JP3572157B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクに用いられる低雑音特性を有する自励発振型の半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクに用いられる半導体レーザ素子は、低雑音化のために自励発振型が用いられる。活性層に多重量子井戸構造を用い、また、電流狭窄兼光吸収層で光吸収を行わせることにより、低電流駆動を達成した自励発振型の半導体レーザ素子が田中等により特開平2−72688号公報に記載されている。
【0003】
図11に、特開平2−72688号公報に記載の半導体レーザ素子を示す。n−GaAs基板301上に、n−GaAsバッファ層302、n−AlxGa1-xAsクラッド層303、多重量子井戸(MQW:Multi QuantumWell)活性層304、p−AlxGa1-xAsクラッド層305、p−GaAs層306を成長し、エッチングによるリッジストライプ307形成後に、リッジストライプ307の両側に選択的にn−GaAs電流狭窄兼光吸収層308の成長を行い、全面にp−GaAs埋め込み層309を成長する。基板側と成長層表面に電極310、311を形成する。従来では動作電流35〜40mAであり、通常のバルク活性層からなるダブルヘテロ(DH)構造の半導体レーザ素子に比べて、動作電流を30〜40%低減できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平2−72688号公報に記載の半導体レーザ素子では、MQW活性層の全層厚を規定することにより、低雑音化を達成している。
【0005】
しかし、従来の半導体レーザ素子では、MQW活性層の量子井戸層の層厚合計を規定していないために、次に述べる問題があった。
【0006】
特開平2−72688号公報に記載の半導体レーザ素子では、量子井戸層の層厚の合計は360Åから440Åである。このとき、低雑音化を達成するにはリッジストライプ外部の量子井戸層の可飽和吸収量を大きくするために、リッジストライプ外部に発光分布を十分に拡げて、リッジストライプ外部のMQW活性層に光をしみ出させる必要がある。しかし、発光分布を拡げるために、リッジストライプ外部のMQW活性層における光の波面が曲がり、MQW活性層に平行方向の放射光のビームウエストがレーザ端面から離れ、一方、垂直方向の放射光のビームウエストはレーザ端面にあるので半導体レーザ素子の非点隔差が増大するという問題があった。
【0007】
また、リッジストライプ外部に発光分布が拡がることによって、MQW活性層に平行方向の放射角が狭くなって、放射光の楕円率(=活性層に垂直方向放射角/活性層に平行方向放射角)が増大するという問題があった。
【0008】
半導体レーザ素子の非点隔差増大あるいは放射光の楕円率増大による光学特性の悪化は、半導体レーザ素子を光ディスクの光源に用いる場合に、半導体レーザ素子からの放射光をレンズで微小スポットに集光することを困難にしたり、放射光のレンズへの結合効率低下により光出力の有効利用を困難にする問題があった。
【0009】
また、従来の半導体レーザ素子では、電流光閉じ込め手段に電流狭窄兼光吸収層を用いる。この光閉じ込め手段による光吸収とリッジストライプ外部のMQW活性層における量子井戸層の可飽和吸収によって、半導体レーザ素子内部の光吸収損失が過剰に増大することで、動作電流が増大してしまうという問題があった。
【0010】
従って、本発明では動作電流、動作電圧を増大させることなく、また、非点隔差、放射光の楕円率を増大させることのない低雑音特性を有する半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のMQW活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子は、半導体基板上に、第1導電型のクラッド層と、活性層と、第2導電型のクラッド層を有し、前記第2導電型のクラッド層はストライプ形状を有し、前記ストライプ形状の両側部に電流光閉じ込め手段を有し、前記活性層は量子井戸層と量子障壁層とを交互に複数積層した多重量子井戸活性層からからなり、前記ストライプ外部に相当する前記多重量子井戸活性層が可飽和吸収部となる自励発振型の半導体レーザ素子において、前記量子井戸層の層厚の合計が700Å以上1000Å以下であり、前記活性層は、前記第1導電型のクラッド層側に下部量子障壁層を備え、前記第2導電型のクラッド層側に上部量子障壁層を備え、前記上部量子障壁層あるいは前記下部量子障壁層の少なくとも一方が他の前記量子障壁層よりも禁制帯幅が小さいことを特徴とする。
【0012】
また、前記量子井戸層の層厚が60Å以上120Å以下であり、前記量子障壁層の層厚が30Å以上80Å以下であることを特徴とする。
【0013】
特に、前記電流光閉じ込め手段に、前記活性層よりも禁制帯幅の大きい第1導電型の電流光閉じ込め層を有することが好ましい。
【0014】
また、前記活性層は、前記第1導電型のクラッド層側に下部量子障壁層を備え、前記第2導電型のクラッド層側に上部量子障壁層を備え、前記上部量子障壁層あるいは前記下部量子障壁層の少なくとも一方が他の前記量子障壁層よりも禁制帯幅が小さいことより低雑音、低動作電圧電流の半導体レーザ素子を得ることができる。
【0015】
また、前記ストライプ形状の層厚方向の等価屈折率n1と、前記電流光閉じ込め手段の層厚方向の等価屈折率n2との差Δn(=n1−n2)が、3×10-3≦Δn≦7×10-3とすることが好ましい。
また、前記下部量子障壁層又は前記上部量子障壁層の禁制帯幅が、前記量子障壁層の禁制帯幅よりも10%〜30%低減していることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
この発明の実施の形態を説明する前に、まずこの発明をより理解し易くするために参考例を説明する。
図1に本発明の参考例の半導体レーザ素子の断面図を示す。
【0017】
n−GaAs基板101上に、n−GaAsバッファ層102(層厚0.5μm)、n−Al0.45Ga0.55As第1クラッド層103(層厚1.3μm)、n−Al0.5Ga0.5As低屈折率層104(層厚0.2μm)、ノンドープのMQW活性層105、p−Al0.5Ga0.5As第2クラッド層106(層厚0.15μm)、p−GaAsエッチング停止層107(層厚0.003μm)、p−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層108(層厚1.2μm)、p−GaAsキャップ層109(層厚0.8μm)を順次、有機金属気相成長法(MOCVD法)により成長する。
【0018】
ここで、MQW活性層は、Al0.33Ga0.67As下部量子障壁層120(層厚50Å)を成長させ、その上にAl0.13Ga0.87As量子井戸層121(層厚100Å)とAl0.33Ga0.67As量子障壁層122(層厚50Å)を量子井戸層を8層とし、量子障壁層を7層として交互に繰り返し成長させ、さらにその上にAl0.33Ga0.67As上部量子障壁層123(層厚50Å)により構成する。本参考例ではMQW活性層の全層厚は1250Åであり、量子井戸層の層厚の合計は800Åである。上記に説明した構造でのAl組成比の分布を図2に示す。
【0019】
p−GaAsキャップ層109表面にフォトレジストのストライプマスクを形成し、選択性エッチングによりp−GaAsエッチング停止層107表面でエッチングを停止させて、底部のストライプ幅2.2μmのリッジストライプ114を形成する。リッジストライプ114の両側を埋め込むように、n−Al0.7Ga0.3As第1電流光閉じ込め層110(層厚0.6μm)、n−GaAs第2電流光閉じ込め層111(層厚0.6μm)、p−GaAs平坦化層112(層厚0.7μm)を順次、MOCVD法により成長する。p−GaAsキャップ層109、p−GaAs平坦化層112を埋め込むように、p−GaAsコンタクト層113(層厚3μm)をMOCVD法により成長する。n−GaAs基板101表面とp−GaAsコンタクト層113表面にn型電極115とp型電極116を形成する。共振器長を100〜250μmとするように調整して共振器端面を形成し、共振器端面の光出射側の端面反射率が20〜50%、反対側の端面反射率が50%〜95%となるように共振器端面にAl23膜とSi膜を形成する。
【0020】
本参考例の半導体レーザ素子では、n型電極115とp型電極116の間に順方向電圧を印加した場合、発振波長0.78μm、発振閾値電流14mA、電流−光出力特性のスロープ効率0.75W/A、光出力3mWの動作電流は18mAであった。本参考例の半導体レーザ素子は、MQW活性層105の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する第1電流光閉じ込め層110を用いるので、ストライプ外部にあたる活性層によって自励発振できる程度まで光吸収が行われ、第1電流光閉じ込め層110における半導体レーザ素子による発光の光吸収を抑制することができる。
【0021】
活性層厚が800Åとして量子井戸層の膜厚の合計と等しくしたバルク活性層を有する自励発振型半導体レーザ素子の動作電流は26mAであるので、本参考例の量子井戸活性層を有した半導体レーザ素子では動作電流を約30%以上低減することができた。
【0022】
また、動作電流低減に伴い800Åのバルク活性層を有する半導体レーザ素子に比べて、本参考例の半導体レーザ素子は動作電圧を約5%以上低減することができた。
【0023】
雰囲気温度70℃、一定光出力5mWにおける動作電流の変化を調べると、動作電流が初期値より20%増大するまでの走行時間は10000時間以上である。
【0024】
また、本参考例の半導体レーザ素子の放射角の非点隔差は13μmであり、バルク活性層を有する自励発振型半導体レーザ素子とほぼ同等の値が得られた。
【0025】
さらに、本参考例の半導体レーザ素子においてMQW活性層に平行方向の放射角は12°、垂直方向の放射角は38°であり、放射光の楕円率においてもバルク活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子と同等の値が得られた。
【0026】
本参考例の半導体レーザ素子では、活性層105とn−第1クラッド層103の間にn−第1クラッド層103より屈折率の小さなn−低屈折率層104を設けているのは、MQW活性層の層厚の合計の厚膜化による垂直方向の放射角増大を抑制して、膜厚800Åのバルク活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子と同等の垂直放射角を得るためである。これによって、n−低屈折率層104が無い場合に比べて2°程度垂直放射角増大を抑えることができる。なお、n−低屈折率層104は、必ずしも必要とするものではない。
【0027】
本参考例の半導体レーザ素子の戻り光雑音を測定すると、戻り光量0.001%から15%まで相対雑音強度−110dB/Hz以下の低雑音特性が得られた。
【0028】
次に、MQW活性層の量子井戸層の層厚の合計を変化させた場合の非点隔差の変化と、活性層に平行放射角の変化をそれそれ図3、4に示す。このとき、自励発振による低雑音特性が得られるように、リッジストライプ内部の層厚方向の等価屈折率n1と、リッジストライプ両側部の層厚方向の等価屈折率n2との差Δn(=n1−n2)の調整を行っている。図3より量子井戸層の膜厚合計が小さくなると、非点隔差が増大することがわかる。層厚合計が700Åより小さい場合には、非点隔差は20μmより大きくなる。これは、層厚合計が小さい場合には、自励発振を起こすためには等価屈折率の差△nを小さくして、リッジストライプ外部への発分布光の拡がりを増大する必要があり、そのために非点隔差増大が生じることによる。
【0029】
図4より量子井戸層厚の合計が小さくなると、水平放射角が減少することがわかる。層厚合計が700Åより小さい場合には、水平放射角は9°より小さくなる。これは、層厚合計が小さい場合には、自励発振を起こすために等価屈折率の差△nを小さくして、ストライプ外部への発光分布の拡がりを増大する必要があり、そのために平行放射角低減が生じることによる。
【0030】
非点隔差が20μm以上に増大すると、放射光をレンズで集光するとき、集光スポットサイズの増大を生じ、光ディスク等のシステムで使用することが困難となる。また、平行放射角が9°以下に低減すると、放射光の楕円率(=垂直放射角/平行放射角)が増大するために、レンズとの結合効率が低下して、光ディスク等のシステムで使用することが困難となる。このように、半導体レーザ素子の光学特性悪化を防止するには、MQW活性層の量子井戸層の層厚合計を700Åより大きくすることが重要となる。
【0031】
さらに、量子井戸層の層厚合計を変化した場合の光出力3mWにおける動作電流の変化、及び動作電圧の変化を各々図5、6に示す。層厚合計が1000Åより大きくなると、動作電流は25mAより増大する。これは層厚合計の増大に伴い、半導体レーザ素子発振に必要な電流値が増大することによる。また、層厚合計が1000Åより大きくなると、動作電圧は2.0V以上に増大する。これは、MQW活性層の量子井戸層へのキャリヤ注入が不均一になることに伴う、立ち上がり電圧の増大と素子抵抗の増大によるものである。このように、動作電流の増大と動作電圧の増大を防止するには、量子井戸層の層厚合計は1000Åより小さくする必要がある。
【0032】
また、量子井戸層の厚さが60Åより薄くなると、井戸数が多くなりすぎるために、キャリヤの注入が均一に行われなくなって、動作電圧の増大を引き起こす。これに対して、量子井戸層の厚さが120Åより厚くなると、量子効果が低下するために動作電流の低減が困難となる。そこで、量子井戸層は60Å以上120Å以下が適当である。
【0033】
量子障壁層の厚さが30Åより薄くなると、成長層の界面だれの影響を受けて、設計通りの量子障壁層を得るのが困難となる。これに対して、量子障壁層の厚さが80Åより厚くなると、量子井戸間のキャリヤ注入に支障をきたし、全ての量子井戸層に均一にキャリヤを注入するのが困難となる。そこで、量子障壁層は30Å以上80Å以下が適当である。
【0034】
ここで、量子井戸活性層の全量子井戸層にキャリヤを均一に注入して動作電流の増大となる素子抵抗の増大を抑制するためには、量子井戸活性層のp型不純物濃度Npを5×1016cm-3≦Np≦2×1018cm-3に設定することにより、キャリアの不均一注入により生じる動作電圧の増大を抑制できる。Npが2×1018cm-3より大きくなると積層膜を形成中にp型不純物の拡散が増大して、MQW活性層中の量子井戸層に混晶化が生じ、MQW活性層の量子効果が低減し、動作電流が増大する問題がある。Npが5×1016cm-3より小さくなると不純物を添加する効果がほとんどなくなり、動作電圧が増大する。
【0035】
さらに、本参考例の半導体レーザ素子では、電流光閉じ込め層で光吸収をしないため、リッジストライプ内部と外部との等価屈折率差△nを4×10-3以上の比較的大きな値として、リッジストライプ外部への発光分布の広がりを抑制できる。リッジストライプの内部と外部の層厚方向の等価屈折率差(Δn(=n1−n2))が小さくなると、リッジストライプ外部の活性層の過剰な可飽和吸収が起こるために、光学特性の悪化と動作電流の増大が生じる。等価屈折率差Δnが7×10-3より大きくなると、リッジストライプ外部の活性層の可飽和吸収が少なくなるために、自励発振が起こりにくくなって、雑音が増大する。そこで、屈折率差は、4×10-3≦Δn≦7×10-3に設定するのが適当である。
【0036】
また、リッジストライプの底部の幅(Ws)が狭くなると、リッジストライプ外部の活性層の過剰な可飽和吸収が起こるために、光学特性の悪化と動作電流の増大が生じる。リッジストライプ幅が広くなると、リッジストライプ外部の活性層の可飽和吸収が少なくなるために、自励発振が起こりにくくなって、雑音が増大する。そこで、リッジストライプ幅は、1μm≦Ws≦4μmに設定するのが適当である。
【0037】
本参考例の半導体レーザ素子は、自励発振型の実屈折率導波型半導体レーザ素子であるために、ストライプ外部のMQW活性層における可飽和吸収効果を用いている。バルク活性層を有する通常の半導体レーザ素子では、TM偏光モードの方がTE偏光モードよりも可飽和吸収の影響を受けにくいために、通常の発振モードであるTE偏光モードにTM偏光モードが混在して発振する現象が見られた。これに対して、本参考例の素子では、活性層に量子井戸構造を用いるために、半導体レーザ素子発振利得のTE偏光モード増大効果を用いることができ、十分にモード選択比の高いTE偏光モードによる単一モード発振が得られる。
【0038】
本参考例の素子のように偏光モードが単一の半導体レーザ素子はディスクの光源に用いるのに適している。
【0039】
(実施の形態
実施の形態として、図1に記載の半導体レーザ素子の構造と同一であり、MQW活性層のみ異なる半導体レーザ素子のAl組成比の分布を図7に示す。
【0040】
AlxGa1-xAs下部量子障壁層130(層厚50Å)を成長させ、その上にAl0.13Ga0.87As量子井戸層131(層厚100Å)とAl0.33Ga0.67As量子障壁層132(層厚50Å)を交互に繰り返し成長させて量子井戸層を8層と量子障壁層を7層形成し、さらにその上にAlxGa1-xAs上部量子障壁層133(層厚50Å)を成長させることにより構成されている。本実施の形態もMQW活性層の全層厚は1250Åであり、量子井戸層の層厚の合計は800Åとした。
【0041】
図8、9に、下部及び上部量子障壁層のAl組成比に対する半導体レーザの相対雑音強度あるいは動作電流との相関を示す。
【0042】
相対雑音強度は半導体レーザ素子を光ディスクで使用した場合の光ディスクからの戻り光による雑音であり、実用上少なくとも相対雑音強度−110dB/Hz以下、望ましくは−120dB/Hz以下が要求されている。図8によると、下部及び上部量子障壁層のAl組成比が量子障壁層のAl組成比より小さくなると相対雑音強度は減少し、図9によると動作電流が増大する。量子障壁層のAl組成比が0.33の場合には0.23≦x≦0.3のAl組成比とした下部、上部量子障壁層を有する半導体レーザ素子の特性が良好であるようにAl組成比を他の量子障壁層より10%〜30%低減させた下部及び上部量子障壁層とすることが好ましい。この理由は、下部及び上部量子障壁層のAl組成比が量子障壁層のAl組成比よりも小さい場合には、下部及び上部量子障壁層の禁制帯幅が小さくなるため、下部及び上部量子障壁層の光吸収が増大することで活性層全体での可飽和吸収量が増大し、従って自励発振が強くなり相対雑音強度が減少する。本実施の形態のように、リッジストライプ外部の可飽和吸収量を増大するには、下部及び上部量子障壁層のAl組成比を調整し、下部及び上部量子障壁層の禁制帯幅を他の量子障壁層より小さくすることで行える。
【0043】
本実施の形態では下部及び上部量子障壁層のAl組成比の両方とも量子障壁層132のAl組成比が小さい場合について述べたが、片方だけ小さい場合にも同様の効果が得られる。
【0044】
(実施の形態
図10に実施の形態のGaInP系の半導体レーザ素子の断面図を示す。
【0045】
n−GaAs基板201上に、n−Ga0.5In0.5Pバッファ層202、n−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1クラッド層203(層厚1.5μm)、p−ドープ多重量子井戸活性層204、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2クラッド層205(層厚1.5μm)、p−Ga0.5In0.5Pキャップ層206(層厚0.3μm)を順次、分子線エピタキシャル成長法(MBE法)により成長し、エッチングによりp−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2クラッド層の平坦部の残し厚さが0.3μmとなるように、エッチングを停止させて、幅2.5μmのリッジストライプ207を形成する。MQW活性層は、図示していないが、(Al0.5Ga0.50.5In0.5P下部量子障壁層(層厚200Å)、GaInP量子井戸層(層厚80Å)と(Al0.5Ga0.50.5In0.5P量子障壁層(層厚40Å)を交互に繰り返し成長させて量子井戸層9層と量子障壁層8層を積層し、(Al0.5Ga0.50.5In0.5P上部量子障壁層(層厚200Å)をその上に積層することにより構成されている。本実施の形態ではMQW活性層の全層厚は1440Åであり、量子井戸層の層厚合計は720Å、量子井戸の層数は9層である。
【0046】
リッジストライプ207の外側を埋め込むように、n−Al0.5Ga0.5P第1電流光閉じ込め層208(層厚0.3μm)、n−GaAs第2電流光閉じ込め層209(層厚1.2μm)を順次、MBE法により成長する。p−Ga0.5In0.5Pキャップ層206とn−GaAs第2電流光閉じ込め層209の表面にp−GaAsコンタクト層210をMBE法により成長する。
【0047】
n−GaAs基板201表面とp−GaAsコンタクト層210表面にn型電極211とp型電極212を形成する。へき開法により共振器長を300〜700μmに調整して共振器端面を形成し、共振器端面の光出射側端面の反射率が30〜50%、後側の反射率が70〜95%となるようにAl23膜とSi膜を形成する。
【0048】
本実施の形態の素子で、n型電極211とp型電極212の間に順方向電圧を印加した場合、発振波長0.65μm、発振閾値電流20mA、電流−光出力特性のスロープ効率0.75W/A、光出力3mWの動作電流は24mAである。本実施の形態の素子は、第1電流光閉じ込め層に活性層の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有しする自励発振型の半導体レーザ素子であり、過剰な光吸収がないため低動作電流で駆動できる。
【0049】
膜厚720Åのバルク活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子の動作電流は34mAであるので、本実施の形態の半導体レーザ素子では動作電流を約30%以上低減することが可能となった。
【0050】
また、動作電流低減に伴い膜厚720Åのバルク活性層を有する半導体レーザ素子に比べて、本実施の形態の素子は動作電圧を約5%以上低減することができた。雰囲気温度70℃、一定光出力5mWにおける動作電流の変化を調べると、動作電流が初期値より20%増大するまでの走行時間は5000時間以上である。
【0051】
また、本実施の形態の素子の放射角の非点隔差は15μmであり、バルク活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子とほぼ同等の値が得られた。さらに、本半導体レーザ素子においてMQW活性層に平行方向の放射角は10度、垂直方向の放射角は30度であり、放射光の楕円率においてもバルク活性層の活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子と同等の値が得られた。
【0052】
本実施の形態の半導体レーザ素子の戻り光雑音を測定すると、戻り光量0.001%から15%まで相対雑音強度−110dB/Hz以下の低雑音特性が得られた。
【0053】
このように、本実施の形態の半導体レーザ素子は光学特性の良好な低電流低電圧駆動の自励発振型の半導体レーザ素子を実現できた。
【0054】
なお、本発明は、以上述べた実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態以外の層厚、Al組成比、キャリア濃度においても、本発明の効果を有する限り適用可能である。実施の形態では、電流光閉じ込め構造について、第2クラッド層近傍にリッジストライプを有する構造について述べたが、それ以外に第2クラッド層近傍に溝埋め込みを有する構造においても、本発明の効果を有する限り適用可能である。
【0055】
また、成長法については、MOCVD法及びMBE法以外に、LPE法、ガスソースMBE法、ALE(原子線エピタキシー)法においても、本発明の効果を有する限り適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
上記課題を解決するために、本発明のMQW活性層を有する自励発振型の半導体レーザ素子は、MQW活性層の量子井戸層の層厚の合計を700Åより大きくすることにより、ストライプ外部の量子井戸層の可飽和吸収効果を増大させて、ストライプ外部への発光分布の拡がりの増大を抑制することができる。その結果、半導体レーザ素子の放射光の非点隔差増大及び楕円率増大を抑制することができる。また、量子井戸層の層厚の合計を1000Åより小さくすることにより、ストライプ外部の量子井戸層の可飽和吸収効果の増大に伴う動作電流増大を抑制でき、全量子井戸層へのキャリヤ注入不均一に伴う動作電圧の増大を抑制できる。
【0057】
以上より、本発明の半導体レーザ素子は、量子井戸層の層厚の合計を700Åより大きくし、1000Åより小さくすることにより、非点隔差増大及び楕円率増大に伴う光学特性悪化を防止でき、さらに動作電流増大及び動作電圧増大を抑制でき、光学特性の良好な低電流低電圧駆動の自励発振型MQW半導体レーザ素子を実現することができる。
【0058】
また、本発明の半導体レーザ素子は、電流光閉じ込め手段に活性層より禁制帯幅が大きく、半導体レーザ素子光の吸収の少ない電流光閉じ込め層を用いる。それにより、光吸収はストライプ外部の可飽和吸収が主体となるので、MQW活性層における利得飽和が起こりにくくなり、動作電流の増大を抑制でき、低電流動作が実現できる。
【0059】
また、本発明の下部及び上部量子井戸層を他の量子障壁層の禁制帯よりも小さくすることによって、活性層における光吸収効率を高め、更に自励発振の強度を強くして低雑音効果を実現することができる。
【0060】
また、ストライプ構造の外部と内部との等価屈折率差を所定の値とすることによって、さらに光学特性の改善と低雑音の両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例の半導体レーザ素子を示す図である。
【図2】本発明の参考例の半導体レーザ素子の活性層のAl組成を示す図である。
【図3】非点隔差の量子井戸層の層厚合計に対する関係を示す図である。
【図4】平行放射角の量子井戸層の層厚合計に対する関係を示す図である。
【図5】動作電流の量子井戸層の層厚合計に対する関係を示す図である。
【図6】動作電圧の量子井戸層の層厚合計に対する関係を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の半導体レーザ素子を示す図である。
【図8】相対雑音強度のAl組成比に対する関係を示す図である。
【図9】動作電流のAl組成比に対する関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態の半導体レーザ素子の活性層のAl組成を示す図である。
【図11】従来の半導体レーザ素子を示す図である。
【符号の説明】
101、201 n−GaAs基板
102、202 n−GaAsバッファ層
103、203 n−第1クラッド層
104 n−低屈折率層
105、204 MQW活性層
106、205 p−第2クラッド層
107 p−GaAsエッチング停止層
108 p−第3クラッド層
109、206 p−キャップ層
114、207 リッジストライプ
110、208 n−第1電流光閉じ込め層
111、209 n−第2電流光閉じ込め層
112 p−平坦化層
113、210 p−コンタクト層
115、116、211、212 電極

Claims (5)

  1. 半導体基板上に、第1導電型のクラッド層と、活性層と、第2導電型のクラッド層を有し、前記第2導電型のクラッド層はストライプ形状を有し、前記ストライプ形状の両側部に電流光閉じ込め手段を有し、前記活性層は量子井戸層と量子障壁層とを交互に複数積層した多重量子井戸活性層からからなり、前記ストライプ外部に相当する前記多重量子井戸活性層が可飽和吸収部となる自励発振型の半導体レーザ素子において、
    前記量子井戸層の層厚の合計が700Å以上1000Å以下であり、
    前記活性層は、前記第1導電型のクラッド層側に下部量子障壁層を備え、前記第2導電型のクラッド層側に上部量子障壁層を備え、
    前記上部量子障壁層あるいは前記下部量子障壁層の少なくとも一方が他の前記量子障壁層よりも禁制帯幅が小さいことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記量子井戸層の層厚が60Å以上120Å以下であり、
    前記量子障壁層の層厚が30Å以上80Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記電流光閉じ込め手段は、前記活性層よりも禁制帯幅の大きい第1導電型の電流光閉じ込め層を有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記ストライプ形状の層厚方向の等価屈折率n1と、前記電流光閉じ込め手段の層厚方向の等価屈折率n2との差Δn(=n1−n2)が、3×10-3≦Δn≦7×10-3であることを特徴とする請求項1乃至に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記下部量子障壁層又は前記上部量子障壁層の禁制帯幅が、前記量子障壁層の禁制帯幅よりも10%〜30%低減していることを特徴とする請求項1乃至4に記載の半導体レーザ素子。
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