JP2004186678A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、成長時の熱履歴がなく光出力が安定でかつ良好な自励発振特性を備える窒化物半導体発光素子を提供することにある。
【解決手段】 本発明の窒化物半導体発光素子は、少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含むものであって、p電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は窒化物半導体発光素子に関する。より詳しくは、p電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴とする複数電極型窒化物半導体発光素子に関する。
窒化物半導体発光素子である窒化物半導体レーザは、発振波長が400nm前後であることから光ディスクシステム用の光源として開発が進められている。このような窒化物半導体レーザを光ディスクシステムなどの光源として用いる場合、ディスク面からの反射光が半導体レーザに再結合して生じる戻り光雑音が問題となっている。一般的に半導体レーザのキャリア密度を過渡状態にして発振スペクトルの利得集中を緩和することで可干渉性を下げることが知られており、注入電流を変調する高周波重畳や、半導体レーザ内部のキャリアと光子の相互作用を用いて自励発振を行なうことが好ましいとされている。特に高周波回路を用いる必要がないことから、後者の自励発振素子を採用する方がコスト面や使い勝手において有利である。
このような自励発振特性を有する窒化物半導体レーザとしては、たとえば図14に示すような光ディスク用低雑音半導体レーザが知られており(特許文献1参照)、InGaNを構成元素とした可飽和吸収層を有することで安定な低雑音半導体レーザを提供するものであって、次のような構造を有している。すなわち、n型SiC基板400に、n型AlN層401、n型AlGaNクラッド層402、n型GaN光ガイド層403、InGaN量子井戸活性層404、p型GaN光ガイド層405、p型AlGaNクラッド層406、p型GaNコンタクト層407が順次形成された構造である。また、上記p型GaN光ガイド層405にはInGaN可飽和吸収層408が設けられている。
ところで、上記のようにInを含有する活性層および可飽和吸収層は、基板による歪みなどの特性や成長条件のばらつきにより特性が安定しにくく、特に可飽和吸収層の特性のばらつきは自励発振の歩留りを悪化させる懸念がある。またInを含有することにより可飽和吸収層の成長温度は大略850℃以下となり、隣接するGaを主に含有する窒化物層やAlとGaを主に含有する窒化物層の成長温度よりも100℃以上も低く、ときには成長温度差が300℃以上になることもある。このように可飽和吸収層を設けることにより成長時の工程が複雑になるばかりでなく、成長時の熱履歴が活性層の特性悪化を引き起こすという懸念が生じている。また、該可飽和吸収層は、積層構造中のある一層全てを占める形で形成されることから、光導波路を導波する光は、常に可飽和吸収層の影響を受ける構造となっている。
一方、別の半導体レーザとして、複数電極型半導体発光素子が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、該半導体発光素子の活性層はAlGaAs系であってN(窒素)を含有したものではない。また、該半導体発光素子は無バイアス時のp−nジャンクションと活性層の位置の関係、周辺層の不純物濃度が明らかにされておらず、一般的な構造を提示しているとは言えない。すなわち、p−nジャンクションに生成した空乏層に活性層が空間的に重なっていない場合には、無バイアス時の可飽和吸収体の効果は電流注入されないことによる吸収と、活性層におけるキャリアの再結合効果、あるいはGaAs系はキャリアが拡散しやすいために一部のキャリアが空乏層まで拡散した後に空乏層の内部電界によりキャリアの活性層からの排出が促進されるものと考えられる。このような構造であっては、良好な自励発振を得るためには活性層の微分利得が大きいこと、キャリアが拡散しやすいことなど材料や構造による限定が加わると考えられる。
特開平9−191160号公報 特開平1−251775号公報
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、成長時の熱履歴がなく光出力が安定でかつ良好な自励発振特性を備える窒化物半導体発光素子を提供することにある。
本発明の窒化物半導体発光素子は、少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含むものであって、p電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴としている。また、本発明の窒化物半導体発光素子は、該分離された電極の1つ以上の領域において、p電極とn電極が電気的に短絡されていることを特徴としている。
本発明の窒化物半導体発光素子は、上記で説明した構造を有することにより、成長時の熱履歴がなく光出力が安定でかつ良好な自励発振特性を備えたものとなる。また、本発明の窒化物半導体発光素子は、分離された電極の1つ以上の領域においてp電極とn電極が電気的に短絡されていることにより、一層良好な自励発振特性を備えることができる。
<窒化物半導体発光素子>
本発明の窒化物半導体発光素子は、以下で順次説明するように原則として一方の表面上にn電極を有する基板の他方の面上において、n型窒化物半導体層、n型窒化物半導体クラッド層、n型窒化物半導体ガイド層、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p型窒化物半導体キャリアブロック層、p型窒化物半導体ガイド層、p型窒化物半導体クラッド層、p型窒化物半導体コンタクト層、絶縁層およびp電極等をこの順で積層させた構造を有するものである。そしてこのような構造において、p電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴としている。このような構成としたことにより、本発明の窒化物半導体発光素子は後述の自励発振特性を備えたものとなる。また、本発明の窒化物半導体発光素子は、このように分離された電極の1つ以上の領域においてp電極とn電極が電気的に短絡されていることにより、一層良好な自励発振特性を備えることができる。本発明の窒化物半導体発光素子としては、たとえば窒化物半導体レーザ素子が挙げられる。
<基板>
本発明に用いられる基板としては、この種の用途に用いられる基板であれば特に限定なく種々のものを用いることができる。たとえばGaN基板を用いることができるが、これのみに限られることはなくサファイア基板やSiC基板、GaAs基板、Si基板、ZrB2基板等を用いることができる。
本発明に用いられる基板は、裏面側から研磨もしくはエッチングにより基板の一部を除去し、その厚みを100〜400μm程度までに薄く調整することが好ましい。これは、後の工程でウェハーを分割し個々のレーザチップにするのを容易にするためである。特に、レーザ端面ミラーも分割時に形成する場合には80〜300μm程度に薄く調整することが望ましい。
<積層構造>
本発明の窒化物半導体発光素子は、上述の基板の一方の表面上にn電極を形成し、もう一方の表面上にたとえばn型窒化物半導体層、n型窒化物半導体クラッド層、n型窒化物半導体ガイド層、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p型窒化物半導体キャリアブロック層、p型窒化物半導体ガイド層、p型窒化物半導体クラッド層、p型窒化物半導体コンタクト層、絶縁層およびp電極等をこの順で積層させた構造を有するものである。該積層方法としては、たとえばエピタキシャル成長法を挙げることができるが、これのみに限られるものではない。該エピタキシャル成長法とは、基板上に結晶膜を成長する方法であって、VPE(気相エピタキシャル)法、CVD(化学気相デポジション)法、MOVPE(有機金属気相エピタキシャル)法、MOCVD(有機金属化学気相デポジション)法、Halide−VPE(ハロゲン化学気相エピタキシャル)法、MBE(分子線エピタキシャル)法、MOMBE(有機金属分子線エピタキシャル)法、GSMBE(ガス原料分子線エピタキシャル)法、CBE(化学ビームエピタキシャル)法等を含むものである。
ここで、上記n型窒化物半導体層としてはたとえばn型GaN層、n型AlGaN層等が、n型窒化物半導体クラッド層としてはたとえばn型AlGaNクラッド層等が、n型窒化物半導体ガイド層としてはたとえばn型GaNガイド層、n型AlGaNガイド層等が、p型窒化物半導体キャリアブロック層としてはたとえばp型AlGaNキャリアブロック層等が、p型窒化物半導体ガイド層としてはたとえばp型GaNガイド層、p型AlGaNガイド層等が、p型窒化物半導体クラッド層としてはたとえばp型AlGaNクラッド層等が、p型窒化物半導体コンタクト層としてはたとえばp型GaNコンタクト層、p型AlGaNコンタクト層等が、絶縁層としてはたとえばSiO2、ZrO2、SiO、Ta25、TiO2、Al23等の1つ以上の誘電体から選ばれた層かこれらの2つ以上の混合体からなる層等が、それぞれ挙げられるがこれらのみに限られるものではなく従来公知のものをそれぞれ用いることができる。なお、電極、およびInとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層については後述する。
一方、本発明の窒化物半導体発光素子は、上述の各層の他、たとえばスペーサー層等の層をさらに積層させたものとすることもできる。このようなスペーサー層としては、たとえばn型からなるAlGaN(活性層における注入効率を適正に保つためにAlの含有率は0.05以下が望ましい)やGaNおよびInGaN(Inの含有率は活性層における障壁層と同等が望ましく、活性層への注入効率を高くできる)を用いることができ、n型不純物としてSiを添加したものが好ましい。この場合Siの濃度としては、活性層と平均して1×1017/cm3〜5×1018/cm3がよく、スペーサー層の厚みを0nm〜50nmに調整することにより後述の可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率を調整することで可飽和吸収体のキャリア寿命を調整することができる。
<InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層>
本発明の窒化物半導体発光素子の上記積層構造中、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層が本発明の一つの特徴となる。ここで、InとGaを主に含有する窒化物半導体とは、窒素を除く成分においてInとGaとが、原子数にして好ましくは少なくとも99%を占めているものを示し、その他に不純物が含有されていてもよく、その不純物の種類は特に限定されずまた異なっていてもよく、1%以下のAlが混在していてもよいことを示すものとする。
このような本発明の活性層は、後述の通り領域分離されかつ各分離された一対の電極が短絡された場合において、該短絡された電極下においては可飽和吸収体として機能するものである。ここで可飽和吸収体とは、適当な波長において吸収特性を示す物質であって、光吸収によるその吸収係数が変化するものである。すなわち、多量の光子を吸収することにより吸収係数が小さくなる傾向を示す。なお、以下では、特に断りのない限り単に可飽和吸収体という場合は、特に活性層のみを指して呼ぶ可飽和吸収体と、該領域の積層全体を指して呼ぶ可飽和吸収領域との両者を含むものとする。ところで、このような可飽和吸収体は、1つに限らず2つ以上であってもよく後述の自励発振特性は全可飽和吸収体の閉じ込め係数の総和ΓS.A.により決まる。この閉じ込め係数の総和ΓS.A.は、0.02≦ΓS.A.≦0.30であることが望ましい。閉じ込め係数が0.02よりも少ないと吸収係数が小さいために自励発振特性が得られにくく、0.30以上では吸収係数が大きいために発振閾値が高くなるためである。
本発明においては、このように該活性層が可飽和吸収体として機能するが故、後述の自励発振特性が示され、かつウェハー成長後においてこの自励発振特性を変更できるため、従来の可飽和吸収層を備えた自励発振型窒化物半導体レーザよりも成長時のばらつきの影響を受けにくいというメリットを有したものとなる。また、このような可飽和吸収体を有する本発明の窒化物半導体発光素子は、非常に簡易に製造することができ、以ってコストの低減が可能になる。
なお、本発明のInとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層は、後述の通り、2.6eV以上のバンドギャップを有していることが好ましい。また、該活性層は、n型不純物としてSiを添加しているとともに、そのSiの濃度が1×1017/cm3〜5×1018/cm3であることが好ましい。
<電極>
本発明の窒化物半導体発光素子は、上述の通り、前記基板を挟んでその上下にn電極とp電極とを有した構造を有する。n電極は、該基板を研磨後、その一方の面に薄い金属膜を蒸着することにより形成することができる。たとえば、Hf/Al/Mo/Pt/Au等の積層電極構造を挙げることができるがこれのみに限られるものではない。このような薄い金属膜を膜厚の制御性よく形成するには真空蒸着法が適しているが、この手法に限らずイオンプレーティング法やスパッタ法等の他の手法を用いても形成することができる。一方、p電極としては、たとえばPd/Mo/Au等の積層電極を該基板のp型窒化物半導体コンタクト層上に形成することができる。該形成方法としては、n電極と同様の方法を採用することができる。なお、p電極およびn電極の特性向上のため金属膜形成後500℃でアニールを行なうことにより、良好なオーミック電極を得ることができる。このようなアニールは、p電極形成後、およびn電極形成後にそれぞれ行なってもよく、また上記のようなHf/Al/Mo/Pt/Auからなるn電極においてはAl形成後にアニールを行なった後、Mo/Pt/Auを形成したものとすることができる。
<領域分離>
本発明の電極は、p電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴としている。ここで、電気的に2領域以上に分離されているとは、上記のような金属電極がストライプ方向(水平方向)に少なくとも2以上の領域に分離されていることを示すとともに、上記のような活性層から電極までの窒化物半導体層と電極とが一体として、ストライプ方向に少なくとも2以上の領域に分離されている場合も含まれる。なお、このような分離は、電極を形成させる際に予め該電極の下層をマスキングする等して別個の領域に2以上の電極を形成することにより行なうことができるとともに、予め一体的に形成した電極をレーザスクライブ法やレーザアブレーション法等によって分離させることにより行なうことができる。
<短絡>
本発明においては、上述の通りp電極およびn電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域においてp電極とn電極が電気的に短絡されていることを特徴としている。ここで、分離された電極の1つ以上の領域においてp電極とn電極が電気的に短絡されているとは、少なくとも1領域以上の電極と、それと対になる電極(すなわち、分離された電極がp電極であれば、対になる電極はn電極を示す。)とが、短絡していることを示す。このように2電極間が短絡されると、前述の通り短絡された電極下の活性層が可飽和吸収体として働くため好ましい。このような短絡は、たとえばワイヤーボンディングにより行なうことができるが、これのみに限られず何等かの導電性材料により両電極間を接続させることにより短絡することができる。
<抵抗>
本発明においては、前記電気的に2領域以上に分離された電極の1つ以上の領域において、p電極とn電極の間に抵抗が設けられているものとすることができる。該抵抗としては、後述の自励発振特性が得られる限り、p−n電極間を通常の抵抗で接続することができる。該抵抗は、後述の自励発振特性を調整する作用を有するものである。
<共振器および反射膜(短絡)>
本発明においては、前記電気的に2領域以上に分離された電極の1つが共振器を形成する2つの端面の出射面と反対側の端面に接触しているとともに、該端面は導電性材料を含有する反射膜を備えており、かつ該反射膜によりp電極とn電極が電気的に接続されていることを特徴とすることができる。上述の通り、後述の自励発振特性は、p−n電極間を通常の抵抗で接続することによっても得られるが、製造工程の増加やパッケージサイズの大型化は否めない。このため、導電性材料を含有する反射膜によりp電極とn電極が電気的に接続されていることが好ましく、このような反射膜としてはAlが特に好ましい。Alからなる反射膜を窒化物半導体発光素子の端面に直接設けても80%以上の反射率が得られる。ところで、反射膜のAlは縞状に形成される場合があり電気的に断線する恐れがあるため、Niなどの皮膜率が高く、縞状になりやすい材質をあらかじめ薄く積層した上に、Alを積層することで電気的な断線を防止したAl薄膜を形成できる。さらに端面損失を防ぐには誘電体材料と導電体材料を組み合わせた高反射膜を用いてもよい。なお、このような反射膜は、Al以外の導電性材料によっても形成することができる。このような導電性材料としては、たとえばAg等を挙げることができる。なお、反射膜として用いたAl等の導電性材料は、誘電体と組み合わせて用いることができる。誘電体を含む反射膜は屈折率の低い材質と高い材質を光学1/4波長ごとに組み合わされたものであり、その終端にAlなどの導電性材料を設けてもよく、第2のp電極と前記導電性材料が電気的に接触していればよい。このような誘電体材料としては、SiO2、TiO2、Ta25、Al23、ZrO2等を挙げることができる。
一方、このような反射膜はシステムに応じて形成されるものであり、一概に定まるものではないが、一般的に後面は80%以上の後反射膜が望ましい。特に後面のさらに後ろに光出力を検出する受光素子が設けられていない場合には90%以上の反射膜を設けるとよい。これにより窒化物半導体発光素子内の光子密度が向上するため発振閾値が低下する。このような高反射膜は低屈折率と高屈折率の材質を交互に4/λの層厚で形成すればよく、前記SiO2、TiO2、Ta25、Al23、ZrO2等を用いることができる。
このような反射膜は、その膜厚を制御することによりp−n電極間の抵抗を調整することができる。また後述の空乏層の内部電界を例えば不純物濃度を高くして大きくすることにより、後述のτ1を十分短くすることにより、自励発振特性を制御できる。このように窒化物半導体発光素子の製造工程の終盤工程で自励発振特性を変更できるために歩留りの向上が期待できる。
なお、本発明で用いられる共振器としては、この種の用途に用いられる共振器であれば特に限定なく用いることができる。たとえばファブリペロー共振器等を挙げることができる。
<自励発振特性>
本発明の窒化物半導体発光素子は、前述の通り自励発振特性を備えていることを特徴としている。ここで自励発振特性とは、該窒化物半導体発光素子に含まれる活性層と可飽和吸収体の相互作用によりDC注入時に自発的に光強度が振動する現象である。このような自励発振状態では、レーザ光の可干渉性が低下するために外部帰還された光との相互作用により生じる雑音(単に戻り光雑音と記す)が軽減されることになる。また、該戻り光と可飽和吸収体の相互作用による該自励発振特性の停止を防止するためには、可飽和吸収体の吸収領域の位置を出射面から遠ざけることによりその効果を一層向上させることができる。
本発明の窒化物半導体発光素子が可飽和吸収体を備えている場合において、自励発振特性を有するためには、少なくとも可飽和吸収体のキャリア寿命と可飽和吸収体の閉じ込め係数と線形傾斜利得の積を大きくする必要がある。本発明のような複数電極型窒化物半導体発光素子では、閉じ込め係数の設計は自由になるためキャリア寿命の制御が重要なパラメータになる。大略0.1ns〜1.5ns程度にキャリア寿命の制御が可能になると自励発振特性をコントロールすることができる。
n型あるいは意図的にn型不純物を添加していないInとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層の多数キャリアはエレクトロンであり、p−nジャンクションが活性層とp層間に設けられていることが多い。可飽和吸収体では無バイアス状態であるためp−nジャンクションが空乏層になる。図4は窒化物半導体発光素子における無バイアス時のp−nジャンクション周辺を計算した例である。この計算においては、3MQW(多重量子井戸)からなる、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層をn型として、AlGaNキャリアブロック層をp型としている。図4から明らかなように、活性層およびキャリアブロック層ともに空乏層となる。このような活性層において光励起により生成したキャリアは、電界の影響によりエレクトロンはn層へ、ホールはp層へ加速される。活性層の一部が空乏層の外にある場合は伝導帯に蓄積され、ホールは空乏層まで拡散し、加速されてp層に蓄積される。p−n電極間が開放されている場合にはキャリアの拡散によってp−n電極間に電位差が発生し、p−n電極間が前述のように電気的に短絡されている場合には電流が発生する。このような可飽和吸収体の動作はフォトダイオードとしてよく知られている。
一方、このような複数電極型半導体発光素子は、本発明と別材料のGaAs系(前述の特許文献2等)で報告されている。しかしながら、後述するように無バイアス時に可飽和吸収体として機能する活性層は材料への依存性や構造に対する依存性が非常に大きいことが分かり、共振器方向に活性層と可飽和吸収体を設けるのみで自励発振が得られるわけではない。すなわち異なる半導体レーザであっては、材料毎の設計が必要不可欠である。
一方、窒化物半導体レーザは微分利得が比較的小さいこと、活性層におけるキャリアが拡散しにくいことなどから共振器方向に活性層と可飽和吸収体を設けるのみでは自励発振特性が得られにくいと考えられる。しかしながら、窒化物半導体は上述のGaAs系の半導体と比較してバンドギャップが大きいためp−nジャンクションに生成した空乏層の内部電界が大きくなるため、前記窒化物半導体の有する弱点を補うことが期待される。すなわち本発明は、このような差異に着目し、窒化物半導体などのバンドギャップの大きい半導体レーザにおける自励発振構造を提供するものである。
また、本発明の窒化物半導体発光素子は、p−nジャンクション近傍の材料や構造を適切に制御することによって、少なくとも5mW以上の光出力範囲で自励発振特性が得られる。
ところで、GaAs系の半導体レーザ(前述の特許文献2等)では、可飽和吸収体のp電極とn電極間に逆バイアスV(<0)をかけ内部電界を大きくすることがあった。これは、GaAs等のバンドギャップの狭い半導体材料では拡散電位VDが小さく、図4における空乏層の内部電界が小さくなり空乏層内のキャリアが加速されにくいためである。これに対して本発明で採用する窒化物半導体は、バンドギャップが広く2.6eV〜3.4eV程度というワイドバンドギャップをもち、このため拡散電位が大きく無バイアスであっても内部電界を大きくすることができるというメリットを有している。本発明は、このように広いバンドギャップを有する材料を採用している点を一つの特徴としている。したがって、本発明のInとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層はバンドギャップが2.6eV以上であることが好ましい。
また、図4で得られた空乏層幅や内部電界は、活性層および周辺のn層のエレクトロン濃度、p層のホール濃度を変更することで容易に変更できるため、可飽和吸収体にかかる内部電界を大きくすると光励起により生成したキャリアを速やかにn層、p層へ排出できる。さらに、可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率を調整することで可飽和吸収体のキャリア寿命を調整することができる。この調整には、可飽和吸収体の層厚の他、p−nジャンクションまでの距離を変更してもよい。このように可飽和吸収体の特性を考慮し、活性層におけるキャリアの注入効率、駆動電圧の上昇などを抑える設計をすることが好ましい。p型の窒化物半導体は抵抗が高いために活性層の駆動電圧を考慮すれば、p型不純物としてMgを5×1019/cm3〜2×1020/cm3で添加することが好ましい。一方、活性層、活性層とp層間にあるスペーサー層またはp−nジャンクションから前記活性層までを含む領域には、n型不純物としてSiを平均して1×1017/cm3〜5×1018/cm3で添加することが好ましい。1×1017/cm3より少ないと可飽和吸収体の内部電界が小さくなり自励発振特性が得られにくくなるからである。一方、5×1018/cm3より多いとn層における空乏層幅が狭くなり可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率が少なくなり自励発振特性が得られにくくなる場合があり、好ましくない。なお、n型不純物およびp型不純物は上記に限らず、同様の半導体としての特性が得られるものであれば用いることができる。また、活性層および可飽和吸収体の層厚は100nm以下であることが好ましい。100nmより厚くなると可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率が少なくなり自励発振特性が得られにくくなるからである。なお、ここで言う可飽和吸収体および活性層の層厚とは、両端の井戸層の端から端までの距離である。一方、p−nジャンクションと活性層および可飽和吸収体の距離は50nm以下であることが望ましい。50nmより厚くなると可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率が少なくなり自励発振特性が得られにくくなるからである。
ところで、可飽和吸収体の井戸層に光励起により生成したキャリアは、井戸層内での輻射遷移と非輻射遷移、井戸層外へのトンネル効果により減少する。活性層の量子効率を高めるために非輻射再結合確率を低くする方がよく、上記可飽和吸収体のキャリア寿命を0.1ns〜1.5nsにするためには前記トンネル効果を用いることが好ましい。図4のように可飽和吸収体が空乏層にあっては、可飽和吸収体の障壁層が大きくバンドベンディングするために井戸層から障壁層へのトンネルしやすくなる。よって前述のように内部電界が大きい必要があった。ところで、可飽和吸収体および活性層の井戸層幅が電子の広がりよりも狭ければ効果があり、0.5nm〜5.0nmがよい。InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる井戸層は、基板を含むGaを含有する窒化物半導体およびAlとGaを含有する窒化物半導体から圧縮歪みを受け、バンドはp層側にエネルギーが低くなるように曲がる。すなわち井戸層内のホールはn層側へ偏るためにp層側の障壁層へトンネルしにくくなる。とくに5.0nmよりも厚い場合にはキャリア分布の偏りが大きくトンネル効果が減るため、自励発振特性が得られにくくなる。また、0.5nm以下でInGaN層を形成すると、Inの原子半径がGaおよびNよりも大きいために平坦性が悪化し、微分ゲインが小さくなるため活性層の特性が悪化し、可飽和吸収体の吸収特性の制御が困難になるので望ましくない。
ところで、p−n電極間が開放されていると、光励起により生成したエレクトロンとホールがそれぞれn層、p層に蓄積される。n層およびp層のキャリア密度が増大すると、前述のトンネル効果が期待できなくなるため可飽和吸収体のキャリア寿命が長くなり、自励発振が得られにくい。よって、p−n電極間ですみやかにキャリアを消滅させる必要がある。
p−n電極間を短絡するか、あるいはp−n電極間に抵抗が設けられていると、n層およびp層に蓄積されたキャリアが再結合する。キャリア寿命はいくつかの緩和時間が複合されて決まり、活性層井戸における輻射再結合寿命τrおよび非輻射再結合寿命τnr、活性層からトンネル効果および拡散により障壁層に移動する寿命τ2、窒化物半導体レーザのパッケージ容量Cと直列抵抗Rからなる時定数をτ3とすれば、定常状態では下記式で表わされるτ1と、τ3とを比較して遅い寿命が支配的である。
Figure 2004186678
p−n電極間を前述のような導電性の反射膜で接続すると膜厚で抵抗を変えることによりp−n電極間のキャリア寿命を制御することができる。特に薄膜導電体を窒化物半導体の端面反射膜を兼ねるように設けると、コストやパッケージサイズの小型化など量産時のメリットが大きい。また前述の空乏層の内部電界を例えば不純物濃度を高くして大きくすることにより、またτ1を十分短くすることにより、自励発振特性は外部抵抗成分を加えた直列抵抗Rで制御できる。このように窒化物半導体発光素子の製造工程の終盤工程で自励発振特性を変更できるために歩留りの向上が期待できる。
<その他>
本発明の窒化物半導体発光素子は、下記のような方法で分割することができる。まず表面からダイヤモンドポイントでスクライブラインを入れウエハーに適宜力を入れ、スクライブラインに沿ってウエハーを分割した。スクライブラインは裏面から入れてもよい。他の手法としてはワイヤソーもしくは薄板ブレードを用いて傷入れもしくは切断を行なうダイシング法、エキシマレーザ等のレーザ光の照射加熱とその後の急冷により照射部にクラックを生じさせこれをスクライブラインとするレーザスクライビング法、高エネルギー密度のレーザ光を照射し、この部分を蒸発させて溝入れ加工を行なうレーザアブレーション法等を用いても同様にチップ分割することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例を図1(a)および(b)に基づいて説明する。図1(a)は、本実施例の窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図1(b)は共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極1、GaN基板2、n型GaN層3、n型AlGaNクラッド層4、n型GaNガイド層5、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体7、p型AlGaNキャリアブロック層8、p型GaNガイド層9、p型AlGaNクラッド層10、p型GaNコンタクト層11、絶縁層12、第1のp電極13、第2のp電極14である。
InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6は障壁層と井戸層からなり、多重量子井戸(MQW)構造となっている。図1(a)のようにp電極は2領域に分離され、それぞれの電極は10μm離れて形成されている。p型窒化物半導体層は、抵抗が高いために電極の分離により2つの電極下部の活性層および可飽和吸収体は電気的に分離されている。第2のp電極14とn電極1とはワイヤーボンディングにより電気的に短絡されている。
このような半導体レーザ素子は、次のような製造工程により製造することができる。すなわち、まずMOCVD装置にGaN基板2をセットし、V族原料のNH3とIII族原料のトリメチルガリウム(TMGa)を用いて、550℃の成長温度で低温GaNバッファ層を25nm成長した。次に、1075℃の成長温度で前記原料にSiH4を加えn型GaN層3(Si不純物濃度1×1018/cm3)を3μm形成した。続いて、トリメチルアルミニウム(TMAl)のIII族原料を用いて、1.5μm厚のn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層4(Si不純物濃度1×1018/cm3)を成長させ、続いてn−GaNガイド層5を0.1μm成長させた。
その後、基板温度を725℃に下げ5周期の厚さ3.3nmのIn0.15Ga0.85N井戸層と厚さ6.7nmのIn0.02Ga0.98N障壁層より構成される活性層(多重量子井戸構造)6および可飽和吸収体7を障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層の順序で成長させた。この場合、障壁層と井戸層、または井戸層と障壁層との間に1秒以上180秒以内の成長中断を所望により行なうことができる。このことにより各層の平坦性が向上し発光半値幅が減少する。なお、本発明でいう活性層または可飽和吸収体の層厚とは、前述の通り両端の井戸層から井戸層までを示すため、上記の場合の層厚は43.3nmとなる。活性層にはn型不純物としてSiを5×1017/cm3で添加した。
次に、基板温度を再び1050℃まで昇温して、厚み18nmのp型Al0.3Ga0.7Nキャリアブロック層8、0.1μmのp型GaNガイド層9を成長させた。前記p型不純物としてMgを5×1019/cm3〜2×1020/cm3で添加した。
続いて、基板温度1050℃のまま、0.5μmのp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層10、0.1μmのp型GaNコンタクト層11を成長させた。前記p型不純物としてMgを5×1019/cm3〜2×1020/cm3で添加した。
なお、上記のように各層を構成する元素およびドープ元素の各原料としては、TMGa、TMAl、トリメチルインジウム(TMIn)、NH3、シクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)、SiH4を用いた。
p型GaNコンタクト層11形成後ドライエッチングによりリッジ構造を形成し、ドライエッチング部に絶縁層12を形成した。絶縁層はドライエッチング面側からSiO2を約2000Å、TiO2を500Å形成した。2層構造にしているのはSiO2がレーザのモード屈折率に関わり、TiO2が上部に形成された電極との密着性を向上させるためである。絶縁層上面にマスキングされた第1のp電極13、第2のp電極14をPd/Mo/Auという積層構造で形成した。第1のp電極と第2のp電極の間隔は上述の通り10μmとした。
その後、GaN基板2の厚みを研削機及び研磨機を用いてを250μmに調整した。該基板の裏面は研磨機により磨かれているため平らであった。研磨後、GaN基板2裏面に薄い金属膜を蒸着し、Hf/Al/Mo/Pt/Auの積層構造を有するn電極1を形成させた。このような薄い金属膜を膜厚の制御性よく形成するには真空蒸着法が適しているため、この手法を用いた。pおよびn電極の特性向上のため金属膜形成後500℃でアニールを行い良好なオーミック電極を得た。
上記により製造された半導体レーザ素子は下記の方法で分割した。まず表面からダイヤモンドポイントでスクライブラインを入れウエハーに適宜力を入れ、スクライブラインに沿ってウエハーを分割した。分割後、ファブリペロー共振器をなす端面に誘電体の多層膜を設けて反射率を変えた。このような反射膜はシステムに応じて形成されるものであり、SiO2により90%以上の反射膜を形成した。これにより半導体レーザ内の光子密度が向上するため発振閾値が低下した。
次にダイボンディング法により、レーザチップをステムであるヒートシンク上にマウントし半導体レーザ装置を得た。チップはN電極側を接合面にするジャンクアップで強固に接着した。続いて、ワイヤーボンディングにより第2のp電極14とn電極1を短絡させた。
このようにして製造された窒化物半導体レーザの諸特性を調べた。窒化物半導体レーザの共振器長は550μm、ストライプ幅2.0μmとした。第1のp電極の共振器方向の長さは490μm、第2のp電極の共振器方向の長さは50μmとし、2つのp電極の分離領域は上述の通り10μmとした。室温25℃において閾値75mAで連続発振し、発振波長405±5nmであった。FFP(ファーフィールドパターン)を調べた結果積層面に対して水平方向、垂直方向ともに基本モードで発振していた。
次に、光帰還をともなう系で雑音測定を行なった。このような光帰還をともなう系は、一般的に光ディスクシステムなどの光情報記録装置で見られ、図2は擬似的にこれらの系を再現したものである。光帰還をともなう系では出射されたレーザ光が戻り光として再び半導体レーザに結合する現象に起因する雑音(通常戻り光雑音と呼ばれる)が支配的であり、システムの雑音評価は相対強度雑音(RIN)を用いられ、一般的にRIN<−125dB/Hzが良好なシステムの基準となっている。半導体レーザ201から出射されたレーザ光はレンズ204でコリメートされ、ハーフミラー203で2ビームに分岐される。透過光はNDフィルター206、レンズ205を経て、反射鏡202に集光される。反射鏡は光ディスク等と等価であり、反射率はNDフィルターで変更できる。反射光は上記光路を帰還し、半導体レーザ201に集光される。このように雑音測定器は光ディスクに半導体レーザを搭載したシステムを置き換えたものであり、戻り光雑音を含んだ相対強度雑音を測定できる。なお光出力は受光素子207で観測している。このような雑音測定器を用いて本実施例の窒化物半導体レーザを評価した。その結果、光出力5mWにおいてRIN<−130dB/Hzが得られた。
また、レーザ光を高速のディテクターを用いて観測したところ、周期的に変動していた。図3はパルス電流に駆動することで自励発振特性の様子を観測したものである。図3では入力パルスと光応答波形が示されてあり、パルス幅は約40μsである。図3のように広い時間スケールで観測するとオシロスコープのサンプリング時間が低くなるため正確な振動周期を見ることができないが、振動の有無が確認できる。図3に示されているように安定な自励振動が得られた。
次に、可飽和吸収領域のp−n電極間短絡の効果を調べるために、第2のp電極14はワイヤーボンディングにより外部に電気的に引き出した。まず引き出された端子を開放にすることで、第2のp電極が電気的に開放された状況を得た。パルス電流によって駆動したところ発振閾値は60mAであった。次に引き出された端子とn電極から引き出された端子を電気的に接触させて、第2のp電極が電気的に短絡された状況を得た。パルス電流によって駆動したところ発振閾値は65mAであった。また外部微分効率も若干低下した。このようにp電極を短絡させることで可飽和吸収体の吸収係数が増加し、すなわち可飽和吸収体のキャリア寿命が短くなったことが分かる。p−n電極間が開放されたため光励起により生成したキャリアがp層、n層に蓄積されたため、可飽和吸収体の井戸層からのトンネル効果が減少したと考えられる。なお開放した場合には自励発振が得られにくくなっていた。
次に、図5のように可飽和吸収体の位置を変更した。図5(a)は出射面に第2のp電極14があるものを示し、図5(b)は後面に第2のp電極14があるものを示している。このように可飽和吸収体の位置を変更した2つの窒化物半導体レーザについて、図2に従ったシステムの雑音評価を行なった。その結果、図5(a)のものは図5(b)のものよりも戻り光雑音が上昇することがあった。自励発振周波数と外部帰還経路からなるビート周波数の関係により自励振動に負の帰還が発生することがあり、可飽和吸収体への戻り光結合率が高いほど雑音が上昇すると考えられる。システムのレンズなどで決まるNAにより窒化物半導体レーザ出射面における戻り光のスポットサイズはNFPよりも大きくなり、戻り光の導波路へ結合効率が低下する。そのため図5(b)のように導波路後方に位置した可飽和吸収体と戻り光との結合効率は、図5(a)のものと比較して低くなった。このように望ましくは可飽和吸収体は出射面から離れていることが好ましいことが分かった。なお、図5ではp電極のパターンが長方形であるが、第2のp電極および可飽和吸収領域の一つの閉じ込め係数が小さい場合には、ワイヤーボンディングが困難になるために図6のようにボンディングスペースを確保するとよい。
なお、本実施例では、p型の窒化物半導体の抵抗が高いためにp電極のみで活性層と可飽和吸収体を分離した。しかしながら、図7のようにエッチングによってp型の窒化物層で分離してもよい。電気的な分離においてはキャリアブロック層までエッチングすることが望ましいが、横モードにかかる深さまでエッチングすると伝播光の放射損失が大きくなるため、閾値の上昇や外部微分効率の減少の恐れがある。
<実施例2>
上記実施例1ではリッジ導波路構造を用いているが、本実施例では図8のようなブロック構造を採用した。図8(a)は、窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図8(b)は共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極1、GaN基板2、n型GaN層3、n型AlGaNクラッド層4、n型GaNガイド層5、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体7、p型AlGaNキャリアブロック層8、p型GaNガイド層9、p型AlGaNクラッド層10、p型GaNコンタクト層11、ブロック層15、第1のp電極13、第2のp電極14である。なお、各層の形成は、実施例1と同様にして製造した。
このようにして得られた本発明の半導体レーザ素子は、ブロック構造であるためp型コンタクト層面積が広くp電極のみの分離で電気的な分離を行なうとリーク電流の懸念がある。よって、前述のp層をエッチングして電気的に分離することが望ましい。
<実施例3>
本実施例は、実施例1における第2のp電極とn電極間の電気的な短絡をより簡易な方法で行ない、コストを削減したものである。すなわち、本実施例は、図9に示した窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子に関する。図9(a)は、該半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図9(b)は共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極1、GaN基板2、n型GaN層3、n型AlGaNクラッド層4、n型GaNガイド層5、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体7、p型AlGaNキャリアブロック層8、p型GaNガイド層9、p型AlGaNクラッド層10、p型GaNコンタクト層11、第1のp電極13、第2のp電極14、Al反射膜16である。本半導体レーザ素子は、電極を形成するところまでは実施例1と同様にして製造することができ、さらに下記のプロセスを行なった。
すなわち、分割後ファブリペロー共振器をなす端面のうち、第2のp電極側にAlからなる反射膜16を形成した。Alからなる反射膜16は、第2のp電極に回り込んでいるため第2のp電極とn電極を電気的に短絡する。また該反射膜16により端面の反射率が高くなるために閾値の低減が期待される。
図9に示されているように、該反射膜16とGaN基板2は接触している。しかしながら、該反射膜16とGaN基板2はオーミック接触していない場合があるため、以下のような工程によりn電極1と該反射膜16との電気的な接触を確実に行なった。すなわち、ダイボンディング工程において、半田が該反射膜16と電気的に接触するとともに、該半田はn電極1とも接触しているために前記第2のp電極とn電極を電気的に短絡した。通常、半田とAlとの反応性は低く、Alと半田との電気的な接触をよくするためには前記反射膜16上にバリアメタル/反応性メタルを組み合わせても良い。バリアメタルとしてはMo、Pt、W等を挙げることができ、少なくともこれらの1つ以上が含まれていることが好ましい。反応性メタルとしてはAu、Pt、Pd、Ni等がを挙げることができ、少なくともこれらの1つ以上が含まれていることが好ましい。
このようにして製造された窒化物半導体レーザは、実施例1の半導体レーザと同様の効果を奏することができ、第2のp電極とn電極とを電気的に短絡する工程が省かれるため製造コストを削減することができた。
<実施例4>
本実施例は、実施例3において反射膜として用いられていたAlに代えて、誘電体材料とAlとを組合せて反射膜を形成させたものである。以下、図10に基づいて説明する。図10は、図9(a)おける反射膜16に代えて誘電体からなる反射膜17とAlからなる反射膜18とが形成されていることを除き、その他は全て図9と同じ構成を有する窒化物半導体レーザ素子を示している。誘電体としては、SiO2、TiO2、Ta25、Al23、ZrO2から選ばれる任意のものを使用することができた。なお、Alからなる反射膜18は半田によりn電極1と電気的に接触するように形成した。このように製造された窒化物半導体レーザは実施例1と同様の効果を示すことができ、第2のp電極とn電極とを電気的に短絡する工程が省かれるためにコストを削減することができた。
<実施例5>
本実施例は、実施例1において用いられていたGaNからなる基板を、サファイア基板に置き換えた窒化物半導体発光素子に関するものである。以下、図11に基づいて説明する。
図11(a)は、本実施例の窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図11(b)は共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極21、サファイア基板22、n型GaN層23、n型AlGaNクラッド層24、n型GaNガイド層25、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層26、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体27、p型AlGaNキャリアブロック層28、p型GaNガイド層29、p型AlGaNクラッド層30、p型GaNコンタクト層31、絶縁層32、第1のp電極33、第2のp電極34である。本半導体レーザ素子は、実施例1のものと同様にして製造することができた。
<実施例6>
本実施例は、実施例3において用いられていたGaNからなる基板を、サファイア基板に置き換えた窒化物半導体発光素子に関するものである。以下、図12に基づいて説明する。
図12(a)は、本実施例の窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図12(b)は上面から見た平面図である。基板側から説明すると、n電極21、サファイア基板22、n型GaN層23、n型AlGaNクラッド層24、n型GaNガイド層25、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層26、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体27、p型AlGaNキャリアブロック層28、p型GaNガイド層29、p型AlGaNクラッド層30、p型GaNコンタクト層31、絶縁層32、第1のp電極33、第2のp電極34、Alからなる反射膜35である。
本実施例の窒化物半導体発光素子は、実施例3の窒化物半導体発光素子と同様にして製造することができた。このようにして製造した窒化物半導体レーザは、自励発振特性を有しており、実施例3のものと同様の効果を示すものであった。また、反射膜35は、実施例3同様にAlからなるものの他、導電性の他材料とすることができる一方、実施例4のように誘電体からなる反射膜と組み合わすこともできた。
<実施例7>
本実施例は、実施例3においてさらにスペーサー層を形成させた窒化物半導体発光素子に関する。以下、図13に基づいて説明する。
図13(a)は、本実施例の窒化物半導体発光素子である半導体レーザ素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、図13(b)は共振器方向から見た断面図である。基板側から説明すると、n電極41、GaN基板42、n型GaN層43、n型AlGaNクラッド層44、n型GaNガイド層45、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層46、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体47、n型スペーサー層48、p型AlGaNキャリアブロック層49、p型GaNガイド層50、p型AlGaNクラッド層51、p型GaNコンタクト層52、絶縁層53、第1のp電極54、第2のp電極55、Alからなる反射膜56である。
本実施例の窒化物半導体発光素子は、スペーサー層を別途形成することを除き実施例3のものと同様にして製造することができた。スペーサー層には、n型からなるAlGaN(活性層における注入効率を適正に保つためにAlの含有率は0.05以下が望ましい)を用いることができた他、GaNやInGaN(Inの含有率は活性層における障壁層と同等が望ましく、活性層への注入効率を高くできる)を用いることができた。また、スペーサー層にはn型不純物としてSiを添加することができた。この場合、Siの濃度は活性層と平均して1×1017/cm3〜5×1018/cm3ができた。また、スペーサー層の厚さは、0nm〜50nmに調整することにより可飽和吸収体が空乏層に含まれる比率を調整することで可飽和吸収体のキャリア寿命を調整することができた。このようにして製造された本実施例の窒化物半導体発光素子は、自励発振特性を有するものであった。
<実施例8>
本実施例は、窒化物半導体レーザの共振器長を700μm、第1のp電極13の共振器方向の長さ(すなわち、領域分離された電極のうち、短絡されていない領域の合計長さL2)を600μm、第2のp電極14の共振器方向の長さ(すなわち、領域分離された電極のうち、p電極とn電極とが短絡されている領域の合計長さL1)を90μmとした、実施例3に従った窒化物半導体発光素子である半導体レーザに関する(図9)。
本実施例の窒化物半導体発光素子は、実施例1に従って製作できる。具体的には、絶縁層12上面に第1のp電極13、第2のp電極14としてPd/Mo/Auを形成する際に、それぞれの電極のストライプ方向(水平方向)の長さを変えれば良い。
あるいは、p電極のストライプ方向(水平方向)の長さが例えば700μmとなるように周期的に分離し、分離された地点から例えば左600μm、右100μmの地点でウェハを分割すれば、同様に本実施例に記載する窒化物半導体レーザを作製することが可能である。
本実施例の場合、発振閾値に関しては不利になるものの、注入領域の大きさが大きくなることにより、レーザの寿命などの信頼性向上が期待できる。このように製作された窒化物半導体レーザは、注入領域の長さ(前記L2)に対する可飽和吸収領域の長さ(前記L1)の割合(L1/L2)が0.15となる。したがって、前記の全可飽和吸収体の閉じ込め係数の総和ΓS.A.に関し、ΓS.A.=L1/L2となるので、前記ΓS.A.に関する条件0.02≦ΓS.A.≦0.30を満たしている。
この他にも、注入領域の長さ(前記L2)が500μmに対して可飽和吸収領域の長さ(前記L1)が20μmなど、必要に応じて変更することが可能である。なお、本実施例においても実施例1や実施例3に従った効果が期待できることは言うまでもない。
<実施例9>
本実施例は、可飽和吸収領域においてさらにキャリア寿命を短くするために、実施例1の半導体レーザ素子に対して、さらに第2のp電極14とn電極1の間に逆バイアスをかけられる構造としたものである。
図15は、本実施例における半導体レーザ素子とその配線構造を、共振器と垂直方向から見た断面図であり、基板側から説明すると、n電極1、GaN基板2、n型GaN層3、n型AlGaNクラッド層4、n型GaNガイド層5、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体7、p型AlGaNキャリアブロック層8、p型GaNガイド層9、p型AlGaNクラッド層10、p型GaNコンタクト層11、第1のp電極13、第2のp電極14である。
また、第1のp電極13には、活性層(p−nジャンクション)に順バイアスをかけて発振させ、第2のp電極14には活性層(p−nジャンクション)に逆バイアスをかけられるように配線されている。
このような構成とすることにより、素子構造でキャリア寿命を制御することに加えて、さらに外部からもキャリア寿命を制御することが可能となる。以上の構成では、閾値の上昇に加えて、印加回路の複雑化が否めないが、一方で素子の特性調整は容易となる。従って、より安定した自励発振レーザを得ることができる。
<実施例10>
本実施例は、実施例9の駆動回路をモディファイしたものであって、第1のp電極13から順バイアスでp−nジャンクションに十分なキャリアが注入され、その半導体レーザが高出力で発振している際には、第2のp電極14のp−nジャンクションにも順バイアスをかけて吸収が少なくなるように構成したものである。
図16は、本実施例における半導体レーザ素子とその配線構造を、共振器と垂直方向から見た断面図であり、基板側から説明すると、n電極1、GaN基板2、n型GaN層3、n型AlGaNクラッド層4、n型GaNガイド層5、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層6、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体7、p型AlGaNキャリアブロック層8、p型GaNガイド層9、p型AlGaNクラッド層10、p型GaNコンタクト層11、第1のp電極13、第2のp電極14である。
そして、第2のp電極14は、活性層に逆バイアスと順バイアスとを切り替えてかけられるように配線されており、このため第2のp電極14近傍には、スイッチ19が形成されている。本実施例のように第2のp電極14のp−nジャンクションに順バイアスをかける場合は、前記スイッチ19を第1のp電極13側に接続する。
自励発振レーザにおいては、可飽和吸収領域が存在するために高出力動作が難しくなる。本構成においては、レーザを高出力動作させる際、可飽和吸収領域をも発光領域として使用することが可能なため、この欠点を改善することができる。つまり、上記のように配線を切り替えることにより、低出力時には自励発振レーザ、高出力時には高出力レーザと、二種類のレーザを一つの構成で作ることができるという大きな利点を有している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は共振器方向から見た断面図である。 戻り光雑音を示す系を擬似的に再現した説明図である。 自励発振特性を示す図である。 窒化物半導体発光素子の無バイアス時におけるp−nジャンクション周辺のバンド構造を計算した結果を示す図である。 本発明の窒化物半導体発光素子の可飽和吸収体の位置を変更した平面図である。(a)は出射面側に第2のp電極があるものを示し、(b)は後面に第2のp電極があるものを示している。 本発明の窒化物半導体発光素子の電極にボンディングスペースを確保した態様の一例を示す図である。 電極だけではなく窒化物半導体層で領域分離した本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。 ブロック構造を採用した本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は共振器方向から見た断面図である。 第2のp電極とn電極間の電気的な短絡を簡易な方法で行なった本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は共振器方向から見た断面図である。 図9(a)における反射膜16に代えて誘電体からなる反射膜17とAlからなる反射膜18とが形成されている本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。 基板の種類を代えた本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は共振器方向から見た断面図である。 基板の種類を代えるとともに反射膜を形成させた本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子である半導体を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は上面から見た平面図である。 スペーサー層を形成させた本発明の窒化物半導体発光素子の一例を示す図である。(a)は、窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図であり、(b)は共振器方向から見た断面図である。 従来構造の光ディスク用低雑音半導体レーザの一例を示す断面図である。 配線を伴った本発明の窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図である。 切り替え可能な配線を伴った本発明の窒化物半導体発光素子を共振器と垂直方向から見た断面図である。
符号の説明
1,21,41 n電極、2,42 GaN基板、3,23,43 n型GaN層、4,24,44 n型AlGaNクラッド層、5,25,45 n型GaNガイド層、6,26,46 InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、7,27,47 InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる可飽和吸収体、8,28,49 p型AlGaNキャリアブロック層、9,29,50 p型GaNガイド層、10,30,51 p型AlGaNクラッド層、11,31,52 p型GaNコンタクト層、12,32,53 絶縁層、13,33,54 第1のp電極、14,34,55 第2のp電極、15 ブロック層、16,17,18,35,56 反射膜、19 スイッチ、22 サファイア基板、48 n型スペーサー層。

Claims (18)

  1. 少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されていることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  3. 少なくとも基板、InとGaを主に含有するバンドギャップが2.6eV以上の窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  4. 少なくとも基板、InとGaを主に含有するバンドギャップが2.6eV以上の窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ少なくとも5mW以上の光出力範囲で自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  5. 少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域において前記p電極と前記n電極が電気的に短絡されていることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  6. 少なくとも基板、InとGaを主に含有する窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域において前記p電極と前記n電極が電気的に短絡されているとともに、自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  7. 少なくとも基板、InとGaを主に含有するバンドギャップが2.6eV以上の窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域において前記p電極と前記n電極が電気的に短絡されているとともに、自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  8. 少なくとも基板、InとGaを主に含有するバンドギャップが2.6eV以上の窒化物半導体からなる活性層、p電極およびn電極を含む窒化物半導体発光素子であって、前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域において前記p電極と前記n電極が電気的に短絡されているとともに、少なくとも5mW以上の光出力範囲で自励発振特性を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  9. 前記電気的に2領域以上に分離された電極の1つが共振器を形成する2つの端面の1つに接触しているとともに該端面は導電性材料を含有する反射膜を備えており、かつ該反射膜により前記p電極と前記n電極が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  10. 前記電気的に2領域以上に分離された電極の1つが共振器を形成する2つの端面の出射面と反対側の端面に接触しているとともに、該端面は導電性材料を含有する反射膜を備えており、かつ該反射膜により前記p電極と前記n電極が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 前記導電性材料はAlを含有することを特徴とする請求項9または10に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 前記電気的に2領域以上に分離された電極の1つ以上の領域において、前記p電極と前記n電極の間に抵抗が設けられていることを特徴とする請求項1〜4、9〜11のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  13. 前記p電極と前記n電極の間に設けられた抵抗によって自励発振特性を調整することを特徴とする請求項12に記載の窒化物半導体発光素子。
  14. 前記活性層にはn型不純物としてSiを添加しているとともに、そのSiの濃度が1×1017/cm3〜5×1018/cm3であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  15. p−nジャンクションから前記活性層までを含む領域において、n型不純物としてSiが添加されているとともに、そのSiの平均濃度が1×1017/cm3〜5×1018/cm3であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  16. 前記p電極および前記n電極の少なくとも一方が電気的に2領域以上に分離されており、かつ該分離された電極の1つ以上の領域において前記p電極と前記n電極が電気的に短絡されているとともに、その領域分離された電極のうち、前記p電極と前記n電極とが短絡されている領域の合計長さL1が、短絡されていない領域の合計長さL2に対して0.02≦L1/L2≦0.30の範囲にあることを特徴とする請求項5〜15のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  17. 前記少なくとも2領域以上に分離された電極の少なくとも一つは、前記活性層に逆バイアスがかけられ、他方は前記活性層に順バイアスがかけられるように配線されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  18. 前記少なくとも2領域以上に分離された電極の少なくとも一つは、前記活性層に逆バイアスと順バイアスとを切り替えてかけられるように配線されていることを特徴とする請求項17に記載の窒化物半導体発光素子。
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