JP2005279962A - 流体連通構造、該流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置 - Google Patents

流体連通構造、該流体連通構造を用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクジェット記録ヘッドに対して密閉構造を持つインク供給システムにおいて、記録動作およびインク供給動作の障害となる気体を、インク供給経路から迅速かつ円滑に排除できるようにする。また、その構成に好適な流体連通構造を提供する。
【解決手段】 インクタンク10と、これから供給されるインクを記録ヘッド20に導くための液室50とを、2つの連通路53,54を介して流体連通させる。そして、液室内に気体が存在している状態において、一方の連通路53を介してインクタンク10からインクを移動させると同時に、他方の連通路54を介して気体がインクタンク10に移送させるようにする。また、周囲の環境の減圧または温度上昇等が生じた際の、液室50内に残留している気体(エア)の膨張に起因した吐出口からのインク漏出を防止するべく、液室の内容積を増大させることで圧力上昇を緩和するバッファ室100を設ける。
【選択図】 図8

Description

本発明は、例えば、液体使用部としての記録ヘッドあるいはペンなどに、インクなどの液体を、液体収納部としてのインクタンクなどから無駄なくかつ安定して供給するとともに、液体使用部内に存在する気体を液体収納部へ排出するための流体連通構造、並びにこれを用いるインクジェット記録ヘッドおよび装置に関するものである。
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へと液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置の一形態として、分離可能に取り付けられたインクタンクからインクの供給を受けるインクジェット記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載して記録媒体に対し記録ヘッドを所定方向に相対的に走査させるキャリッジと、記録媒体を記録ヘッドに対して上記所定方向に直交する方向に相対的に搬送(副走査)させる搬送手段と、を具え、記録ヘッドの主走査の過程でインク吐出を行わせることにより記録を行うものがある。さらに、キャリッジ上に、ブラックインクおよびイエロー、シアン、マゼンタ等の各カラーインクが吐出が可能な記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキスト画像のモノクローム印刷のみではなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能としたものもある。
かかるインクジェット記録装置においては、インク供給経路内部に混入してくる、またはしている空気等の気体の排出を適切に行うことが問題となる。
ここで、供給系内部に進入してくる気体には大きく分類して4種類の発生要因がある。
1)プリントヘッドのインク吐出口から進入する、ないしは吐出動作に伴って発生するもの、
2)インク内部に溶存していた気体が分離したもの、
3)供給経路を構成する素材を通して外部から気体透過により進入してくるもの、および、
4)カートリッジ形態のインクタンクを交換する際に進入してくるもの、
である。
ところで、インクジェット記録ヘッド内に形成される液路は非常に微細に構成されており、従ってインクタンクから記録ヘッドに供給されるインクは、塵埃等の異物が混入していない清浄な状態であることが要求される。すなわち、塵埃等の異物が混入しているような場合、記録ヘッド内のインク流路の中でも特に狭い吐出口ないしこれに直接連通する液路部分に異物が詰まるという問題が発生し、これにより正常なインクの吐出動作が行えなくなり、記録ヘッドの機能の回復が不可能となることもある。
そこで、一般に記録ヘッドと、インクタンクに突入するインク供給針との間のインク流路に、異物を除去するフィルタ部材を配置し、このフィルタ部材によって記録ヘッド側への異物の侵入が防止できるように構成されることが多い。
一方、昨今においては記録の高速化を実現するために、インクを吐出するための吐出口数も増してきており、またインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子に加える駆動信号も益々高周波数のものが採用されつつある。このために、単位時間当たりのインクの消費量も急激に増加している。
これに伴い、フィルタ部材を通過するインク量も当然ながら増大するが、フィルタ部材による圧力損失を低減するためには、供給路を一部拡大して大面積のフィルタ部材を配置するのが有効である。このために、供給経路内に気泡が混入すると、拡大部におけるフィルタ部材の上流側の空間に滞留し易く、これを排出できない状態となって、インクの円滑な供給が阻害されるという問題が生じる。また、供給経路内部に溜まっていた気体が微細な気泡となって吐出口に導かれるインク内部に混入し、インクの不吐出を生じさせる等の問題を引き起こす恐れもある。
従って、インク供給経路内に滞留する空気は速やかに除去されることが強く望ましく、そのための気泡除去の方法として、気泡をインクタンク側に移動させ、インク供給を阻害しないタンク内の部位に留めてしまう方法がある。このとき、インクタンクに移動する気泡の体積に相当する量のインクをヘッド側に移送することができれば、インクタンク内容積の変動はなく、発生する負圧を一定として、記録ヘッドに対し吐出口に形成されるメニスカスの保持力と平衡する負圧を作用することができるので、好ましいことである。また、インクタンクが記録ヘッドないしインク供給系に着脱可能なカートリッジ形態のものであれば、収納するインク残量がなくなったときに新しいものと交換されるので、インク供給系から完全に気体を除去することができる構成であると言い得る。
ところで、インクタンク側に気体を移動させる機構については、これまでにもいくつかの提案がなされている(例えば特許文献1〜特許文献4)。
例えば、特許文献1においては、記録ヘッド側を、大気連通口を有する第1室と毛管力発生部材を有する第2室とに分離し、第1室とインクタンクとを第1室側の開口の高さが異なる2以上の連通路で連結させることで、連通路の1つからインクタンク側にエアが供給されるようにした構成が開示されている。かかる構成は、第1室と第2室との水頭差、あるいは、第2室に配置した毛管力発生部材によりヘッドに負圧を作用させているものであり、第1室に大気連通口を配置させることができている。
しかしながら、この特許文献1の構成は、変形しないインクタンク内のインクを使い切るためにインク供給に応じてインクタンク内に大気を導入することが目的であり、インク供給経路内に残留した気泡をインクタンクに排除することを目的とするものではない。すなわち、インク供給経路とりわけ第2室ないし記録ヘッド側からの気体をもインクタンクに移送するために同文献開示の技術を適用することはできない。
また、特許文献2〜4に記載された構成も、特許文献1と同様、基本的に大気開放系のインク供給路を有するものであり、インク供給経路内に残留した気泡の排除を行う目的に対して、これらの文献に開示された技術を適用することはできない。
特開平5−96744号公報 特開平11−309876号公報 特開平10−29318号公報 特開2001−187459号公報
以上の通り、上記特許文献1〜4には、気体を最上流のインクタンクへと導入する点については開示があるが、使用状態において密閉構造であるインク供給経路内に滞留する気体、すなわち上記(1)〜(4)のような要因で進入し、滞留するような気体をインクタンク側に円滑に移送し、留めておく目的には、いずれも合致していない。
本明細書においては、インクタンクなど液体収納部の装着時において、密閉構造の液体供給経路内に残留する気体を円滑かつ迅速に液体収納部側に移送させる構成を開示する。
そして本発明は、かかる構成に好適な流体連通構造を提供することを目的とするものである。
そのために、本発明は、液体を収納するための液体収納部を着脱可能で、当該装着時に前記液体収納部と前記液体を使用する液体使用部とを流体連通する流体連通構造であって、
前記液体使用部に連通した液室と、
前記液体収納部の装着時に前記液体収納部と前記液室との連通を行わせるための連通路と、
前記液体収納部の非装着時に前記連通路を閉塞する閉塞部材と、
を具え、
前記液室は、
前記連通口と前記液体使用部とを除いて実質的な密閉空間を形成するとともに、
該空間内の圧力が周囲の圧力に対して相対的に上昇するときにこれを緩和する圧力上昇緩和手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、前記液体としてのインクを吐出することで記録を行う前記液体使用部としてのインクジェット記録ヘッドであって、上記流体連通構造を一体的に有することを特徴とする。
さらに、本発明は、かかるインクジェット記録ヘッドを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し前記記録ヘッドより前記液室が実質的に上位に位置し、さらに前記液体収納部としてのインクタンクが前記液室より実質的に上位に装着されるよう、前記インクジェット記録ヘッドを保持して記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置に存する。
本発明によれば、液体収納部(インクタンク)の非装着時において環境の変化、例えば周囲の減圧や内部の温度上昇が生じても、内部のエアの膨張に起因した圧力の上昇が緩和されるので、液体使用部(記録ヘッド)部からのインク漏出を効果的に防止することができる。かかる構造は特に、連通路を複数具え、前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を、前記複数の連通路の一部を介して、前記液体収納部に移送可能である液体供給・使用システムの流体連通構造に適用して好適である。かかる流体連通構造は、新たな液体収納部を装着すればそれに対して容易かつ迅速に気体を排除できるので、液体(インク)が完全に消費された後に交換を行うことができるという利点を有しており、内のインクが消費されつくしても、液室内にインクが残っていれば記録動作を継続でき、液室内へのエアの侵入が許容され得るからである。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(基本構成)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
本例の記録装置150はシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、ガイド軸151,152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ153は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、記録ヘッドおよび液室を有する記録ヘッドユニットと、これに装着されてインクを供給するインクタンクとからなる液体供給・使用システム154が搭載される。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
キャリッジ153の移動領域における図1中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッドのインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッドのインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持するための回復処理を行うことができる。また、画像形成とは別に、キャップ内に向かってインク吐出口からインクを吐出させることによって記録ヘッドの良好なインク吐出状態を維持する回復処理(「予備吐出処理」とも呼ばれる)を行うこともできる。
図2および図3は、液体供給・使用システム154をそれぞれ、記録ヘッド側およびインクタンク側から見た斜視図、図4は図3におけるIV−IV線で液体供給・使用システム154を破断して示す斜視図である。記録ヘッドユニット20Uは、ブラック(K)のインクを吐出する吐出口を配列してなる吐出部21Aと、カラーインク、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のインクをそれぞれ吐出する吐出口を配列してなる吐出部21Bとを、用紙Pとの対向部に有している。そして、記録ヘッドユニット20Uに対しては、図3および図4に示すように、各色インクを収納するインクタンク10が装着される。
なお、吐出部21Aおよび21B(以下、特定しない場合は符号21をもって参照する)は、インクを吐出するためのエネルギとして、電気熱変換体から発生する熱エネルギを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、吐出部21におけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式等であってもよい。
図5は記録ヘッドユニット20Uにおける記録ヘッドおよび液室部分の模式的断面図であり、図4のX部分を図中の矢印Z方向から見た状態を示している。図示の例では、吐出部21を有する記録ヘッド20と液室50とが一体化されており、両者間にはフィルタ23が備えられ、供給されるインク中に混入した不純物が記録ヘッド20内へ流れ込んでいくことを防止している。
液室50には、後述のようにインクタンク10内に挿入される接続部51が設けられている。すなわち本例の場合、接続部51を有する液室50が流体連通構造を構成する。これによって両者が流体的に結合され、記録ヘッド20へ向けてインクが供給可能となる。
接続部51は内部が軸方向に沿って2分割された中空針状の部材であり、それぞれの中空部の、上側すなわちインクタンク内に位置づけられるべき開口位置(以下、タンク側開口位置という)は鉛直方向に関してほぼ同一の高さである一方、下側すなわちヘッドに連結された液室内での開口位置(以下、ヘッド側開口位置という)は高さが異なる構成となっている。以下、液室50内でのヘッド側開口位置が鉛直方向において相対的に下にある方の流路(図中の右の流路)をインク流路53、ヘッド側開口位置が鉛直方向において上にある方の流路(図中の左の流路)をエア流路54と便宜上称する。しかしこれは、液室50からインクタンク10への気泡排除過程において、主としてインク流路53からインクが記録ヘッド側に導出され、エア流路54からはインクタンク側にエアが移送されるからであって、液室側およびインクタンク側の圧力関係によっては各流路においてインクおよびエアの両者の移動も行われるものである。すなわち、それら流路の呼称は、それぞれの流体専用であることを意味するものではない。
70は、液室55に対し昇降可能に設けられた閉塞部材であり、ばね71により上方に付勢され、タンクの非装着時にはストッパ72により係止されてインク流路53およびエア流路54のタンク側開口を閉塞する。この閉塞部材70はインクタンク10の装着動作に伴って下降することで、接続部51のタンク側開口を開放しつつ、インクタンク10内への接続部51の突入を許容する。なお、閉塞部材70は、図に示すように、インク供給管51のタンク側開口52をシールするための弾性材料でなるシール部70Aと、これを保持するとともにストッパ72に係合する剛性材料でなるホルダ部70Bとの2部品で構成されていてもよい。
液室50に対しインクタンク10が装着されていない図示の状態にあって、常温常圧の環境下においては、インク供給管51の連通口52をシール部材70で密閉することで、液室50内に貯留されているインク20が、その液面と吐出口との水頭差によって流出することを防止している。図の状態においては、液室50内にはインク200と空気210とが存在している。このとき、液室50内の空気210は、インク供給管51のタンク側開口がシール部材70によって密閉されているため、上記水頭差と平衡した状態に維持されている。
次に、インクタンク10は、接続部51を介して液室50ないし記録ヘッド20と接続されることで供給・使用システム内を密閉構造とするとともに、この状態で記録ヘッド20に対して適切な負圧を作用する手段を有するものとすることができる。
図6はその一例を示すもので、概してインク収納空間が画成されるインク収納室12およびバルブ室30との2室からなり、その両室の内部は連通路13を介して互いに連通されている。そして、インク収納室12内には記録ヘッドから吐出させるためのインクが収納され、吐出動作に伴って記録ヘッドに供給される。
インク収納室12には、一部に変形可能な可撓性膜(シート部材)11が配設されており、このシート部材11に圧力板14が貼着されている。そして、シート部材11と不撓性の外装15との間でインクを収納する空間を画成している。このシート部材11から見たインク収納空間に対する外側空間、すなわち図におけるシート部材11に対して上側の空間は、大気に開放され大気圧と等しくされている。さらにこのインク収納空間内は、下方に位置する液室50の接続部51への接続部およびバルブ室への連通路13を除いて、実質的に密閉空間を形成している。
バルブ室30には、インクタンク10内の負圧が所定値以上に高まったときに外部から気体(空気)を導入するとともに、インクタンク10からのインク漏出を阻止するための一方向弁が構成される。この一方向弁は、連通口36を有して弁閉鎖部材となる圧力板34と、バルブ室筐体内壁の連通口36との対向位置に固定されて連通口36を密閉可能なシール部材37と、圧力板と接合されるとともに連通口36が貫通したシート部材31とを有し、バルブ室30内においてもインクタンク10への連通口13および大気への連通口36を除いて実質的に密閉空間を維持している。そしてシート部材31より図中右側の、バルブ室筐体内の空間は、大気連通口32によって大気に開放され、大気圧と等しくされている。
バルブ室30の内部には、弁の開放動作を規制するための弁規制部材として、ばね部材35を設けてある。ここでもばね部材35はやや圧縮された状態としておき、この圧縮の反力によって圧力板34を図の右方に押す構成としている。このばね部材35の伸縮によって、連通口36に対するシール部材37の密着/離間を行うことで弁としての機能をもたせ、さらに大気連通口32から連通口36を介してバルブ室30内部への気体の導入のみを許可する一方向弁機構としている。
かかるインクタンク10の構成では、インクが十分に満たされている初期状態からインク消費が進んで行き、インク収納室12内の負圧と、バルブ室30内における弁規制部材によって作用する力等とがつりあった状態からさらにインク消費が継続されて負圧がさらに強まった瞬間に、連通口36が開放されて大気の流入が生じ、インク収納空間内に取り込まれるように各部の設計が行われる。そして、この大気の取り込みによってインク収納室10内の容積はシート部材11ないし圧力板14が図の上方に変位可能であることで逆に増大することができ、同時に、負圧も弱まることによって連通口36が閉鎖される。
液室50側の接続部51が挿通されるインクタンク側開口にはゴム等の封止部材17が取り付けられ、接続部51の周囲に密着してインクタンク10からのインク漏出を防止するとともに、接続部51とインクタンク10との接続を確実なものにする。なお、封止部材17には、接続部51の挿通を容易とするために、当該挿通位置に予めスリット等を形成しておいてもよい。そして、接続部51が挿通されないときは、封止部材17自体の弾性力によってスリットが閉じられることにより、インクの漏出を防止しているものである。
図6に示すようなインクが充填されている新しいインクタンク10が液室50ないし記録ヘッド20に未装着状態である場合、ばね部材40による負圧が発生しているとともに、シート部材11がインクタンク外側へ突出した状態となっている。一方、記録ヘッド20側においては、それまで装着されていたインクタンク10が空になっても液室50に残ったインクを使用して記録が行われていたため、そのインクタンク側からエアが侵入し、図5のように液室50におけるフィルタ23の上流領域において上部に気体が溜まっている状態となっている。
この状態から、新たなインクタンク10を装着した直後の状態においては、記録ヘッド20ないし液室50側の圧力とインク収納室12内の圧力との差に応じ、前者の圧力が相対的に高ければインクタンク10を装着した瞬間に液室50内の気体の一部がインク収納室12内に移動してその上部に溜まり、インク収納室12内と液室50内とで圧力が平均化される。ここで、接続部51のインク流路53およびエア流路54内でインクがメニスカスを形成していると、そのメニスカスにより、圧力バランスがつりあった段階で気体の移動が停止する。液室側の気体の容積によってはこの状態で気体除去が完了する場合もあるが、除去すべき気体が残存している場合もある。
そこで、記録ヘッド20からの予備吐出動作あるいは吸引排出動作を行なわせると、記録ヘッド20ないし液室50内の負圧が高まり、接続部51に形成されるインクのメニスカスを破り、インクタンク10から液室50に向けてインクが移動する。これに伴い、インク収納室12の内容積が減少し、シート部材11が圧力板14に規制されつつ下方に向けて変形する。これによりばね部材40が圧縮され、インク収納室12内の負圧も高まる。
ここで、インク流路53とエア流路54との管径がほぼ等しければ、流路の圧力損失は記録ヘッド20ないし液室50内の負圧に対して大きな差がなく、流路それぞれからインクが供給される。インク流路53のヘッド側開口53がインクに接している状態では、インク流路53からそのままインクが流れ込む。一方、気体が液室50の上部に滞留している状態では、エア流路54のヘッド側開口54の位置においてインクはメニスカスを形成するが、記録ヘッド20ないし液室50内の負圧が高ければ滴下する。
ここで、上述のように、鉛直方向において、接続部51のインク流路53のヘッド側開口位置は相対的に下にあり、エア流路54のヘッド側開口位置は相対的に上にある。すると、予備吐出あるいは吸引排出を停止した状態では、両開口位置からインクタンク内のインク液面までの高さの差すなわち液室内の両開口の鉛直方向の高さの差に対応した、インクの水頭による圧力差と、それぞれの流路においてインクが形成するメニスカスによる圧力の差との関係に応じて、インク流路53では液室50へのインク移動が生じるような力が発生し、エア流路54ではインクタンク10側へのエア排出が生じるような力が発生し、インクタンク10と液室50との間で気液交換が行なわれる。
図7はその状態を示している(但しインクタンクは簡略化して表示)。すなわち、液室50内にエア210が存在していれば、インクタンク10からインク流路53を介して液室50へとインク200が流入するとともに、液室50からはエア流路54を介してインクタンク10へとエア210が移動し、これらの流体移送動作は同時に進行する。その後、液室50内の気液界面がエア流路54のヘッド側開口位置まで上昇し、インク移動およびエア排出が停止する。
以上の通り、本実施形態の基本構成は、吸収体等にインクを保持させずにそのまま貯留ないし供給されるようにした構成を採用する一方、可動部材(シート部材、圧力板)とこれを付勢するばね部材とにより負圧発生手段を構成するとともに液体供給・使用システム内を密閉構造とすることで、記録ヘッドに対して適切な負圧を作用するようにした。
かかる構成は、吸収体により負圧を発生させる構成に対して、容積効率が高く、かつインク選定の自由度も向上できるものである。また、そればかりでなく、近年の記録の高速化に伴って求められるインク供給の高流量化や安定化の要望にも好ましく応え得るものである。
また、液室がインクタンクとの接続部分および記録ヘッドとの接続部分を除き、インクをそのまま貯留する密閉構造を有すること、および、好ましい負圧を維持するための大気導入をインクタンクに対して直接行うようにして、記録ヘッドに直接連通する液室には気体が極力入らないようにした。この条件は、インク供給の高流量化や安定化を実現し、高速記録(吐出)を行っても吐出特性を常に良好に保持する上で極めて好ましく、上記特許文献のいずれにも開示ないし示唆されないものである。
また本実施形態の基本構成では、供給経路に滞留する気体を排除する目的に対して、記録ヘッドから最も離れた最上流位置であるインクタンクにこれを移送するものとし、そのために複数の流路を介してインクタンクとインク供給経路とを連結するとともに、両者の圧力のバランスを利用することでインクタンクからのインク導出とインクタンクへの気体導入とが並行して行われるようにした。
かかる構成によれば、供給経路内の滞留気体を、複雑な装置を必要とせず、部品点数の増加が少なく簡単な構造でありながら、円滑かつ迅速にインクタンク側に排除することができる。また、排除のタイミングも、気体がある程度蓄積すると圧力のバランスに従って自ずと行われるため、気体排除の信頼性が高いものである。
また、気体排除の過程において、常にインクタンクの負圧を維持しているのでインクジェット記録ヘッドのインク吐出口などからの液体漏洩を確実に防止することができる。さらには、気体をインクタンク側に排除することによって、記録ヘッドの吐出口側からインク吸引を行うことで気体を排除する方法に比較してインク消費量を格段に減少させることができ、インク浪費を抑えて、ランニングコストの低減にも貢献するものである。
加えて、供給経路に対して着脱可能に構成されたインクタンクを用いる場合において、従来は、交換操作時に供給経路側に気体が侵入することを防止するために、供給経路がインクで満たされている状態で、すなわちインクを完全に消費しきる前にインクタンクの交換を行っている場合が多かった。しかし上記構成によれば、交換操作時に供給経路内に気体が侵入しても、新たなインクタンクを装着すればそのインクタンクに対して容易かつ迅速に気体を排除できるので、インクが完全に消費された後に交換を行うことができ、またこれにより、ランニングコストのさらなる低減できるのみならず、環境問題に対しても資するところが大きい。さらに、上述の実施形態においては、通常の使用時の姿勢においてインクタンクを最も高所に配置し、供給部ないし記録ヘッドが低所に配置されている。これは、気液交換を迅速かつ円滑に、かつ簡単な構成で行う上で非常に好ましい配置である。
さらに、本実施形態によれば、接続部51の内部を2分割して2つの流路を設け、各流路のヘッド側開口位置の高さに差をつけることで、複雑な構成を必要とすることなく、フィルタ上流領域の滞留気体をインクタンク側に速やかに移送することが可能となる。
また、インクに色材として顔料を含むものを用いた場合は、エアーがタンクに輸送される際に、顔料粒子の沈降を拡散させ、インクの保存安定性や吐出の信頼性を確保できる。
(特徴構成)
さて、上述の基本構成は、インク供給経路内に気体が侵入しても、新たなインクタンクを装着すればそのインクタンクに対して容易かつ迅速に気体を排除できるので、インクが完全に消費された後に交換を行うことができるという利点を有している。換言すれば、インクタンク10内のインクが消費されつくしても、液室50内にインクが残っていれば記録動作を継続できるのであり、液室内へのエアの侵入が許容されると言うことである。
このように、液室50内にエアが存在する状態にあっては、例えば周囲環境の温度上昇により減圧が生じた場合や、記録ヘッド自身の昇温等が生じた場合に、液室50内に残留している気体(エア)が膨張するため液室50内が加圧された状態になり、記録ヘッドの吐出口からインクが押し出され、漏出してしまう懸念がある。すなわち、インクタンク10が装着されている場合にはインクタンク側へとエアが移送されるため問題はないが、インクタンク交換時において使用済みのインクタンクが取り外されてから新たなインクタンクが装着されるまでに環境の変化が生じたような場合には、そのようなインクの漏出が生じ得るのである。
その際に記録ヘッドが記録装置内の所定の位置、例えば図1における回復系ユニット158のキャップに対向する位置にあった場合には、吐出口から漏出するインクを受けることができる。しかしそのような位置にない場合は、インクジェット記録装置内がインクで汚染されてしまう恐れがある。特にインクタンクの交換時には、ユーザの操作性を考慮して記録ヘッドユニット20を主走査範囲の中央付近に位置づける構成が採られることがあるが、使用済みのインクタンクが取り外されてから新たなインクタンクが装着されるまでに時間がおかれ、またはその間に環境の変化が生じたような場合には、インクの漏出による装置の汚染が生じ得る。
そこで、本実施形態の特徴構成では、例えば周囲の環境の減圧または温度上昇等が生じた際の、液室50内に残留している気体(エア)の膨張に起因した吐出口からのインク漏出を防止する手段を講じるものである。
図8および図9はその構成の一例および動作を説明するための図である。
本例に係る液室50は、その一部に一体的に構成された弾性構造であるところのバッファ室100を有している。バッファ室100には、変形可能なシート部材102が配設されており、このシート部材102によってバッファ空間が画成される。シート部材102には圧力板101が貼着され、ばね103によって図中の下方、すなわちバッファ空間の容積を小さくする方向に、所定の加圧力をもって付勢されている。
ここで、圧力板101は、液室50の内部圧力を圧力板101の表面全体に均一に受けるため、十分に剛性のある材料で形成されている。また、シート部材102は、圧力板101の挙動に無理なく追従できるように、柔軟性のある材料で形成される。さらに、液室50は密閉された空間であるため、圧力板101、シート部材102および液室50の内壁と連続して接続しているバッファ室100の内壁は、それぞれが隙間なく接続されている。
圧力板101に液室50内側からばね103の付勢力以上の圧力が加わると、圧力板101およびこれに接続されているシート部材102は、図の上方に移動する(図9)。すなわち、図8の部分Aの容積が図9の部分A’の容積まで増加するのに相当する分、液室50の内容積が増加可能である。
従って、図8のように、液室50内部にインク200と空気210とが存在している状態において、環境の変化、例えば、周囲の減圧やヘッド内温度の上昇等が生じても、圧力板101の位置が図8から図9まで移動するのに相当する容積分、液室50内の空気210の膨張が許容されるので、換言すれば当該容積分の空間がバッファ領域として機能するので、周囲環境の変化等に伴う内部圧力の上昇を緩和し、吐出部21からのインク200の漏出を効果的に防止することができる。このとき、バッファ室100のシート部材102の外側の空間では容積が縮小するが、大気連通口106を備えることで、当該容積縮小に伴う圧力上昇分を外部へ逃がすことができる。
また、バッファ空間の容積Aが所定値以下にならないように、シート部材102の長さによって規制されており、インクタンク10の装着時において液室50内の圧力が減圧した場合には記録ヘッド20のインク吐出性能に何ら影響を与えない構造となっている。すなわち、液室50ないし記録ヘッド20の内部は、インクタンク10の負圧発生手段が作用する好ましい負圧状態に維持されることになる。
図10および図11はインク漏出防止構造の他の構成例および動作を説明するための図である。
本例に係るバッファ室100’は、液室50の外壁の一部をなす部分105に対して、固定部107により周縁部が隙間なく固着され、中央部が固定されていない弾性シート部材104によって形成され、当該中央部に対応する液室外壁には開口が設けられている。ここで、弾性シート部材104は、例えばゴム等の素材で略平板状に成形されたものであり、素材の性能範囲内で、外力の作用/解除に応じて伸縮・変形/復元が可能な弾性を有するものである。すなわち、図の下方に向って、所定の加圧力をもって付勢されていることと同等の作用を有している。また、液室50内が周囲環境に対して減圧された状態では、外壁部分105が弾性シート部材104の図の下方への変形を規制し、これによって液室50の内容積の減少を抑制している。
圧力板101に液室50内側からばね103の付勢力以上の圧力が加わると、圧力板101およびこれに接続されているシート部材102は、図の上方に移動する(図9)。すなわち、弾性シート部材104に液室50内側から弾性シート部材104の原形復元力以上の圧力が加わると、弾性シート部材104は、図の上方に移動する(図11)。すなわち、図10の部分Bの容積が図11の部分B’の容積まで増加するのに相当する分、液室50の内容積が増加可能である。
従って、図8のように、液室50内部にインク200と空気210とが存在している状態において、環境の変化、例えば、周囲の減圧やヘッド内温度の上昇等が生じても、弾性シート部材104が図10から図11まで変形するのに相当する容積分、液室50内の空気210の膨張が許容されるので、換言すれば当該容積分の空間がバッファ領域として機能するので、周囲環境の変化等に伴う内部圧力の上昇を緩和し、吐出部21からのインク200の漏出を効果的に防止することができる。
また、バッファ室100は、容積Bが所定の値以下にならないように、外壁部分105によって弾性シート部材104の図における下方への移動を規制しており、インクタンク10の装着時において液室50内の圧力が減圧した場合には記録ヘッド20のインク吐出性能に何ら影響を与えない構造となっている。すなわち、液室50ないし記録ヘッド20の内部は、インクタンク10の負圧発生手段が作用する好ましい負圧状態に維持されることになる。
以上の通り、本実施形態の特徴構成によれば、インクが完全に消費された後に交換を行うことができるという利点を有する、すなわち液室内へのエアの侵入が許容される基本構成に対し、環境変化に伴う液室内残留気体の膨張に対応して液室内容積を増大させることで内部圧力の上昇を緩和する手段を設けたことによって、吐出口からのインク漏出を効果的に防止することができ、従って装置の汚染を防止することができる。また、かかる手段は液室内容積の減少を許容しないように構成されているので、液室50ないし記録ヘッド20の内部は、インクタンク10の負圧発生手段が作用する好ましい負圧状態に維持され、従って気液交換動作やインク供給動作、およびインク吐出動作に影響を与えることがない。
(その他)
なお本発明は、以上の実施形態または随時述べた変形例に限られることなく、本発明の思想の範囲内で適宜の変形を施すことが可能である。
例えば、基本構成に関して、インクタンクに導入された気体は、これがインク供給経路に戻らず、インク供給が阻害されない位置であれば、インクタンク内のどこに貯留されてもよい。しかし、インクを吸収体などに含浸させずにそのまま貯留するようにした上記実施形態の構成は、導入された気体がそのままインクタンク内の最上部に位置することになるので、好ましいものである。そしてこのように、インクタンク内に吸収体が存在しない場合、タンクの容積そのものがインクの容量となりうるので、必要以上にインクタンクを大きくする必要がなく、またタンクの形状も比較的自由に設計できるのである。
この基本的な条件を満たす構成であれば、負圧発生手段は上記各実施形態のようなばねと可撓性部材との組み合わせによるもののほか、その他の構成を採ることもできる。すなわち、本発明の基本的な条件は負圧発生手段としての吸収体の採用を排除するものではない。
また、特徴構成に関して、上記実施形態では、環境変化に伴う液室内残留気体の膨張を許容すべく液室50の内容積を増大することで内部圧力の上昇を緩和する手段を設けた。この内部圧力の上昇の緩和という観点で言えば、例えば内部圧力が周囲環境の圧力に対して相対的に高くなったときにのみ開放される一方向弁を採用してもよい。
また、上記実施形態では複数の流路を構成する接続部を液室ないし記録ヘッド側に設けたが、これをインクタンク側に設けることもできる。また、一部の流路を液室ないし記録ヘッド側の接続部に、他の流路をインクタンク側の接続部に構成するようにしてもよい。これらの場合、インクタンク側の接続部の侵入を受容する開口が設けられるが、その開口もインクタンクとの非接続時において閉塞されるものである。また、特許請求の範囲で言う「液体収納部と液室との連通を行わせるための連通路」とは、かかる開口も含むものである。
また、内部を複数に分割して複数の流路を形成する接続部とする場合にも、上例のように流路間の隔壁を直線状に形成するのみならず、同心円状に形成することで多重管構成の接続部とすることができる。さらに、流路の数は2つに限られず、3以上設けられるものでもよい。さらに本発明は、単一の流路ないし「連通路」を介して液体収納部(インクタンク)と接続される構成を排除するものではない。
また、以上の説明では本実施形態の記録方式として、シリアル型のインクジェット記録装置を適用してきたが、本発明および本実施形態はこれに限定されるものではない。また、シリアル型でなくライン走査型の記録装置であっても本発明および本実施形態を適用することは可能である。さらに、液体供給・使用システムは、インクの色調(色や濃度など)に対応して複数設けることができるのは言うまでもない。
さらに、以上では本発明を記録ヘッドにインクを供給するインクタンクに適用した場合について説明したが、記録部としてのペンにインクを供給する供給部に適用されるものでもよい。
また、本発明は、そのような種々の記録装置の他、飲料水や液体調味料などの種々の液体を供給するための装置、あるいは薬品を供給する医療の分野などに広範囲に適用することができる。
本発明を適用可能なインクジェット記録装置の構成例を示す斜視図である。 図1の液体供給・使用システムを記録ヘッド側から見た斜視図である。 図1の液体供給・使用システムをインクタンク側から見た斜視図である。 図3におけるIV−IV線で液体供給・使用システムを破断して示す斜視図である。 液体供給・使用システムを構成する記録ヘッドユニットにおける記録ヘッドおよび液室部分の模式的断面図であり、図4のX部分を図中の矢印Z方向から見た状態を示している。 図5の記録ヘッドユニットに適用可能なインクタンクの構成例を示す模式的断面図である。 記録ヘッドユニットにインクタンクを装着した状態の液体供給・使用システムの模式的断面図であり、その使用時の姿勢を示している。 本発明の特徴構成に係る記録ヘッドユニットにおける記録ヘッドおよび液室部分の構成例および動作を説明するための模式的断面図である。 本発明の特徴構成に係る記録ヘッドユニットにおける記録ヘッドおよび液室部分の構成例および動作を説明するための模式的断面図である。 本発明の特徴構成に係る記録ヘッドユニットにおける記録ヘッドおよび液室部分の他の構成例および動作を説明するための模式的断面図である。 本発明の特徴構成に係る記録ヘッドユニットにおける記録ヘッドおよび液室部分の他の構成例および動作を説明するための模式的断面図である。
符号の説明
10 インクタンク
20 インクジェット記録ヘッド
20U 記録ヘッドユニット
21、21A、21B 吐出部
23 フィルタ
50 液室
51 インク供給管
52 インク供給口
53 エア流路
54 インク流路
70 閉塞部材
71 ばね
72 ストッパ
100、100’ バッファ室
101 圧力板
102 シート部材
103 ばね
104 弾性シート部材
105 外壁部分
106 大気連通口
150 インクジェット記録装置
153 キャリッジ
154 液体供給・使用システム
158 回復系ユニット
200 インク
210 空気

Claims (8)

  1. 液体を収納するための液体収納部を着脱可能で、当該装着時に前記液体収納部と前記液体を使用する液体使用部とを流体連通する流体連通構造であって、
    前記液体使用部に連通した液室と、
    前記液体収納部の装着時に前記液体収納部と前記液室との連通を行わせるための連通路と、
    前記液体収納部の非装着時に前記連通路を閉塞する閉塞部材と、
    を具え、
    前記液室は、
    前記連通口と前記液体使用部とを除いて実質的な密閉空間を形成するとともに、
    該空間内の圧力が周囲の圧力に対して相対的に上昇するときにこれを緩和する圧力上昇緩和手段を有することを特徴とする流体連通構造。
  2. 前記圧力上昇緩和手段は、前記液室の内容積を増大させる手段を有することを特徴とする請求項1に記載の流体連通構造。
  3. 前記圧力上昇緩和手段は、前記液室の内容積を変化させる伸縮自在の弾性部材と、前記液室内容積が減少する方向に前記弾性部材を付勢する付勢部材とを有することを特徴とする請求項2に記載の流体連通構造。
  4. 前記圧力上昇緩和手段は、前記空間内の圧力が周囲の圧力に対して相対的に低下する場合の前記液室の内容積の減少を規制する手段を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の流体連通構造。
  5. 前記連通路を複数具え、前記密閉空間内に気体が存在する状態において、前記気体を、前記複数の連通路の一部を介して、前記液体収納部に移送可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の流体連通構造。
  6. 前記液体収納部は、前記使用部からの液体の漏出を防止し、かつ前記使用部の液体の使用状態を阻害しない圧力が作用するように圧力調整を行うための手段を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の流体連通構造。
  7. 前記液体としてのインクを吐出することで記録を行う前記液体使用部としてのインクジェット記録ヘッドであって、請求項1ないし6のいずれかに記載の流体連通構造を一体的に有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  8. 請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドを用い、使用時の姿勢において、鉛直方向に関し前記記録ヘッドより前記液室が実質的に上位に位置し、さらに前記液体収納部としてのインクタンクが前記液室より実質的に上位に装着されるよう、前記インクジェット記録ヘッドを保持して記録を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
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