JP4756784B2 - 窒化物半導体レーザ素子とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自励発振特性を有する低雑音性の窒化物半導体レーザ素子とその製造方法の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
次世代の光ディスクシステム用の光源としては、高記録密度の実現のために、より集光径を小さくし得る短波長光源が用いられる。しかし、コスト削減や量産性の向上のために、光ディスクシステムにおけるレンズや光ディスクなどに安価なプラスチック系の光学材料を用いることが望まれ、そのような光学材料の吸収端の波長は約390nm近傍に存在する。したがって、光ディスクシステム用としては、400nm程度の波長の光源が望ましい。このような短波長光源には窒化物半導体レーザ素子が用いられており、そのようなレーザ素子の代表的な材質は窒化ガリウム系化合物半導体である。なお、光源をさらに短波長化するためには光ディスクシステム中の光学材料の検討が必要になり、コストの上昇や量産性の低減になる恐れがある。
【0003】
窒化物半導体レーザ素子において、光ディスクシステム等に用いる際に問題となる戻り光雑音を減少させるために、たとえば自励発振特性を生じ得る構造が用いられている。このような自励発振を伴う窒化物半導体レーザ素子を実現するために、可飽和吸収層がたとえばガイド層中またはクラッド層中などに挿入され得る。たとえば、特開平9−191160は、そのような可飽和吸収層を含む低雑音性半導体レーザ素子の一例として、図17に示されているような構造を開示している。
【0004】
図17に示された窒化物半導体レーザ素子においては、n型SiC基板200上に、n型AlN層201、n型AlGaNクラッド層202、n型GaN光ガイド層203、InGaN量子井戸活性層204、p型GaN光ガイド層205、p型AlGaNクラッド層206、p型GaNコンタクト層207が順次積層されている。そして、p型AlGaNクラッド層206内には、InGaN可飽和吸収層208が挿入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスクシステムなどの光学情報記録装置が用いられる環境の温度は一定ではなく、0℃〜60℃程度の温度範囲においてレーザ素子が安定に動作し得ることが望まれる。しかし、特開平9−191160に開示されているような可飽和吸収層を含む窒化物半導体レーザ素子では、その雑音が低温時と高温時に高くなって、光学情報記録装置の読出しや書込みの際にエラーを生じさせることがある。この原因を本発明者らが調べたところ、そのような低温時と高温時にレーザ素子の自励発振が停止していることが確認された。
【0006】
一般的に、自励発振を生じ易くするためには可飽和吸収層内のキャリアの再結合時間は短いほうがよいことが知られており、本発明者の実験によれば1.5ns以下であることが望ましい。特開平9−191160においては、InGaNからなる可飽和吸収層に所定濃度以上のMg(p型不純物)を添加することによって、その再結合時間を短くする効果を得ている。しかし、本発明者らの検討によれば、この手法では温度に対する自励発振の安定性が不充分になることが分かった。
【0007】
上述のような先行技術における課題に鑑み、本発明は、雰囲気温度の変化にかかわらず安定に自励発振する特性を実現することによって、光ディスク等からの戻り光に影響されずに低雑音で安定動作し得る窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様による窒化物半導体レーザ素子は、基板上において発光層、この発光層からのキャリアのオーバーフローを妨げる蒸発防止層、および光吸収が飽和する特性を有する可飽和吸収層を含み、それらの発光層と可飽和吸収層との相互作用による自励発振特性を備えたレーザ素子であって、その可飽和吸収層が1.0×1017/cm3以下のp型不純物を含むInGaNからなり、可飽和吸収層は単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を含み、その可飽和吸収層に含まれる1つの井戸層の厚さdが0.5nm≦d≦4.0nmの範囲内にあり、蒸発防止層と可飽和吸収層の距離l2が0nm≦l2≦200nmの範囲内にあることを特徴としている。
【0010】
なお、発光層と可飽和吸収層の距離l1 は、15nm≦l1≦200nmの範囲内にあることが好ましい。
【0011】
可飽和吸収層が多重量子井戸構造を含む場合には、その井戸層の数nが2≦n≦10の範囲内にあることが好ましい。
【0012】
本発明の他の態様による窒化物半導体レーザ素子は、基板上において発光層、この発光層からのキャリアのオーバーフローを妨げる蒸発防止層、および光吸収が飽和する特性を有する可飽和吸収層を含み、それらの発光層と可飽和吸収層との相互作用による自励発振特性を備えたレーザ素子であって、その可飽和吸収層が1.0×1017/cm3以下のp型不純物を含むInGaNからなり、可飽和吸収層にはIn濃度の高い微小領域と低い微小領域が混在しており、In濃度の高い領域の平均径が1nm以上で100nm以下の範囲内にあってその領域分布密度が1×1011個/cm2以上であり、可飽和吸収層における1つの井戸層の厚さdが1.0nm≦d≦10nmの範囲内にあり、蒸発防止層と可飽和吸収層の距離l2が0nm≦l2≦200nmの範囲内にあることを特徴としている。なお、発光層と可飽和吸収層の距離l1は、15nm≦
l1≦200nmの範囲内にあることが好ましい。
【0013】
可飽和吸収層中でIn濃度の高い微小領域と低い微小領域が混在している窒化物半導体レーザ素子の製造方法においては、その可飽和吸収層の成長温度TがT≦710℃の範囲内に設定され、その厚さ方向の成長速度G.R.がG.R.≦0.07nm/sの範囲内にあることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
自励発振は半導体レーザ素子に注入されたキャリアによって反転分布が生じている利得領域と可飽和吸収層とのキャリアや光子の相互作用によって生じ、これはさまざまな物性値を適切に組み合わせることによってはじめて生じる。可飽和吸収層に要求される主な特性は、実質的なバンドギャップが活性層(利得領域)と比べて同じかまたは狭いこと、キャリア寿命が活性層と比べて短かくて約1.5ns以下であること、および可飽和吸収することなどである。なお、可飽和吸収するとは、光の吸収量が多くなれば吸収係数が減少する特性を有していることを意味している。
【0015】
可飽和吸収層を利用した自励発振構造はGaAs系の半導体レーザではすでに知られているが、窒化物半導体レーザで自励発振を生じさせるには更なる検討が必要である。
【0016】
窒化物半導体レーザの可飽和吸収層としての実質的なバンドギャップの調整はInxGa1-xN混晶中のIn混晶比xを調節することによって可能であり、たとえば層厚1nmの場合には0.22≦x≦0.26程度になるように設定すればよい。このように層厚が薄くなれば、量子効果によってInの混晶比が上がったような効果を生じる。
【0017】
窒化物半導体レーザでは、前述の可飽和吸収層のキャリア寿命と可飽和特性の条件を満たすことが非常に困難であった。特開平9−191160におけるように、窒化物半導体レーザの可飽和吸収層中の不純物濃度を上げてキャリア寿命を短くすることは、GaAs系の半導体レーザの場合と同様に有効な手段である。他方、窒化物半導体の可飽和吸収層中ではキャリヤの有効質量が大きいために可飽和しにくいという問題もある。
【0018】
ところで、自励発振レーザ素子を光源として用いるシステム、たとえば光情報記録装置などは一定の雰囲気温度中で動作させられる保証はなく、一般に0℃〜60℃程度の広い温度範囲で安定動作する必要がある。このような温度領域で安定な自励発振特性を得るためには、可飽和吸収層のキャリア寿命が温度変化に対して安定である必要がある。雰囲気温度とは半導体レーザチップの置かれている環境の温度であるが、ペルチェ効果等で冷却している場合はそのチップが装着されているステム等の温度を意味する。キャリア寿命と可飽和しやすさは密接な関係があり、過度にキャリア寿命が短くなれば可飽和吸収層中のキャリア密度が増えにくくなり、吸収係数の変動が小さくなる。
【0019】
一般に雰囲気温度一定の条件下では特開平9−191160におけるようにMgの高濃度ドープにより可飽和吸収層中のキャリア寿命を短くすることは自励発振を促進するために効果的であるが、0℃〜60℃の温度範囲での自励発振の安定性のためには逆効果であることが本発明者らによる実験から明らかになった。InGaN可飽和吸収層においては、高温になるほど不純物Mgは活性化しやすくなるので、Mgを高濃度で添加すれば高温時のキャリア寿命が短くなりすぎて可飽和吸収しにくくなり、低出力での自励発振が停止してしまう。このような背景から、温度変化に対して可飽和吸収層のキャリア寿命が安定であるためにはMgなどのp型不純物濃度が1.0×1017/cm3以下であることが好ましく、他の手法を用いることによってキャリア寿命を短くすることが望まれる。
【0020】
<実施形態1>
図1においては、本発明の実施形態1による窒化物半導体レーザ素子が、その共振器長に直交する断面図で示されている。この窒化物半導体レーザ素子は、n電極10、n−GaN基板11、n−GaN層12、n−InGaNクラック防止層13、n−AlGaNクラッド層14、n−GaNガイド層15、n−InGaN活性層16、p−AlGaN蒸発防止層17、InGaN可飽和吸収層18、p−GaNガイド層19、p−AlGaNクラッド層20、p−GaNコンタクト層21、絶縁膜22、およびp電極23を含んでいる。
【0021】
この図に示されているように、実施形態1はリッジストライプ構造を利用した屈折率導波路を有する半導体レーザ素子である。また、InGaN可飽和吸収層18は、単量子井戸(SQW)構造を有している。
【0022】
以下において、図1を参照しつつ本実施形態1による半導体レーザ素子の製造方法を説明するが、本明細書中におけるエピタキシャル成長法とは、基板上に結晶膜を成長させる方法であって、VPE(気相エピタキシャル)法、CVD(化学気相デポジション)法、MOVPE(有機金属気相エピタキシャル)法、MOCVD(有機金属化学気相デポジション)法、Halide−VPE(ハロゲン化学気相エピタキシャル)法、MBE(分子線エピタキシャル)法、MOMBE(有機金属分子線エピタキシャル)法、GSMBE(ガス原料分子線エピタキシャル)法、およびCBE(化学ビームエピタキシャル)法などを含む。
【0023】
まず、GaN基板11を形成する方法について述べる。厚さ500μm程度のGaN単結晶基礎基板の上面に数μm間隔で深さ10から50nm程度の溝(または丘)を設け、新たに厚さ4μm程度のGaN層をエピタキシャル成長によつて積層する。この工程は基礎基板が含む貫通転移などの欠陥の引継ぎを低減させるためのものであり、その欠陥引継ぎの低減はGaN単結晶基礎基板上の段差部の側壁から始まるGaN層の横方向選択成長により可能になると考えられる。得られたGaN基板11の上面においては欠陥密度の高い領域と非常に少ない領域が基礎基板の溝(または丘)の周期に対応して周期的に繰り返して存在しており、レーザ構造は欠陥密度の少ない領域上に形成される。
【0024】
次に、窒化物半導体レーザ素子を構成する種々の窒化ガリウム系半導体層をGaN基板11上にエピタキシャル成長させる方法について述べる。
【0025】
まず、MOCVD装置内にGaN基板11をセットし、V族元素用原料のNH3とIII族元素用原料のTMGa(トリメチルガリウム)を用いて、550℃の比較的低い基板温度でGaNバッファ層(図示せず)を25nmの厚さに成長させる。次に、1075℃の基板温度において、上述のNH3とTMGaを含む原料にSiH4を加えて、n−GaN層12(Si不純物濃度1×1018/cm3)を3μmの厚さに形成する。続いて基板温度を700℃〜800℃程度に下げ、III族元素用原料のTMIn(トリメチルインジウム)を利用して、n−In0.07Ga0.93Nクラック防止層13を50nmの厚さに成長させる。再び基板温度を1075℃に上げ、III族元素用原料のTMAl(トリメチルアルミニウム)を利用して、厚さ0.95μmのn−Al0.1Ga0.9Nクラッド層14(Si不純物濃度1×1018/cm3)を成長させ、続いてn−GaNガイド層15を0.1μmの厚さに成長させる。
【0026】
その後、基板温度を730℃に下げ、厚さ6nmのIn0.05Ga0.95Nバリア層と厚さ4nmのIn0.15Ga0.85N井戸層とを交互に含む多重量子井戸(MQW)構造の発光層16が成長させられる。本実施態様の発光層はバリア層で始まってバリア層で終わる積層構造を有し、3周期の井戸層を含んでいる。なお、バリア層と井戸層、または井戸層とバリア層との間に1秒以上で180秒以内の結晶成長中断時間を設けてもよい。このことによってバリア層と井戸層の平坦性が向上し、得られるレーザ素子の発光半値幅を減少させることができる。
【0027】
次に基板を再び1050℃まで昇温して、厚さ18nmのp−Al0.2Ga0.8N蒸発防止層17を成長させる。このとき、p型不純物として、EtCp2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)を利用して5×1019/cm3〜2×1020/cm3のMgが添加される。
【0028】
次に基板温度を700℃に下げて、In0.22Ga0.78NのSQWからなる可飽和吸収層18を成長させる。なお、このときにMgは添加されていない。また、可飽和吸収層18は、その吸収特性を考慮して1.5nmの厚さにされた。ウエハのフォトルミネッセンス(PL)測定を利用して、活性層16からのPL発光ピーク波長と可飽和吸収層18からのPL発光ピーク波長とのエネルギ差が−0.15eV〜+0.02eV以内となるようにして、これらの層における実質的なバンドギャップがほぼ等しくなるように調整される。なお、可飽和吸収層18を積層後、1秒以上で180秒以内の結晶成長中断期間を設けてもよい。
【0029】
続いて基板を再び1050℃まで昇温し、厚さ0.1μmのp−GaNガイド層19、厚さ0.5μmのp−Al0.1Ga0.9Nクラッド層20、および厚さ0.1μmのp−GaNコンタクト層21を成長させる。このとき、p型不純物として、Mgが5×1019/cm3〜2×1020/cm3の濃度で添加される。
【0030】
なお、可飽和吸収層18は隣接層からの拡散によってMg等の不純物を含むこともあるが、その不純物濃度は1×1017/cm3以下であった。
【0031】
p−GaNコンタクト層21の形成後にドライエッチングによってリッジ構造を形成し、SiO2の絶縁膜22の開口部上にp電極23(Pd/Mo/Auの積層)を形成する。その後、GaN基板11の裏面側から研磨またはエッチングによってその基板の一部を除去し、ウエハ全体の厚みを100〜180μm程度にまで薄く調整する。これは、後でウエハを分割して個々のレーザチップにすることを容易にするための工程である。特に、レーザ端面ミラーもチップ分割時に形成する場合には、ウエハ厚さを80〜150μm程度に薄く調整することが望ましい。本実施形態においては、研削機と研磨機を用いてウエハの厚みを120μmに調整した。なお、場合によっては研磨機のみを用いてウエハ厚さを調整してもよく、その場合はウエハの裏面は研磨機によって磨かれているので平らである。
【0032】
GaN基板11の研磨された裏面上に薄い金属膜を蒸著することによって、n電極10が形成される。このn電極10は、Ti/Al/W/Auの積層構造からなっている。このような薄い金属膜を厚さの制御性よく形成するには真空蒸者法が適しており、本実施形態1においてもこの手法が用いられた。ただし、イオンプレーテイング法やスパック法等の他の手法を用いても良いことは言うまでもない。p電極23とn電極10の特性向上のために金属膜蒸着後に500℃でアニールが行われ、良好なオーミック電極が得られている。
【0033】
以上のようにして調製されたウエハは、以下のような方法でチップ分割された。まず、ウエハ表面からダイヤモンドポイントでスクライブラインを入れ、適宜に力を加えて、スクライブラインに沿ってウエハを分割した。なお、スクライブラインをウエハ裏面から入れてもよいことは言うまでもない。他の手法としては、ワイヤソーまたは薄板ブレードを用いて傷入れまたは切断を行うダイシング法、エキシマレーザ光などの照射加熱とその後の急冷により照射部にクラックを生じさせてこれをスクライブラインとするレーザスクライビング法、または高エネルギ密度レーザ光の照射部を蒸発させて溝入れ加工を行うレーザアブレーション法などを用いても同様にチップ分割が可能である。
【0034】
その後、ダイボンディング法でレーザチップをヒートシンク上にマウントすることによって半導体レーザ装置が得られた。チップは、n電極側を接合面にするジャンクションアップで強固に接合された。ここでいうヒートシンクは、ステム等のことを意味する。
【0035】
このように製作された窒化物半導体レーザ装置の諸特性が調べられた。窒化物半導体レーザ装置における共振器長は500μmで、ストライプ幅は2μmであった。また、室温25℃において閾値35mAで連続発振し、発振波長は405±5nmであった。さらに、フアーフィールドパターン(FFP)にはリップル等が無く、ビームをレンズ等で集光する際に問題を生じることはなかった。次に光出力を5mWに固定した自動電力制御(APC:オートパワーコントロール)駆動において、雰囲気温度を変えて自励発振の有無を調べたところ、表1に示されているように0℃〜60℃の温度範囲の全域において自励発振が確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
次に、可飽和吸収層18の井戸層厚dを変更して、自励発振特性の変化が調べられた。井戸層厚dを変更すれば閉じ込め係数が変化し、たとえばdを厚くすれば閉じ込め係数は増大する。その結果、可飽和吸収による吸収係数の変化量が大きくなってしまうので、活性層16から可飽和吸収層18までの距離l 1 を調整することによって、可飽和吸収層18の閉じ込め係数がほぼ一定に保たれるように調整された。その結果、図2に示されているように井戸層厚dが0.5nm≦d≦4nmの範囲内において自励発振が確認された。自励発振が確認された条件のもとで雰囲気温度を0℃から60℃まで変えて観測したところ、安定して自励発振していることが分かった。ただし、d≦1nmの厚さ範囲では、可飽和吸収層は完全な層状でなくてドット(または島状)形状になっていてもよく、ドットの大きさは任意である。なお、ドット形状におけるdの定義は、TEM(透過電子顕微鏡)像における最大膜厚とした。
【0038】
他方、井戸層厚d<0.5nmの範囲では、可飽和吸収層の閉じ込め係数が小さくなりすぎて吸収量が非常に小さくなり、自励発振が観測されなかった。また、井戸層厚d>4nmの範囲でも、自励発振が観測されなかった。この場合に、I−L(注入電流-光出力)特性を測定したところ発振後のSE(微分効率)の立ちあがり時に急激な変化が見られた。この現象は可飽和効果によるものと考えられ、自励発振との差異が生じる原因は可飽和吸収層のキャリア寿命が異なるためと考えられる。このように、自励発振が生じない現象は、可飽和吸収層のキャリア寿命が長いために生じると考えられる。
【0039】
以上の検討から、井戸層厚dを薄くしていくとキャリア寿命は短くなると推測され、また可飽和しやすくなることがわかる。
【0040】
井戸層厚dが0.5nm≦d≦4nmの範囲内おいて実施形態1の窒化物半導体レーザを光ディスクなどの光学情報記録装置の光源として用いたところ、エラー等を生じることなくなく、光ディスク上でデータの書き込みや読み出しを行うことができた。
【0041】
また実施形態1にしたがった窒化物半導体レーザは、雰囲気温度が変化しても安定に自励発振する素子として得ることができた。図3のグラフ中で2つの実線に挟まれた範囲は実施形態1において雰囲気温度を変化させた時に自励発振の観測された出力範囲を示しており、2つの点線に挟まれた範囲は特開平9−191160に従った窒化物半導体レーザに関する結果を示している。
【0042】
次に、可飽和吸収層18に種々の濃度でMgを添加するとともに雰囲気温度を変えることによって、自励発振の有無が調べられた。具体的には、可飽和吸収層18中のMg濃度を1×1019/cm3に増大して閉じ込め係数を調整したところ、25℃の雰囲気中で自励発振が確認された。しかし、温度を下げていけば自励発振が停止してしまい、また温度を上げた場合には著しく発振閾値が上昇し、5mWのAPC駆動で自励発振が確認されなかった。さらに光出力を上げれば再び自励発振するレーザ素子もあったが、雰囲気温度の変化に対してAPC駆動で安定に自励発振する素子は得られなかった。
【0043】
光ディスク等の光学情報記録装置の光源として窒化物半導体レーザを用いる場合、それはAPC駆動で使用されるので、前述のように雰囲気温度の変化によって自励発振特性が変化するレーザ素子であっては、雑音が急激に増加する場合が生じるので使用できない。
【0044】
このように、InGaN可飽和吸収層18にMgを高濃度ドープすれば自励発振特性は得られるが、雰囲気温度に対する安定性は得られなかった。他方、可飽和吸収層18中のMg濃度を下げて雰囲気温度の変化に対して安定に自励発振する条件を検討したところ、表2に示されている様に、1×1017/cm3以下の濃度がよいことが分かった。
【0045】
【表2】
【0046】
なお表2中で、○印は5mWのAPC駆動において雰囲気温度0℃〜60℃の全範囲で自励発振したことを表しており、×印は雰囲気温度0℃〜60℃の内で一部の温度範囲内でしか自励発振しなかったことを表している。自励発振の有無は、高速の受光素子を介して高速のオシロスコープや電気スペアナにより観測している。また、光オシロスコープ等でも観測は可能である。
【0047】
次に、光ディスクなどの光学情報記録装置用の光源に本実施形態のレーザ素子を用いた際の戻り光に対する雑音特性が調べられた。光ディスクシステムに搭載されたレーザ素子の雑音は図4のブロック図に示されているような自動ノイズ測定器を用いて擬以的に測定され、相対強度雑音(RIN:Relative Intensity Noise)で評価された。
【0048】
図4の自動ノイズ測定器は、基台301上に設置された窒化物半導体レーザ素子302、コリメートレンズ303、分岐素子304、対物レンズ305、戻り光量を調整するND(Neutral Density)フィルター306、光検出器307、および反射鏡308などを含んでいる。
【0049】
まず、光出力5mWの状態における本実施形態のレーザ素子について、雰囲気温度25℃で戻り光が0.1%〜10%のときの雑音を調べたところ、RINmax<−130[dB/Hz]であることが分かった。次に、雰囲気温度を0℃と60℃のいずれにした場合にも、同様にRINmax<−130[dB/Hz〕であり、本実施形態のレーザ素子は光情報記録装置の応用に適していることがわかった。
【0050】
本実施形態1では可飽和吸収層18がAlGaN蒸発防止層17とp-GaNガイド層19の間に挿入されているが、図5に示されているようにp-GaNガイド層19中に挿入されていてもよく、図6に示されているようにp-AlGaNクラッド層20中にあってもよく、または図7のバンドギャッププロファイル(a)、(b)および(c)に示されているようにInxGa1-xN(0<x≦0.05)層中に挿入されていたり、その片側に接していてもよい。このような可飽和吸収層18の位置を変えれば閉じ込め係数Γの変化が大きく、本発明におけるように非常に薄い可飽和吸収層18を用いる場合には、それは活性層に近接させられることが望ましい。
【0051】
可飽和吸収層の挿入位置について蒸発防止層17と可飽和吸収層18の間隔l2で検討したところ、0nm≦l2≦200nmの範囲内にあればよいことがわかった。本実施形態1のように蒸発防止層17が設けられている場合、活性層16からのキャリアのオーバーフローが防げるので、活性層16と可飽和吸収層18が非常に近接していても、注入電流により可飽和吸収層18が可飽和することはない。他方、l2>200nmの範囲になれば可飽和吸収層18の閉じ込め係数が著しく減少し、可飽和吸収層の井戸層厚d=4.0nmの条件のもとでは、微分利得が高くなるようにその成長条件を設定しても、レーザ素子の自励発振が得られることはなかった。
【0052】
同様に、可飽和吸収層18の挿入位置について活性層16からの距離l1で検討したところ、実施形態1で検討している蒸発防止層17の条件のもとでは15nm≦l1≦200nmの範囲内にあることが望ましかった。
【0053】
なお、活性層16はInGaNに限定されず、InAlGaN、GaNAsP、またはInGaNAsPなどであってもよいことは言うまでもなく、活性層中の井戸層数も可飽和吸収層18が無い構造で良好な発振特性を示すのであれば問題を生じることがない。また、可飽和吸収層18は隣接層の状態によって歪みが生じ、歪み単一量子井戸になる場合もあるが、前述のPL波長の調整ができていれば問題を生じることがない。
【0054】
また、可飽和吸収層18に隣接するpガイド19やpクラッド20にMgを高濃度で添加した場合、拡散によって可飽和吸収層のMg濃度が上昇してしまう場合もあるので、たとえば、pガイド19やpクラッド20などのような隣接層において、可飽和吸収層18との界面付近のMg濃度を下げるような変調ドープがなされていてもよく、またはアンドープの層が挿入されてもよい。さらに、pガイド層19自体がアンドープGaNであっても効果的であった。
【0055】
なお、実施形態1ではGaN基板が用いられたが、サファイア基板、SiC基板、またはSi基板等が用いられても効果が変わらないのは言うまでもない。このことは、他の実施形態においても同様である。
【0056】
なお実施形態1ではSiO2の絶縁膜を用いたリッジ導波路構造が採用されているが、その絶縁膜の材質には特に制限がなくてAl2O3やTiO2などであってもよい。また、レーザ素子構造が図8に示されているような埋めこみリッジ構造であったり、図9のような電流ブロック構造であったりしても、実施形態1で規定した活性層16と可飽和吸収層18の関係はほとんど変化しない。実際はレーザ素子構造によってモード形状が若干異なるために閉じ込め係数に差異が生じるが、前述のl1やl2の関係を大きく変えるほどではない。
【0057】
簡単に図8の構造について説明すれば、このレーザ素子は、n電極70、n−GaN基板71、n−GaN層72、n−InGaNクラック防止層73、n−AlGaNクラッド層74、n−GaNガイド層75、n−InGaN活性層76、p−AlGaN蒸発防止層77、InGaN可飽和吸収層78、p−GaNガイド層79、p−AlGaNクラッド層80、p−AlGaNクラッド層81、p−GaNコンタクト層82、n−AlGaN埋めこみ層83、およびp電極84を含んでいる。
【0058】
図9の構造を説明すれば、このレーザ素子は、n電極90、n−GaN基板91、n−GaN層92、n−InGaNクラック防止層93、n−AlGaNクラッド層94、n−GaNガイド層95、n−InGaN活性層96、p−AlGaN蒸発防止層97、p−GaNガイド層98、InGaN可飽和吸収層99、p−GaNガイド層100、n−GaNブロック層101、p−AlGaNクラッド層102、p−GaNコンタクト層103、およびp電極104を含んでいる。
【0059】
さらに、図10に示されているように、レーザ素子端面にHR(高反射膜)等のコーティングがなされていてもよい。図10においては、窒化物半導体レーザ120、リッジ構造121、前面コーティング122、および後面コーテング123が示されている。前面コーテング122は、たとえば半導体レーザ120側からSiO2/TiO2/SiO2の順の積層からなる50%程度のHRコートであったり、半導体レーザ120側からTiO2/Al2O3/SiO2やAl2O3/SiO2からなる低反射膜等であり得る。後面コーテング123は、たとえば半導体レーザ120側から(SiO2/TiO2)の3〜4ペアとSiO2の積層からなるようなHR等であり得る。
【0060】
<実施形態2>
図11においては、本発明の実施形態2による窒化物半導体レーザ素子が、その共振器長に直交する断面図で示されている。この窒化物半導体レーザ素子は、n電極30、n−GaN基板31、n−GaN層32、n−InGaNクラック防止層33、n−AlGaNクラッド層34、n−GaNガイド層35、n−InGaN活性層36、p−AlGaN蒸発防止層37、p−GaNガイド層38、InGaN可飽和吸収層39、p−GaNガイド層40、p−AlGaNクラッド層41、p−GaNコンタクト層42、絶縁膜43、およびp電極44を含んでいる。
【0061】
この実施形態2も、リッジストライプ構造を利用した屈折率導波路を有する半導体レーザ素子である。しかし、実施形態2における可飽和吸収層39はInGaNからなる多重量子井戸(MQW)構造を有している。
【0062】
図12においては、この可飽和吸収層39の構成が示されており、アンドープInGaN井戸層110とアンドープGaNバリア層111が交互に積層されている。なお、可飽和吸収層39のMg濃度は1×1017/cm3以下である。
【0063】
すなわち、実施形態2は実施形態1におけるSQWからなる可飽和吸収層18を多重量子井戸構造(MQW)からなる可飽和吸収層39に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0064】
MQW構造の可飽和吸収層39の形成に際しては、pガイド層38の堆積後に基板温度を700℃に下げて、アンドープInGaN井戸層110とGaNバリア層111を成長させた。そして、この井戸層110とバリア層111の形成プロセスを繰り返して、多重量子井戸構造が形成された。可飽和吸収層39全体としては、p−ガイド層38上に井戸層/バリア層/井戸層/バリア層の順に積層された4層構造(2周期の井戸層を含む)を有していた。なお、バリア層111と井戸層110、または井戸層110とバリア層111との間に1秒以上で180秒以内の結晶成長中断時間が設けられてもよい。
【0065】
井戸層110は吸収特性を考慮して1nmの厚さにされ、バリア層111は3nmの厚さにされた。なお、これらの層厚について検討したところでは、井戸層厚dは0.5nm≦d≦4nmの範囲内にあることが好ましく、0.5nm≦d≦2nmの範囲内にあることがより好ましい。また、ウエハのフォトルミネッセンス(PL)測定を利用して、活性層36からのPL発光ピーク波長と可飽和吸収層39からのPL発光ピーク波長とのエネルギ差が−0.15eV〜0.02eVの範囲内になるようにして、これらの実質的なバンドギャップがほぼ等しくなるように調整される。
【0066】
以上のように製作された実施形態2の窒化物半導体レーザ素子について、諸特性が調べられた。ただし、レーザ素子のストライプ幅は1.5μmであり、共振器長は600μmであった。このレーザ素子は室温25℃において閾値電流33mAで連続発振し、その発振波長は405±5nmであった。また、そのレーザビームのフアーフィールドパターン(FFP)はリップル等が無く、レンズ等で集光する際に問題を生じることもなかった。
【0067】
さらに、実施形態2のレーザ素子について、実施形態1の場合と同様に光出力を5mWに固定(APC駆動)して雰囲気温度を変えて調べたところ、0℃〜60℃の温度範囲の全域で自励発振が確認された。
【0068】
次に、可飽和吸収層39の井戸層厚dを変更して、自励発振特性に及ぼす影響を調べた。実施形態1の場合と同様に検討したところ、一つの井戸層の厚さdが0.5nm≦d≦4.0nmにある場合に自励発振が観測されたが、0.5nm≦d≦2.0nmの範囲内にあればより好ましい。図13のグラフは、井戸層数が異なる2つのサンプル素子において自励発振が観測された光出力の範囲を示している。サンプルaは井戸層厚d=3.0nmで井戸数n=2であり、サンプルbは井戸層厚d=1.5nmで井戸層数n=4にされている。ただし、それぞれの素子における可飽和吸収層の挿入位置などは同一条件である。すなわち、両サンプルaとbにおいて、光閉じ込め係数はほぼ同様である。その結果、サンプルaでは4mW〜22mWにおいて自励発振が確認されたのに対して、サンプルbでは3mW〜35mWの広範囲において観測することができた。これは、井戸層厚dが薄くなれば線形傾斜利得が高くなって飽和しやすくなる効果とキャリア寿命が短くなる効果によって、高出力でも自励発振が停止しにくいことを示していると考えられる。
【0069】
なお、井戸層数nを変更すれば自励発振が観測される最大光出力を変えることが可能になる。すなわち、高出力レーザでは可飽和吸収量を大きくする必要が生じるが、前述の検討から一つの井戸層厚dは0.5nm≦d≦4.0nmの範囲内にしなければならないので、可飽和吸収層の井戸層数nと挿入位置が調整されることになる。
【0070】
光学情報記録装置が高倍速動作で使用される環境において、レーザ素子が最大光出力≦100mWの条件を満たせばほぼ問題を生じることがない。この条件で検討したところ、井戸層数nが2≦n≦10であって、活性層36と可飽和吸収層39の距離l1を15nm≦l1≦200nmとするか、または蒸発防止層37と可飽和吸収層39の距離l2を0nm≦l2≦200nmにすればよい。
【0071】
ここで言う可飽和吸収層の井戸層数nとは、MQW構造における量子井戸層の数であり、図14のバンドギャッププロファイル(a)、(b)、および(c)に示されているようにバリア層の層数と同じでもよいし異なっていてもよい。図14に示した構造では、すべてのプロファイルにおいてn=3である。
【0072】
このような条件で作製された可飽和吸収層をもつ実施形態2の窒化物半導体レーザについて、実施形態1の場合と同様に、雰囲気温度の変化やMg濃度が発振特性に及ぼす影響の検討を行った。その結果は、実施形態1の場合と同様であった。これらの影響は一つの井戸層に依存する効果と考えられ、Mg等のp型不純物濃度が1.0×1017/cm3以下であれば0℃〜60℃の全域において安定に自励発振特性が得られた。
【0073】
次に、光ディスクなどの光学情報記録装置用の光源に実施形態2のレーザ素子を用いた際の戻り光に対する雑音特性が調べられた。光ディスクシステムに搭載したときの雑音は、本実施形態2においても、実施形態1の場合と同様に自動ノイズ測定器(図4)を用いて擬以的に測定された。まず光出力5mWにおいて、雰囲気温度が25℃で戻り光が0.1%〜10%の時の雑音を調べたところ、RINmax<−135[dB/Hz]であることが分かった。また、高出力での雑音特性を調べるために光出力を20mW程度にした場合でもRINmax<−135〔dB/Hz]であり、光出力5mWでは雰囲気温度0℃と60℃のいずれにおいてもRINmax<−135[dB/Hz〕が得られ、本実施形態2のレーザ素子は光ディスクシステム用に適していることがわかった。
【0074】
なお、実施形態1の場合に類似して、可飽和吸収層39は隣接層の状態によって歪みを生じて歪み多重量子井戸を含むことになる場合もあるが、前述のPL波長の調整が出来ていれば問題を生じることがない。
【0075】
<実施形態3>
実施形態3では、可飽和吸収層の成長条件を工夫することによって、良好な自励発振特性を得ている。すなわち、実施形態1に比べて可飽和吸収層の成長条件や状態に制限を設けることによって、その井戸層厚dが厚い条件でも自励発振特性が得られた。
【0076】
図15においては、本発明の実施形態3による窒化物半導体レーザ素子が、その共振器長に直交する断面図で示されている。この窒化物半導体レーザ素子は、n電極50、n−GaN基板51、n−GaN層52、n−InGaNクラック防止層53、n−AlGaNクラッド層54、n−GaNガイド層55、n−InGaN活性層56、p−AlGaN蒸発防止層57、InGaN可飽和吸収層58、p−GaNガイド層59、p−AlGaNクラッド層60、p−GaNコンタクト層61、絶縁膜62、およびp電極63を含んでいる。
【0077】
この実施形態3も、リッジストライプ構造を利用した屈折率導波路を有する半導体レーザ素子である。また、実施形態3における可飽和吸収層58は、実施形態1の場合と同様に、InGaNからなる単一量子井戸(SQW)構造を有している。
【0078】
本実施形態3においては、実施形態1の半導体レーザ素子の製造方法に対して適宜に限定が加えられた。すなわち、AlGaN蒸発防止層57を降温しながら成長させ、比較的低い基板温度680℃でIn0.18Ga0.82N可飽和吸収層58を成長させた。また、TMInの流量を調整して比較的遅い成長速度G.R.=0.05nm/sで6nmの厚さに成長させた。なお、Mgは添加されていない。これに続いて、基板を昇温させながらp−GaNガイド層59を成長させる工程以降は、実施形態1と同様である。
【0079】
このように製作された可飽和吸収層58は、In組成むらの多いものとなった。たとえばPL測定において、可飽和吸収層58の発光パターンには多くの微細な輝点が生じた。また。活性層56のPL発光ピーク波長から+2nm以上でフィルタリングして可飽和吸収層58のPL発光パターンを観測しても、同様な輝点が現れた。さらに、CL(カソードルミネッセンス)測定における可飽和吸収層58の発光パターンにも、同様な輝点が現れた。これらの輝点の多くはPL測定装置の分解能以下である100nm以下の大きさであった。より詳細に観測するために、TEM(透過電子顕微鏡)を用いて下記のように調べた。
【0080】
すなわち、半導体発光素子の積層構造の一部を切削してTEMにより可飽和吸収層58内部の結晶組織の構成を観察するための短冊状試料を作成し、一般的な透過電子顕微鏡を使用して、可飽和吸収層の断面TEM像を加速電圧200kVで観察して撮影した。その結果、可飽和吸収層58とp−ガイド層59との界面に、直径約2nmの略球状の結晶体がほぼ一様に分布していることが認められた。これらの結晶体が、CL測定によって観測された輝点に相当していると考えられる。
【0081】
撮影したTEM断面像から可飽和吸収層58内の結晶体の総数を計数したところ、横幅が24nm、高さ(層厚に相当する)が約3nmの撮像面積内において、5個程度であった。
【0082】
また撮像する領域を変えて、ある面積の領域内において平均して含有される結晶体の数を求めたところ、一辺の長さを24nmとする正方形(面積=5.8×10-12cm2)内に含まれる結晶体の総数は23個であった。すなわち、単位面積(1cm2)あたりの結晶体の総数に換算すれば4.0×1012cm-2となる。一方、結晶体の中心間の平均距離は約4.8nmであった。この結晶体間の平均距離である4.8nmを一辺とする正方形(面積=2.3×10-13cm2)内に1個の結晶体が存在するとすれば、単位面積(1cm2)あたりの結晶体の総数に換算すれば4.3×1012cm-2となり、これは一辺24nmの正方形領域中の結晶体数から求めた換算値とほぼ等しい。
【0083】
上記TEM試料の積層化されている断面を一般的な分析用電子顕微鏡で観察して、可飽和吸収層58の内部の結晶構造が解析された。Inの濃度について行ったEPMA(Electro‐Probe Micro‐Analysis)の分析結果から、結晶体中には他の領域(すなわち母相の内部)に比べて多くのInが含まれていることが認められた。母相からもInの特性X線に起因すると推定される信号(signal)が検知されたが、その濃度は可飽和吸収層の平均In濃度よりも5%以上低い値であった。これに対して、結晶体中のIn濃度は可飽和吸収層の平均In濃度よりも5%以上高い値であり、最大で10%以上高い値が検出された。検出されるInのkα特性X線の強度から判断すれば、結晶体の相互間にもIn濃度の相違が%のオーダで存在することを教示する結果が得られたが、EPMA分析器の検出性能では、濃度の相違を正確に定量することはできなかった。また結晶体とその周囲の母相との境界には歪等によると思われる結晶格子の乱れた領域が存在した。
【0084】
以上のようにして製作された実施形態3のレーザ素子の諸特性が調べられた。
レーザ素子の共振器長は500μmで、ストライプ幅は2.5μmであった。実施形態3のレーザ素子は室温25℃において閾値電流40mAで連続発振し、その発振波長は405±5nmであった。また、レーザビームのフアーフィールドパターンはリップル等が無く、ビームをレンズ等で集光する際に問題を生じることはなかった。さらに、実施形態1の場合と同様に光出力を5mWに固定したAPC駆動において、雰囲気温度0℃〜60℃の全範囲において自励発振が確認された。
【0085】
次に可飽和吸収層58の井戸層厚dを変更して、自励発振特性に及ぼす影響が調べられた。井戸層厚dを変更すれば閉じ込め係数が変化し、たとえばdを厚くすれば閉じ込め係数は増大する。その結果、可飽和吸収による吸収係数の変化量が大きくなってしまうので、活性層56から可飽和吸収層58までの距離l 1 を調整することによって、可飽和吸収層18の閉じ込め係数がほぼ一定に保たれるようにされた。その結果、図16のグラフに示されているように、井戸層厚dが1.0nm≦d≦10nmの範囲内において自励発振が確認された。自励発振が確認された条件で雰囲気温度を0℃から60℃まで変えて観測したところ、その全温度範囲において安定して自励発振していることがわかった。
【0086】
なお、井戸層厚d<1.0nmでは、可飽和吸収層の閉じ込め係数が小さくなりすぎるために吸収量が非常に小さくなり、自励発振が観測されなかった。また、井戸層厚d>10nmでも、自励発振が観測されなかった。この場合にI−L(注入電流-光出力)特性を測定したところ、発振後のSE(微分効率)の立ちあがり時に急激な変化が見られた。この現象は可飽和効果によるものと考えられ、自励発振との差異が生じる原因は可飽和吸収層のキャリア寿命が異なるためであると考えられる。そして、このように自励発振が生じない現象は、可飽和吸収層のキャリア寿命が長いために生じると考えられる。
【0087】
以上の検討から、井戸層厚dを薄くしていけばキャリア寿命は短くなると推測され、また可飽和しやすくなることがわかる。そして、実施形態1と比較して、実施形態3では井戸層厚dの許容範囲が非常に広くなった。前述のように可飽和吸収層58にはIn濃度のばらつきがあり、実効的な閉じ込め係数が小さくなった効果はキャリア寿命が短くなる効果がおきたからであると考えられる。
【0088】
井戸層厚dが1.0nm≦d≦10.0nmの範囲の条件において実施形態3の窒化物半導体レーザを光ディスクなどの光学情報記録装置の光源として用いたところ、エラー等を生じることなく光ディスク上でデータの読み込みや書き込みが行うことができた。
【0089】
さらに、実施形態1の場合と同様に、実施形態3においても可飽和吸収層58のMg濃度を種々に変化させるとともに雰囲気温度を変えることによって、自励発振特性に対する影響が調べられた。具体的には、Mg濃度を1.0×1019/cm3に増大すれば吸収量が増大するので閉じ込め係数を調整したところ、25℃雰囲気中で自励発振が確認された。しかし、温度を下げていけば自励発振が停止してしまい、また温度を上げたばあいには著しく発振閾値が上昇し、5mWのAPC駆動で自励発振が確認されなかった。さらに光出力を上げると再び自励発振する場合もあったが、APC駆動で雰囲気温度の変化に対して安定に自励発振する素子は得られなかった。
【0090】
このように、InGaN可飽和吸収層58にMgを高濃度ドープすれば自励発振特性は得られるが、雰囲気温度に対する安定性は得られなかった。他方、Mg濃度を下げながら雰囲気温度の変化に対して安定に自励発振する条件を検討したところ、1.0×1017/cm3以下の濃度がよいことが分かった。
【0091】
次に、光ディスクなどの光学情報記録装置用の光源に本実施形態3のレーザ素子を用いた際の戻り光に対する雑音特性が調べられた。光ディスクシステムに搭載されたレーザ素子の雑音は自動ノイズ測定器(図4)を用いて擬以的に測定された。まず光出力が5mWのAPC駆動において、雰囲気温度が25℃で戻り光が0.1%〜10%のときの雑音を調べたところ、RINmax<−135[dB/Hz]であることがわかった。また雰囲気温度が0℃と60℃のいずれの場合でも、5mWのAPC駆動においてRINmax<−135[dB/Hz]が得られ、本実施形態のレーザ素子も光ディスクシステムへの応用に適していることがわかった。
【0092】
さらに、本実施形態3のようにIn濃度がばらついている可飽和吸収層58において、自励発振に効果的な濃度ばらつき範囲を調べた。その濃度ばらつき具合はランダムであり、境界を設けることが難しいのであるが、概ねPL発光スペクトルやCL発光スペクトルにおける輝点の領域が装置の分解能以下の100nm以下であって、TEMによる観測では1nm以上であればよい。また、In組成の混晶比の高い領域の分布密度が、1×1011個/cm2以上であればよい。ところで、100nm以上の比較的大きな輝点が支配的な場合、井戸層厚d=6.0nmにおいては自励発振が観測されることはなかった。
【0093】
このような可飽和吸収層58を成長させる条件として、成長温度TをT≦710℃とし、成長速度G.R.をG.R.≦0.07nm/sとすることがよかった。
【0094】
実施形態3は、実施形態1における可飽和吸収層18の成長条件に制限を設けることで可飽和吸収層58の井戸層厚dの可能な範囲を拡大しているが、それ以外の条件は実施形態1に準じている。また実施形態3で用いた可飽和吸収層58はSQW構造に限らず、実施形態2に準ずるMQW構造を含んでいてもよい。そのMQW構造においては、1つの井戸層厚dは1.0≦d≦10.0の範囲にあればよく、それ以外は実施形態2の条件に準ずる。
【0095】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、安定な自励発振特性を有する低雑音性の窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の半導体レーザ素子を示す模式的な断面図である。
【図2】 実施形態1の半導体レーザ素子における可飽和吸収層中の井戸層厚に対する自励発振特性の依存性を示すグラフである。
【図3】 実施形態1の半導体レーザ素子における雰囲気温度に対する自励発振特性の依存性を示すグラフである。
【図4】 自動ノイズ測定器を示す模式的なブロック図である。
【図5】 p−ガイド層中に挿入された可飽和吸収層を含むレーザ素子の模式的な断面図である。
【図6】 InGaN層に隣接する可飽和吸収層における模式的な断面図である。
【図7】 p−クラッド層中に挿入された可飽和吸収層を含むレーザ素子の模式的なバンドギャッププロファイルである。
【図8】 埋め込みリッジ構造を有するレーザ素子の模式的な断面図である。
【図9】 電流ブロック構造を有するレーザ素子の模式的な断面図である。
【図10】 レーザ素子における端面コーティングを示す模式的な斜視図である。
【図11】 本発明の実施形態2の半導体レーザ素子を示す模式的な断面図である。
【図12】 実施形態2における可飽和吸収層のMQW構造の一例を示す模式的な断面図である。
【図13】 実施形態2における自励発振特性を示すグラフである。
【図14】 実施形態2において異なるバリア層数を含む可飽和吸収層における模式的なバンドギャッププロファイルである。
【図15】 本発明の実施形態3の半導体レーザ素子を示す模式的な断面図である。
【図16】 実施形態3の半導体レーザ素子における雰囲気温度に対する自励発振特性の依存性を示すグラフである。
【図17】 従来の半導体レーザ素子を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
10、30、50、70、90 : n電極
11、31、51、71、91 : n−GaN基板
12、32、52、72、92 : n−GaN層
13、33、53、73、93 : n−InGaNクラック防止層
14、34、54、74、94 : n−AlGaNクラッド層
15、35、55、75、95 : n−GaNガイド層
16、36、56、76、96 : n−InGaN活性層
17、37、57、77、97 : p−AlGaN蒸発防止層
38、 98 : p−GaNガイド層
18、39、58、78、99 : InGaN可飽和吸収層
19、40、59、79、100: p−GaNガイド層
101: n−GaNブロック層
20、41、60、80、102: p−AlGaNクラッド層
81 : p−AlGaNクラッド層
21、42、61、82、103: p−GaNコンタクト層
22、43、62 : 絶縁膜
83 : n−AlGaN埋め込み層
23、44、63、84、104: p電極
110 : 井戸層
111 : バリア層
120 : 窒化物半導体レーザ
121 : リッジ構造
122 : 前面コーティング層
123 : 後面コーティング層
Claims (6)
- 基板上において発光層、前記発光層からのキャリアのオーバーフローを妨げる蒸発防止層、および光吸収が飽和する特性を有する可飽和吸収層をこの順序で含み、前記発光層と前記可飽和吸収層との相互作用による自励発振特性を備えた窒化物半導体レーザ素子であって、
前記可飽和吸収層は1.0×1017/cm3以下のp型不純物を含むInGaN混晶からなり、
前記可飽和吸収層は単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を含み、その可飽和吸収層に含まれる1つの井戸層の厚さdが0.5nm≦d≦4.0nmの範囲内にあり、
前記蒸発防止層と前記可飽和吸収層の距離l2が0nm≦l2≦200nmの範囲内にあることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 - 前記発光層と前記可飽和吸収層の距離l1が15nm≦l1≦200nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記可飽和吸収層は多重量子井戸構造を含み、前記井戸層の数nが2≦n≦10の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 基板上において発光層、前記発光層からのキャリアのオーバーフローを妨げる蒸発防止層、および光吸収が飽和する特性を有する可飽和吸収層をこの順序で含み、前記発光層と前記可飽和吸収層との相互作用による自励発振特性を備えた窒化物半導体レーザ素子であって、
前記可飽和吸収層は1.0×1017/cm3以下のp型不純物を含むInGaN混晶からなり、
前記可飽和吸収層にはIn濃度の高い微小領域と低い微小領域が混在していて、In濃度の高い領域の平均径が1nm以上で100nm以下の範囲内にあってその領域分布密度が1×1011個/cm2以上であり、
前記可飽和吸収層中における井戸層の1つの厚さdが1.0nm≦d≦10nmの範囲内にあり、
前記蒸発防止層と前記可飽和吸収層の距離l2が0nm≦l2≦200nmの範囲内にあることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 - 。
前記発光層と前記可飽和吸収層の距離l 1 が15nm≦l 1 ≦200nmの範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体レーザ素子。 - 請求項4または5に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、
前記可飽和吸収層の成長温度TがT≦710℃の範囲内に設定され、
その厚さ方向の成長速度G.R.がG.R.≦0.07nm/sの範囲内にあることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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