JP2004351903A - 液体収納容器、液体使用装置、及び記録装置、並びにインクジェットカートリッジ - Google Patents

液体収納容器、液体使用装置、及び記録装置、並びにインクジェットカートリッジ Download PDF

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JP2004351903A
JP2004351903A JP2003155784A JP2003155784A JP2004351903A JP 2004351903 A JP2004351903 A JP 2004351903A JP 2003155784 A JP2003155784 A JP 2003155784A JP 2003155784 A JP2003155784 A JP 2003155784A JP 2004351903 A JP2004351903 A JP 2004351903A
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Hidemiki Ogura
英幹 小倉
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Ryoji Inoue
良二 井上
Nobuyuki Kuwabara
伸行 桑原
Tetsuya Ohashi
哲也 大橋
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Abstract

【課題】開閉部の密閉性に対する信頼性が向上した一方向弁を有する液体収納容器を提供する。
【解決手段】液体収納空間を画成する収納部と、前記収納部に設けられ、収納液体を外部に供給するための液体供給部と、外部から前記収納空間への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への気体及び液体の導出を阻止するための一方向弁と、前記収納空間の容積を維持または拡張する機構とを具え、前記収納部の液体消費に伴って発生する負圧状態を前記一方向弁が調整するようにしている液体収納容器において、前記一方向弁は、前記収納空間と外部とを遮断し、かつ、該一方向弁の気体導入口が負圧状態を調整するために外部から前記収納空間内へと気体を導入するために開閉され、前記一方向弁の開閉部は、凸型形状部材と平面状部材とを押圧することにより密閉されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体収納容器、液体使用装置、及び記録装置、並びにインクジェットカートリッジに関し、より詳細には、液体収納空間内への外気の導入を許し、該空間からの液体の導出を阻止する一方向弁を有する液体収納容器、液体使用装置、及び記録装置、並びにインクジェットカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体使用装置、例えばインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体へ液体であるインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置においては、記録媒体に対し記録ヘッドを移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うものや、これとは逆に固定した記録ヘッドに対し記録媒体を移動させつつその過程でインク吐出を行うことにより画像形成を行うもの等がある。
【0003】
かかるインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに一体不可分にまたは分離可能にインクタンクが取り付けられ、このインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにしたオンキャリッジ方式と称されるものがある。また、キャリッジ上に搭載される記録ヘッドとは別体に、インクタンクを記録装置の他の部位に固定的に据え付け、可撓性チューブを介してインクタンクと記録ヘッドとを連結してインクを供給するチューブ供給方式と称されるものがあるが、この中にはインクタンク(メインタンク)と記録ヘッドとの中間タンク(サブタンク)として機能する第2のインクタンクが記録ヘッドないしキャリッジ上に搭載されて、この第2のインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにした形態のものも含まれる。
【0004】
これら方式にあって、記録ヘッドに直接的にインクを供給するインクタンクには、記録ヘッドのインク吐出部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生させる機構が設けられる。
【0005】
かかる負圧発生機構としては、インクを含浸保持するスポンジ等の多孔質部材をインクタンク内に収納し、そのインクの保持力によって適切な負圧を生じさせるものがある。
【0006】
また、弾性力をもち、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の材料で形成させた袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものもある。
【0007】
さらに、可撓性のフィルムで袋状部材を形成し、その内部または外部に、袋状部材が容積を拡張する方向にフィルムを付勢するばね等を接合することにより、負圧を発生させるようにしたものもある。
【0008】
しかしながら、上記いずれの機構においても、インクタンク内のインク残量が少なくなってくるに伴って負圧は強くなる傾向を持ち、その負圧レベルが所定値を超えると、記録ヘッドに対しインクを安定して供給することができなくなる。
【0009】
その結果、インクを完全に消費しきらない内にインクタンクが使用に耐えなくなってしまう問題がある。
【0010】
例えば、インクを直接収容しその収容量に応じて変形可能な可撓性の密閉袋状部材により構成され、この部材内にばね部材を設ける構成を開示する特許文献1がある。この公報のインクタンクでは、基本的に、ばね力と上記の負圧(と大気圧との差)による力が平衡するようにその負圧が定まるため、インク消費に伴う袋状部材の変形に伴ってばねが変形するほど袋状部材内部の負圧が高まる。この結果、記録ヘッドのインク吐出動作が可能な適性な負圧の範囲を越え、記録ヘッドのインク吐出部に適切なメニスカスを形成できなかったり、記録へッドに対して良好にインクを供給できないなどの問題を生じることがある。この場合には、また、インクの全てを使うことができないことにもなる。
【0011】
また、材質や形状を適切に選定した袋状部材にインクを収納し、袋状部材自体で負圧を発生する一方、インクを完全に消費しきった状態で内部に空間のない偏平な状態となるような構成のインクタンクもあるが、そのような袋状部材には形状の制約がある。従って、箱状の筐体に収容した形態としたインクタンクを構成する場合、インクを充填した状態でも袋状部材は筐体内に完全に嵌まり合う形状とはならず、インクタンク全体のスペースに対して容積効率が劣るものである。
【0012】
また、そのような袋状部材でも、インクを消費しきる際には負圧が高くなるので、記録ヘッドへのインク供給性能が低下したり、記録ヘッドのインク吐出動作が不安定となる問題がある。
【0013】
そこで、負圧レベルが所定の水準よりあまり大きくならないようにするために、次のような幾つかの機構が提案されている。
【0014】
例えば、特許文献2あるいは特許文献3では、タンクに疎水性膜と管状の通気口とを設け、さらにその管内に球体を配設することによって、内部の負圧が増大した際に、タンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。すなわち、特許文献2、3においては、外部から容器内に連通する管状の通気口(ボス)を具備し、外径がボスの内径より小さい球体をボス内壁に設けた複数の突起リブに取り付けることで、球体とボスとで略環状のオリフィスを形成する構成が開示されている。かかるオリフィスは、インクの毛管現象が少量のインクを液体シールとしてオリフィス内に保持するような大きさに選定される。また、容器内負圧が記録ヘッドの動作範囲の限界に近づくときに、その負圧がインクの毛管現象に打ち勝ち、液体シールが無効とされるような形状とされている。
【0015】
また、特許文献4では、可撓性シートでなるインク袋内に穴付き板と突起付き板とを対向配置するとともにそれらの間にばね部材を配設し、インク残量が減ってインク袋が縮み、内部負圧が所定値を超えるところで突起が穴に挿入して、穴付き板と可撓性シートとを剥離させてタンク内部に空気を取り込むようにした機構が開示されている。そしてこの機構では、空気の取り込みが行われると穴付き板と可撓性シートとが密接し、その間のインクのメニスカス保持力、換言すれば液体シールによってインク漏洩を防止するものである。
【0016】
しかしながら、これらの方法においては、空気を取り込む部分に複数の部品を要し、その箇所における構造の複雑化を伴っていた。
【0017】
特許文献2あるいは特許文献3に開示された構成は、環状オリフィスの部分に形成されるインクのメニスカスによる力(液体シール)とばねによる負圧とのバランスによって密閉系を成立させているものであり、機械的構成は比較的簡単であるものの、密閉系を維持する上では安定性に欠けるものである。すなわち、容器内外の気圧差、インクの温度上昇による粘性の低下、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度など、種々の条件により液体シールが破られ、収容するインクが漏出する不都合が生じる。また、液体シールは乾燥など湿度変化の影響を被り易く、これによって気泡の導入動作がばらつき、結果として記録ヘッドへのインク供給性能ひいては記録品位を低下せしめるものである。
【0018】
これらの不都合を防ぐために、上記公報では、オーバフロー容器として機能するとともに湿度勾配を保証するための入口迷路をボスに連続して設けた構成を開示しているものと考えられるが、その分構成が複雑化する。また迷路状の通路の他端が常に大気と連通しているので、ある程度のインク蒸発は免れ得ない。
【0019】
また、容器内のインクが消費され尽くす際には外気が一気に導入され、容器内の負圧が解消されることによって記録ヘッド部分に残っているインクが吐出口から漏出したり、メニスカスが形成されなくなった環状オリフィスから残留インクが漏出する恐れがある。
【0020】
さらに、これらの従来例では、インクタンクに直接に大気を導入する開口部を設けているために、その開口部の大きさや設置場所によっては、インクタンク内のインクがほとんど消費されてインクタンク内のインクがなくなる付近においては、相対的にタンク内の気体の量が多くなり、大気導入による負圧解消時にインク吐出口や開口部(通気口)におけるメニスカス維持が不完全となる場合があり、インク漏れや、これに伴う大気導入の不完全性につながる恐れがある。
【0021】
加えて、容器内外の気圧差、温度の上昇や下降、単体でインクタンクを取り扱う際の衝撃や落下、また特にシリアル記録方式にあって主走査時に作用する加速度など、種々の条件により液体シールが破られ、内部の圧力が所定値にならなくても空気が導入されてしまったり、逆にインクが漏出してしまう不都合が生じる。また、これらの条件は記録ヘッドやインクタンクの設計あるいはインクの物性等によって種々変わり得るものであり、また、使用する形態に合わせて開口部の形状や寸法、あるいは負圧発生機構の基本構成等に応じて、それぞれ設計の適正化が必要となるという問題もある。
【0022】
空気導入のため液体シールを用いる上記のインクタンクは、以上説明したような本来的に有している問題の他に、記録装置の設計上の自由度が低くなるなどの問題を派生させる。
【0023】
すなわち、この液体シール部をインクタンクに対して着脱可能とするなど、インクタンクとは別体のものとして構成することは容易ではない。仮にこの液体シール部を別体のものとした場合には、これをインクタンクに直接装着し、またはチューブ等を介して間接的に接続する際、インク内外の圧力差等を考慮して上記の環状部分に良好なメニスカスを形成するための複雑な処理もしくは装置構成が必要となる。
【0024】
また、チューブ等を介して液体シール部をインクタンクから離れた位置に設ける場合には、液体シール部のメニスカス形成のためこのチューブ内をインクで満たしている必要があるが、液体シール部を介した空気導入によってチューブ内のインクはインクタンク内に戻されてしまい、その後、チューブ内にインクを再充填することは上記と同様、複雑な処理もしくは構成を必要とすることになる。
【0025】
また、特許文献4に開示の技術では、薄い板状部材と可撓性シートとの微小な隙間から空気を導入する構造であるため、その隙間に液体が侵入した場合に生じる毛管力により上記剥離を行わせるための力が変化し、その結果、空気導入を行うときの負圧が安定しないという問題もあった。
【0026】
さらに、温度上昇等によって容器内部の気体(空気)の圧力が高まったときに、可撓性部材の変形により容器内の容積を実質的に増加させて、その内圧を緩和させるための可撓性部材としては、充分なバッファ機能を発揮するために、剛性が極めて低くて変形しやすいものが用いられている。
【0027】
しかしながら、そのような可撓性部材として用いられる剛性の低い材料は、一般に、厚みが薄くて気体透過度が高いために、気体の浸透圧によって容器内に気体を浸透させやすい。そのため、容器内に液体を長期保存した場合に、容器内の気体(空気)の膨張分を吸収するバッファ機能によっては対応できない量の気体が容器内に浸透し、バッファ機能が充分に発揮できなくなる恐れがあった。そのため、可撓性部材の材料としては、低剛性化と気体透過度の低下とを両立させるに、金属を蒸着したような極めて高コストの材料を用いなければならなかった。
【0028】
【特許文献1】
特公平3−24900号公報
【0029】
【特許文献2】
特開平7−125240号公報
【0030】
【特許文献3】
特開平7−125241号公報
【0031】
【特許文献4】
特開平6−183023号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、まず本発明者らは、液体収納容器内に空気を導入することによって容器内の負圧が全く解消される状態とすることは好ましくなく、所定の負圧値に戻すことが重要であるとの知見を得た。また、発明者らは、そのために空気の導入量も適切であるべきであると判断した。
【0033】
特に、液体収納容器をインクジェット記録ヘッドに直接インクを供給するためのインクタンクに適用する場合、記録の高速化かつ高画質化を図る上では、安定した流速および流量によるインクの供給が不可欠であり、そのためにはインクが流れる際のインク供給路内における抵抗がほぼ一定に保たれることが強く望ましい。従って、インクタンク内の負圧の安定化は重要な要素であり、さらにいうならば、負圧を所定範囲内に維持しておくことが重要である。そしてこのためには、空気を導入する部分が確実に動作することが必要となる。
【0034】
また、容器内への気体の浸透を低減すべく、それらの部材に気体の浸透圧が掛かる機会を減らして、液体を適正な状態に収納することができると共に、その収納した液体を安定的に供給することができるようにすることも重要である。
【0035】
本発明は、上述した諸問題点に鑑みてなされたものであり、次の事項の少なくとも一つを達成することを目的とする。
1.外部(記録ヘッドなど)に供給する液体(インクなど)の収納部に、所要の負圧を発生させる手段と、液体供給に伴う収納部内の負圧増大に応じて内部に空気を導入できるようにすることで負圧が適正な範囲に保たれるようにするための空気導入部とを有する構成にあって、いかなる使用環境および保存環境においても空気導入部から液体が漏出することがなく、かつ液体消費の段階によらず安定した負圧特性を維持できるようにすること。
2.液体収納容器内の負圧を一定に保つための内部への外気の導入を確実かつ適切なタイミングで行わせることで、負圧の安定化に対してより高い信頼性が得られるとともに、急激な環境変化に対しても液体供給口からの液体漏れが起きないようになし、究極的には無駄な液体消費が生じないようにした液体収納容器(インクタンクなど)およびこの液体収納容器を用いた液体使用装置(インクジェット記録装置など)を提供すること。
3.液体シールを用いる上記のインクタンクが本来的に有している問題を解決できるとともに、記録装置の設計上の自由度を向上させることが可能な負圧調整機構を具えたインクタンク、インクジェット記録ヘッド、該インクジェト記録ヘッドと前記インクタンクとを一体に備えたインクジェットカートリッジおよびインクジェト記録装置を提供すること。
4.より簡単な構造にも拘らず、液体収納容器内負圧の液体消費に伴う変化を吸収し、負圧の安定化を図るとともに、急激な環境変化に対しても液体供給口からの液体漏れが起きないようにした安価に製造できる液体収納容器及びこの液体収納容器を用いた液体吐出記録装置を提供すること。
5.液体収納容器の一部を可撓性部材や気体透過度の大きい部材によって構成した場合に、容器内への気体の浸透を低減すべく、それらの部材に気体の浸透圧が掛かる機会を減らして、液体を適正な状態に収納することができると共に、その収納した液体を安定的に供給することができる液体収納容器、および、それを用いた記録装置を提供すること。
【0036】
図13に示されるように、液体の収納空間R1を画成する収納部41と、該収納部41に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口46を形成するための液体供給部45と、前記収納部41に設けられ、外部から前記収納空間R1への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間R1から外部への液体および気体の導出を阻止するための一方向弁49と、前記収納空間R1の容積を維持または拡張させる機能を有する機構(可撓性膜であるシート部材及び圧力板からなる可動部材42、バネ部材43及び支持板44)と、を具え、前記収納部の液体消費に伴って発生する前記収納空間R1内の負圧を前記一方向弁49が調整している液体収納装置40が本出願人により提案されている。
【0037】
さらに、図14に詳細に示されるように、その外部から液体収納空間R1内への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間R1から外部への液体及び気体の導出を阻止するための一方向弁49は、外部からの気体を導入するための気体導入口51を有した「弁室50」と、前記弁室50に設けられ、前記気体導入口51を閉塞する方向に押圧する押圧発生手段52と、前記収納空間内の圧力が所定値以下になったときに前記開口部51を開放すべく作動する「被密閉部材54」と、前記被密閉部材54が押圧発生手段52により押圧された時、前記気体導入口51を密閉させる「密閉部材55」と、を具えた構成となっている。なお、48は、液体収納空間R1と弁室50を結ぶ連通孔であり、56は、大気連通孔である。また、前記一方向弁49の気体導入口51は、前記「被密閉部材54」と「密閉部材55」との二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器内部と外部とを遮断し、かつ、負圧状態を調整するために外部から前記収納容器内へと気体を導入するために開閉される構成であり、この二つの部材の接触領域を一方向弁の「開閉部」としている。この開閉部は、前記収納空間内の圧力を所定の圧力以上に保持しなければならないため、高い密閉性が要求される。
【0038】
ところで、提案されている一方向弁の開閉部の構成は、図13、14に示されるように、平面部材同士(被密閉部材54及び密閉部材55)を接触させ、前記気体導入部51を閉塞する方向に押圧させて密閉性を保持するものであった。こうした平面部材同士により構成される開閉部は、広い範囲で接触させることにより密閉性を高めており、部品の面精度や空気中のゴミなどの影響されることが少ない。そのため、安定した密閉性を保持することができると考えられる。
【0039】
また一方で、この一方向弁49は、前記収納空間内の圧力が所定値以下になったときに開放しなければならないため、弁室50の圧力に対する開閉性(応答性)も重要となる。
【0040】
この場合、平面部材同士を接触させた構成の場合は、接触面積が大きいために、圧力変化に対する開閉性(応答性)は低下する。また、開閉性(応答性)を高めるために、開閉部の接触面積を小さくした場合には、密閉性を確保するために部品の面精度を高めたり、組み立て精度を高める必要があり、コストが高くなる場合があった。
【0041】
また、一方向弁49に要求される弁室50内の圧力は、前記収納容器40の大きさに関わらず一定であり、通常50〜500mmAq(=0.05〜0.5gf/mm)程度である。この圧力で密閉性を高めるためには、押圧手段52の押圧力を大きくすることにより達成可能であるが、押圧力を大きくした場合には押圧力を伝達させるための開閉部を構成する被密閉部材54の面積が大きくなる。そのため、液体収納容器40内に占める一方向弁49のサイズが大きくなり、容積効率の低下する。また、サイズを小さくする場合には、押圧力が小さくなるために密閉性を確保するために、部品や組み付け精度を高める必要があり、同様にコストが高くなる場合がある。
【0042】
さらに、製造時においては、一方向弁を構成する部品同士の接触部の面精度や組み付け時の位置ずれ、偏心や回転、さらに、使用時におけるバルブの開閉や振動などによる位置ずれ、押圧力のバランスの変化などが、生じる可能性がある。その場合、平面部材同士による開閉部では、その密閉性を安定的に確保するために、同様に、部品精度や組み立て精度を高める必要があり、コストが高くなる要因となる。また、ズレにより収納容器の特性バラツキも生じる恐れがあった。
【0043】
【課題を解決するための手段】
上記問題点に鑑み、本発明の液体収納装置は、液体収納空間を画成する液体収納部と、該液体収納部に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口を形成するための液体供給部と、前記収納部に設けられ、外部から前記収納空間への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への気体及び液体の導出を阻止するための一方向弁と、前記収納空間の容積を維持または拡張する機構と、を具え、前記収納部の液体消費に伴って発生する負圧状態を前記一方向弁が調整するようにしている液体収納容器において、前記一方向弁は、二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器内部と外部と遮断され、かつ、前記一方向弁の気体導入口が負圧状態を調整するために外部から前記収納空間内へと気体を導入するために開閉され、前記二つの部材の接触領域よりなる一方向弁の開閉部は、凸型形状部材と平面状部材とが押圧されることにより密閉されている、ことを特徴とする。
【0044】
これにより、本発明の液体収納容器は、開閉部における接触面積を低減させることができ、同一押圧力に対する接触部の圧力を高めることができる。したがって、小さな押圧力に対しても開閉部の圧力を高めることが可能となり、密閉性に対する信頼性が向上する。
【0045】
また、本発明の液体収納装置は、液体収納空間を画成する液体収納部と、該液体収納部に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口を形成するための液体供給部と、前記収納部に設けられ、外部から前記収納空間への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への気体及び液体の導出を阻止するための一方向弁と、前記収納空間の容積を維持または拡張する機構と、を具え、前記収納部の液体消費に伴って発生する負圧状態を前記一方向弁が調整するようにしている液体収納容器において、前記一方向弁は、二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器内部と外部とを遮断し、かつ、前記一方向弁の気体導入口が負圧状態を調整するために外部から前記収納空間内へと気体を導入するために開閉され、前記二つの部材の接触領域よりなる一方向弁の開閉部は、その開閉状態が安定するような自己矯正構造を有する、ことを特徴とする。
【0046】
具体的には、前記一方向弁の開閉部を構成する二つの部材において、一方の部材は、軸方向に向けて相互にすぼまってゆく凹面に形成され、他方の部材は、当該凹面とは異なる形状を有して嵌まり合う凸面に形成され、この凹面と凸面の少なくとも一方は、曲面として形成されており、さらには、前記二つの部材は、略半球状突起を有する部材と前記半球状突起の球面に外接する円錐面を有する部材とであることがより好ましい。
【0047】
これにより、製造時における開閉部を構成する部材同士の位置ズレや傾きなどを吸収することが可能となり、密閉性に対する信頼性を確保することが可能となる。また、使用時における一方向弁の開閉に伴う開閉部の位置ズレや傾きに対しても、同様の効果が期待できる。
【0048】
また、前記一方向弁の気体導入口を開閉する開閉部において、開閉部の内側に、前記一方向弁の圧力を調整するための押圧発生手段による押圧が加わることが好ましく、それにより、気体開口部の中心に対して押圧バランスが崩れたり、開閉部中心がズレた場合にも、開閉部に対して確実に押圧力を加えることができる。そのため、開閉部を構成する部材の傾きやズレなどの発生を防ぎ、安定した密閉性を保持することが可能となる。
【0049】
さらに、前記一方向弁の気体導入口を開閉する開閉部において、開閉部を構成する二つの部材のうち、少なくとも一方が弾性部材であってもよい。
【0050】
それにより、開閉部における部品精度バラツキや微小なごみなどによる密閉を阻害する要因による影響を吸収することができ、したがって、開閉部に対する密閉信頼性をより向上させることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 なお、本発明の液体供給システムに用いられる液体として、以下の各実施形態ではインクを例にとって説明を行っているが、適用可能な液体としては、インクに限ることなく、例えばインクジェット記録分野にあっては、記録媒体に対する処理液などを含むことは言うまでもない。
【0052】
図1は、本発明の典型的な一方向弁の開閉部を示す拡大概略図である。
【0053】
図1に示される一方向弁1は、図13に示される従来例と同様、インクジェット記録分野に適用される液体収納容器40に特に適した一方向弁として以下に説明される。液体収納容器40は、上述した通りであるが、本発明に係る一方向弁との関係で、ここで再度簡単に説明しておく。液体収納装置40は、液体の収納空間R1を画成する収納部41と、該収納部41に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口46を形成するための液体供給部45と、前記収納部41に設けられ、外部から前記収納空間R1への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間R1から外部への液体および気体の導出を阻止するための一方向弁1と、前記収納空間R1の容積を維持または拡張させる機能を有する機構と、を具え、前記収納部41の液体消費に伴って発生する前記収納空間R1内の負圧を前記一方向弁1が調整するものである。図2においては、本発明における一方向弁の部分の拡大斜視図が示されており、密閉部における本発明の詳細な構成については、図3以降の図を用いて説明を行う。
【0054】
なお、この液体収納容器40は、前記機構において、前記収納部41の少なくとも一部に変位または変形可能に設けられた可動部材42と、前記収容空間R1の容積を増大させる方向に前記可動部材42を押圧する押圧発生手段43と、を有するものとすることができる。
【0055】
さらに、前記収納部41は、一部に変形可能な可撓性膜42aを前記可動部材42として有し、外部の空間に接する前記可撓性膜42aの内側に液体が存在するよう構成されてなるものとすることができる。
【0056】
次に、本発明の実施形態に係る前記一方向弁について簡単に説明する。
一方向弁1は、液体収納空間R1に連通する弁室10と、その弁室10を構成する可撓性部材13と、可撓性部材13に連動して移動することが可能であり、気体導入口11を有する被密閉部材14と、前記弁室10に設けられ、前記気体導入口11を閉塞する方向に押圧する押圧発生手段12と、その押圧発生手段12によって被密閉部材14を閉塞する方向に押圧し、密閉するための密閉部材15から構成されている。なお、8は、液体収納空間R1と弁室10を結ぶ連通孔、18は、大気連通孔、19は、可撓性部材13を支持する支持体である。また、前記一方向弁1の気体導入口11は、前記「被密閉部材14」と「密閉部材15」との二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器40内部(液体収納空間R1)と外部とを遮断し、かつ、負圧状態を調整するために外部から前記収納空間R1内へと気体を導入するために開閉される構成であり、この二つの部材の接触領域を一方向弁1の「開閉部20」としている。
【0057】
また、以下の実施例では、本発明における液体供給システムを構成する一方向弁1の開閉部20において、特にインクジェット記録分野特有の機能的課題を解決する手法を提供する。例えば、インクジェット記録用として用いられるインクは、比較的浸透性の高い(γ=20〜50 N/m)インクを使用している。そのため、弁室10内にインクが侵入した際にも外部へ漏れることがないような密閉性を確保する必要がある。また、この液体収納容器を用いてインクジェット記録を行う際には、記録ヘッドに供給されるインク供給量に依存することなく、液体収納容器内の負圧安定性や気体導入に伴う際の圧力損失が少なくなるように開閉部20を密閉する必要がある。
【0058】
図2は、一方向弁1における開閉部の拡大斜視図を示している。図2(a)は、可撓性部材13を挟んで、密閉部材15と被密閉部材14が接触している本発明における開閉部20が密閉された状態を示した図である。また、図2(b)では、その密閉部材15を外した際の気体導入口11とその開閉すなわち密閉領域(図で点線で囲まれている領域)16を表している。本発明における開閉部20は、図に示される気体導入口11の近傍にある密閉領域16を、密閉部材15により密閉する際の「密閉部」としての構成を備えている。
【0059】
(第1の実施形態)
図3は、本発明における第一の実施例を示す。
図3では、前記一方向弁1における気体導入口11を開閉する開閉部20において、凸型形状部材と平面状部材とを押圧発生手段により押圧することにより密閉することを特徴とする一方向弁1の概略図が示されている。
【0060】
図3(a)は、開閉部20における気体導入口11の周囲を密閉するために、気体導入口11の中心に対して同心円状に接触する断面鋭角形状の環状突起を有する凸型形状部材としての密閉部材15に対して、平面状部材としての被密閉部材14がバネ部材からなる押圧発生手段12により押圧され密閉されている一方向弁1の構成を表した実施例である。
【0061】
図3(b)は、図3(a)に用いられる密閉部材の立体斜視図を示す。図3(a)の構成により、気体導入口11を直接、平面状の部材同士で閉塞していた場合に比べて、容易に接触面積を低減させることができる。そのため、接触部における圧力を高めることができ、密閉性を向上させることができる。
【0062】
図4は、図3(a)と同様な形状の環状突起を被密閉部材14側に形成し、密閉部材15側を平面状の部材により構成するものである。この場合も、図3(a)と同様の効果が期待される。
【0063】
図5(a)は、開閉部20を構成する部材である密閉部材15が凸型形状部材としての断面台形状の環状突起を有する場合の実施例を示している。図5(b)は、図5(a)に用いられる密閉部材の立体斜視図を示す。台形状の環状突起の場合には、開閉部20において図3(a)に示される実施例に対して広い平面で接触しているため、微小なゴミや部品精度に依存が少なく、密閉性を阻害する要因の影響が少なくなり、密閉安定性が高まる。ただし、図3(a)に比べて接触面積が増え、接触部における圧力は低下するため、押圧発生手段12による押圧力が高い場合に用いられることが好ましい。
【0064】
図6(a)は、開閉部20を構成する部材である密閉部材15が凸型形状部材としての断面半球形状の環状突起を有する場合の実施例である。図6(b)は、図6(a)に用いられる密閉部材の立体斜視図を示す。半球形状の環状突起の場合には、平面状の被密閉部材に対して図3(a)と同様に小さい接触面積により密閉することができるため、低い押圧力においても開閉部に高い圧力を発生させることが可能である。また、本実施例の場合には、開閉部に比較的高い押圧力がかかった場合にも、均一に押圧力が加わるため、安定した密閉性を保持することができる。
【0065】
また、図5(a)、図6(a)に示される実施例も、図4の場合と同様に、開閉部20を構成する被密閉部材14に同形状の突起を設け、平面状の密閉部材15に対して押圧し密閉する場合も含まれる。
【0066】
(第2の実施形態)
図7〜9は、本発明における第2の実施例を示す。
図7には、前記一方向弁1における気体導入口11を開閉する開閉部20において、略半球状部材とその前記形状に対して接触する円錐面を有する部材により密閉されていることを特徴とする一方向弁1の概略図が示されている。
【0067】
図7(a)は、一方向弁1の開閉部20において、気体導入口11の中心に対してほぼ同一中心になるように略半球状の突起部14aが設けられた被密閉部材14に対して、その略半球状の突起部14aの球面に外接する略円錐状の面がその内側に形成された環状突起部15aを有する密閉部材15が、押圧発生手段12により押圧され、開閉部20を密閉している実施例である。この構成により、接触面積を低減させて接触部の圧力を高くすることによって、密閉性を高めることができる。さらに、接触部の一方が半球状を、他方が円錐面をなしているため、開閉時における被密閉部材14の動作時のバラツキや振動、衝撃などによるズレなどが生じた場合にも、開閉部20のズレをその球面と円錐面とにより補正し、開閉部20の密閉性を保持することが容易である。すなわち、本実施例における開閉部20は、その開閉状態が安定するような自己矯正構造を有する。
【0068】
図7(b)は、図7(a)と同様の構成において、その密閉部材15が、その略半球状の突起部14aの球面に外接する略円錐状の面を有する凹部15aにより、開閉部20を密閉する実施例である。本実施例においても、図7(a)と同様の効果が期待できる。
【0069】
また、図8(a)は、図7(a)と同様な略半球状の突起部15bを密閉部材15側に有し、その略半球状の突起部15bの球面に外接する略円錐状の面を内側に有する環状突起部14bを有した被密閉部材14が押圧発生手段12により押圧され、開閉部20を密閉している実施例である。また、図8(b)は、図7(b)と同様の構成において、その被密閉部材14が、その略半球状の突起部15bの球面に外接する略円錐状の面を有する凹部14bにより、開閉部20を密閉する実施例である。こちらも、同様の構成であるため、開閉時における被密閉部材14の動作のバラツキや振動、衝撃などによるズレなどが生じた場合にも、開閉状態が安定するように自己補正することが可能であり、密閉性を保持することができる。
【0070】
図9は、一方向弁1の開閉部20において、気体導入口11の中心に対してほぼ同一中心になるように略半球状の突起部14aを有する被密閉部材14に、その略半球状の突起部14aの球面に外接する略円錐状の面を内側に有し、かつ接触時に変形可能な環状突起15cを有した密閉部材15に対して、押圧発生手段12により押圧されて、開閉部20を密閉している実施例である。これは密閉部材15側に、被密閉部材14との接触時に変形可能な部材、例えば、弾性部材など、を有している点が特徴である。これにより、開閉部20を構成する二つの部材における密閉部材15側の変形部材15cの変形により、開閉部20の圧力をより高めることができる。また、被密閉部材14の傾きに対しても、変形部材15cの変形によりその開閉部20の密閉性を積極的に保持することができる。
【0071】
本実施例では、開閉部20を構成する二つの部材に関し、その一方が半球状を、他方が円錐面をなしている構造について述べてきたが、これに限られるものではない。要は、一方の部材には、軸方向に向けて相互にすぼまってゆく凹面が形成され、他方の部材には、当該凹面とは異なる形状を有して嵌まり合う凸面が形成され、この凹面と凸面の少なくとも一方が曲面であればよい。
【0072】
(第3の実施形態)
図10は、本発明における第三の実施例を示す。
図10(a)は、密閉部材15と被密閉部材14との接触範囲(=開閉部:a)と押圧発生手段12から被密閉部材14に押圧力が加わる範囲(b)との理想的な位置関係を表した図を示している。ここでは、図10(a)で示された実施例を元に説明する。
【0073】
一方向弁1において、開閉状態を安定させ、かつ密閉性を高めるための一方向弁1を構成する各部材の理想的な配置は、被密閉部材14上の気体導入口11の中心17に対して、押圧発生手段12から被密閉部材14に加わる押圧力の中心と、被密閉部材14と密閉部材15との接触部(=開閉部)20の中心17aがほぼ同一直線状にあることが好ましい。しかしながら、製造時の組み立て精度や開閉動作時の位置ズレ、振動や衝撃による被密閉部材の変位などにより、これらの各部材の中心は、気体導入口11の中心17からズレを生じる場合がある。
【0074】
その際にも、より安定的な密閉性を保持するためには、密閉部材15と被密閉部材14との接触範囲(=開閉部:a)よりも押圧発生手段12から被密閉部材14に押圧力が加わる範囲(b)が小さい(a>b)であることが望ましい。
【0075】
例えば、図10(b)のように、被密閉部材14と密閉部材15との接触部(=開閉部)20の中心17aが、気体導入口11の中心17からずれた場合においても、(a>b)の関係にあれば、該中心17に対して(a−b)/2の範囲内の移動であれば、密閉部材15と被密閉部材14との接触範囲(=開閉部:a)内に押圧発生手段12による押圧力が加わるため、被密閉部材14に傾きが生じることなく、密閉性を確保することができる。
【0076】
逆に、図11に示されるように、密閉部材15と被密閉部材14との接触範囲(=開閉部:a)よりも押圧発生手段12から被密閉部材14に押圧力が加わる範囲(b)が大きい(a<b)場合には、以下に示すように、或る条件においては、密閉性が損なわれる恐れがあると推測される。つまり、図11(a)のように被密閉部材14上の気体導入口11の中心17に対して、押圧発生手段12から被密閉部材14に加わる押圧力の中心と、被密閉部材14と密閉部材15との接触部20の中心17aがほぼ同一直線状にある場合には、良好な密閉性を保持することができると考えられるが、図11(b)のように、被密閉部材と密閉部材との接触部(=開閉部)20の中心17aが、気体導入口11の中心17からずれた場合には、開閉部20に対する押圧力の加わる位置が開閉部20の外側になる。これにより、開閉部20に対する押圧力のバランスが崩れ易くなり、少ない力や振動などにも傾きやすく、或る条件においては密閉性が解除される恐れもある。
【0077】
そのため、接触範囲(a)よりも押圧発生手段12から被密閉部材14に押圧力が加わる範囲(b)が小さい(a>b)であることが望ましい。
【0078】
この関係は、図3〜9の実施例にも適用されることが好ましい。
また、これまで示された実施形態において、開閉部を構成する前記二つの部材のうち、少なくとも一方が弾性部材であることが好ましい。これは、部材同士の開閉部における面精度や空気中のゴミなど、接触を妨げる要因を部材の弾性変形により吸収する効果があるためである。これにより、それらの阻害要因を軽減することが可能となり、より信頼性の高い密閉性を確保できる。さらに、その部材の弾性変形により、製造時や開閉時のズレなどを自己補正機能の向上につながると考えられる。
【0079】
図12は、前記実施例により構成される液体収納容器が搭載可能な液体使用装置としてのインクジェット記録装置の構成例を説明するための図である。
【0080】
本実施例の記録装置150は、シリアルスキャン方式のインクジェット記録装置であり、第1ガイド軸151、第2ガイド軸152によって、キャリッジ153が矢印Aの主走査方向に往復動される。キャリッジ153には、記録ヘッド101とその記録ヘッド101にインクを供給する複数のインクタンク100が搭載されている。記録ヘッド101とインクタンク100は、インクタンク100と記録ヘッド101とが分離可能に構成されていてもよいし、インクタンク100とヘッド101が一体となったインクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。被記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口155から挿入された後、その搬送方向が反転され、送りローラ156によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置150は、記録ヘッド101を主走査方向に移動させつつ、プラテン157上の用紙Pの記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0081】
記録ヘッド101は、インクを吐出するためのエネルギーとして、電気変換体から発生する熱エネルギーを利用するものであってもよい。その場合には、電気熱変換体の発熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときの発泡エネルギーによって、インク吐出口からインクを吐出することができる。また、記録ヘッド101におけるインクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いた方式のみに限定されず、例えば、圧電素子を用いてインクを吐出する方式などであってもよい。
【0082】
キャリッジ153の移動領域における図12中の左端には、キャリッジ153に搭載された記録ヘッド101のインク吐出口の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)158が設けられている。回復系ユニット158には、記録ヘッド101のインク吐出口のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられており、インク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、インク吐出口からインクを吸引排出させて、記録ヘッド101の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう。)をする。また、キャップ内に向かって、インク吐出口から画像形成に寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッド101の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」ともいう。)をすることもできる。
【0083】
本実施例の記録装置においては、記録ヘッド101と共にキャリッジ153に搭載されたインクタンク100から、記録ヘッド101に対してインクが供給されることになる。
【0084】
【発明の効果】
以上述べてきたように、前記一方向弁の気体導入口を開閉させる開閉部において、その開閉状態を安定するような自己矯正構造を有することにより、製造時、動作時における位置ズレなどを防止する、或いはその許容範囲を広くすることが可能となり、これによる開閉部の密閉性に対する信頼性を向上させることができる。また、液体収納容器内に一定負圧を発生させるために、弁室に設けられた押圧発生手段による押圧される「被密閉部材」と「密閉部材」との接触面積を低くすることにより、単位面積あたりの接触部の圧力を高めることが可能となる。それにより、小容量タンクに求められる小型の一方向弁のような押圧力の小さな場合であっても、密閉部に対する信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一方向弁の拡大断面図である。
【図2】本発明に係る一方向弁の開閉部を示し、(a)は、その斜視図であり、(b)は、開閉部の密閉領域を説明するための斜視図である。
【図3】本発明に係る一方向弁の第1の実施態様を示し、(a)は、環状の凸状部材が形成された密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図であり、(b)は、該密閉部材の斜視図である。
【図4】本発明に係る一方向弁の第1の実施態様を示し、環状の凸型形状部材が形成された被密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る一方向弁の第1の実施態様を示し、(a)は、断面台形状の環状の凸型形状部材が形成された密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図であり、(b)は、該密閉部材の斜視図である。
【図6】本発明に係る一方向弁の第1の実施態様を示し、(a)は、断面半球形状の環状の凸型形状部材が形成された密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図であり、(b)は、該密閉部材の斜視図である。
【図7】本発明に係る一方向弁の第2の実施態様を示し、(a)は、略半球状突起が形成された被密閉部材と前記半球状突起の球面に外接する円錐面を内側に備える環状突起が形成された密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図であり、(b)は、密閉部材が、前記半球状突起の球面に外接する円錐面を備える凹部を有する構造である開閉部の一部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る一方向弁の第2の実施態様を示し、(a)は、略半球状突起が形成された密閉部材と前記半球状突起の球面に外接する円錐面を内側に備える環状突起が形成された被密閉部材を有する一方向弁の拡大断面図であり、(b)は、被密閉部材が、前記半球状突起の球面に外接する円錐面を備える凹部を有する構造である開閉部の一部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る一方向弁の第2の実施態様を示し、図7において、密閉部材が変形可能な部材からなる一方向弁の拡大断面図である。
【図10】本発明に係る一方向弁の第3の実施態様を示し、密閉部材と被密閉部材との接触範囲aよりも押圧発生手段から被密閉部材に押圧力が加わる範囲bが小さい(a>b)場合の開閉部の動作を説明するための図であり、(a)は、前記範囲aと前記範囲bの中心が一致する正常時、(b)は、該中心がずれた時を示す。
【図11】本発明の第3の実施態様と比較するための図であっって、密閉部材と被密閉部材との接触範囲aよりも押圧発生手段から被密閉部材に押圧力が加わる範囲bが小さい(a>b)場合の動作を説明するための図であり、(a)は、前記範囲aと前記範囲bの中心が一致する正常時、(b)は、該中心がずれた時を示す。
【図12】前記実施態様の一方向弁を有する液体収納容器が搭載可能な記録ヘッドを備える記録装置を示す。
【図13】従来の一方向弁を有する液体収納容器を示す。
【図14】従来の一方向弁の拡大断面図である。
【符号の説明】
1、49 一方向弁
8、48 連通孔
10、50 弁室
11、51 気体導入口
12、52 押圧発生手段
13、53 可撓性部材
14、54 被密閉部材
15、55 密閉部材
16 密閉領域
17 気体導入口中心線
17a 開閉部中心
18 可撓性部材の支持体
19、56 大気連通孔
20 開閉部
40、100 液体収納容器(インクタンク)
41 収納部
42 可動部材
43 バネ部材
44 支持板
45 液体供給部
46 液体供給口
101 記録ヘッド
150 インクジェット記録装置
151 第1ガイド軸
152 第2ガイド軸
153 キャリッジ
155 用紙挿入口
156 送りローラ
157 プラテン
158 回復系ユニット

Claims (10)

  1. 液体収納空間を画成する液体収納部と、
    該液体収納部に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口を形成するための液体供給部と、
    前記収納部に設けられ、外部から前記収納空間への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への気体及び液体の導出を阻止するための一方向弁と、
    前記収納空間の容積を維持または拡張する機構と、
    を具え、
    前記収納部の液体消費に伴って発生する負圧状態を前記一方向弁が調整するようにしている液体収納容器において、
    前記一方向弁は、二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器内部と外部と遮断され、かつ、前記一方向弁の気体導入口が負圧状態を調整するために外部から前記収納空間内へと気体を導入するために開閉され、
    前記二つの部材の接触領域よりなる一方向弁の開閉部は、凸型形状部材と平面状部材とが押圧されることにより密閉されている、
    ことを特徴とする液体収納容器。
  2. 液体収納空間を画成する液体収納部と、
    該液体収納部に設けられ、収納している液体を外部に供給する液体供給口を形成するための液体供給部と、
    前記収納部に設けられ、外部から前記収納空間への気体の導入を許容し、かつ前記収納空間から外部への気体及び液体の導出を阻止するための一方向弁と、
    前記収納空間の容積を維持または拡張する機構と、
    を具え、
    前記収納部の液体消費に伴って発生する負圧状態を前記一方向弁が調整するようにしている液体収納容器において、
    前記一方向弁は、二つの部材の接触領域を境界として、前記収納容器内部と外部とを遮断し、かつ、前記一方向弁の気体導入口が負圧状態を調整するために外部から前記収納空間内へと気体を導入するために開閉され、
    前記二つの部材の接触領域よりなる一方向弁の開閉部は、その開閉状態が安定するような自己矯正構造を有する、
    ことを特徴とする液体収納容器。
  3. 前記一方向弁の開閉部を構成する二つの部材において、一方の部材は、軸方向に向けて相互にすぼまってゆく凹面に形成され、他方の部材は、当該凹面とは異なる形状を有して嵌まり合う凸面に形成され、この凹面と凸面の少なくとも一方は、曲面として形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体収納容器。
  4. 前記二つの部材は、略半球状突起を有する部材と前記半球状突起の球面に外接する円錐状の面を有する部材とであることを特徴とする請求項3記載の液体収納容器。
  5. 前記一方向弁の気体導入口を開閉する開閉部において、開閉部の内側に、前記一方向弁の圧力を調整するための押圧発生手段による押圧が加わることを特徴とする請求項1または2に記載の液体収納容器。
  6. 前記一方向弁の気体導入口を開閉する開閉部において、開閉部を構成する二つの部材のうち、少なくとも一方が弾性部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体収納容器。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液体収納容器に接続可能とされ、前記液体収納空間内から供給される液体を使用することを特徴とする液体使用装置。
  8. 前記液体としてインクを収納した前記液体収納容器から供給されるインクを用いて記録を行う記録ヘッドの形態を有することを特徴とする請求項7に記載の液体使用装置。
  9. 前記記録ヘッドの形態を有する請求項8に記載の液体使用装置を用いて記録を行う手段を具えたことを特徴とする記録装置。
  10. インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドに供給すべきインクを前記液体として貯蔵するための請求項1ないし6のいずれかに記載の液体収納容器と、を具えたインクジェットヘッドカートリッジ。
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