JP3592112B2 - 液体供給システム、液体収納容器、およびヘッドカートリッジ - Google Patents

液体供給システム、液体収納容器、およびヘッドカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部へ液体を供給するための負圧を利用する液体供給システムに関し、より具体的には記録ヘッドに液体を供給して被記録媒体に印字記録する液体噴射記録装置における液体供給システム、該システムに用いられる交換液体収納容器及びヘッドカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、外部へ液体を供給するための負圧を利用する液体供給方法としては、例えばインクジェット記録装置分野では、インク吐出ヘッドに対して負圧を与えるインクタンクが提案され、記録ヘッドと一体化可能にした構成(インクジェットカートリッジ)が実施されてきた。インクジェットカートリッジは、さらに分類すると、記録ヘッドとインクタンク(インク収容部)とが常時一体の構成と、記録手段とインク収納部が別体で、かつ記録装置に対して双方とも分離でき、使用時に一体にして使用する構成とに分けることができる。
【0003】
このような液体供給システムにおいて負圧を発生させるための最も容易な方法の一つとして、多孔質体の毛管力を利用する方法が挙げられる。この方法におけるインクタンクは、インクタンク内部全体にインク貯蔵を目的として収納、好ましくは圧縮収納されたスポンジ等の多孔質体と、印字中のインク供給を円滑にするためインク収納部に空気を取り入れ可能な大気連通口とを含む構成となる。
【0004】
しかし、多孔質部材をインク保持部材として使用する場合の課題として、単位体積当たりのインク収納効率が低いことが挙げられる。この課題を解決するために、本出願人は、EP0580433号公報に示されるように、負圧発生部材収納室に対して連通部を除く全体が実質密閉のインク収納室を有し負圧発生部材収納室を大気に開放した状態で使用されるインクタンクを提案している。また、EP081531号公報において、上述のインクタンクに対して、インク収納室を交換可能にした発明を提案している。
【0005】
上述のインクタンクは、インク収納室内のインク導出に伴って気体がインク収納室内に収納される気液交換動作によってインク収納室から負圧発生部材収納室へのインク供給が行われるために、この気液交換動作中は、ほぼ一定の負圧条件下でインクを供給できるメリットがある。
【0006】
一方、本出願人は、EP0738605号公報において、略多角形状の筐体と、筐体の内面と同等もしくは相似形の外面を有し内部に収納される液体の導出に伴い変形可能な収納部と、を備え、収納部の厚さを、略多角形状の各面の中央域より角部を構成する部分を薄くすることを特徴とする液体収納容器を提案している。この液体収納容器は、液体の導出に伴い収納部が適当に収縮する(現象的には気液交換していない)ことで、負圧を利用しながら液体供給ができるものである。そのため、従来の袋状のインク収納部材に比べて、配置する位置に制限されることがなくなり、キャリッジ上に配置することができる。また、収納部に直接インクを保持することで、インク収納効率の向上という点からも優れた発明である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したような負圧発生部材収納室と、これに対するインク収納室とを隣接させたタイプのインクタンクは、予め定められている固定された収納空間をもつインク収納室のインクを負圧発生部材収納室へ供給する際に、インク収納室内に気体を導入する気液交換を行うものである。
【0008】
従って、インク収納室のインクを負圧発生部材収納室へ供給すると、それに連動してインク量に相当する外気の導入が行われるため、インク収納室内には外気とインクとが存在することになる。この外気がプリンタの使用される環境変化(例えば一日の温度差)により膨張することで、インク収納室内のインクが負圧部材発生部材収納室側へ導出されることがある。そのため、従来は、その膨張割合に対するインク移動量を種々の使用環境とともに考慮して、実用上は負圧発生部材に最大限のバッファ空間を確保し結果的にインク収納室内の内容積をあまり大きくできない場合があった。
【0009】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、負圧発生部材収納室と、これに対するインク収納室とを隣接されたタイプのインクタンクの、空気が入ったインク収納室の状況を詳細に分析することになった。その結果、インク収納室内のインクの負圧発生部材収納室への供給は気体の導入と連動して行なわれていることから、インク収納室から負圧発生部材へ移動するインク量に規制を与えればよいという知見を得た。
【0010】
そして、更なる分析の結果、インク収納室内に存在する空気の外部環境の変化による膨張を阻止することはできないが、このインク収納室内における空気の膨張をインク収納室内で許容する、という従来とは異なる逆転の発想を想起するに至った。
【0011】
本発明は上述の新規な知見をもとに、本発明者らの更なる鋭意検討の結果想起されたものである。
【0012】
本発明者たちが認識した点は、“インク収納室を交換可能とした場合において、より安定した液体供給のためには大気導入のための促進構造を設けるとともに、促進構造がインクの固着などにより目詰まりすることなく有効に機能することが大切である。”ということである。
【0013】
本発明の目的は、上記インク収納室(液体収納容器)が交換可能な液体供給システムにおいて、常に安定した負圧を発生し確実にインク供給を実現することのできる、より実用性に優れた液体供給システム及び該システムに用いられる液体収納容器を提供することである。
【0014】
加えて、本発明のその他の目的は、上記液体供給システムを適用可能なヘッドカートリッジなど、関連する諸発明を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の諸目的を達成するための本発明の具体的な手段は以下の構成から理解できよう。
【0016】
本発明の液体供給システムは、外部に液体を供給するための液体供給部と大気と連通する大気連通部とを備え内部に液体を保持する負圧発生部材を収納する負圧発生部材収納室と、該負圧発生部材収納室に対して着脱自在に交換可能であって、前記負圧発生部材収納室に対しての連通を除いて実質的な密閉空間を形成するとともに液体を収納する液体収納容器と、を用いる液体供給システムにおいて、
前記負圧発生部材収納容器に対して装着される前記液体収納容器は前記負圧発生部材収納容器との接続部に、前記液体収納室内に気体を導入して液体を導出させる気液交換を生じせしめるための大気導入溝を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の液体収納容器は、外部に液体を供給するための液体供給部と大気と連通する大気連通部とを備え内部に液体を保持する負圧発生部材を収納する負圧発生部材収納室に対して着脱自在に交換可能であって、前記負圧発生部材収納室に対しての連通を除いて実質的な密閉空間を形成するとともに液体を収納する液体収納室において、
前記負圧発生部材収納容器との接続部に、前記液体収納室内に気体を導入して液体を導出させる気液交換を生じせしめるための大気導入溝を有することを特徴とする。
【0018】
上述の液体供給システム及び液体収納容器によれば、大気導入溝が液体収納室とともに交換可能となるため、大気導入溝の機能に障害が発生することなく、安定した液体供給を行うことのできる液体供給システムを提供することができる。また、接続時に負圧発生部材の毛管力を利用して液体収納部内の液体の一部を負圧発生部材収納容器に移動させることができるので、接続部における負圧発生部材の液体保持状態に関わらず、装着すれば確実に液体収納容器の液体を使用することができる。
【0019】
さらに、上記の液体供給システム及び液体収納容器は、前記液体収納容器は、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な液体収納部と、該液体収納部を覆う筐体と、該筐体と前記液体収納部との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えたことを特徴とする。
【0020】
このような液体収納部を備えた構成によれば、液体収納部が弾性変形可能であるので、液体収納部内部に導入された空気などが環境変化に伴い膨張したとしても液体収納部が元の形状に戻ることでその影響を緩和することができる。
【0021】
さらに、前記液体収納部の液体導出口部は密閉部材により密閉されていることが好ましい。この場合において前記密閉部材は前記液体収納容器を前記負圧発生部材収納容器に装着した後、離脱することが好ましい。
【0022】
前記負圧発生部材収納容器は前記大気導入溝と大気連通部との間に前記負圧発生部材が介在するものである。
【0023】
前記負圧発生部材収納容器には、前記大気導入溝と合致して一体となり気液交換を行なう溝が設けられていることも考えられる。
【0024】
また、本発明のヘッドカートリッジは、上述の負圧発生部材収納容器から供給される液体を外部へ吐出して記録を行なう記録ヘッド部を有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例の詳細を図面に基づいて説明する。
【0026】
また、本発明の液体供給方法、液体供給システムに用いられる液体として、以下の実施の形態ではインクを例にとって説明を行なっているが、適用可能な液体としてはインクに限ることなく、例えばインクジェット記録分野にあっては記録媒体に対する処理液などを含むことは言うまでもない。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の液体供給システムを適用可能なインクタンクの概略説明図であり、(a)は斜視図、(b)はインクタンクを記録ヘッドに接続した場合の断面図である。
【0028】
インクタンク1は、負圧発生部材収納室10と、インク収納室50とにより構成されており、インク収納室50は負圧発生部材収納室10に対し分離可能な構成となっている。
【0029】
負圧発生部材収納室10は、液体を吐出口61から吐出して記録を行なう記録ヘッド部60等の外部へインク(処理液などの液体を含む)を供給するインク供給口12を有する筐体11と、筐体内部に収納されるポリウレタンフォームなどの多孔質部材から構成される負圧発生部材13を備えている。筐体11はさらに、内部に収納した負圧発生部材と外気とを連通させるための大気連通口15を備えており、この大気連通口15の近傍には筐体内面から突出したリブにより形成されたバッファ部16が設けられている。
【0030】
一方、インク収納室50は、室を構成する筐体(外壁)51と、筐体内面と同等もしくは相似形の内面を有する壁(内壁)54により構成され内部にインクを収納するインク収納部53、液体収納部53の液体を負圧発生部材収納室へ導出するためのインク導出口52を備えている。内壁54は可撓性を有しており、インク収納部53は、内部に収納されたインクの導出に伴い変形可能である。また、内壁は溶着部(ピンチオフ部)56を有し、この溶着部で内壁は外壁に係合する形で支持されている。また、外壁には外気連通口52が設けられており、内壁と外壁との間に大気を導入可能となっている。
【0031】
さらに、インク収納室50のインク導出口52には、後述する気液交換を促進するための大気導入溝58と気液交換通路59aが形成された気液交換促進部59が備えられており、負圧発生部材収納室10には気液交換促進部59を装着するための開口からなる接続部14が形成されている。本実施形態では、大気導入溝58の一部と気液交換通路59aの端部が接続部14において負圧発生部材13と当接する形となっているとともに、大気導入溝58は接続部14からインク導出口52まで延びており、後述する液体供給動作をスムーズに実現することが可能になっている。
【0032】
また、図示していないが、負圧発生部材収納室10の接続部14の形成された壁部に、負圧発生部材収納室10に対して交換されるインク収納室50の大気導入溝58と合致して一体となる溝を設けてあってもよい。言い換えれば、負圧発生部材収納室側にインク収納部内と気液交換を行なう大気導入溝がそもそも備わっている場合は、インク収納室交換時にこの大気導入溝に合致して一体となり気液交換を行なう溝をインク収納室側にも設けてもよい。
【0033】
なお、図1を含め以下の各断面図において、負圧発生部材がインクを保持している領域については斜線部で示す。また、インク収納部や大気導入溝、気液交換通路などのような空間内に収納されているインクを網線部で示す。
【0034】
ここで、本実施形態のインク収納室は、略直方体形状をなす6つの平面から構成され、円筒状のインク導出口52が曲面として付加されたものであり、この直方体形状の最大面積面は、図1上で間接的に表示されている。そして、内壁面53の厚さは、直方体の各面の中央域より頂点部分(頂点部分が微小曲面形状をなす場合も含め、以下、角部と称する)を構成する部分の方が薄く、各面の中央域から前記角部それぞれに向かって徐々に減少しており、インク収納部内側に凸の形状を有している。この方向は、言い換えると面の変形方向と同じであり、後述する変形を促進させる効果を有する。
【0035】
また、内壁の角部は3面により構成されているので、結果として内壁の角部全体の強度は中央域の強度に比べ相対的には強くなっている。また、面の延長から見れば、中央域に比べて厚さは薄いので後述する面の移動を許容する。この内壁の角部を構成する部分は、それぞれほぼ同等の厚さであることが望ましい。
【0036】
なお、図1は模式的概略図であるため、インク収納室の外壁51と内壁54との位置関係は空間を隔てたように描かれているが、実際は分離可能な状態になっていればよく、内壁と外壁が接触していても、微少な空間を隔てて配置されるように構成されていてもよい。
【0037】
次に、本発明の特徴である、図1に示すインクタンクの液体供給動作について、図2〜図7を用いて説明する。図2〜図6のそれぞれは、図1に示すインクタンクのインク収納室を負圧発生部材収納室に接続し、負圧発生部材収納室のインク供給口に接続された記録ヘッド部60からインクを導出したときの変化を図2〜図6の順に示す概略説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図を示している。また、図7は、図1に示すインクタンクのインク導出量とインク供給口部の負圧の関係を示す説明図であり、横軸はインク供給口からの外部へのインク導出量、縦軸はインク供給口部の負圧(静負圧)である。図7では、図2〜図6に示す負圧の変化の状態を矢印で示している。
【0038】
図2(a)、(b)は、接続前の負圧発生部材収納室及びインク収納室を示す説明図である。
【0039】
図2(a)、(b)において、液体収納室50のインク導出口52には、インク収納部53に収納されたインクの導出を防止するためにシール部材57が設けられ、液体収納室50のインク収納部53は大気に対して密閉状態を維持している。また、インク収納部53を構成する内壁54は、筐体(外壁)51の内面形状に沿って、少なくとも外壁の角部に内壁の角部がくるように成形されている。(この状態を、初期状態、と称する。)
このとき、インク収納部53内については、シール部材57を開封した際にインク導出口52がわずかに負圧となるよう、インク収納部53に収納可能なインク量よりわずかに少ないインクを収納しておくと、外力、温度変化、気圧の変化からシール部材開封時にインクが外部に漏出することをより確実に防ぐことができる。
【0040】
また、このような環境変化に対する観点から、接続前のインク収納部53に収納される空気の量は極めて少ないことが望ましい。インク収納部内に収納される空気量を減らすためには、例えば特願平09−200126号公報に開示されるような液体注入方法を用いればよい。
【0041】
一方、図2(a)において、負圧発生部材収納室10の負圧発生部材13は、その一部にインクを保持している。
【0042】
ここで、負圧発生部材13に収納されるインク量は、後述するインク収納室50の交換時に負圧発生部材13に収納されていたインク量によるので、多少のばらつきがあってもよく、必ずしも図示するように均一な状態でインクを保持していなくてもよい。
【0043】
次に、図3(a)及び(b)に示すように、インク収納室50を負圧発生部材収納室10と接続させる。このとき、負圧発生部材収納室10とインク収納室50の圧力が等しくなるまで図3(a)の矢印に示すようにインクが移動し、インク供給口12における圧力が負となる状態で平衡状態になる。(この状態を、使用開始状態、と称する。)
そこで、この平衡状態となるためのインク移動について、詳細に説明する。
【0044】
負圧発生部材収納室10の接続部14に気液交換促進部59を挿入し、シール部材57を引き抜くことにより、負圧発生部材13に大気導入溝58と気液交換通路59aが確実に当接する。するとインク収納部53内のインクと負圧発生部材収納室10の負圧発生部材13との間にインクパスが形成される。また、図2(a)で示す状態で空気が接続部14内に存在する場合、空気はインク収納室53へと移動する。(なお、図3においてはこの空気は省略している。)
インクパスが形成されると、負圧発生部材13の毛細管力により、インク収納部53から負圧発生部材13へのインク移動が開始される。このとき、内壁54は、インク収納部53の体積が減少する方向に、面積最大の面の中央部から変形をはじめる。ここで、外壁51は内壁54の角部の変位を抑制する働きをするため、インク収納部53はインク消費による変形の作用力と初期状態(図2)の形状に戻ろうとする作用力とが働き、急激な変化をすることなく、変形の度合いに応じた負圧を発生するようになる。なお、内壁54と外壁51の空間は、外気連通口55を介して外気に連通しているので、上記変形に応じて内壁54と外壁51との間に空気が導入される。また、大気導入溝58へのインク導入については、本実施形態のようにインク収納部53の発生する負圧より大気導入溝58の毛管力が大きい場合はインクが充填される。
【0045】
インク移動が開始され、負圧発生部材13にインクが充填されていくと、大気導入溝58の上端部より上方にもインクが充填されるようになり、大気導入溝58は大気とは連通しなくなる。すると、インク収納室50は負圧発生部材収納室10を介してのみインク及び大気のやり取りを行なうようになるため、インク収納室50における静負圧と、負圧発生部材収納室10における静負圧とが等しくなるように、さらなるインクの移動が行なわれる。
【0046】
すなわち、このときの負圧発生部材収納室10側の負圧がインク収納室50側の負圧より大きいので、両者の負圧が等しくなるまで、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へ更なるインク移動が行なわれ、それに伴い負圧発生部材収納室10の負圧発生部材13が保持するインク量が増大する。このように、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクの移動においては、インク収納室50に負圧発生部材13を介した気体を導入をすることなく行われる。平衡状態となった時の2つの室の静負圧は、インク供給口12に接続される記録ヘッドなどの液体吐出記録手段(不図示)からインクが漏れ出ないよう、接続する液体吐出記録手段の種類に応じて適切な値(図7のα)となるように設定すればよい。
【0047】
インク収納部53から移動可能なインク量の下限は、大気導入溝58の上限レベル(後述する気液界面)まで負圧発生部材13をインク充填する時のインク量であり、上限は負圧発生部材13を完全にインク充填する時のインク量となる。従って、接続前に負圧発生部材13に保持されるインク量のばらつきを考慮したうえで、これらの上限、下限のインク量から負圧発生部材13へ移動するインク量を決定すると、このインク量と平衡状態での負圧の値αをもとに負圧発生部材に対応したインク収納部53の材料、厚さを適切に選択することができる。
【0048】
また、接続前に負圧発生部材13に保持されるインク量のばらつきが存在するため、図3に示すように平衡状態に達した場合でも、負圧発生部材13にインクが充填されない領域が残っていることがある。この領域は、バッファ部とあわせ、後述する温度や圧力の変化に対するバッファ領域として利用することができる。
【0049】
逆に、ばらつき量の影響により、平衡状態に達した時のインク供給口部の圧力が正になってしまう恐れのある時は、液体吐出記録装置本体に設けられる吸引回復手段により吸引回復を行ない、若干のインクを流出させることで対応してもよい。
【0050】
なお、接続時における気液交換通路59a内でのインクパスの形成は、接続時の衝撃を利用して行なってもよく、接続時にインク収納部53を筐体51ごと押圧するなど、インク収納部53を加圧することにより行なってもよい。また、接続前のインク収納部53をごく僅かな負圧状態にしておき、この負圧を利用して気液交換通路59a内の気体をインク収納部53へ移動させることを促進させてもよい。
【0051】
次に、図4に示すように、記録ヘッド60によりインク供給口12からインクタンクのインクの消費を開始する。このとき、インク収納部53と負圧発生部材13の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバランスを取りつつ、インク収納部53と負圧発生部材13の双方に保持されたインクが消費される。(第1のインク供給状態、と称する。)
すなわち、インク供給口12からインクが消費されると、負圧発生部材収納室10の負圧発生部材13の液面が低下するとともに、インク収納部53がさらに変形し、インク収納部53の中央部分が内方に向かう安定した潰れかたが維持される。
【0052】
ここで、ピンチオフ部(溶着部)56も、内壁54の変形規則部分となり、最大面積を有する面に隣接する面について、相対的にピンチオフ部56を有する領域より、ピンチオフ部を有していない部分が先に変形を始め、外壁51から離間する。なお、本実施形態では表面積最大の対向する面が、ほぼ同時に変形を行うため、より安定した変形を実現している。
【0053】
なお、図4に示す状態でのインク供給口12からのインク導出量に対する静負圧の変化は、図7のAに示す領域のように、インク導出量に比例して静負圧が少しずつ増大する形となる。この第1のインク供給状態においても、インク収納部53には気液交換通路59aを経由して空気が入ることがない。
【0054】
インク供給口12からのインクの導出がさらに進むと、図5に示すように、インク収納部53に気体が導入されるようになる。(以下、気液交換状態、または第2のインク供給状態と称する。)
このとき、負圧発生部材13の液面レベルは大気導入溝58の上端部でほぼ一定(気液界面)であり、大気連通口15から大気導入溝58及び気液交換通路59aを経由した空気がインク収納部53に入ることで、インク収納部53からインクがインク導出口52を通じて負圧発生部材収納室10の負圧発生部材13へと移動する。
【0055】
従って、液体吐出記録手段としての記録ヘッド60によりインクが消費されてもその消費量に応じてインクが吸収体に充填され、負圧発生部材13は一定量のインクを保持し、また、インク収納部53も空気が導入されることで、気液交換時の形状をほぼ維持したままインクタンクの負圧をほぼ一定に保つので、液体吐出記録手段へのインク供給が安定する。図5に示す状態でのインク供給口12からのインク導出量に対する静負圧の変化は、図7のBに示す領域のように、インク導出量に対し、ほぼ一定の値となる。
【0056】
さらにインク供給口12からのインクの導出がさらに進むと、図6に示すように、インク収納部53のインクはほぼ完全に消費され、負圧発生部材収納室10内に残存するインクを消費するようになる。図6に示す状態でのインク供給口12からのインク導出量に対する負圧の変化は、図7のCに示す領域のように、インク導出量に比例して負圧が増大する形となる。このような状態になったら、インク収納室50を取り外しても、接続部14からインク漏れが生じる恐れは少ないので、インク収納室50を取り外し、図2に示すように新たな交換用インク収納室を用意すればよい。
【0057】
図1に示した形態におけるインクタンクの液体供給動作は以上の通りである。すなわち、インク収納室50を負圧発生部材収納室10と接続させると、負圧発生部材収納室10とインク収納室50の圧力が等しくなるまでインクが移動して使用開始状態となり、その後液体吐出記録手段によりインクの消費が開始されると、まずはインク収納部53と負圧発生部材13の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバランスを取りつつ、インク収納部53と負圧発生部材13の双方に保持されたインクが消費される。その後、インク収納部53に気体が導入されることで負圧発生部材13が気液界面を保ちながらインクの導出に対しほぼ一定の負圧を保持する気液交換状態を経て、負圧発生部材収納室10内に残存するインクを消費するようになる。
【0058】
このように、本発明のインクタンクは、インク収納部53へ外気を導入することなくインク収納部53のインクを使用する工程を有するため、このインク供給工程(第1のインク供給状態)においてインク収納室50の内容積の制限は、結合時においてインク収納部53に導入された空気のみを考慮すればよいことになる。すなわち、インク収納室50内の内容積の制限を緩和しても、環境変化に対応可能であるという利点がある。
【0059】
また、本発明のインクタンクによれば、インク収納部53のインクをほぼ完全に消費することができるだけでなく、交換時に気液交換通路59aに空気を含んでいてもよく、負圧発生部材13のインク保持量によらずインク収納室50の交換をできるので、従来技術のように残量検出機構を設けなくとも、インク収納室53を交換可能なインク供給システムを提供することができる。
【0060】
なお、図7に示すようにインク導出量に比例して負圧が増大し(Aの領域)、その後一定の値を保ち(Bの領域)、さらにその後インク導出量に比例して負圧が増大する(Cの領域)ためには、インク収納部の対向する変形面が互いに接するようになるまえに、大気導入が行なわれる、すなわちAの領域からBの領域に移行することが望ましい。これは、対向する最大面積面が接触する前後で、インク収納室におけるインク導出量に対する負圧の変化の割合が異なるためである。さらに、本発明の構成によれば、第2のインク供給状態など、インク収納部53に空気を含む場合においても、従来の方法とは異なる解決方法により、環境の変化に対応することが可能な構成となっている。
【0061】
図8は図7に示した負圧曲線の実際の一例を示す詳細説明図であり、図中の(1)、(2)、(3)はそれぞれ、気液交換動作前、気液交換動作中、気液交換動作後に対応する。また、図9は図8のB領域についての一例を示すさらに詳細な説明図、図10〜図12はこの図面順に図9のa,b,c領域に対応するインクタンクの動作を説明するための図、図13は図8のB領域についての他の例を示すさらに詳細な説明図、図14〜図16はこの図面順に図13のa’,b’,c’領域に対応するインクタンクの動作を説明するための図である。図10〜図12及び図14〜図16において、(a)は図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は図1(b)に示す液体収納室のA−A断面と同じ断面図を示している。なお各説明に使用する図はよりわかりやすくするためにインク収納室の変形等について多少極端に図示している。
【0062】
(1)図8の(1)領域の説明
本領域(気液交換動作前)を以下の3パターンにわけて説明する。それぞれのパターンは本願発明に含まれるものであり、負圧発生部材の毛管力、インク収納室部の肉厚、材質等の条件やそれぞれのバランスによって変わるものである。
【0063】
<図8の領域(1)の第1パターン>
本パターンの場合は、一般的に負圧発生部材13に比べてインク収納部53のほうが負圧制御に対して支配的である場合に起こるものである。具体的には、インク収納室50の内壁54の肉厚が比較的厚い場合、またインク収納室50の内壁54の剛性が比較的高い場合に起こる場合が多い。
【0064】
初期状態からのインク導出において、はじめに負圧発生部材13からのインクの導出が行われる。これはインク収納室50からインクを導出する抵抗力より負圧発生部材13からインクが導出する抵抗力のほうが小さいためである。このようにはじめに負圧発生部材13からインクが導出された後は、負圧発生部材13とインク収納部53との負圧バランスをとりながらそれぞれからインクが導出される。インク収納室50からインクが導出される場合は、内壁が内面側に変形しながら行われるものである。
【0065】
<図8の領域(1)の第2パターン>
本パターンにおいては、前例の第1パターンと逆にインク収納部53に比べて負圧発生部材13のほうが負圧制御に対して支配的である場合に起こるものである。この場合は、インク収納室50の内壁54が比較的薄い場合や、内壁54の剛性が小さい場合に起こる場合が多い。
【0066】
初期状態からのインクの導出において、はじめにインク収納室50からのインクの導出が行われる。これは負圧発生部材13からインクを導出する抵抗力よりもインク収納室50からインクを導出する抵抗力が小さいためである。その後、前述したように負圧発生部材13とインク収納部53との負圧バランスを取りながらそれぞれからインクが導出される。
【0067】
<図8の領域(1)の第3パターン>
本パターンにおいては、負圧制御に対して、負圧発生部材13とインク収納部53とがほぼ同等の支配力を有する場合に起こる場合が多い。
【0068】
この場合、初期状態からのインク導出において、負圧発生部材13とインク収納部53とが負圧バランスをとりながらそれぞれからインクが導出されるものである。そのままバランスを取りながら後述する気液交換状態へと移行するものである。
【0069】
(2)図8の領域(2)の説明
次に気液交換動作領域について説明する。本領域は2パターンにわけて説明する。より詳細に説明するために、図8の(2)の領域の負圧曲線をより拡大した図にて説明する。
【0070】
<図8の領域(2)の第1パターン>
本パターンにおいては、一般的に負圧発生部材13に比べてインク収納部53のほうが負圧制御に対して支配的である場合に起こるものである。具体的には、インク収納室50の内壁54の肉厚が比較的厚い場合、またインク収納室50の内壁54の剛性が比較的高い場合に起こる場合が多い。
【0071】
気液交換動作領域において負圧発生部材収納室10からインク収納室50へ大気の導入が行われる(図9のa領域)。これは前述したそれぞれの負圧のバランスを緩和するためである。このインク収納室50へのインクの導入により図10に示すようにインク収納室50の内壁54が外方に微少変形する。またエアの導入に対して、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクの供給が行われ負圧発生部材収納室10の液面が微少上昇する。(図10→図11)
さらなるヘッドからのインクの導出により、本例においてはまず負圧発生部材13からのインクの導出が行われる。それにより図に示すように負圧発生部材収納室10の液面が下方に変化する。(図9のb領域)(図11)
その状態を経て、次に負圧発生部材13とインク収納部53の負圧バランスを取りながら、それぞれからインクの導出の行われる。それにより負圧発生部材13の液面はさらに下方に変化し、インク収納室50の内壁54は内方に変化する(図9のc領域)(図12)
その状態が続いた後に大気導入溝58を介して大気がインク収納部53へ導入され、図9のa領域へと移行する。
【0072】
<図8の領域(2)の第2パターン>
本パターンにおいては、前例とは逆にインク収納部53に比べて負圧発生部材13のほうが負圧制御に対して支配的である場合に起こるものである。この場合は、インク収納室50の内壁54が比較的薄い場合や、内壁54の剛性が小さい場合に起こる場合が多い。
【0073】
前述したように、気液交換動作領域において負圧発生部材収納室10からインク収納室50へと大気の導入が行われる(図13の領域a’)。このインク収納室50へのインクの導入により図14に示すようにインク収納室50の内壁54が外方に微少変形する。またエアの導入に対して、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクの供給が行われ負圧発生部材収納室10の液面が微少上昇する。(図14→図15)
さらなるヘッドからのインクの導出により、本パターンにおいては、インク収納室50から支配的にインクの導出が行われる。この場合、インク収納室50の肉厚、剛性の特性から負圧はあまり変化せずになだらかな負圧上昇となる。このインクの導出により徐々にインク収納室50の内壁54が内方へ変形する。(図13の領域b’)
なおこの領域においては負圧発生部材13からのインク導出はほとんど行われないため、負圧発生部材13の液面はほとんど変化しない。
【0074】
領域b’を経て、さらにインクの導出が行われると、負圧発生部材13とインク収納部53との負圧バランスを取りながらそれぞれからインクが導出される図13の領域c’へと移行する。この領域においては、前述したように負圧発生部材13の液面は下方に変化し、インク収納室50の内壁54は内方に変化する。(図13の領域c’)(図16)
その状態が続いた後に大気導入溝58を介して大気がインク収納部53へ導入され再び図13のa’領域へと移行する。
【0075】
(3)図8の(3)領域の説明
最後に気液交換領域後の図8の領域(3)の領域について説明する。
【0076】
本領域は、インクの導出が進み気液交換が終わった後、すなわちインク収納室50内のインクがほとんど導出され、主に負圧発生部材13内のインクのみが導出される場合のものである。本領域を以下の2パターンにわけて説明する。
【0077】
<図8の領域(3)の第1パターン>
本例においては、気液交換領域後、インク収納部53内の圧力が略大気圧になる場合を説明する。
【0078】
前述した気液交換が終了した状態において、インク収納室50内のインクはほとんど消費されている。気液交換が終了した状態では、一般的に大気導入溝58、負圧発生部材収納室10とインク収納室50との連通路、もしくは負圧発生部材13にメニスカスがはっている。しかし、負圧発生部材13内の液面が大気導入溝58の上端部より下がった場合にキャリッジ振動などの要因で上記メニスカスが破れる。それにより大気が大気導入溝58を介してインク収納部53と連通状態になる。それによりインク収納部53内が略大気圧になる。それにより内方に変位していたインク収納室50の内壁54が、それ自身の弾性力によりもとの状態に戻ろうとする。しかし、一般的には初期状態には完全には戻らない。これは前述したインク収納室50からのインクの導出時にある状態以上内方に変形するといわゆる座屈がおきる場合が多い。それによりインク収納部53内が大気圧になった状態においても完全にはもとの状態には戻らないことが多い。
【0079】
このようにインク収納部53内が大気圧状態になって、内壁54がもとの状態に戻った後は負圧発生部材13内のインクが導出されることで、負圧発生部材13内の液面が下がる。それにより負圧も略比例状態で増大する。
【0080】
<図8の領域(3)の第2パターン>
次に本パターンでは、負圧発生部材13の液面が大気導入溝58の上端部よりも下がった場合においてもインク収納室内が負圧状態を維持する場合について説明する。
【0081】
前述したように、大気導入溝58内、負圧発生部材収納室10とインク収納室50との連通路、負圧発生部材13内のメニスカスによりインク収納部53内は大気と遮断されている。その状態のままインクが消費され、負圧発生部材13内の液面が下がりつづける場合がある。それによりインク収納室50の内壁54は内方に変形状態を維持したままで負圧発生部材13内のインクが消費される。
【0082】
ただしこの場合においても、インク消費途中でキャリッジ振動、環境変化などの要因により上記メニスカスが破れ、インク収納部53内が略大気圧になる場合がある。この場合は前述したようにインク収納室50の内壁54は略もとの状態に戻る。
【0083】
以上説明したように、本発明の構成における気液交換動作の現象の特徴として、気液交換中の圧力変動(振幅γ)が従来の気液交換を行うインクタンクシステムに比べて比較的大きいことがあげられる。
【0084】
この理由として、本発明の構成では図8の領域(1)にて説明したように、気液交換を行う以前にインク収納室50からのインクの導出により、内壁54がタンク内方に変形した状態になっている。そのため内壁54自身の弾性力によりインク収納室50の内壁54は常に外方へ向かう力が働いている。そのため気液交換時に負圧発生部材13とインク収納部53との圧力差を緩和させるためにインク収納部53内に入るエアの量が、所定以上に入る場合が多い。それによりインク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクの導出も多くなる傾向にある。それに対して、従来のシステムであるインク収納室が変形しない構成の場合は、所定量のエアが入ることにより直ちに負圧発生部材収納室10へインクを導出するものである。
【0085】
また、たとえばベタモードの印字を行う場合、ヘッドから一度に大量のインクが吐出される。それによりタンクからも急激にインクの導出が行われるが本発明のインクタンクにおいては、気液交換によるインクの導出が従来に比べて比較的多いので、インク切れの心配がなく信頼性が向上する。
【0086】
また本発明の構成によればインク収納室50の内壁54が内方に変形した状態でインクの導出が行われるため、キャリッジなどの振動、環境変化などによる外的要因に対してのバッファー効果が高い。
【0087】
ここで、以上説明した一連のインク消費過程における動作について、図8(b)にてさらに別の観点で説明する。
【0088】
図8(b)において、横軸に時間、縦軸にインク収納部からのインク導出量とインク収納部への空気同入量の一例を示す。また、経過時間においてのインクジェットヘッドからのインク供給量は一定とする。
【0089】
以上の観点で、インク収納部からのインク導出量を実線▲1▼、インク収納部への空気導入量を実線▲2▼で示す。
【0090】
t=0からt=tまでは、図8(a)で示した気液交換前の領域に相当する。本領域では、前述したように負圧発生部材13からとインク収納部53からの負圧バランスをとりながらインクがヘッドから導出される。各々の導出パターンについては、前述した通りである。
【0091】
次にt=tからt=tまでは、図8(a)の気液交換領域(B領域)に相当する。本領域では、前述したような負圧バランスに基づき、気液交換が行われる。図8(b)の実線▲1▼で示すように、インク収納部53内にエアが導入される(実線▲2▼の段差で示される)ことによりインク収納部53からインクが導出される。その際に、エアの導入に伴い直ちに導入されたエアに等しい量のインクがインク収納部53から導出されるわけではなく、例えばエアの導入からある所定時間を経た後、最終的に導入されたエアに等しい量のインクが導出されるようになっている。この図からも明らかなように、前述したような従来のインク収納室の内壁が変形しないインクタンクの動作に比べてタイミングのずれが生じるものである。以上のように気液交換領域においてこの動作が繰り返される。ある点で、インク収納部53内のエアの量とインクの量とが逆転する点を経る。
【0092】
t=tを過ぎると、図8(a)で示す気液交換後の領域(c領域)となる。この領域では、前述したようにインク収納部53が略大気圧になる。(条件によっては、大気圧状態にならない場合があることは前述した通りである。)それに伴い、インク収納室50の内壁54の弾性力により初期状態にもどる動作となる。ただし、前述したように、いわゆる座屈により完全には初期の状態には戻りきらない。そのためインク収納部53への最終的な空気導入量Vcは(V>Vc)となる。本領域でもインク収納部53からのインクはすべて使い切る状態となる。次に、インク消費途中の各状態において、インク収納室50を交換した場合の動作について、図17を用いて説明する。
【0093】
(a)気液交換前にインクタンクを交換した場合(図17(a))
この気液交換前の状態は、前述したように、負圧発生部材13、インク収納室50、負圧発生部材13とインク収納室50とが相互の負圧バランスをとりながらインクを消費している。この状態において負圧は略比例状態で増大している。また負圧発生部材13内のインク液面は大気導入路上端よりも上方に位置している。
【0094】
この時点でインク収納室50を交換した場合、一般的にインク収納室50は初期において負圧は弱く、また正圧状態の場合もあるので、インク収納室50を新たに装着した場合、インク収納室50のインクが負圧発生部材13に供給され、負圧発生部材収納室10内の液面が上昇し、両者の負圧バランスがとれた点で液面が安定する。この場合、負圧発生部材13の上部には前述したバッファー領域を有するため、液面が上昇したとしても大気連通口15からのインク漏れはない。
【0095】
またインク収納室50の装着により負圧がさがり、また場合によっては正圧になることがあるが、タンク装着時の初期回復などを行うことで速やかに適正な負圧状態を形成することが可能である。その後は前述した消費パターンによりインクが消費される。
【0096】
なお、負圧発生部材収納室10の気液交換経路近傍の負圧発生部材13がインクで充填されていなくても、本発明の液体供給システムの場合、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクパスが形成されれば、負圧発生部材収納室10内の毛管力を利用してインク収納部53内のインクを負圧発生部材13へと移動させることができる。従って、接続部14近傍の負圧発生部材13のインクの保持状態に関わらず、装着すれば確実にインク収納室50のインクを使用することができる。
【0097】
(b)気液交換中にインクタンクを交換した場合(図17(b))
気液交換動作中においては、前述したように一般的に負圧発生部材13内の液面は、大気導入溝58の上端部で安定し、インク収納室50の内壁54は内方に変形した状態である。
【0098】
この状態でインク収納室50を取り外し、新たに初期状態のインク収納室50を装着すると、前述したようにインク収納室50内のインクが負圧発生部材13内に供給され、負圧発生部材13内の液面が上昇する。すなわち液面が大気導入溝58より上方へ変位する。それによりインク収納室50の内壁54は内方に変位し、タンク内は若干の負圧状態になる。
【0099】
液面が安定した後インクを消費すると、前述したような消費パターン((1)−1〜(1)−3)によりインクが消費される。そして所定の負圧になった場合に気液交換が行われる。
【0100】
(c)気液交換後にインクタンクを交換した場合(図12(c))
気液交換後の状態は、前述したように負圧発生部材13内の液面は大気導入溝58の上端より下がった状態で、インク収納室50は略大気圧でほぼ内壁54がもとの状態にもどっているか、内部が負圧状態で内方変形状態を維持した状態である。
【0101】
この状態でインク収納室50を交換した場合は、やはりインク収納室50内のインクは負圧発生部材13側へ供給され、負圧発生部材13内の液面は上昇するこの場合は一般的には大気導入溝58の上端より上方まで上昇するが、大気導入溝58より下方で液面がつりあう場合もある。このインクの導出によりインク収納室50の内壁54は内方へ変位し略負圧状態になる。
【0102】
液面が大気導入溝58より上方に変位した場合には、前述した消費過程を経た後気液交換動作領域に移行する。また液面が大気導入溝58より下方でつりあっている場合は、すぐに気液交換動作を行う。
【0103】
以上説明したように、(a)〜(c)の各消費過程においてインク収納室50を交換した場合においても安定した負圧を発生することができそれにより確実なインク供給動作を行うことができる。
【0104】
本発明のインクタンクは、このように微小な負圧変動をインク収納部53により緩和することができるが、さらに、本発明の構成によれば、第2のインク供給状態など、インク収納部53に空気を含む場合においても、従来の方法とは異なる解決方法により、環境の変化に対応することが可能な構成となっている。
【0105】
そこで、次に、図1に示すインクタンクの、環境条件を変化させた場合の安定した液体保持のメカニズムについて図18〜図21及び図22を用いて説明する。
【0106】
図18〜図21は大気導入溝58より上方にある負圧発生部材13のバッファ吸収体としての機能、及びインク収納部53のバッファ作用を説明する説明図であり、図5に示す状態(気液交換状態)から大気圧の減圧ないしは気温の上昇などによるインク収納部53内の空気の膨張した時のインクタンクの変化を図18〜図21の図面順に示している。これらの図において、(a)は図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は図1(b)に示す液体収納室のA−A断面と同じ断面図を示している。
【0107】
大気圧の減圧(あるいは気温の上昇)により、インク収納部53内の空気は膨張すると、図19(a),(b)に示すように、インク収納部53を構成する壁面(▲1▼)及び液面(▲2▼)が押圧され、インク収納部53の内容積が増加すると共に、一部のインクは気液交換通路59aを介してインク収納部53内から負圧発生部材収納室10側へと流出する。ここで、インク収納部53の内容積が増加するために、負圧発生部材10へ流出するインク量(図20の▲3▼に示される負圧発生部材の液面の上昇)はインク収納部53が変形不能な場合に比べ大幅に少ないものとなる。
【0108】
ここで、気液交換通路59aを通じて流出するインク量は、気圧変化が急激な場合、インク収納部53内の負圧を緩和しインク収納部53内の内容積を増加させるため、インク収納室50の内壁54の内方への変形を緩和することにより生じる壁面の抵抗力と、インクを移動させて負圧発生部材13に吸収させるための抵抗力と、の影響が初期的には支配的である。
【0109】
特に、本構成の場合、負圧発生部材13の流抵抗がインク収納部53の復元に対する抵抗より大きいので、空気の膨張にともない、まず図18(a),(b)に示すようにインク収納部53の内容積が増加する。そして、この増加分の上限より空気の膨張による体積の増加が大きい場合、図19(a),(b)に示すように気液交換通路59aを介してインク収納部53内から負圧発生部材収納室10側へインクが流出するようになる。つまり、インク収納部53の壁面が環境変化に対するバッファとしての機能を果たすため、負圧発生部材13内のインクの移動が緩やかになり、インク供給口における負圧特性が安定する。
【0110】
なお、本実施形態では負圧発生部材収納室10に流出したインクは負圧発生部材13で保持されるようにしている。この場合、図20(a),(b)に示すように負圧発生部材収納室10のインク量が一時的に増加して気液界面が上昇するので、使用初期と同様にインク内圧の安定期より一時的にやや正側の内圧になるが、記録ヘッドなどの液体吐出記録手段の吐出特性への影響は小さく、実使用上の問題はない。また、大気圧が減圧前のレベルに回復(1気圧に戻る)した場合(あるいは元の温度に戻った場合)は、負圧発生部材収納室10に漏出して負圧発生部材13に保持されていたインクが再びインク収納部53に戻ると共にインク収納部53の体積が元の状態へと戻るようになる。
【0111】
次に、気圧変化の後の初期的な動作の後、変化した気圧のもとで図21(a)、(b)に示す定常状態に至ったときの原理動作を図22を用いて説明する。
【0112】
この状態で特徴的なことは、インク収納部53から導出されたインク量だけでなく、インク収納部自体の体積変化による負圧の変動に対してバランスを保つように、負圧発生部材13に保持されているインクの界面が変化することである。ここで、本発明における、負圧発生部材13のインク吸収量とインク収納室50との関係については、前述の減圧ないしは温度変化時の大気連通口15などからのインクの漏れを防止するという観点から、インク収納室50からの最悪条件下でのインク流出量と、インク収納室50からのインク供給時に負圧発生部材収納室10に保持させるインク量とを考慮して負圧発生部材収納室10の最大インク吸収量を決め、少なくともその分の負圧発生部材13を収納するだけの容積を負圧発生部材収納室10に持たせれば良い。
【0113】
図14に、t=0で大気圧下からP気圧(0<P<1)の減圧環境下にタンクの環境を変化させた場合の、時間の経過に伴うインク収納部からのインク導出量及びインク収納部の体積を模式的に示す。図14において、横軸は時間(t)、縦軸はインク収納部からのインク導出量及びインク収納部体積であり、インク収納部からのインク導出量の時間変化を実線▲1▼で、インク収納部の体積の時間変化を実線▲2▼で示す。
【0114】
図14において、t=t, t=t, t=t, t=tに対応するインクタンクの状態はそれぞれ、図18、図19、図20、図21となっている。
【0115】
図14に示すように、急激な環境の変化に対しては、最終的に負圧発生部材収納室10とインク収納室50とが負圧バランスを保つ定常状態となる前に、主としてインク収納室50で空気の膨張に対応することができる。従って、急激な環境変化に対して、インク収納室50から負圧発生部材収納室10へのインクの導出タイミングを遅らせることができる。
【0116】
従って、種々の使用環境下であっても、気液交換により導入された外気の気体膨張に対して許容力を高めつつ、インク収納室50の使用中に安定した負圧条件下でインク供給を行なうことのできるインク供給システムを提供することができる。
【0117】
本発明のインク供給システムによれば、使用する負圧発生部材13及びインク収納部53の材料を適宜選択することで、負圧発生部材収納室10とインク収納室50との体積割合を任意に決定することができ、1:2より大きな場合でも、実用上使用することができる。特に、インク収納室50のバッファ効果を重視する場合には、弾性変形可能な範囲内で使用開始状態に対する気液交換状態でのインク収納部53の変形量を大きくするようにすればよい。
【0118】
なお、上述のインク収納部53のバッファ効果を有効に機能させるためには、インク収納部53の変形が少ない状態でインク収納部53内に存在する空気量が少ないこと、すなわち、接続後、気液交換状態の前にインク収納部53内に存在する空気の量はなるべく少ないことが望ましい。
【0119】
以上、本発明の第1の実施形態を用いて、本発明の要部について説明を行なったが、本発明を適用可能な他の実施の形態について、以下に説明する。なお、以下の各実施の形態と第1の実施の形態とは、組み合わせ可能な要素については任意の組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0120】
(第2の実施の形態)
図23は本発明の液体供給システムに適用可能な第2の実施の形態のインクタンクの概要説明図であり、(a)は負圧発生部材収容室に対してインク収容室を装着する前の状態の断面図、(b)はインク収容室を装着した後の状態の断面図を示している。
【0121】
本実施形態は、負圧発生部材収納室10のインク収容室50との接続部14における負圧発生部材13が圧縮される状態で、負圧発生部材収納室10に対してインク収容室50が装着される構成である点で第1の実施の形態とは異なっている。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0122】
このような構成によると、インク収容室装着時に接続部14における負圧発生部材13が圧縮状態であるので、インク収納部53から負圧発生部材13へのインク導出がより安定して行われることになる。また、インク収容室を交換した時もインク収納部53から負圧発生部材13へスムースにインクを補充することが可能になる。
【0123】
(第3の実施の形態)
図24は本発明の液体供給システムを適用可能な第3の実施形態のインクタンクの概略説明図である。
【0124】
本実施形態では、負圧発生部材収納室110の鉛直方向上方にインク収納室150が位置している点が第1の実施形態とは異なっている。その他の点については、第1の実施形態と同様、負圧発生部材収納室110は筐体111内部に負圧発生部材113を保持するとともにインク供給口112、大気連通口115、バッファ部116、大気導入溝117を備えており、インク収納室150は筐体(外壁)151内面形状に対応する外面を有する内壁154から構成されるインク収納部153を有し、外気導入口155、ピンチオフ部156、インク導出口152を有している。
【0125】
(第4の実施の形態)
図25は本発明の液体供給システムを適用可能な第4の実施形態のインクタンクの概略説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0126】
本実施形態では、複数種類の液体(本実施例の場合、Y,M,Cの3色)を吐出可能な液体吐出部301にそれぞれの液体を収納した負圧発生部材収納室410,510,610が一体化されたヘッドカートリッジ300を構成しており、このヘッドカートリッジ300に対してそれぞれの液体を収納したインク収納室450,550,650を互いに着脱可能としている。
【0127】
本実施形態では、それぞれのインク収納室を対応する負圧発生部材収納室に確実に結合させるために、ヘッドカートリッジ300にインク収納室の外面の一部を覆うホルダー部302を設けるとともに、インク収納室に係止爪を有するラッチレバー459,559,659を設け、ガイド部材に係止爪と対応する係合孔303a,303b,303cを設けることで、結合後の結合状態を維持しやすい構成となっている。それぞれのインク収納室450,550,650はほぼ同じ形状であるが、例えば誤装着防止用の識別ラベル(不図示)を設けることで、誤装着を防止することができる。もちろん、ホルダー形状を各色ごとに変更し、誤装着防止構成を付加してもよい。この場合、各色の使用頻度に応じて容器の容積を変更することで誤装着防止をおこなってもよい。
【0128】
なお、本実施形態の変形例として、複数の負圧発生部材収納室410,510,610がそれぞれ液体吐出部に対して互いに分離可能としても良い。また、収納される液体の種類は他の色であってもよいことは言うまでもなく、収納される液体容器の数、及び組合せについても任意であることは言うまでもない。
【0129】
また、本実施形態ではインク収納室はそれぞれ互いに分離可能としたが、一体に構成されていても良い。
【0130】
一体に構成された場合のインク収納容器750の断面形状の例を(b)に示す。インク収納容器750は負圧発生部材収納室410,510,610に対応するインクを保持するインク収納部753a,753b,753cを備え、シール部材757a,757b,757cによりシールされているインク導出口752a,752b,752cを接続させることができる。図25(b)に示すインク収納容器750は、インク収納部の大きさがそれぞれ異なっているが、このようにすることで、例えば、使用する液体の使用頻度に応じて、内部の収納部の大きさを変化させておくことができる。また、本変形例のように一体形状にすることで、容器の誤装着を防止する効果も有する。
【0131】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態について説明を行なったが、以下にその他の実施例及び変形例についての説明をさらに行なう。なお、以下の説明では、特に断りのない限りは、上述の各実施の形態に適用可能である。
【0132】
<負圧発生部材収納室の構造>
まずはじめに上述の各実施形態における負圧発生部材収納室の構造について、補足説明を行なう。
【0133】
負圧発生部材収納室(負圧発生部材収納容器)に収納される負圧発生部材としては、ポリウレタンフォームなどの多孔質部材の他、繊維をフェルト状にしたものや繊維塊を熱成形したものなどを用いることができる。
【0134】
気液交換通路(連通部)については、本実施形態では管状のもので説明したが、気液交換状態において気液交換を阻害するものでなければ、どのような形態のものを用いても良い。
【0135】
また、上述の各実施の形態の負圧発生部材がない空間(バッファ部)を上面部近傍に設けているが、これを無くし、かわりに通常の状態では液体を保持していない負圧発生部材を充填していても良い。このようにバッファ空間に液体を保持しない負圧発生部材が存在することで、前述の環境変化の際に負圧発生部材収納室へ移動したインクを保持することが可能となる。
【0136】
<インク収納室の構造>
次に上述の各実施の形態におけるインク収納室の構造について、補足説明を行なう。
【0137】
インク収納室が負圧発生部材に対して着脱可能な場合、インク収納室の負圧発生部材収納室との連通部には、結合時の連通部からの液体や空気の漏れを防止すると共に結合前のインク収納部内のインクの導出を防止する部材としてのシール部材が設けられる。
【0138】
また、上述の各実施の形態のインク収納室は、ダイレクトブロー製造方法によって形成される。すなわち、互いに分離可能な筐体(外壁)とインク収納部(内壁)とは、略多角柱の型に対して円筒状のパリソンをエアーブローによって均一に膨張させることで形成されるものである。これにかわり、例えば可撓性の袋内に金属製のばね等を備えることで、インクの導出に伴い負圧を発生させるようにしてもよい。
【0139】
しかし、ブロー成形を用いることで、筐体内面形状と同等あるいは相似形の外面形状を有するインク収納部を容易に製造することができるだけでなく、インク収納部を構成する内壁の材料、厚みを変えることで容易に発生する負圧を設定できる利点がある。さらに、内壁、及び外壁の材料に熱可塑性樹脂を利用することで、リサイクル性に富んだインク収納室を提供することができる。
【0140】
ここで、前述した各実施の形態における「外壁」の構造および「外壁」が「内壁」に対して及ぼす結果的な構造について補足説明する。
【0141】
前述した各実施の形態では、インク収納室はブロー成形により製造されるため、内壁は、容器を構成する面の中央近傍領域の厚みにくらべ角部近傍の厚みの方が薄く形成されている。また外壁も同様に、容器を構成する面の中央近傍領域の厚みにくらべ角部近傍の厚みの方が薄く形成されている。さらに、外壁に対して内壁は、各面の中央部から各面の角部に向かって徐々に減少する厚み分布を有する外壁に積層されることで形成されている。
【0142】
この結果、上記内壁は外壁の内面に対して一致する外面を有することになる。この内壁の外面は、外壁の厚み分布に対して沿うため、内壁が形成するインク収納部側に向かって凸となる。そして、内壁の内面は、上述した内壁の厚み分布を有するので、より一層インク収納部に向かって凸となる。これらの構造は、最大面積部で特に前述した機能を発揮するため、本発明としては、このような凸状形状は少なくとも最大面積部で存在すれば良く、その凸状形状も内壁面として2mm以下で良く、内壁外面で1mm以下でよい。この凸状形状は、小面積部では測定誤差範囲内になることもあるが、略多角柱インクタンクの各面における変形優先順位をもたらす1つの要因となるので、本発明にとって好ましい条件の1つとなる。
【0143】
加えて、外壁の構造について補足する。前述した外壁の1つの機能として内壁の角部の変形を規制することをあげたが、この機能を発揮する構造としては、内壁の変形に対しては形状を維持でき、かつ角部の周囲を覆う構造(角部包囲部材)を有するものであればよい。従って、プラスチック、金属あるいは、厚紙等の材質で、上述した外壁または内壁を覆う構造にしてもよい。この外壁としては、全面でもよく、角部のみ面構造で、この面構造を金属等の棒で結合するようなものでも良い。さらに外壁は、メッシュ構造でも良い。
【0144】
さらに、インク収納室が交換式の場合のインク収納室の交換時など、何らかの理由で負圧発生部材の気液交換経路近傍領域からインク供給口近傍領域でインク切れが起こった場合、弾性変形可能な外壁を、図26に示すように手動で内壁とともに一時的に押圧することで、インク収納室内のインクを強制的に負圧発生部材収納室へ移動させ、簡単に回復させることができる。このような加圧回復処理は手動ではなく自動で行なってもよく、そのための加圧回復手段を後述する記録装置に設けてもよい。なお、内壁の一部が露出している場合は内壁の露出部だけを押圧してもよい。
【0145】
なお、本発明の実施の形態においては、インク収納部は略多角柱形状となっているが、この形態に限定されるものではなく、少なくともインクの導出に伴い変形可能で、この変形により負圧を発生可能であるものならば、どのような形態であっても本発明の第1の目的を達成することが可能である。
【0146】
さらに前述したインク収納部によるバッファ効果を得るためには、インク収納部が弾性変形可能であり、内部の収容物の膨張によりインク収納部が変形前の形状に戻ることができること、すなわち弾性変形の範囲内で変形することが求められる。もし、インク導出による変形にともなう負圧の変化の割合が急激に変わる状態が存在する場合(例えば変形部分同士が当接する場合など)には、弾性変形の範囲内であっても、この急激に変わる状態になる前に第1のインク供給状態を終え、第2のインク供給状態が開始されるようになっていることが望ましい。
【0147】
また、本発明の液体収納容器に使用される材料としては、内壁と外壁とが分離可能なものであればよく、内壁又は外壁にそれぞれ複数の材料を用いて、多層により構成してもよい。また、インク収納室を単独で負圧発生型液体収納容器として使用する場合より、内壁としては弾性の高いものを使用することが可能となっている。内部に収容されるインクなどに対する影響を考慮すれば、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが好適に適用可能である。
【0148】
さらに加えて、大気導入溝の製法について補足する。ダイクレクトブロー製造方法によってインク収納室を形成することにより、ピンチオフ部形状内面には溝形状が形成される。この溝形状を大気導入溝として利用することができる。
【0149】
また、より好ましくは、ブロー成形を行う際に大気導入溝としての形状を転写させることにより、大気導入溝の長さ、深さを規定することができる。
【0150】
<インクタンク>
上述の各実施の形態では、インク収納室は負圧発生部材収納室に対して着脱可能な形態であるため、2つの室の接続部からのインクの漏れ出しがないよう、Oリングなどを用いて部をシールすることが望ましい。
【0151】
<液体供給動作及びインク供給システム>
次に、液体供給動作及びインク供給システムに関する補足説明を行なう。
【0152】
上述した各実施の形態のインクタンク(インク供給システム)におけるインク供給動作については、インク収納室と負圧発生部材収納室とが接続されていない初期状態から、接続させた時の使用開始状態、第1及び第2のインク供給状態を経るものとなっている。
【0153】
ここで、上述した各実施形態の第1の変形例として、気液交換状態、すなわち第2のインク供給状態がないインク供給システムについても、インク収納部へ外気を導入することなくインク収納部のインクを使用する工程を有するため、液体収納容器の内容積の制限は、結合時においてインク収納部に導入された空気のみを考慮すればよいことになる。すなわち、インク収納室内の内容積の制限を緩和しても、環境変化に対応可能であるという利点があり、本発明の第1の目的を達成しうる構成となっている。ただし、インク収納部の使用効率を考慮するならば、上述の各実施の形態のように第1のインク供給状態のあとに気液交換状態を有する方が、より容易にインク収納部のインクを消費することができる。
【0154】
第2の変形例としては、図2に示す状態で、接続前の負圧発生部材収納室の液面が、気液界面より高い場合がある。このときは、図3を用いて説明した使用開始状態となるためのインクの移動のうち、毛細管力による負圧発生部材収納室への一方的なインク移動がないものとなる。
【0155】
第3の変形例としては、記録ヘッドからインクを消費する際の消費スピードが、極めて大きい場合がある。このときは、第1の供給状態において、両者の負圧が常時バランスを取るのではなく、両者の負圧の差がある所定の値以上になるまでは負圧発生部材収納室のインクが優先的に消費され、負圧の差が一定以上になった時、インク収納室のインクが負圧発生部材収納室側へ移動するようになることが起こりうる。
【0156】
なお、上述した2室が常時一体のインクタンクでは、使用開始時には使用開始状態が終了した段階になっているだけで、それ以外は各供給動作についての効果は本変形例においても各実施の形態の効果をそのまま適用可能である。
【0157】
<液体吐出記録装置>
最後に、図1に示した本発明の第1の実施例にかかるインクタンクを搭載して記録を行うインクジェット記録装置の説明を行う。図27に、本発明の第1の実施の形態にかかるインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の概略図を示す。
【0158】
図27において、ヘッドユニット4010及びインクタンク100は、インクジェット記録装置本体にキャリッジ4520の不図示の位置決め手段と所定軸廻りに回動する接続板5300によって固定支持されるとともに、該キャリッジに対してそれぞれ着脱可能な形で装着される。
【0159】
駆動モータ5130の正逆回転は駆動伝達ギア5110、5090を介してリードスクリュー5040に伝達され、これを回転させ、またキャリッジ4520はリードスクリュー5040の螺旋溝5050に係合するピン(不図示)を有する。これによって、キャリッジ4520は装置長手方向に往復移動される。
【0160】
符号5020は記録ヘッドユニット内の各記録ヘッドの前面をキャップするキャップを示し、キャップ5020は不図示の吸引手段によりキャップ内開口を介して記録ヘッドの吸引回復を行うために用いられる。キャップ5020はギア5080等を介して伝達される駆動力により移動して各記録ヘッドの吐出口面を覆うことができる。キャップ5020の近傍には、不図示のクリーニングブレードが設けられ、このブレードは図の上下方向に移動可能に支持されている。ブレードは、この形態に限られず、周知のクリーニングブレードが本例に適用できることは言うまでもない。
【0161】
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャリッジ4520がホームポジションに移動したときにリードスクリュー5050の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれば、本例にはいずれも適応できる。
【0162】
ここで、このような往復移動をするキャリッジに本願発明のインクタンクを搭載する場合の利点について説明する。
【0163】
本願発明のインクタンクは、インク収納室が変形可能な部材となっているため、キャリッジの走査によるインクの揺動をインク収納部の変形により緩和することができる。このようなキャリッジの走査に対して負圧の変動を発生させないようにするためには、インク収納部の角部の一部が対応する筐体内面から離脱していないか、離脱していても近傍に位置することが望ましい。また、本実施例のように対向する一組の最大面積面を有するインク収納部については、その対向する最大面積面を、キャリッジの走査方向に対して略直交する方向となるようにキャリッジに搭載することで、上述のインク揺動の緩和効果をより一層効果的なものとすることができる。
【0164】
また、<インク収納室の構造>の項目で説明したように、記録装置にインク収納室の外壁を介して内壁を加圧する加圧回復手段4510を搭載してもよい。この場合、インク収納室に光を透過させ、その反射の状態によりインクの有無を検知する発光手段と受光手段とを備える液体有無検知検知手段5060と、記録ヘッドの不吐出を検知する不吐出検知手段(不図示)と、制御手段(不図示)とを備えると、例えば次のようなシーケンスを採用することにより、負圧発生部材の気液交換経路近傍領域からインク供給口近傍領域でインク切れを解消することができる。
【0165】
まず、インク収納室を交換した場合、キャップ5020を利用した通常の吸引回復処理後に、交換したインク収納室に対応するヘッドのノズルで不吐出が検知される場合、加圧回復手段4510による加圧回復動作を行うことで通常の状態に復帰することができる。また、使用途中に、液体有無検知検知手段で「インクあり」の状態が、不吐出検知手段によって対応するヘッドのノズルに「不吐出」の状態がそれぞれ検知され、通常の吸引回復処理で不吐出が解消されない場合にも、加圧回復手段4510による加圧回復動作を行うことで通常の状態に復帰することができる。いずれの場合も、加圧回復を行うインクタンクに対応する記録ヘッド部はキャップによりキャッピングを行ない、記録ヘッド部からの不用意なインク漏れを防止することが好ましい。
【0166】
なお、液体有無検知検知手段は上述した光学式のものだけではなく、ドットカウント方式など他の方式を適用してもよいし、いくつかの方法を組合わせてもよい。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負圧発生部材収納室に対して分離可能なインク収納室に気液交換を促進する大気導入溝があることで、インク固着などによる大気導入溝の機能障害を防ぎ、安定したインク供給の行うことのできるインク供給システム及びこれに適用可能な液体収納容器を提供することができる。
【0168】
また、液体収納容器が液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な液体収納部を備えていることで、インク収納部内に導入された空気が環境変化に伴い膨張しても、インク収納部の内容積が増加してインク収納部内から負圧発生部材収納室側へインクを流出させない、あるいは流出量を少なくできるので、吐出をより安定して行うことが可能である。
【0169】
さらに、本発明の液体供給システムに用いられる液体収納容器は、装着時に負圧発生部材収納室の毛管力を利用して液体収納容器内の液体を負圧発生部材へと移動させることができるので、接続部近傍の負圧発生部材の液体保持状態に関わらず、装着すれば確実に液体収納容器のインクを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体供給システムを適用可能なインクタンクの第1の実施形態の概略説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は結合部拡大図である。
【図2】図1に示すインクタンクのインク収納室と負圧発生部材収納室との結合前の状態を説明する説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図である。
【図3】図1に示すインクタンクの使用開始状態を説明する説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図である。
【図4】図1に示すインクタンクのインク導出時の状態を説明する説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図である。
【図5】図1に示すインクタンクの気液交換状態を説明する説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図である。
【図6】図1に示すインクタンクのインク収納室交換前の状態を説明する説明図であり、(a)は、図1(b)と同じ断面による断面図、(b)は、図1(b)に示す液体収納室のA−A断面図である。
【図7】図1に示すインクタンクのインク導出量とインク供給口部の負圧の関係を示す説明図である。
【図8】(a)は図7に示す負圧曲線の詳細説明図であり、(b)は連続して気体を導出させた場合の、時間の経過に伴うインク収納部からのインク導出量及びインク収納部への空気の導入量の変化の状態を説明するための説明図である。
【図9】図8に示すB領域の一例についての詳細説明図である。
【図10】図9に示すa領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図11】図9に示すb領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図12】図9に示すc領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図13】図8に示すB領域の他の例についての詳細説明図である。
【図14】図13に示すa’領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図15】図13に示すb’領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図16】図13に示すc’領域に対応するインクタンクの動作説明図である。
【図17】インク収納室の交換時の動作を説明する図である。
【図18】図1に示すインクタンクの環境条件を変化させた場合の安定した液体保持のメカニズムの一部説明図である。
【図19】図1に示すインクタンクの環境条件を変化させた場合の安定した液体保持のメカニズムの一部説明図である。
【図20】図1に示すインクタンクの環境条件を変化させた場合の安定した液体保持のメカニズムの一部説明図である。
【図21】図1に示すインクタンクの環境条件を変化させた場合の安定した液体保持のメカニズムの一部説明図である。
【図22】大気圧下からP気圧(0<P<1)の減圧環境下に図1に示すタンクの環境を変化させた場合の、時間の経過に伴うインク収納部からのインク導出量及びインク収納部の体積の変化を説明するための説明図である。
【図23】本発明の液体供給システムに適用可能な第2の実施の形態のインクタンクの概要説明図であり、(a)は負圧発生部材収容室に対してインク収容室を装着する前の状態の断面図、(b)はインク収容室を装着した後の状態の断面図を示している。
【図24】本発明の液体供給システムに適用可能な第3の実施の形態のインクタンクの概要説明図であり、(a)は負圧発生部材収容室に対してインク収容室を装着した状態の断面図、(b)は(a)のB−B’線に沿って見た断面図を示している。
【図25】本発明の液体供給システムに適用可能な第4の実施の形態のインクタンクの概要説明図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図26】本発明の液体供給システムにおけるインク切れの加圧回復処理の一例を示す斜視図である。
【図27】本発明の液体供給システムを適用可能なインクジェット記録装置の一例の概略説明図である。
【符号の説明】
1 インクタンク
10 負圧発生部材収納室
12 インク供給口
13 負圧発生部材
14 接続部
15 大気連通口
50 インク収納室
51 筐体(外壁)
52 インク導出口
53 インク収納部
54 内壁
55 外気連通口
56 ピンチオフ部(溶着部)
57 シール部材
58 大気導入溝
59 気液交換促進部
59a 気液交換通路
60 記録ヘッド部

Claims (13)

  1. 外部に液体を供給するための液体供給部と大気と連通する大気連通部とを備え内部に液体を保持する負圧発生部材を収納する負圧発生部材収納室と、該負圧発生部材収納室に対して着脱可能であって、前記負圧発生部材収納室に対しての連通を除いて実質的な密閉空間を形成するとともに液体を収納する液体収納容器と、を用いる液体供給システムにおいて、
    前記負圧発生部材収納容器に対して装着される前記液体収納容器は前記負圧発生部材収納容器との接続部に、前記液体収納部内に気体を導入して液体を導出させる気液交換を生じせしめるための大気導入溝を備えていることを特徴とする液体供給システム。
  2. 前記液体収納容器は、液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な液体収納部と、該液体収納部を覆う筐体と、該筐体と前記液体収納部との間に大気を導入可能な外気連通口とを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の液体供給システム。
  3. 前記液体収納容器の液体導出部は密閉部材により密閉されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体供給システム。
  4. 前記密閉部材は前記液体収納容器を前記負圧発生部材収納容器に装着した後、離脱するものであることを特徴とする、請求項3に記載の液体供給システム。
  5. 前記負圧発生部材収納容器は前記大気導入溝と前記大気連通部との間に前記負圧発生部材が介在するものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の液体供給システム。
  6. 前記負圧発生部材収納容器には、前記大気導入溝と合致して一体となり気液交換を行なう溝が設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体供給システム。
  7. 外部に液体を供給するための液体供給部と大気と連通する大気連通部とを備え内部に液体を保持する負圧発生部材を収納する負圧発生部材収納室に対して着脱自在に交換可能であって、前記負圧発生部材収納室に対しての連通を除いて実質的な密閉空間を形成するとともに液体を収納する液体収納容器において、
    前記負圧発生部材収納容器との接続部に、前記液体収納部内に気体を導入して液体を導出させる気液交換を生じせしめるための大気導入溝を備えていることを特徴とする液体収納容器。
  8. 液体を収納し該液体の導出に伴い変形し負圧発生可能な液体収納部と、該液体収納部を覆う筐体と、該筐体と前記液体収納部との間に大気を導入可能な外気連通口とをさらに備えたことを特徴とする、請求項7に記載の液体収納容器。
  9. 前記負圧発生部材収納室に対しての液体導出部は密閉部材により密閉されていることを特徴とする、請求項7に記載の液体収納容器。
  10. 前記密閉部材は前記液体収納容器を前記負圧発生部材収納容器に装着した後、離脱するものであることを特徴とする、請求項8に記載の液体収納容器。
  11. 前記負圧発生部材収納容器は前記大気導入溝と前記大気連通部との間に前記負圧発生部材が介在するものであることを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  12. 前記負圧発生部材収納容器には、前記大気導入溝と合致して一体となり気液交換を行なう溝が設けられていることを特徴とする、請求項7から11のいずれか1項に記載の液体収納容器。
  13. 前記負圧発生部材収納容器から供給される液体を外部に吐出する記録ヘッド部を有することを特徴とする、請求項7から12のいずれか1項に記載のヘッドカートリッジ。
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