JP2001251015A - 半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子及びその製造方法

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JP2001251015A JP2000059876A JP2000059876A JP2001251015A JP 2001251015 A JP2001251015 A JP 2001251015A JP 2000059876 A JP2000059876 A JP 2000059876A JP 2000059876 A JP2000059876 A JP 2000059876A JP 2001251015 A JP2001251015 A JP 2001251015A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 窓領域を形成する熱アニールにおいて、Zn
の拡散による動作電流及び動作電圧の増大を防止する。 【解決手段】 半導体基板上100に、n型クラッド層
101、量子井戸活性層102、p型クラッド層10
3、p型キャップ層107を有し、各半導体層に垂直な
共振器端面を有し、共振器端面付近における活性層のバ
ンドギャップが共振器内部の活性層のバンドギャップよ
りも大きい窓領域を有し、窓領域のp型クラッド層10
3Wには第1ドーパントと第1ドーパントより拡散定数
の大きい第2ドーパントとが混在し、窓領域以外の活性
領域のp型クラッド層103Aには第1ドーパントが第
2ドーパントより高濃度に存在する半導体レーザ素子。
また、窓領域のp型キャップ層107Wにおける第2ド
ーパントの濃度が第1ドーパントの濃度より高く配設す
る半導体レーザ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ素子
に関し、特に活性領域における不純物分布を制御した半
導体レーザ素子の構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク用高出力レーザの光出射端面
の劣化を抑制して、高出力で高信頼性を達成するため
に、端面及びその付近にレーザ光の吸収のない窓構造を
設けた端面窓型レーザの開発が盛んに行われている。従
来の端面窓型レーザの素子構造は、IEEE J.Qu
antum Electron.,vol.29,p
p.1874−1879,1993に開示されている。
【0003】図16に従来の素子構造の斜視図を示す。
また、図17は図16のG−G’における断面図であ
り、図18は従来の半導体レーザ素子のリッジストライ
プ7内部のp型(以下、p−と標記)上クラッド層6表
面からn型(以下、n−と標記)クラッド層2へのp型
不純物(Zn)の濃度分布を示す図である。
【0004】図16において、n−GaAs基板1上に
n−AlGaInP下クラッド層2、アンドープガイド
層3、DQW(Double Quantum Wel
l)活性層4、MQB(Multi Quantum
Barrier)層5、p−AlGaInP上クラッド
層6を成長する。その後、光出射端面及びその付近に相
当する成長層表面に、ZnOストライプ膜を選択的に形
成し、それ以外の表面にはSiN膜を形成する。N2雰
囲気、600℃で3時間の熱アニールを行うと、ZnO
からZnが結晶中に拡散し、活性層のバンドギャップが
増大する。ZnO膜、SiN膜を除去し、ZnOストラ
イプ方向に垂直方向にリッジストライプ7を形成し、そ
のリッジストライプをn−GaAs電流阻止層8で埋め
込み成長を行う。
【0005】同時に、Zn拡散によりバンドギャップが
増大した領域のリッジ上部を覆うように電流阻止層8を
形成する。その後、成長層表面にp−GaAsコンタク
ト層9を形成する。基板側と成長層側に電極10、11
を形成し、Zn拡散によりバンドギャップが増大した活
性層が出射端面になるように、劈開を行う。光出射端面
及びその付近に活性層のバンドギャップが増大した窓領
域21と共振器内部の活性領域22が形成される。ここ
で、n−ドーパントにはSiを用い、p−ドーパントに
はZnを用いる。
【0006】図17に示すように、共振器内部の活性領
域22では、リッジストライプ上部に電流阻止層は形成
されておらず、共振器内部では活性層に電流が注入され
てレーザ発振が起こる。
【0007】従来の半導体レーザ素子では、波長670
nmで最大光出力150mWが得られ、窓効果により端
面劣化が抑制される。さらに、50℃、CW50mWの
高出力で1500hrを超える信頼性が報告されてい
る。
【0008】図18に従来の半導体レーザ素子のリッジ
ストライプ7内部のp−上クラッド層6表面からn−ク
ラッド層2へのp−不純物(Zn)の濃度分布を示す。
【0009】図18(a)に窓領域の濃度分布を、図1
8(b)に活性領域の濃度分布を示す。窓領域では、Z
nO中のZnが活性層だけでなく、n−クラッド層の途
中まで大量に拡散している。このZnの活性層への拡散
が、バンドギャップ増大を生じさせる。活性領域におい
ても、窓形成時の熱アニールに伴い、p−クラッド層6
のZnが活性層4中、さらにn−クラッド層2中にまで
拡散している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
半導体レーザ素子においては以下に示すような問題点が
ある。
【0011】従来例の半導体レーザ素子では、窓領域を
形成するため熱アニールを行うと、活性領域のp−クラ
ッド層中のZnが活性層に拡散する。そのZnは活性層
中に欠陥を生じるので、動作電流が増大するという問題
が生じる。さらに、活性領域のp−クラッド層中のZn
がn型クラッド層まで拡散すると、pn接合がn型クラ
ッド層中に形成されて、動作電圧が増大するという問題
が生じる。
【0012】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
低温または短時間の熱アニールにより所望の窓領域を形
成でき、動作電流と動作電圧の増大を防止して、高信頼
性の端面窓型高出力レーザの素子構造及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の半導体レーザ素子では、半導体基板上に、
n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、p型キャッ
プ層を有し、各半導体層に垂直な共振器端面を有し、共
振器端面の少なくとも一方の端面付近における活性層の
バンドギャップが共振器内部の活性層のバンドギャップ
よりも大きい窓領域を有する半導体レーザ素子であり、
窓領域のp型クラッド層には第1ドーパントと第1ドー
パントより拡散定数の大きい第2ドーパントとが混在
し、窓領域以外の活性領域のp型クラッド層には第1ド
ーパントが第2ドーパントより高濃度に存在する構成と
している。
【0013】また、本発明の半導体レーザ素子では、窓
領域のp型キャップ層における第2ドーパントの濃度が
第1ドーパントの濃度より高く配設する構成としてい
る。
【0014】また、本発明の半導体レーザ素子では、窓
領域以外の共振器内部のp型クラッド層には第1ドーパ
ントの濃度が優位的に存在する構成としている。
【0015】また、本発明の半導体レーザ素子では、窓
領域のp型クラッド層のキャップ層側付近には主として
第2ドーパントが配設され、窓領域のp型クラッド層の
活性層側付近には主として第1ドーパントが配設される
構成としている。
【0016】また、本発明の半導体レーザ素子では、活
性領域の活性層またはn型クラッド層に、第1ドーパン
トがほとんど存在しない構成としている。
【0017】また、本発明の半導体レーザ素子では、窓
領域のp型クラッド層のキャップ層側付近における第2
ドーパントの濃度が1×1018cm-3以上、1×1019
cm -3以下である構成としている。
【0018】また、本発明の半導体レーザ素子では、p
型クラッド層の活性層側付近における第1ドーパントの
濃度が5×1017cm-3以上、3×1018cm-3以下で
ある構成としている。
【0019】また、本発明の半導体レーザ素子では、第
1ドーパントと第2ドーパントの組み合わせが、各々ベ
リリウムと亜鉛、ベリリウムとマグネシウム、または、
亜鉛とマグネシウム、である構成としている。
【0020】また、本発明の半導体レーザ素子では、窓
領域上部のリッジ上部に電流阻止層を有し、その長さが
窓領域の長さよりも長い構成としている。
【0021】また、本発明の半導体レーザ素子では、半
導体の構成材料が、インジウム、ガリウム、リンを少な
くとも含む構成としている。
【0022】また、本発明の半導体レーザ素子の製造方
法では、半導体基板上に、n型クラッド層、活性層、第
1ドーパントを有するp型クラッド層とp型キャップ層
を成長する工程、その上に共振器端面付近に相当する部
分にのみ、第1ドーパントよりも拡散定数の大きな第2
ドーパントとなる拡散源を形成する工程、次に熱アニー
ルによりp型クラッド層に第2ドーパントを拡散して、
p型クラッド層中の第1ドーパントの活性層への拡散を
促進させて、活性層のバンドギャップを共振器内部より
も増大させて窓領域を形成する工程、とを少なくとも含
む構成としている。
【0023】さらに、本発明の半導体レーザ素子の製造
方法では、半導体基板上に、n型クラッド層、活性層、
第1ドーパントを有するp型クラッド層と第1ドーパン
トよりも拡散定数の大きな第2ドーパントを有するp型
キャップ層を成長する工程、共振器端面付近に相当する
部分のp型キャップ層を選択的に厚く形成し、熱アニー
ルによりp型キャップ層の第2ドーパントをp型クラッ
ド層に拡散させて、p型クラッド層中の第1ドーパント
の活性層への拡散を促進させて、活性層のバンドギャッ
プを共振器内部よりも増大させて窓領域を形成する工
程、とを少なくとも含む構成としている。
【0024】
【発明の実施の形態】図1〜図15は本発明の一実施の
形態に関する半導体レーザ素子の図である。
【0025】[第1の実施の形態]本発明の第1の実施
の形態に関する端面窓型半導体レーザ素子の構造の斜視
図を図1に、また、図1のA−A’断面図を図2に、図
1のB−B’断面図を図3に、それぞれ示し、これを説
明する。図から示されるように、図2はリッジストライ
プ中央部のリッジストライプの長手方向に平行な方向の
断面図であり、図3は共振器中央部のリッジストライプ
の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【0026】図1において、n−GaAs基板100上
に、n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P
第1下クラッド層101(厚さ2μm、キャリヤ濃度1
×1018cm-3、ドーパントSi)、ノンドープ多重量
子井戸活性層102、p−(Al0.7Ga0.3)
0.5In0.5P第1上クラッド層103(厚さ0.
2μm、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパン
トBe)、p−In0.5Ga0.5Pエッチング停止
層104(厚さ50Å、キャリヤ濃度1.5×1018
-3、ドーパントBe)が形成されている。リッジスト
ライプ105(幅5.0μm)は、p−(Al0.7G
a0.3)0.5In0.5Pよりなる第2上クラッド
層106(厚さ1.2μm、キャリヤ濃度1.5×10
18cm-3、ドーパントBe)と、p−GaAsキャップ
層107(厚さ0.3μm、キャリヤ濃度1.5×10
18cm-3、ドーパントBe))とから構成されている。
【0027】ここに、ノンドープ多重量子井戸活性層1
02は、2層のIn0.5Ga0.5Pウエル層(厚さ
80Å)とその間の1層の(Al0.5Ga0.5)
0.5In0.5Pバリヤ層(厚さ50Å)とそれらを
挟む(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pガイ
ド層(厚さ300Å)で構成されている。
【0028】光出射端面及びその付近は、活性層のバン
ドギャップが共振器内部の活性層のバンドギャップより
も大きくなるように構成されている。
【0029】リッジストライプ105の側面は、n−G
aAs電流阻止層108(厚さ1.2μm、キャリヤ濃
度1×1018cm-3、ドーパントSi)で埋め込まれて
おり、光出射端面及びその付近ではリッジストライプの
上部にn−GaAs電流阻止層108が形成されいて
る。しかし、共振器内部のリッジストライプ上部には電
流阻止層108が形成されていない。
【0030】これらのリッジストライプ上部と電流阻止
層の上部にはp−GaAsコンタクト層109(厚さ3
μm、キャリヤ濃度2×1018cm-3、ドーパントB
e)が形成されている。なお、本発明の半導体レーザ素
子の共振器の長さは600μmである。また、基板側表
面と成長層側表面には電極110、111が形成されて
いる。
【0031】また、本発明の第1の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子は、図1に示されるように、
半導体の各層に対して垂直方向に、窓領域121と、活
性領域122と、窓領域121とにわけることができ
る。
【0032】従って、本発明の窓領域121に対して
は、半導体の各層に窓領域を示すWを付与して、窓領域
におけるn−第1下クラッド層101W、窓領域におけ
る量子井戸活性層102W、窓領域におけるp−第1上
クラッド層103W、窓領域におけるリッジストライプ
105W、窓領域におけるp−第2上クラッド層106
W、窓領域におけるp−キャップ層107W、と呼ぶこ
とにする。
【0033】同様に、本発明の活性領域122に対して
は、半導体の各層に活性領域を示すAを付与して、活性
領域におけるn−第1下クラッド層101A、活性領域
における量子井戸活性層102A、活性領域におけるp
−第1上クラッド層103A、活性領域におけるリッジ
ストライプ105A、活性領域におけるp−第2上クラ
ッド層106A、活性領域におけるp−キャップ層10
7A、と呼ぶことにする。
【0034】窓領域121は、端面窓型半導体レーザ素
子の端面付近の領域のことであり、窓領域121の活性
層(102W)のバンドギャップは、活性領域122の
活性層(102A)のバンドギャップより大きく構成さ
れている。
【0035】従って、量子井戸活性層(活性層)102
は、窓領域121の活性層(102W)と活性領域12
2の活性層(102A)と窓領域121の活性層(10
2W)とから構成される。
【0036】また、活性層102に隣接する第1下クラ
ッド層101は、窓領域121の第1下クラッド層(1
01W)と活性領域122の第1下クラッド層(101
A)と窓領域121の第1下クラッド層(101W)と
から構成される。
【0037】同様に、活性層102に隣接する第1上ク
ラッド層103は、窓領域121の第1上クラッド層
(103W)と活性領域122の第1上クラッド層(1
03A)と窓領域121の第1上クラッド層(103
W)とから構成される。
【0038】ここに、活性領域122は主として、第1
下クラッド層(101A)と活性層(102A)と第1
上クラッド層(103A)と、及び、リッジストライプ
105とから構成される言葉として用いられる。
【0039】また、窓領域121は主として、第1下ク
ラッド層(101W)と活性層(102W)と第1上ク
ラッド層(103W)と、及び、リッジストライプ10
5とら構成される言葉として用いられる。図1〜図3で
は、この窓領域121は活性領域122の両側に配設さ
れているが、少なくとも一方の端面にあれば、窓領域を
有する半導体レーザ素子として機能する。
【0040】図2に示すように、窓領域121の上部に
窓領域を覆うように、窓領域よりも長く電流阻止層10
8が第2上クラッド層106の上に形成されている。
【0041】図3に示すように、共振器内部の活性領域
122では、リッジストライプ上部105(106及び
107)に電流阻止層は形成されていない。
【0042】また、図1〜図3において、窓領域のp−
GaAsキャップ層107Wには、拡散定数の小さい第
1ドーパントBeと拡散定数の大きい第2ドーパントZ
nとが混在し、Beの濃度は〜1.5×1018cm-3
Znの濃度は〜5×1018cm-3であり、(Znの濃
度)>(Beの濃度)の関係にあり、(拡散定数の大き
い第2ドーパントの濃度)>(拡散定数の小さい第1ド
ーパントの濃度)なる関係にある。
【0043】また、図1〜図3において、窓領域以外の
共振器内部のp−クラッド層106Aには、拡散定数の
小さい第1ドーパント(例えば、Be)と拡散定数の大
きい第2ドーパント(例えば、Zn)とが混在し、且
つ、第1ドーパントの濃度が優位的に存在し、(Beの
濃度)>(Znの濃度)の関係にあり、(拡散定数の小
さい第1ドーパントの濃度)>(拡散定数の大きい第2
ドーパントの濃度)なる関係にある。
【0044】次に、用語として、「量子井戸活性層」や
「活性層」や「量子井戸活性層の無秩序化」等につい
て、説明する。
【0045】本発明の端面窓型半導体レーザ素子におい
ては、共振器端面付近の活性層のバンドギャップを共振
器内部の活性層のバンドギャップよりも大きい構成とし
ている。活性層が量子井戸活性層(各層の厚み0.02
μm以下(200Å以下))の場合、活性層を変化させ
てバンドギャップを変化させることができるので、本発
明では、主として、量子井戸活性層が用いられる。
【0046】量子井戸活性層よりも厚みが厚いバルク活
性層(厚み0.02μmより大)の場合、不純物等の拡
散だけではバンドギャップは変化しない。しかし、活性
層の組成を変化させるとバンドギャップは変化し、本発
明の活性層として、バルク活性層を用いることも可能で
ある。
【0047】量子井戸活性層は、厚み0.02μm以下
の量子井戸層と、量子井戸層と組成の異なるバリヤ層と
を交互に積層する構造による得られる。この組成、また
は原子が秩序を有して配列している構造を秩序構造と呼
ぶ。そして、不純物(例えば、p−ドーパントBe、Z
n、Mg等)や空孔等の拡散や原子配列の変化等によ
り、この秩序構造の破壊を「量子井戸活性層の無秩序
化」と呼ぶ。量子井戸活性層の無秩序化により、活性層
のバンドギャップは増大し、窓領域が形成される。バン
ドギャップ増大領域を共振器端面に配置することによ
り、端面劣化のない高信頼の高出力レーザが実現でき
る。
【0048】また、バルク活性層においても組成が秩序
を有して配列していたものを、組成を変化させてその秩
序を崩すことを「活性層の無秩序化」と呼ぶことは可能
である。
【0049】次に、本発明の第1の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の製造方法を図4に示し、こ
れを説明する。図4(a)は、n−GaAs基板からp
−キャップ層までの工程を示し、図4(b)は、ZnO
xストライプの形成からSiO2キャップを形成するま
での工程を示し、図4(c)は、窓領域及び活性領域を
形成工程を示し、図4(d)は、リッジストライプを形
成する工程を示す図である。
【0050】図4(a)において、n−GaAs基板1
00上に、分子線エピタキシー(MBE)法にて、n−
(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1下ク
ラッド層101(キャリヤ濃度1×1018cm-3、ドー
パントSi)、(Al0.5Ga0.5)0.5In
0.5Pガイド層と2層のIn0.5Ga0.5Pウエ
ル層とその間の1層の(Al0.5Ga0.5)0.5
In0.5Pバリヤ層と(Al0.5Ga0.5)0.
5In0.5Pガイド層で構成されるノンドープ多重量
子井戸活性層102、p−(Al0.7Ga0.3)
0.5In0.5P第1上クラッド層103(キャリヤ
濃度1.5×1018cm-3、ドーパントBe)、p−I
n0.5Ga0.5Pエッチング停止層104(キャリ
ヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパントBe)、p−
(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2上ク
ラッド層106(キャリヤ濃度1.5×1018cm-3
ドーパントBe)とp−GaAsキャップ層107(厚
さ0.3μm、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ド
ーパントBe)を成長する。
【0051】図4(b)において、ZnOx膜をp−キ
ャップ層107表面に蒸着し、フォトリソグラフィとリ
フトオフにより、周期600μmで長さ50μmのZn
Oxストライプ131を形成し、その上にSiO2キャ
ップ132を形成する。
【0052】図4(c)において、500℃で3時間の
アニールを行い、ZnOxストライプ列131直下の量
子井戸活性層102に、第1上クラッド層103及び第
2上クラッド層106のドーパントBeを拡散して、活
性層のバンドギャップ増大領域、即ち窓領域121を形
成する。同時にZnOストライプ列のない部分には活性
領域122が形成される。
【0053】ドーパントBe(第1ドーパント)を活性
層に拡散することにより、活性層のバンドギャップは増
大する。ドーパントZn(第1ドーパントより拡散定数
の大きい第2ドーパント)はドーパントBe(第1ドー
パント)の活性層への拡散を促進する働きをなしている
と考えられる。
【0054】この工程により、活性層102は、窓領域
121の活性層(102W)と活性領域122の活性層
(102A)と窓領域121の活性層(102W)とな
る。同様に、活性層102に隣接する第1上クラッド層
103は、窓領域121の第1上クラッド層(103
W)と活性領域122の第1上クラッド層(103A)
と窓領域121の第1上クラッド層(103W)とな
る。同様に、活性層102に隣接する第1下クラッド層
101は、窓領域121の第1下クラッド層(101
W)と活性領域122の第1下クラッド層(101A)
と窓領域121の第1下クラッド層(101W)とな
る。
【0055】図4(d)において、ZnOxストライプ
131とSiO2キャップ132を除去し、フォトリソ
グラフィとエッチングにより、リッジストライプ105
を形成する。
【0056】リッジストライプの側面及び窓領域のリッ
ジストライプ上部に、n−GaAs電流阻止層108を
第2回目のMBE法で埋め込み成長を行い、それら上部
にp−GaAsコンタクト層109(厚さ3μm)を第
3回目のMBE法で成長を行い、基板側とコンタクト層
表面に電極を形成する(ここでは、これらの製造方法の
詳細は図示せず。)。
【0057】窓領域が共振器端面になるように、リッジ
ストライプに直交した面で劈開を行い、光出射側端面に
反射率8%のコーティングと裏面側に95%のコーティ
ングを行う。ここで、共振器長は600μm、窓領域の
長さは25μmである。
【0058】本発明の半導体レーザ素子のn−電極11
1とp−電極112に、電圧を印加して、活性領域12
2のリッジストライプ内部とそれに相当する活性層に電
流を注入することにより、光出射端面からレーザ発振光
が得られる。波長655nmで、最大光出力250mW
が得られ、窓効果により端面劣化が抑制される。さら
に、動作温度60℃、連続発振70mWの高出力で50
00hを超える高信頼性が得られた。
【0059】従来の半導体レーザ素子の発振閾値電流が
53mAであるのに対して、本発明の半導体レーザ素子
の発振閾値電流は45mAに低減できた。また、従来の
半導体レーザ素子の光出力50mWの動作電圧が2.5
Vに対して、本発明の半導体レーザ素子の動作電圧は
2.3Vまで低減できた。電流低減と電圧低減により、
本発明の半導体レーザ素子では従来の半導体レーザ素子
以上の高出力で高信頼性が達成できた。
【0060】図5に、本発明の第1の実施の形態に関す
る端面窓型半導体レーザ素子のp−キャップ層107表
面からn−クラッド層101へのp−不純物(Zn、B
e)の濃度分布を示す。図5において、縦軸はp−不純
物(Zn、Be)の濃度、横軸は各層の領域を示す。図
5(a)に窓領域121の各層の濃度分布を、図5
(b)に活性領域122の各層の濃度分布を示す。
【0061】図5(a)の窓領域において、Zn(第2
ドーパント)は、p−GaAsキャップ層107W表面
(5×1018cm-3)からp−クラッド層106W中へ
と拡散分布し、〜1×1017cm-3以下となっている。
【0062】また、Be(第1ドーパント)は、p−G
aAsキャップ層107W表面(1.5×1018
-3)から、第2上クラッド層106W、第1上クラッ
ド層103W、ノンドープ多重量子井戸活性層102
W、第1下クラッド層101Wへと及び、各層におい
て、Be濃度は1.5×1018cm-3程度でほぼ一定の
濃度分布となっている。このBe拡散により、窓領域1
21の活性層102Wのバンドギャップ増大せさてい
る。
【0063】図5(b)の活性領域において、Znは、
ほとんど拡散分布せず、一方、Beは、p−GaAsキ
ャップ層107A表面(〜1.5×1018cm-3)か
ら、第2上クラッド層106A、第1上クラッド層10
3A、まで拡散分布し、ノンドープ多重量子井戸活性層
102A、第1下クラッド層101へは、ほとんど拡散
していないこと(〜1×1017cm-3以下であること)
が示されている。
【0064】図5(a)、図5(b)の結果から、次の
ことが明察される。本発明の第1の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の窓領域には、p−ドーパン
トのBe(第1ドーパント)とp−ドーパントのZn
(第2ドーパント)とが混在している。一方、活性領域
では、p−ドーパントのBe(第1ドーパント)がp−
ドーパントのZn(第2ドーパント)より高濃度に存在
する。また、窓領域のp−クラッド層の活性層側付近に
は主として第1ドーパントが存在する。
【0065】図5(a)、図5(b)の結果から、次の
ことが明察される。本発明の第1の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の活性領域のp−クラッド層
には、第1ドーパントの濃度が優位的に存在する。ま
た、活性領域の活性層またはn−クラッド層に、第1ド
ーパントがほとんど存在しない。
【0066】Znの拡散定数は、例えば、GaAs中に
おいて、700℃では、4×10-1 4cm-2/s程度で
あり、Beの拡散定数は、例えば、GaAs中におい
て、725℃では、4×10-16cm-2/s程度であ
り、Znの拡散定数は、Beの拡散定数より2桁程度大
きい。また、この拡散定数の大小関係は、インジウム、
ガリウム、リンを少なくとも含む半導体材料においても
同じであると考えられる(特開平8−102567号公
報参照)言い換えれば、本発明のAl−In−Ga−P
系の半導体層107、106、103、102、10
1、の各層においても、第2ドーパントZnの拡散定数
は、第1ドーパントBeの拡散定数よりも大きい。ま
た、この系において、Mg、Zn、Beの拡散定数の大
小関係は、Mg>Zn>Beであると推察される。
【0067】従来の半導体レーザ素子が600℃3時間
のアニールであったのに対し、本発明の第1の実施の形
態に関する端面窓型半導体レーザ素子の窓領域形成は、
500℃3時間のアニールと、低温アニールで形成する
ことができた。こはれ、キャップ層表面から拡散定数の
大きなZnがp−クラッド層中に拡散し、それがp−ク
ラッド層中のドーパントBeの活性層への拡散を促進す
るように作用したためと推察される。このBeの活性層
への拡散に伴い、活性層のバンドギャップが増大し、窓
領域が形成される。
【0068】本発明の第1の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子では、従来の半導体レーザ素子より
も低温アニールで窓領域を形成できるので、活性領域に
おいて、p−クラッド層中のドーパント(Be)の活性
層への拡散を抑制でき、動作電流及び動作電圧の増大を
防止でき、高信頼性の高出力レーザが得られる。
【0069】さらに、活性領域のp−クラッド層のドー
パントに拡散定数の小さなBeを配設することにより、
窓領域形成時の熱アニールで活性領域のBeが活性層に
拡散することを防止でき、動作電流及び動作電圧増大に
対して、さらに効果的である。 本発明の第1の実施の
形態に関する端面窓型半導体レーザ素子では、窓領域に
おけるp−ドーパントのZn濃度が、p−クラッド層の
ドーパントのBe濃度よりも高く設定されている。本構
成により、Zn拡散がp−クラッド層中のBe拡散を促
進する効果がさらに大きくなる。
【0070】また、本発明の第1の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の窓領域におけるキャップ
層、または、p−クラッド層のキャップ層側付近のZn
濃度が、1×1018cm-3以上、1×1019cm-3以下
である。Zn濃度が1×1018cm-3よりも小さいと、
p−クラッド層のBe拡散を促進する効果が小さくな
る。
【0071】また、Zn濃度が1×1019cm-3よりも
大きいと、p−キャップ層付近のp−クラッド層に大量
のZnが拡散してキャリヤを生成する。そのために、レ
ーザ光に対するp−クラッド層のフリーキャリヤ吸収が
増大する。また、大量のZn拡散はp−クラッド層中に
結晶欠陥を生じやすくなり、そのためにレーザ光の吸収
が生じる。
【0072】また、p−クラッド層中のBe濃度は素子
抵抗を低減し、且つ、フリーキャリヤ吸収を低減するた
めに、通常、1〜3×1018cm-3程度に設定される。
従って、キャップ層側付近のZn濃度が、1×1018
-3以上に設定すれば、Zn濃度はBe濃度と同等以上
の濃度になるので、Znがp−クラッド層中に拡散しや
すくなり、それが、p−クラッド層中のBeの活性層へ
の拡散を促進し、窓領域の活性層のバンドギャップを増
大させることができる。
【0073】また、本発明の半導体レーザ素子のp−ク
ラッド層の活性層付近におけるBe濃度は〜5×1017
cm-3以上、3×1018cm-3以下である。Be濃度が
〜5×1017cm-3よりも小さくなると、窓領域におけ
る活性層へのBeの拡散が少なくなり、窓領域の活性層
のバンドギャップ増大効果が低減する。Be濃度が3×
1018cm-3よりも大きくなると、活性領域における活
性層へのBe拡散が増大して、動作電流及び動作電圧が
増大する。
【0074】窓領域の上部における電流阻止層の長さは
窓領域を覆うように、窓領域よりも長くなるように設定
されるのが望ましい。これは、窓領域ではp−キャップ
層からp−クラッド層に第2ドーパントが拡散されて第
1ドーパントとの混在領域が形成されている。電流阻止
層の長さを窓領域の長さよりも長くすることにより、こ
の混在領域に電流を流すことを抑制できる。この混在領
域に電流を流すと素子動作中に拡散がさらに促進し、素
子特性の変動を生じる。従って、安定動作のために電流
阻止層の長さを最適化することが望ましい。
【0075】また、本発明の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子の材料系はIn、Ga、Pを少なく
とも含有する。この場合、窓領域形成時の熱アニール
で、第2ドーパントの拡散が第1ドーパントの拡散増大
に特に有効に作用し、所望の窓領域形成に対して好適で
ある。
【0076】[第2の実施の形態]本発明の第2の実施
の形態に関する端面窓型半導体レーザ素子の構造の斜視
図を図6に、また、図6のC−C’断面図を図7に、図
6のD−D’断面図を図8に、それぞれ示し、これを説
明する。図から示されるように、図7はリッジストライ
プ中央部のリッジストライプの長手方向に平行な方向の
断面図であり、図8は共振器中央部のリッジストライプ
の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【0077】第1の実施の形態に関する端面窓型半導体
レーザ素子では、拡散定数の小さい第1ドーパントにB
e、拡散定数の大きい第2ドーパントにZn選択した
が、本発明の第2の実施の形態に関する端面窓型半導体
レーザ素子では、拡散定数の小さい第1ドーパントにB
e、拡散定数の大きい第2ドーパントにMgを選択した
点が、主な相違点である。この相違点に着目して、説明
する。
【0078】図6において、n−GaAs基板200上
に、n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P
第1下クラッド層201(厚さ2μm、、キャリヤ濃度
1.0×1018cm-3、ドーパントSi)、ノンドープ
多重量子井戸活性層202、p−(Al0.7Ga0.
3)0.5In0.5P第1上クラッド層203(厚さ
0.2μm、キャリヤ濃度1.0×1018cm-3、ドー
パントBe)、p−In0.5Ga0.5Pエッチング
停止層204(厚さ50Å、キャリヤ濃度1.0×10
18cm-3、ドーパントBe)がある。リッジストライプ
205(幅2.5μm)はp−(Al0.7Ga0.
3)0.5In0.5P第2上クラッド層206(厚さ
1.2μm、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドー
パントBe)とp−GaAsキャップ層207(厚さ
0.3μm、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドー
パントBe)で構成されている。
【0079】ここに、ノンドープ多重量子井戸活性層2
02は、2層のIn0.5Ga0.5Pウエル層(厚さ
80Å)とその間の1層の(Al0.5Ga0.5)
0.5In0.5Pバリヤ層(厚さ50Å)とそれらを
挟む(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pガイ
ド層(厚さ300Å)で構成されている。
【0080】光出射端面及びその付近では、活性層のバ
ンドギャップが共振器内部の活性層のバンドギャップよ
りも大きくなっている。リッジストライプ205の側面
は、n−Al0.5In0.5P電流阻止層208(厚
さ1.2μm、キャリヤ濃度1×1018cm-3、ドーパ
ントSi)で埋め込まれており、光出射端面及びその付
近ではリッジストライプの上部に電流阻止層208を有
し、共振器内部のリッジストライプ上部には電流阻止層
が形成されていない。これらのリッジストライプ上部と
電流阻止層の上部には、p−GaAsコンタクト層20
9(厚さ3μm、キャリヤ濃度2×1018cm-3、ドー
パントBe)が形成されている。なお、本発明の半導体
レーザ素子の共振器の長さは600μmである。
【0081】また、基板側表面と成長層側表面には電極
210、211が形成されている。ここで、端面付近の
活性層バンドギャップの大きな領域を窓領域221、共
振器内部の活性層バンドキャップの小さな領域を活性領
域222とする。
【0082】本発明の第1の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子の窓領域121、共振器内部の活性
層バンドキャップの小さな領域を活性領域122で述べ
たと同様に、活性層202、第1下クラッド層201、
第1上クラッド層203等は、窓領域221及び活性領
域222に対応して、符号が付与される。
【0083】活性層202は、窓領域221の活性層
(202W)と活性領域222の活性層(202A)と
窓領域221の活性層(202W)とから構成される。
【0084】また、活性層202に隣接する第1下クラ
ッド層201は、窓領域221の第1下クラッド層(2
01W)と活性領域222の第1下クラッド層(201
A)と窓領域221の第1下クラッド層(201W)と
から構成される。
【0085】活性層202に隣接する第1上クラッド層
203は、窓領域221の第1上クラッド層(203
W)と活性領域222の第1上クラッド層(203A)
と窓領域221の第1上クラッド層(203W)とから
構成される。
【0086】図7に示すように、窓領域221の上部に
窓領域を覆うように、電流阻止層208が形成されてい
る。図8に示すように、共振器内部の活性領域では、リ
ッジストライプ上部に電流阻止層は形成されていない。
【0087】次に、本発明の第2の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の製造方法を図9に示し、こ
れを説明する。図9(a)は、n−GaAs基板からp
−キャップ層までの工程を示し、図9(b)は、SiO
2マスクを形成するまでの工程を示し、図9(c)は、
窓領域及び活性領域を形成工程を示し、図9(d)は、
リッジストライプを形成する工程を示す図である。
【0088】図9(a)において、n−GaAs基板2
00上に、分子線エピタキシー(MBE)法にて、n−
(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1下ク
ラッド層201(キャリヤ濃度1×1018cm-3、ドー
パントSi)、(Al0.5Ga0.5)0.5In
0.5Pガイド層と2層のIn0.5Ga0.5Pウエ
ル層とその間の1層の(Al0.5Ga0.5)0.5
In0.5Pバリヤ層と(Al0.5Ga0.5)0.
5In0.5Pガイド層で構成されるノンドープ多重量
子井戸活性層202、p−(Al0.7Ga0.3)
0.5In0.5P第1上クラッド層203(キャリヤ
濃度1×1018cm-3、ドーパントBe)、p−In
0.5Ga0.5Pエッチング停止層204(キャリヤ
濃度1×1018cm-3、ドーパントBe)、p−(Al
0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2上クラッド
層206(キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパ
ントBe)とp−GaAsキャップ層207(厚さ0.
3μm、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパン
トBe)を成長する。
【0089】図9(b)において、SiO2マスク23
1をp−キャップ層207表面に蒸着し、フォトリソグ
ラフィとリフトオフにより、周期600μmで長さ56
0μmのSiO2マスク231を形成する。
【0090】図9(c)において、次に、有機金属気相
成長(MOCVD)法または液相成長(LPE)法に
て、SiO2マスク以外に選択的に高濃度のp−GaA
s拡散層232(厚さ2μm、キャリヤ濃度5×1018
cm-3、ドーパントMgまたはZn)を成長する。
【0091】図9(d)において、500℃で2.5時
間のアニールを行い、GaAs拡散層232直下にMg
を拡散し、その拡散によりp−クラッド層203、20
6のドーパントBeの量子井戸活性層202への拡散を
促進して、活性層のバンドギャップ増大領域、即ち窓領
域221を形成する。同時にGaAs拡散層232のな
い部分は活性領域222となる。最後に、GaAs拡散
層、SiO2マスクを除去し、フォトリソグラフィとエ
ッチングによりリッジストライプ205を形成する。
【0092】リッジストライプの側面及び窓領域のリッ
ジストライプ上部に、n−Al0.5In0.5P電流
阻止層208を第2回目のMBE法で埋め込み成長を行
い、それら上部にp−GaAsコンタクト層209(厚
さ3μm)を第3回目のMBE法で成長を行い、基板側
とコンタクト層表面に電極を形成する(ここでは、これ
らの製造方法の詳細は図示せず。)。
【0093】窓領域が共振器端面になるように、リッジ
ストライプに直交した面で劈開を行い、光出射側端面に
反射率8%のコーティングと裏面側に95%のコーティ
ングを行う。ここで、共振器長は600μm、窓領域の
長さは20μmである。
【0094】本発明の半導体レーザ素子の電極210と
211に電圧を印加して、活性領域222のリッジスト
ライプ内部とそれに相当する活性層に電流を注入するこ
とにより、光出射端面からレーザ発振光が得られる。波
長650nmで最大光出力300mWが得られ、窓効果
により端面劣化が抑制される。さらに、動作温度60
℃、連続発振85mWの高出力で5000hを超える高
信頼性が得られた。
【0095】従来の半導体レーザ素子の発振閾値電流が
53mAであるのに対して、本発明の半導体レーザ素子
の発振閾値電流は35mAに低減できた。また、従来の
半導体レーザ素子の光出力50mWの動作電圧が2.5
Vに対して、本発明の半導体レーザ素子の動作電圧は
2.2Vまで低減できた。電流低減と電圧低減により、
本発明の半導体レーザ素子では従来の半導体レーザ素子
以上の高出力で高信頼性が達成できた。
【0096】図10に本発明の半導体レーザ素子のp−
キャップ層207表面からn−クラッド層201へのp
−不純物(Mg、Be)の濃度分布を示す。図10
(a)に窓領域の濃度分布を、図10(b)に活性領域
の濃度分布を示す。
【0097】窓領域において、キャップ層表面からMg
がp−クラッド層中に拡散している。一方、p−クラッ
ド層のBeは活性層だけでなく、n−クラッド層の途中
まで大量に拡散している。このBe拡散が、窓領域の活
性層のバンドギャップを増大させる。これに対して、活
性領域では、p−クラッド層のBeが活性領域の活性層
にはほとんど拡散していない。
【0098】本発明の第2の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子の窓領域にはp−ドーパントのMg
(第2ドーパント)とp−クラッド層のドーパンのBe
(第1ドーパント)が混在している。活性領域ではp−
クラッド層のドーパントのBeが存在する。ここで、ド
ーパントの拡散定数はMgの方がBeよりも大きい。
【0099】本発明の半導体レーザ素子で従来の半導体
レーザ素子よりも低温かつ短時間のアニールで窓領域が
形成されたのは、キャップ層表面から拡散定数の大きな
Mgがp−クラッド層中に拡散し、それがp−クラッド
層中のドーパントBeの活性層への拡散を促進するよう
に作用すると推定される。このBeの活性層への拡散に
伴い、窓領域の活性層のバンドギャップが増大し、窓領
域が形成される。
【0100】本発明の第2の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子では、活性領域において、p−クラ
ッド層中のドーパント(Be)の活性層への拡散を抑制
でき、電流及び電圧の増大を防止でき、高信頼性の高出
力レーザが得られる。
【0101】さらに、活性領域のp−クラッド層のドー
パントに拡散定数の小さなBeを配置することにより、
窓領域形成時の熱アニールで活性領域のBeが活性層に
拡散することをさらに防止でき、電流及び電圧増大に対
して効果的である。
【0102】本発明の第1及び第2の実施の形態に関す
る端面窓型半導体レーザ素子では、p−GaAs拡散層
(ZnOxストライプ131、SiO2キャップ132
等)のドーパントがMg、Znの場合に同様の効果が得
られた。特にドーパントがMgの場合には、より低温か
つ短時間のアニールで窓領域の形成が可能となった。こ
れは、Mgの方がZnよりも、p−クラッド層中のBe
の活性層への拡散促進効果が大きいためと推測される。
【0103】[第3の実施の形態実施]図11は本発明
の第3の実施の形態に関する端面窓型半導体レーザの素
子構造の斜視図である。また、図12は図11のE−
E’に示すようにリッジストライプ中央でリッジストラ
イプに平行方向の断面図、図13は図11のF−F’に
示すように共振器中央部でのリッジストライプに垂直方
向の断面図である。
【0104】本発明の第1〜第3の実施の形態に関する
端面窓型半導体レーザ素子の主な相違点は、第1の実施
の形態では、拡散定数の小さい第1ドーパントにBe、
拡散定数の大きい第2ドーパントにZnを選択した点で
あり、第2の実施の形態では、第1ドーパントにBe、
第2ドーパントにMgを選択した点であり、第3の実施
の形態では、第1ドーパントにZn、第2ドーパントに
Mgを選択した点である。 図11において、n−Ga
As基板300上に、n−(Al0.7Ga0.3)
0.5In0.5P第1下クラッド層301(厚さ2μ
m、キャリヤ濃度1.0×1018cm-3、ドーパントS
i)、2層のIn0.5Ga0.5Pウエル層(厚さ8
0Å)とその間の1層の(Al0.5Ga0.5)0.
5In0.5Pバリヤ層(厚さ50Å)とそれらを挟む
(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pガイド層
(厚さ300Å)で構成されるノンドープ多重量子井戸
活性層302、p−(Al0.7Ga0.3)0.5I
n0.5P第1上クラッド層303(厚さ0.2μm、
キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパントZ
n)、p−In0.5Ga0.5Pエッチング停止層3
04(厚さ50Å、、キャリヤ濃度1.5×1018cm
-3、ドーパントZn)がある。リッジストライプ305
(幅2.5μm)はp−(Al0.7Ga0.3)0.
5In0.5P第2上クラッド層306(厚さ1.2μ
m、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパントZ
n)とp−GaAsキャップ層307(厚さ0.3μ
m、キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパントM
g)で構成されている。光出射端面及びその付近では、
活性層のバンドギャップが共振器内部の活性層のバンド
ギャップよりも大きくなっている。リッジストライプ3
05の側面は、n−Al0.5In0.5P電流阻止層
208(厚さ1.2μm、キャリヤ濃度1×1018cm
-3、ドーパントSi)で埋め込まれており、光出射端面
及びその付近ではリッジストライプの上部に電流阻止層
308を有し、共振器内部のリッジストライプ上部には
電流阻止層が形成されていない。これらのリッジストラ
イプ上部と電流阻止層の上部にはp−GaAsコンタク
ト層309(厚さ3μm、キャリヤ濃度2×1018cm
-3、ドーパントZn)が形成されている。なお、本発明
の半導体レーザ素子の共振器の長さは600μmであ
る。また、基板側表面と成長層側表面には電極310、
311が形成されている。ここで、端面付近の活性層バ
ンドギャップの大きな領域を窓領域321、共振器内部
の活性層バンドキャップの小さな領域を活性領域322
とする。
【0105】図12に示すように、窓領域321の上部
に窓領域を覆うように、電流阻止層308が形成されて
いる。図13に示すように、共振器内部の活性領域で
は、リッジストライプ上部に電流阻止層は形成されてい
ない。
【0106】図14に、本発明の第3の実施の形態に関
する端面窓型半導体レーザ素子の製造方法を示し、これ
を説明する。
【0107】図14(a)において、本発明の半導体レ
ーザ素子の製造方法について次に述べる。図14に素子
製造方法を示す。n−GaAs基板300上に、有機金
属気相成長(MOCVD)法にて、n−(Al0.7G
a0.3)0.5In0.5P第1下クラッド層301
(キャリヤ濃度1×1018cm-3、ドーパントSi)、
(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pガイド層
と2層のIn0.5Ga0.5Pウエル層とその間の1
層の(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pバリ
ヤ層と(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pガ
イド層で構成されるノンドープ多重量子井戸活性層30
2、p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P
第1上クラッド層303(キャリヤ濃度1.5×101
8cm−3、ドーパントZn)、p−In0.5Ga
0.5Pエッチング停止層304(キャリヤ濃度1.5
×1018cm-3、ドーパントZn)、p−(Al0.7
Ga0.3)0.5In0.5P第2上クラッド層30
6(キャリヤ濃度1.5×1018cm-3、ドーパントZ
n)と高濃度p−GaAsキャップ層307(厚さ3μ
m、キャリヤ濃度6×1018cm-3、ドーパントMg)
を成長する。
【0108】図14(b)において、SiO2マスク3
31をp−キャップ層307表面に蒸着し、フォトリソ
グラフィとリフトオフにより、周期600μmで長さ6
0μmのSiO2マスク331を形成し、エッチングに
よりマスク以外の部分のp−キャップ層厚を0.2μm
まで薄くする。
【0109】図14(c)において、600℃で2時間
のアニールを行い、p−キャップ層の厚い部分のMgを
拡散し、その拡散によりp−クラッド層303、306
のドーパントZnの量子井戸活性層202への拡散を促
進して、活性層のバンドギャップ増大領域、即ち窓領域
321を形成する。同時にp−キャップ層の薄い部分は
Mgの拡散が少なく、そのためにp−クラッド層のZn
の活性層への拡散も少なくなり、活性層のバンドギャッ
プはほとんど変化しない活性領域322となる。
【0110】図14(d)において、SiO2マスク3
31を除去し、p−キャップ層307厚を調整して、フ
ォトリソグラフィとエッチングによりリッジストライプ
305を形成する。
【0111】リッジストライプの側面及び窓領域のリッ
ジストライプ上部に、n−Al0.5In0.5P電流
阻止層308を第2回目のMOCVD法で埋め込み成長
を行い、それら上部にp−GaAsコンタクト層309
(厚さ3μm)を第3回目のMOCVD法で成長を行
い、基板側とコンタクト層表面に電極を形成する。(こ
こでは、これらの製造方法の詳細は図示せず。)窓領域
が共振器端面になるように、リッジストライプに直交し
た面で劈開を行い、光出射側端面に反射率8%のコーテ
ィングと裏面側に95%のコーティングを行う。ここ
で、共振器長は600μm、窓領域の長さは20μmで
ある。
【0112】本発明の第3の実施の形態に関する端面窓
型半導体レーザ素子の電極310と311に電圧を印加
して、活性領域のリッジストライプ内部とそれに相当す
る活性層に電流を注入することにより、光出射端面から
レーザ発振光が得られる。波長650nmで最大光出力
300mWが得られ、窓効果により端面劣化が抑制され
ている。さらに、動作温度60℃、連続発振75mWの
高出力で、5000hを超える高信頼性が得られた。
【0113】従来の半導体レーザ素子の発振閾値電流が
53mAであったのに対して、本発明の第3の実施の形
態に関する端面窓型半導体レーザ素子の発振閾値電流は
約40mAであり、発振閾値電流を約13mA低減する
ことができた。また、従来の半導体レーザ素子の光出力
50mWの動作電圧が2.5Vに対して、本発明の端面
窓型半導体レーザ素子の動作電圧は2.3Vであり、
2.3Vまで低減することができた。電流低減と電圧低
減により、本発明の端面窓型半導体レーザ素子では、従
来の半導体レーザ素子以上の高出力と高信頼性とを達成
することができた。 図15に、本発明の第3の実施の
形態に関する端面窓型半導体レーザ素子のp−キャップ
層307表面からn−クラッド層301へのp−不純物
(Mg、Zn)の濃度分布を示す。図15(a)に窓領
域の濃度分布を、図15(b)に活性領域の濃度分布を
示す。窓領域において、キャップ層表面からMgがp−
クラッド層中に拡散している。p−クラッド層のZnが
活性層だけでなく、n−クラッド層の途中まで大量に拡
散している。このZn拡散が、バンドギャップ増大を生
じさせる。これに対して、活性領域では、p−キャップ
層のMgの拡散はすくなく、p−クラッド層のZnが活
性層にはほとんど拡散していない。
【0114】本実施の形態では1回目の結晶成長により
形成したp−キャップ層の厚みを変化させることによ
り、窓領域と活性領域を形成でき、製造上簡易であると
いう特徴がある。
【0115】以上、本実施の形態では、InGaAlP
系材料について述べたが、それ以外にAlGaAs系材
料の場合にも同様の効果が得られる。
【0116】
【発明の効果】以上のように、本発明の半導体レーザ素
子によれば、半導体基板上に、n型クラッド層、活性
層、p型クラッド層、p型キャップ層を有し、各半導体
層に垂直な共振器端面を有し、共振器端面の少なくとも
一方の端面付近における活性層のバンドギャップが共振
器内部の活性層のバンドギャップよりも大きい窓領域を
有する半導体レーザ素子であり、窓領域のp型クラッド
層には第1ドーパントと第1ドーパントより拡散定数の
大きい第2ドーパントとが混在し、窓領域以外の活性領
域のp型クラッド層には第1ドーパントが第2ドーパン
トより高濃度に存在する構成としている。
【0117】従って、窓領域形成時に、拡散定数の大き
いp型ドーパント(第2ドーパント)が拡散定数の小さ
いp型ドーパント(第1ドーパント)の拡散を促進して
活性層を無秩序化するので、比較的低温または短時間の
アニールで所望の窓領域を形成できる。その結果、活性
領域でp型ドーパントが活性層に拡散することによる動
作電流及び動作電圧の増大を防止でき、高出力で高信頼
性の半導体レーザ素子を得ることができる。
【0118】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、窓領域のp型キャップ層における第2ドーパントの
濃度が第1ドーパントの濃度より高く配設する構成とし
ている。 従って、窓領域形成時に、拡散定数の大きい
p型ドーパント(第2ドーパント)が拡散定数の小さい
p型ドーパント(第1ドーパント)の拡散を促進するの
で、比較的低温または短時間のアニールで所望の窓領域
を形成できる。その結果、活性領域でp型ドーパントが
活性層に拡散することによる動作電流及び動作電圧の増
大を防止でき、高出力で高信頼性の半導体レーザ素子を
得ることができる。
【0119】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、窓領域以外の共振器内部のp型クラッド層には第1
ドーパントの濃度が優位的に存在する構成としている。
【0120】従って、活性領域に拡散定数の小さなドー
パント(第1ドーパント)を配設することにより、窓領
域形成時の熱アニールで、p型第2ドーパントが活性領
域の活性層に拡散することを防止できる。その結果、動
作電流及び動作電圧の増大を防止でき、高出力で高信頼
性の半導体レーザ素子を得ることができる。
【0121】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、窓領域のp型クラッド層のキャップ層側付近には主
として第2ドーパントが配設され、窓領域のp型クラッ
ド層の活性層側付近には主として第1ドーパントが配設
される構成としている。
【0122】従って、窓領域形成時の熱アニールで、拡
散定数の大きな第2ドーパントが拡散定数の小さな第1
ドーパントの活性層への拡散を効果的に促進する。従っ
て、アニール温度のさらなる低温化を図ることができ、
動作電流及び動作電圧の増大を防止できる。その結果、
動作電流及び動作電圧の増大を防止でき、高出力で高信
頼性の半導体レーザ素子を得ることができる。
【0123】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、活性領域の活性層またはn型クラッド層に、第1ド
ーパントがほとんど存在しない構成としている。
【0124】従って、窓領域形成時の熱アニールで、活
性領域での第1ドーパントの活性層またはn型クラッド
層への拡散を抑制することにより、動作電流及び動作電
圧の増大を防止でき、高出力で高信頼性の半導体レーザ
素子を得ることができる。
【0125】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、窓領域のp型クラッド層のキャップ層側付近におけ
る第2ドーパントの濃度が1×1018cm-3以上、1×
1019cm-3以下である構成としている。
【0126】従って、第2ドーパントの濃度を所定の範
囲に設定することにより、窓領域形成時の熱アニールに
伴う特性悪化を防止することができる。
【0127】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、p型クラッド層の活性層側付近における第1ドーパ
ントの濃度が5×1017cm-3以上、3×1018cm-3
以下である構成としている。
【0128】従って、第1ドーパントの濃度を所定の範
囲に設定することにより、窓領域形成時の熱アニールに
伴う特性悪化を防止することができる。
【0129】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、第1ドーパントと第2ドーパントの組み合わせが、
各々ベリリウムと亜鉛、ベリリウムとマグネシウム、ま
たは、亜鉛とマグネシウム、である構成としている。
【0130】従って、第1ドーパントと第2ドーパント
の組合せを必要に応じて選択することができ、所望の窓
領域を制御よく形成することができる。
【0131】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、窓領域上部のリッジ上部に電流阻止層を有し、その
長さが窓領域の長さよりも長い構成としている。
【0132】従って、窓領域のp型クラッド層への電流
リークによる半導体レーザ素子の特性悪化を抑制でき、
特性安定化に好適である。
【0133】また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、半導体の構成材料が、インジウム、ガリウム、リン
を少なくとも含む構成としている。
【0134】従って、半導体の構成材料の選択の幅が大
きくなり、所望の発振波長を持つ半導体レーザ素子を得
ることができる。
【0135】また、本発明の半導体レーザ素子の製造方
法によれば、半導体基板上に、n型クラッド層、活性
層、第1ドーパントを有するp型クラッド層とp型キャ
ップ層を成長する工程、その上に共振器端面付近に相当
する部分にのみ、第1ドーパントよりも拡散定数の大き
な第2ドーパントとなる拡散源を形成する工程、次に熱
アニールによりp型クラッド層に第2ドーパントを拡散
して、p型クラッド層中の第1ドーパントの活性層への
拡散を促進させて、活性層のバンドギャップを共振器内
部よりも増大させて窓領域を形成する工程、とを少なく
とも含む構成としている。
【0136】従って、高出力で高信頼性の半導体レーザ
素子を得るための制御性に優れた製造方法を得ることが
できる。
【0137】さらに、本発明の半導体レーザ素子の製造
方法によれば、半導体基板上に、n型クラッド層、活性
層、第1ドーパントを有するp型クラッド層と第1ドー
パントよりも拡散定数の大きな第2ドーパントを有する
p型キャップ層を成長する工程、共振器端面付近に相当
する部分のp型キャップ層を選択的に厚く形成し、熱ア
ニールによりp型キャップ層の第2ドーパントをp型ク
ラッド層に拡散させて、p型クラッド層中の第1ドーパ
ントの活性層への拡散を促進させて、活性層のバンドギ
ャップを共振器内部よりも増大させて窓領域を形成する
工程、とを少なくとも含む構成としている。
【0138】従って、拡散定数の大きな第2ドーパント
を含むキャップ層を活性層、クラッド層と同時に形成で
き、制御性に優れた製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に関する半導体レー
ザ素子の斜視図である。
【図2】本発明の図1のA−A’断面図であり、リッジ
ストライプ中央部のリッジストライプの長手方向に平行
な方向の断面図である。
【図3】本発明の図1のB−B’断面図であり、共振器
中央部のリッジストライプの長手方向に垂直な方向の断
面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に関する半導体レー
ザ素子の製造方法に関する図であり、(a)はn−Ga
As基板からp−キャップ層までの工程を示す図、
(b)はZnOxストライプの形成からSiO2キャッ
プを形成するまでの工程を示す図、(c)は窓領域及び
活性領域を形成工程を示す図、(d)はリッジストライ
プを形成する工程を示す図、である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に関する半導体レー
ザ素子のp−キャップ層107表面からn−クラッド層
101へのp型不純物(Zn、Be)の濃度分布を示す
図であり、(a)は窓領域121の各層の濃度分布を示
す図であり、(b)は活性領域122の各層の濃度分布
を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に関する半導体レー
ザ素子の斜視図である。
【図7】本発明の図6のC−C’断面図であり、リッジ
ストライプ中央部のリッジストライプの長手方向に平行
な方向の断面図である。
【図8】本発明の図6のD−D’断面図であり、共振器
中央部のリッジストライプの長手方向に垂直な方向の断
面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に関する半導体レー
ザ素子の製造方法に関する図であり、(a)はn−Ga
As基板からp−キャップ層までの工程を示す図、
(b)はZnOxストライプの形成からSiO2キャッ
プを形成するまでの工程を示す図、(c)は窓領域及び
活性領域を形成工程を示す図、(d)はリッジストライ
プを形成する工程を示す図、である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に関する半導体レ
ーザ素子のp−キャップ層207表面からn−クラッド
層201へのp型不純物(Mg、Be)の濃度分布を示
す図であり、(a)は窓領域221の各層の濃度分布を
示す図であり、(b)は活性領域222の各層の濃度分
布を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に関する半導体レ
ーザ素子の斜視図である。
【図12】本発明の図6のC−C’断面図であり、リッ
ジストライプ中央部のリッジストライプの長手方向に平
行な方向の断面図である。
【図13】本発明の図6のD−D’断面図であり、共振
器中央部のリッジストライプの長手方向に垂直な方向の
断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に関する半導体レ
ーザ素子の製造方法に関する図であり、(a)はn−G
aAs基板からp−キャップ層までの工程を示す図、
(b)はZnOxストライプの形成からSiO2キャッ
プを形成するまでの工程を示す図、(c)は窓領域及び
活性領域を形成工程を示す図、(d)はリッジストライ
プを形成する工程を示す図、である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に関する半導体レ
ーザ素子のp−キャップ層307表面からn−クラッド
層301へのp型不純物(Mg、Zn)の濃度分布を示
す図であり、(a)は窓領域321の各層の濃度分布を
示す図であり、(b)は活性領域322の各層の濃度分
布を示す図である。
【図16】従来例の半導体レーザ素子の斜視図である。
【図17】従来例の図16のG−G’における断面図で
ある。
【図18】従来例の半導体レーザ素子のリッジストライ
プ7内部のp−上クラッド層6表面かn−クラッド層2
へのp型不純物(Zn)の濃度分布を示す図であり、
(a)は窓領域のZnの濃度分布を示す図であり、
(b)は活性領域のZnの濃度分布を示す図である。
【符号の説明】 100、200、300 n−GaAs基板 101、201、301 n−第1下クラッド層 101A、201A、301A 活性領域におけるn−
第1下クラッド層 101W、201W、301W 窓領域におけるn−第
1下クラッド層 102、202、302 量子井戸活性層(活性
層) 102A、202A、302A 活性領域における量子
井戸活性層(活性層) 102W、202W、302W 窓領域における量子井
戸活性層(活性層) 103、203、303 p−第1上クラッド層 103A、203A、303A 活性領域におけるp−
第1上クラッド層 103W、203W、303W 窓領域におけるp−第
1上クラッド層 104、204、304 p−エッチング停止層 105、205、305 リッジストライプ 105A、205A、305A 活性領域におけるリッ
ジストライプ 105W、205W、305W 窓領域におけるリッジ
ストライプ 106、206、306 p−第2上クラッド層 106A、206A、306A 活性領域におけるp−
第2上クラッド層 106W、206W、306W 窓領域におけるp−第
2上クラッド層 107、207、307 p−キャップ層 107A、207A、307A 活性領域におけるp−
キャップ層 107W、207W、307W 窓領域におけるp−キ
ャップ層 108、208、308 n−電流阻止層 109、209、309 p−コンタクト層 110、210、310 n−電極 111、211、311 p−電極 121、221、321 窓領域 122、222、322 活性領域 131 ZnOストライプ 132 SiO2キャップ 231、331 SiO2マスク 232 拡散層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、n型クラッド層、活性
    層、p型クラッド層、p型キャップ層を有し、各半導体
    層に垂直な共振器端面を有し、該共振器端面の少なくと
    も一方の端面付近における活性層のバンドギャップが共
    振器内部の活性層のバンドギャップよりも大きい窓領域
    を有する半導体レーザ素子において、 該窓領域のp型クラッド層には第1ドーパントと第1ド
    ーパントより拡散定数の大きい第2ドーパントとが混在
    し、該窓領域以外の活性領域のp型クラッド層には第1
    ドーパントが第2ドーパントより高濃度に存在すること
    を特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体レーザ素子におい
    て、 前記窓領域のp型キャップ層における前記第2ドーパン
    トの濃度が前記第1ドーパントの濃度より高いことを特
    徴とする半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体レーザ素子におい
    て、 前記窓領域以外の共振器内部のp型クラッド層には第1
    ドーパントの濃度が優位的に存在することを特徴とする
    半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の半導体レーザ素子におい
    て、 前記窓領域のp型クラッド層のキャップ層側付近には主
    として第2ドーパントが配設され、 前記窓領域のp型クラッド層の活性層側付近には主とし
    て第1ドーパントが配設されることを特徴とする半導体
    レーザ素子。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の半導体レーザ素子におい
    て、 活性領域の活性層またはn型クラッド層に、第1ドーパ
    ントがほとんど存在しないことを特徴とする半導体レー
    ザ素子。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の半導体レーザ素子におい
    て、 前記窓領域のp型クラッド層のキャップ層側付近におけ
    る第2ドーパントの濃度が1×1018cm-3以上、1×
    1019cm-3以下であることを特徴とする半導体レーザ
    素子。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の半導体レーザ素子におい
    て、 p型クラッド層の活性層側付近における第1ドーパント
    の濃度が5×1017cm-3以上、3×1018cm-3以下
    であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項4記載の半導体レ
    ーザ素子において、 第1ドーパントと第2ドーパントの組み合わせが、各々
    ベリリウムと亜鉛、ベリリウムとマグネシウム、また
    は、亜鉛とマグネシウム、であることを特徴とする半導
    体レーザ素子。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の半導体レーザ素子におい
    て、 窓領域上部のリッジ上部に電流阻止層を有し、その長さ
    が窓領域の長さよりも長いことを特徴とする半導体レー
    ザ素子。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の半導体レーザ素子にお
    いて、 前記半導体の構成材料が、インジウム、ガリウム、リン
    を少なくとも含むことを特徴とする半導体レーザ素子。
  11. 【請求項11】 半導体基板上に、n型クラッド層、活
    性層、第1ドーパントを有するp型クラッド層とp型キ
    ャップ層を成長する工程、 その上に共振器端面付近に相当する部分にのみ、第1ド
    ーパントよりも拡散定数の大きな第2ドーパントとなる
    拡散源を形成する工程、 次に熱アニールによりp型クラッド層に第2ドーパント
    を拡散して、p型クラッド層中の第1ドーパントの活性
    層への拡散を促進させて、活性層のバンドギャップを共
    振器内部よりも増大させて窓領域を形成する工程、 とを少なくとも含むことを特徴とする半導体レーザ素子
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 半導体基板上に、n型クラッド層、活
    性層、第1ドーパントを有するp型クラッド層と第1ド
    ーパントよりも拡散定数の大きな第2ドーパントを有す
    るp型キャップ層を成長する工程、 共振器端面付近に相当する部分のp型キャップ層を選択
    的に厚く形成し、熱アニールによりp型キャップ層の第
    2ドーパントをp型クラッド層に拡散させて、p型クラ
    ッド層中の第1ドーパントの活性層への拡散を促進させ
    て、活性層のバンドギャップを共振器内部よりも増大さ
    せて窓領域を形成する工程、 とを少なくとも含むことを特徴とする半導体レーザ素子
    の製造方法。
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