JP2011054834A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子 Download PDF

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Abstract

【課題】自励発振特性と通常の半導体レーザとしての特性とを両立した分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板上に、n型半導体層、活性層、p型半導体層、n側電極、p側電極、および共振器を少なくとも含み、該n側電極は、該n型半導体層または該基板に接触し、該p側電極は、該p型半導体層または該基板に接触し、該p側電極および該n側電極の少なくとも一方は、該共振器の長手方向に対して交差する分割領域によって電気的に2領域以上に分離されており、該活性層は、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、該複数の井戸層のうち、該n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、該p型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層に比べて層厚が薄いことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は窒化物半導体レーザ素子に関し、特に、共振器の長手方向に対して交差する分割領域によって電極が電気的に2領域以上に分離されている窒化物半導体レーザ素子に関する。
窒化物半導体レーザ素子は、現在、たとえば記憶容量の大きな光ディスク装置、より具体的にはBD(Blu-ray Disk)の読み取り用および書き込み用の光源などに多く用いられている。
しかしながら、窒化物半導体レーザ素子を光源として用いたBDの読み取りおよび書き込みにおいても、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった旧来の光ディスク装置と同様に、ディスク面から半導体レーザ素子への戻り光雑音が問題となっている。
このような戻り光雑音への対策としては、従来から、駆動電流を変調させる高周波重畳を利用する方法と、半導体レーザ素子自らが出力変動を行なう自励発振特性を利用する方法の2つの方法がある。いずれの方法も多モード発振状態にして可干渉性を低下させることで、雑音特性を改善している。
高周波重畳を利用する方法と、自励発振特性を利用する方法とを比較すると、高周波回路をシステムに組み込む必要のない後者の方法が、半導体レーザ素子の低コスト化かつ小型化を実現できるため有利とされている。しかしながら、窒化物半導体レーザ素子を用いたBDにおいては、高周波重畳を利用する方法しか実現されていないのが現状であり、自励発振特性を利用した自励発振型レーザ素子を用いる方法の実用化は未だされていない状況にある。
自励発振型レーザ素子の使用を可能とするためには、可飽和吸収領域を半導体レーザ素子の内部に形成する必要があるが、その形成方法によって3つのタイプに分けることができる。
第1のタイプは、活性層の上部および/または下部に可飽和吸収の機能を有する層を設けるタイプ(「可飽和吸収層形成タイプ」)である。
第2のタイプは、ストライプ構造を有する半導体レーザ素子において、横方向の屈折率差(Δn)を小さくして活性層における光閉じ込めを弱めて、横方向の光分布を電流分布に対して広げることで、利得領域の横方向近隣領域(ストライプ部の外側の活性層)を可飽和吸収領域として利用するタイプ(「Δn調整タイプ」)である。
第3のタイプは、電極を2領域以上に分離することにより電流が注入されない電流非注入領域を共振器の長手方向の一部に設けて、この電流非注入領域を可飽和吸収領域として利用するタイプ(「分離電極タイプ」)である。
これらの3タイプのうち、分離電極タイプは、通常の実用化されている半導体レーザ素子から、半導体層の構造を変えることなく、比較的容易なプロセスで作製できるというメリットがある。特開2004−186678号公報(特許文献1)には、このような分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子において、可飽和吸収領域として機能する電流非注入領域に対応するp側電極とn側電極とを電気的に短絡させたり、pn接合に逆バイアスを印加することで、自励発振が得られることが開示されている。また、特開2007−081196号公報(特許文献2)には、電流非注入領域を利得領域で発生したレーザ光の検知に用いる技術が開示されている。
特開2004−186678号公報 特開2007−081196号公報
自励発振特性を得るためには、利得領域に対して可飽和吸収領域においてキャリア寿命を十分短くする必要がある。可飽和吸収領域に位置するp側電極とn側電極とを短絡させたり、可飽和吸収領域のpn接合に対して逆バイアスを印加させたりすることは、このようにして半導体層に生じた内部電界を利用することにより、可飽和吸収領域において光吸収により生じたキャリアを活性層から掃き出すことによって、キャリア寿命を短くさせることができる。
この場合、逆バイアスを印加させることは、空乏層に生じる内部電界を大きくするとともに、空乏層領域を拡げることができるので、確実にキャリア寿命を短くすることができる。しかしながら、自励発振特性を有する半導体レーザ素子をBDの光源として実用化するためには、逆バイアスを印加する機構を新たに設ける必要があり、システムの簡略化や小型化の観点から望ましくない。したがって、その実用化のためには、p側電極とn側電極との短絡のみによって有効な自励発振特性を得る必要があると考えられる。
この点に関し、特許文献1では、窒化物半導体はGaAs系に比べてバンドギャップが大きいため内部電界が大きくなるので、キャリア寿命の短縮に有利であると述べられている。しかしながら、p側電極とn側電極との短絡のみで実用化に耐え得る自励発振特性を得るためには、よりキャリア寿命を短くする必要がある。たとえば、広い温度範囲で自励発振特性を示すことや、長時間の使用後にも自励発振特性を維持するためには、よりキャリア寿命を短くして、自励発振特性を示すトレランスを大きくすることが有効である。
一方、自励発振型半導体レーザ素子では、閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりが発生するという難点があるが、キャリア寿命をより短くすることによって、可飽和吸収領域を小さくしても自励発振特性を示すようにすれば、このような問題に対しても有効となる可能性がある。
また、特許文献2には、電流非注入領域を利得領域で発生したレーザ光の検知に用いる技術が開示されているが、この技術において検知に用いられる電流としては、光吸収により生じたキャリアが活性層から掃き出される際に発生する光誘起電流を利用している。上述のように自励発振特性を目的としたキャリア寿命の短縮は、光誘起電流の増大にも繋がるので、レーザ光の検知技術にも用いることが可能である。光誘起電流の増大は、レーザ光の検知の際の精度向上や、電流非注入領域に印加するバイアス電圧のトレランス増大というメリットがある。
以上のように、可飽和吸収領域のキャリア寿命をより短くすることが、良好な自励発振特性を得るために必要である。しかしながら、自励発振特性を有する半導体レーザといえども、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザの特性を悪化させるようなことはあってはならない。したがって可飽和吸収領域のキャリア寿命を短くする際に、利得領域になるべく影響を与えないようにすることが望まれる。可飽和吸収層形成タイプであれば、可飽和吸収領域は利得領域の活性層とは独立した可飽和吸収層として設けられるので、この層でのキャリア寿命が短くなるようにしても、利得領域の活性層に影響を与えないようにすることが可能である。
しかし、分離電極タイプの場合は、可飽和吸収領域と利得領域との活性層が共通するため(両領域で同一の活性層を利用するため)、可飽和吸収領域のキャリア寿命を短くさせようとすると、必然的に利得領域にも影響が及んでしまう。一つの活性層を形成した後にウェハプロセスなどで可飽和吸収領域のみにキャリア寿命を短くさせる構造を設けることも可能ではあるが、比較的容易なプロセスで作製できるという分離電極タイプの大きなメリットが損なわれる。
よって、本発明の課題は、簡便な方法で、自励発振特性と通常の半導体レーザとしての特性とを両立した分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板上に、n型半導体層、活性層、p型半導体層、n側電極、p側電極、および共振器を少なくとも含み、該n側電極は、該n型半導体層または該基板に接触し、該p側電極は、該p型半導体層または該基板に接触し、該p側電極および該n側電極の少なくとも一方は、該共振器の長手方向に対して交差する分割領域によって電気的に2領域以上に分離されており、該活性層は、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、該複数の井戸層のうち、該n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、該p型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層に比べて層厚(厚み)が薄いことを特徴とする。
ここで、上記n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、上記複数の井戸層のうち、最も薄い層厚を有することが好ましい。また、上記複数の井戸層の数は、3であることが好ましく、上記n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、他の二つの井戸層に比べて層厚が薄く、該他の二つの井戸層は、互いに等しい層厚であることが好ましい。また、上記複数の井戸層の数は、2であることが好ましい。
また、上記複数の井戸層は、同一の材料および同一の組成であることが好ましい。また、上記基板は、上面を(000+1)面(本発明においては(0001)面をこのように(000+1)面とも記す)とするGaNであることが好ましい。
また、上記分割領域によって分離された少なくとも1領域の電極(p側電極またはn側電極を示す)は、該電極の反対側の電極との間で短絡されることにより短絡領域を形成するとともに、該短絡された電極以外の少なくとも1領域の電極は、該電極の反対側の電極との間で短絡されていない非短絡領域を形成することが好ましい。
また、上記窒化物半導体レーザ素子は、自励発振特性を備えることが好ましい。
一方、本発明は、上記の窒化物半導体レーザ素子を光源として用いた光ディスク装置にも係わり、同じく上記の窒化物半導体レーザ素子を用いた画像表示装置にも係わる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、上記のような構成を有することにより、簡便に自励発振特性と、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザとしての特性とを両立することができるという優れた効果を有する。
本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を示すリッジ構造中央部の模式的断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を示す端面に平行な模式的断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を示すp側電極側の模式的平面図である。 井戸層の層厚と波動関数の重なりの二乗との関係を示すグラフである。 本発明の窒化物半導体レーザ素子の図2とは異なる態様の実施形態を示す端面に平行な模式的断面図である。 図5の活性層周辺を拡大した拡大断面図である。 本発明の窒化物半導体レーザ素子のパッド電極パターンの一例を示した平面図である。 実施例の半導体レーザ素子の活性層付近のバンド図である。 窒化物半導体レーザ素子の活性層周辺を拡大した図6とは異なる態様の拡大断面図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本明細書の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。なお、本発明において「上面」とは、基板においては半導体層が形成される側を示し、各半導体層においては基板から遠くなる側を示す。
<窒化物半導体レーザ素子>
図1は、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を模式的に示した断面図である。すなわち、図1は、窒化物半導体レーザ素子100のリッジ構造中央部の共振器の長手方向に平行な断面図である。これに対し、図2も、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を模式的に示した断面図であるが、窒化物半導体レーザ素子の端面に平行な断面図であって、図1の断面図とは直交する方向の断面図である。一方、図3は、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施形態を示すp側電極側の模式的平面図である。すなわち、図3は窒化物半導体レーザ素子のp側電極側を上方とした場合の上面図である。
図1〜図3に示されるような本発明の窒化物半導体レーザ素子100は、n型のGaN等からなる基板10上に、n型半導体層であるn型窒化物半導体層20、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有する活性層30、p型半導体層であるp型窒化物半導体層40、n側電極80、p側電極70、および共振器90を少なくとも含む構造を有する。ここで、n側電極80とは、n型窒化物半導体層20に近い方の電極であり、p側電極70とはp型窒化物半導体層40に近い方の電極である。通常、n側電極80は、n型半導体層または基板に接触し、p側電極70は、p型半導体層または基板に接触する。
また、図2に示すように、本発明の窒化物半導体レーザ素子100は、半導体層(好ましくはp型窒化物半導体層40)の一部が除去されたリッジストライプ型の構造(本発明では単に「リッジ構造」とも記す)を有することが好ましい。この場合、リッジストライプ部55以外の領域(すなわちリッジストライプ部55の側面部およびその側面部に続く平面部)には絶縁膜60が形成されていて、このリッジストライプ部55の表面部(上面部)のみに電流は注入されることになる。したがって、図2におけるこのリッジストライプ部55の表面部の幅とほぼ同等の幅を有し、活性層30を中心として長手方向に広がる領域が共振器90として作用する。本発明の窒化物半導体レーザ素子は、このような共振器90を含むものであるが、図3の共振器90の表記は正確には共振器90の長手方向の位置を示したものである。
なお、本発明において、「窒化物半導体」とは、III−V族化合物半導体において、V族元素が窒素である場合の総称であるが、V族元素が窒素のみの場合に限られるものではなく、窒素の一部が他の元素に置換されていても本発明の範囲を逸脱するものではない。
<電極の分離>
本発明の窒化物半導体レーザ素子において、p側電極70およびn側電極80のうち少なくとも一方は、共振器90の長手方向に対して交差する分割領域95によって電気的に2領域以上に分離されていることを要する。具体的には、たとえば図1および図3に示したように、p側電極70(分割領域95によって分離される前の状態を仮定した場合の長手方向に連続して存在するp側電極)は、共振器90の長手方向に対して交差する分割領域95によってp側電極71とp側電極72とに分離される。このp側電極71とp側電極72とは、互いに電気的に分離されたものであり、便宜的にp側電極71側の領域を第1領域91と呼び、p側電極72側の領域を第2領域92と呼ぶものとする。なお、図1および図3では、p側電極70が2領域に分離される態様を示しているが、このような領域の分離は3領域以上に分離されていてもよい。また、n側電極80が分離されていてもよい。また、分割領域95には電極が形成されていないので、この分割領域95によって分離される各々の領域は電気的に分離されるものとなる。
そして、第1領域91に対して通常の半導体レーザ素子と同様に電流注入を行なうと、この領域がレーザ発振を生じさせる利得領域となる(なお、この場合、第1領域91が上記でいう非短絡領域である)。一方、第2領域92に対しては電流注入を行なわないこととすると、この第2領域92が可飽和吸収領域となる。この可飽和吸収領域とは、利得領域で発振されたレーザ光の一部を吸収し、その吸収量がこの領域におけるキャリア密度の増減に伴い変化する作用を有する領域となるため、このような可飽和吸収領域を有する本発明の窒化物半導体レーザ素子は自励発振特性を備えたものとなる。なお、このように2領域だけではなく3領域以上に電極が分離されている場合も、電流注入の有無や大小によって、利得領域または可飽和吸収領域として機能する領域がそれぞれ少なくとも1領域以上形成されることになる。
なお、p型窒化物半導体層40は、GaAs系の化合物半導体またはn型窒化物半導体層20などに比べて極めて電気抵抗が高いという特徴を有する。このため、p側電極70を分割領域95により分離する場合は、この分割領域95の幅(ここでいう「幅」とは共振器90の長手方向に平行な距離(長さ)をいう)を1〜10μm程度とするだけでも、電気的な分離が可能となる。分割領域95は、上述の通り電流注入が行なわれないので可飽和吸収領域として機能するが、電極がないためにキャリアの掃き出しを十分に行なうことができない。したがって、キャリア寿命が短くならず単なる吸収領域となる可能性があるので、自励発振特性の観点からはできるだけ分割領域の幅を小さくすることが好ましい。故に、p側電極70を電気的に分離する方が、n側電極80を電気的に分離するよりも分割領域の幅を小さくしても、電気的な分離を行なうことができるため好ましい。なお、分割領域の窒化物半導体層を除去することによっても電気的な分離は可能である。
<短絡>
上記のように分割領域によって分離された少なくとも1領域の電極は、該電極の反対側の電極との間で短絡されることにより短絡領域を形成するとともに、該短絡された電極以外の少なくとも1領域の電極は、該電極の反対側の電極との間で短絡されていない非短絡領域を形成することが好ましい。これを、図1および図3を例にとり具体的に説明すると次のようになる。
すなわち、第1領域91に対して通常の半導体レーザ素子と同様に電流注入を行なうと、この領域がレーザ発振を生じさせる利得領域となる。この場合、第1領域91が上記でいう非短絡領域である。なぜなら、p側電極71と、n側電極80(p側電極71の反対側の電極に相当する)とが短絡されることなく電流が注入されるからである。
これに対し、第2領域92は電流が注入されず可飽和吸収領域となるものであるが、この第2領域92において、さらにp側電極72と、n側電極80(p側電極72の反対側の電極に相当する)とを短絡させることにより上記でいう短絡領域とする。このように可飽和吸収領域を短絡領域とすることにより、活性層で発生するキャリアの掃き出しを促進させることができ、以ってキャリア寿命を短くすることができるため極めて好ましい。
なお、図1および図3においては、このようなp側電極とn側電極との短絡を具体的に表わしていないが、このような短絡の手段としては、たとえばワイヤボンディング、導電性膜の両電極への接触など、種々の手法を用いることができる。
一方、上記のように両電極を電気的に短絡させるだけではなくバイアス電圧を印加させることでもキャリア寿命を制御することが可能となる。たとえば、キャリア寿命を短くするためには、pn接合に対して逆バイアス電圧を印加することが有効である。これは、逆バイアス電圧の印加により、内部電界が大きくなるとともに、さらに空乏層が拡がることで活性層へ掛かる電界が強まる結果、キャリアの掃き出しが促進されるからである。しかしながら、当該窒化物半導体レーザ素子の実用性を考慮すると、逆バイアス電圧を印加することなく、p側電極とn側電極との短絡のみで自励発振特性を得ることが望まれる。
<活性層の構造>
本発明の窒化物半導体レーザ素子の活性層は、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、その複数の井戸層のうちn型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、p型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層に比べて層厚が薄いことを特徴とする。
従来の分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子の活性層は、多重量子井戸構造を有する場合であってもそれに含まれる各井戸層の層厚は同一であった。これに対して、本発明においては、各井戸層の層厚を適切に制御することにより、利得領域に影響が及ぶことを回避しつつ、可飽和吸収領域のキャリア寿命を短くし、優れた自励発振特性を得るとともに、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザの特性をも良好なものとしている。すなわち、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、簡便な方法で、自励発振特性と通常の半導体レーザとしての特性とを両立することができるという特徴を示す。以下にそのメカニズムを説明する。
まず、一般的な分離電極タイプの半導体レーザでの、自励発振メカニズムについて説明する。利得領域から発せられるレーザ光の一部は、注入キャリアが利得領域よりも少ないために吸収係数が高くなっている可飽和吸収領域の活性層で吸収される。この光吸収によって可飽和吸収領域の活性層でキャリアが生成される。活性層が量子井戸構造を有する場合は、大半のキャリアは活性層の中でも最もバンドギャップが小さい量子井戸構造中の井戸層にて生成される。そして、生成されたキャリアによって、可飽和吸収領域の吸収係数が小さくなる方向に変化すると共振器内の損失が少なくなるため、過剰な誘導放出光が発生し、利得領域ではキャリアが枯渇してしまいレーザ発振を維持できなくなり、レーザ発振が停止してしまう。
しかし、電流注入は継続して行なわれるので、再び利得領域でレーザ発振が起こるが、この時点で、可飽和吸収領域で先の光吸収にて生成されたキャリアが十分に消滅して吸収係数が大きくなる方向に戻っていれば、再びレーザ発振の停止が起こり、このサイクルが繰り返されることになる。これが自励発振のメカニズムであり、自励発振を起こすためには可飽和吸収領域において速やかに光吸収で生成されたキャリアが消滅すること、すなわちキャリア寿命が短いことが必要となる所以である。
ここで、キャリアが消滅する機構としては、電子と正孔の対で発生する発光再結合あるいは非発光再結合や、ドリフトや拡散による輸送などが考えられる。分離電極タイプの半導体レーザ素子における可飽和吸収領域においては、特許文献1に記載のあるとおり、pn接合による内部電界の働きによってキャリアを活性層から掃き出させることを利用しているので、すなわちドリフトによる輸送をキャリア消滅機構として用いていることになる。ところが、窒化物半導体レーザ素子特有のピエゾ電界がこの輸送を妨げることを本発明者は見出した。以下に、ピエゾ電界が分離電極タイプの半導体レーザにおける自励発振特性に与える影響について述べる。
従来の一般的な窒化物半導体レーザ素子を構成する半導体層には、ウルツ鉱型結晶構造を有していて上面が(000+1)面である窒化物半導体が用いられる。そして、活性層の上方([000+1]方向)にp型窒化物半導体層が、下方([000−1]方向)にn型窒化物半導体層が位置するのが通常である。これは、基板としてn型のものが容易に入手できることや、結晶性が劣る傾向の高いp型窒化物半導体層を活性層の上側に形成することで活性層の結晶性を損なわないようにすることが、起因していると考えられる。
活性層には、障壁層と井戸層とからなる量子井戸構造が一般に用いられる。そして、井戸層には、p型窒化物半導体層およびn型窒化物半導体層よりもバンドギャップの小さい材料が用いられるのだが、そのような材料は一般に格子定数が大きいため、圧縮歪みが加わることにより下地の半導体層の格子定数と揃った状態で形成される(コヒーレント成長)のが一般的である。このような井戸層の層厚は1nm〜20nm程度とされることが多く、このような極めて薄い層厚とすることによりコヒーレント成長するものであり、逆に、歪みが緩和してしまうと転位などの欠陥が層中に入ってしまい結晶性が悪化してしまうので、好ましくない。
歪みを有し、かつ上面が(000+1)面である窒化物半導体層は、ピエゾ電界を有することになるが、上記したような位置関係や歪みの状況では、井戸層に生じるピエゾ電界の方向は、該層の上面から下面に向かう方向となり、この方向はpn接合による内部電界とは反対の方向に相当する。
したがって、pn接合による内部電界の働きによってキャリアを井戸層から掃き出させることを利用する分離電極タイプの自励発振特性を有する窒化物半導体レーザ素子では、ピエゾ電界は自励発振特性に対する阻害要因となる。よって、本発明は、このピエゾ電界を低減することにより自励発振特性を向上させるということを基本原理とするものである。このような分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子におけるピエゾ電界と自励発振特性との関係は、従来全く知られておらず、本発明者がはじめて見出した知見である。
ところで、ピエゾ電界の影響を低減するために、井戸層の層厚を薄くすることが有効であることは一般に知られている。このため、分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子においても単に井戸層の層厚を薄くすることによって、可飽和吸収領域でのキャリア寿命を短くし、自励発振特性を改善することができると考えることも可能である。
しかし、上記した通り、分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子では、利得領域と可飽和吸収領域の活性層(すなわち井戸層)が共通であるため、上記の知見により単純に可飽和吸収領域の井戸層の層厚を薄くしてしまうと利得領域の井戸層の層厚も必然的に薄くなってしまう。しかし、下記のように、利得領域において井戸層の層厚が薄くなることは好ましくない。
すなわち、本発明者は、このようなトレードオフの問題を検討するべく、分離電極タイプでない通常の窒化物半導体レーザ素子を用いて種々の実験を繰り返したところ、井戸層の層厚が薄くなるに従い、連続駆動試験中の閾値電流増大の度合いが大きくなることが分かった。その原因については未解明の部分があるが、たとえば活性層の光閉じ込め係数Γactの低下による閾値電流の増大や、キャリア密度が増加しやすくなることに伴うキャリアオーバーフローの増大、単位層厚当たりの光強度分布の増大による発熱劣化の上昇、などが考えられる。以上の理由から、井戸層の層厚は、利得領域では厚い方が好ましく、逆に可飽和吸収領域では薄い方が好ましいということになる。
そこで、上記で得られた知見に基づき、活性層を多重量子井戸構造とした場合の各井戸層の状態について検討した。窒化物半導体においては電子に比べて、正孔の有効質量が大きくモビリティが小さい。そのため多重量子井戸構造を利用しても正孔が均一に注入されない。正孔は、p型半導体層から輸送されるので、p型半導体層に近い側の井戸層には比較的正孔が注入されやすく、p型半導体層から遠ざかってn型半導体層に近い側の井戸層には正孔が注入されにくい。したがって、レーザ発振の際には、p型半導体層に近い側の井戸層がレーザ発振に必要なだけの利得を主として有していて、n型半導体層に近い側の井戸層では実際にはレーザ発振にはあまり寄与していないと考えられる。分離電極タイプでない通常の窒化物半導体レーザ素子を用いた、本発明者の上記の検討では、レーザ発振に寄与する井戸層はp型半導体層側から数えて1番目のみ、あるいは1番目と2番目の井戸層までである場合が主であることが確認された。つまり、p型半導体層側から数えて2番目、あるいは3番目以降の井戸層はレーザ発振にはあまり寄与していないケースがあることが分かった。したがって、利得領域の特性を決めているのは、p型半導体層に最も近くなる側の井戸層のみであると考えられる。よって、上記の通り、利得領域では井戸層の層厚が厚い方が好ましいことを考慮すると、p型半導体層に最も近くなる側の井戸層を特性に影響を及ぼさない程度の厚さにすれば良いと結論できる。
一方、レーザ発振に寄与する利得が小さいn型半導体層側の井戸層については、井戸層の層厚を薄くしても利得領域の特性には直接影響しないと考えられる。したがって、可飽和吸収領域においてキャリアが速やかに消滅するように(すなわち、キャリア寿命を短くすることができるように)、ピエゾ電界の影響を低減するべく、n型半導体層側(より好ましくはn型半導体層に最も近くなる側)の井戸層の層厚を薄くすることが好ましいと結論できる。
ただし、n型半導体層側の井戸層だけの層厚を薄くしたとしても、光吸収がp型半導体層側の井戸層で生じると、キャリア寿命を低減する効果は得られないとも考えられる。たとえば、可飽和吸収層形成タイプでは、可飽和吸収層のバンドギャップを利得領域の活性層のバンドギャップよりも小さくすることで吸収を促進させることが一般に行なわれる。本発明のような分離電極タイプにおいても、n型半導体層側の井戸層だけにおいてバンドギャップを小さくするように、材料および組成をp型半導体層側の井戸層と異ならせることも考えられるが、精密な組成制御が必要となるため、生産時にばらつきの要因となり好ましくない。
本発明者の研究によれば、この問題点について、井戸層の層厚を薄くすると、ピエゾ電界による伝導帯と価電子帯の波動関数の重なりの減少を低減できることが分かった。図4は、GaNからなる障壁層に挟まれたIn組成10%のInGaNからなる井戸層において、伝導帯と価電子帯の波動関数の重なりの二乗を計算し、その結果と層厚との関係を示したグラフである。図4から明らかな通り、井戸層の層厚を薄くすると、波動関数の重なりの二乗が増大することが分かる。波動関数の重なりの二乗は、伝導帯と価電子帯間のキャリア遷移確率、すなわち光吸収の確率に相当するので、可飽和吸収領域では、層厚を薄くした井戸層で優先的に光吸収が生じることになる。
したがって、たとえn型半導体層側で井戸層の層厚を薄くしても、上記考察(すなわち利得領域では井戸層の層厚は厚い方が好ましく、可飽和吸収領域では逆に薄い方が好ましい)に反しないことが分かる。
本発明は、上記のような研究結果により完成されたものであり、活性層に含まれる井戸層の層厚をバランスよく制御したものである。すなわち、本発明は、分離電極タイプの窒化物半導体レーザ素子において活性層が複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、その複数の井戸層のうちn型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層がp型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層に比べて層厚が薄いことを特徴とするものである。本発明は、このような構成を有することにより、優れた自励発振特性を得るとともに、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザの特性をも良好なものにすることができるのである。
<窒化物半導体レーザ素子の具体的構造>
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、図1〜図3に示すように、基板10上に、複数の窒化物半導体層が形成される。すなわち、この窒化物半導体層としては、少なくとも、n型半導体層であるn型窒化物半導体層20、窒化物半導体結晶等からなる複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有する活性層30、およびp型半導体層であるp型窒化物半導体層40が含まれる。これらは、基板10側から、n型半導体層、活性層30およびp型半導体層の順に積層された構造を有することが好ましい。これは、基板上にn型半導体層を形成すると、p型窒化物半導体層よりも結晶性に優れるn型窒化物半導体層が、活性層の下に位置することで、活性層の結晶性を良好にできるというメリットがあるためである。
また、半導体層(好ましくはp型窒化物半導体層40)は、一部が除去されていて、ストライプ状(細長状)のリッジストライプ部55が設けられている。
このような本発明の窒化物半導体レーザ素子は、以上の半導体層を基板上に含む限り、他の任意の層を含むことができる。以下、各構成についてさらに詳述する。
<基板>
基板10は、GaN、サファイア、SiC、GaAs、Si、AlN、AlGaN、InGaNなど、特に限定されることなく種々のものを用いることができる。特に、上面を(000+1)面とするGaNから構成されたGaN基板を用いると、窒化物半導体層を結晶成長させた際に結晶の品質を高めることができるので生産性を高めることができる。このため、基板10としては、上面を(000+1)面とするGaNを採用することが好ましい。
<n型窒化物半導体層>
n型窒化物半導体層20は、たとえば、n型バッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層、n型ガイド層などからなる。n型バッファ層とn型コンタクト層とは省略可能である。基板10としてGaN基板を用いた場合には、基板10上に直接、n型クラッド層を形成することもできる。この他にも、ホールブロック層を設けたり、導電性がn型でない層を一部に設けたり、特に限定なく種々の構造を用いることができる。また、n型窒化物半導体層20には、n型不純物として、Si、OなどのIV族元素またはVI族元素などのいずれか1つ以上が含まれる。中でも、Siが好ましい。不純物濃度は、5×1016cm-3〜1×1021cm-3程度の範囲とすることができる。好ましくは、1×1017cm-3〜5×1018cm-3程度である。
<p型窒化物半導体層>
p型窒化物半導体層40は、たとえば、p型キャリアブロック層、p型クラッド層、p型ガイド層、p型コンタクト層などからなる。p型ガイド層とp型コンタクト層とは省略可能である。この他にも、活性層30とp型キャリアブロック層との間に中間層を設けたり、導電性がp型でない層を一部に設けたり、特に限定なく種々の構造を用いることができる。また、p型窒化物半導体層40は、p型不純物として、Mg、Be、Zn、Cなどの元素をいずれか1つ以上含む。中でも、MgまたはCが好ましい。不純物濃度は、5×1016cm-3〜1×1021cm-3程度の範囲とすることができる。好ましくは、5×1018cm-3〜2×1020cm-3程度である。
<活性層(井戸層)>
活性層30は、上述のように、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、n型半導体層とp型半導体層との間に設けられている。ここで、上記複数の井戸層の数は、特に限定されないが、2または3であることが好ましい。井戸層の数が4以上であると閾値電流が大きくなるので好ましくない場合がある。本発明の特徴は、上述の通り、井戸層の層厚が均一でない点にあり、p型半導体層に最も近くなる側の井戸層に比べてn型半導体層に最も近くなる側の井戸層の層厚(厚さ)が薄くなっている点にある。そして、利得領域での影響を最小にしつつ、可飽和吸収領域でのピエゾ電界の影響を効果的に低減することができるという観点から、n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、複数の井戸層のうち、最も薄い層厚を有することが好ましい。なお、本発明において井戸層の数がnである場合、n型半導体層側から順に、第1井戸層、第2井戸層と呼び、n番目のものを第n井戸層と呼ぶこととする。
ここで、具体的に各井戸層の層厚を説明する。井戸層の数が2であれば、第1井戸層(すなわちn型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層)が第2井戸層(すなわちp型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層)に比べて薄くなっている。この場合、第1井戸層は1nm以上4nm以下であることが好ましい。1nmよりも薄いと作製が困難となるので好ましくない。4nm以下であれば、ピエゾ電界の影響を低減できるので、可飽和吸収領域において光を吸収しやすく、またキャリア寿命も短くできるので好ましい。より好ましくは、ピエゾ電界の影響をより低減できるのでその層厚は3nm以下とすることが好適である。一方、第2井戸層は、3nm以上10nm以下であることが好ましい。ただし、第2井戸層の層厚は、第1井戸層より厚くする必要がある。3nmよりも薄いと前述の通り信頼性が損なわれるので好ましくない。10nmよりも厚いと量子効果が弱まる等の理由から、閾値電流が高くなるので好ましくない。より好ましくは4nm以上10nm以下である。
井戸層の数が3であれば、第1井戸層(すなわちn型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層)の層厚は、第3井戸層(すなわちp型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層)の層厚よりも薄くなる。より好ましくは、第1井戸層の層厚は、第2井戸層および第3井戸層よりも薄いことが好適である。また、第2井戸層と第3井戸層の層厚は、特に限定されないが、第2井戸層と第3井戸層の層厚を互いに等しくすることが好ましい。これは、両者の層厚を等しくすることにより両者の利得スペクトルを近いものにすることができる(井戸層の層厚が異なると状態密度やキャリアの注入が異なることで利得スペクトルが一致せず利得が分散してしまう)ので、より効率よくレーザ発振に寄与する利得を得ることができ、閾値電流を低くできるためである。このように井戸層の数が3である場合、第1井戸層の層厚は1nm以上4nm以下が好ましく、より好ましくは1nm以上3nm以下であり、第2井戸層と第3井戸層の層厚は3nm以上10nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以上10nm以下である。これらの理由は、井戸層の数が2である場合と同じである。なお、第2井戸層と第3井戸層の層厚は第2井戸層の方が薄くなっていても構わないが、この場合でも第1井戸層が第2井戸層よりも薄くなっていることが好ましい。第2井戸層の方が第1井戸層よりも薄いと、第2井戸層で光吸収が最も多くなってしまい、本来利得領域で優先的に機能させたい第2井戸層が可飽和吸収領域で機能してしまう。すると、自励発振特性については問題ないが、通常の半導体レーザ特性については、利得領域での井戸層の層厚が不足するため、閾値電流や信頼性を損なってしまう。したがって、第2井戸層が第3井戸層の層厚よりも薄くなっている場合は、第1井戸層が第2井戸層よりもさらに薄くなっていることが好ましい。なお、井戸層の数が4以上である場合も、井戸層の数が3以下である場合と同様の要領で膜厚を設定することができる。
本発明において活性層は、窒化物半導体により構成されることから、井戸層も窒化物半導体から構成される。そして、複数の井戸層は、同一の材料および同一の組成であることが好ましい。各井戸層において材料および組成を変えると、生産の際のばらつきを防止することが困難となるからである。ただし、組成については、層厚の薄いn型半導体層側の井戸層をp型半導体層側の井戸層に比べてバンドギャップが小さくなるような組成とすることができ、これにより光吸収が促進され自励発振が得られやすくなる。しかし、このように組成を変更すると、生産の際に組成変動がばらつきの要因になりかねないので、上記の通り各井戸層で組成を同一とすることが好ましい。
なお、このような活性層には、障壁層も含まれ、この障壁層は井戸層と同じく窒化物半導体からなっている。その組成や層厚は光閉じ込めやキャリア閉じ込めなどの点を考慮して、適宜設定される。
活性層の導電型は、特に限定されることはなく、不純物ドーピングを行なわなくてもよいし、p型不純物および/またはn型不純物を5×1016cm-3〜1×1021cm-3程度の範囲でドーピングしてもよい。
<窒化物半導体結晶の組成など>
n型半導体層、活性層およびp型半導体層をそれぞれ構成する窒化物半導体結晶としては、たとえばGaN、AlGaN、InGaN、AlN、InN、AlInGaNなどを挙げることができる。さらに、このような窒化物半導体結晶としては、III族元素としてB(ホウ素)が一部に置換されたものを用いてもよいし、V族元素としてのN(窒素)の一部をP(リン)、As(砒素)で置換されたものを用いてもよい。どのような材料、組成、層厚のものを用いるかは、レーザの波長帯、光閉じ込め、作製上の都合等を鑑みて適宜選択することができる。
いずれの層も、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学気相デポジション)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシャル)法およびスパッタ法などの気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法またはフラックス法などの液相成長法などを用いて作製することができ、これらの各成長法をそれぞれ単独であるいは2つ以上の成長法を適宜組み合わせるなど、特に限定なく種々の成長法を用いることができる。
<リッジ構造>
本発明の窒化物半導体レーザ素子では、好適な実施形態としてp型窒化物半導体層40の少なくとも一部に、上記したストライプ状(細長状)のリッジストライプ部55が設けられていることが好ましい。このリッジストライプ部55は、電流狭窄機能と、ストライプ内外で屈折率差をつけて横方向の光閉じ込めを行なう導波路機能とを有する。
リッジストライプ部55の幅(端面に平行な断面における横方向の長さ)は、1.0μm〜20.0μm程度とすることができる。光ディスクシステムの光源用途などでレーザ光をシングルモードにする必要がある場合には、リッジストライプ部55の幅は、1.0μm〜3.0μm程度であるのが好ましい。ディスプレイ用途などでマルチモードでもよい場合には、最大光出力を高めるために、リッジストライプ部55の幅は、2.0μm〜20.0μm程度となる。なお、リッジストライプ部55の断面形状(端面に平行な断面形状)が台形である場合は、リッジストライプ部55の幅とは上底の長さをいうものとする。
また、リッジストライプ部55の高さ(端面に平行な断面における縦方向の長さ)は、0.1μm〜2.0μm程度である。リッジストライプ部55の幅およびリッジストライプ部55の高さは、横方向の光閉じ込めに大きく影響を及ぼすため、その点を考慮して設定することが好ましい。
<共振器および端面>
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、図1に示すように、端面110と端面120とを共振器端面とする共振器を有している。このような端面110および端面120は、基板10の成長主面に対して垂直な面であることが好ましい。また、基板10がGaNで構成される場合であってその成長主面が(000+1)面となる場合、端面110および端面120は、それぞれ{1−100}面または{11−20}面とすることができる。また、端面110および端面120を劈開により形成する場合は、劈開面の平坦性を考慮して{1−100}面とすることが特に好ましい。また、このような端面を形成する方法としては、劈開以外にもドライエッチングを用いてエッチドミラーの端面とする方法などを挙げることができる。
<絶縁膜>
p型半導体層の上面(すなわちp側電極側)には、絶縁膜60が形成されていることが好ましい。この絶縁膜60は、リッジストライプ部55の上面部分(すなわちp側電極と接する部分)の少なくとも一部においてp型半導体層を露出させるようにして形成する必要がある。
また、絶縁膜60は、Si、Ti、Ta、Al、Zr、Nb、Hf、Znなどの酸化物、窒化物、酸窒化物などから構成することができる。このような絶縁膜60は、単層で形成してもよいし、2層以上の積層構造としてもよい。また、上記構成材料は、単結晶、多結晶、アモルファスまたはこれらの混在状態といった種々の形態で用いることができる。中でも、生産の容易さ、密着性、熱安定性を考慮すると、絶縁膜60は、Siの酸化物、Zrの酸化物、Alの窒化物、Siの窒化物、Siの酸化物とTiの酸化物との積層構造などにより構成することが好ましい。絶縁膜60の厚みは、50Å〜5000Å程度である。
<p側電極およびその分離>
上記絶縁膜60の上面(基板から遠くなる側)には、p側電極70が形成される。このp側電極70は、リッジストライプ部55の上面部分でp型半導体層に接触する。換言すれば、このp側電極70は、リッジストライプ部55の上面部分を除き、p型半導体層とは絶縁膜60を挟むことにより絶縁されていることが好ましい。
このようなp側電極70は、前述の通り、図1および図3に示されるように共振器の長手方向に対して交差する分割領域95によって電気的に2領域以上に分離されていることが好ましい。このような構造とすることにより、各領域(図1の場合は第1領域91と第2領域92が相当する)を独立して電気的に駆動することができる。
図1に示した実施形態においては、p側電極71が形成された第1領域91とp側電極72が形成された第2領域92の2領域に分離されており、長手方向の長さが第2領域92の方が短くなっている。この場合、第1領域91のみに電流注入を行なうことで第1領域91が利得領域となり、第2領域92には電流を注入せず可飽和吸収領域とすることができる。しかし、これは一例であって、共振器90の長手方向の長さ(「共振器長」ともいう)に対して各領域の長さ(すなわち分離された各電極の長さ)をどのように割り当てるかは、所望される種々の特性を考慮して適宜設計することができる。
たとえば、第2領域92を長くするほど共振器内のトータルでの光吸収量が増大し、閾値電流やスロープ効率が悪化し、閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりが発生する光出力範囲が大きくなるなどのデメリットがある一方で、自励発振特性を示しやすくなる(すなわち自励発振しやすくなる)というメリットがある。この場合に限らず、閾値電流やスロープ効率などのレーザの基本特性と自励発振の起こりやすさは常にトレードオフの関係にある。この関係を打ち破るためには、可飽和吸収領域におけるキャリア寿命をより短くして、自励発振特性を示す範囲で可能な限り可飽和吸収領域を小さくするしかない。したがって、第2領域92は短い方が好ましく、少なくとも第1領域91よりも短くすることが好ましい。より好ましくは、この第2領域92は第1領域91の1/10程度の長さよりもさらに短くすることが好適である。2領域よりも多くの領域に分離されている場合でも同様の現象を考慮して適宜設計するとよい。
なお、可飽和吸収領域とする領域(上記の場合第2領域92)のp側電極とn側電極とは、前述の通り、電気的に短絡されていることが好ましい。このような短絡は、たとえば対応するp側電極とn側電極とを直接ワイヤボンディングしたり、両電極間に実装用のステムの端子を介することにより行なうことができる。他にも、端面などに設けられた導電性の薄膜を介するなど、種々の手法を用いることができる。
また、可飽和吸収領域におけるp側電極とn側電極とは、上記のように電気的に短絡させずに、バイアス電圧を印加させることも可能である。この場合、pn接合に対して逆方向のバイアス電圧を印加させるとキャリア寿命がより短くなり、自励発振特性を向上させることができる。この場合においても本発明の窒化物半導体レーザ素子は、従来の窒化物半導体レーザ素子に比べて同等の自励発振特性を得るのに要するバイアス電圧を小さくできるという効果がある。また、窒化物半導体レーザ素子を用いるシステムの都合によって順方向のバイアス電圧しか印加できないような場合であっても、本発明の窒化物半導体レーザ素子は従来の窒化物半導体レーザ素子に比べて自励発振特性を示しやすいという効果を示す。可飽和吸収領域をレーザ光の検知に用いる場合においても光誘起電流が大きくなり検知精度が向上する効果があるので、本発明の窒化物半導体レーザ素子をそのような用途に好適に用いることができる。
このようなp側電極70は、たとえばPd(パラジウム)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Au(金)、Mo(モリブデン)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)などの金属やこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から構成することができる。また、このようなp側電極70としては、上記のような金属または合金を単層で形成してもよいし、2層以上の積層構造として形成してもよい。中でも、コンタクト抵抗を小さくでき、安定性も高いことから、Pd/Mo、Ni/Au、Ni/Au/Pt、Ni/Au/Pdの組み合わせ(積層の順序は左側の金属を半導体層側とする)が好ましい。p側電極70を積層構造に構成した場合の各層の厚みは、50Å〜5000Å程度とすることができる。一方、p側電極全体の厚みは、1000Å〜50000Åとすることが好ましい。
なお、このようなp側電極70は、上記のようにp型半導体層に接触するようにして形成することができるが、半導体層の積層順序等に起因して基板と接触するようにして形成することもできる。
<n側電極>
n側電極80は、基板10がGaN基板のような導電性基板である場合、図1および図2に示すように、基板10の裏面(半導体層が積層される面とは反対側の面)上に基板10と接触するようにして形成することができる。この場合、n側電極80は、基板10の裏面の全面に形成してもよいし、その一部に形成してもよい。駆動電圧の上昇を抑える観点からその全面に形成することが好ましい。
一方、基板10がサファイア基板のような絶縁性基板の場合には、エッチングによって他の半導体層を除去することにより露出したn型半導体層上に、n型半導体層と接触するようにしてn側電極を形成する必要がある。したがって、n側電極の生産の容易さを考慮すると、基板10としてはGaN基板を用いることが好ましい。
また、n側電極80は、たとえばHf、Al、Mo、Pt、Au、W(タングステン)、Ti(チタン)、Cr(クロム)などの金属やこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から構成することができる。また、このようなn側電極80としては、上記のような金属または合金を単層で形成してもよいし、2層以上の積層構造として形成してもよい。中でも、コンタクト抵抗を小さくでき、安定性も高いことから、Hf/Al/Mo/Pt/Au、Ti/Pt/Auの組み合わせ(積層の順序は左側の金属を半導体層側とする)が好ましい。n側電極80を積層構造に構成した場合の各層の厚みは、50Å〜5000Å程度とすることができる。一方、n側電極全体の厚みは、1000Å〜50000Åとすることが好ましい。
<電極のパターニング>
絶縁膜60、p側電極70およびn側電極80は、実装の段階での利便性などを考慮して、適宜、パターニングが施されていてもよい。絶縁膜60、p側電極70およびn側電極80は、それぞれの機能を有する限りにおいて、厚み、形状、パターンなどを適宜変更することができる。たとえば、p側電極70が、リッジストライプ部55の側面に、一部または全面に回りこむ形状になっていてもよい。このように構成することにより、駆動電圧を低減することが可能となる。特にp側電極70は、第1領域91(p側電極71)と第2領域92(p側電極72)の各々に対してワイヤボンディングを行ないやすいようにリッジストライプ部55から離れた領域にワイヤボンディング用のパッド電極を有していることが好ましい。
<コーティング膜>
端面110および端面120にはそれぞれ、COD(Catastrophic Optical Damage:瞬時光学損傷)レベルを向上させたり、所望のレーザ諸特性が得られるような反射率にするために、コーティング膜200およびコーティング膜300を形成することができる。通常の半導体レーザ素子と同様に一方の反射率を他方より低くして、その側を光出射側とし、反射率の高い側を光反射側とする。反射率は光出射側が10%〜70%程度、光反射側が70〜99%程度である。このように反射率が両側の端面で異なっていると共振器内部での光強度分布が非対称になるので、可飽和吸収領域を共振器内のどの位置に配置させるかによって、自励発振特性やレーザ基本特性が異なってくる。よって、実用上の仕様などにしたがって、適宜配置を考慮する必要がある。
コーティング膜200およびコーティング膜300は、Al、Si、Zr、Ta、Ga、Y、Nb、Hf、Zn、Tiなどの酸化物や、Al、Si、Ga、Bなどの窒化物または酸窒化物などにより構成することができ、単層であってもよいし2層以上に積層された多層であってもよい。このようなコーティング膜は、通常50〜1000nm程度の厚みを有することが好適である。
<共振器長およびチップ幅>
本発明の窒化物半導体レーザ素子の共振器長(長手方向の長さ)は、300μm〜3000μm程度の長さとすることができる。好ましくは、400μm〜1000μm程度である。また、本発明の半導体レーザ素子のチップ幅(共振器長を長手方向とした場合の横方向の長さ)は、100μm〜1000μm程度である。好ましくは、150μm〜400μm程度である。
<製造方法>
本発明の窒化物半導体レーザ素子の製造方法について、図1〜図3を参照して説明する。
まず、MOCVD法などの結晶成長法を用いて、基板10上に、n型窒化物半導体層20、活性層30およびp型窒化物半導体層40を順次成長させる。MOCVD法以外に、MBE法やスパッタ法などの気相成長法、超臨界流体中で結晶育成させる水熱合成法やフラックス法などの液相成長法などを用いて形成することもできる。また、2つ以上の成長法を組み合わせることもできる。このように窒化物半導体層の形成方法としては、特に限定なく種々の成長法を用いることができる。
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを用いて、p型窒化物半導体層40の少なくとも一部に、ストライプ状(細長状)のリッジストライプ部55を形成する。そして、各種真空蒸着法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相デポジション)法などを用いて、p型窒化物半導体層40上に、そのリッジストライプ部55の側面部およびそれに続く平面部を覆うように絶縁膜60を形成する。
続いて、各種真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などを用いて、絶縁膜60上に、p型窒化物半導体層40に接するp側電極70を形成する。この場合、特性を向上させるために、p側電極(金属膜)形成後に、100℃〜500℃程度の温度でアニール処理を行なってもよい。このようなアニール処理を行なうことによって、良好なオーミック電極を得ることができる。
一方、共振器の長手方向と交差する方向に電極が形成されない分割領域95を設けるために、p側電極70に対してマスキング処理などを施す。これ以外の方法として、電極を形成した後に、マスキング処理を行なわずにフォトリソグラフィ技術を利用してウェットエッチングなどにより電極を除去することで分割領域を設けることもできる。さらに、電極だけでなく分割領域に位置する窒化物半導体層を除去することもできる。
その後、基板10を分割し易くするために、基板10の裏面(窒化物半導体層が形成される側とは反対側の面)を研削または研磨することにより、基板10を70μm〜300μm程度の厚みまで薄くする。
そして、各種真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などを用いて、基板10の裏面上に、n側電極80を形成する。なお、n側電極80の形成前に、ドライエッチング、アッシング、逆スパッタなどによって基板10の裏面を清浄にすることにより、n側電極80と基板10との密着性を高めることもできる。また、p側電極70と同様に、特性を向上させるために、n側電極80(金属膜)形成後に、100℃〜500℃程度の温度でアニール処理を行なってもよい。このようなアニール処理を行なうことによって、p側電極70と同様、良好なオーミック電極を得ることができる。
以上の工程(ウェハプロセス)により、ウェハが形成される。
次に、上記の工程で得られたウェハを、劈開によってバー状に分割(バー分割)する。具体的には、まず、ウェハの表面および裏面の少なくとも一方に、ダイヤモンドポイントなどによってスクライブラインを形成する。このとき、所望の電極パターンが得られる位置にスクライブラインを入れる必要がある。また、電極のパターニングとバー分割位置とを調節することによって、共振器端面付近にp側電極70が形成されていない構造とすることもできる。このような構造にすることによって、デバイス特性を向上させることができる場合もある。
上記のようにして形成されるスクライブラインは、劈開の補助線の役割を有する。また、これとは異なる方法として、スクライブラインによらず、ドライエッチングなどで予め凹部溝を設けておくことによっても同様の役割を得ることができる。スクライブラインは、少なくともウェハの端にあればよいが、ウェハの内側に破線状に設けることで、劈開の直線性を良好にすることもできる。そして、スクライブラインの形成後、ウェハに適宜力を与えることにより劈開を行なうことができる。劈開面は、基板10(図2参照)の成長主面(窒化物半導体層の成長面)に対して垂直な面であるのが好ましい。
また、このとき、バー分割位置によって、窒化物半導体レーザ素子の共振器長が規定される。なお、上述したように、共振器長は、300μm〜3000μm程度の長さとすることができる。好ましくは、400μm〜1000μm程度である。
次に、図1に示したように、バー分割によって形成された端面110および端面120に対して、それぞれコーティング膜200およびコーティング膜300を形成する。コーティング膜200およびコーティング膜300の形成は、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法やマグネトロンスパッタ法などの各種スパッタ法を用いることができる。また、スパッタ法を2種以上を組み合わせても良い。
また、コーティング膜の成膜前および成膜後の少なくと一方のタイミングで、アルゴン、酸素、窒素、水素またはこれらのガスの2種以上を含む混合ガスなどのガスを用いたプラズマ照射や、加熱処理などを行なってもよい。
続いて、コーティング膜200およびコーティング膜300が形成されたバー状の素子(図示せず)を、チップ状に分割(チップ分割)する。このとき、チップ分割位置によって、チップ幅が規定される。チップ幅は、上述したように、100μm〜1000μm程度とすることができる。好ましくは、150μm〜400μm程度である。チップ分割の方法は、バー分割で用いた方法と同様、スクライブラインを形成するスクライブ法を利用するとよい。このチップ分割は、バー分割の方向に対して垂直方向の向きに行なうのが好ましい。このようにして、本発明の窒化物半導体レーザ素子が製造される。
上記の製造方法により得られた本発明の窒化物半導体レーザ素子は、+(プラス)用の端子と−(マイナス)用の端子とを備えたステムに、はんだ、銀ペーストなどを用いて電気的に接続される。
窒化物半導体レーザ素子をジャンクションアップ方式で実装する場合には、n側電極80とステム本体とを電気的に接続し、利得領域である第1領域のp側電極と+側端子とをボンディングワイヤを介して接続する。可飽和吸収領域に相当する第2領域のp側電極は−側端子にボンディングワイヤを介して接続するとn側電極と電気的に短絡される。第2領域のp側電極はまた、ステム本体と接続してもn側電極と電気的に短絡することができる。
また、窒化物半導体レーザ素子とステムとの間に放熱性向上のためのサブマウントを設けることもできる。この場合、サブマウントとn側電極80とを電気的に接続するとともに、サブマウントとステムの−側端子とをワイヤボンディングすればよい。可飽和吸収領域に相当する第2領域のp側電極をサブマウントとボンディングワイヤを介して接続すれば電気的な短絡ができるようになる。
ワイヤボンディング後、乾燥空気雰囲気中でキャップ封止を行なうことにより、キャンパッケージ型の半導体レーザ装置に組み立てられる。
<用途>
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、良好な自励発振特性を備え、容易に自励発振を行なうことができる。このため、可飽和吸収領域に逆バイアスを印加する必要がないので、BDの光源として用いる際に、システムの簡略化や小型化が可能となる。また、可飽和吸収領域を小さくしても自励発振が起こるので、閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりを抑制することができる。
さらに、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、このように優れた特性を有するため、これを光源(特に読み取り光源)として用いることにより光ディスク装置に極めて好適に使用することができる。また、画像表示装置においても極めて好適に使用することができる。このように、BD用途だけでなく、画像表示を行なうディスプレイ用途においても多波長モード発振状態になることで、スペックルノイズの低減効果があるため、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、これらの用途において極めて好適に用いることができる。
一方、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、可飽和吸収領域を流れる光誘起電流をレーザ光出力検知に用いる窒化物半導体レーザ装置においても極めて好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子を、その構造を模式的に示す図5および図6(ただしこれらの図において各層の厚みは本実施例の実際の厚みを反映していない場合もある)を参照して説明する。
まず、基板10としては、n型GaN基板を用いた。この基板10の成長主面の結晶方位(すなわち上面)は(000+1)面とした。
また、n型窒化物半導体層20は、n型GaN層21、n型クラッド層22およびn型ガイド層23を含むように構成した。p型窒化物半導体層40は、キャリアブロック層41、p型ガイド層42、p型クラッド層43およびp型コンタクト層44を含むように構成した。
具体的には、基板10上に、MOCVD法を用いて、0.2μm(200nm)の厚みを有するn型GaN層21、2.2μm(2200nm)の厚みを有するn型Al0.03Ga0.97Nからなるn型クラッド層22、0.02μm(20nm)の厚みを有するn型GaNからなるn型ガイド層23、活性層30、0.007μm(7nm)の厚みを有するp型Al0.15Ga0.85Nからなるキャリアブロック層41、0.10μm(100nm)の厚みを有するp型GaNからなるp型ガイド層42、0.55μm(550nm)の厚みを有するp型Al0.04Ga0.96Nからなるp型クラッド層43、0.1μm(100nm)の厚みを有するp型GaNからなるp型コンタクト層44を順次形成した。
活性層30は、具体的には図6に示すように、n型ガイド層23上に、15nmの厚みを有するIn0.02Ga0.98Nからなる第1障壁層31を形成した後、この第1障壁層31上に、3nmの厚みを有するIn0.09Ga0.91Nからなる第1井戸層32と、その上に8nmの厚みを有するIn0.03Ga0.97Nからなる第2障壁層33を形成し、その上に7.5nmの厚みを有するIn0.09Ga0.91Nからなる第2井戸層34を形成した。そして、第2井戸層34上に、最も上層となる15nmの厚みを有する最終障壁層35(In0.02Ga0.98N層)を形成した。すなわち、本実施例では、活性層30を、2つの井戸層(第1井戸層32、第2井戸層34)を含む多重量子井戸構造として構成した。
これらの窒化物半導体の成長原料としては、III族元素の原料として、トリメチルガリウム((CH33Ga:TMGa)、トリメチルインジウム((CH33In:TMIn)およびトリメチルアルミニウム((CH33Al:TMAl)を用い、V族元素の原料として、アンモニア(NH3)を用いた。導電性制御のための不純物であるドープ元素としては、n型がSiで原料はシラン(SiH4)を用い、p型がMgで原料はシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を用いた。ドーピング量は、n型GaN層21およびn型クラッド層22が4×1018cm-3、n型ガイド層23が1×1018cm-3、キャリアブロック層41およびp型ガイド層42が1×1019cm-3、p型クラッド層43およびp型コンタクト層44がいずれも5×1018cm-3である。活性層へは意図的に不純物ドープは行わなかった。
成長温度は、n型窒化物半導体層20が1025℃、活性層30が780℃、p型窒化物半導体層40が1075℃である。
また、図5に示すリッジストライプ部55の形成は、フォトリソグラフィを利用したICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチング法を用いて行なった。リッジストライプ部55の幅は1.7μmとし、高さは0.52μmとした。また、リッジストライプ部55は、[1−100]方向に延びるように形成した。
続いて、p型窒化物半導体層40上に、絶縁膜60を形成した。絶縁膜60は、SiO2/TiO2の2層構造(SiO2がp型窒化物半導体層40側)とした。層厚は、170nm/50nmである。成膜には、EB(Electron Beam)蒸着法を用いた。成膜後、フォトリソグラフィ技術などを用いて、所定のパターンの絶縁膜60を得た。
次に、Pd/Mo/Auの積層構造(Pdが絶縁膜60側)からなるp側電極70を、絶縁膜60上に形成した。p側電極70の層厚は、50nm/15nm/200nmである。成膜には、EB(Electron Beam)蒸着法を用いた。成膜後、フォトリソグラフィ技術などを用いて、所定のパターンのp側電極70を得た。
この際、領域分離のための分割領域が[11−20]方向に形成されるようにp側電極70が形成されない領域を周期的にパターニングした。分割領域の幅は10μmとした。また、1チップにつき領域が2つになり、各々の領域に対してワイヤボンディングが行なえるように図7のようなパターンのパッド電極とした。積層構造のAuがパッド電極を主に構成している。第1パッド電極は第1領域(p側電極71)に、第2パッド電極は第2領域(p側電極72)に、それぞれ電気的に接続されていて、その間のL字型の領域には電極が形成されておらず、この領域が分割領域95に相当する。なお、リッジストライプ部を点線で図中に示している。また、所定のバー分割位置にてバー分割を行なうと共振器長が600μmで、その中に570μm(第1領域)と20μm(第2領域)の2領域が設けられるようなパターンとなっている。また、この第2領域のp側電極72は、後述のワイヤボンディングにより、n側電極80と短絡され、該第2領域は短絡領域を形成することになる。
p側電極70の形成後に、研削機および研磨機を用いて基板10の厚み(ウェハ厚)を120μmとなるように研磨した。その後、n側電極80として、基板10の裏面上にHf/Al/Mo/Pt/Au(Hfが基板側)を、EB蒸着法を用いて形成した。層厚は、5nm/150nm/36nm/18nm/250nmである。そして、金属膜形成後(p側電極70およびn側電極80の形成後)に、500℃でアニール処理を行なうことによって良好なオーミック電極を得た。
その後、劈開により[11−20]方向と平行方向にウェハのバー分割を行なった。これにより、図1に示すような、対向する一対の共振器端面(端面110および端面120)を得た。端面110および端面120の結晶方位は{1−100}面である。また、バー分割は、共振器長が600μmとなるように行なった。
続いて、ECRスパッタ法を用いて、共振器端面上にコーティング膜を形成した。端面110にはAlON/Al23/SiO2/Al23(AlONが端面110側)からなるコーティング膜200を形成した。層厚は20nm/110nm/68nm/60nmである。反射率は405nmにおいて30%であった。端面120にはAlON/Al23/(SiO2/TiO24(AlONが端面120側)からなるコーティング膜300を形成した(なお、「(SiO2/TiO24」は「SiO2/TiO2」を構成単位とする層を4層積層させたことを示す)。層厚は20nm/110nm/(68nm/44nm)4である。反射率は405nmにおいて95%であった。
続いて、チップ幅が400μmとなるように、チップ分割を行なうことにより、本実施例の窒化物半導体レーザ素子を得た。
そして、得られた窒化物半導体レーザ素子をキャンパッケージ型の半導体レーザ装置に実装した。この際、第1パッド電極はステムの+端子とワイヤボンディングし、一方第2パッド電極はステムの−端子とワイヤボンディングすることで、第1領域は利得領域となり、第2領域はキャリア寿命の短い可飽和吸収領域となる。この結果、可飽和吸収領域は反射率の高い共振器端面(端面120)側に配置されることになる。
本実施例の窒化物半導体レーザ素子について、バンド計算を行なった結果を図8に示す。本実施例においては、外部バイアス電圧は印加していない。また、各層はGaNの格子定数に揃うことで歪みを有していて、歪み量に応じたピエゾ電界が発生しているものとした。本実施例の活性層の井戸層においては、ピエゾ電界の影響でn型半導体層側が上がるようなバンド図になっている。キャリア寿命を支配する井戸層からのキャリアの掃き出しに関して、電子と正孔を比べると有効質量が大きくモビリティの小さな正孔の方が掃き出されにくく、キャリア寿命を律速するものと予想される。そこで、価電子帯の井戸層の中で、最もエネルギーの高い箇所(n型半導体層側の端)と最もエネルギーの低い箇所(p型半導体層側の端)との差をバンド図から読み取った。このエネルギー差が小さいほど正孔が井戸層から掃き出されやすいことになる。すると、第1井戸層が0.30eVに対して第2井戸層が0.48eVであった。したがって、第1井戸層ではキャリアが掃き出されやすいため、キャリア寿命が短くなると考えられる。次に、光吸収確率を知るために、図4の井戸層厚と波動関数の重なりのグラフを読み取ると、3.0nmの第1井戸層の波動関数の重なりは0.745で、7.5nmの第2井戸層の0.029に対して25倍大きいことが分かった。したがって、第1井戸層は第2井戸層に比べて極めて光吸収確率が高いといえる。光の閉じ込め係数を計算すると、第1井戸層が0.009で第2井戸層が0.021と第1井戸層の方が57%小さいものの、波動関数の重なりの差が極めて大きいので可飽和吸収領域では第1井戸層で優先的に光吸収が起こる。そして、第1井戸層ではキャリア寿命も短いので、自励発振が起こりやすくなる。
一方、利得領域ではp型半導体層側の第2井戸層に優先的に正孔が注入されるので、レーザ発振に寄与する利得は主に第2井戸層で得られる。
したがって、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザの特性は第2井戸層が支配するが、第2井戸層の層厚が7.5nmであるので、信頼性は損なわれない。また、第2井戸層を第1井戸層と同じ3.0nmにすると、その光閉じ込め係数は0.008となるが、実際にはその厚みは7.5nmであるので、上述の通り、その2倍以上の0.021の光閉じ込め係数を得ることができ、閾値電流を悪化させることもない。
その結果、本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、可飽和吸収領域に逆バイアス電圧を印加することなく自励発振特性が得られるとともに、閾値電流、信頼性などの通常の半導体レーザとしての特性も実用上問題のないものであった。
したがって、BDの光源(特に読み取り光源)として用いる際に、システムの簡略化や小型化が可能となる。また、可飽和吸収領域を小さくしても自励発振が起こるので、閾値電流近傍での光出力の急激な立ち上がりを抑制することができる。その上、閾値電流や信頼性といった通常の半導体レーザ特性も自励発振特性と両立して優れたものとなっている。
また、可飽和吸収領域を流れる光誘起電流をレーザ光出力検知に用いる半導体レーザ装置に本実施例の窒化物半導体レーザ素子を用いた際にも、光誘起電流が増大するので検知能力が向上する。
また、BD用途だけでなく、画像表示を行なうディスプレイ用途としても、多波長モード発振状態になることで、スペックルノイズの低減効果がある。
<実施例2>
本実施例の窒化物半導体レーザ素子は、活性層の構造のみが実施例1の窒化物半導体レーザ素子と異なっている。本実施例の窒化物半導体レーザ素子の活性層の構造は図9に示すとおりで、井戸層の数が3の多重量子井戸構造である。実施例1の窒化物半導体レーザと比較すると、第2井戸層34の上に8nmの厚みを有するIn0.03Ga0.97Nからなる第3障壁層36と、その上に7.5nmの厚みを有するIn0.09Ga0.91Nからなる第3井戸層37があって、最も上層に15nmの厚みを有する最終障壁層35(In0.02Ga0.98N層)が形成されている点が異なる。
実施例1では、最上の井戸層(p型半導体層に最も近くなる側に位置する第2井戸層)に優先的に正孔が注入されると述べたが、その下側の井戸層にも少ないながら正孔は注入される。したがって、本実施例では第3井戸層に加えて第2井戸層にも正孔が注入されて、ある程度の利得は得られる。特に第2井戸層と第3井戸層の層厚が同じであると両者の利得スペクトルが一致する(井戸層の層厚が異なると状態密度が異なるので利得が分散してしまう)ので、より効率よくレーザ発振に寄与する利得を得ることができ、閾値電流を低くできる。また、このような構成とすることで、光閉じ込め係数を高めることもできる(全井戸層合計の光閉じ込め係数が、実施例1では0.030であるのに対して、本実施例では0.061となる)。以上により、本実施例の窒化物半導体レーザ素子では、実施例1の窒化物半導体レーザ素子よりも閾値電流を低くすることが可能となる。
そして、自励発振特性に関しては実施例1と同様に、第1井戸層が可飽和吸収領域において優先的に光吸収し、そこでのキャリア寿命が短いので自励発振しやすいという効果を示す。
上記で説明した本発明の窒化物半導体レーザ素子は、上記した実施例に限定されるものではなく、上記した実施例以外の構成とすることもできる。たとえば、井戸層の数や層厚、障壁層の材料およびその組成や層厚などを適宜変更することができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 基板、20 n型窒化物半導体層、21 n型GaN層、22 n型クラッド層、23 n型ガイド層、30 活性層、31 第1障壁層、32 第1井戸層、33 第2障壁層、34 第2井戸層、35 最終障壁層、36 第3障壁層、37 第3井戸層、40 p型窒化物半導体層、41 キャリアブロック層、42 p型ガイド層、43 p型クラッド層、44 p型コンタクト層、55 リッジストライプ部、60 絶縁膜、70,71,72 p側電極、80 n側電極、90 共振器、91 第1領域、92 第2領域、95 分割領域、100 窒化物半導体レーザ素子、110,120 端面、200,300 コーティング膜。

Claims (11)

  1. 基板上に、n型半導体層、活性層、p型半導体層、n側電極、p側電極、および共振器を少なくとも含み、
    前記n側電極は、前記n型半導体層または前記基板に接触し、
    前記p側電極は、前記p型半導体層または前記基板に接触し、
    前記p側電極および前記n側電極の少なくとも一方は、前記共振器の長手方向に対して交差する分割領域によって電気的に2領域以上に分離されており、
    前記活性層は、複数の井戸層を含む多重量子井戸構造を有し、
    前記複数の井戸層のうち、前記n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、前記p型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層に比べて層厚が薄い、窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、前記複数の井戸層のうち、最も薄い層厚を有する、請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記複数の井戸層の数は、3である、請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記n型半導体層に最も近くなる側に位置する井戸層は、他の二つの井戸層に比べて層厚が薄く、前記他の二つの井戸層は、互いに等しい層厚である、請求項3に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記複数の井戸層の数は、2である、請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記複数の井戸層は、同一の材料および同一の組成である、請求項1〜5のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記基板は、上面を(000+1)面とするGaNである、請求項1〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記分割領域によって分離された少なくとも1領域の電極は、該電極の反対側の電極との間で短絡されることにより短絡領域を形成するとともに、該短絡された電極以外の少なくとも1領域の電極は、該電極の反対側の電極との間で短絡されていない非短絡領域を形成する、請求項1〜7のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記窒化物半導体レーザ素子は、自励発振特性を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子を光源として用いた光ディスク装置。
  11. 請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子を用いた画像表示装置。
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