたとしても、インクのメニスカス力によってチューブ52や空気導入路51の内部にインクが侵入しづらく、また液体収納容器2の周囲の温度変動や気圧の変化が起こったとしても、液体よりも気体のほうが膨張しやすいことと、空気導入路51の他端が通常は密閉空間である弁室30に接続されている点により、インクがこの管内に入り込むことはない。
【0065】
さらに図6(a)〜(c)を用い、図5の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0066】
記録ヘッド20からのインク吐出に伴ってインク収納空間40A内のインクが減少していくと、このインク収納空間40A内部の容積が減少していく。これに伴って可動部材41は支持板44とともに、図の下方向に移動して変形していき、同時にばね45も圧縮されていく。このばねの圧縮動作によってインク収納空間40A内部の負圧も強まっていく。そして、この負圧はチューブ52および空気導入路51を介して弁室30内にまで作用していく。この負圧に対して弁室内における弁規制ばね35の圧縮による反力が強いときには、開口部36は弁シール部材37で密閉されている。
【0067】
この過程が進行し、図5から変化した状態を図6(a)に示す。図6(a)では、インクが消費されて支持板44が下がり、インク収納空間40A内部の負圧が強まっても、上記の弁規制ばね36による力が相対的に大きく、開口部36が密閉されているが、この両者の力がつりあっている状態を示している。
【0068】
従って、ここからさらにインクの消費が継続されると、その瞬間にインク収納室40A内の負圧が弁室30内における弁規制ばね35による開口部の密着状態を維持できないほど大きくなり、図6(b)のように弁閉鎖部材34と可撓性シート31が上方に変位する。これによって開口部36は空気と連通し、ここから弁室内部に空気が入り込む。入り込んだ空気は、空気導入路51およびチューブ52を介して、給気口52Aよりインク収納空間40A内に導入される。
【0069】
この空気導入によってインク収納空間40A内の容積が増していくため、ばね部材45の伸長力によって支持板44は上方に押しやられ、可動部材41の変形も元に戻っていく。この動作でインク収納空間40A内部の負圧も弱まっていく。それに伴って、弁室内においても、弁規制ばね35が先の圧縮の反力で伸長し、弁閉鎖部材34を下方に移動させることによって可擦性シート31の変形も元に戻り、再び開口部36はシール部材37で密閉される。この状態を図6(c)に示す。
【0070】
この状態から更にインクが消費されていくと、再び図6(a)の状態に近づいていき、前述した動作を繰り返していく。これらの動作をインク収納空間40A内部のインクがなくなるまで繰り返し、インクを使い切ることが可能となる。
【0071】
これらの一連の動作中、チューブ52における空気の出口である給気口52Aは常に液体であるインクには触れない状態を維持している。すなわち、収納されたインクは記録ヘッド20に対して供給される以外には、外部に導出されることがない。
【0072】
(第3の実施形態)
図7は本発明の第3の実施形態で用いる液体収納容器を示す。図5に示した第2の実施形態ではインク収納空間を画成する可動部材を側断面が略等脚台形をなすように形成して周縁部を支持するものとしたが、本例の可動部材61においては頂面に平坦に連続する部分をもつ形状とし、その部分の端部を隔壁73により収納容器60の上部において支持するようにしている。また、隔壁73側に延長した構成の支持板64とすることで、可動部材61は図の右側部分は伸縮変形しないようにしている。
【0073】
また、空気導入路71は可動部材支持位置近傍の部位において収納空間上部に連通した構成としており、第2実施形態とは異なってチューブは接続されていない。すなわち、空気導入路71のインク収納空間60A側の開口部71Aにより給気口が形成されている。なお、この開口部71Aは隔壁73のインク収納空間60A側の面と略同一面か、それよりもややインク収納空間60A側に突出した位置とすることが好ましい。また、この空気導入路71は隔壁73を貫通しているが、この部分においては空気導入路71の周囲に密着して覆うとともに隔壁73との間の密閉性を保つためゴム製のシール部材75が配設されている。さらに、隔壁73の可動部材支持位置より上の部位には大気連通口74が設けられ、空気導入路収納室70内における空気導入路71の外側を大気圧にするようにしている。なお、ここで用いている空気導入路71は内径0.5mmのステンレス製パイプとした。他の部分の構成については、第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
さらに図8(a)〜(c)を用い、図7の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0075】
記録ヘッド20からのインク吐出に伴ってインク収納空間60A内のインクが減少していくと、このインク収納空間60A内部の容積が減少していく。これに伴って可動部材61は支持板64とともに、図の下方向に移動して変形しようとするが、本例においては可動部材61で実質的に伸縮可能な部分は図7における左側部分のみであるので、図8(a)に示すように支持板64が斜めに傾いた形態で変位する。しかしこのような状態での変位でもばね65は圧縮されていくので、このばねの圧縮動作によってインク収納空間60A内部の負圧も強まっていく。そして、この負圧は空気導入路71を介して弁室30内にまで作用していく。この負圧に対して弁室内における弁規制ばね35の圧縮による反力が強いときには、開口部36は弁シール部材37で密閉されている。
【0076】
この過程が進行し、図7から変化した状態が図8(a)である。図8(a)では、インクが消費されて支持板64が下がり、インク収納空間60A内部の負圧が強まっても、上記の弁規制ばね36による力が相対的に大きく、開口部36が密閉されているが、この両者の力がつりあっている状態を示している。
【0077】
従って、ここからさらにインクの消費が継続されると、その瞬間にインク収納室60A内の負圧が弁室30内における弁規制ばね35による開口部の密着状態を維持できないほど大きくなり、図8(b)のように弁閉鎖部材34と可撓性シート31が上方に変位する。これによって開口部36は空気と連通し、ここから弁室内部に空気が入り込む。入り込んだ空気は、空気導入路71を介して給気口71Aよりインク収納空間60A内に導入される。
【0078】
この空気導入によってインク収納空間60A内の容積が増していくため、ばね部材65の伸長力によって支持板64は上方に押しやられ、可動部材61の変形も元に戻っていき、この動作でインク収納空間60A内部の負圧も弱まっていく。それに伴って、弁室内においても、弁規制ばね35が先の圧縮の反力で伸長し、弁閉鎖部材34を下方に移動させることによって可擦性シート31の変形も元に戻り、再び開口部36はシール部材37で密閉される。この状態を図8(c)に示す。
【0079】
この状態から更にインクが消費されていくと、再び図8(a)の状態に近づいていき、前述した動作を繰り返していく。これらの動作をインク収納空間60A内部のインクがなくなるまで繰り返し、インクを使い切ることが可能となる。
【0080】
これらの一連の動作中、空気導入路71における空気の出口である給気口71Aは常に液体であるインクには触れない状態を維持している。さらに可動部材61の給気口71Aに近い側はほとんど変形しないため、インクの給気口71Aへの接触をより効果的に防止することが可能となる。すなわち、収納されたインクは記録ヘッド20に対して供給される以外には、外部に導出されることがない。
【0081】
(第4の実施形態)
図9は、第3の実施形態の変形例に係る本発明の第4の実施形態を示すものである。この図は液体収納容器の主要部を示し、特に空気導入路が設置されている部分を中心に示している。
【0082】
本例では、空気導入路71における給気口の部分に疎水性の気体透過膜80を取り付けている。この疎水性の気体透過膜80は接着、圧着、溶着等の公知の技術で取り付け可能である。この疎水性の気体透過膜80の取り付けにより、空気導入路71内部へのインクの侵入をさらに効果的に防止することができる。
【0083】
さらに、この疎水性の気体透過膜80の部分で空気導入路71とインク収納空間60Aとの間の液体の流通を遮断することが可能であるため、これまでの説明のように給気口におけるメニスカスの維持が不要となる。従って、空気導入路71の内径を大きく設定することが可能となる。すなわち、前述の第3の実施形態では0.5mmの内径としていたが、ここでは2mmの内径とした。このように比較的大きな内径を設定しても空気導入路へインクの侵入防止が可能であるため、空気導入路の材質選択や設計の自由度を増すことができる。
【0084】
(第5の実施形態)
図10は、第3の実施形態の他の変形例に係る本発明の第5の実施形態を示すものである。この図は液体収納容器の主要部を示し、特に空気導入路が設置されている部分を中心に示している。
【0085】
本例では、空気導入路71内部の給気口近傍に、ポリウレタン性の発泡多孔質体からなる多孔質部材90を設置している。この多孔質部材90は、空気導入路71の内径に合わせ、管内で適切に固定される寸法形状をもって形成され、挿入される。
【0086】
この構成により、インクの空気導入路71内部にインクが入り込んだとしても、多孔質部材90によってインクを吸収保持し、そこから先にインクを移動させないようにできるため、弁室に向かうインク移動を効果的に防止することができる。また、第4の実施形態で述べたと同様に、給気口におけるメニスカスの維持が不要となる。従って、空気導入路71の内径を大きく設定することが可能となる。すなわち、前述の第3の実施形態では0.5mmの内径としていたが、この実施形態でも内径を2mmとするなど、比較的大きな内径を設定しても空気導入路へインクの侵入防止が可能であるため、空気導入路の材質選択や設計の自由度を増すことができる。
【0087】
なお、第4の実施形態で説明した疎水性の気体透過膜を、本例の給気口の部分にも設置してもよい。この場合は、空気導入路内へのインクの侵入をさらに高い信頼性をもって防止することができる。
【0088】
(インクジェット記録装置の構成例)
図11は、本発明を適用可能な液体使用装置としてインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
【0089】
本例の記録装置150はシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、ガイド軸151,152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ153は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、記録ヘッド(図11においては不図示)と、その記録ヘッドにインクを供給する上記諸実施形態のいずれかの形態でなるインク収納容器とが搭載される。これらは、図示のように一体となってインクジェットカートリッジ154を構成するものであってもよい。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0090】
記録ヘッドは、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式等であってもよい。
【0091】
キャリッジ153の移動領域における図11中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッドのインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッドのインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)を行う。また、キャップ内に向かってインク吐出口からインクを吐出させることによって、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持する回復処理(「吐出回復処理」ともいう)を行うこともできる。
【0092】
(その他)
なお、以上では、負圧発生のためのばねをインク収納空間内部に設けた圧縮ばねの形態として説明した。しかし、このばねは、インク収納空間外に設けた引っ張りの形態としてもよい。すなわち、可動部材と液体収納容器を形成する外装部材との間に引っ張りばねを設けても同様の機能を果たすことができる。また弁室に設けられているばねについても同様に考えることができる。
【0093】
また、インク収納容器におけるインク収納室を形成する空間の内壁は、内部に収納されるインクと触れないようインク液面より高い位置に設けることができるのであれば、上述の諸実施形態のように一部を変形可能な可撓性膜などの可動部材によって構成する他、全部をそのような部材で構成してもよい。また同じく、そのような変形可能な部材を設ける代わりに、収納空間の内容積に応じて変位する部材を一部に有したものでもよい。
【0094】
さらに、空気導入路を収納室内に設置している実施形態において、必ずしも空気導入路を構成する部材の周囲を空間にしておく必要性はなく、この空間に何らかの部材を配設したり、充填物を挿入したり、また外装部の材料でこの空間部分が埋められていてもよい。特に、空間部分が外装部の材料で埋められている場合には、空気導入路を別部材である管で形成するのではなく、管状に内部をくりぬいた形状の空気導入路として形成してもよい。このようにした場合、別部材が不要となるため、組み立てやコストの面で有効である。
【0095】
また、インク収納容器はインクが収納可能な構成であればよく、予めインクが収容されていなくてもよい。
【0096】
さらに、インク収納容器は、記録ヘッドと分離不能に、または分離可能に一体化される構成であってもよいし、また、記録ヘッドとは別体に設けられ、チューブ等を介して記録ヘッドに向けてインクを供給するものでもよい。
【0097】
また以上では、本発明を記録ヘッドにインクを供給するインク収納容器に適用した場合について説明したが、記録部としてのペンにインクを供給する供給部に適用されるものでもよい。
【0098】
また、本発明は、そのような種々の記録装置の他、飲料水や液体調味料などの種々の液体を供給するための装置、あるいは薬品を供給する医療の分野などに広範囲に適用することができる。
【0099】
本発明の実施形態の例を以下に列挙する。
[実施態様1] 少なくとも一部に液体の収納空間を画成するとともに前記液体の外部への供給に伴って変位する可動部材と、当該収納された液体を外部に供給する液体供給口とを有する液体収納室と、
外部からの前記収納空間の内部への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁と、
前記一方向弁と前記収納空間との間を結合して前記導入された気体を前記収納空間に導く導入路と、
を具え、該導入路の前記収納空間側にある給気口が、使用時の姿勢において前記収納空間内の上部に位置してなることを特徴とする液体収納容器。
【0100】
[実施態様2] 前記給気口を含む前記導入路の少なくとも一部が前記可動部材の変位に応じて追随可能であることを特徴とする実施態様1に記載の液体収納容器。
【0101】
[実施態様3] 前記導入路の前記少なくとも一部が可携性を有するチューブで形成されてなることを特徴とする実施態様2に記載の液体収納容器。
【0102】
[実施態様4] 使用時の姿勢において、前記収納空間に収容される液体の液面より前記給気口が高い部位に位置することを特徴とする実施態様1ないし3のいずれかに記載の液体収納容器。
【0103】
[実施態様5] 前記給気口に疎水性の気体透過膜を配設してなることを特徴とする実施態様1ないし4のいずれかに記載の液体収納容器。
【0104】
[実施態様6] 前記導入路の内部に液体吸収部材を有することを特徴とする実施態様1ないし5のいずれかに記載の液体収納容器。
【0105】
[実施態様7] 前記液体吸収部材は多孔質体からなることを特徴とする実施態様6に記載の液体収納容器。
【0106】
[実施態様8] 実施態様1ないし7のいずれかに記載の液体収納容器に接続可能とされ、前記収納空間から供給される液体を使用することを特徴とする液体使用装置。
【0107】
[実施態様9] 記録剤としてのインクを前記液体として収納することを特徴とする実施態様1ないし7のいずれかに記載の液体収納容器。
【0108】
[実施態様10] 実施態様9に記載の液体収納容器を用い、前記収納空間内から供給されるインクによって記録を行うことを特徴とする記録装置。
【0109】
[実施態様11] 実施態様9に記載の液体収納容器と、前記収納空間内から供給されるインクをインク吐出口から吐出可能な記録ヘッドとを用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0110】
[実施態様12] 前記記録ヘッドは、前記インク吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、熱エネルギを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする実施態様11に記載のインクジェット記録装置。
【0111】
[実施態様13] 実施態様9に記載の液体収納容器と、該液体収納容器に接続されて、前記収納空間内から供給されるインクをインク吐出口から吐出可能な記録ヘッドと、を具えたことを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【0112】
[実施態様14] 前記記録ヘッドは、前記インク吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、熱エネルギを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする実施態様13に記載のインクジェットカートリッジ。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体収納容器内の液体(インク等)を消費しきるために内部の負圧をほぼ一定に保つことが可能となると共に、液体収納容器内における負圧を適切な値に保つための空気導入も適切な位置で行うため、インクの漏れ等も発生しない。また空気導入をインク中を通して行わず、液体収納容器内の気相部分で行うようにしたため、確実に空気導入が可能であることに加え、インク中に気泡を発生させることもない。さらに、内部の負圧発生機構も伸縮力をもつ部材で制御しているため、例えば温度上昇や減圧等液体収納容器の周囲環境の変化に起因した、液体収納容器内に導入されている空気の膨張を吸収でき、不本意な液体漏洩も起こすことがない。そしてこれらによって、無駄な液体消費が生じず、ランニングコストの低下にも貢献するものである。さらに、本発明は、少ない部品点数で上記効果を達成できるものである。加えて、本発明をインクジェット記録ヘッドに適用する場合には、常に安定したインク吐出特性を得ることができ、記録品位の安定化および向上に資するこるができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、液体(インク)の消費に伴って生じる負圧の増大を緩和するために内部に外気を取り入れる従来の液体収納容器の問題点を説明するための説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図3】(a)〜(e)は、図2に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図4】図2に示したインク収納容器のインク収納空間内の負圧とインク残量との関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図5に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、図7に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に用いられる液体収納容器の主要部を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に用いられる液体収納容器の主要部を示す模式的断面図である。
【図11】本発明を適用可能な液体使用装置としてインクジェット記録装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1,2 液体収納容器(インク収納容器)
10,40,60 インク収納室
10A,40A,60A インク収納空間
11,41,61 可動部材
12,42,54,62,74 大気連通口
13,43,63 インク収納室外装
14,44,64 支持板
15,45,65 ばね部材
17,51,71 空気導入路
17A,52A,71A 給気口
20 インクジェット記録ヘッド
21 供給管
23 フィルタ
24 シール部材
30 弁室
31 可携性シート
33 弁室外装
34 弁閉鎖板
35 弁規制ばね
36 開口部
37 弁シール部材
38 シール部材
50,70 空気導入路収納室
52 チューブ
53,73 隔壁
55,75 シール部材
80 疎水性気体透過膜
90 多孔質体
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、記録部としてのペンあるいは記録ヘッドや記録装置などの液体使用装置に、インクなどの液体を無駄なくかつ安定して供給するための液体収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へと液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置には、記録媒体に対し記録ヘッドを移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うものや、これとは逆に固定した記録ヘッドに対し記録媒体を移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うもの等がある。
【0003】
かかるインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに一体不可分にまたは分離可能にインクタンクが取り付けられ、このインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにしたオンキャリッジ方式と称されるものがある。また、キャリッジ上に搭載される記録ヘッドとは別体に、インクタンクを記録装置の他の部位に固定的に据え付け、可撓性チューブを介してインクタンクと記録ヘッドとを連結してインクを供給するチューブ供給方式と称されるものがあるが、ここにはインクタンク(メインタンク)と記録ヘッドとの中間タンク(サブタンク)として機能する第2のインクタンクが記録ヘッドないしキャリッジ上に搭載されて、この第2のインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにした形態のものも含まれる。
【0004】
これらの方式にあって、記録ヘッドに直接的にインクを供給するインクタンクには、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生させる機構が設けられる。
【0005】
かかる負圧発生機構としては、インクを含浸保持するスポンジ等の多孔質部材をインクタンク内に収納し、そのインクの保持力によって適切な負圧を生じさせるものがある。
【0006】
また、弾性力をもち、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の材料で形成させた袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものもある。
【0007】
さらに、可撓性のフィルムで袋状部材を形成し、その内部または外部に、袋状部材が容積を拡張する方向にフィルムを付勢するばね等を接合することにより、負圧を発生させるようにしたものもある。
【0008】
しかしながら、上記いずれの機構においても、インクタンク内のインク残量が少なくなってくるに伴って負圧は強くなる傾向を持ち、その負圧レベルが所定値を超えると、記録ヘッドに対しインクを安定して供給することができなくなる。その結果、インクを完全に消費しきらない内にインクタンクが使用に耐えなくなってしまう問題がある。
【0009】
そこで、負圧レベルが所定の水準よりあまり大きくならないようにするために、次のような幾つかの機構が提案されている。
【0010】
例えば、特許文献1あるいは特許文献2では、タンクに疎水性膜と管状の通気口とを設け、さらにその管内に球体を配設することによって、内部の負圧が増大した際に、タンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。すなわち、これら公報においては、外部から容器内に連通する管状の通気口(ボス)を具備し、外径がボスの内径より小さい球体をボス内壁に設けた複数の突起リブに取り付けることで、球体とボスとで略環状のオリフィスを形成する構成が開示されている。かかるオリフィスは、インクの毛管現象が少量のインクを液体シールとしてオリフィス内に保持するような大きさに選定される。また、容器内負圧が記録ヘッドの動作範囲の限界に近づくときに、その負圧がインクの毛管現象に打ち勝ち、液体シールが無効とされるような形状とされている。すなわち、このときに外気が容器内に気泡として入り込むことで、一定レベル以上になった内部負圧が緩和されるものである。
【0011】
また、特許文献3では、可撓性シートでなるインク袋内に穴付き板と突起付き板とを対向配置するとともにそれらの間にばね部材を配設し、インク残量が減ってインク袋が縮み、内部負圧が所定値を超えるところで突起が穴に挿入して、穴付き板と可撓性シートとを剥離させてタンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。そしてこの機構では、空気の取り込みが行われると穴付き板と可撓性シートとが密接し、その間のインクのメニスカス保持力、換言すれば液体シールによってインク漏洩を防止するものである。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−125240号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平7−125241号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平6−183023号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法においては、空気を取り込む部分に複数の部品を要し、その箇所における構造の複雑化を伴っていた。
【0016】
また、図1(a)に示すように、収納容器T内に中に空気がある程度導入された状態で環境変化(外気圧の低下や温度上昇など)によって容器内の圧力が極端に高くなった場合には、図1(b)に示すように、容器内からインクが押し出され、インクジェット記録ヘッドに適用する場合にあってはインク吐出口Nや通気口Aを通じてインクが漏れることがある。可撓性シートでなる袋状部材に液体を収納した場合には、空気の減圧膨張分を許容して内部圧力の上昇を緩和するためのある程度のバッファ効果は期待できるが、それにも限界がある。
【0017】
そこで、特許文献2あるいは特許文献3では、タンク下部に迷路状の通路を設け、その部分に内部圧力上昇であふれるインクを移動させておく方法が開示されている。この方法は効果的であるが、迷路状通路を形成させることにより構造が一層複雑化し、また迷路状の通路の他端が常に大気と連通しているので、ある程度のインク蒸発は免れ得ない。
【0018】
さらに、これらの従来例では、インクタンクに直接に大気を導入する開口部を設けているために、その開口部の大きさや設置場所によっては、インクタンク内のインクがほとんど消費されてインクタンク内のインクがなくなる付近においては、相対的にタンク内の気体の量が多くなり、大気導入による負圧解消時にインク吐出口や開口部(通気口)におけるメニスカス維持が不完全となる場合があり、インク漏れや、これに伴う大気導入の不完全性につながる恐れがある。
【0019】
特に開口部(通気口)が内部のインクに直接に触れている構成の場合には、開口部からのインク漏れを防ぐため、この開口部の開口面積や開口形状の管理を正確に行う必要が生じる。
【0020】
加えて、容器内外の気圧差、温度の上昇や下降、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度など、種々の条件により液体シールが破られ、内部の圧力が所定値にならなくても空気が導入されてしまったり、逆にインクが漏出してしまう不都合が生じる。また、これらの条件は記録ヘッドやインクタンクの設計あるいはインクの物性等によって種々変わり得るものであり、また、使用する形態に合わせて開口部の形状や寸法、あるいは負圧発生機構の基本構成等に応じて、それぞれ設計の適正化が必要となるという問題もある。
【0021】
また、特許文献3に開示の技術では、薄い板状部材と可携性シートとの微小な隙間から空気を導入する構造であるため、その隙間に液体が侵入した場合に生じる毛管力により上記剥離を行わせるため力が変化し、その結果、空気導入を行うときの負圧が安定しないという問題もあった。
【0022】
以上のことから、本発明者らは、液体収納容器内に空気を導入するにあたり、液体に接する部分には当該導入用開口部をなるべく設けないようにすることが上記の問題に対して有効であるととらえ、更にこのことにより、開口部が液体に接しなければ、その開口面積や開口形状など厳密に規定する必要はなく、設計への自由度も増すことを見出し、本発明に至った。
【0023】
本発明は、以上に鑑み、液体収納容器内において強まった負圧を解消するための収納容器内への空気の導入を、収納容器内の適切な位置で行うようにすることで、負圧の安定化に対してより高い信頼性が得られるとともに、急激な環境変化に対しても液体漏れが起きないようになし、ひいては無駄な液体消費が生じないようにした液体収納容器(インクタンクなど)およびこの液体収納容器を用いた液体使用装置(インクジェット記録装置など)を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明液体収納容器は、少なくとも一部に液体の収納空間を画成するとともに前記液体の外部への供給に伴って変位する可動部材と、当該収納された液体を外部に供給する液体供給口とを有する液体収納室と、
外部からの前記収納空間の内部への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁と、
前記一方向弁と前記収納空間との間を結合して前記導入された気体を前記収納空間に導く導入路と、
を具え、該導入路の前記収納空間側にある給気口が、使用時の姿勢において前記収納空間内の上部に位置してなることを特徴とする。
【0025】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0026】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「用紙」または単に「紙」ともいうものとする。
【0027】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供される液体を言うものとする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0029】
なお、以下においては、本発明をインクジェット記録装置に適用した諸実施形態について説明する。すなわち、液体収納容器はインクジェット記録ヘッドに供給するインクを収納するものであり、よって以下の説明では「液体」を「インク」と表現することもある。特に、色材を含むインクに対して本発明は有効であり、顔料を成分に有するインクに対しては、一層優れたインク供給性を確保できるので、より好ましいものである。
【0030】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態で用いる液体収納容器であり、液体収納容器1にインクジェット記録ヘッド20(以下、単に「記録ヘッド」と称する)が一体に取り付けられている。ここで液体収納容器(以下、「インク収納容器」とも言う)は、概してインク収納空間10Aが画成されるインク収納室10と、使用時の状態(図示の状態)においてインク収納室の上方に位置する弁室30との2室からなり、その両室は空気導入路17で互いに内部が連通されている。そして、インク収納室10内には記録ヘッド20から吐出させるためのインクが充填され、記録ヘッド20に供給される。ここで、空気導入路17は使用時の状態においてインク収納室の上方に位置していることにより、空気の出口となる給気口17Aもインク収納室内の上部に位置することになる。
【0031】
なお、記録ヘッド20におけるインクの吐出方式は特に限定されず、例えば、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出させることができる。
【0032】
インク収納室10の一部には、可動部である可動部材11が配設されており、この部分と外装13との間でインクを収納する空間を画成している。この可動部材11から見たインク収納空間10Aに対する外側空間、すなわち図における可動部材11に対して右側の空間は、大気連通口12によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間10A内には、下方に設けられているインク供給口18および弁室30との間の空気導入路17を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
【0033】
外装13は、上記のインク収納空間10Aを画成するとともに、可動部材11を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。本例の可動部材11は変形可能な可撓性膜(シート部材)によって形成され、その中央部分は平板状の支持部材である支持板14によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、この可動部材11は、その中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。この可動部材11は、後述するように、インク収納空間10A内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、可動部材11の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、その可動部材11の中央部分がほぼ垂直姿勢を保ったまま、図の左右方向に平行移動する。このように可動部材11がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
【0034】
またインク収納空間10A内には、支持板14を介して可動部材11を図の右方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッド20のインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材15が設けられている。なお、図2の状態は、インク収納空間10A内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材15は圧縮された状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。
【0035】
記録ヘッド20とインク収納室10との結合は、記録ヘッドに設けられている供給管21がインク収納室10内に挿入されることによってなされる。これによって両者が流体的に結合され、記録ヘッド20へインクが供給可能となる。なお、この供給管21の周囲にはシール部材24が取り付けられることで、供給管21とインク収納室10との密着を確実なものにしている。また、供給管21の内部にはフィルタ23が備えられ、供給されるインク中に混入した不純物が記録ヘッド20内へ流れ込んでいくことを防止している。
【0036】
次いで弁室30について説明する。弁室30は空気導入路17を介してインク収納空間10Aとの間で内部が連通している。本例においては、空気導入路17の形成部材に内径0.2mmのステンレス製パイプを用いている。さらに、空気導入路17の外周部周囲の密閉性を向上させるために、ステンレス製パイプの周囲にゴム製のシール部材38が取り付けられている。
【0037】
弁室30には、一方向弁の構成要素である開口部36を有して弁閉鎖部材となる弁閉鎖板34と、開口部36を密閉する弁シール部材37とを設けてあり、さらに弁閉鎖板34は可撓性シート31と接合されて、開口部36が弁閉鎖板34および可撓性シート31とを貫通している。さらに、この弁室30内においても空気導入路17および開口部36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そして可撓性シート31より図中上側の空間は大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。そして弁室30の外装33は、可撓性シート31を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。
【0038】
また、この可撓性シート31も、中央部分の弁閉鎖板と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっており、中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖板34の上下動が円滑に行われる。
【0039】
弁室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、弁規制ばね35を設けてある。ここでも弁規制ばね35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって弁閉鎖部材34を図の上方に押す構成としている。この弁規制ばね35の伸縮によって、開口部36に対する弁シール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から開口部36を介して弁室内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
【0040】
ここで弁シール部材37としては、開口部36が確実に密閉されるものであればよい。すなわち、少なくとも開口部36と接触する部位が開口面を確実にシールする形状を有していれば足り、密着状態が確保できるものであれば材質は特に限定されない。しかし、この密着は弁規制ばね35の伸長力で達成されるものであるので、この伸長力の作用によって動く可撓性シート31と弁閉鎖板34に追随しやすいもの、すなわち収縮性をもつゴムのような弾性体で弁シール部材37を形成することは、より好ましい。
【0041】
図3(a)〜(e)を用い、以上の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0042】
図3(a)はインク収納空間内にインクが十分に満たされている状態を示す。このときには、ばね部材15が圧縮された状態であるためにその圧縮変位量に従った伸長力(圧縮による反力)が支持板14を介して可動部材11に作用する。また、このときの伸長力の向きは図2の右側方向、すなわちばね部材15が伸長する方向に働き、このときにインク収納空間10A内で作用している圧力は、室の内側に向かって作用する。すなわち、ここで作用している圧力は、インクを内部に引き込む方向であることから、大気圧を「0」とすれば負の符号を有する値(負圧)となる。
【0043】
このように負圧がインク収納空間内で作用していることによって、記録ヘッド20内におけるインク吐出用のノズルのメニスカスに対しても負圧が作用し、記録ヘッド20に設けられているインク吐出口からのインクの漏出が防止される。
【0044】
一方、この状態のときに弁室30内においては、開口部36が弁シール部材37によって密閉された状態となるようにしている。また、この弁室30内における圧力は、インク収納空間10Aとの間にある空気導入路17を介して、前述の負圧が作用する。しかし、この弁室30内でも弁規制ばね35の伸長力が働いており、内部の負圧に対して、弁規制ばね35と弁閉鎖板34とによる負圧に逆らう力が大きくなっている状態を維持していることで一方向弁の密閉が保たれる。
【0045】
さらに記録ヘッド20からのインク吐出が進行し、インク収納空間10A内のインク残量が減少していくが、これに伴ってインク収納空間10A内の負圧も強まっていく。
【0046】
図4はインク収納空間10A内の負圧とインク残量との関係を示す。図3(a)の状態からインク消費が続くと図3(b)の状態となり、インク量の減少に伴って密閉空間であるインク収納空間10A内の体積も実質的に減少していき、これに従い可動部材11は図の左方へ向かっていく。この可動部材11の変位に従って支持板14も左方に向かい、ばね部材15も圧縮が進行していく。このばね部材15の圧縮の進行はその伸長力の増大を意味し、負圧も図4のa点からb点まで強まっていく。
【0047】
この図3(b)の状態からさらにインク消費が進行することによって、可動部材11の位置もさらに左方へ変位して行き、図3(c)の状態となる。これによりインク収納室10内の負圧もさらに強まり、負圧も図4におけるc点まで変化する。この状態においては、インク収納室10内の負圧と、弁室30内における弁規制部材34によって作用する力とがつりあう。
【0048】
ここまでで、弁規制ばね35による弁シール部材37の圧接状態が変化しないことから、このあともインク消費が継続されて負圧がさらに強まっていけば、弁規制ばね35による力では弁室30内の開口部36を弁シール部材37で密閉しきれなくなって行く。これはすなわち図3(d)の状態であり、また図4のd点の負圧変化である。この関係に至った瞬間に、開口部36のシール部材37による密閉が解除される。
【0049】
この結果、図3(d)の矢印で示されるように開口部36からの空気の流入が上から下方向へと生じ、さらに空気導入路17を介し、その下方端部にある空気導入口17Aによりインク収納空間10A内に取り込まれていく。この大気の取り込みによって減少していったインク収納空間10A内の容積は増大して行き、同時に、強まっていった負圧は逆に弱まる方向に進んでいく。これに伴い、弁室30内においては、開口部36と弁シール部材37とが再び密着する。これはすなわち図3(e)の状態であり、図4のd点からe点への負圧変化である。
【0050】
この後に、さらにインクが消費されていくと、図3(d)の状態と図3(e)の状態との間を推移することになり、図4のe点以降に示したように負圧の変化は非常に小さくなり、ほぼ一定の負圧値を保ってインク消費が進んで行く。すなわち、このようにインクを消費し続けていっても、図3(d)の状態と図3(e)の状態とが繰り返されるので、ある程度までインクが消費された後は、インク収納空間10A内の負圧は必要以上に強まることはなく、安定した吐出状態を維持しつつ、インク収納空間10A内のインクを最後まで使い切ることが可能となる。
【0051】
以上のように、インク収納室10に対して弁室30が上方に位置することによって、弁室からインク収納室へと空気を流す空気導入路の開口部が、インク収納室の上方に存在する。これにより、空気の流れはインク中を通ることなく、空気部分のみで行われる。このため、負圧調整のための空気の取り込みも確実に、安定してなされることになる。また、インク中に気泡を発生させることもないので、気泡が記録ヘッド20側に移送されてしまうような不都合を防止できる。
【0052】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、使用時の姿勢においてインク収納室の上方に弁室が位置する構成であったが、それらの位置関係によらず、空気導入路を適切に構成することで所期の目的を達成することができる。
【0053】
図5は本発明の第2の実施形態で用いる液体収納容器であり、液体収納容器2に第1の実施形態と同様の記録ヘッド20が一体に取り付けられている。ここで液体収納容器(以下、「インク収納容器」とも言う)は、概してインク収納空間40Aが画成されるインク収納室40と、弁室30と、空気導入路収納室50との3室からなり、インク収納室40と弁室30とは空気導入路収納室50内に配設された空気導入路51を介して内部が連通されている。そして、インク収納室40A内には記録ヘッド20から吐出させるためのインクが充填され、記録ヘッド20に供給される。なお、本例で用いられている弁室も、第1の実施形態に係る図2に示したものと同様のもので、インク収納室に対して取り付けられている場所およびその向きが異なるだけであるので、図1と同じ符号を付して参照する。
【0054】
インク収納室40の一部には、可動部である可動部材41が配設されており、この部分と外装43との間でインクを収納する空間を画成している。この可動部材41から見たインク収納空間40Aに対する外側空間、すなわち図における可動部材41に対して上側の空間は、大気連通口42によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間40A内には、下方に設けられているインク供給口48および弁室30との間に設けられている空気導入路51への連通部を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
【0055】
外装43は、上記のインク収納空間40Aを画成するとともに、可動部材41を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。本例の可動部材41も、第1の実施形態と同様、変形可能な可撓性膜(シート部材)によって形成され、その中央部分は平板状の支持部材である支持板44によって形状が規制されており、その周縁部分が変形可能となっている。そして、この可動部材41は、その中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。この可動部材41は、後述するように、インク収納空間40A内におけるインク量の変化や圧力変動に応じて変形する。その際に、可動部材41の周辺部分がバランスよく伸縮変形し、その可動部材41の中央部分がほぼ水平姿勢を保ったまま、図の上下方向に平行移動する。このように可動部材41がスムーズに変形(移動)するため、その変形に伴う衝撃の発生がなく、衝撃に起因するインク収納空間内に異常な圧力変動が生じることもない。
【0056】
またインク収納空間40A内には、支持板44を介して可動部材41を図の上方向に付勢する押圧力を作用することで、記録ヘッド20のインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡して記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある負圧を発生させる圧縮ばね形態のばね部材45が設けられている。なお、図5の状態は、インク収納空間40A内にほぼ完全にインクが充填された状態を示しているが、この状態でもばね部材45は圧縮された状態にあり、インク収納空間内に適切な負圧が生じているものとする。また、インクは、インク収納空間40A内の全てに充満させるのではなく、少量の空気を残しておくように充填される。このようにすることにより、液体収納容器2の周囲における環境温度や気圧の変動に起因してインク収納空間40Aの内圧が変わって内部体積の膨張や収縮が起こった際に、より膨張・収縮量の大きい空気の部分に対し、ばね部材45の伸長・収縮力で吸収する構成としている。
【0057】
記録ヘッド20とインク収納室40との結合は、上記実施形態1と同様に行われる。
【0058】
次いで弁室30について説明する。弁室30は空気導入路51を介してインク収納空間40Aとの間で内部が連通している。本例においては、空気導入路51の形成部材に内径1mmのステンレス製パイプを用いている。さらに、空気導入路51の外周部周囲の密閉性を向上するために、ステンレス製パイプの周囲にゴム製のシール部材38が取り付けられている。
【0059】
弁室30には、一方向弁の構成要素である開口部36を有して弁閉鎖部材となる弁閉鎖板34と、開口部36を密閉する弁シール部材37とを設けてあり、さらに弁閉鎖板34は可撓性シート31と接合されて、開口部36が弁閉鎖板34および可撓性シート31とを貫通している。さらに、この弁室30内においても空気導入路51への連通部および開口部36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そして可撓性シート31より図中下側の空間は大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。そして弁室30の外装33は、可撓性シート31を外力から保護するシェルとしての役割も果たす。
【0060】
また、この可撓性シート31も、中央部分の弁閉鎖板と接合されている部分以外の周縁部分は変形可能となっており、中央部分が凸状とされていて、側面形状がほぼ台形となっている。このような構成をとることによって弁閉鎖板34の上下動が円滑に行われる。
【0061】
弁室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、弁規制ばね35を設けてある。ここでも弁規制ばね35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって弁閉鎖部材34を図の下方に押す構成としている。この弁規制ばね35の伸縮によって、開口部36に対する弁シール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から開口部36を介して弁室内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
【0062】
以上のようにしてインク収納空間40Aと弁室30の内部空間との間で空気導入路51を介した連通がなされているが、ここで空気導入路51の他端部にはさらにチューブ52が接続され、隔壁53を貫いてインク収納空間40A内へ挿入されている。空気導入路51とチューブ52との連結部の周囲はゴム製のシール部材55を密着させた状態で覆われるとともに、このシール部材55により空気導入路ないしチューブが挿通される隔壁53部分の密閉性を保っている。さらに隔壁53には大気連通口54が設けられ、空気導入路収納室50内における空気導入路51の外側を大気圧に等しくするようにしている。
【0063】
このように空気導入路51にチューブ52を接続していることから、弁室30から導入される空気は、空気導入路51を介し、チューブ52他端の開口部からインク収納空間40A内へ流れていくことになり、この部分が収納空間内部への給気口として作用する。ここでチューブ52としては、柔軟で可饒性をもつシリコーンチューブを用い、その給気口52Aは、可動部材41のシートの内側(インク収納空間側)に接着されている。
【0064】
このようにすることで、チューブ52は可動部材41の動きに対して追随し、またチューブの給気口52Aはインク収納空間の上部に位置することになる。さらに、本例ではインクが最大限充填されたときにも、上部に少量の空気を残すようにしていることから、液体収納容器2が通常の静置状態にあるときには、給気口52Aはインクに触れないようにできる。また液体収納容器2の全体が傾いた場合にこの給気口52Aがインクに触れたとしても、インクのメニスカス力によってチューブ52や空気導入路51の内部にインクが侵入しづらく、また液体収納容器2の周囲の温度変動や気圧の変化が起こったとしても、液体よりも気体のほうが膨張しやすいことと、空気導入路51の他端が通常は密閉空間である弁室30に接続されている点により、インクがこの管内に入り込むことはない。
【0065】
さらに図6(a)〜(c)を用い、図5の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0066】
記録ヘッド20からのインク吐出に伴ってインク収納空間40A内のインクが減少していくと、このインク収納空間40A内部の容積が減少していく。これに伴って可動部材41は支持板44とともに、図の下方向に移動して変形していき、同時にばね45も圧縮されていく。このばねの圧縮動作によってインク収納空間40A内部の負圧も強まっていく。そして、この負圧はチューブ52および空気導入路51を介して弁室30内にまで作用していく。この負圧に対して弁室内における弁規制ばね35の圧縮による反力が強いときには、開口部36は弁シール部材37で密閉されている。
【0067】
この過程が進行し、図5から変化した状態を図6(a)に示す。図6(a)では、インクが消費されて支持板44が下がり、インク収納空間40A内部の負圧が強まっても、上記の弁規制ばね36による力が相対的に大きく、開口部36が密閉されているが、この両者の力がつりあっている状態を示している。
【0068】
従って、ここからさらにインクの消費が継続されると、その瞬間にインク収納室40A内の負圧が弁室30内における弁規制ばね35による開口部の密着状態を維持できないほど大きくなり、図6(b)のように弁閉鎖部材34と可撓性シート31が上方に変位する。これによって開口部36は空気と連通し、ここから弁室内部に空気が入り込む。入り込んだ空気は、空気導入路51およびチューブ52を介して、給気口52Aよりインク収納空間40A内に導入される。
【0069】
この空気導入によってインク収納空間40A内の容積が増していくため、ばね部材45の伸長力によって支持板44は上方に押しやられ、可動部材41の変形も元に戻っていく。この動作でインク収納空間40A内部の負圧も弱まっていく。それに伴って、弁室内においても、弁規制ばね35が先の圧縮の反力で伸長し、弁閉鎖部材34を下方に移動させることによって可擦性シート31の変形も元に戻り、再び開口部36はシール部材37で密閉される。この状態を図6(c)に示す。
【0070】
この状態から更にインクが消費されていくと、再び図6(a)の状態に近づいていき、前述した動作を繰り返していく。これらの動作をインク収納空間40A内部のインクがなくなるまで繰り返し、インクを使い切ることが可能となる。
【0071】
これらの一連の動作中、チューブ52における空気の出口である給気口52Aは常に液体であるインクには触れない状態を維持している。すなわち、収納されたインクは記録ヘッド20に対して供給される以外には、外部に導出されることがない。
【0072】
(第3の実施形態)
図7は本発明の第3の実施形態で用いる液体収納容器を示す。図5に示した第2の実施形態ではインク収納空間を画成する可動部材を側断面が略等脚台形をなすように形成して周縁部を支持するものとしたが、本例の可動部材61においては頂面に平坦に連続する部分をもつ形状とし、その部分の端部を隔壁73により収納容器60の上部において支持するようにしている。また、隔壁73側に延長した構成の支持板64とすることで、可動部材61は図の右側部分は伸縮変形しないようにしている。
【0073】
また、空気導入路71は可動部材支持位置近傍の部位において収納空間上部に連通した構成としており、第2実施形態とは異なってチューブは接続されていない。すなわち、空気導入路71のインク収納空間60A側の開口部71Aにより給気口が形成されている。なお、この開口部71Aは隔壁73のインク収納空間60A側の面と略同一面か、それよりもややインク収納空間60A側に突出した位置とすることが好ましい。また、この空気導入路71は隔壁73を貫通しているが、この部分においては空気導入路71の周囲に密着して覆うとともに隔壁73との間の密閉性を保つためゴム製のシール部材75が配設されている。さらに、隔壁73の可動部材支持位置より上の部位には大気連通口74が設けられ、空気導入路収納室70内における空気導入路71の外側を大気圧にするようにしている。なお、ここで用いている空気導入路71は内径0.5mmのステンレス製パイプとした。他の部分の構成については、第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
さらに図8(a)〜(c)を用い、図7の構成による本実施形態のインク収納容器の動作を説明する。
【0075】
記録ヘッド20からのインク吐出に伴ってインク収納空間60A内のインクが減少していくと、このインク収納空間60A内部の容積が減少していく。これに伴って可動部材61は支持板64とともに、図の下方向に移動して変形しようとするが、本例においては可動部材61で実質的に伸縮可能な部分は図7における左側部分のみであるので、図8(a)に示すように支持板64が斜めに傾いた形態で変位する。しかしこのような状態での変位でもばね65は圧縮されていくので、このばねの圧縮動作によってインク収納空間60A内部の負圧も強まっていく。そして、この負圧は空気導入路71を介して弁室30内にまで作用していく。この負圧に対して弁室内における弁規制ばね35の圧縮による反力が強いときには、開口部36は弁シール部材37で密閉されている。
【0076】
この過程が進行し、図7から変化した状態が図8(a)である。図8(a)では、インクが消費されて支持板64が下がり、インク収納空間60A内部の負圧が強まっても、上記の弁規制ばね36による力が相対的に大きく、開口部36が密閉されているが、この両者の力がつりあっている状態を示している。
【0077】
従って、ここからさらにインクの消費が継続されると、その瞬間にインク収納室60A内の負圧が弁室30内における弁規制ばね35による開口部の密着状態を維持できないほど大きくなり、図8(b)のように弁閉鎖部材34と可撓性シート31が上方に変位する。これによって開口部36は空気と連通し、ここから弁室内部に空気が入り込む。入り込んだ空気は、空気導入路71を介して給気口71Aよりインク収納空間60A内に導入される。
【0078】
この空気導入によってインク収納空間60A内の容積が増していくため、ばね部材65の伸長力によって支持板64は上方に押しやられ、可動部材61の変形も元に戻っていき、この動作でインク収納空間60A内部の負圧も弱まっていく。それに伴って、弁室内においても、弁規制ばね35が先の圧縮の反力で伸長し、弁閉鎖部材34を下方に移動させることによって可擦性シート31の変形も元に戻り、再び開口部36はシール部材37で密閉される。この状態を図8(c)に示す。
【0079】
この状態から更にインクが消費されていくと、再び図8(a)の状態に近づいていき、前述した動作を繰り返していく。これらの動作をインク収納空間60A内部のインクがなくなるまで繰り返し、インクを使い切ることが可能となる。
【0080】
これらの一連の動作中、空気導入路71における空気の出口である給気口71Aは常に液体であるインクには触れない状態を維持している。さらに可動部材61の給気口71Aに近い側はほとんど変形しないため、インクの給気口71Aへの接触をより効果的に防止することが可能となる。すなわち、収納されたインクは記録ヘッド20に対して供給される以外には、外部に導出されることがない。
【0081】
(第4の実施形態)
図9は、第3の実施形態の変形例に係る本発明の第4の実施形態を示すものである。この図は液体収納容器の主要部を示し、特に空気導入路が設置されている部分を中心に示している。
【0082】
本例では、空気導入路71における給気口の部分に疎水性の気体透過膜80を取り付けている。この疎水性の気体透過膜80は接着、圧着、溶着等の公知の技術で取り付け可能である。この疎水性の気体透過膜80の取り付けにより、空気導入路71内部へのインクの侵入をさらに効果的に防止することができる。
【0083】
さらに、この疎水性の気体透過膜80の部分で空気導入路71とインク収納空間60Aとの間の液体の流通を遮断することが可能であるため、これまでの説明のように給気口におけるメニスカスの維持が不要となる。従って、空気導入路71の内径を大きく設定することが可能となる。すなわち、前述の第3の実施形態では0.5mmの内径としていたが、ここでは2mmの内径とした。このように比較的大きな内径を設定しても空気導入路へインクの侵入防止が可能であるため、空気導入路の材質選択や設計の自由度を増すことができる。
【0084】
(第5の実施形態)
図10は、第3の実施形態の他の変形例に係る本発明の第5の実施形態を示すものである。この図は液体収納容器の主要部を示し、特に空気導入路が設置されている部分を中心に示している。
【0085】
本例では、空気導入路71内部の給気口近傍に、ポリウレタン性の発泡多孔質体からなる多孔質部材90を設置している。この多孔質部材90は、空気導入路71の内径に合わせ、管内で適切に固定される寸法形状をもって形成され、挿入される。
【0086】
この構成により、インクの空気導入路71内部にインクが入り込んだとしても、多孔質部材90によってインクを吸収保持し、そこから先にインクを移動させないようにできるため、弁室に向かうインク移動を効果的に防止することができる。また、第4の実施形態で述べたと同様に、給気口におけるメニスカスの維持が不要となる。従って、空気導入路71の内径を大きく設定することが可能となる。すなわち、前述の第3の実施形態では0.5mmの内径としていたが、この実施形態でも内径を2mmとするなど、比較的大きな内径を設定しても空気導入路へインクの侵入防止が可能であるため、空気導入路の材質選択や設計の自由度を増すことができる。
【0087】
なお、第4の実施形態で説明した疎水性の気体透過膜を、本例の給気口の部分にも設置してもよい。この場合は、空気導入路内へのインクの侵入をさらに高い信頼性をもって防止することができる。
【0088】
(インクジェット記録装置の構成例)
図11は、本発明を適用可能な液体使用装置としてインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
【0089】
本例の記録装置150はシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、ガイド軸151,152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ153は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、記録ヘッド(図11においては不図示)と、その記録ヘッドにインクを供給する上記諸実施形態のいずれかの形態でなるインク収納容器とが搭載される。これらは、図示のように一体となってインクジェットカートリッジ154を構成するものであってもよい。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0090】
記録ヘッドは、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、記録ヘッドにおけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式等であってもよい。
【0091】
キャリッジ153の移動領域における図11中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッドのインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッドのインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)を行う。また、キャップ内に向かってインク吐出口からインクを吐出させることによって、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持する回復処理(「吐出回復処理」ともいう)を行うこともできる。
【0092】
(その他)
なお、以上では、負圧発生のためのばねをインク収納空間内部に設けた圧縮ばねの形態として説明した。しかし、このばねは、インク収納空間外に設けた引っ張りの形態としてもよい。すなわち、可動部材と液体収納容器を形成する外装部材との間に引っ張りばねを設けても同様の機能を果たすことができる。また弁室に設けられているばねについても同様に考えることができる。
【0093】
また、インク収納容器におけるインク収納室を形成する空間の内壁は、内部に収納されるインクと触れないようインク液面より高い位置に設けることができるのであれば、上述の諸実施形態のように一部を変形可能な可撓性膜などの可動部材によって構成する他、全部をそのような部材で構成してもよい。また同じく、そのような変形可能な部材を設ける代わりに、収納空間の内容積に応じて変位する部材を一部に有したものでもよい。
【0094】
さらに、空気導入路を収納室内に設置している実施形態において、必ずしも空気導入路を構成する部材の周囲を空間にしておく必要性はなく、この空間に何らかの部材を配設したり、充填物を挿入したり、また外装部の材料でこの空間部分が埋められていてもよい。特に、空間部分が外装部の材料で埋められている場合には、空気導入路を別部材である管で形成するのではなく、管状に内部をくりぬいた形状の空気導入路として形成してもよい。このようにした場合、別部材が不要となるため、組み立てやコストの面で有効である。
【0095】
また、インク収納容器はインクが収納可能な構成であればよく、予めインクが収容されていなくてもよい。
【0096】
さらに、インク収納容器は、記録ヘッドと分離不能に、または分離可能に一体化される構成であってもよいし、また、記録ヘッドとは別体に設けられ、チューブ等を介して記録ヘッドに向けてインクを供給するものでもよい。
【0097】
また以上では、本発明を記録ヘッドにインクを供給するインク収納容器に適用した場合について説明したが、記録部としてのペンにインクを供給する供給部に適用されるものでもよい。
【0098】
また、本発明は、そのような種々の記録装置の他、飲料水や液体調味料などの種々の液体を供給するための装置、あるいは薬品を供給する医療の分野などに広範囲に適用することができる。
【0099】
本発明の実施形態の例を以下に列挙する。
[実施態様1] 少なくとも一部に液体の収納空間を画成するとともに前記液体の外部への供給に伴って変位する可動部材と、当該収納された液体を外部に供給する液体供給口とを有する液体収納室と、
外部からの前記収納空間の内部への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁と、
前記一方向弁と前記収納空間との間を結合して前記導入された気体を前記収納空間に導く導入路と、
を具え、該導入路の前記収納空間側にある給気口が、使用時の姿勢において前記収納空間内の上部に位置してなることを特徴とする液体収納容器。
【0100】
[実施態様2] 前記給気口を含む前記導入路の少なくとも一部が前記可動部材の変位に応じて追随可能であることを特徴とする実施態様1に記載の液体収納容器。
【0101】
[実施態様3] 前記導入路の前記少なくとも一部が可携性を有するチューブで形成されてなることを特徴とする実施態様2に記載の液体収納容器。
【0102】
[実施態様4] 使用時の姿勢において、前記収納空間に収容される液体の液面より前記給気口が高い部位に位置することを特徴とする実施態様1ないし3のいずれかに記載の液体収納容器。
【0103】
[実施態様5] 前記給気口に疎水性の気体透過膜を配設してなることを特徴とする実施態様1ないし4のいずれかに記載の液体収納容器。
【0104】
[実施態様6] 前記導入路の内部に液体吸収部材を有することを特徴とする実施態様1ないし5のいずれかに記載の液体収納容器。
【0105】
[実施態様7] 前記液体吸収部材は多孔質体からなることを特徴とする実施態様6に記載の液体収納容器。
【0106】
[実施態様8] 実施態様1ないし7のいずれかに記載の液体収納容器に接続可能とされ、前記収納空間から供給される液体を使用することを特徴とする液体使用装置。
【0107】
[実施態様9] 記録剤としてのインクを前記液体として収納することを特徴とする実施態様1ないし7のいずれかに記載の液体収納容器。
【0108】
[実施態様10] 実施態様9に記載の液体収納容器を用い、前記収納空間内から供給されるインクによって記録を行うことを特徴とする記録装置。
【0109】
[実施態様11] 実施態様9に記載の液体収納容器と、前記収納空間内から供給されるインクをインク吐出口から吐出可能な記録ヘッドとを用いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0110】
[実施態様12] 前記記録ヘッドは、前記インク吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、熱エネルギを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする実施態様11に記載のインクジェット記録装置。
【0111】
[実施態様13] 実施態様9に記載の液体収納容器と、該液体収納容器に接続されて、前記収納空間内から供給されるインクをインク吐出口から吐出可能な記録ヘッドと、を具えたことを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【0112】
[実施態様14] 前記記録ヘッドは、前記インク吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、熱エネルギを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする実施態様13に記載のインクジェットカートリッジ。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体収納容器内の液体(インク等)を消費しきるために内部の負圧をほぼ一定に保つことが可能となると共に、液体収納容器内における負圧を適切な値に保つための空気導入も適切な位置で行うため、インクの漏れ等も発生しない。また空気導入をインク中を通して行わず、液体収納容器内の気相部分で行うようにしたため、確実に空気導入が可能であることに加え、インク中に気泡を発生させることもない。さらに、内部の負圧発生機構も伸縮力をもつ部材で制御しているため、例えば温度上昇や減圧等液体収納容器の周囲環境の変化に起因した、液体収納容器内に導入されている空気の膨張を吸収でき、不本意な液体漏洩も起こすことがない。そしてこれらによって、無駄な液体消費が生じず、ランニングコストの低下にも貢献するものである。さらに、本発明は、少ない部品点数で上記効果を達成できるものである。加えて、本発明をインクジェット記録ヘッドに適用する場合には、常に安定したインク吐出特性を得ることができ、記録品位の安定化および向上に資するこるができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、液体(インク)の消費に伴って生じる負圧の増大を緩和するために内部に外気を取り入れる従来の液体収納容器の問題点を説明するための説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図3】(a)〜(e)は、図2に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図4】図2に示したインク収納容器のインク収納空間内の負圧とインク残量との関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図5に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に用いられる液体収納容器であり、インクジェット記録ヘッドが一体に取り付けられてなるインク収納容器の一例を示す模式的断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、図7に示したインク収納容器の動作を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に用いられる液体収納容器の主要部を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に用いられる液体収納容器の主要部を示す模式的断面図である。
【図11】本発明を適用可能な液体使用装置としてインクジェット記録装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1,2 液体収納容器(インク収納容器)
10,40,60 インク収納室
10A,40A,60A インク収納空間
11,41,61 可動部材
12,42,54,62,74 大気連通口
13,43,63 インク収納室外装
14,44,64 支持板
15,45,65 ばね部材
17,51,71 空気導入路
17A,52A,71A 給気口
20 インクジェット記録ヘッド
21 供給管
23 フィルタ
24 シール部材
30 弁室
31 可携性シート
33 弁室外装
34 弁閉鎖板
35 弁規制ばね
36 開口部
37 弁シール部材
38 シール部材
50,70 空気導入路収納室
52 チューブ
53,73 隔壁
55,75 シール部材
80 疎水性気体透過膜
90 多孔質体
Claims (1)
- 少なくとも一部に液体の収納空間を画成するとともに前記液体の外部への供給に伴って変位する可動部材と、当該収納された液体を外部に供給する液体供給口とを有する液体収納室と、
外部からの前記収納空間の内部への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への液体の導出を阻止するための一方向弁と、
前記一方向弁と前記収納空間との間を結合して前記導入された気体を前記収納空間に導く導入路と、
を具え、該導入路の前記収納空間側にある給気口が、使用時の姿勢において前記収納空間内の上部に位置してなることを特徴とする液体収納容器。
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