可飽和吸収特性を利用した自励発振半導体レーザを得るためには、可飽和吸収体のキャリア寿命が重要なパラメータになることが、山田らにより理論的に検討されている(IEIC.E. Trans, Electron, vol.E81‐C, 1998)。InGaNを活性層に用いる窒化物半導体では、可飽和吸収体として利用される可飽和吸収層(S.A.)にもInGaNを用いる。ここで、InGaNとは、In(インジウム)とGa(ガリウム)とN(窒素)を主に含有する半導体であって、これらの3元素で99%以上の組成を占めるものとする。一般的に、InGaNを活性層に用いる窒化物半導体レーザでは、GaNおよびAlGaNを併用するダブルへテロ構造が採用される。
それぞれのバルクにおけるバンドギャップは、低い方からInGaN、GaN、AlGaNの順であり、格子定数は、大きい方からInGaN、GaN、AlGaNの順である。また、エピタキシャル成長における成長温度は、InGaNが約800℃以下であり、GaN及びAlGaNは1000℃程度であることが多い。このような特性をもつ3種類の材料を組み合わせる窒化物半導体レーザにおいてキャリア寿命を適切に制御することが可能なS.A.システムについて、以下に説明する。
なお、本明細書において、S.A.は可飽和吸収層の井戸層を示し、S.A.システムは、S.A.の可飽和吸収特性に影響を与えるS.A.近傍の層とS.A.を含むものである。本明細書では、内部電界を利用したS.A.システム、ヘテロ界面における欠陥等などによる再結合を利用したS.A.システムについて述べる。
<内部電界について>
上記3種類の材料を用いたエピタキシャル成長層は、相互の歪みにより大きな内部電界が生じる。一般に、内部電界には圧電効果と自発分極があり、バンドベンディングの傾きが材料でおおよそ決定される。S.A.システムの実質的な吸収特性を決めるS.A.はInGaNから成り、含まれるInの組成In(x)は隣接する層に対して大きくなる。このS.A.は、周辺の層構造よりも格子定数が大きいため、圧縮歪みが発生する。通常、窒化ガリウム系の半導体はc面方向に成長面を持ち、Gaリッチで成長する。p−nジャンクションを有する窒化ガリウム系の半導体では、前記歪みを有するInGaNから成るS.A.は、P層方向(一般的に成長方向であることが多い)にエネルギーが小さくなるようにバンドベンディングする。このベンディング方向は、窒化ガリウム系の半導体に設けられたP電極、N電極間に順バイアスした場合と同様である。
また、これらの窒化ガリウム系の半導体では、基板として、GaN基板やサファイア基板を用いることが多く、これらの基板の格子定数はInGaNよりも小さいため、基板上に積層されたS.A.は圧縮歪みを受ける。
一方、Inの組成の少ないInGaNやGaN、Alの組成の少ないAlGaN等は、周辺層の状態によりベンディング方向が異なる。また、Alの組成の多いAlGaNでは、P層方向にエネルギーが高くなるようにバンドベンディングするが、半導体レーザ動作時は外部印加電界を考慮する必要がある。このような特徴を適切に利用することにより、窒化物半導体特有のS.A.システムを構築することができることが分かった。
S.A.のキャリアを速やかに緩和させるためには、前述の内部電界の効果を用いて、キャリア消滅層(C.E.)へ少数キャリアをトンネルさせることが可能である(経路_B)。なお、本明細書ではS.A.システムにおけるS.A.以外の層は、直接的、間接的にかかわらず、全てS.A.におけるキャリアを消滅させるために用いられるので、これら全ての層をC.E.(キャリア消滅層)と呼ぶ。詳細は後述する。
トンネル効果によるC.E.のキャリア寿命をτC.E.、C.E.の層厚をdC.E.、トンネル確率をτtとし、S.A.内の再結合時間をτS.A.、S.A.の層厚をdS.A.とすれば、τtが十分短い場合には、
τS.A.' = dS.A./(dC.E./τC.E.+dS.A./τS.A.)
となり、例えば、τS.A.=τC.E.かつ2×dS.A.=dC.E.の場合には、
τS.A.'=τS.A./3
になる。また、τC.E.が十分早い、あるいはdC.E.が十分厚い場合には、
τS.A.' = 1/(1/τS.A.+1/τt)
のように記述できる。
C.E.のキャリア寿命を短くするためには、C.E.とAlGaNヘテロ界面における再結合を利用することもできる。後述するように、InGaN/AlGaNへテロ界面では成長温度の変化が大きいこと、格子定数が異なることから、欠陥等による再結合が促進されると考えられる。
S.A.からC.E.へのトンネル確率を高くするためには、井戸層に生成したキャリアの分布がC.E.にしみ出し、かつ、C.E.にトンネルできる準位が存在することが望ましい。S.A.の層厚dS.A.が励起子ボーア半径よりも小さい場合には、吸収により生成したキャリアの分布はS.A.の外にしみ出す。このように、InGaNから成るS.A.井戸層の幅は、4nm以下であることが望ましく、特に、3nm以下がよいことが分かった。
一方、例えば、大きくバンドベンディングしたS.A.では、前述のようにP層方向にエネルギーが下がるため、少数キャリアがエレクトロンの場合には、キャリア分布がP層方向に偏り、少数キャリアがホールの場合には、キャリア分布が基板方向に偏る。このようなバンドベンディングの大きい歪み量子井戸から成るS.A.では、層厚が4nm以上であっても、それぞれP層方向、基板方向のC.E.にキャリア分布がしみ出すと考えられる。ただし、このような歪み量子井戸から成るS.A.では、バンドベンディングによる実質的なバンドギャップ縮小が大きく、相対的にInの組成In(x)を小さくする必要がある。
C.E.へのトンネル効果を得るためには、C.E.もS.A.と同様に、P層方向にエネルギーが低くなるようにバンドベンディングすることが望ましく、C.E.近傍にAlGaN層を設けるとよい。望ましくはAlの組成が高いほうがよく、0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
順バイアス時には、S.A.のバンドベンディングが大きくなるように外部電界が働く。S.A.およびC.E.をノンドープにすることで、外部電界の効果を顕著にすることが可能である。これにより、作りつけのトンネル効果が期待できなくても、レーザ動作時にS.A.からC.E.へのトンネル効果が期待できる。
<界面再結合>
バンドベンディングの効果の他に、AlGaN/InGaNへテロ界面による再結合によって、S.A.のキャリア寿命を低減することが期待できる(経路_C)。上記のへテロ界面では、格子定数の不整合に成長温度の著しい不連続が加わるために、界面で欠陥や界面準位による再結合が期待されることが分かった。S.A.のキャリア分布には励起子ボーア半径程度の広がりがあるため、上記のへテロ界面が非常に近傍に存在すれば、ヘテロ界面の欠陥や界面準位へのトンネル効果により、キャリアの速い緩和が期待できる。
キャリア分布の井戸層からのしみ出しを大きくするためには、InGaNから成るS.A.井戸層の幅は4nm以下であることが望ましく、特に3nm以下がよい。一方、例えば、大きくバンドベンディングした歪み量子井戸から成るS.A.では、前述のようにP層方向にエネルギーが下がり、少数キャリアがエレクトロンの場合には、キャリア分布がP層方向に偏るため、S.A.のP層方向近傍にヘテロ界面があればよく、少数キャリアがホールの場合には、キャリア分布が基板方向に偏るため、S.A.の基板方向近傍にヘテロ界面があればよい。このような歪み量子井戸から成るS.A.では、井戸の幅が4nm以上であってもキャリア寿命の低減が期待できる。
<代表的なモデル>
このように経路_Bおよび経路_Cはほぼ同様な構造であり、実際の構造は2つの効果を併せもつものになる。図1から図10に、S.A.システム構造1から10を示す。
図1は、S.A.システム構造1をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4、AlGaNの第4のC.E.5である。
なお、S.A.システム構造1〜10のいずれにおいても、第1および第4のC.E.は、AlとGaを主に含有する窒化物半導体(AlGaN)であり、第2および第3のC.E.は、InとGaを主に含有する窒化物半導体(InGaN)、あるいはGaを主に含有する窒化物半導体(GaN)である。
図1において、S.A.3に生成したキャリアのうち、エレクトロンは主に第3のC.E.4へトンネルし、ホールは主に第2のC.E.2へトンネルする。これらの層がP層、N層のどちらにあっても同様の効果が期待できるが、P層においては、ホールが多数キャリアのため、エレクトロンのトンネル効果が、また、N層においては、エレクトロンが多数キャリアのため、ホールのトンネル効果が、自励発振するために必要である。
AlGaNから成る第1のC.E.1および第4のC.E.5は、InGaNから成るS.A.3、第2のC.E.2および第3のC.E.4に内部電界を発生させるために設けているが、例えば、第2のC.E.2およびS.A.3が十分薄ければ、第4のC.E.5がなくても、S.A.3/第3のC.E.4界面近傍には内部電界による前述のバンドベンディングが期待されるため、S.A.3のキャリア寿命低減が期待される。
S.A.システム構造1をP層に設けた場合について説明すれば、少数キャリアのエレクトロンは、AlGaNの第1のC.E.1/InGaNの第2のC.E.2ヘテロ界面、およびInGaNの第3のC.E.4/AlGaNの第4のC.E.5ヘテロ界面による緩和と、InGaNの第3のC.E.4へのトンネル効果が期待でき、InGaNの第3のC.E.4にトンネル効果により生成したエレクトロンは、InGaNの第3のC.E.4/AlGaNの第4のC.E.5ヘテロ界面による緩和が期待できる。
窒化物半導体レーザは、上記のいくつかの緩和過程を適当にすることで、光情報記録装置(例えば、DVD等の光ディスクシステム)等の応用に最適な特性にすることができる。
このようにS.A.システムはいくつか考えられるが、経路_Bを得るためには少なくともS.A.近傍にAlGaN層が1つ以上あることが必要であって、S.A.システムがP層にあるときは、S.A.のP層側(活性層と反対側)にInGaN層が接し、S.A.システムがN層にあるときは、S.A.の基板側(活性層と反対側)にInGaN層が接しているとよい。経路_Cを得るためには少なくともS.A.近傍にAlGaN層が1つ以上あることが必要である。また、このAlGaN層は、望ましくはInGaN層と接しているとよく、低温で成長されたGaN層と接触していてもよい。
<P型>
P層におけるS.A.システムであって、経路_Bおよび経路_Cの効果がある構造を下記に示す。
図1のS.A.システム構造1において、InGaNの第2のC.E.2はGaNであってもよく、AlGaNの第1のC.E.1とInGaNの第2のC.E.2の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第2のC.E.2とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよく、また、InGaNの第3のC.E.4とAlGaNの第4のC.E.5の間にGaNが挿入されていてもよい。S.A.システム構造2〜6においても、同様の変更が可能である。
図2は、S.A.システム構造2をエネルギーバンド図として示してものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4である。
図3は、S.A.システム構造3をエネルギーバンド図として示してたものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4である。
図4は、S.A.システム構造4をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4、AlGaNの第4のC.E.5である。
図5は、S.A.システム構造5をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4、AlGaNの第4のC.E.5である。
図6は、S.A.システム構造6をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNのS.A.3、InGaNの第3のC.E.4、AlGaNの第4のC.E.5である。
<N型>
N層におけるS.A.システムであって、経路_Bおよび経路_Cの効果がある構造を下記に示す。
図1のS.A.システム構造1において、InGaNの第3のC.E.4はGaNであってもよく、AlGaNの第4のC.E.5とInGaNの第3のC.E.4の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第3のC.E.4とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよく、また、InGaNの第2のC.E.2とAlGaNの第1のC.E.1の間にGaNが挿入されていてもよい。S.A.システム構造7〜9においても、同様の変更が可能である。また、S.A.システム構造2、構造4は、N層にあっても効果がある。
図7は、S.A.システム構造7をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3である。
図8は、S.A.システム構造8をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3、AlGaNの第4のC.E.5である。
図9は、S.A.システム構造9をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNの第2のC.E.2、InGaNのS.A.3、AlGaNの第4のC.E.5である。
<その他>
P層、N層のどちらにあっても経路_Cの効果があるS.A.システム構造を下記に示す。経路_Cのみを利用する構造では、エピタキシャル成長のバラツキの影響があるため、望ましくは上記の構造1〜構造9がよい。
図1〜図9に示したS.A.システム構造1〜構造9には、この効果がある。なお、図1のS.A.システム構造1において、InGaNの第2のC.E.2はGaNであってもよく、AlGaNの第1のC.E.1とInGaNの第2のC.E.2の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第2のC.E.2とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第3のC.E.4はGaNであってもよく、AlGaNの第4のC.E.5とInGaNの第3のC.E.4の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、また、InGaNの第3のC.E.4とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよい。S.A.システム構造2〜構造9においても同様の変更が可能である。
図10は、S.A.システム構造10をエネルギーバンド図として示したものである。N電極側から順に、AlGaNの第1のC.E.1、InGaNのS.A.3、AlGaNの第4のC.E.5である。
S.A.システム構造1〜構造10において、S.A.システムがP層にある場合、AlGaNの第1のC.E.とInGaNの第3のC.E.の距離は、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
AlGaNの第4のC.E.とInGaNのS.A.の距離は、
dC.E.3 ≦ 15nm
であるとよい。
また、AlGaNの第1のC.E.およびAlGaNの第4のC.E.のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
S.A.システムがN層にある場合、AlGaNの第1のC.E.とInGaNのS.A.の距離は、
dC.E.2 ≦ 15nm
AlGaNの第4のC.E.とInGaNの第3のC.E.の距離は、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
であるとよい。
また、AlGaNの第1のC.E.およびAlGaNの第4のC.E.のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
なお、望ましくは構造1、2、4に従った、InGaNのS.A.3がInGaNの第2のC.E.2およびInGaNの第3のC.E.4に挟まれているとよい。InGaNのS.A.3の結晶性が安定するためである。
ところで、これらのS.A.システムを設けた窒化物半導体レーザにおいては、共振器内の光子寿命が自動発振特性を決定づける大きな要因の一つである。図23は、内部損失のみを変更することで、光子寿命を変更した場合の自動発振特性をシミュレーションした一例である。一般的に、内部損失が小さいほど光子寿命は長くなり、図のように、内部損失αiが40cm-1では自動発振領域が数mWであるのに対して、内部損失αiが10cm-1であれば20mW以上の範囲で自動発振することが分かる。当然、S.A.システムを最適化することで自動発振領域は変化するが、前述の内部損失の依存性は同様である。
このように共振器内の光子寿命を長くすることで、窒化物半導体レーザは容易に自動発振することが期待され、光子寿命を長くする方法として、たとえば、端面反射率を高くする、共振器長を長くする、内部損失を減らす試みが有効である。特に、反射率や共振器長は容易に変更可能であるため、窒化物半導体レーザ製作の最終工程で変更するとよいであろう。また、内部損失が少ない窒化物半導体レーザほど、短共振器長であっても自動発振特性が得られる。また、前面および後面の反射率が高い窒化物半導体レーザほど、短共振器長であっても自動発振特性が得られるが、前面の反射率を高くすると前面からのレーザ光取り出しが困難になるため、自動発振が可能な光出力幅は見かけ上狭くなる。
これらを考慮すれば、共振器長は150nm以上、望ましくは300nm以上、さらに望ましくは450nm以上がよく、後面の反射率は70%以上であることが望ましい。一方、前面の反射率は5〜60%であることが望ましい。前面の反射率が60%より大きいと、見かけ上の自動発振可能な光出力幅が狭くなり、5%未満では、光子寿命が短くなって自動発振しにくいためである。
<実施の形態1>
図11は、本発明の実施の形態1の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザはP型可飽和吸収層を備えた構造であって、基板側から説明すると、N電極10、n−GaN基板11、n−GaN層12、n−InGaNクラック防止層13、n−AlGaNクラッド層14、n−GaNガイド層15、n−InGaN活性層16、p−AlGaNの第1のC.E.17、InGaNの第2のC.E.18、InGaNのS.A.19、InGaNの第3のC.E.20、p−GaNガイド層21、p−AlGaNクラッド層22、p−GaNコンタクト層23、絶縁膜24、P電極25である。
図11に示すように、実施の形態1はリッジ構造を用いた屈折率導波路をもつ半導体レーザである。p−AlGaNの第1のC.E.17は注入されたエレクトロンのオーバーフローを防止するためのキャリアブロック層としての効果もある。実施の形態1はS.A.システム構造2を用いている。
以下、図11を参照しつつ、本実施の形態1における半導体レーザの製造方法を説明する。
なお、本明細書中で述べるエピタキシャル成長法とは、基板上に結晶膜を成長する方法であって、VPE(気相エピタキシャル)法、CVD(化学気相デポジション)法、MOVPE(有機金属気相エピタキシャル)法、MOCVD(有機金属化学気相デポジション)法、Halide−VPE(ハロゲン化学気相エピタキシャル)法、MBE(分子線エピタキシャル)法、MOMBE(有機金属分子線エピタキシャル)法、GSMBE(ガス原料分子線エピタキシャル)法、CBE(化学ビームエピタキシャル)法を含む。
まず、窒化ガリウム半導体層をGaN基板11上にエピタキシャル成長させる。MOCVD装置にGaN基板11をセットし、V族原料のNH3とIII族原料のTMGaを用いて、550℃の成長温度で低温GaNバッファ層を25nm成長する。次に、1075℃の成長温度で前記原料にSiH4を加えn−GaN層12(Si不純物濃度1×1018/cm3)を3μm形成する。続いて成長温度を700℃から800℃程度に下げ、TMInのIII族原料の供給を行い、n−In0.07Ga0.93Nクラック防止層13を50nm成長する。再び基板温度を1075℃に上げ、TMAlのIII族原料を用いて、2.0μm厚のn−Al0.07Ga0.93Nクラッド層14(Si不純物濃度1×1018/cm3)を成長し、続いてn−GaNガイド層15を0.1μm成長する。
n−AlGaNクラッド層14は上記に限るものではなく、Alの組成が0.03から0.20程度の混晶比の均一な層であったり、混晶比の異なる複数の層であったり、混晶比が連続的に変化する層であったりしてもよく、層厚も異なっていてもよい。n−GaN基板への放射ロスが十分抑えられることが重要である。また、n−GaNガイド層15も上記に限るものではなく、活性層の光閉じ込め係数とFFPパターンを最適化するために変更されるべきであるが、一意に決まるのではない。特に、若干のInが混晶されていたり、アンドープ(Si不純物濃度1×1017/cm3以下)であったりしてもよく、層厚が異なっていてもよい。
その後、基板温度を730℃に下げ、4周期の厚さ4nmのIn0.08Ga0.92N井戸層と厚さ8nmのIn0.02Ga0.98Nバリア層より構成される活性層(多重量子井戸構造)16を、バリア層/井戸層/バリア層/井戸層/バリア層/井戸層/バリア層の順序で成長する。バリア層と井戸層、または井戸層とバリア層との間に、1秒以上180秒以内の成長中断を行ってもよい。これにより各層の平坦性が向上して、発光半値幅が減少する。活性層にはSiを不純物として添加しているが、バリア層、井戸層ともにアンドープ(Si不純物濃度1×1017/cm3以下)としたり、どちらか一方をアンドープとしてもよい。また、活性層は3周期に限らずSQW(単一量子井戸)でもよく、2周期から12周期程度でもよく、望ましくは3周期から6周期がよい。
次に、基板温度を再び1050℃まで昇温して、厚さ18nmのp−Al0.3Ga0.7Nの第1のC.E.17を成長する。p型不純物としてMgを5×1019/cm3〜2×1020/cm3で添加した。なお、p−Al0.3Ga0.7Nの第1のC.E.17は5nmから40nmであることが望ましく、p層方向にAlの組成が少なくなるような構造であったり、Alの組成が異なる1つ以上の層の組み合わせであってもよい。p−Al0.3Ga0.7Nの第1のC.E.17が5nmより薄くなるとキャリアオーバーフローにより閾値が上昇する。
次に、基板温度を730℃に下げて、In0.02Ga0.98Nから成る第2のC.E.18を2nm成長し、続いて、In0.10Ga0.90Nから成るS.A.19を1nm、In0.02Ga0.98Nから成る第3のC.E.20を2nm成長する。これらの層にはp型不純物としてMgを1×1017/cm3〜2×1020/cm3で添加したが、アンドープ(Mg不純物濃度1×1017/cm3以下を意味し、他の層からの拡散や、成長時の残留ガスによる少量の添加物が含まれる。)であったり、それぞれの層で不純物濃度が異なっていたりしてもよい。
S.A.が励起子ボーア半径程度かそれよりも薄くなる4nm以下では、S.A.の実質的なバンドギャップを、ウェハーのフォトルミネッセンスPL測定や、吸収スペクトルで調べることができる。また、4nmよりも厚い場合には、ウェハーの吸収スペクトルを観察することが望ましい。内部電界によるキャリアの局在化が影響するためである。これらの測定の結果、活性層の実質的なバンドギャップとS.A.の実質的なバンドギャップとの差が−0.15eV〜+0.02eV以内となるようにして、これらの実質的なバンドギャップがほぼ等しくなるように調整する。なお、S.A.及びC.E.を積層後、1秒以上180秒以内の成長中断を行ってもよい。
続いて、基板温度を再び1050℃まで昇温しながら、0.095μmのp−GaNガイド層21、0.5μmのp−Al0.1Ga0.9Nクラッド層22、0.1μmのp−GaNコンタクト層23を成長する。p型不純物としてMgを5×1019/cm3〜2×1020/cm3で添加した。
上記のように、各層を構成する元素およびドープ元素の各原料に、TMGa(トリメチルガリウム)、TMAl(トリメチルアルミニウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、NH3、Cp2Mg(ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム)、SiH4を用いている。
p−GaNコンタクト層23の形成後、ドライエッチングによりリッジ構造を形成し、リッジ構造以外の部位にSiO2から成る絶縁膜24を設けて、その上面にp電極25(Pd/Mo/Au)を形成する。なお、絶縁膜24はSiO2に限らず、Ta2O5、SiO、TiO2、ZrO2、Al2O3などや、これらのうちの2つ以上の材質の混合体や層構造であってもよい。また、Si等の吸収材料を用いて、ロスガイド構造にしてもよい。リッジ幅は0.5μmから3.0μm程度であればよく、またリッジ幅が一定でない変調リッジ構造やテーパーリッジ構造であってもよい。
その後、GaN基板の裏面側から研磨またはエッチングにより基板の一部を除去して、ウェハーの厚さを100〜300μm程度までに薄く調整する。これは、後の工程でウェハーを分割し個々のレーザチップにするのを容易にするための工程である。特に、レーザ端面ミラーも分割時に形成する場合には、80〜200μm程度に薄く調整することが望ましい。本実施の形態においては、研削機及び研磨機を用いて、ウェハーの厚さを150μmに調整した。なお、研磨機のみを用いてもよい。ウェハーの裏面は、研磨機により磨かれているため平らである。
研磨後、GaN基板11裏面に薄い金属膜を蒸着して、N電極10を設ける。このN電極10はHf/Al/Mo/Pt/Auの層構造より成る。このような薄い金属膜を膜厚の制御性よく形成するには真空蒸着法が適しており、本実施の形態1においてもこの手法を用いた。ただし、イオンプレーティング法やスパッタ法等の他の手法を用いてもかまわない。P、N電極の特性向上のために、金属膜形成後500℃でアニールを行い、良好なオーミック電極を得ている。なお、N電極のアニールは、Hf/Alを蒸着した後に行ない、アニール後にMo/Pt/Auをメタライズしてもよい。
上記のようにして製作した半導体素子は、下記の方法で分割した。まず、表面からダイヤモンドポイントでスクライブラインを入れ、ウェハーに適宜力を加えて、スクライブラインに沿ってウェハーを分割した。スクライブラインは裏面から入れてもよい。他の手法としては、ワイヤソーまたは薄板ブレードを用いて傷入れまたは切断を行うダイシング法、エキシマレーザ等のレーザ光の照射加熱とその後の急冷により照射部にクラックを生じさせ、これをスクライブラインとするレーザスクライビング法、高エネルギー密度のレーザ光の照射により照射部位を蒸発させて溝入れ加工を行うレーザアブレーション法等を用いても、同様にチップ分割可能である。
次に、ダイボンディング法により、レーザチップをヒートシンク上にマウントし、半導体レーザを得る。チップは、N電極側を接合面にするジャンクションアップで強固に接着した。ここでいうヒートシンクはステム等のことである。
なお、出射後面には高反射膜(HR)をコーティングすることもある。光反射膜は、よく知られているように、低屈折率材質と高屈折率材質を光学波長λの1/4の厚さで交互に積層することで得られ、本実施の形態ではSiO2/TiO2から成る4ペア(8層)を用いた。これにより後面の反射率は約95%に上がる。
このようにして製作した窒化物半導体レーザの諸特性を調べた。窒化物半導体レーザの共振器長は650μm、ストライプ幅2μmとした。室温25℃において電流閾値約60mAで連続発振し、発振波長405±5nmであった。また、FFP(ファーフィールドパターン)はリップル等が無く、レンズ等で集光する際に問題は無かった。基本横モードで発振していると推定される。次に、光出力を5mWに固定し(APC駆動)、高速の受光素子と電気オシロスコープを用いて光波形を観測したところ、自励発振していることが分かった。なお、自励発振の有無は、電気スペアナや光オシロスコープ等による観測でも検出可能である。
図12は、測定で得られた自励発振波形をデジタルカメラで撮影したものである。測定時にはパルス電流を用いており、パルス幅は1.8μs、デューティー比は1%で、オシロスコープで2ns/divである。
次に、注入電流を変えながら自励発振とその時の光出力を調べたところ、約40mWまで自励発振が認められた。なお、前後の反射率などを調整すれば、100mW程度まで自励発振することも可能である。
半導体レーザが自励発振を行なうためには、S.A.の線形傾斜利得が高く、キャリア寿命が短いことが必要であることが、他材質の検討で明らかにされている。窒化物半導体では、波長が400nmと短いことによりフォトンエネルギーが高いため、また、材料も違うため、上記のような特性を実現するために、新たな探求が必要であることは至極明らかである。
実施の形態1では、S.A.システム構造2を用いており、窒化物半導体レーザは自励発振した。実施の形態1におけるS.A.システムを図13に示す。N電極側から、p−AlGaNの第1のC.E.17、InGaNの第2のC.E.18、InGaNのS.A.19、InGaNの第3のC.E.20である。
エレクトロンの緩和経路には、図に示したように、S.A.での緩和(経路_A)、AlGaNの第1のC.E.17/InGaNの第2のC.E.18ヘテロ界面での緩和(経路_C)、S.A.からInGaNの第3のC.E.20へのトンネリングによる緩和(経路_B)がある。経路_Aは輻射再結合と非輻射再結合を含むものである。このように経路_Bおよび経路_Cをコントロールすることで、窒化物半導体レーザ特有のS.A.システムを構築することができる。
実施の形態1ではInGaNの第2のC.E.18、InGaNのS.A.19、InGaNの第3のC.E.20について層厚等を検討した。経路_Cを利用するためには、エレクトロンの広がりを利用する必要があり、S.A.の中心からAlGaNの第1のC.E.層17までの距離が励起子ボーア半径と同程度でなければならず、
dC.E.2 + dS.A./2 ≦ 10nm
がよいと考えられ、さらに望ましくは、
dC.E.2 + dS.A./2 ≦ 4nm
がよいと考えられる。第2のC.E.18はInGaNまたはGaNであって、Inの組成は0から0.05程度がよい。望ましくは第2のC.E.18の成長温度は830℃以下であるとよい。
経路_Bを利用するためには、第1のC.E.17から第3のC.E.20までの距離が短いほうがよく、格子緩和されないことが必要である。経路_Bと経路_Cの効果の区別は難しいが、実施の形態1において、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
であれば自励発振が確認された。さらに望ましくは、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよかった。上記範囲内であれば窒化物半導体レーザは自励発振を得やすく、層厚を適切に調整することで自励発振特性を制御できる。
S.A.は、望ましくは励起子ボーア半径程度の4nm以下がよく、0.5nm以上がよい。0.5nm以下ではS.A.内のInの凝集により、層として考えられないためである。しかしながら、4nmよりも厚いS.A.であっても、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
においては、第2のC.E.が薄くなってS.A.の歪みが大きくなるため、自励発振を得ることができる。
したがって、S.A.システム構造2においては、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。
実施の形態1において、InGaNの第2のC.E.18はGaNであってもよく、AlGaNの第1のC.E.17とInGaNの第2のC.E.18の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第2のC.E.18とInGaNのS.A.19の間にGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第3のC.E.20はGaNであってもよく、また、InGaNのS.A.19とInGaNの第3のC.E.20の間にGaNが挿入されていてもよい。
なお、実施の形態1において、S.A.およびC.E.は基板からの圧縮歪みを受けているため、経路_Bの効果を促進しているものと考えられる。このような効果を得るためには、基板の格子定数がS.A.およびC.E.の格子定数よりも小さいことが望ましく、具体的には、GaNと同じか、小さければよい。基板には、例えば、サファイア基板やサファイアに少量AlとO(酸素)以外の元素を混晶したもの、AlGaN基板などのGaNにGaとN以外の元素を混晶したものが考えられる。
図14に、サファイア基板を用いた窒化物半導体レーザを示す。このレーザは、N電極30、サファイア基板31、n−GaN層32、n−InGaNクラック防止層33、n−AlGaNクラッド層34、n−GaNガイド層35、n−InGaN活性層36、p−AlGaNの第1のC.E.層37、InGaNの第2のC.E.38、InGaNのS.A.39、InGaNの第3のC.E.40、p−GaNガイド層41、p−AlGaNクラッド層42、p−GaNコンタクト層43、絶縁膜44、P電極45より成る。
なお、上述の条件を満たしていれば、InGaNのS.A.は多重量子井戸構造であってもよい。また、第2のC.E.および第3のC.E.の一部または全部が、共ドープ、つまりp型不純物とn型不純物を共に含むようにドープされていてもよい。これにより第2のC.E.および第3のC.E.におけるキャリア寿命が短くなる。
サファイア基板は絶縁性であり、図14のように片側2電極構造である。N電極のためのメサ工程を除いて、GaN基板とほぼ同様に製作することができる。得られた窒化物半導体レーザは自励発振を確認することができた。実施の形態2以降ではGaN基板のみについて説明するが、実施の形態1と同様に、基板が異なっていても本発明の効果が期待できる。
なお、実施の形態1では、リッジ構造により光閉じ込め、電流狭窄を行っているが、電極ストライプ構造やブロック構造などの他のレーザ構造であっても、本発明の効果が得られることは明らかである。
自励発振周波数は光子寿命によって変更することができるため、共振器長、端面反射率を変えるとよい。例えば、光ディスクシステムにおける窒化物半導体レーザから光ディスクまでの光学距離により、最も雑音が小さくなるように設計してもよい。
窒化物半導体レーザにおけるS.A.システム以外の層は、上述のものと異なっていても、本発明の効果が期待できる。例えば、多層構造のAlGaNクラッド層や、SLSクラッド、InGaNガイド層等である。また、活性層と第1のC.E.の間に、InGaN層またはGaN層があってもよい。これらの変更は下記の実施の形態2以降でも同様に可能である。
<実施の形態2>
図15は、本発明の実施の形態2の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザはp型可飽和吸収層を備えた構造であって、実施の形態1と同様に、S.A.システムの第1のC.E.がキャリアブロック層を兼ねている。本実施の形態2では、S.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極210、n−GaN基板211、n−GaN層212、n−InGaNクラック防止層213、n−AlGaNクラッド層214、n−GaNガイド層215、n−InGaN活性層216、S.A.システム217、p−GaNガイド層218、p−AlGaNクラッド層219、p−GaNコンタクト層220、絶縁膜221、P電極222である。なお、S.A.システム217の構造は図1に従っている。
実施の形態2(S.A.システム構造1)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
図1のS.A.システム構造1において、InGaNの第2のC.E.2はGaNであってもよく、AlGaNの第1のC.E.1とInGaNの第2のC.E.2の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第2のC.E.2とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよく、また、InGaNの第3のC.E.4とAlGaNの第4のC.E.5の間にGaNが挿入されていてもよい。なお、実施の形態3〜17においては、同様の説明は省略するが、該当層がある場合には同様の変更が可能である。
<実施の形態3>
実施の形態3の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造であって、実施の形態1と同様に、S.A.システムの第1のC.E.がキャリアブロック層を兼ねている。本実施の形態3ではS.A.システム構造3を用いている。図15は、実施の形態3の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム217の構造は図3に従う。
実施の形態3(S.A.システム構造3)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態4>
実施の形態4の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造であって、実施の形態1と同様に、S.A.システムの第1のC.E.がキャリアブロック層を兼ねている。実施の形態4ではS.A.システム構造6を用いている。図15は、実施の形態4の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム217の構造は図6に従う。
実施の形態4(S.A.システム構造6)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態5>
実施の形態5の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造であって、実施の形態1と同様に、S.A.システムの第1のC.E.がキャリアブロック層を兼ねている。実施の形態5ではS.A.システム構造9を用いている。図15は、実施の形態5の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム217の構造は図9に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第4のC.E.5に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら InGaNのS.A.3/AlGaNの第4のC.E.5ヘテロ界面における再結合により、実施の形態5の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。S.A.システムが構造10(図10)に従っていても同様である。
<実施の形態6>
図16は、本発明の実施の形態6の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザはp型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態6ではS.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極310、n−GaN基板311、n−GaN層312、n−InGaNクラック防止層313、n−AlGaNクラッド層314、n−GaNガイド層315、n−InGaN活性層316、p−AlGaNキャリアブロック層317、p−GaNガイド層318、S.A.システム319、p−GaNガイド層320、p−AlGaNクラッド層321、p−GaNコンタクト層322、絶縁膜323、P電極324である。なお、S.A.システム319の構造は図1に従う。
実施の形態6(S.A.システム構造1)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態7>
実施の形態7の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態7ではS.A.システム構造2を用いている。図16は、実施の形態7の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図2に従う。
実施の形態7(S.A.システム構造2)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態8>
実施の形態8の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の 形態8ではS.A.システム構造3を用いている。図16は、実施の形態8の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図3に従う。
実施の形態8(S.A.システム構造3)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態9>
実施の形態9の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態9ではS.A.システム構造4を用いている。図16は、実施の形態9の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図4に従う。
実施の形態9(S.A.システム構造4)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態10>
実施の形態10の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態10ではS.A.システム構造5を用いている。図16は、実施の形態10の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図5に従う。
実施の形態10(S.A.システム構造5)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態11>
実施の形態11の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態11ではS.A.システム構造6を用いている。図16は、実施の形態11の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図6に従う。
実施の形態11(S.A.システム構造6)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態12>
実施の形態12の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態12ではS.A.システム構造8を用いている。図16は、実施の形態12の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム319の構造は図8に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第4のC.E.5に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら、InGaNのS.A.3/AlGaNの第4のC.E.5ヘテロ界面における再結合により、実施の形態12の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。S.A.システムが構造9(図9)および構造10(図10)に従っていても同様である。
<実施の形態13>
図17は、本発明の実施の形態13の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造であって、S.A.システムの第4のC.E.がp−AlGaNクラッド層を兼ねている。実施の形態13ではS.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極410、n−GaN基板411、n−GaN層412、n−InGaNクラック防止層413、n−AlGaNクラッド層414、n−GaNガイド層415、n−InGaN活性層416、p−AlGaNキャリアブロック層417、p−GaNガイド層418、S.A.システム419、p−GaNコンタクト層420、絶縁膜421、P電極422である。なおS.A.システム419の構造は図1に従う。
実施の形態13(S.A.システム構造1)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
なお、AlGaNの第4のC.E.5はクラッド層を兼ねているため、層厚は約0.5μmと厚くなる。Al組成が0.15以上と高い場合には、AlGaNの第4のC.E.5の電圧降下が大きく、またクラックが発生しやすいため、2層以上の層構造にすることが望ましい。
図18は、AlGaNの第4のC.E.とp−AlGaNクラッド層を分離した窒化物半導体レーザを示したものである。基板側から説明すると、N電極510、n−GaN基板511、n−GaN層512、n−InGaNクラック防止層513、n−AlGaNクラッド層514、n−GaNガイド層515、n−InGaN活性層516、p−AlGaNキャリアブロック層517、p−GaNガイド層518、S.A.システム519、p−AlGaNクラッド層520、p−GaNコンタクト層521、絶縁膜522、P電極523である。
図18に示した構造では、AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。また、上記AlGaNの第4のC.E.よりP層方向のp−AlGaNクラッド層に向けて、Alの組成が徐々に少なくなるようなグレーテッドな構造としてもよい。
<実施の形態14>
実施の形態14の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態14ではS.A.システム構造4を用いている。図17は、実施の形態14の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム419の構造は図4に従う。
実施の形態14(S.A.システム構造4)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
また、実施の形態13で説明した図18に示す構造であってもよい。その場合、S.A.システム519は図4に従う。上記の条件に加えて、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態15>
実施の形態15の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態15ではS.A.システム構造5を用いている。図17は、実施の形態15の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム419の構造は図5に従う。
実施の形態15(S.A.システム構造5)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
また、実施の形態13で説明した図18に示す構造としてもよい。その場合も、S.A.システム519の構造は図5に従う。上記条件に加えて、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態16>
実施の形態16の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態16ではS.A.システム構造6を用いている。図17は、実施の形態16の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム419の構造は図6に従う。
実施の形態16(S.A.システム構造6)では実施の形態1と同様の効果が期待され、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、
dC.E.3 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.3 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。また、AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
実施の形態13で説明した図18に示す構造としてもよい。その場合も、S.A.システム519の構造は図6に従う。上記条件に加えて、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態17>
実施の形態17の窒化物半導体レーザは、p型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態17ではS.A.システム構造8を用いている。図17は、実施の形態17の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム419の構造は図8に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第4のC.E.5に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら InGaNのS.A.3/AlGaNの第4のC.E.5ヘテロ界面における再結合により、本実施の形態17の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。S.A.システムが構造9(図9)および構造10(図10)に従っていても同様である。
<実施の形態18>
図19は、本発明の実施の形態18の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザはn型可飽和吸収層を備えた構造であって、S.A.システムの第1のC.E.がp−AlGaNクラッド層を兼ねている。実施の形態18ではS.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極610、n−GaN基板611、n−GaN層612、n−InGaNクラック防止層613、S.A.システム614、n−GaNガイド層615、n−InGaN活性層616、p−AlGaNキャリアブロック層617、p−GaNガイド層618、p−AlGaNクラッド層619、p−GaNコンタクト層620、絶縁膜621、P電極622である。なおS.A.システム614の構造は図1に従う。
実施の形態18(S.A.システム構造1)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。またAlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
なお、AlGaNの第1のC.E.1はクラッド層を兼ねているため、層厚は0.5μm以上と厚くなる。基板への放射モードを抑制するためには1.0μm以上が望ましい。Al組成が0.15以上と高い場合には、AlGaNの第1のC.E.1においてクラックが発生しやすいため、2層以上の層構造にすることが望ましい。
図20はAlGaNの第1のC.E.とn−AlGaNクラッド層を分離した窒化物半導体レーザを示したものである。基板側から説明すると、N電極710、n−GaN基板711、n−GaN層712、n−InGaNクラック防止層713、n−AlGaNクラッド層714、S.A.システム715、n−GaNガイド層716、n−InGaN活性層717、p−AlGaNキャリアブロック層718、p−GaNガイド層719、p−AlGaNクラッド層720、p−GaNコンタクト層721、絶縁膜722、P電極723である。
図20に示した構造では、AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。また、AlGaNの第4のC.E.より基板方向のn−AlGaNクラッド層に向けて、Alの組成が徐々に少なくなるようなグレーテッドな構造であってもよい。
図1のS.A.システム構造1において、InGaNの第3のC.E.4はGaNであってもよく、AlGaNの第4のC.E.5とInGaNの第3のC.E.4の間に薄いGaNが挿入されていてもよく、InGaNの第3のC.E.4とInGaNのS.A.3の間にGaNが挿入されていてもよく、また、InGaNの第2のC.E.2とAlGaNの第1のC.E.1の間にGaNが挿入されていてもよい。なお、実施の形態19〜35においては、同様の説明は省略するが、該当層がある場合には同様の変更が可能である。
<実施の形態19>
実施の形態19の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態19ではS.A.システム構造2を用いている。図19は、実施の形態19の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム614の構造は図2に従う。
実施の形態19(S.A.システム構造2)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
実施の形態18で説明した図20に示す構造としてもよい。その場合も、S.A.システム714の構造は図2に従う。上記条件に加えて、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態20>
実施の形態20の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態20ではS.A.システム構造7を用いている。図19は、実施の形態20の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム614の構造は図7に従う。
実施の形態20(S.A.システム構造7)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。
実施の形態18で説明した図20に示す構造としてもよい。その場合、S.A.システム714の構造は図7に従う。上記条件に加えて、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態21>
実施の形態21の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態21ではS.A.システム構造9を用いている。図19は、実施の形態21の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム614の構造は図9に従う。
実施の形態21(S.A.システム構造9)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待され、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。またAlGaNの第4のC.E.5により、
dS.A. ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよい。
実施の形態18で説明した図20に示す構造としてもよい、その場合も、S.A.システム714の構造は図9に従う。上記条件に加えて、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態22>
実施の形態22の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態22ではS.A.システム構造3を用いている。図19は、実施の形態22の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム614の構造は図3に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第1のC.E.1に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら AlGaNの第1のC.E.1/InGaNのS.A.3ヘテロ界面における再結合により、本実施の形態22の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。S.A.システムが構造6(図6)および構造10(図10)に従っていても同様である。なお、実施の形態18で説明した図20に示す構造としてもよい、
<実施の形態23>
図21は、本発明の実施の形態23の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態23ではS.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極810、n−GaN基板811、n−GaN層812、n−InGaNクラック防止層813、n−AlGaNクラッド層814、n−GaNガイド層815、S.A.システム816、n−GaNガイド層817、n−InGaN活性層818、p−AlGaNキャリアブロック層819、p−GaNガイド層820、p−AlGaNクラッド層821、p−GaNコンタクト層821、絶縁膜823、P電極824である。なおS.A.システム816の構造は図1に従う。
実施の形態23(S.A.システム構造1)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態24>
実施の形態24の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態24ではS.A.システム構造2を用いている。図21は、実施の形態24の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図2に従う。
実施の形態24(S.A.システム構造2)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態25>
実施の形態25の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態25ではS.A.システム構造4を用いている。図21は、実施の形態25の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図4に従う。
実施の形態25(S.A.システム構造4)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態26>
実施の形態26の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態26ではS.A.システム構造7を用いている。図21は、実施の形態26の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図7に従う。
実施の形態26(S.A.システム構造7)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態27>
実施の形態27の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態27ではS.A.システム構造8を用いている。図21は、実施の形態27の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図8に従う。
実施の形態27(S.A.システム構造8)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態28>
実施の形態28の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態28ではS.A.システム構造9を用いている。図21は、実施の形態28の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図9に従う。
実施の形態28(S.A.システム構造9)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態29>
実施の形態29の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態29ではS.A.システム構造3を用いている。図21は、実施の形態29の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム816の構造は図3に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第1のC.E.1に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら AlGaNの第1のC.E.1/InGaNのS.A.3ヘテロ界面における再結合により、実施の形態29の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。S.A.システムが構造6(図6)および構造10(図10)に従っていても同様である。
<実施の形態30>
図22は、本発明の実施の形態30の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。この窒化物半導体レーザはn型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態30ではS.A.システム構造1を用いている。
基板側から説明すると、N電極910、n−GaN基板911、n−GaN層912、n−InGaNクラック防止層913、n−AlGaNクラッド層914、n−GaNガイド層915、S.A.システム916、n−InGaN活性層917、p−AlGaNキャリアブロック層918、p−GaNガイド層919、p−AlGaNクラッド層920、p−GaNコンタクト層921、絶縁膜922、P電極923である。なおS.A.システム916の構造は図1に従う。
実施の形態30(S.A.システム構造1)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。
<実施の形態31>
実施の形態31の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態31ではS.A.システム構造2を用いている。図22は、実施の形態31の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム916の構造は図2に従う。
実施の形態31(S.A.システム構造2)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。なお、注入されたホールがS.A.で再結合するのを防ぐために、InGaNの第3のC.E.は少なくとも20nm以上必要である。ホールの移動度が低いためである。
<実施の形態32>
実施の形態32の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態32ではS.A.システム構造4を用いている。図22は、実施の形態32の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム916の構造は図4に従う。
実施の形態32(S.A.システム構造4)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dC.E.3 + dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。なお、AlGaNの第4のC.E.5はホールに対して障壁になる。
<実施の形態33>
実施の形態33の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態33ではS.A.システム構造8を用いている。図22は、実施の形態33の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム916の構造は図8に従う。
実施の形態33(S.A.システム構造8)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。なお、AlGaNの第4のC.E.5はホールに対して障壁になる。
<実施の形態34>
実施の形態34の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態34ではS.A.システム構造9を用いている。図22は、実施の形態34の窒化物半導体レーザを、ストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム916の構造は図9に従う。
実施の形態34(S.A.システム構造9)では、n型可飽和吸収層のため少数キャリアがホールである他は、実施の形態1と同様の効果が期待される。AlGaNの第4のC.E.5により、
dS.A. ≦ 15nm
がよい。さらに望ましくは、
dS.A. ≦ 5nm
がよい。また、AlGaNの第1のC.E.1により、
dC.E.2 ≦ 15nm
がよく、さらに望ましくは、
dC.E.2 ≦ 5nm
がよい。上記範囲であればAlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5により経路_Bが期待できる。
AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5のAlの組成は、望ましくは0.1以上であって、さらに望ましくは0.15以上であるとよい。また、AlGaNの第1のC.E.1およびAlGaNの第4のC.E.5の層厚は、望ましくは5nm以上であるとよく、これにより経路_Bが期待できる。なお、AlGaNの第4のC.E.5はホールに対して障壁になる。
<実施の形態35>
実施の形態35の窒化物半導体レーザは、n型可飽和吸収層を備えた構造である。実施の形態35ではS.A.システム構造3を用いている。図22は、実施の形態35の窒化物半導体レーザをストライプ方向から見た断面図である。S.A.システム916の構造は図3に従う。
InGaNのS.A.3はAlGaNの第1のC.E.1に接しているため、経路_Bが期待できない。しかしながら AlGaNの第1のC.E.1/InGaNのS.A.3ヘテロ界面における再結合により、実施の形態35の窒化物半導体レーザは自励発振が期待できる。なお、注入されたホールがS.A.で再結合するのを防ぐために、InGaNの第3のC.E.は少なくとも20nm以上必要である。ホールの移動度が低いためである。
S.A.システムが構造6(図6)および構造10(図10)に従っていてもよい。これらの構造では、AlGaNの第4のC.E.5はホールに対して障壁になる。