JP2004187629A - 光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸及びそのエステルの製法 - Google Patents
光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸及びそのエステルの製法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の一方の光学異性体資化能を有し、該光学異性体を単一炭素源として生育しうるラルストニア属またはバークホルデリア属に属する微生物もしくはその培養菌体を、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする培地中で培養し、該光学異性体を資化分解せしめ、残存する他方の光学活性体を分取することを特徴とする光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の製法、並びにそのカルボン酸エステル体の製法。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を炭素源として資化増殖する能力を有する微生物を用いて、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸より光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を分取する方法、並びに該製法により得られた光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸をエステル化する光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルの製法に関する。
本発明により得られる光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸及びそのエステル体は、医薬品・農薬・生理活性物質などの光学活性化合物の製造における製造中間体として極めて重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の化学的製法としては、そのラセミ体を光学活性アミノ酸アミド誘導体、あるいは光学活性シス−1−アミノインダン−2−オールを分割剤として光学分割する方法などが知られている。しかしながら、これらの製法により高光学純度のテトラヒドロフラン−2−カルボン酸を得るには、高価な分割剤を必要とし、工業的に経済的な製法とは言い難い。
【0003】
一方、生物学的製法に関しては、微生物や動物由来のエステル分解酵素をラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルに作用させ、立体選択的な加水分解によりテトラヒドロフラン−2−カルボン酸とその対掌体エステルに分割する方法が知られている[特許文献1、特許文献2]。しかしながら、この製法では、高価な酵素を購入する必要があり、工業的により安価で簡便な製法が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−171994号公報
【特許文献2】
国際公開 第01/92554号パンフレット
【0005】
本発明者らは、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸からR体あるいはS体のテトラヒドロフラン−2−カルボン酸を優先的に資化分解する能力を有し、さらに該光学異性体を単一炭素源として資化増殖することのできる微生物を求め、鋭意研究した結果、目的とする微生物の単離に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高光学純度の光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を効率よく、経済的に製造することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はテトラヒドロフラン−2−カルボン酸の一方の光学異性体資化能を有し、すなわち本発明は、R体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸資化能を有し、該光学異性体を単一炭素源として生育しうるラルストニア(Ralstonia)属またはバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物もしくはその培養菌体を、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする培地中で培養し、該光学異性体を資化分解せしめ、残存する他方の光学異性体を分取することを特徴とする光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の製法、並びに該方法により得られた光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸をエステル化することにより光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルを合成する方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に使用される微生物(以下本微生物と略記する。)を通常一般によく用いられる栄養培地中で予備培養して種菌体を調製する。
【0009】
次いで、この予備培養から得られる培養物あるいは微生物菌体を、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源として含有する培地に接種し、培養し、培養液から残存する光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を分取する。
本培養は至適pH、至適温度の範囲内で行うのがよい。例えばpHを5〜9、好ましくはpH7前後で、培養温度は15〜50℃、好ましくは20〜37℃の範囲で行う。なお、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の資化反応の進行に伴い、培養液中のpH が徐々に低下または上昇する場合、適当なアルカリ源または酸源を添加することにより培養液中のpHを至適範囲内にコントロールする必要がある。
【0010】
例えば、アルカリ源としては炭酸カルシウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、炭酸カリウム、炭酸アンモニウなどの炭酸アルカリ塩水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ塩水溶液、アンモニア水溶液など、酸源として塩酸、燐酸など通常、酸またはアルカリを中和させることができるものを用いてpHを至適範囲内に制御するのがよい。
【0011】
培養液中の単一炭素源としてのラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の基質濃度は0.1〜15%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括して加えてもよいし(バッチ培養法)、分割添加してもよい(流加培養法)。また、連続培養法を行うことも可能である。
本培養の培地には窒素源として、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩など、さらに必要に応じてビタミン類を加えてもよい。
培養は通常、攪拌あるいは振盪、あるいは通気撹拌培養等の方法を用いて好気的に行われる。培養時間は基質濃度ならびにその他の培養条件により異なるが24〜120時間で終了するのがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析によりラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の残存基質量が初期基質濃度に比して50%で培養を終了するか、あるいは目的とする光学活性体の光学純度を測定して終点を決定するのがよい。すなわち基質であるラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸中のR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸が全て分解資化された時点で培養を停止するのがよい。
【0012】
このようにして培養液中に残存する光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸は一般的な方法で回収および精製できる。例えば、培養液から菌体を遠心分離で除いた後、上清に塩酸や硫酸などの酸と酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、またはそれらの混合物等の溶媒とを添加し、水槽と油層とに分ける。次いで油層を分取し周知の手法を用いることによって高光学純度の光学活性体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を効率よく得ることができる。また、適当な塩化合物にし、再結晶化してもよい。
なお、本発明を実施するには、予め種菌体を調製することなく、本微生物をラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする培地に直接植菌し、上記と同様の方法で培養し、目的とする光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を回収してもよい。
上記方法により得られた光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を常法によりエステル化することにより、光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルを製造することができる。
このエステル化は、好ましくは硫酸触媒下、所望のアルコールと反応させエステル化した後、酢酸エチルなどの適当な溶媒を用いて抽出し、蒸留により精製を行ってもよい。このエステル化によって、目的物の光学純度が殆ど低下することがない。
【0013】
本微生物を予備培養するための培地組成としては通常本微生物が生育する培地ならばいずれでも使用することができる。
例えば炭素源としてラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸、グルコースやフラクトースなどの炭水化物、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸とその塩類などの有機酸、またはそれらの混合物を用いることができる。窒素源として硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩など、さらに必要に応じてビタミン類を加えてもよい。
また、ペプトン培地、ブイヨン培地等の栄養培地、あるいはラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を添加したこれらの培地を用いてもよい。
培養は常法によればよく、例えばpHを5〜9、好ましくはpH7前後で、培養温度は15〜50℃、好ましくは20〜37℃の範囲で振盪培養あるいは通気撹拌培養等の方法を用いて好気的に20〜96時間行なうことが好ましい。
【0014】
本微生物は、上記の如くR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の資化能を有し、該光学異性体を単一炭素源として資化増殖することのできるラルストニア属またはバークホルデリア属に属する微生物である。好ましい菌株としてはラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株、バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株、バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株を挙げることができる。
【0015】
上記の菌株はそれぞれ形態学的・生理性状学的試験および16SrRNA塩基配列解析からラルストニア属またはバークホルデリア属に属する微生物微生物と同定され、独立行政法人産業技術総合研究所に以下の国内寄託番号で寄託されている。
ラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株:国内寄託番号FERM P−19113.
バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株:国内寄託番号FERM P−19114。
バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株:国内寄託番号FERM P−19115。
【0016】
なお、上記菌株は文献未載の新菌株であり、その形態学的・生理性状学的諸性質を以下に記載する。
(表1)
【0017】
(表2)
【0018】
本発明の光学的分割法において、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする完全合成培地を使用する場合には、雑菌に汚染されることが少なく、目的物の精製も容易である。
また、本発明の微生物はラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸よりR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を完全に資化分解するため、培養終了後の培養液には残存する光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸と生育菌体以外には残存しないため、回収工程などのダウンストリームが非常に簡便である。
【0019】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に記載のない限り%(w/v)を表す。
【0020】
実施例1
121℃で15分間、加圧蒸気滅菌したグリセリン10g/L、酵母エキス10g/L、ペプトン10g/Lからなる液体栄養培地100ml(pH7.2)を入れた500ml容バッフル付き三角フラスコに、予め同栄養培地プレートで生育させたラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株の菌体を1白金耳分植菌し、30℃で24時間培養を行い、種培養液を得た。
【0021】
硫酸アンモニウム 0.2%
リン酸第2ナトリウム 0.02%
リン酸第2カリウム 0.02%
リン酸第1ナトリウム 0.04%
硫酸マグネシウム 0.05%
硫酸鉄 0.001%
硫酸銅 0.0001%
硝酸マンガン 0.0001%
炭酸カルシウム 0.5%
ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸 1.0%(v/v)
からなる組成の培地100ml(pH6.9)を入れた500ml容のバッフル付き三角フラスコを121℃で15分間、加圧蒸気滅菌し、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする完全合成培地を作製した。
上記完全合成培地に種培養液1mlを無菌的に接種し、30℃、130rpm の振盪条件で2日間培養した。
【0022】
その結果、培地中に生育した微生物の濁度は3.0 OD(660nmでの濁度)で、その時の培養液中に残存するテトラヒドロフラン−2−カルボン酸をガスクロマトグラフィー(カラム担体:PEG 20M,60−80メッシュ)で分析した結果、その残存率は35%であった。培養終了後、培養液を取り出し、遠心操作により菌体を除去し、上清液を得た。この上清液をエバポレーターで濃縮し、エーテルにより抽出した。続いて無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下でエーテルを除去し、テトラヒドロフラン−2−カルボン酸のシロップを得た。
【0023】
本物質の光学純度の測定は、得られたテトラヒドロフラン−2−カルボン酸の光学異性体のシロップ50mgを30ml容の三角フラスコに入れ、氷冷しながら4−ジメチルアミノピリジンを105mg、ジクロロメタンを10ml、塩酸飽和エタノールを100μl、塩酸1−エチル3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを99mg加え、10分ほど撹拌した後、蓋をして室温で一晩撹拌した。有機層を1N塩酸で2回洗浄した後デシケーターにて溶媒を除去し、テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エチルへと変換した後、アステック社製のキャピラリーカラムG − TA(0.25 mm(ID) x 30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。
その結果、得られたテトラヒドロフラン−2−カルボン酸は光学純度99%ee 以上のR体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸であった。
光学異性体の分析条件:カラム温度,110℃;検出器温度,240℃;キャリアーガス,窒素;流速,0.5ml/min;検出器,FID;スプリット比,100/1;リテンションタイム:R体,8.2分;S体,9.1分
【0024】
実施例2および3
実施例1において用いた微生物をバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株、またはバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株に代えた以外は実施例1と同様の方法で行った。
結果を以下に示す。
(表3)
【0025】
実施例4
硫酸アンモニウム 0.2%
リン酸第2ナトリウム 0.02%
リン酸第2カリウム 0.02%
リン酸第1ナトリウム 0.04%
硫酸マグネシウム 0.05%
硫酸鉄 0.001%
硫酸銅 0.0001%
硝酸マンガン 0.0001%
からなる組成の無機塩溶液に、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を4%(v/v)添加した培地1.0L(pH6.9)を入れた2L容培養器(ジャーファーメンター、ミツワ理化学社製、Model KMJ5B)を121℃、15分間加圧蒸気滅菌し、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする完全合成培地を作製した。
次いでラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株を予めペプトン、酵母エキス、グリセリン各1% からなる栄養培地で30℃、24時間振盪培養し、この培養液40ml(4%(v/v))を上記ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする完全合成培地に無菌的に接種した。そして以下の条件で3日間通気撹拌培養を行った。
温 度: 30℃
通気量: 0.2L/min
回転数: 400rpm
【0026】
なお、pHの測定および制御は連動させたpHコントローラーを用いて行い、7.5Nの水酸化ナトリウム水溶液あるいは2Nの塩酸によりpH7.0〜7.5に制御した。また、本物質の定量ならび同定は実施例1と同様の方法により行った。
培養終了後の生育微生物の濁度は9.3 OD(660nmでの濁度)で、その時のテトラヒドロフラン−2−カルボン酸の残存率は44%であった。培養液より遠心分離操作により生育した菌体を除去し、上清液を得た。上清液からのテトラヒドロフラン−2−カルボン酸の回収は実施例1と同様に行った。実施例1と同様の方法で本物質の光学純度を測定したところ、99%ee以上のR体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸であった。
【0027】
実施例5および6
実施例4において用いた微生物をバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株、あるいはバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株に、培地中のラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を2%に、培養期間を2日間に代えた以外は実施例4と同様の方法で光学分割を行い、同様の方法で光学純度の測定を行った。
結果を以下に示す。
(表4)
【0028】
実施例7および8
実施例4および5に記載の方法にて得た99%e e 以上の光学活性体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸のシロップ150gに8等量のメタノールとの6ml硫酸を添加し、11時間還流した。冷却後、水150mlとジクロロメタン500mlとを加え、有機層を回収した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和、水洗した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、濃縮、蒸留を行い光学活性体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸メチルを得た。
光学純度の測定は、得られたテトラヒドロフラン−2−カルボン酸メチルをアステック社製のキャピラリーカラムG−TA(0.25mm(ID) x 30m(Length))を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。
結果を以下に示す。この結果から明らかな通り、エステル化反応に付しても光学純度が低下することなく、高收率でエステル体が得られることが判明した。
(表5)
光学異性体の分析条件:カラム温度,110℃;検出器温度,240℃;キャリアーガス,窒素;流速,0.5ml/min;検出器,FID;スプリット比,100/1;リテンションタイム:R体,8.4分;S体,9.5分
【0029】
【発明の効果】
本発明によればラルストニア属またはバークホルデリア属に属する微生物、例えばラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株、バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株、バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株を用い、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸からR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を優先的に資化分解させることにより、高光学的純度のR体あるいはS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を原料的に安価で、且つ工業的に簡便な方法によって製造することができ、さらに得られた光学活性体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸より光学活性体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルを、光学純度を殆ど低下させずに合成することが可能である。
Claims (7)
- テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の一方の光学異性体資化能を有し、該光学異性体を単一炭素源として生育しうるラルストニア(Ralstonia)属またはバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物もしくはその培養菌体を、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする培地中で培養し、該光学異性体を資化分解せしめ、残存する他方の光学異性体を分取することを特徴とする光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の製法。
- 微生物がラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株である請求項1記載のR体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の製法。
- 微生物がバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株またはバークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株である請求項1記載のS体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の製法。
- テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の一方の光学異性体資化能を有し、該光学異性体を単一炭素源として生育しうるラルストニア属またはバークホルデリア属に属する微生物もしくはその培養菌体を、ラセミ体テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を単一炭素源とする培地中で培養し、該光学異性体を資化分解せしめ、残存する他方の光学異性体を分取し、ついでエステル化することを特徴とする光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸エステルの製法。
- ラルストニア(Ralstonia) sp. DS-SK-RT13株(国内寄託番号FERM P−19113)。
- バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST4株(国内寄託番号FERM P−19114)。
- バークホルデリア(Burkholderia) sp. DS-SK-ST12株(国内寄託番号FERM P−19115)。
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