JP3123433B2 - 自励発振型半導体レーザ - Google Patents

自励発振型半導体レーザ

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JP3123433B2
JP3123433B2 JP08167047A JP16704796A JP3123433B2 JP 3123433 B2 JP3123433 B2 JP 3123433B2 JP 08167047 A JP08167047 A JP 08167047A JP 16704796 A JP16704796 A JP 16704796A JP 3123433 B2 JP3123433 B2 JP 3123433B2
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文人 宮坂
等 堀田
健一 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自励発振型半導体
レーザに関し、特に情報記録/再生用に用いるのに適し
た低雑音の半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザを光ディスク等に用いる場
合、半導体レーザから出射した光が外部にある光学系に
よって反射され半導体レーザ自身へ戻り、この戻り光に
より雑音が発生する。この戻り光雑音を低減する方法と
して、自励発振により可干渉性を低下させる方法が知ら
れている。自励発振型の半導体レーザとしては、クラッ
ドのメサ脇残り厚と活性層厚を調整し、光を活性層のメ
サ脇に染みださせて、キャリアの注入されない活性層の
一部分を可飽和吸収体とする方法がある。しかしこの方
法では、非点隔差が10μm〜30μmと大きくなり、
光ディスク等へ応用する場合には問題が生じる。
【0003】他の構造の自励発振型半導体レーザとし
て、特開昭61−84891号公報、特開昭63−20
2083号公報、特開平6−196810号公報、特開
平6−260716号公報には、活性層の上部または下
部にあるいは双方に可飽和吸収層を設ける構造が開示さ
れている。この構造によれば、非点隔差を小さくするこ
とができる。上述の公報のうち、特開昭61−8489
1号公報、特開平6−196810号公報、特開平6−
260716号公報では、活性層と可飽和吸収層の組成
またはバンドギャップを略等しくすることにより自励発
振を得ている。
【0004】また、自励発振を安定に発生させるには、
特開昭61−160988号公報に開示されているよう
に、活性層に対し可飽和吸収層のキャリア寿命を短くす
る必要がある。特開昭61−160988号公報はタン
デム型の自励発振型半導体レーザにおいて、可飽和吸収
領域にZnを拡散させることによりキャリア寿命を短く
している。活性層の上部または下部に可飽和吸収層を設
けた構造の自励発振型半導体レーザでは、可飽和吸収層
のキャリア濃度を高くすることによりキャリア寿命を短
くし、自励発振を発生させた例が第56回応用物理学会
学術講演会講演予行集、26p−ZA−5、26p−Z
A−6に報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活性層
の上部または下部に可飽和吸収層を設けた半導体レーザ
において、特開昭63−202083号公報に開示され
ているような、可飽和吸収層のバンドギャップが発振波
長エネルギーよりもかなり小さい場合には閾値電流が上
昇し、また可飽和吸収層のバンドギャップが発振波長エ
ネルギーよりもかなり大きい場合には吸収が小さく自励
発振し難くなる。この問題を解決するものとして、特開
昭61−84891号公報には、活性層と可飽和吸収層
の組成を等しくすることにより、また特開平6−260
716号公報には、可飽和吸収層を歪量子井戸構造とす
ることにより、可飽和吸収層のバンドギャップエネルギ
ーを発振波長エネルギーに略等しくすることがそれぞれ
開示されており、これらにより閾値電流の上昇を抑え自
励発振させることができるとされている。
【0006】しかし、自励発振を安定して発生させるに
は、特開昭61−160988号公報に開示されている
ように、可飽和吸収層のキャリア寿命を制御し活性層の
キャリア寿命に比べ短寿命化する必要がある。特開昭6
1−84891号公報、特開平6−260716号公報
に記載された方法のように、単に可飽和吸収層のバンド
ギャップを発振波長エネルギーに略等しくするだけでは
安定に自励発振を発生させることはできない。キャリア
寿命を制御した例である第56回応用物理学会学術講演
会講演予行集、26D−ZA−5、26p−ZA−6に
記載された方法では、可飽和吸収層に不純物を高濃度に
ドーピングすることにより可飽和吸収層のキャリア寿命
を短くし、自励発振を発生させている。しかし、可飽和
吸収層への高濃度ドーピングを行うと、可飽和吸収層か
ら活性層への不純物の拡散が発生する恐れがある。活性
層への不純物の拡散は、活性層の発光効率の低下を招
き、半導体レーザの閾値電流を増大させ、また劣化率を
増大させ信頼性の低下を招く。可飽和吸収層がp型クラ
ッド層にある場合には、不純物としてZnが使われるこ
とが多く、特にZnは拡散係数が大きく拡散し易いた
め、活性層まで拡散する可能性があった。
【0007】また、特開平6−196810号公報で
は、活性層と可飽和吸収層の組成を等しくし、可飽和吸
収層を0.01μmまで薄くした例が実施例として記載
されている。本発明者等の実験によると、後述のように
可飽和吸収層厚を活性層厚よりも薄くすることによりキ
ャリア寿命を短くすることができるが、可飽和吸収層と
活性層の組成を等しくした場合には、可飽和吸収層を
0.01μmまで薄くすると量子効果によるバンドギャ
ップの増大から吸収が不十分になり、本発明者等が実験
したところ、GaInP/AlGaInP系では自励発
振は得られなかった。また、量子効果によるバンドギャ
ップの増大の少ない層厚では吸収は十分となるが、層厚
を十分薄くできないためにキャリアの短寿命化の効果が
小さく、高濃度ドーピングを行わなければやはり自励発
振しないことが判った。
【0008】したがって、本発明の解決すべき課題は、
高濃度ドーピングすることなく可飽和吸収層のキャリア
寿命を短くすることができるようにして、不純物が活性
層に拡散することのないようにし、閾値電流が低くかつ
非点隔差が小さい、低雑音の自励発振型半導体レーザを
提供できるようにすることある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による自励発振型
半導体レーザは、半導体基板上に、活性層と、前記活性
層を挟むクラッド層とが形成され、前記クラッド層の少
なくとも一方の層中に可飽和吸収層が形成されているも
のであって、前記可飽和吸収層が、その形成時のV/
III (V族原料供給量/III 族原料供給量)が前記活性
層形成時のV/III よりも低く設定されされて形成され
たものであるか、あるいは 量子井戸構造で前記活性層
よりも層厚が薄くなされたものであり、前記可飽和吸収
層は発振波長エネルギーに略等しいバンドギャップエネ
ルギーを有し、前記活性層と可飽和吸収層とにおけるキ
ャリア寿命τをτ1、τ2、それぞれの層の利得係数g
をg1、g2、それぞれの層の光閉じこめ係数ΓをΓ
l、Γ2とし、前記可飽和吸収層の損失αを共振器損失
αc で規格化した損失をβ(=α/αc )とした時、τ
2がτl/τ2・g1/g2>−β/(1−β)でかつ
τ1/τ2>(1+Γl/Γ2)・(1−β)/(−
β)・g1/g2+1なる関係を有することを特徴とし
ている。
【0010】そして、好ましくは、前記活性層が、(A
x Ga1-xy In1-y Pを井戸層、(Alz Ga
1-zw In1-w Pを障壁層とする多重量子井戸構造を
有し、前記可飽和吸収層が(Alu Ga1-uv In
1-v Pを井戸層、(Als Ga1- st In1-t P(但
し、0≦x,u<1、0<y,z,w,v,s,t<
1)を障壁層とする多重量子井戸構造を有するものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図1は、本発明による自励発振型
半導体レーザの例を示す断面図あり、AlGaInP赤
色半導体レーザの場合を示す。図1に示されるように、
n型GaAs基板1上に、n型AlGaInPクラッド
層2、活性層4、p型AlGaInPクラッド層5、p
型GaInPヘテロバッファ層7、p型GaAsキャッ
プ層8が順に形成されている。n型AlGaInPクラ
ッド層2内には、n型可飽和吸収層3が形成され、p型
AlGaInPクラッド層5内には、p型可飽和吸収層
6が形成されている。p型GaAsキャップ層8、p型
GaInPヘテロバッファ層7およびp型AlGaIn
Pクラッド層5はメサ状に加工され、メサの側面はn型
GaAsブロック層9により埋め込まれている。p型G
aAsキャップ層8およびn型GaAsブロック層9上
にはp型GaAsコンタクト層10が形成されており、
その上にはp側電極11が形成される。また、n型Ga
As基板1の下面にはn側電極12が形成されている。
【0012】活性層4は、例えば、10nm厚のGa
0.5 In0.5 P井戸層と4nm厚の(Al0.5 Ga
0.50.5 In0.5 P障壁層を交互に積層した多重量子
井戸構造に構成される。また、n型およびp型可飽和吸
収層3、6は、例えば、10nm厚のGa0.5 In0.5
P井戸層と4nm厚の(Al0.7 Ga0.30.5 In
0.5 P障壁層を交互に積層した多重量子井戸構造に構成
される。これらの層は、トリメチルアルミニウム〔Al
(CH33 〕、トリエチルガリウム〔Ga(C2
53 〕、トリメチルインジウム〔In(CH3
3 〕、ホスフィン(PH3 )、アルシン(AsH3 )を
原料ガスとするMOVPE法により形成されるが、その
際に、可飽和吸収層でのキャリア寿命を短くするため
に、可飽和吸収層を成長させるときのV族原料供給量/
III 族原料供給量比(V/III )は、活性層形成時のV
/III より低く設定される。
【0013】また、可飽和吸収層のAl組成比を活性層
のそれよりも高くすることにより、キャリアの寿命を短
くする。例えば、活性層4は、10nm厚のGa0.5
0.5 P井戸層と4nm厚の(Al0.5 Ga0.50.5
In0.5 P障壁層を交互に積層した多重量子井戸構造に
構成され、n型およびp型可飽和吸収層3、6は、例え
ば、10nm厚の(Al0.3 Ga0.70.4 In0.6
井戸層と4nm厚の(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5
P障壁層を交互に積層した多重量子井戸構造とする。可
飽和吸収層のAl組成比が上昇されたことによりそのま
まではバンドギャップエネルギーが活性層より大きくな
るため、発振波長エネルギーに略等しくなるように、I
n組成を高くし、圧縮歪を加える。
【0014】また、可飽和吸収層の膜厚を活性層のそれ
よりも薄くすることにより(多重量子井戸構造を採る場
合には少なくとも井戸層の層厚を薄くすることによ
り)、可飽和吸収層のキャリア寿命を短くする。例え
ば、活性層4は、10nm厚のGa0.5 In0.5 P井戸
層と4nm厚の(Al0.5 Ga0.50.5 In0.5 P障
壁層を交互に積層した多重量子井戸構造により構成し、
n型およびp型可飽和吸収層3、6は、例えば、3nm
厚のGa0.38In0.62P井戸層と4nm厚の(Al0.7
Ga0.30.5 In0.5 P障壁層を交互に積層した多重
量子井戸構造に形成する。可飽和吸収層の井戸層の層厚
を薄くすると量子準位が高くなり、バンドギャップエネ
ルギーが発振波長より大きくなってしまうため、発振波
長エネルギーに略等しくなるようにIn組成を高くし、
圧縮歪を加える。
【0015】[作用] 本発明の自励発振型半導体レーザでは、活性層を挟むク
ラッド層の少なくとも一方の層中に可飽和吸収層が形成
され、この可飽和吸収層のバンドギャップは発振波長エ
ネルギーに略等しくなるようになされるとともに、キャ
リア寿命が短くなされる。その短寿命化の手法として、
可飽和吸収層の結晶成長時のV/III を低くする、可飽
和吸収層にAlを含む化合物を用いる(あるいはAlの
組成比を高くする)、可飽和吸収層の厚さを薄くする、
またはこれらの組み合わせを用いる。この時、可飽和吸
収層のバンドギャップを発振波長エネルギーに略等しく
するには、歪量子井戸構造の導入によりバンド構造を制
御する手法を用いることができる。
【0016】図2は、GaInPバルクの非発光再結合
によるキャリア寿命のMOVPEにおけるV/III 依存
性を示すグラフである。V/III が低下するに従い酸素
の取り込まれ率が高くなり、キャリア寿命は短くなる。
図3は、(Alx Ga1-x0.5 In0.5 Pバルクの非
発光再結合によるキャリア寿命のAl組成x依存性を示
すグラフである。Alは酸素と結合しやすいため、Al
組成を高くするに従い酸素の取り込まれが多くなり、キ
ャリア寿命は短くなる。図4は、AlGaInP/Ga
InP/AlGaInPダブルへテロ構造の非発光再結
合によるキャリア寿命のGaInP層厚依存性を示すグ
ラフである。GaInPの層厚が薄くなるに従い、界面
再結合によりキャリア寿命は短くなる。これらにより、
キャリア寿命の非発光再結合成分を短くすることがで
き、発光再結合成分短寿命化するための高濃度ドーピ
ングを行うことなしに、キャリア寿命を短くできる。
【0017】この際に、特開昭61−160988号公
報に記載のあるように、活性層と可飽和吸収層とにおけ
るキャリア寿命τをτ1、τ2、それぞれの層の利得係
数gをg1、g2、それぞれの層の光閉じこめ係数Γを
Γl、Γ2とし、可飽和吸収層の損失αを共振器損失α
c で規格化した損失をβ(=α/αc )としたとき、τ
2が、τ1/τ2・g1/g2>−β/(1−β)でか
つτ1/τ2>(1+Γl/Γ2)・(1−β)/(−
β)・g1/g2+1なる関係を有するようにキャリア
寿命τ2を上述の方法によりを短寿命化することにより
自励発振が生じる。従って、可飽和吸収層へ高濃度のド
ーピングすることなく自励発振が生じるようキャリア寿
命を短くできるため、可飽和吸収層から活性層への不純
物拡散が起きず、活性層の発光効率を低減させることな
く、良好な特性の自励発振型半導体レーザを作製するこ
とができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。図
5は、本発明の実施例の製造過程を示す工程順の断面図
であって、AlGaInP系赤色半導体レーザの場合を
示す。まず、図5(a)に示すように、n型GaAs基
板1上に0.95μm厚のn型(Al0.7 Ga0.3
0.5 In0.5 Pクラッド層2a、n型可飽和吸収層3、
50nm厚のn型(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5
クラッド層2b、アンドープの活性層4、50nm厚の
p型(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5 Pクラッド層5
a、p型可飽和吸収層6、0.95μm厚のp型(Al
0.7 Ga0.30. 5 In0.5 Pクラッド層5b、20n
m厚のp型Ga0.5 In0.5 Pへテロバッファ層7a、
0.3μm厚のp型GaAsキャップ層8を順次成長さ
せる。結晶成長は減圧MOVPE法を用いた。成長条件
は、温度660℃、圧力70Torr、V/III 500
(第1の実施例での可飽和吸収層の場合を除く)とし
た。原料としては、トリメチルアルミニウム、トリエチ
ルガリウム、トリメチルインジウム、ホスフィン、アル
シン、n型ドーパントとしてジシラン(Si26 )、
p型ドーパントとしてジエチルジンク〔Zn(C2
52 〕を用いた。
【0019】次に、図5(b)に示すように、CVD法
およびリソグラフィ法によりSiO2 ストライプマスク
13を形成し、p型(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5
Pクラッド層5bを層厚02μm程度残してウェット
エッチングにより除去し、メサを形成する。次に、図5
(c)に示すように、選択成長によりn型GaAsブロ
ック層9を形成した後、SiO2 ストライプマスク13
を除去し、p型GaAsコンタクト層10を形成した。
n型GaAsブロック層9およびp型GaAsコンタク
ト層10の成長には、減圧MOVPE法を用い、成長条
件は、温度660℃、圧力70Torr、V/III 45
とした。原料としては、トリメチルガリウム、アルシ
ン、n型ドーパントとしてジシラン、p型ドーパントと
してジエチルジンクを用いた。その後、エピタキシャル
層側にp側電極、基板側にn側電極を形成すれば、図1
に示す半導体レーザが得られる。
【0020】図6に活性層4のエネルギーバンド図を示
す。同図に示されるように、活性層4は、10nm厚の
Ga0.5 In0.5 P井戸層4aと4nm厚の(Al0.5
Ga0.50.5 In0.5 P障壁層4bが交互に積層され
た多重量子井戸構造であり、その両側に50nm厚の
(Al0.5 Ga0.50.5 In0.5 P光ガイド層4cが
設けられている。図7に可飽和吸収層3、6のエネルギ
ーバンド図を示す。同図に示されるように、可飽和吸収
層3、6は、(Alx Ga1-xy In1-y P井戸層3
a、6aと(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5 P障壁層
3b、6bを交互に積層した多重量子井戸構造である。
可飽和吸収層3、6は、自励発振が発生するようキャリ
ア寿命が短くなされ、かつバンドギャップエネルギーが
発振波長エネルギーに略等しくなるようになされてい
る。また、可飽和吸収層3、6のドーピング量は5×1
17cm-3程度とした。
【0021】[第1の実施例]次に、各実施例における
可飽和吸収層3、6について説明する。第1の実施例に
おいては、可飽和吸収層3、6を10nm厚のGa0.5
In0.5 P井戸層3a、6aと4nm厚の(Al0.7
0.30.5 In0.5 P障壁層3b、6bを交互に積層
した多重量子井戸構造とし、井戸層3a、6aの組成、
膜厚を活性層4のそれと同一にし、V/III のみを可飽
和吸収層3、6成長時に50に変更した。このように、
可飽和吸収層3、6成長時のV/III を下げることによ
り、非発光再結合によるキャリア寿命を一桁以上下げる
ことができ、良好な自励発振を発生させることができ
た。
【0022】[第2の実施例]第2の実施例としては、
可飽和吸収層3、6を、10nm厚の(Al0.3 Ga
0.70.4 In0.6 P井戸層3a、6aと4nm厚の
(Al0.7 Ga0.30.5In0.5 5P障壁層3b、6
bを交互に積層した多重量子井戸構造とした。井戸層3
a、6aのAl組成を高くすると、バンドギャップエネ
ルギーが大きくなるため、発振波長エネルギーに略等し
くなるようにIn組成を高くし、圧縮歪を加えた。この
ように、可飽和吸収層3、6のAl組成を高くすること
により、非発光再結合によるキャリア寿命を約一桁下げ
ることができ、良好な自励発振を発生させることができ
た。
【0023】[第3の実施例]第3の実施例として、可
飽和吸収層3、6を3nm厚のGa0.38In0.62P井戸
層3a、6aと4nm厚の(Al0.7 Ga0.30.5
0.5 P障壁層3b、6bを交互に積層した多重量子井
戸構造とした。井戸層3a、6aの層厚を薄くすると量
子準位が高くなり、バンドギャップエネルギーが大きく
なるため、発振波長エネルギーに略等しくなるようにI
n組成を高くし、圧縮歪を加えた。このように、可飽和
吸収層3、6の層厚を薄くすることにより、非発光再結
合によるキャリア寿命を約1/5に下げることができ、
良好な自励発振を発生させることができた。
【0024】上記各実施例により得られた半導体レーザ
は、60℃において5mW以上まで自励発振し、相対雑
音強度(Relative Intensity Noise;RIN)は戻り光
量10%まで−135dB/Hz以下となり、良好な低
雑音特性を示した。また、可飽和吸収層3、6は高濃度
ドーピングしていないため活性層4へのドーパントの拡
散は見られず、室温における閾値電流は共振器長500
μmにおいて50から60mAと良好な値が得られた。
さらに、非点隔差は5から10μmであった。上述の各
実施例では、可飽和吸収層でのV/III の低減、高Al
組成化、薄膜化を単独に用いたが、これらの組み合わせ
でもよい。また、可飽和吸収層をp型、n型両クラッド
層中に設けたが、どちらか一方のクラッド層中に設けた
構造においても同様の効果が得られた。さらに、実施例
ではAlGaInP系半導体レーザについて述べたが、
AlGaAs系半導体レーザについても同様の効果が得
られる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による半導
体レーザは、可飽和吸収層形成時のV/III を低減す
る、層厚を薄くすることにより、可飽和吸収層のキャリ
ア寿命を短くしたものであるので、可飽和吸収層への高
濃度ドーピングを行わずに済むようになり、可飽和吸収
層から活性層への不純物拡散を防止しつつ自励発振を発
生させることが可能になる。したがって、本発明によれ
ば、活性層の発光効率を低減させたり、信頼性の低下を
招いたりすることなく、特性がよく低雑音の自励発振型
半導体レーザを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための半導体レ
ーザの断面図。
【図2】GaInPバルクの非発光再結合によるキャリ
ア寿命のV/III 依存性を示すグラフ。
【図3】(AlX Ga1-X0.5 In0.5 Pバルクの非
発光再結合によるキャリア寿命のAl組成x依存性を示
すグラフ。
【図4】AlGaInP/GaInP/AlGaInP
ダブルへテロ構造の非発光再結合によるキャリア寿命の
GaInP層厚依存性を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例の半導体レーザの製造方法を説
明するための工程順断面図。
【図6】本発明の実施例の活性層4のエネルギーバンド
図。
【図7】本発明の実施例の可飽和吸収層3、6のエネル
ギーバンド図。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板 2 n型AlGaInPクラッド層 2a、2b n型(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5
クラッド層 3 n型可飽和吸収層 3a (Alx Ga1-xy In1-y P井戸層 3b (Al0.7 Ga0.30.5 In0.5 P障壁層 4 活性層 4a Ga0.5 In0.5 P井戸層 4b (Al0.5 Ga0.50.5 In0.5 P障壁層 4c (Al0.5 Ga0.50.5 In0.5 P光ガイド層 5 p型AlGaInPクラッド層 5a、5b p型(Al0.7 Ga0.30.5 In0.5
クラッド層 6 p型可飽和吸収層 6a (Alx Ga1-xy In1-y P井戸層 6b (Al0.7 Ga0.30.5 In0.5 P障壁層 7 p型GaInPへテロバッファ層 7a p型Ga0.5 In0.5 Pへテロバッファ層 8 p型GaAsキャップ層 9 n型GaAsブロック層 10 p型GaAsコンタクト層 11 p側電極 12 n側電極 13 SiO2 ストライプマスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−196810(JP,A) 特開 平7−263794(JP,A) 特開 平7−321395(JP,A) IEEE.Photon.Tech. Lett.7[12](1995)p.1406− 1408 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に、活性層と、前記活性層を
    挟むクラッド層とが形成され、前記クラッド層の少なく
    とも一方の層中に可飽和吸収層が形成されている半導体
    レーザにおいて、前記可飽和吸収層および前記活性層
    は、有機金属気相成長(MOVPE)法により形成さ
    れ、前記可飽和吸収層形成時のV/III (V族原料供給
    量/III 族原料供給量)が前記活性層形成時のV/III
    よりも低く設定され、前記可飽和吸収層は前記活性層よ
    り高濃度に酸素を含み、前記可飽和吸収層は発振波長エ
    ネルギーに略等しいバンドギャップエネルギーを有し、
    かつ、前記活性層と可飽和吸収層とにおけるキャリア寿
    命τをτ1、τ2、それぞれの層の利得係数gをg1、
    g2、それぞれの層の光閉じこめ係数ΓをΓl、Γ2と
    し、前記可飽和吸収層の損失αを共振器損失αc で規格
    化した損失をβ(=α/αc )とした時、τ2がτl/
    τ2・g1/g2>−β/(1−β)でかつτ1/τ2
    >(1+Γl/Γ2)・(1−β)/(−β)・g1/
    g2+1なる関係を有することを特徴とする自励発振型
    半導体レーザ。
  2. 【請求項2】半導体基板上に、活性層と、前記活性層を
    挟むクラッド層とが形成され、前記クラッド層の少なく
    とも一方の層中に可飽和吸収層が形成されている半導体
    レーザにおいて、前記可飽和吸収層は量子井戸構造をな
    して前記活性層よりも層厚が薄く形成され、前記可飽和
    吸収層は発振波長エネルギーに略等しいバンドギャップ
    エネルギーを有し、かつ、前記活性層と可飽和吸収層と
    におけるキャリア寿命τをτ1、τ2、それぞれの層の
    利得係数gをg1、g2、それぞれの層の光閉じこめ係
    数ΓをΓl、Γ2とし、前記可飽和吸収層の損失αを共
    振器損失αc で規格化した損失をβ(=α/αc )とし
    た時、τ2がτl/τ2・g1/g2>−β/(1−
    β)でかつτ1/τ2>(1+Γl/Γ2)・(1−
    β)/(−β)・g1/g2+1なる関係を有すること
    を特徴とする自励発振型半導体レーザ。
  3. 【請求項3】半導体基板上に、活性層と、前記活性層を
    挟むクラッド層とが形成され、前記クラッド層の少なく
    とも一方の層中に可飽和吸収層が形成されている半導体
    レーザにおいて、前記活性層よりも層厚が薄く形成さ
    れ、かつ、前記可飽和吸収層は発振波長エネルギーに略
    等しいバンドギャップエネルギーを有し、かつ、前記活
    性層と可飽和吸収層とにおけるキャリア寿命τをτ1、
    τ2、それぞれの層の利得係数gをg1、g2、それぞ
    れの層の光閉じこめ係数ΓをΓl、Γ2とし、前記可飽
    和吸収層の損失αを共振器損失αc で規格化した損失を
    β(=α/αc )とした時、τ2がτl/τ2・g1/
    g2>−β/(1−β)でかつτ1/τ2>(1+Γl
    /Γ2)・(1−β)/(−β)・g1/g2+1なる
    関係を有し、かつ、前記可飽和吸収層および前記活性層
    は、Inを含む化合物により多重量子井戸構造に形成さ
    れ、前記可飽和吸収層の井戸層のIn組成比は前記活性
    層の井戸層のそれより高く設定され、かつ、前記可飽和
    吸収層の井戸層には圧縮歪が導入されていることを特徴
    とする自励発振型半導体レーザ。
  4. 【請求項4】前記活性層と可飽和吸収層とにおけるキャ
    リア寿命τをτ1、τ2、それぞれの層の利得係数gを
    g1、g2、それぞれの層の光閉じこめ係数ΓをΓl、
    Γ2とし、前記可飽和吸収層の損失αを共振器損失αc
    で規格化した損失をβ(=α/αc )とした時、τ2が
    τl/τ2・g1/g2>−β/(1−β)でかつτ1
    /τ2>(1+Γl/Γ2)・(1−β)/(−β)・
    g1/g2+1なる関係を有し、かつ、前記活性層が、
    (Alx Ga1-xy In1-y Pを井戸層、(Alz
    1-z )w In1-w Pを障壁層とする多重量子井戸構造
    を有し、前記可飽和吸収層が(Alu Ga1-uv In
    1-v Pを井戸層、(AlsGa1-st In1-t P(但
    し、0≦x,u<1、0<y,z,w,v,s,t<
    1)を障壁層とする多重量子井戸構造を有していること
    を特徴とする請求項1から3記載の自励発振型半導体レ
    ーザ。
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