JP2012147020A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】可飽和吸収領域に損傷が発生し難い構成、構造を有するバイ・セクション型のGaN系半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】半導体レーザ素子は、発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層と第2化合物半導体層が積層されて成り、リッジストライプ構造を有する積層構造体、第2電極並びに第1電極を備え、第2電極は、発光領域に直流電流を流す第1部分と可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに分離溝によって分離されており、リッジストライプ構造の両側には第2化合物半導体層露出領域が設けられており、発光領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの平均距離をL1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの距離をL2としたとき、1<L2/L1-aveを満足する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、半導体レーザ素子に関する。
GaN系化合物半導体から成り、発光波長が405nm帯の高出力超短パルス半導体レーザ素子が、ブルーレイ(Blu−ray)光ディスクシステムの次の世代の光ディスクシステムとして期待されている体積型光ディスクシステムの光源や、医療分野やバイオイメージング分野等で要求される光源として期待されている。半導体レーザ素子において短パルス光を発生させる方法として、主に、利得スイッチとモード同期の2種類の方法が知られており、モード同期は、更に、能動モード同期と受動モード同期に分類される。能動モード同期に基づき光パルスを発生させるには、ミラーやレンズを用いて外部共振器を構成し、更に、半導体レーザ素子に高周波(RF)変調を加える必要がある。一方、受動モード同期では、半導体レーザ素子のセルフ・パルセーション動作(Self Pulsation,自励発振動作)を利用することで、単純な直流駆動にて光パルスを生成することができる。
半導体レーザ素子をセルフ・パルセーション動作させるためには、半導体レーザ素子に発光領域及び可飽和吸収領域を設ける必要がある。ここで、発光領域及び可飽和吸収領域の配置状態から、半導体レーザ素子は、発光領域と可飽和吸収領域とを垂直方向に配置したSAL(Saturable Absorber Layer)型やWI(Weakly Index guide)型と、共振器方向に発光領域と可飽和吸収領域とを並置したバイ・セクション(Bi Section)型に分類することができる。バイ・セクション型半導体レーザ素子は、例えば、特開2004−007002、特開2004−188678、特開2008−047692から周知である。バイ・セクション型のGaN系半導体レーザ素子は、SAL型半導体レーザ素子に比べて、可飽和吸収の効果が大きく、幅の狭い光パルスを生成することができるとされている。
バイ・セクション型のGaN系半導体レーザ素子は、一般に、
(a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
(b)第2化合物半導体層上に形成された帯状の第2電極、並びに、
(c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
を備えている。そして、第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、第1電極から可飽和吸収領域を経由して電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている。
特開2004−007002 特開2004−188678 特開2008−047692
ところで、バイ・セクション型のGaN系半導体レーザ素子においてパルス動作をさせるためには、可飽和吸収領域に逆バイアスを印加しながら発光領域にキャリアを注入する。それ故、連続発振動作時の半導体レーザ素子に比べて可飽和吸収領域の負荷が大きく、その結果、第2電極の第2部分あるいは可飽和吸収領域に損傷が発生し、長期信頼性に問題が生じ易いことが、本発明者らの検討の結果、判明した。上記の特許公開公報には、このような第2電極の第2部分あるいは可飽和吸収領域に損傷が発生することに関しては、何ら言及されていない。
従って、本発明の目的は、第2電極の第2部分あるいは可飽和吸収領域に損傷が発生し難い構成、構造を有するバイ・セクション型のGaN系半導体レーザ素子を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子は、
(a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層(活性層)、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
(b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
(c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
を備え、
積層構造体はリッジストライプ構造を有し、
第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている半導体レーザ素子である。
そして、本発明の第1の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、
リッジストライプ構造の最小幅をWMIN、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分のリッジストライプ構造の幅をW2としたとき、
1<W2/WMIN
好ましくは、
1.5≦W2/WMIN≦20
より好ましくは、
2.0≦W2/WMIN≦10
を満足する。ここで、W2/WMIN≦20とすることで、確実にシングルモードを維持することができる。最小幅WMINを有するリッジストライプ構造の部分は、発光領域に位置する場合もあるし、可飽和吸収領域に位置する場合もあるが、最も好ましい形態は、最小幅WMINを有するリッジストライプ構造の部分が積層構造体の端面に位置する形態である。
また、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、
リッジストライプ構造の両側には、第2化合物半導体層が露出した第2化合物半導体層露出領域が設けられており、
発光領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの平均距離をL1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの距離をL2としたとき、
1<L2/L1-ave
好ましくは、
1.1≦L2/L1-ave≦2.0
より好ましくは、
1.15≦L2/L1-ave≦1.25
を満足する。更には、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った発光領域における第2化合物半導体層露出領域の平均幅をD1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った可飽和吸収領域における第2化合物半導体層露出領域の幅をD2としたとき、
2.0≦D2/D1-ave≦3.5
を満足することが好ましい。
また、本発明の第3の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、
発光領域におけるリッジストライプ構造の平均高さをH1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分のリッジストライプ構造の高さをH2としたとき、
2/H1-ave<1
好ましくは、
0.85≦H2/H1-ave≦0.98
より好ましくは、
0.90≦H2/H1-ave≦0.95
を満足する。
また、本発明の第4の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、第2電極の第2部分は複数の部分から成る。ここで、複数の部分の数として、2乃至3を例示することができる。第2電極の第2部分を複数の部分から構成するには、第2電極の第2部分を第2の分離溝によって複数の部分に分離すればよい。
また、本発明の第5の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、可飽和吸収領域の電場が集中する部位には、光閉込め効果を低減する低減手段が設けられている。
ここで、光閉込め効果を低減する低減手段は、例えば、本発明の第1の態様に係る半導体レーザ素子の構成要件と組み合わせてもよい。即ち、光閉込め効果を低減する低減手段は、リッジストライプ構造の最小幅をWMIN、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分のリッジストライプ構造の幅をW2としたとき、
1<W2/WMIN
好ましくは、
1.5≦W2/WMIN≦20
より好ましくは、
2.0≦W2/WMIN≦10
を満足することで具現化することができる。あるいは又、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子の構成要件と組み合わせてもよい。即ち、光閉込め効果を低減する低減手段は、
リッジストライプ構造の両側には、第2化合物半導体層が露出した第2化合物半導体層露出領域が設けられており、
発光領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの平均距離をL1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの距離をL2としたとき、
1<L2/L1-ave
好ましくは、
1.1≦L2/L1-ave≦2.0
より好ましくは、
1.15≦L2/L1-ave≦1.25
を満足することで具現化することができ、更には、リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った発光領域における第2化合物半導体層露出領域の平均幅をD1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った可飽和吸収領域における第2化合物半導体層露出領域の幅をD2としたとき、
2.0≦D2/D1-ave≦3.5
を満足することで具現化することができる。あるいは又、本発明の第3の態様に係る半導体レーザ素子の構成要件と組み合わせてもよい。即ち、光閉込め効果を低減する低減手段は、
発光領域におけるリッジストライプ構造の平均高さをH1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分のリッジストライプ構造の高さをH2としたとき、
2/H1-ave<1
好ましくは、
0.85≦H2/H1-ave≦0.98
より好ましくは、
0.90≦H2/H1-ave≦0.95
を満足することで具現化することができる。あるいは又、本発明の第4の態様に係る半導体レーザ素子の構成要件と組み合わせてもよい。即ち、光閉込め効果を低減する低減手段は、第2電極の第2部分を複数の部分から構成することで具現化することができ、ここで、複数の部分の数として、2乃至3を例示することができる。
本発明者らの検討の結果、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分(以下、『第2電極の第2部分の境界領域』と呼ぶ場合がある)に、屡々、損傷の発生が認められた。本発明の第1の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、W2/WMIN>1を満足しているので、第2電極の第2部分の境界領域に電界が集中し難くなり、第2電極の第2部分に損傷が発生し難くなる。また、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、L2/L1-ave>1を満足しており、本発明の第3の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、H2/H1-ave<1を満足しているので、第2電極の第2部分の境界領域に対応する可飽和吸収領域の部分(以下、『可飽和吸収領域の境界領域』と呼ぶ場合がある)に電界集中が緩和され、可飽和吸収領域に損傷が発生し難くなる。更には、本発明の第4の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、第2電極の第2部分は複数の部分から成るので、第2電極の第2部分に発生した熱が拡散し易くなる結果、第2電極の第2部分に損傷が発生し難くなる。また、可飽和吸収領域が複数の部分から構成されるので、可飽和吸収領域の境界領域に電界が集中し難くなり、可飽和吸収領域の境界領域に損傷が発生し難くなる。本発明の第5の態様に係る半導体レーザ素子にあっては、可飽和吸収領域の電場が集中する部位には光閉込め効果を低減する低減手段が設けられているので、可飽和吸収領域の境界領域に損傷が発生し難くなる。
図1の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の半導体レーザ素子の模式的な平面図である。 図2の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の半導体レーザ素子の模式的な平面図である。 図3は、実施例1の半導体レーザ素子の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)である。 図4は、実施例1の半導体レーザ素子の共振器の延びる方向と直角方向に沿った模式的な断面図(YZ平面にて切断したときの模式的な断面図)である。 図5の(A)、(B)及び(C)は、実施例2の半導体レーザ素子の模式的な平面図、及び、半導体レーザ素子の共振器の延びる方向に沿った模式的な断面図(XZ平面にて切断したときの模式的な断面図)である。 図6の(A)及び(B)は、実施例2の半導体レーザ素子の模式的な端面図である。 図7の(A)及び(B)は、実施例2の半導体レーザ素子の模式的な端面図である。 図8は、実施例3の半導体レーザ素子の模式的な平面図である。 図9の(A)及び(B)は、本発明の半導体レーザ素子を用いて外部共振器を構成し、モード同期動作を行う半導体レーザ素子組立体を模式的に示す図である。 図10は、実施例1の半導体レーザ素子の変形例の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)である。 図11は、実施例1の半導体レーザ素子の別の変形例の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)である。 図12は、実施例2の半導体レーザ素子の変形例におけるリッジストライプ構造を上方から眺めた模式図である。 図13の(A)及び(B)は、実施例1の半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図である。 図14の(A)及び(B)は、図13の(B)に引き続き、実施例1の半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図である。 図15は、図14の(B)に引き続き、実施例1の半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部端面図である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子)
3.実施例2(本発明の第2の態様、第3の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子)
4.実施例3(本発明の第4の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子)、その他
[本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子、全般に関する説明]
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子において、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、第2電極と第1電極との間の電気抵抗値の1×10倍以上、好ましくは1×102倍以上、より好ましくは1×103倍以上であることが望ましい。あるいは又、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、1×102Ω以上、好ましくは1×103Ω以上、より好ましくは1×104Ω以上であることが望ましい。
このような半導体レーザ素子にあっては、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、第2電極と第1電極との間の電気抵抗値の1×10倍以上であり、あるいは又、1×102Ω以上である。従って、第2電極の第1部分から第2部分への漏れ電流の流れを確実に抑制することができる。即ち、可飽和吸収領域(キャリア非注入領域)へ印加する逆バイアス電圧Vsaを高くすることができるため、時間幅の短い光パルスを有するシングルモードのモード同期動作を実現できる。そして、第2電極の第1部分と第2部分との間のこのような高い電気抵抗値を、第2電極を第1部分と第2部分とに分離溝によって分離するだけで達成することができる。
また、以上の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子において、限定するものではないが、
第3化合物半導体層は、井戸層及び障壁層を備えた量子井戸構造を有し、
井戸層の厚さは、1nm以上、10nm以下、好ましくは、1nm以上、8nm以下であり、
障壁層の不純物ドーピング濃度は、2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下、好ましくは、1×1019cm-3以上、1×1020cm-3以下である形態とすることができる。
このように、第3化合物半導体層を構成する井戸層の厚さを1nm以上、10nm以下と規定し、更には、第3化合物半導体層を構成する障壁層の不純物ドーピング濃度を2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下と規定することで、即ち、井戸層の厚さを薄くし、しかも、第3化合物半導体層のキャリアの増加を図ることで、ピエゾ分極の影響を低減させることができ、時間幅が短く、サブパルス成分の少ない単峰化された光パルスを発生させ得るレーザ光源を得ることができる。また、低い逆バイアス電圧でモード同期駆動を達成することが可能となるし、外部信号(電気信号及び光信号)と同期が取れた光パルス列を発生させることが可能となる。障壁層にドーピングされた不純物はシリコン(Si)である構成することができるが、これに限定するものではなく、その他、酸素(O)とすることもできる。
あるいは又、以上の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子において、第2電極を第1部分と第2部分とに分離する分離溝の幅は、2μm以上、半導体レーザ素子における共振器長(以下、単に『共振器長』と呼ぶ)の40%以下、好ましくは10μm以上、共振器長の20%以下であることが望ましい。共振器長として、0.6mmを例示することができるが、これに限定するものではない。
更には、以上の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子においては、発光領域側の積層構造体の端面(光出射端面)からレーザ光が出射されることが好ましい。
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る半導体レーザ素子(以下、これらを総称して、単に、『本発明の半導体レーザ素子』と呼ぶ場合がある)は、リッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH構造、Separate Confinement Heterostructure)を有する半導体レーザ素子である形態とすることができる。あるいは又、斜めリッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造を有する半導体レーザ素子である形態とすることができる。そして、本発明の半導体レーザ素子にあっては、第2電極の第1部分から発光領域を経由して第1電極に直流電流を流して順バイアス状態とし、第1電極と第2電極の第2部分との間に電圧を印加することによって可飽和吸収領域に電界を加えることで、セルフパルセーション動作及びモード同期動作させることができる。
本発明の半導体レーザ素子において、第2電極は、パラジウム(Pd)単層、ニッケル(Ni)単層、白金(Pt)単層、パラジウム層が第2化合物半導体層に接するパラジウム層/白金層の積層構造、又は、パラジウム層が第2化合物半導体層に接するパラジウム層/ニッケル層の積層構造から成る形態とすることができる。尚、下層金属層をパラジウムから構成し、上層金属層をニッケルから構成する場合、上層金属層の厚さを、0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上とすることが望ましい。あるいは又、第2電極を、パラジウム(Pd)単層から成る構成とすることが好ましく、この場合、厚さを、20nm以上、好ましくは50nm以上とすることが望ましい。あるいは又、第2電極を、パラジウム(Pd)単層、ニッケル(Ni)単層、白金(Pt)単層、又は、下層金属層が第2化合物半導体層に接する下層金属層と上層金属層の積層構造(但し、下層金属層は、パラジウム、ニッケル及び白金から成る群から選択された1種類の金属から構成され、上層金属層は、後述する工程(D)において第2電極に分離溝を形成する際のエッチングレートが、下層金属層のエッチングレートと同じ、あるいは同程度、あるいは、下層金属層のエッチングレートよりも高い金属から構成されている)から成る構成とすることが好ましい。また、後述する工程(D)において第2電極に分離溝を形成する際のエッチング液を、王水、硝酸、硫酸、塩酸、又は、これらの酸の内の少なくとも2種類の混合液(具体的には、硝酸と硫酸の混合液、硫酸と塩酸の混合液)とすることが望ましい。
本発明の半導体レーザ素子において、可飽和吸収領域の長さは発光領域の長さよりも短い構成とすることができる。あるいは又、第2電極の長さ(第1部分と第2部分の総計の長さ)は第3化合物半導体層(活性層)の長さよりも短い構成とすることができる。第2電極の第1部分と第2部分の配置状態として、具体的には、
(1)1つの第2電極の第1部分と1つの第2電極の第2部分とが設けられ、第2電極の第1部分と、第2電極の第2部分とが、分離溝を挟んで配置されている状態
(2)1つの第2電極の第1部分と2つの第2電極の第2部分とが設けられ、第1部分の一端が、一方の分離溝を挟んで、一方の第2部分と対向し、第1部分の他端が、他方の分離溝を挟んで、他方の第2部分と対向している状態
(3)2つの第2電極の第1部分と1つの第2電極の第2部分とが設けられ、第2部分の端部が、一方の分離溝を挟んで、一方の第1部分と対向し、第2部分の他端が、他方の分離溝を挟んで、他方の第1部分と対向している状態(即ち、第2電極は、第2部分を第1部分で挟んだ構造)
を挙げることができる。また、広くは、
(4)N個の第2電極の第1部分と(N−1)個の第2電極の第2部分とが設けられ、第2電極の第1部分が第2電極の第2部分を挟んで配置されている状態
(5)N個の第2電極の第2部分と(N−1)個の第2電極の第1部分とが設けられ、第2電極の第2部分が第2電極の第1部分を挟んで配置されている状態
を挙げることができる。尚、(4)及び(5)の状態は、云い換えれば、
(4’)N個の発光領域[キャリア注入領域、利得領域]と(N−1)個の可飽和吸収領域[キャリア非注入領域]とが設けられ、発光領域が可飽和吸収領域を挟んで配置されている状態
(5’)N個の可飽和吸収領域[キャリア非注入領域]と(N−1)個の発光領域[キャリア注入領域、利得領域]とが設けられ、可飽和吸収領域が発光領域を挟んで配置されている状態
である。
尚、第2電極の第2部分が複数存在する場合、少なくとも、積層構造体の光反射端面(積層構造体の光出射端面とは反対側の端面)に最も近い所に位置する第2電極の第2部分が、本発明の第1の態様に係る半導体レーザ素子におけるW2/WMINの規定を満足し、また、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子におけるL2/L1-aveの規定を満足し、また、本発明の第3の態様に係る半導体レーザ素子におけるH2/H1-aveの規定を満足し、また、本発明の第4の態様に係る半導体レーザ素子における第2電極の第2部分は複数の部分から成る旨の規定を満足すればよい。
本発明の半導体レーザ素子は、製造すべき半導体レーザ素子の構成、構造にも依るが、例えば、以下の方法で製造することができる。即ち、
(A)基体上に、第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体を形成した後、
(B)第2化合物半導体層上に第2電極を形成し、次いで、
(C)第2電極をエッチング用マスクとして、第2化合物半導体層の一部分をエッチングして、リッジストライプ構造を形成した後、
(D)分離溝を第2電極に形成するためのレジスト層を形成し、次いで、レジスト層をウエットエッチング用マスクとして、第2電極に分離溝をウエットエッチング法にて形成し、以て、第2電極を第1部分と第2部分とに分離溝によって分離する、
各工程を具備した製造方法に基づき製造することができる。
そして、このような製造方法を採用することで、即ち、第2電極をエッチング用マスクとして、第2化合物半導体層の一部分をエッチングして、リッジストライプ構造を形成するので、即ち、パターニングされた第2電極をエッチング用マスクとして用いてセルフアライン方式にてリッジストライプ構造を形成するので、第2電極とリッジストライプ構造との間に合わせずれが生じることがない。また、第2電極に分離溝をウエットエッチング法にて形成することが好ましい。このように、ドライエッチング法と異なり、ウエットエッチング法を採用することで、第2化合物半導体層に光学的、電気的特性の劣化が生じることを抑制することができる。それ故、発光特性に劣化が生じることを、確実に防止することができる。
尚、製造すべき半導体レーザ素子の構成、構造にも依るが、工程(C)にあっては、第2化合物半導体層を厚さ方向に一部分、エッチングしてもよいし、第2化合物半導体層を厚さ方向に全部、エッチングしてもよいし、第2化合物半導体層及び第3化合物半導体層を厚さ方向にエッチングしてもよいし、第2化合物半導体層及び第3化合物半導体層、更には、第1化合物半導体層を厚さ方向に一部分、エッチングしてもよい。
更には、前記工程(D)において、第2電極に分離溝を形成する際の、第2電極のエッチングレートをER0、積層構造体のエッチングレートをER1としたとき、ER0/ER1≧1×10、好ましくは、ER0/ER1≧1×102を満足することが望ましい。ER0/ER1がこのような関係を満足することで、積層構造体をエッチングすること無く(あるいは、エッチングされても僅かである)、第2電極を確実にエッチングすることができる。
また、本発明の半導体レーザ素子において、積層構造体は、具体的には、AlGaInN系化合物半導体から成る構成とすることができる。ここで、AlGaInN系化合物半導体として、より具体的には、GaN、AlGaN、GaInN、AlGaInNを挙げることができる。更には、これらの化合物半導体に、所望に応じて、ホウ素(B)原子やタリウム(Tl)原子、ヒ素(As)原子、リン(P)原子、アンチモン(Sb)原子が含まれていてもよい。また、発光領域(利得領域)及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層(活性層)は、量子井戸構造を有することが望ましい。具体的には、単一量子井戸構造[QW構造]を有していてもよいし、多重量子井戸構造[MQW構造]を有していてもよい。量子井戸構造を有する第3化合物半導体層(活性層)は、井戸層及び障壁層が、少なくとも1層、積層された構造を有するが、(井戸層を構成する化合物半導体,障壁層を構成する化合物半導体)の組合せとして、(InyGa(1-y)N,GaN)、(InyGa(1-y)N,InzGa(1-z)N)[但し、y>z]、(InyGa(1-y)N,AlGaN)を例示することができる。
更には、本発明の半導体レーザ素子において、第2化合物半導体層は、p型GaN層及びp型AlGaN層が交互に積層された超格子構造を有し;超格子構造の厚さは0.7μm以下である構造とすることができる。このような超格子構造の構造を採用することで、クラッド層として必要な高屈折率を維持しながら、半導体レーザ素子の直列抵抗成分を下げることができ、半導体レーザ素子の低動作電圧化につながる。尚、超格子構造の厚さの下限値として、限定するものではないが、例えば、0.3μmを挙げることができるし、超格子構造を構成するp型GaN層の厚さとして1nm乃至5nmを例示することができるし、超格子構造を構成するp型AlGaN層の厚さとして1nm乃至5nmを例示することができるし、p型GaN層及びp型AlGaN層の層数合計として、60層乃至300層を例示することができる。また、第3化合物半導体層から第2電極までの距離は1μm以下、好ましくは、0.6μm以下である構成とすることができる。このように第3化合物半導体層から第2電極までの距離を規定することで、抵抗の高いp型の第2化合物半導体層の厚さを薄くし、半導体レーザ素子の動作電圧の低減化を達成することができる。尚、第3化合物半導体層から第2電極までの距離の下限値として、限定するものではないが、例えば、0.3μmを挙げることができる。また、第2化合物半導体層には、Mgが、1×1019cm-3以上、ドーピングされており;第3化合物半導体層からの波長405nmの光に対する第2化合物半導体層の吸収係数は、少なくとも50cm-1である構成とすることができる。このMgの原子濃度は、2×1019cm-3の値で最大の正孔濃度を示すという材料物性に由来しており、最大の正孔濃度、即ち、この第2化合物半導体層の比抵抗が最小になるように設計された結果である。第2化合物半導体層の吸収係数は、半導体レーザ素子の抵抗を出来るだけ下げるという観点で規定されているものであり、その結果、第3化合物半導体層の光の吸収係数が、50cm-1となるのが一般的である。しかし、この吸収係数を上げるために、Mgドープ量を故意に2×1019cm-3以上の濃度に設定することも可能である。この場合には、実用的な正孔濃度が得られる上での上限のMgドープ量は、例えば8×1019cm-3である。また、第2化合物半導体層は、第3化合物半導体層側から、ノンドープ化合物半導体層、及び、p型化合物半導体層を有しており;第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離は、1.2×10-7m以下である構成とすることができる。このように第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離を規定することで、内部量子効率が低下しない範囲で、内部損失を抑制することができ、これにより、レーザ発振が開始される閾値電流密度を低減させることができる。尚、第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離の下限値として、限定するものではないが、例えば、5×10-8mを挙げることができる。また、リッジストライプ構造の両側面には、SiO2/Si積層構造から成る積層絶縁膜が形成されており;リッジストライプ構造の有効屈折率と積層絶縁膜の有効屈折率との差は、5×10-3乃至1×10-2である構成とすることができる。このような積層絶縁膜を用いることで、100ミリワットを超える高出力動作であっても、単一基本横モードを維持することができる。また、第2化合物半導体層は、第3化合物半導体層側から、例えば、ノンドープGaInN層(p側光ガイド層)、ノンドープAlGaN層(p側クラッド層)、MgドープAlGaN層(電子障壁層)、GaN層(Mgドープ)/AlGaN層の超格子構造(超格子クラッド層)、及び、MgドープGaN層(p側コンタクト層)が積層されて成る構造とすることができる。第3化合物半導体層における井戸層を構成する化合物半導体のバンドギャップは、2.4eV以上であることが望ましい。また、第3化合物半導体層(活性層)から出射されるレーザ光の波長は、360nm乃至500nm、好ましくは400nm乃至410nmであることが望ましい。ここで、以上に説明した各種の構成を、適宜、組み合わせることができることは云うまでもない。
本発明の半導体レーザ素子にあっては、半導体レーザ素子を構成する各種のGaN系化合物半導体層を基板に順次形成するが、ここで、基板として、サファイア基板の他にも、GaAs基板、GaN基板、SiC基板、アルミナ基板、ZnS基板、ZnO基板、AlN基板、LiMgO基板、LiGaO2基板、MgAl24基板、InP基板、Si基板、これらの基板の表面(主面)に下地層やバッファ層が形成されたものを挙げることができる。主に、GaN系化合物半導体層を基板に形成する場合、GaN基板が欠陥密度の少なさから好まれるが、GaN基板は成長面によって、極性/無極性/半極性と特性が変わることが知られている。また、半導体レーザ素子を構成する各種のGaN系化合物半導体層の形成方法として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法,MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法等を挙げることができる。
ここで、MOCVD法における有機ガリウム源ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)ガスやトリエチルガリウム(TEG)ガスを挙げることができるし、窒素源ガスとして、アンモニアガスやヒドラジンガスを挙げることができる。また、n型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、n型不純物(n型ドーパント)としてケイ素(Si)を添加すればよいし、p型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、p型不純物(p型ドーパント)としてマグネシウム(Mg)を添加すればよい。また、GaN系化合物半導体層の構成原子としてアルミニウム(Al)あるいはインジウム(In)が含まれる場合、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いればよいし、In源としてトリメチルインジウム(TMI)ガスを用いればよい。更には、Si源としてモノシランガス(SiH4ガス)を用いればよいし、Mg源としてシクロペンタジエニルマグネシウムガスやメチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いればよい。尚、n型不純物(n型ドーパント)として、Si以外に、Ge、Se、Sn、C、Te、S、O、Pd、Poを挙げることができるし、p型不純物(p型ドーパント)として、Mg以外に、Zn、Cd、Be、Ca、Ba、C、Hg、Srを挙げることができる。
第1導電型をn型とするとき、n型の導電型を有する第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極は、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、タングステン(W)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、錫(Sn)及びインジウム(In)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましく、例えば、Ti/Au、Ti/Al、Ti/Pt/Auを例示することができる。第1電極は第1化合物半導体層に電気的に接続されているが、第1電極が第1化合物半導体層上に形成された形態、第1電極が導電材料層や導電性の基板を介して第1化合物半導体層に接続された形態が包含される。第1電極や第2電極は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法にて成膜することができる。
第1電極や第2電極上に、外部の電極あるいは回路と電気的に接続するために、パッド電極を設けてもよい。パッド電極は、Ti(チタン)、アルミニウム(Al)、Pt(白金)、Au(金)、Ni(ニッケル)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましい。あるいは又、パッド電極を、Ti/Pt/Auの多層構成、Ti/Auの多層構成に例示される多層構成とすることもできる。
本発明の半導体レーザ素子においては、前述したとおり、第1電極と第2電極の第2部分との間に逆バイアス電圧を印加する構成(即ち、第1電極を正極、第2部分を負極とする構成)とすることが望ましい。尚、第2電極の第2部分には、第2電極の第1部分に印加するパルス電流あるいはパルス電圧と同期したパルス電流あるいはパルス電圧を印加してもよいし、直流バイアスを印加してもよい。また、第2電極から発光領域を経由して第1電極に電流を流し、且つ、第2電極から発光領域を経由して第1電極に外部電気信号を重畳させる形態とすることができる。そして、これによって、レーザ光と外部電気信号との間の同期を取ることができる。あるいは又、積層構造体の一端面から光信号を入射させる形態とすることができる。そして、これによっても、レーザ光と光信号との間の同期を取ることができる。また、第2化合物半導体層において、第3化合物半導体層と電子障壁層との間には、ノンドープ化合物半導体層(例えば、ノンドープGaInN層、あるいは、ノンドープAlGaN層)を形成してもよい。更には、第3化合物半導体層とノンドープ化合物半導体層との間に、光ガイド層としてのノンドープGaInN層を形成してもよい。第2化合物半導体層の最上層を、MgドープGaN層(p側コンタクト層)が占めている構造とすることもできる。
本発明の半導体レーザ素子を、例えば、光ディスクシステム、通信分野、光情報分野、光電子集積回路、非線形光学現象を応用した分野、光スイッチ、レーザ計測分野や種々の分析分野、超高速分光分野、多光子励起分光分野、質量分析分野、多光子吸収を利用した顕微分光の分野、化学反応の量子制御、ナノ3次元加工分野、多光子吸収を応用した種々の加工分野、医療分野、バイオイメージング分野といった分野に適用することができる。
実施例1は、本発明の第1の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子に関する。実施例1の半導体レーザ素子の模式的な平面図を図1の(A)〜(C)、図2の(A)〜(C)に示す。また、実施例1における半導体レーザ素子の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)を図3に示し、共振器の延びる方向と直角方向に沿った模式的な断面図(YZ平面にて切断したときの模式的な断面図)を図4に示す。尚、図3は、図4の矢印I−Iに沿った模式的な端面図であり、図4は、図3の矢印II−IIに沿った模式的な断面図である。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例3の半導体レーザ素子(以下、これらの半導体レーザ素子を総称して、『実施例1等の半導体レーザ素子』と呼ぶ場合がある)は、バイ・セクション型半導体レーザ素子から成り、
(a)第1導電型(各実施例においては、具体的には、n型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層30、GaN系化合物半導体から成る発光領域(利得領域)41及び可飽和吸収領域42を構成する第3化合物半導体層(活性層)40、並びに、第1導電型と異なる第2導電型(各実施例においては、具体的には、p型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層50が、順次、積層されて成る積層構造体、
(b)第2化合物半導体層50上に形成された第2電極62、並びに、
(c)第1化合物半導体層30に電気的に接続された第1電極61、
を備えており、
第2電極62は、発光領域41を経由して第1電極61に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分62Aと、可飽和吸収領域42に電界を加えるための第2部分62Bとに、分離溝62Cによって分離されている。
積層構造体はリッジストライプ構造56を有する。具体的には、実施例1等の半導体レーザ素子は、リッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH構造)を有する半導体レーザ素子である。より具体的には、この半導体レーザ素子は、ブルーレイ光ディスクシステム用に開発されたインデックスガイド型のAlGaInNから成るGaN系半導体レーザ素子である。そして、第1化合物半導体層30、第3化合物半導体層40、及び、第2化合物半導体層50は、具体的には、AlGaInN系化合物半導体から成り、より具体的には、実施例1等の半導体レーザ素子にあっては、以下の表1に示す層構成を有する。ここで、表1において、下方に記載した化合物半導体層ほど、n型GaN基板21に近い層である。第3化合物半導体層40における井戸層を構成する化合物半導体のバンドギャップは3.06eVである。実施例1等における半導体レーザ素子は、n型GaN基板21の(0001)面上に設けられており、第3化合物半導体層40は量子井戸構造を有する。n型GaN基板21の(0001)面は、『C面』とも呼ばれ、極性を有する結晶面である。
[表1]
第2化合物半導体層50
p型GaNコンタクト層(Mgドープ)55
p型GaN(Mgドープ)/AlGaN超格子クラッド層54
p型AlGaN電子障壁層(Mgドープ)53
ノンドープAlGaNクラッド層52
ノンドープGaInN光ガイド層51
第3化合物半導体層40
GaInN量子井戸活性層
(井戸層:Ga0.92In0.08N/障壁層:Ga0.98In0.02N)
第1化合物半導体層30
n型GaNクラッド層32
n型AlGaNクラッド層31
但し、
井戸層(2層) 10.5nm ノン・ドープ
障壁層(3層) 14nm ノン・ドープ
また、p型GaNコンタクト層55及びp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の一部は、RIE法にて除去されており、リッジストライプ構造56が形成されている。リッジストライプ構造56の両側にはSiO2/Siから成る積層絶縁膜57が形成されている。尚、SiO2層が下層であり、Si層が上層である。ここで、リッジストライプ構造56の有効屈折率と積層絶縁膜57の有効屈折率との差は、5×10-3乃至1×10-2、具体的には、7×10-3である。そして、リッジストライプ構造56の頂面に相当するp型GaNコンタクト層55上には、第2電極(p側オーミック電極)62が形成されている。一方、n型GaN基板21の裏面には、Ti/Pt/Auから成る第1電極(n側オーミック電極)61が形成されている。
実施例1等の半導体レーザ素子にあっては、第3化合物半導体層40及びその近傍から発生した光密度分布に、Mgドープした化合物半導体層である、p型AlGaN電子障壁層53、p型GaN/AlGaN超格子クラッド層54及びp型GaNコンタクト層55が出来るだけ重ならないようにすることで、内部量子効率が低下しない範囲で、内部損失を抑制している。そして、これにより、レーザ発振が開始される閾値電流密度を低減させている。具体的には、第3化合物半導体層40からp型AlGaN電子障壁層53までの距離dを0.10μm、リッジストライプ構造56の高さを0.30μm、第2電極62と第3化合物半導体層40との間に位置する第2化合物半導体層50の厚さを0.50μm、第2電極62の下方に位置するp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の部分の厚さを0.40μmとした。
実施例1等における半導体レーザ素子において、第2電極62は、発光領域(利得領域)41を経由して第1電極61に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分62Aと、可飽和吸収領域42に電界を加えるための第2部分62B(可飽和吸収領域42に逆バイアス電圧Vsaを加えるための第2部分62B)とに、分離溝62Cによって分離されている。ここで、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値(『分離抵抗値』と呼ぶ場合がある)は、第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の1×10倍以上、具体的には1.5×103倍である。また、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値(分離抵抗値)は、1×102Ω以上、具体的には、1.5×104Ωである。
実施例1等における半導体レーザ素子において、発光領域側の積層構造体の端面(光出射端面)からレーザ光が出射される。この光出射端面には、例えば、反射率0.5%以下、好ましくは反射率0.3%以下の無反射コート層(AR)あるいは低反射コート層が形成されている。一方、半導体レーザ素子10における光出射端面と対向する光反射端面には、反射率85%以上、好ましくは反射率95%以上の高反射コート層(HR)が形成されている。尚、これらの無反射コート層(AR)や低反射コート層、高反射コート層(HR)の図示は省略している。可飽和吸収領域42は、半導体レーザ素子10における光出射端面と対向する光反射端面側に設けられている。無反射コート層あるいは低反射コート層として、酸化チタン層、酸化タンタル層、酸化ジルコニア層、酸化シリコン層及び酸化アルミニウム層から成る群から選択された少なくとも2種類の層の積層構造を挙げることができる。
ところで、上述したとおり、第2化合物半導体層50上に、1×102Ω以上の分離抵抗値を有する2電極62を形成することが望ましい。GaN系半導体レーザ素子の場合、従来のGaAs系半導体レーザ素子とは異なり、p型導電型を有する化合物半導体における移動度が小さいために、p型導電型を有する第2化合物半導体層50をイオン注入等によって高抵抗化することなく、その上に形成される第2電極62を分離溝62Cで分離することで、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の10倍以上とし、あるいは又、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を1×102Ω以上とすることが可能となる。
そして、実施例1の半導体レーザ素子10にあっては、リッジストライプ構造56の最小幅をWMIN、第2電極62の第2部分62Bと分離溝62Cとの境界における第2電極62の第2部分62Bのリッジストライプ構造56の幅をW2としたとき、
1<W2/WMIN
好ましくは、
1.5≦W2/WMIN≦20
より好ましくは、
2.0≦W2/WMIN≦10
を満足している。
あるいは又、実施例1の半導体レーザ素子10にあっては、可飽和吸収領域42の電場が集中する部位には、光閉込め効果を低減する低減手段が設けられている。ここで、この低減手段は、具体的には、リッジストライプ構造56の最小幅をWMIN、第2電極62の第2部分62Bと分離溝62Cとの境界における第2電極62の第2部分62Bのリッジストライプ構造56の幅をW2としたとき、
1<W2/WMIN
とすることで具現化されている。
図1の(A)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、最小幅WMIN(一定値)と等しい。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域(図面では、矢印「P」で示し、『境界領域P』と呼ぶ場合がある。以下においても同様である)で最も広く、W2であり、光反射端面に向かって狭くなっている。尚、図1の(A)〜(C)、図2の(A)〜(C)、図5の(A)、図8、図12において、分離溝を明示するために分離溝の領域に斜線を付した。
図1の(B)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、最小幅WMIN(一定値)と等しい。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pから光反射端面に向かって一定値W2である。
図1の(C)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、光出射端面において最小幅WMINであり、光反射端面に向かって広がっている。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pから光反射端面に向かって広がっており、境界領域Pにおける幅はW2である。
図2の(A)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、最小幅WMIN(一定値)と等しい領域が存在し、しかも、分離溝62Cの近傍では広がっている。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pで最も広く、W2であり、光反射端面に向かって狭くなっている。
図2の(B)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、最小幅WMIN(一定値)と等しい領域が存在し、しかも、分離溝62Cの近傍では広がっている。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pから光反射端面に向かって一定値W2である。
図2の(C)に模式的な平面図を示す半導体レーザ素子10では、第2電極62の第1部分62Aの幅は、光出射端面において最小幅WMINであり、光反射端面に向かって広がっている。また、第2電極62の第2部分62Bの幅は、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pで最も広く、W2であり、光反射端面に向かって狭くなっている。
以上に説明した実施例1の半導体レーザ素子10において、最小幅WMINを有するリッジストライプ構造56の部分は、発光領域41に位置し、また、積層構造体の光出射端面に位置する。
このように、実施例1の半導体レーザ素子10にあっては、W2/WMIN>1を満足しているので、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pに電界が集中し難くなり、第2電極62の第2部分62Bに損傷が発生し難くなる。しかも、可飽和吸収領域の境界領域に電界が集中し難くなる結果、光密度の低下を図ることができ、可飽和吸収領域42の境界領域に損傷が発生し難くなる。尚、第2電極62の第1部分62A、第2部分62Bの平面形状は、図1の(A)〜(C)、図2の(A)〜(C)に図示した例に限定するものではない。
例えば、図2の(C)に図示した半導体レーザ素子(便宜上、『実施例1A、実施例1Bの半導体レーザ素子』と呼ぶ)において、半導体レーザ素子10の共振器長を600μm、第2電極62の第1部分62A、第2部分62B、分離溝62Cのそれぞれの長さを、560μm、30μm、10μmとし、W1-MIN=1.5μmとし、W2=2.5μm(実施例1A)あるいはW2=5.0μm(実施例1B)とした。
一方、第2電極62の第1部分62A、第2部分62Bの幅を一定値(1.5μm)とした半導体レーザ素子を比較例1として作製した。
そして、発光領域(利得領域)41に流す電流Igを増加させ、可飽和吸収領域42に印加する電圧値Vsaを増加させてモード同期動作を行い、実施例1A、実施例1B及び比較例1の半導体レーザ素子に損傷が発生したときの可飽和吸収領域42に流れる電流値Isaを測定した。ここで、電流値Isaは、可飽和吸収領域42が引き抜いた光の量と考えることができる。そして、電界集中による劣化を緩和できれば、電流Ig及び電圧値Vsaを増加させることができるため、電流値Isaも大きくできると予想される。その結果は、以下のとおりであった。この結果から、W2の値を大きくするほど、可飽和吸収領域42に流れることができる電流値(即ち、可飽和吸収領域42が吸収できる光の量)を増加させることができることが判る。云い換えれば、可飽和吸収領域42の境界領域に電界が集中し難くなることが判る。
実施例1A 14ミリアンペア
実施例1B 25ミリアンペア
比較例1 10ミリアンペア
ところで、第2電極62に要求される特性は、以下のとおりである。即ち、
(1)第2化合物半導体層50をエッチングするときのエッチング用マスクとしての機能を有すること。
(2)第2化合物半導体層50の光学的、電気的特性に劣化を生じさせることなく、第2電極62はウエットエッチング可能であること。
(3)第2化合物半導体層50上に成膜したとき、10-2Ω・cm2以下のコンタクト比抵抗値を示すこと。
(4)積層構造とする場合、下層金属層を構成する材料は、仕事関数が大きく、第2化合物半導体層50に対して低いコンタクト比抵抗値を示し、しかも、ウエットエッチング可能であること。
(5)積層構造とする場合、上層金属層を構成する材料は、リッジストライプ構造を形成する際のエッチングに対して(例えば、RIE法において使用されるCl2ガス)に対して耐性があり、しかも、ウエットエッチング可能であること。
実施例1等における半導体レーザ素子にあっては、第2電極62を厚さ0.1μmのPd単層から構成した。
尚、p型GaN層及びp型AlGaN層が交互に積層された超格子構造を有するp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の厚さは0.7μm以下、具体的には、0.4μmであり、超格子構造を構成するp型GaN層の厚さは2.5nmであり、超格子構造を構成するp型AlGaN層の厚さは2.5nmであり、p型GaN層及びp型AlGaN層の層数合計は160層である。また、第3化合物半導体層40から第2電極62までの距離は1μm以下、具体的には0.5μmである。更には、第2化合物半導体層50を構成するp型AlGaN電子障壁層53、p型GaN/AlGaN超格子クラッド層54、p型GaNコンタクト層55には、Mgが、1×1019cm-3以上(具体的には、2×1019cm-3)、ドーピングされており、波長405nmの光に対する第2化合物半導体層50の吸収係数は、少なくとも50cm-1、具体的には、65cm-1である。また、第2化合物半導体層50は、第3化合物半導体層側から、ノンドープ化合物半導体層(ノンドープGaInN光ガイド層51及びノンドープAlGaNクラッド層52)、並びに、p型化合物半導体層を有しているが、第3化合物半導体層40からp型化合物半導体層(具体的には、p型AlGaN電子障壁層53)までの距離(d)は1.2×10-7m以下、具体的には100nmである。
以下、図13の(A)、(B)、図14の(A)、(B)、図15を参照して、実施例1における半導体レーザ素子の製造方法を説明する。尚、図13の(A)、(B)、図14の(A)、(B)は、基板等をYZ平面にて切断したときの模式的な一部断面図であり、図15は、基板等をXZ平面にて切断したときの模式的な一部端面図である。
[工程−100]
先ず、基体上、具体的には、n型GaN基板21の(0001)面上に、周知のMOCVD法に基づき、第1導電型(n型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層30、GaN系化合物半導体から成る発光領域(利得領域)41及び可飽和吸収領域42を構成する第3化合物半導体層(活性層)40、並びに、第1導電型と異なる第2導電型(p型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層50が、順次、積層されて成る積層構造体を形成する(図13の(A)参照)。
[工程−110]
その後、第2化合物半導体層50上に第2電極62を形成する。具体的には、真空蒸着法に基づきPd層63を全面に成膜した後(図13の(B)参照)、Pd層63上に、フォトリソグラフィ技術に基づきエッチング用レジスト層を形成する。そして、王水を用いて、エッチング用レジスト層に覆われていないPd層63を除去した後、エッチング用レジスト層を除去する。こうして、図14の(A)に示す構造を得ることができる。尚、リフトオフ法に基づき、第2化合物半導体層50上に第2電極62を形成してもよい。
[工程−120]
次いで、第2電極62をエッチング用マスクとして、第2化合物半導体層50の一部分をエッチングして、リッジストライプ構造56を形成する。具体的には、Cl2ガスを用いたRIE法に基づき、第2電極62をエッチング用マスクとして用いて、第2化合物半導体層50の一部分をエッチングする。こうして、図14の(B)に示す構造を得ることができる。このように、パターニングされた第2電極62をエッチング用マスクとして用いてセルフアライン方式にてリッジストライプ構造56を形成するので、第2電極62とリッジストライプ構造56との間に合わせずれが生じることがない。
[工程−130]
その後、分離溝を第2電極62に形成するためのレジスト層64を形成する(図15参照)。尚、参照番号65は、分離溝を形成するために、レジスト層64に設けられた開口部である。次いで、レジスト層64をウエットエッチング用マスクとして、第2電極62に分離溝62Cをウエットエッチング法にて形成し、以て、第2電極62を第1部分62Aと第2部分62Bとに分離溝62Cによって分離する。具体的には、王水をエッチング液として用い、王水に約10秒、全体を浸漬することで、第2電極62に分離溝62Cを形成する。そして、その後、レジスト層64を除去する。こうして、図3及び図4に示す構造を得ることができる。このように、ドライエッチング法と異なり、ウエットエッチング法を採用することで、第2化合物半導体層50の光学的、電気的特性に劣化が生じることがない。それ故、半導体レーザ素子の発光特性に劣化が生じることがない。尚、ドライエッチング法を採用した場合、第2化合物半導体層50の内部損失αiが増加し、閾値電圧が上昇したり、光出力の低下を招く虞がある。ここで、第2電極62のエッチングレートをER0、積層構造体のエッチングレートをER1としたとき、
ER0/ER1≒1×102
である。このように、第2電極62と第2化合物半導体層50との間に高いエッチング選択比が存在するが故に、積層構造体をエッチングすること無く(あるいは、エッチングされても僅かである)、第2電極62を確実にエッチングすることができる。尚、ER0/ER1≧1×10、好ましくは、ER0/ER1≧1×102を満足することが望ましい。
第2電極62を、厚さ20nmのパラジウム(Pd)から成る下層金属層と、厚さ200nmのニッケル(Ni)から成る上層金属層の積層構造としてもよい。ここで、王水によるウエットエッチングにあっては、ニッケルのエッチングレートは、パラジウムのエッチングレートの約1.25倍である。
[工程−140]
その後、n側電極の形成、基板の劈開等を行い、更に、パッケージ化を行うことで、半導体レーザ素子10を作製することができる。
一般に、半導体層の抵抗R(Ω)は、半導体層を構成する材料の比抵抗値ρ(Ω・m)、半導体層の長さX0(m)、半導体層の断面積S(m2)、キャリア密度n(cm-3)、電荷量e(C)、移動度μ(m2/V秒)を用いて以下のように表される。
R=(ρ・X0)/S
=X0/(n・e・μ・S)
p型GaN系半導体の移動度は、p型GaAs系半導体に比べて、2桁以上小さいため、電気抵抗値が高くなり易い。よって、断面積が小さいリッジストライプ構造を有する半導体レーザ素子の電気抵抗値は、上式から、大きな値となることが判る。
製作した半導体レーザ素子10の第2電極62の第2部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を4端子法にて測定した結果、分離溝62Cの幅が20μmのとき、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値は15kΩであった。また、製作した半導体レーザ素子10において、第2電極62の第1部分62Aから発光領域41を経由して第1電極61に直流電流を流して順バイアス状態とし、第1電極61と第2電極62の第2部分62Bとの間に逆バイアス電圧Vsaを印加することによって可飽和吸収領域42に電界を加えることで、セルフ・パルセーション動作させることができた。即ち、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値は、第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の10倍以上であり、あるいは又、1×102Ω以上である。従って、第2電極62の第1部分62Aから第2部分62Bへの漏れ電流の流れを確実に抑制することができる結果、発光領域41を順バイアス状態とし、しかも、可飽和吸収領域42を確実に逆バイアス状態とすることができ、確実にシングルモードのセルフ・パルセーション動作を生じさせることができた。具体的には、光パルスのパルス幅は30ピコ秒であり、時間平均パワー(64ミリワット/秒,約72ピコジュール/パルス)から見積もられたパルスピークパワーは約2.4ワットであった。
実施例2は、本発明の第2の態様、第3の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子に関する。実施例2の半導体レーザ素子の模式的な平面図を図5の(A)に示し、図5の(A)の矢印E−E、矢印F−Fに沿った模式的な断面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)を図5の(B)及び(C)に示す。また、図5の(A)の矢印A−Aに沿った模式的な端面図を図6の(A)に示し、図5の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な端面図を図6の(B)に示し、図5の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な端面図を図7の(A)に示し、図5の(A)の矢印D−Dに沿った模式的な端面図を図7の(B)に示す。尚、図6の(A)、(B)、図7の(A)、(B)においては、積層絶縁膜57の図示は省略している。
実施例2の半導体レーザ素子10Bにあっては、本発明の第2の態様に係る半導体レーザ素子の表現に沿って説明すれば、
リッジストライプ構造56の両側には、第2化合物半導体層50が露出した第2化合物半導体層露出領域50Bが設けられており、
発光領域41を構成する第3化合物半導体層40の部分から第2化合物半導体層露出領域50Bの頂面までの平均距離をL1-ave、第2電極62の第2部分62Bと分離溝62Cとの境界(境界領域P)において、可飽和吸収領域42を構成する第3化合物半導体層40の部分から第2化合物半導体層露出領域50Bの頂面までの距離をL2としたとき、
1<L2/L1-ave
好ましくは、
1.1≦L2/L1-ave≦2.0
を満足している。更には、リッジストライプ構造56の軸線方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った発光領域41における第2化合物半導体層露出領域50Bの平均幅をD1-ave、第2電極62の第2部分62Bと分離溝62Cとの境界(境界領域P)において、リッジストライプ構造56の軸線方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った可飽和吸収領域42における第2化合物半導体層露出領域50Bの幅をD2としたとき、
2.0≦D2/D1-ave≦3.5
を満足している。第2化合物半導体層露出領域50Bを挟んで、第2電極62の下に位置する第2化合物半導体層50の部分50Aと対向する第2化合物半導体層の部分を、便宜上、第2化合物半導体層対向領域50Cと呼ぶ。また、第2化合物半導体層50の部分50Aと第2化合物半導体層対向領域50Cとで挟まれた領域(第2化合物半導体層露出領域50Bの上方の領域)を、便宜上、『凹部56’』と呼ぶ。尚、このような構造は、屡々、「Wリッジ構造」とも呼ばれる。
また、実施例2の半導体レーザ素子10Bにあっては、本発明の第3の態様に係る半導体レーザ素子の表現に沿って説明すれば、
発光領域41におけるリッジストライプ構造56の平均高さをH1-ave、第2電極62の第2部分62Bと分離溝62Cとの境界(境界領域P)における第2電極62の第2部分62Bのリッジストライプ構造56の高さをH2としたとき、
2/H1-ave<1
好ましくは、
0.85≦H2/H1-ave≦0.98
を満足している。
具体的には、実施例2にあっては、
2 = 80μm
1-ave= 65μm
2 =580μm
1-ave=595μm
2 = 3μm
1-ave= 7μm
とした。
更には、実施例2の半導体レーザ素子10Bにあっても、可飽和吸収領域42の電場が集中する部位には、光閉込め効果を低減する低減手段が設けられている。ここで、この低減手段は、具体的には、1<L2/L1-ave、あるいは、H2/H1-ave<1とすることで具現化されている。
ここで、1<L2/L1-ave、あるいは、H2/H1-ave<1を満足させるには、半導体レーザ素子の製造工程での第2化合物半導体層50のドライエッチング時、例えば、マイクロローディング効果を利用すればよい。即ち、幅の狭い溝部の底部に露出した化合物半導体層のエッチングレートは、幅の広い溝部の底部に露出した化合物半導体層のエッチングレートよりも低いことを利用すればよい。そのために、
2.0≦D2/D1-ave≦3.5
といった規定を満足することで、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pにおける距離L2の値と、発光領域41における平均距離L1-aveの値とが、
1<L2/L1-ave
を満足する。あるいは又、発光領域41におけるリッジストライプ構造56の平均高さH1-aveの値と、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pにおけるリッジストライプ構造56の高さH2の値とが、
2/H1-ave<1
を満足する。
より具体的には、実施例1の[工程−110]と同様の工程において、真空蒸着法に基づきPd層63を全面に成膜した後、分離溝62Cを含む第2電極62を形成すべき第2化合物半導体層の領域、及び、第2化合物半導体層対向領域50Cを形成すべき第2化合物半導体層の領域の上に、Pd層63を残す。そして、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、第2電極62をエッチング用マスクとして、露出した第2化合物半導体層の一部分をエッチングすればよい。
あるいは又、適切なレジスト層を、都度、形成し、第2化合物半導体層を2回、エッチングすることでも、第2電極62の第2部分62Bの境界領域Pにおける距離L2の値と、発光領域41における平均距離L1-aveの値とが、
1<L2/L1-ave
を満足する構造を得ることができる。即ち、第1回目のエッチングによって、第2化合物半導体層に深さH2の凹部を形成し、第2回目のエッチングによって、第2化合物半導体層に深さH1-aveの凹部を形成すればよい。
あるいは又、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行した後、深さH1-aveの凹部を形成し、次いで、リッジストライプ構造における第2化合物半導体層の一部を厚さ方向に除去することで、
2/H1-ave<1
を満足する構造を得ることができる。
以上のように、実施例2の半導体レーザ素子10Bにあっては、L2/L1-ave>1を満足しており、また、H2/H1-ave<1を満足しているので、可飽和吸収領域42の境界領域に電界が集中し難くなり、光閉込め効果が低下し、可飽和吸収領域42の境界領域に損傷が発生し難くなる。
実施例3は、本発明の第4の態様及び第5の態様に係る半導体レーザ素子に関する。実施例3の半導体レーザ素子の模式的な平面図を図8に示す。実施例3の半導体レーザ素子10Cにあっては、第2電極62の第2部分62Bは複数の部分から成る。ここで、複数の部分の数は、図示した例では「3」であるが、これに限定するものではない。第2電極62の第2部分62Bを複数の部分から構成するために、第2電極62の第2部分62Bを第2の分離溝62Dによって複数の部分に分離されている。第2の分離溝62Dの幅を2μmとした。図8において、第2の分離溝62Dを明示するために第2の分離溝62Dの領域に斜線を付した。
更には、実施例3の半導体レーザ素子10Cにあっても、可飽和吸収領域42の電場が集中する部位には、光閉込め効果を低減する低減手段が設けられている。ここで、この低減手段は、具体的には、第2電極62の第2部分62Bを複数の部分から構成することで具現化されている。第2の分離溝62Dは、例えば、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、分離溝62Cを形成するとき、併せて形成すればよい。
実施例3の半導体レーザ素子10Cにあっては、第2電極62の第2部分62Bが複数の部分から構成されており、第2電極62の第2部分62Bに発生した熱が拡散し易くなる結果、第2電極の第2部分に損傷が発生し難くなる。また、可飽和吸収領域42が複数の部分から構成されるので、可飽和吸収領域42の境界領域に電界が集中し難くなり、可飽和吸収領域42の境界領域に損傷が発生し難くなる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した半導体レーザ素子の構成、構造の構成は例示であり、適宜、変更することができる。また、実施例においては、種々の値を示したが、これらも例示であり、例えば、使用する半導体レーザ素子の仕様が変われば、変わることは当然である。例えば、第2電極を、厚さ20nmのパラジウム(Pd)から成る下層金属層と、厚さ200nmのニッケル(Ni)から成る上層金属層の積層構造としてもよい。尚、王水によるウエットエッチングにあっては、ニッケルのエッチングレートは、パラジウムのエッチングレートの約1.25倍である。
実施例1にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造と、実施例2にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造とを組み合わせることができるし、実施例1にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造と、実施例3にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造とを組み合わせることができるし、実施例2にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造と、実施例3にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造とを組み合わせることができるし、実施例1にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造と、実施例2にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造と、実施例3にて説明した半導体レーザ素子の構成、構造とを組み合わせることもできる。
本発明の半導体レーザ素子を用いて集光型の外部共振器を構成して、モード同期動作する半導体レーザ素子組立体を、図9の(A)に示す。図9の(A)に示す集光型の外部共振器にあっては、可飽和吸収領域側に高反射コート層(HR)が形成された半導体レーザ素子の端面と外部鏡とで外部共振器が構成され、外部鏡から光パルスを取り出す。発光領域(利得領域)側の半導体レーザ素子の端面(光出射端面)には無反射コート層(AR)が形成されている。光学フィルターには、主にバンドパスフィルターが用いられ、レーザの発振波長の制御のために挿入される。尚、モード同期は、発光領域に印加する直流電流と可飽和吸収領域に印加する逆バイアス電圧Vsaとによって決定される。外部共振器長さX’によって光パルス列の繰り返し周波数fが決定され、次式で表される。ここで、cは光速であり、nは導波路の屈折率である。
f=c/(2n・X’)
あるいは又、本発明の半導体レーザ素子を用いて外部共振器を構成する例の変形例を、図9の(B)に示す。図9の(B)に示すコリメート型の外部共振器にあっても、可飽和吸収領域側に高反射コート層(HR)が形成された半導体レーザ素子の端面と外部鏡とで外部共振器を構成し、外部鏡から光パルスを取り出す。発光領域(利得領域)側の半導体レーザ素子の端面(光出射端面)には無反射コート層(AR)が形成されている。
発光領域41や可飽和吸収領域42の数は1に限定されない。1つの第2電極の第1部分62Aと2つの第2電極の第2部分62B1,62B2とが設けられた半導体レーザ素子の模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)を図10に示す。この半導体レーザ素子にあっては、第1部分62Aの一端が、一方の分離溝62C1を挟んで、一方の第2部分62B1と対向し、第1部分62Aの他端が、他方の分離溝62C2を挟んで、他方の第2部分62B2と対向している。そして、1つの発光領域41が、2つの可飽和吸収領域421,422によって挟まれている。あるいは又、2つの第2電極の第1部分62A1,62A2と1つの第2電極の第2部分62Bとが設けられた半導体レーザ素子の模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)を図11に示す。この半導体レーザ素子にあっては、第2部分62Bの端部が、一方の分離溝62C1を挟んで、一方の第1部分62A1と対向し、第2部分62Bの他端が、他方の分離溝62C2を挟んで、他方の第1部分62A2と対向している。そして、1つの可飽和吸収領域42が、2つの発光領域411,412によって挟まれている。尚、図10及び図11には、境界領域Pが2箇所、存在し、これらの境界領域Pに対して、実施例1あるいは実施例2の半導体レーザ素子の構成、構造を適用すればよい。あるいは又、図10に示した半導体レーザ素子にあっては、光反射端面側の境界領域Pに対してのみ、実施例1あるいは実施例2の半導体レーザ素子の構成、構造を適用してもよい。また、図10及び図11に示した半導体レーザ素子に対して、実施例3にて説明した半導体レーザ素子の第2の分離溝を適用することができることは云うまでもない。
半導体レーザ素子を、斜め導波路を有する斜めリッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造の半導体レーザ素子とすることもできる。実施例2において説明した半導体レーザ素子に斜め導波路を有する斜めリッジストライプ構造を適用した例を図12に示すが、この図は、リッジストライプ構造56”を上方から眺めた模式図である。この半導体レーザ素子にあっては、直線状の2つのリッジストライプ構造が組み合わされた構造を有し、2つのリッジストライプ構造の交差する角度θの値は、例えば、
0<θ≦10(度)
好ましくは、
0<θ≦6(度)
とすることが望ましい。斜めリッジストライプ型を採用することで、無反射コートをされた端面の反射率を、より0%の理想値に近づけることができ、その結果、半導体レーザ素子内で周回してしまうレーザ光の発生を防ぐことができ、メインのレーザ光に付随するサブのレーザ光の生成を抑制できるといった利点を得ることができる。尚、このような半導体レーザ素子を実施例1あるいは実施例3にて説明した半導体レーザ素子に適用することができることは云うまでもない。
実施例においては、半導体レーザ素子を、n型GaN基板21の極性面であるC面,{0001}面上に設けた。ところで、このような場合、第3化合物半導体層にピエゾ分極及び自発分極に起因した内部電界によるQCSE効果(量子閉じ込めシュタルク効果)によって、電気的に可飽和吸収が制御し難くなる場合がある。即ち、場合によっては、セルフ・パルセーション動作及びモード同期動作を得るために第1電極に流す直流電流の値及び可飽和吸収領域に印加する逆バイアス電圧の値を高くする必要が生じたり、メインパルスに付随したサブパルス成分が発生したり、外部信号と光パルスとの間での同期が取り難くなることがある。このような現象の発生を抑制するためには、{11−20}面であるA面、{1−100}面であるM面、{1−102}面といった無極性面上、あるいは又、{11−24}面や{11−22}面を含む{11−2n}面、{10−11}面、{10−12}面といった半極性面上に、半導体レーザ素子を設ければよい。これによって、半導体レーザ素子の第3化合物半導体層にたとえピエゾ分極及び自発分極が生じた場合であっても、第3化合物半導体層の厚さ方向にピエゾ分極が生じることは無く、第3化合物半導体層の厚さ方向とは略直角の方向にピエゾ分極が生じるので、ピエゾ分極及び自発分極に起因した悪影響を排除することができる。尚、{11−2n}面とは、ほぼC面に対して40度を成す無極性面を意味する。また、無極性面上あるいは半極性面上に半導体レーザ素子を設ける場合、実施例1にて説明したような、井戸層の厚さの制限(1nm以上、10nm以下)及び障壁層の不純物ドーピング濃度の制限(2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下)を無くすことが可能である。
10・・・半導体レーザ素子、21・・・n型GaN基板、22・・・GaNバッファ層、30・・・第1化合物半導体層、31・・・n型AlGaNクラッド層、32・・・n型GaNクラッド層、40・・・第3化合物半導体層(活性層)、41,411,412・・・発光領域、42,421,422・・・可飽和吸収領域、50・・・第2化合物半導体層、50A・・・第2電極の下に位置する第2化合物半導体層の部分、50B・・・第2化合物半導体層露出領域、50C・・・第2化合物半導体層対向領域、51・・・ノンドープGaInN光ガイド層、52・・・ノンドープAlGaNクラッド層、53・・・p型AlGaN電子障壁層(Mgドープ)、54・・・p型GaN(Mgドープ)/AlGaN超格子クラッド層、55・・・p型GaNコンタクト層(Mgドープ)、56,56”・・・リッジストライプ構造、56’・・・凹部、57・・・積層絶縁膜、61・・・第1電極、62・・・第2電極、62A,62A1,62A2・・・第2電極の第1部分、62B,62B1,62B2・・・第2電極の第2部分、62C,62C1,62C2・・・分離溝、63・・・Pd単層、64・・・レジスト層、65・・・開口部

Claims (10)

  1. (a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
    (b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
    (c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
    を備え、
    積層構造体はリッジストライプ構造を有し、
    第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている半導体レーザ素子であって、
    リッジストライプ構造の両側には、第2化合物半導体層が露出した第2化合物半導体層露出領域が設けられており、
    発光領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの平均距離をL1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層の部分から第2化合物半導体層露出領域の頂面までの距離をL2としたとき、
    1<L2/L1-ave
    を満足する半導体レーザ素子。
  2. 1.1≦L2/L1-ave≦2.0
    を満足する請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った発光領域における第2化合物半導体層露出領域の平均幅をD1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界において、リッジストライプ構造の軸線方向と直交する方向に沿った可飽和吸収領域における第2化合物半導体層露出領域の幅をD2としたとき、
    2.0≦D2/D1-ave≦3.5
    を満足する請求項1又は請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. (a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
    (b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
    (c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
    を備え、
    積層構造体はリッジストライプ構造を有し、
    第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている半導体レーザ素子であって、
    発光領域におけるリッジストライプ構造の平均高さをH1-ave、第2電極の第2部分と分離溝との境界における第2電極の第2部分のリッジストライプ構造の高さをH2としたとき、
    2/H1-ave<1
    を満足する半導体レーザ素子。
  5. 0.85≦H2/H1-ave≦0.98
    を満足する請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. (a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
    (b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
    (c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
    を備え、
    積層構造体はリッジストライプ構造を有し、
    第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている半導体レーザ素子であって、
    第2電極の第2部分は複数の部分から成る半導体レーザ素子。
  7. (a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
    (b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
    (c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
    を備え、
    積層構造体はリッジストライプ構造を有し、
    第2電極は、発光領域を経由して第1電極に直流電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分と、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分とに、分離溝によって分離されている半導体レーザ素子であって、
    可飽和吸収領域の電場が集中する部位には、光閉込め効果を低減する低減手段が設けられている半導体レーザ素子。
  8. 第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、1×102Ω以上である請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  9. 第2電極を第1部分と第2部分とに分離する分離溝の幅は2μm以上である請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
  10. 発光領域側の積層構造体の端面からレーザ光が出射される請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
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