JP3075346B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP3075346B2
JP3075346B2 JP09269043A JP26904397A JP3075346B2 JP 3075346 B2 JP3075346 B2 JP 3075346B2 JP 09269043 A JP09269043 A JP 09269043A JP 26904397 A JP26904397 A JP 26904397A JP 3075346 B2 JP3075346 B2 JP 3075346B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体レーザの構造
に関し、特に低雑音動作が可能な半導体レーザの構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザは光ディスク装置の光源お
よび光通信の光源等として、情報機器・システムに幅広
く使用されている。特に、近年、DVD(デジタル・バ
ーサタイル・ディスク)、光磁気ディスクなどの、光デ
ィスク媒体が高密度記憶装置として脚光を浴びている。
この装置の光ピックアップに用いられる半導体レーザに
は、光ディスク盤面からの反射戻り光によって、雑音が
発生する。この雑音の発生を抑えることが半導体レーザ
には重要である。
【0003】雑音の低減の一つの方法として、半導体レ
ーザを高周波で駆動する方法が知られている。すなわ
ち、高周波駆動することにより、発振スペクトルがマル
チモード化し戻り光の影響を低減できる。しかし、高周
波重畳モジュールが必要となるので、コストが高くな
り、さらに電磁波雑音を放射するという問題(EMCの
問題)がある。
【0004】これに対し、自励発振レーザは同様に低雑
音特性を有しながら、かつ低コストで、電磁波雑音も発
生しないという優れた特徴がある。そこで、低しきい値
電流、低駆動電流で、長期信頼性を有する実用的に自励
発振するレーザの実現が望まれている。
【0005】ところで、自励発振動作はレーザ共振器内
に可飽和吸収体を導入し、その可飽和吸収量を制御する
ことによって得ることができる。このような自励発振動
作、およびそのレーザ構造については、例えば1986
年に刊行された第18回イクステンデット・アブストラ
クト・オブ・コンファレンス・オン・ソリッド・ステイ
ト・デバイス・アンド・マテリアル(Extended
Abstractof 18th Conferen
ce on Solid State Devices
and materials)153ページ、論文番
号D−1−2や1994年に開催された第11回半導体
レーザシンポジューム予稿集21ページに報告されてい
る。これらのレーザは、メサストライプ脇の活性層を可
飽和吸収層としている。この半導体レーザはレーザ発光
部横での光吸収が大きいため非点収差が10から50μ
mと大きいという問題がある。
【0006】そこで非点収差を小さくする方法として、
特開平6−196810号公報には図7に示すように活
性層に平行に、即ち、クラッド層の一部に可飽和吸収層
を導入した半導体レーザ素子が提案されている。図7の
半導体レーザは、GaAs基板102上に、n―AlG
aAsクラッド層103、n−第1可飽和吸収層10
4、n−AlGaAsクラッド層105、活性層10
6、p−AlGaAsクラッド層107、およびp−第
2可飽和吸収層108が順に積層されている。その上に
はp−AlGaAsクラッド層109がメサストライプ
状に形成され、このクラッド層とこの上に形成されたp
−GaAsキャップ層110の両側にはn−GaAs電
流ブロック層112が形成されている。さらに、p−G
aAsキャップ層110とn−GaAs電流ブロック層
112の上にp−GaAsコンタクト層111が形成さ
れており、p−GaAsコンタクト層111の上にはp
−電極113が形成され、基板側にはn−電極101が
形成されている。ここで、n−第1可飽和吸収層104
の組成n−AlxGa1-xAsにおける組成比xと層厚
(0.01乃至0.04μm)、および第2可飽和吸収
層108の組成p−AlxGa1-xAsの組成比xと層厚
(0.01乃至0.04μm)を適切に選ぶことによっ
て、自励発振による低戻り光雑音特性が得られ、また、
非点収差を小さくすることができるとしている。尚、第
2可飽和吸収層のキャリア濃度として4×1017〜2×
1018cm-3の記載がある。
【0007】さらに、1995年12月に刊行されたア
イ・イー・イー・イー・フォトニクス・テクノロジー・
レターズ第7巻、第12号、1406頁(IEEE P
hotonics technology lette
rs,vol7,No12,p1406,Decemb
er 1995)にはp−クラッド層の一部に可飽和吸
収層を設け、かつ、この可飽和吸収層を2×1018cm
ー3という高いキャリア濃度でp型にドーピングすること
により、AlGaInP赤色レーザで50℃まで自励発
振が得られることが報告されている。
【0008】また、第43回応用物理学会関係連合講演
会講演予稿集1024頁26a−C−10には、可飽和
吸収層のバンドギャップを発振波長に比べて小さくする
ことによって、より高温での自励発振が得られることが
報告されている。
【0009】さらに特開平9−129961号公報およ
び特開平9−199792号公報にも図7に類似の構造
が記載されており、特に特開平9−199792号公報
では、活性層および可飽和吸収層に歪を有する層を用い
ている。しかし、ここでの歪みは、活性層および可飽和
吸収層ともに圧縮歪みであり、特開平9−129961
号公報、特開平9−199792号公報の双方とも可飽
和吸収層のドーピングレベルとして、1×1018cmー3
以上が必要であるとしている。
【0010】さらに、特開平6−260716号公報に
も、図7に類似する構造の半導体レーザにおいて、活性
層および可飽和吸収層に歪量子井戸層を用いた例を示し
ている。しかし、ここでの歪みは活性層および可飽和吸
収層ともに圧縮歪みである。尚、特開平6−26071
6号公報には可飽和吸収層のキャリア濃度の記載はな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の従来
の半導体レーザでは、自励発振の発生のためには可飽和
吸収のキャリア寿命を低減する必要があるため、可飽和
吸収層を高い濃度でドーピングすることが避けられな
い。特開平6−196810号公報や特開平6−260
716号公報に記載の半導体レーザにおいても、自励発
振の発生のためには実際には2×1018cm 3程度の高
いキャリア濃度のドーピングが必要である。
【0012】本発明者の実験によれば、可飽和吸収層が
このような高い濃度でドーピングされていると、高い濃
度のZn等の不純物のために通電によりレーザ結晶が劣
化してしまう結果、半導体レーザの信頼性が低く、10
00時間の通電によっても劣化してしまう問題があっ
た。
【0013】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、長期に渡る駆動でも安定で信頼性の高
い性能の優れた自励発振レーザを提供することを目的と
する。さらに本発明は、注入電流、レーザの雰囲気温度
等の条件を変えることにより互いに波長の異なるTE偏
光とTM偏光を制御して出射することのできる半導体レ
ーザを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本出願の第1発明は、第
1導電型半導体基板の上に、第1導電型クラッド層、活
性層、第2導電型クラッド層を有する半導体レーザにお
いて、前記第1導電型クラッド層または第2導電型クラ
ッド層の一部に可飽和吸収層が設けられており、前記活
性層には基底準位がライトホールとなるような歪が加え
られており、前記可飽和吸収層には基底準位がヘビーホ
ールとなるような歪が加えられていることを特徴とする
半導体レーザに関する。
【0015】また、本出願の第2の発明は、第1導電型
半導体基板の上に、第1導電型クラッド層、活性層、第
2導電型クラッド層を有する半導体レーザにおいて、前
記第1導電型クラッド層または第2導電型クラッド層の
p型である方のクラッド層の一部に可飽和吸収層が設け
られており、前記活性層には基底準位がライトホールと
なるような歪が加えられており、前記可飽和吸収層には
基底準位がヘビーホールとなるような歪が加えられてお
り、レーザの雰囲気温度、およびレーザ注入電流を制御
することによって、TE偏光、TM偏光を制御すること
が可能な半導体レーザに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、第1の発明の半導体レーザ
の動作について図3を用いて説明する。本発明の半導体
レーザでは、活性層には基底準位がライトホールとなる
ような歪が加えられており、また、可飽和吸収層には基
底準位がヘビーホールとなるような歪が加えられてい
る。その結果、図3に示すように、本発明のレーザは
活性層でレーザ発振し、偏光はTM偏光となる。次に
に示すようにTM光を可飽和吸収層のライトホール準位
が吸収し、これが可飽和吸収体として機能する。さら
に、に示すように光吸収によって生じた可飽和吸収体
のライトホール準位上のホールは速やかにヘビーホール
準位に遷移するため、見かけ上の可飽和吸収体のキャリ
ア寿命は小さくなる。
【0017】従って、この構造では可飽和吸収層のキャ
リア寿命を小さくするために、可飽和吸収層のキャリア
濃度を従来例のように大きくする必要はなく、たとえば
キャリア濃度として5×1017cm-3あればよい。この
ため、自励発振するレーザにて、長時間駆動しても劣化
がなく、良好な信頼性を得ることができる。
【0018】さらに、自励発振をより低いしきい値電流
で得るためには、可飽和吸収量が最適になるように、活
性層におけるバンドギャップと可飽和吸収層におけるバ
ンドギャップの差を選ぶ。このとき、活性層の歪量はラ
イトホールが基底準位になるように選び、可飽和吸収層
の歪量はヘビーホールが基底準位となる範囲で選べば良
い。
【0019】さらに、可飽和吸収層におけるライトホー
ルのキャリア寿命を最適にするために、可飽和吸収層の
ヘビーホールとライトホールの準位間隔を最適にすべ
く、ヘビーホールが基底準位となる範囲内で可飽和吸収
層の歪量を選ぶ。
【0020】具体的には、活性層に、引っ張り歪みが加
わるように層を構成すると、ライトホールが基底準位に
なる。活性層は、多重量子井戸層で構成することが好ま
しく、この場合、量子井戸層に引っ張り歪みが加わるよ
うにする。引っ張り歪み量は、量子井戸層の層厚を勘案
して定めることができるが、一般的には量子井戸層の層
厚が薄い場合は歪み量を多くする。例えば、12nm厚
であれば、引っ張り歪み量としては、歪み量の絶対値が
0.1%以上、好ましくは0.2%以上とする。また、
例えば5nm厚であれば、引っ張り歪み量としては、歪
み量の絶対値が0.3%以上、好ましくは0.4%以上
とする。また、通常は2.0%以下である。
【0021】一方、可飽和吸収層に、圧縮歪みまたは絶
対値の小さいな引っ張り歪みが加わるように層を構成す
ると、ヘビーホールが基底準位となる。可飽和吸収層は
単層の量子井戸層または多重量子井戸層で構成されるこ
とが好ましく、この場合、量子井戸層に圧縮歪みが加わ
るようにする。圧縮歪み量としては、少なくとも0より
大きければよいが、絶対値の小さな引っ張り歪みが加わ
ってもよい。適当な歪み量は量子井戸層の層厚を勘案し
て決める。例えば4nm厚であれば、圧縮歪みまたは、
引っ張り歪みで歪み量の絶対値が0.35%以下、好ま
しくは圧縮歪み、10nm厚であれば、圧縮歪みまた
は、引っ張り歪みで歪み量の絶対値が0.1%以下、好
ましくは圧縮歪みとする。また、通常は圧縮歪みで歪み
量の絶対値は2.0%以下である。
【0022】第1の発明において、半導体基板の導電型
はn型、p型のどちらでも良い。また可飽和吸収層は、
第1導電型クラッド層または第2導電型クラッド層のど
ちらのクラッド層に設けてもよく、場合によっては両方
に設けても良い。可飽和吸収層の導電型は、可飽和吸収
層が設けられるクラッド層と同じ導電型である。半導体
基板としては、GaAsのような化合物半導体が用いら
れる。
【0023】また、第1の発明において、活性層、クラ
ッド層および可飽和和吸収層を構成する材料として、A
lGaInP、AlGaAs、AlGaInNまたはI
I−VI族結晶を用いることができる。これらの材料を
用いたレーザは、光ディスク用途で自励発振を生じさせ
る目的に広く用いることができる。
【0024】また、その他の材料でも例えば、モードロ
ックレーザ、双安定レーザなど、可飽和吸収層を活性層
に平行して、クラッド層中に挿入する場合には、同じ技
術を用いることができる。
【0025】次に第2の発明について説明する。本出願
の第2の発明の半導体レーザは、使用環境温度によりT
MモードまたはTEモードのいずれか一方の光を出射し
たり、注入電流を変えることによりTMモードだけ、ま
たはTMモードとTEモードの同時発振を制御したりす
ることができる。
【0026】第2の発明において、TMモードのレーザ
発振は活性層でのレーザ発振であり、TEモードの発振
は可飽和吸収層での発振である。従って、この発明で
は、可飽和吸収層においても発振が起こり得るように層
構造を形成する。即ち、電子が活性層から可飽和吸収層
にオーバーフローし得るような層構造、具体的には例え
ば活性層のウエル層数を少なくする、または、活性層の
引っ張り歪み量を大きくして、p側のクラッド層とのバ
ンドギャップを小さくするような層構造とすることが好
ましい。あるいは、可飽和吸収層の層厚を厚くして可飽
和吸収層内のレーザ光の強度分布分布が大きくなるよう
にしてもよい。例えば、可飽和吸収層を多重量子井戸層
として、その層数を増やしてもよい。また、可飽和吸収
層の近くに低いアルミ組成の層を用いた低い屈折率の層
を挿入することで可飽和吸収層内のレーザ光の強度分布
分布が大きくなるようにする事も可能である。あるい
は、可飽和吸収層の圧縮歪みの歪み量を大きくして、可
飽和吸収層のバンドギャップを活性層のバンドギャップ
より十分小さくとることで、フェルミレベルから定まる
可飽和吸収層のキャリア濃度を大きくすることも可能で
ある。
【0027】第2の発明において、活性層に加える歪
み、および可飽和吸収層に加える歪みはいずれも第1の
発明と同様に、活性層に基底準位がライトホールとなる
ように、また可飽和吸収層には基底準位がヘビーホール
となるようにする。
【0028】なお、第2の発明において、「可飽和吸収
層」とは、クラッド層中に設けた井戸層であり、活性層
と区別するために便宜上このように表現したが、必ずし
も可飽和吸収体として機能することを意味するものでは
ない。即ち、厳密な意味での可飽和吸収とは、その吸収
体における光強度が高くなったとき光吸収係数が小さく
なる現象をいうが、第2の発明では、「可飽和吸収層」
は光吸収体として常に機能するわけではなく、特に、T
Eモードのレーザ光が出射しているときには可飽和吸収
層のキャリア濃度はレーザ発振可能なほど、キャリア濃
度が高く、”可飽和吸収体”は発光体として機能する。
【0029】第2の発明において、半導体基板として
は、GaAsのような化合物半導体が用いられる。半導
体基板の導電型はn型、p型のどちらでも良いが、可飽
和吸収層はp型クラッド層に設ける。即ち、基板の導電
型がn型であれば、活性層を挟んで基板と反対側のクラ
ッド層であるp型のクラッド層に設ける。基板の導電型
がp型であれば、活性層より基板側のクラッド層である
p型のクラッド層に設ける。
【0030】活性層、クラッド層および可飽和和吸収層
に用いられる材料としては、AlGaAs、AlGaI
nNレーザ、またはII−VI族結晶に加え、通信用レ
ーザとして広く用いられているInGaAsPを用いる
こともできる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明する。
【0032】[実施例1]まず、第1の発明の1例を図
1を用いて説明する。実施例1の半導体レーザは、Ga
As基板1上に、GaAsバッファ層2、n−AlGa
InPクラッド層20、活性層4、p−AlGaInP
クラッド層31、およびp−可飽和吸収層35が順に積
層されている。その上に一部メサストライプ状のp−A
lGaInPクラッド層32が形成され、このp−Al
GaInPクラッド層32の上部、この上に形成したG
aInPヘテロバッファ層6、p−GaAsキャップ層
7の両側にn−GaAs電流ブロック層9が形成されて
いる。さらに、p−GaAsキャップ層7とn−GaA
s電流ブロック層9の上に、p−GaAsキャップ層8
が形成されている。n−電極10は、GaAs基板1の
裏側に形成され、p−電極11がp−GaAsキャップ
層8の上に形成されている。
【0033】実施例1の半導体レーザは、次のようにし
て作製した。まず、減圧MOVPE法によって、n−G
aAs基板1上に、GaAsバッファ層2、n−AlG
aInPクラッド層20、活性層4、p−AlGaIn
Pクラッド層31、p−可飽和吸収層35、p−AlG
aInPクラッド層32、GaInPヘテロバッファ層
6、GaAsキャップ層7を順次積層した。
【0034】次に、SiO2マスク(図示せず)を用い
たフォトリソグラフィ、および、エッチングにより、G
aAsキャップ層7、GaInPヘテロバッファ層6、
さらにp−AlGaInPクラッド層32の一部までを
メサストライプ化した。その後、前記SiO2マスクを
選択マスクとして、減圧MOVPE法を用いn−GaA
s電流ブロック層9を選択形成し、さらに、SiO2
スクを除去した後にp−GaAsキャップ層8を減圧M
OVPE法によって形成した。
【0035】最後に、n電極11を形成した後、n−G
aAs基板1を適当な厚さに研磨しp電極10を形成
し、図1に示すレーザ構造とした。
【0036】なお減圧MOVPE法の原料としては、ト
リメチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリメチ
ルインジウム、ホスフィン、アルシン、n型不純物とし
てジシラン、p型不純物としてジエチルジンクを用い
た。また、成長温度は660度、成長圧力は70Tor
r、V族原料供給量/III族原料供給量比は500と
した。
【0037】ここで、n−AlGaInPクラッド層2
0よりp−AlGaInPクラッド層32にいたる部分
のAl組成のプロファイルを図2に示す。この図におい
て、活性層4は、引っ張り歪み−0.5%を有する一層
あたりの厚さが12nmのGaInP量子井戸層40を
3層と、その間の一層あたりの厚さが4nm、Al組成
が0.5のAlGaInPバリア層41、および3層量
子井戸層の外側のn側、p側それぞれに位置した一層あ
たりの厚さ50nm、Al組成0.5のAlGaInP
ガイド層42よりなる。
【0038】n−AlGaInPクラッド層20の層厚
は1.2μm、Al組成は0.7、キャリア濃度はn型
5×1017cm-3であり、p−AlGaInPクラッド
層31のキャリア濃度はp型5×1017cm-3、Al組
成は0.7、層厚は80nmであり、p−AlGaIn
Pクラッド層32のキャリア濃度はp型5×1017cm
-3、Al組成は0.7、層厚は1.1μmである。p−
可飽和吸収層35は圧縮歪+0.5%を有する厚さ6n
mの層で、キャリア濃度はp型5×1017cm -3であ
る。
【0039】このようにして作製した半導体レーザは、
共振器長500μmのとき、最高10mWの光出力ま
で、自励発振が得られた。雰囲気温度25℃にて、この
レーザの閾値電流は70mA、波長は647nmであっ
た。このレーザを60℃の雰囲気温度にて5mWの光出
力で通電したが、5000時間の通電によっても大きな
劣化は見られなかった。
【0040】[実施例2]次に、第2の発明の1例を実
施例2に示す。実施例2の半導体レーザの基本的な構造
は実施例1(図1)と同一である。ただし、活性層4お
よび可飽和吸収層35の構造が異なる。n−AlGaI
nPクラッド層20からp−AlGaInPクラッド層
32にいたる部分のAl組成のプロファイルを図4に示
す。
【0041】この図において、活性層4は、引っ張り歪
み−0.5%を有する一層あたりの厚さが12nmのG
aInP量子井戸層40を2層と、その間の一層あたり
の厚さが4nm、Al組成が0.5のAlGaInPバ
リア層41、およびその2層量子井戸層の外側のn側、
p側それぞれに位置した一層あたりの厚さ50nm、A
l組成0.5のガイド層42よりなる。
【0042】可飽和吸収層35は、圧縮歪み+0.5%
を有する一層あたりの厚さが6nmのGaInP可飽和
吸収量子井戸層50を2層と、その間の厚さが4nm、
Al組成が0.7のAlGaInP可飽和吸収バリア層
51よりなる。
【0043】共振器長を500μmとしたこのレーザの
TE、TM偏光別の電流―電圧特性を図5に示す。この
図に示すように25℃においては、TEモードでレーザ
発振した。これは、面内圧縮歪を加えた可飽和吸収層で
レーザ発振していることを示している。
【0044】一方、温度を10℃に下げると、発振しき
い値電流64mAにてTMモードで発振した。これは、
面内引っ張り歪を加えた活性層で発振していることを示
している。しかし、電流を増加させると、発振しきい値
電流88mAにてTEモードでも発振した。これは、電
流を増加させると、活性層から電子がオーバーフローし
て可飽和吸収層に流入し、活性層および、可飽和吸収層
それぞれでのレーザ発振が可能となり得るためである。
【0045】10℃、100mAでの発振スペクトルを
図6に示す。この図に示すように、10℃、100mA
ではTEモード、TMモードが同時に発振している。
【0046】このように、第2の実施形態のレーザにお
いては、レーザの雰囲気温度、および注入電流を変える
ことによって、発振光の偏光を制御することができるこ
とがわかる。さらに条件によってはTE偏光およびTM
偏光を同一の導波路から同時に出射させることも可能で
ある。
【0047】なお、この例では、活性層と可飽和吸収層
のバンドギャップ構造に基づき、TE偏光の波長がTM
偏光の波長よりも長くなっている。
【0048】また、第2の発明では、必ずしも自励発振
が得られるとは限らないが、発振光の偏光を制御するこ
とができので種々の用途に応用することができる。
【0049】以上の実施例1および2において、p−A
lGaInPクラッド層32の上部のみをメサストライ
プに加工したが、p−AlGaInPクラッド層32の
全部をメサストライプ状に加工し、n−GaAs電流ブ
ロック層9が可飽和吸収層35に接触するようにしても
よい。
【0050】また本発明の半導体レーザを構成する各半
導体層の厚さ、組成、活性層の歪み量、および可飽和吸
収層の歪み量は、上記の実施例に限定されるものではな
く、レーザ発振ができる範囲で適宜変更することができ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
可飽和吸収層に高濃度でドーピングする必要がなく、可
飽和吸収層のキャリア寿命を小さくできるので、長期に
渡り良好な信頼性の自励発振レーザを提供することがで
きる。さらに、素子構造によっては、注入電流、レーザ
の雰囲気温度を変えることにより、互いに波長の異なる
TE偏光、TM偏光を制御して出射することができる半
導体レーザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための断面
図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を説明するための組成
プロファイル図である。
【図3】本発明の半導体レーザの原理を説明するのバン
ドギャップバンド図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明するための組成
プロファイルの図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の注入電流とレーザ出
力の関係を温度別に示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態で示した半導体レーザ
の発振スペクトルの一例を示す図である。
【図7】従来の自励発振半導体レーザの構造を説明する
ための断面図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板 2 GaAsバッファ層 4 活性層 6 GaInPヘテロバッファ層 7、8 GaAsキャップ層 9 n−GaAs電流ブロック層 10 n−電極 11 p−電極 20 n−AlGaInPクラッド層 31、32 p−AlGaInPクラッド層 35 p−可飽和吸収層 40 量子井戸層 41 バリア層 42 光ガイド層 50 可飽和吸収量子井戸層 51 可飽和吸収バリア層 101 n−電極 102 GaAs基板 103 n―AlGaAsクラッド層 104 n−第1可飽和吸収層 105 n−AlGaAsクラッド層 106 活性層 107 p−AlGaAsクラッド層 108 p−第2可飽和吸収層 109 p−AlGaAsクラッド層 110 p−GaAsキャップ層 111 p−GaAsコンタクト層 112 n−GaAs電流ブロック層 113 p−電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−297490(JP,A) 国際公開96/37024(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型半導体基板の上に、第1導電
    型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層を有する
    半導体レーザにおいて、 前記第1導電型クラッド層または第2導電型クラッド層
    の一部に可飽和吸収層が設けられており、前記活性層に
    は基底準位がライトホールとなるような歪が加えられて
    おり、前記可飽和吸収層には基底準位がヘビーホールと
    なるような歪が加えられていることを特徴とする半導体
    レーザ。
  2. 【請求項2】 前記可飽和吸収層は、前記活性層からの
    TM偏光の発振光を可飽和吸収層のライトホール準位が
    吸収することにより可飽和吸収体として機能し、このラ
    イトホール準位に生じたホールが速やかにヘビーホール
    準位に遷移することで、自励発振動作を行うことを特徴
    とする請求項1記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記活性層には引っ張り歪みが加えら
    れ、前記可飽和吸収層には圧縮歪が加えられていること
    を特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記活性層が、量子井戸層を含み、この
    量子井戸層に引っ張り歪が加えられていることを特徴と
    する請求項3に記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記可飽和吸収層が、単層の量子井戸層
    を含み、この量子井戸層に圧縮歪が加えられていること
    を特徴とする請求項4記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記可飽和吸収層が、複数の量子井戸層
    を含み、この量子井戸層に圧縮歪が加えられていること
    を特徴とする請求項4記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記活性層、クラッド層および可飽和和
    吸収層を構成する材料が、AlGaInP、AlGaA
    s、AlGaInN、およびII−VI族結晶からなる
    群より選ばれる化合物半導体からなることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載の半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 第1導電型半導体基板の上に、第1導電
    型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層を有する
    半導体レーザにおいて、 前記第1導電型クラッド層または第2導電型クラッド層
    のうちp型である方のクラッド層の一部に可飽和吸収層
    が設けられており、前記活性層には基底準位がライトホ
    ールとなるような歪が加えられており、前記可飽和吸収
    層には基底準位がヘビーホールとなるような歪が加えら
    れており、レーザの雰囲気温度、およびレーザ注入電流
    を制御することによって、TE偏光、TM偏光を制御す
    ることが可能な半導体レーザ。
  9. 【請求項9】 前記活性層が量子井戸層を含み、この量
    子井戸層に引っ張り歪が加えられ、前記可飽和吸収層が
    単数または複数の量子井戸層を含み、この量子井戸層に
    圧縮歪が加えられていることを特徴とする請求項記載
    の半導体レーザ。
  10. 【請求項10】 前記活性層、クラッド層および可飽和
    和吸収層を構成する材料が、AlGaInP、AlGa
    As、AlGaInN、II−VI族結晶、およびIn
    GaAsPからなる群より選ばれる化合物半導体からな
    ることを特徴とする請求項8または9に記載の半導体レ
    ーザ。
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