JP2014078753A - モードロック半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置組立体 - Google Patents

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Tomoyuki Oki
智之 大木
Masaru Kuramoto
大 倉本
Masao Ikeda
昌夫 池田
Takao Miyajima
孝夫 宮嶋
Hideki Watanabe
秀輝 渡邊
Hiroyuki Yokoyama
弘之 横山
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Tohoku University NUC
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Abstract

【課題】ピエゾ分極及び自発分極の影響を低減させることができる構成を有するモードロック半導体レーザ素子の駆動方法を提供する。
【解決手段】GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層30、発光領域41及び可飽和吸収領域42を有する第3化合物半導体層40及び第2化合物半導体層50が、順次、積層されて成る積層構造体、第2電極62、並びに、第1電極61を備え、第2電極62は、第1部分62A及び第2部分62Bに分離溝62Cによって分離されており、第2電極の第1部分から発光領域を経由して第1電極に電流が流されることで順バイアス状態とされ、且つ、第1電極と第2電極の第2部分との間に電圧が印加されることで可飽和吸収領域に電界が加えられ、以て、発光領域においてシングルモードのセルフパルセーション動作する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モードロック半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置組立体に関する。
今日、パルス時間がアト秒台、フェムト秒台のレーザ光を利用した先端的科学領域の研究に、超短パルス・超高出力レーザが盛んに用いられている。また、GaN系化合物半導体から成り、発光波長が405nm帯の高出力超短パルス半導体レーザ素子が、ブルーレイ(Blu−ray)光ディスクシステムの次の世代の光ディスクシステムとして期待されている体積型光ディスクシステムの光源として、また、医療分野やバイオイメージング分野等で要求される光源として期待されている。
超短パルス・超高出力レーザとして、例えば、チタン/サファイア・レーザが知られているが、係るチタン/サファイア・レーザは、高価で、大型の固体レーザ光源であり、この点が、技術の普及を阻害している主たる要因となっている。もしも超短パルス・超高出力レーザが半導体レーザあるいは半導体レーザ素子によって実現できれば、大幅な小型化、低価格化、高安定性化がもたらされ、これらの分野における広汎な普及を促進させる上でのブレイクスルーになると考えられる。
一方、半導体レーザ素子の短パルス化は、通信系の分野で、1960年台から活発に研究されてきた。半導体レーザ素子において短パルスを発生させる方法として、利得スイッチング法、損失スイッチング法(Qスイッチング法)、モードロック法(モード同期法)が知られており、これらの方式にあっては、半導体レーザ素子と半導体増幅器や非線形光学素子、光ファイバー等とを組み合わせて高出力化を目指している。ここで、モードロックは、更に、能動モードロックと受動モードロックに分類される。能動モードロックに基づき光パルスを発生させるには、ミラーやレンズを用いて外部共振器を構成し、更に、半導体レーザ素子に高周波(RF)変調を加える。一方、受動モードロックでは、多電極構造を有する半導体レーザ素子を利用することで、単純な直流駆動にて光パルスを生成することができる。
半導体レーザ素子をセルフパルセーション動作させるためには、半導体レーザ素子に発光領域及び可飽和吸収領域を設ける必要がある。ここで、発光領域及び可飽和吸収領域の配置状態から、半導体レーザ素子は、発光領域と可飽和吸収領域とを垂直方向に配置したSAL(Saturable Absorber Layer)型やWI(Weakly Index guide)型と、共振器方向に発光領域と可飽和吸収領域とを並置したバイ・セクション(Bi Section)型を含む多電極型に分類することができる。バイ・セクション型半導体レーザ素子は、例えば、特開2004−007002、特開2004−188678、特開2008−047692から周知である。多電極型のGaN系半導体レーザ素子は、SAL型半導体レーザ素子に比べて、可飽和吸収の効果が大きく、幅の狭い光パルスを生成することができるとされている。
特開2004−007002 特開2004−188678 特開2008−047692
H.Yokoyama, et al: Appl. Phys. Lett. 39 (1981) 525 S. Gee and J. E. Bowers: Appl. Phys. Lett. 79 (2001) 1951.
ところで、モードロック法にあっては、立方晶系(主に、GaAs系)の半導体レーザ素子では、時間幅0.6ピコ秒の光パルスが発生できることが確認されている(非特許文献1を参照)。また、六方晶系(主にGaN系)の半導体レーザ素子では、2001年に、S.Geeらが初めてモードロック法を用いた光パルスの発生を報告している(非特許文献2を参照)。しかしながら、非特許文献2によれば、光パルスの時間幅は30ピコ秒とまだ長いものである。
また、極性を有する基板を用いて多電極型の半導体レーザ素子を作製した場合、具体的には、例えば、GaN基板の{0001}面(C面)上に多電極型のGaN系半導体レーザ素子を設けた場合、ピエゾ分極又は自発分極に起因した内部電界によるQCSE効果(量子閉じ込めシュタルク効果)によって、電気的に可飽和吸収が制御し難くなる場合がある。即ち、場合によっては、セルフパルセーション動作及びモードロック動作を得るために第1電極に流す直流電流の値及び可飽和吸収領域に印加する逆バイアス電圧の値を高くする必要が生じたり、メインパルスに付随したサブパルス成分が発生したり、外部信号と光パルスとの間での同期が取り難くなることが判った。
従って、本発明の目的は、ピエゾ分極の影響を低減させることができる構成を有するモードロック半導体レーザ素子及びその駆動方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明のモードロック半導体レーザ素子、あるいは、上記の目的を達成するための本発明のモードロック半導体レーザ素子の駆動方法におけるモードロック半導体レーザ素子(以下、これらを総称して、『本発明のモードロック半導体レーザ素子等』と呼ぶ場合がある)は、
(a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域を有する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
(b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
(c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
を備え、
積層構造体は、極性を有する化合物半導体基板上に形成されており、
第3化合物半導体層は、井戸層及び障壁層を備えた量子井戸構造を有し、
井戸層の厚さは、1nm以上、10nm以下、好ましくは、1nm以上、8nm以下であり、
障壁層の不純物ドーピング濃度は、2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下、好ましくは、1×1019cm-3以上、1×1020cm-3以下である半導体レーザ素子である。
そして、本発明のモードロック半導体レーザ素子の駆動方法にあっては、第2電極から積層構造体を介して第1電極に電流を流すことで、発光領域において光パルスを発生させる。また、本発明のモードロック半導体レーザ素子にあっては、第2電極から積層構造体を介して第1電極に電流が流されることで、発光領域において光パルスが発生する。
本発明のモードロック半導体レーザ素子あるいはその駆動方法にあっては、第3化合物半導体層を構成する井戸層の厚さが1nm以上、10nm以下と規定され、更には、第3化合物半導体層を構成する障壁層の不純物ドーピング濃度が2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下と規定されている。即ち、井戸層の厚さを薄くし、しかも、第3化合物半導体層のキャリアの増加を図っている。そして、その結果、ピエゾ分極の影響を低減させることができ、時間幅が短く、サブパルス成分の少ない単峰化された光パルスを発生させ得るレーザ光源を得ることができる。また、低い逆バイアス電圧でモードロック駆動を達成することが可能となるし、外部信号(電気信号及び光信号)と同期が取れた光パルス列を発生させることが可能となる。それ故、例えば、体積型光ディスクシステムにおける光パルスを発生させる発振器として適用することができる。
図1は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図である。 図2は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の共振器の延びる方向と直角方向に沿った模式的な断面図である。 図3の(A)及び(B)は、ぞれぞれ、実施例1及び実施例2のモードロック半導体レーザ素子から外部共振器を構成してモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す図である。 図4の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2のモードロック半導体レーザ素子から外部共振器を構成してモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す図であり、図4の(C)は、実施例3のモードロック半導体レーザ素子を用いてモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す図である。 図5は、実施例4のモードロック半導体レーザ素子におけるリッジ部を上方から眺めた模式図である。 図6の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5及び実施例6のモードロック半導体レーザ素子を用いてモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す図である。 図7は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の変形例の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図である。 図8は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の別の変形例の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図である。 図9は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子のセルフパルセーション動作の評価に用いた測定系を模式的に示す図である。 図10の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び比較例1の注入電流と光出力の関係(L−I特性)の逆バイアス電圧依存性測定結果を示すグラフである。 図11の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び比較例1において発生した光パルスをストリークカメラで測定した結果を示す図である。 図12は、実施例1にて得られたモードロック半導体レーザ素子の第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値を4端子法にて測定した結果を示すグラフである。 図13の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5及び参考例5のRFスペクトルを測定した結果を示すグラフである。 図14の(A)及び(B)は、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図である。 図15の(A)及び(B)は、図14の(B)に引き続き、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部断面図である。 図16は、図15の(B)に引き続き、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の製造方法を説明するための基板等の模式的な一部端面図である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明のモードロック半導体レーザ素子及びその駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明のモードロック半導体レーザ素子及びその駆動方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の別の変形)
6.実施例5(実施例1の別の変形)
7.実施例6(実施例1の別の変形)、その他
[本発明のモードロック半導体レーザ素子及びその駆動方法、全般に関する説明]
本発明のモードロック半導体レーザ素子等にあっては、
第3化合物半導体層は、可飽和吸収領域を更に備えており、
第2電極は、発光領域を経由して第1電極に電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分、及び、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分に、分離溝によって分離されており、
第2電極の第1部分から発光領域を経由して第1電極に電流を流すことで順バイアス状態とし、且つ、第1電極と第2電極の第2部分との間に電圧を印加することで可飽和吸収領域に電界を加える形態とすることができる。
ここで、第1電極と第2部分との間には、逆バイアス電圧を印加する構成(即ち、第1電極を正極、第2部分を負極とする構成)とすることが望ましい。尚、第2電極の第2部分には、第2電極の第1部分に印加するパルス電流あるいはパルス電圧と同期したパルス電流あるいはパルス電圧を印加してもよいし、直流バイアスを印加してもよい。
また、上記の好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等において、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、1×102Ω以上、好ましくは1×103Ω以上、より好ましくは1×104Ω以上であることが望ましい。あるいは又、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は、第2電極と第1電極との間の電気抵抗値の1×10倍以上、好ましくは1×102倍以上、より好ましくは1×103倍以上であることが望ましい。
ここで、第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値を、1×102Ω以上とし、あるいは又、第2電極と第1電極との間の電気抵抗値の10倍以上とする形態を採用することで、第2電極の第1部分から第2部分への漏れ電流の流れを確実に抑制することができる。即ち、発光領域(キャリア注入領域、利得領域)に注入する電流を大きくできると同時に、可飽和吸収領域(キャリア非注入領域)へ印加する逆バイアス電圧Vsaを高くすることができる。その結果、ピークパワーの強い光パルスを有するシングルモードのセルフパルセーション動作を実現できる。しかも、第2電極の第1部分と第2部分との間のこのような高い電気抵抗値を、第2電極を第1部分と第2部分とに分離溝によって分離するだけで達成することができる。即ち、モードロックによる光パルス生成を一層容易に実現することができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等において、第2電極を第1部分と第2部分とに分離する分離溝の幅は、1μm以上、共振器長の50%以下、好ましくは10μm以上、共振器長の10%以下とすることが望ましい。共振器長として、0.3mmを例示することができるが、これに限定するものではない。尚、以下の説明において、共振器方向をX方向とし、積層構造体の厚さ方向をZ方向とする。あるいは又、可飽和吸収領域の長さは発光領域の長さよりも短い構成とすることができる。あるいは又、第2電極の長さ(第1部分と第2部分の総計の長さ)は第3化合物半導体層の長さよりも短い構成とすることができる。ここで、第2電極の第1部分と第2部分の配置状態として、
(1)2つの第2電極の第1部分と1つの第2電極の第2部分とが設けられ、第2部分の端部が、一方の分離溝を挟んで、一方の第1部分と対向し、第2部分の他端が、他方の分離溝を挟んで、他方の第1部分と対向している状態(即ち、第2電極は、第2部分を第1部分で挟んだ構造)
(2)1つの第2電極の第1部分と1つの第2電極の第2部分とが設けられ、第2電極の第1部分と、第2電極の第2部分とが、分離溝を挟んで配置されている状態
(3)1つの第2電極の第1部分と2つの第2電極の第2部分とが設けられ、第1部分の一端が、一方の分離溝を挟んで、一方の第2部分と対向し、第1部分の他端が、他方の分離溝を挟んで、他方の第2部分と対向している状態
を挙げることができるが、中でも、(1)の構造とすることが望ましい。また、広くは、
(4)N個の第2電極の第1部分と(N−1)個の第2電極の第2部分とが設けられ、第2電極の第1部分が第2電極の第2部分を挟んで配置されている状態
(5)N個の第2電極の第2部分と(N−1)個の第2電極の第1部分とが設けられ、第2電極の第2部分が第2電極の第1部分を挟んで配置されている状態
を挙げることができる。尚、(4)及び(5)の状態は、云い換えれば、
(4’)N個の発光領域[キャリア注入領域、利得領域]と(N−1)個の可飽和吸収領域[キャリア非注入領域]とが設けられ、発光領域が可飽和吸収領域を挟んで配置されている状態
(5’)N個の可飽和吸収領域[キャリア非注入領域]と(N−1)個の発光領域[キャリア注入領域、利得領域]とが設けられ、可飽和吸収領域が発光領域を挟んで配置されている状態
である。尚、(1)、(5)、(5’)の構造を採用することで、モードロック半導体レーザ素子の光出射端面における損傷が発生し難くなる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子の駆動方法にあっては、第2電極から発光領域を経由して第1電極に電流を流し、且つ、第2電極から発光領域を経由して第1電極に外部電気信号を重畳させる形態とすることができる。そして、これによって、光パルスと外部電気信号との間の同期を取ることができる。あるいは又、積層構造体の一端面から光信号を入射させる形態とすることができる。そして、これによっても、光パルスと光信号との間の同期を取ることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等にあっては、障壁層にドーピングされた不純物はシリコン(Si)である構成することができるが、これに限定するものではなく、その他、酸素(O)とすることもできる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等は、リッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH構造、Separate Confinement Heterostructure)を有する半導体レーザ素子である形態とすることができる。あるいは又、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等は、斜めリッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造を有する半導体レーザ素子である形態とすることができる。ここで、リッジ構造の高さは、0.1μm以上、10μm以下、好ましくは0.2μm以上、1μm以下とすることが望ましいが、これに限定するものではない。また、リッジ構造の幅として2μm以下を例示することができ、リッジ構造の幅の下限値として、例えば、0.8μmを挙げることができるが、これに限定するものではない。尚、リッジ部の両側面よりも外側に位置する第2化合物半導体層の部分の頂面から第3化合物半導体層までの距離(D)は1.0×10-7m(0.1μm)以上であることが好ましい。距離(D)をこのように規定することによって、第3化合物半導体層の両脇(Y方向)に可飽和吸収領域を確実に形成することができる。距離(D)の上限は、閾値電流の上昇、温度特性、長期駆動時の電流上昇率の劣化等に基づき決定すればよい。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等は、例えば、以下の方法で製造することができる。即ち、
(A)基体上に、第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体を形成した後、
(B)第2化合物半導体層上に帯状の第2電極を形成し、次いで、
(C)第2電極をエッチング用マスクとして、少なくとも第2化合物半導体層の一部分をエッチングして、リッジ構造を形成した後、
(D)分離溝を第2電極に形成するためのレジスト層を形成し、次いで、レジスト層をウエットエッチング用マスクとして、第2電極に分離溝をウエットエッチング法にて形成し、以て、第2電極を第1部分と第2部分とに分離溝によって分離する、
各工程を具備した製造方法に基づき製造することができる。
そして、このような製造方法を採用することで、即ち、帯状の第2電極をエッチング用マスクとして、少なくとも第2化合物半導体層の一部分をエッチングして、リッジ構造を形成するので、即ち、パターニングされた第2電極をエッチング用マスクとして用いてセルフアライン方式にてリッジ構造を形成するので、第2電極とリッジ構造との間に合わせずれが生じることがない。また、第2電極に分離溝をウエットエッチング法にて形成する。このように、ドライエッチング法と異なり、ウエットエッチング法を採用することで、第2化合物半導体層に光学的、電気的特性の劣化が生じることを抑制することができる。それ故、発光特性に劣化が生じることを、確実に防止することができる。
尚、工程(C)にあっては、第2化合物半導体層を厚さ方向に一部分、エッチングしてもよいし、第2化合物半導体層を厚さ方向に全部、エッチングしてもよいし、第2化合物半導体層及び第3化合物半導体層を厚さ方向にエッチングしてもよいし、第2化合物半導体層及び第3化合物半導体層、更には、第1化合物半導体層を厚さ方向に一部分、エッチングしてもよい。
更には、前記工程(D)において、第2電極に分離溝を形成する際の、第2電極のエッチングレートをER0、積層構造体のエッチングレートをER1としたとき、ER0/ER1≧1×10、好ましくは、ER0/ER1≧1×102を満足することが望ましい。ER0/ER1がこのような関係を満足することで、積層構造体をエッチングすること無く(あるいは、エッチングされても僅かである)、第2電極を確実にエッチングすることができる。
本発明のモードロック半導体レーザ素子等において、第2電極は、パラジウム(Pd)単層、ニッケル(Ni)単層、白金(Pt)単層、パラジウム層が第2化合物半導体層に接するパラジウム層/白金層の積層構造、又は、パラジウム層が第2化合物半導体層に接するパラジウム層/ニッケル層の積層構造から成る形態とすることができる。尚、下層金属層をパラジウムから構成し、上層金属層をニッケルから構成する場合、上層金属層の厚さを、0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上とすることが望ましい。あるいは又、第2電極を、パラジウム(Pd)単層から成る構成とすることが好ましく、この場合、厚さを、20nm以上、好ましくは50nm以上とすることが望ましい。あるいは又、第2電極を、パラジウム(Pd)単層、ニッケル(Ni)単層、白金(Pt)単層、又は、下層金属層が第2化合物半導体層に接する下層金属層と上層金属層の積層構造(但し、下層金属層は、パラジウム、ニッケル及び白金から成る群から選択された1種類の金属から構成され、上層金属層は、前記工程(D)において第2電極に分離溝を形成する際のエッチングレートが、下層金属層のエッチングレートと同じ、あるいは同程度、あるいは、下層金属層のエッチングレートよりも高い金属から構成されている)から成る構成とすることが好ましい。また、前記工程(D)において第2電極に分離溝を形成する際のエッチング液を、王水、硝酸、硫酸、塩酸、又は、これらの酸の内の少なくとも2種類の混合液(具体的には、硝酸と硫酸の混合液、硫酸と塩酸の混合液)とすることが望ましい。第2電極の幅は、0.5μm以上、50μm以下、好ましくは1μm以上、5μm以下であることが望ましい。
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等において、積層構造体は、具体的には、AlGaInN系化合物半導体から成る構成とすることができる。ここで、AlGaInN系化合物半導体として、より具体的には、GaN、AlGaN、GaInN、AlGaInNを挙げることができる。更には、これらの化合物半導体に、所望に応じて、ホウ素(B)原子やタリウム(Tl)原子、ヒ素(As)原子、リン(P)原子、アンチモン(Sb)原子が含まれていてもよい。また、発光領域(利得領域)及び可飽和吸収領域を構成する第3化合物半導体層(この第3化合物半導体層を『活性層』と呼ぶ場合がある)は、量子井戸構造を有する。具体的には、単一量子井戸構造[QW構造]を有していてもよいし、多重量子井戸構造[MQW構造]を有していてもよい。量子井戸構造を有する第3化合物半導体層は、井戸層及び障壁層が、少なくとも1層、積層された構造を有するが、(井戸層を構成する化合物半導体,障壁層を構成する化合物半導体)の組合せとして、(InyGa(1-y)N,GaN)、(InyGa(1-y)N,InzGa(1-z)N)[但し、y>z]、(InyGa(1-y)N,AlGaN)を例示することができる。
更には、上記の好ましい構成、形態を含む本発明のモードロック半導体レーザ素子等において、第2化合物半導体層は、p型GaN層及びp型AlGaN層が交互に積層された超格子構造を有し;超格子構造の厚さは0.7μm以下である構造とすることができる。このような超格子構造の構造を採用することで、クラッド層として必要な高屈折率を維持しながら、半導体レーザ素子の直列抵抗成分を下げることができ、半導体レーザ素子の低動作電圧化につながる。尚、超格子構造の厚さの下限値として、限定するものではないが、例えば、0.3μmを挙げることができるし、超格子構造を構成するp型GaN層の厚さとして1nm乃至5nmを例示することができるし、超格子構造を構成するp型AlGaN層の厚さとして1nm乃至5nmを例示することができるし、p型GaN層及びp型AlGaN層の層数合計として、60層乃至300層を例示することができる。また、第3化合物半導体層から第2電極までの距離は1μm以下、好ましくは、0.6μm以下である構成とすることができる。このように第3化合物半導体層から第2電極までの距離を規定することで、抵抗の高いp型の第2化合物半導体層の厚さを薄くし、半導体レーザ素子の動作電圧の低減化を達成することができる。尚、第3化合物半導体層から第2電極までの距離の下限値として、限定するものではないが、例えば、0.3μmを挙げることができる。また、第2化合物半導体層には、Mgが、1×1019cm-3以上、ドーピングされており;第3化合物半導体層からの波長405nmの光に対する第2化合物半導体層の吸収係数は、少なくとも50cm-1である構成とすることができる。このMgの原子濃度は、2×1019cm-3の値で最大の正孔濃度を示すという材料物性に由来しており、最大の正孔濃度、即ち、この第2化合物半導体層の比抵抗が最小になるように設計された結果である。第2化合物半導体層の吸収係数は、半導体レーザ素子の抵抗を出来るだけ下げるという観点で規定されているものであり、その結果、第3化合物半導体層の光の吸収係数が、50cm-1となるのが一般的である。しかし、この吸収係数を上げるために、Mgドープ量を故意に2×1019cm-3以上の濃度に設定することも可能である。この場合には、実用的な正孔濃度が得られる上での上限のMgドープ量は、例えば8×1019cm-3である。また、第2化合物半導体層は、第3化合物半導体層側から、ノンドープ化合物半導体層、及び、p型化合物半導体層を有しており;第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離は、1.2×10-7m以下である構成とすることができる。このように第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離を規定することで、内部量子効率が低下しない範囲で、内部損失を抑制することができ、これにより、レーザ発振が開始される閾値電流Ithを低減させることができる。尚、第3化合物半導体層からp型化合物半導体層までの距離の下限値として、限定するものではないが、例えば、5×10-8mを挙げることができる。また、リッジ部の両側面には、SiO2/Si積層構造から成る積層絶縁膜が形成されており;リッジ部の有効屈折率と積層絶縁膜の有効屈折率との差は、5×10-3乃至1×10-2である構成とすることができる。このような積層絶縁膜を用いることで、100mWを超える高出力動作であっても、単一基本横モードを維持することができる。また、第2化合物半導体層は、第3化合物半導体層側から、例えば、ノンドープGaInN層(p側光ガイド層)、ノンドープAlGaN層(p側クラッド層)、MgドープAlGaN層(電子障壁層)、GaN層(Mgドープ)/AlGaN層の超格子構造(超格子クラッド層)、及び、MgドープGaN層(p側コンタクト層)が積層されて成る構造とすることができる。第3化合物半導体層における井戸層を構成する化合物半導体のバンドギャップは、2.4eV以上であることが望ましい。また、第3化合物半導体層から出射されるレーザ光の波長は、360nm乃至500nm、好ましくは400nm乃至410nmであることが望ましい。ここで、以上に説明した各種の構成を、適宜、組み合わせることができることは云うまでもない。
上述したとおり、第2化合物半導体層において、第3化合物半導体層と電子障壁層との間には、ノンドープ化合物半導体層(例えば、ノンドープGaInN層、あるいは、ノンドープAlGaN層)を形成してもよい。更には、第3化合物半導体層とノンドープ化合物半導体層との間に、光ガイド層としてのノンドープGaInN層を形成してもよい。第2化合物半導体層の最上層を、MgドープGaN層(p側コンタクト層)が占めている構造とすることもできる。
本発明のモードロック半導体レーザ素子等を構成する各種のGaN系化合物半導体層を基板に順次形成するが、ここで、基板として、サファイア基板の他にも、GaAs基板、GaN基板、SiC基板、アルミナ基板、ZnS基板、ZnO基板、AlN基板、LiMgO基板、LiGaO2基板、MgAl24基板、InP基板、Si基板、これらの基板の表面(主面)に下地層やバッファ層が形成されたものを挙げることができる。主に、GaN系化合物半導体層を基板に形成する場合、GaN基板が欠陥密度の少なさから好まれるが、GaN基板は成長面によって、極性/無極性/半極性と特性が変わることが知られている。また、本発明のモードロック半導体レーザ素子等を構成する各種のGaN系化合物半導体層の形成方法として、有機金属化学的気相成長法(MOCVD法,MOVPE法)や分子線エピタキシー法(MBE法)、ハロゲンが輸送あるいは反応に寄与するハイドライド気相成長法等を挙げることができる。
ここで、MOCVD法における有機ガリウム源ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)ガスやトリエチルガリウム(TEG)ガスを挙げることができるし、窒素源ガスとして、アンモニアガスやヒドラジンガスを挙げることができる。また、n型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、n型不純物(n型ドーパント)としてケイ素(Si)を添加すればよいし、p型の導電型を有するGaN系化合物半導体層の形成においては、例えば、p型不純物(p型ドーパント)としてマグネシウム(Mg)を添加すればよい。また、GaN系化合物半導体層の構成原子としてアルミニウム(Al)あるいはインジウム(In)が含まれる場合、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いればよいし、In源としてトリメチルインジウム(TMI)ガスを用いればよい。更には、Si源としてモノシランガス(SiH4ガス)を用いればよいし、Mg源としてシクロペンタジエニルマグネシウムガスやメチルシクロペンタジエニルマグネシウム、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いればよい。尚、n型不純物(n型ドーパント)として、Si以外に、Ge、Se、Sn、C、Te、S、O、Pd、Poを挙げることができるし、p型不純物(p型ドーパント)として、Mg以外に、Zn、Cd、Be、Ca、Ba、C、Hg、Srを挙げることができる。
第1導電型をn型とするとき、n型の導電型を有する第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極は、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、タングステン(W)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、錫(Sn)及びインジウム(In)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましく、例えば、Ti/Au、Ti/Al、Ti/Pt/Auを例示することができる。第1電極は第1化合物半導体層に電気的に接続されているが、第1電極が第1化合物半導体層上に形成された形態、第1電極が導電材料層や導電性の基板を介して第1化合物半導体層に接続された形態が包含される。第1電極や第2電極は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法にて成膜することができる。
第1電極や第2電極上に、外部の電極あるいは回路と電気的に接続するために、パッド電極を設けてもよい。パッド電極は、Ti(チタン)、アルミニウム(Al)、Pt(白金)、Au(金)、Ni(ニッケル)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属を含む、単層構成又は多層構成を有することが望ましい。あるいは又、パッド電極を、Ti/Pt/Auの多層構成、Ti/Auの多層構成に例示される多層構成とすることもできる。
本発明のモードロック半導体レーザ素子等は、更に、外部反射鏡を備えている形態とすることができる。即ち、外部共振器型のモードロック半導体レーザ素子とすることができる。あるいは又、モノリシック型のモードロック半導体レーザ素子とすることもできる。尚、外部共振器型のモードロック半導体レーザ素子は、集光型であってもよいし、コリメート型であってもよい。外部共振器型のモードロック半導体レーザ素子にあっては、光パルスが出射される積層構造体の一端面の光反射率は0.5%以下であることが好ましい。尚、この光反射率の値は、従来の半導体レーザ素子において光パルスが出射される積層構造体の一端面の光反射率(通常、5%乃至10%)よりも格段に低い値である。外部共振器型のモードロック半導体レーザ素子にあっては、外部共振器長さ(X’,単位:mm)の値は、
0<X’<1500
好ましくは、
30≦X’≦150
であることが望ましい。
本発明のモードロック半導体レーザ素子あるいはその駆動方法を、例えば、光ディスクシステム、通信分野、光情報分野、光電子集積回路、非線形光学現象を応用した分野、光スイッチ、レーザ計測分野や種々の分析分野、超高速分光分野、多光子励起分光分野、質量分析分野、多光子吸収を利用した顕微分光の分野、化学反応の量子制御、ナノ3次元加工分野、多光子吸収を応用した種々の加工分野、医療分野、バイオイメージング分野といった分野に適用することができる。
実施例1は、本発明のモードロック半導体レーザ素子及びその駆動方法に関する。実施例1のモードロック半導体レーザ素子の共振器の延びる方向に沿った模式的な端面図(XZ平面にて切断したときの模式的な端面図)を図1に示し、共振器の延びる方向と直角方向に沿った模式的な断面図(YZ平面にて切断したときの模式的な断面図)を図2に示す。尚、図1は、図2の矢印I−Iに沿った模式的な端面図であり、図2は、図1の矢印II−IIに沿った模式的な断面図である。また、実施例1のモードロック半導体レーザ素子から外部共振器を構成してモードロック駆動を行うシステムを、図3の(A)に模式的に示す。
発光波長405nm帯の実施例1のモードロック半導体レーザ素子10は、
(a)第1導電型(実施例1においては、具体的には、n型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層30、GaN系化合物半導体から成る発光領域(利得領域)41を有する第3化合物半導体層(活性層)40、並びに、第1導電型と異なる第2導電型(実施例1においては、具体的には、p型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層50が、順次、積層されて成る積層構造体、
(b)第2化合物半導体層50上に形成された帯状の第2電極62、並びに、
(c)第1化合物半導体層30に電気的に接続された第1電極61、
を備えている。
更には、第3化合物半導体層40は、可飽和吸収領域42を備えている。また、第2電極62は、発光領域41を経由して第1電極61に電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分62A、及び、可飽和吸収領域42に電界を加えるための第2部分62Bに、分離溝62Cによって分離されている。そして、第2電極62の第1部分62Aから発光領域41を経由して第1電極61に電流を流すことで順バイアス状態とし、且つ、第1電極61と第2電極62の第2部分62Bとの間に電圧を印加することで可飽和吸収領域42に電界を加える。
また、積層構造体は、極性を有する化合物半導体基板21の上に形成されている。第3化合物半導体層40は、井戸層及び障壁層を備えた量子井戸構造を有し、井戸層の厚さは、1nm以上、10nm以下であり、障壁層の不純物(具体的には、シリコン,Si)のドーピング濃度は、2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下である。ここで、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の駆動方法にあっては、第2電極62から積層構造体を介して第1電極61に電流を流すことで、発光領域41において光パルスを発生させる。また、実施例1のモードロック半導体レーザ素子にあっては、第2電極62から積層構造体を介して第1電極61に電流が流されることで、発光領域41において光パルスが発生する。
実施例1のモードロック半導体レーザ素子10は、具体的には、リッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH構造)を有する半導体レーザ素子である。より具体的には、このモードロック半導体レーザ素子10は、ブルーレイ光ディスクシステム用に開発されたインデックスガイド型のAlGaInNから成るGaN系半導体レーザ素子であり、直線状のリッジ構造(リッジストライプ構造)を有する。そして、モードロック半導体レーザ素子10は、n型GaN基板21の(0001)面上に設けられており、第3化合物半導体層40は量子井戸構造を有する。尚、n型GaN基板21の(0001)面は、『C面』とも呼ばれ、極性を有する結晶面である。第1化合物半導体層30、第3化合物半導体層40、及び、第2化合物半導体層50は、具体的には、AlGaInN系化合物半導体から成り、より具体的には、以下の表1に示す層構成を有する。ここで、表1において、下方に記載した化合物半導体層ほど、n型GaN基板21に近い層である。尚、第3化合物半導体層40における井戸層を構成する化合物半導体のバンドギャップは3.06eVである。
[表1]
第2化合物半導体層50
p型GaNコンタクト層(Mgドープ)55
p型GaN(Mgドープ)/AlGaN超格子クラッド層54
p型AlGaN電子障壁層(Mgドープ)53
ノンドープAlGaNクラッド層52
ノンドープGaInN光ガイド層51
第3化合物半導体層40
GaInN量子井戸活性層
(井戸層:Ga0.92In0.08N/障壁層:Ga0.98In0.02N)
第1化合物半導体層30
n型GaNクラッド層32
n型AlGaNクラッド層31
但し、
井戸層(2層): 8nm[ノン・ドープ]
障壁層(3層):10nm[ドーピング濃度(Si):2×1018cm-3
また、p型GaNコンタクト層55及びp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の一部は、RIE法にて除去されており、リッジ構造(リッジ部56)が形成されている。リッジ部56の両側にはSiO2/Siから成る積層絶縁膜57が形成されている。尚、SiO2層が下層であり、Si層が上層である。ここで、リッジ部56の有効屈折率と積層絶縁膜57の有効屈折率との差は、5×10-3乃至1×10-2、具体的には、7×10-3である。そして、リッジ部56の頂面に相当するp型GaNコンタクト層55上には、第2電極(p側オーミック電極)62が形成されている。一方、n型GaN基板21の裏面には、Ti/Pt/Auから成る第1電極(n側オーミック電極)61が形成されている。具体的には、積層絶縁膜57をSiO2/Si積層構造とし、リッジ構造の幅を1.5μmとした。
また、実施例1の半導体レーザ素子10にあっては、第3化合物半導体層40及びその近傍から発生した光密度分布に、Mgドープした化合物半導体層である、p型AlGaN電子障壁層53、p型GaN/AlGaN超格子クラッド層54及びp型GaNコンタクト層55が出来るだけ重ならないようにすることで、内部量子効率が低下しない範囲で、内部損失を抑制している。そして、これにより、レーザ発振が開始される閾値電流Ithを低減させている。更には、第3化合物半導体層40からp型AlGaN電子障壁層53までの距離dの値を大きくすることで、内部損失αiは低下するが、dの値が或る値以上になると、井戸層へのホールの注入効率が低下する結果、第3化合物半導体層40における電子ホールの再結合確率が低下し、内部量子効率ηiが減少することが判った。それ故、第3化合物半導体層40からp型AlGaN電子障壁層53までの距離dを0.10μm、リッジ部(リッジ構造)の高さを0.30μm、第2電極62と第3化合物半導体層40との間に位置する第2化合物半導体層50の厚さを0.50μm、第2電極62の下方に位置するp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の部分の厚さを0.40μmとした。ここで、『電子障壁層53と第3化合物半導体層40との間の距離(d)』とは、第3化合物半導体層40に面する電子障壁層53の部分(境界面)と、電子障壁層53に面する第3化合物半導体層40の部分(境界面)との間の距離を意味する。
実施例1のモードロック半導体レーザ素子10において、第2電極62は、上述したとおり、発光領域(利得領域)41を経由して第1電極61に直流電流(順バイアス電流Igain)を流すことで順バイアス状態とするための第1部分62A、及び、可飽和吸収領域42に電界を加えるための第2部分62B(可飽和吸収領域42に逆バイアス電圧Vsaを加えるための第2部分62B)とに、分離溝62Cによって分離されている。ここで、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値(『分離抵抗値』と呼ぶ場合がある)は、第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の1×10倍以上、具体的には1.5×103倍である。また、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値(分離抵抗値)は、1×102Ω以上、具体的には、1.5×104Ωである。
ところで、第2化合物半導体層50上に、1×102Ω以上の分離抵抗値を有する2電極62を形成する必要がある。GaN系半導体レーザ素子の場合、従来のGaAs系半導体レーザ素子とは異なり、p型導電型を有する化合物半導体における移動度が小さいために、p型導電型を有する第2化合物半導体層50をイオン注入等によって高抵抗化することなく、その上に形成される第2電極62を分離溝62Cで分離することで、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の10倍以上とし、あるいは又、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を1×102Ω以上とすることが可能となる。
実施例1にあっては、第2電極62を厚さ0.1μmのPd単層から構成した。また、実施例1にあっては、第2電極62を第1部分62Aと第2部分62Bとに分離する分離溝62Cの幅は、1μm以上、共振器長の50%以下である。あるいは又、可飽和吸収領域42の長さは発光領域41の長さよりも短い。あるいは又、第2電極62の長さ(第1部分と第2部分の総計の長さ)は第3化合物半導体層40の長さよりも短い。具体的には、共振器長X”を0.60mm、第2電極62の第1部分62Aの長さを0.52mm、第2部分62Bの長さを0.06mm、分離溝62Cの幅(共振器長方向の長さ)を0.02mmとした。
尚、p型GaN層及びp型AlGaN層が交互に積層された超格子構造を有するp型GaN/AlGaN超格子クラッド層54の厚さは0.7μm以下、具体的には、0.4μmであり、超格子構造を構成するp型GaN層の厚さは2.5nmであり、超格子構造を構成するp型AlGaN層の厚さは2.5nmであり、p型GaN層及びp型AlGaN層の層数合計は160層である。また、第3化合物半導体層40から第2電極62までの距離は1μm以下、具体的には0.5μmである。更には、第2化合物半導体層50を構成するp型AlGaN電子障壁層53、p型GaN/AlGaN超格子クラッド層54、p型GaNコンタクト層55には、Mgが、1×1019cm-3以上(具体的には、2×1019cm-3)、ドーピングされており、波長405nmの光に対する第2化合物半導体層50の吸収係数は、少なくとも50cm-1、具体的には、65cm-1である。また、第2化合物半導体層50は、第3化合物半導体層側から、ノンドープ化合物半導体層(ノンドープGaInN光ガイド層51及びノンドープAlGaNクラッド層52)、並びに、p型化合物半導体層を有しているが、第3化合物半導体層40からp型化合物半導体層(具体的には、p型AlGaN電子障壁層53)までの距離(d)は1.2×10-7m以下、具体的には100nmである。
また、比較例1のモードロック半導体レーザ素子を作製したが、比較例1のモードロック半導体レーザ素子においては、表1に示した層構成における第3化合物半導体層40の構成を以下の表2のとおりとした。
[表2]
実施例1 比較例1
井戸層 8nm 10.5nm
障壁層 12nm 14nm
井戸層の不純物ドーピング濃度 ノン・ドープ ノン・ドープ
障壁層の不純物ドーピング濃度 Si:2×1018cm-3 ノン・ドープ
実施例1においては井戸層の厚さが8nmであり、また、障壁層にはSiが2×1018cm-3、ドーピングされており、第3化合物半導体層内のQCSE効果が緩和されている。一方、比較例1においては井戸層の厚さが10.5nmであり、また、障壁層には不純物がドーピングされていない。
実施例1のモードロック半導体レーザ素子10のセルフパルセーション動作の評価に用いた測定系を図9に示す。測定では、可飽和吸収領域42に直流定電圧Vsaを印加し、発光領域(利得領域)41に直流低電流(電圧Vgain)を流した。即ち、第2電極62の第2部分62Bに負の直流定電圧Vsaを印加し、第2電極62の第1部分62Aから第1電極61へと直流低電流を流した。そして、モードロック半導体レーザ素子10から出射されたレーザ光をレンズでコリメートして光アイソレータを通した後、レンズでシングルモードファイバに結合し、シングルモードファイバからの光を、光検出器及び電気スペクトルアナライザ、並びに、光スペクトルアナライザ、及び、ストリークカメラを用いて評価した。
そして、実施例1及び比較例1のモードロック半導体レーザ素子から集光型の外部共振器を構成してモードロック駆動させた(図3の(A)参照)。尚、図3の(A)に示す集光型の外部共振器にあっては、可飽和吸収領域側に高反射コート層(HR)が形成されたモードロック半導体レーザ素子の端面と外部鏡とで外部共振器が構成され、外部鏡から光パルスを取り出す。発光領域(利得領域)側のモードロック半導体レーザ素子の端面(光出射端面)には無反射コート層(AR)が形成されている。光学フィルターには、主にバンドパスフィルターが用いられ、レーザの発振波長の制御のために挿入される。外部共振器長さX’によって光パルス列の繰り返し周波数fが決定され、次式で表される。ここで、cは光速であり、nは導波路の屈折率である。
f=c/(2n・X’)
モードロックは、発光領域41に印加する直流電流と可飽和吸収領域42に印加する逆バイアス電圧Vsaとによって決定される。図10の(A)及び(B)に、実施例1及び比較例1の注入電流と光出力の関係(L−I特性)の逆バイアス電圧依存性測定結果を示す。尚、図10の(A)及び(B)において、符号「A」を付した測定結果は、逆バイアス電圧Vsa=0ボルトの結果であり、符号「B」を付した測定結果は、逆バイアス電圧Vsa=−3ボルトの結果であり、符号「C」を付した測定結果は、逆バイアス電圧Vsa=−6ボルトの結果であり、符号「D」を付した測定結果は、逆バイアス電圧Vsa=−9ボルトの結果である。図10の(A)にあっては、逆バイアス電圧Vsa=0ボルトの測定結果と、逆バイアス電圧Vsa=−3ボルトの測定結果とは、ほぼ、重なっている。
図10の(A)及び(B)を比較すると、比較例1にあっては、逆バイアス電圧Vsaを増加していくと、レーザ発振が開始する閾値電流Ithが次第に上昇し、更には、実施例1に比べて、低い逆バイアス電圧Vsaで変化が生じていることが判る。これは、実施例1の第3化合物半導体層40の方が、逆バイアス電圧Vsaにより可飽和吸収の効果が電気的に制御されていることを示唆している。
また、実施例1及び比較例1において発生した光パルスをストリークカメラで測定した結果を、図11の(A)及び(B)に示す。比較例1にて得られた図11の(B)では、メインパルスの前後にサブパルス成分が発生しているが、実施例1にて得られた図11の(A)では、サブパルス成分の発生は抑制されている。これらの結果は、全て、第3化合物半導体層40の構成によりQCSE効果が緩和されたことにより、可飽和吸収の効果が増強されたことに起因するものと考えられる。
図3の(A)に示した実施例1のモードロック半導体レーザ素子の駆動条件等を以下の表3に例示する。尚、Ithは閾値電流である。
[表3]
[モードロック駆動条件]
0<Igain/Ith ≦5
−20≦Vsa(ボルト)≦0
[高反射コート層(HR)]
85≦反射率RHR(%)<100
[無反射コート層(AR)]
0<反射率RAR(%)≦0.5
[光学フィルター]
85≦透過率TBPF(%) <100
0<半値幅τBPF(nm) ≦2.0
400<ピーク波長λBPF(nm)<450
[外部鏡]
0<反射率ROC(%)<100
[外部共振器長さX’]
0<X’(mm)<1500
より具体的には、実施例1にあっては、一例として、
gain =120mA
th =45mA
逆バイアス電圧Vsa=−11(ボルト)
反射率RHR =95(%)
反射率RAR =0.3(%)
透過率TBPF =90(%)
半値幅τBPF =1nm
ピーク波長λBPF =410nm
反射率ROC =20%
外部共振器長さX’=150mm
とした。
一方、比較例1にあっては、
gain =95mA
th =50mA
逆バイアス電圧Vsa=−12.5(ボルト)
反射率ROC =50%
とした。それ以外の諸元は、実施例1と同じである。
以下、図14の(A)、(B)、図15の(A)、(B)、B10を参照して、実施例1のモードロック半導体レーザ素子の製造方法を説明する。尚、図14の(A)、(B)、図15の(A)、(B)は、基板等をYZ平面にて切断したときの模式的な一部断面図であり、図16は、基板等をXZ平面にて切断したときの模式的な一部端面図である。
尚、第2電極62に要求される特性は、以下のとおりである。即ち、
(1)第2化合物半導体層50をエッチングするときのエッチング用マスクとしての機能を有すること。
(2)第2化合物半導体層50の光学的、電気的特性に劣化を生じさせることなく、第2電極62はウエットエッチング可能であること。
(3)第2化合物半導体層50上に成膜したとき、10-2Ω・cm2以下のコンタクト比抵抗値を示すこと。
(4)積層構造とする場合、下層金属層を構成する材料は、仕事関数が大きく、第2化合物半導体層50に対して低いコンタクト比抵抗値を示し、しかも、ウエットエッチング可能であること。
(5)積層構造とする場合、上層金属層を構成する材料は、リッジ構造を形成する際のエッチングに対して(例えば、RIE法において使用されるCl2ガス)に対して耐性があり、しかも、ウエットエッチング可能であること。
[工程−100]
先ず、基体上、具体的には、n型GaN基板21の(0001)面上に、周知のMOCVD法に基づき、第1導電型(n型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層30、GaN系化合物半導体から成る発光領域(利得領域)41及び可飽和吸収領域42を構成する第3化合物半導体層(活性層)40、並びに、第1導電型と異なる第2導電型(p型導電型)を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層50が、順次、積層されて成る積層構造体を形成する(図14の(A)参照)。
[工程−110]
その後、第2化合物半導体層50上に帯状の第2電極62を形成する。具体的には、真空蒸着法に基づきPd層63を全面に成膜した後(図14の(B)参照)、Pd層63上に、フォトリソグラフィ技術に基づき帯状のエッチング用レジスト層を形成する。そして、王水を用いて、エッチング用レジスト層に覆われていないPd層63を除去した後、エッチング用レジスト層を除去する。こうして、図15の(A)に示す構造を得ることができる。尚、リフトオフ法に基づき、第2化合物半導体層50上に帯状の第2電極62を形成してもよい。
[工程−120]
次いで、第2電極62をエッチング用マスクとして、少なくとも第2化合物半導体層50の一部分をエッチングして(実施例1にあっては、第2化合物半導体層50の一部分をエッチングして)、リッジ構造を形成する。具体的には、Cl2ガスを用いたRIE法に基づき、第2電極62をエッチング用マスクとして用いて、第2化合物半導体層50の一部分をエッチングする。こうして、図15の(B)に示す構造を得ることができる。このように、帯状にパターニングされた第2電極62をエッチング用マスクとして用いてセルフアライン方式にてリッジ構造を形成するので、第2電極62とリッジ構造との間に合わせずれが生じることがない。
[工程−130]
その後、分離溝を第2電極62に形成するためのレジスト層64を形成する(図16参照)。尚、参照番号65は、分離溝を形成するために、レジスト層64に設けられた開口部である。次いで、レジスト層64をウエットエッチング用マスクとして、第2電極62に分離溝62Cをウエットエッチング法にて形成し、以て、第2電極62を第1部分62Aと第2部分62Bとに分離溝62Cによって分離する。具体的には、王水をエッチング液として用い、王水に約10秒、全体を浸漬することで、第2電極62に分離溝62Cを形成する。そして、その後、レジスト層64を除去する。こうして、図1及び図2に示す構造を得ることができる。このように、ドライエッチング法と異なり、ウエットエッチング法を採用することで、第2化合物半導体層50の光学的、電気的特性に劣化が生じることがない。それ故、モードロック半導体レーザ素子の発光特性に劣化が生じることがない。尚、ドライエッチング法を採用した場合、第2化合物半導体層50の内部損失αiが増加し、閾値電圧が上昇したり、光出力の低下を招く虞がある。ここで、第2電極62のエッチングレートをER0、積層構造体のエッチングレートをER1としたとき、
ER0/ER1≒1×102
である。このように、第2電極62と第2化合物半導体層50との間に高いエッチング選択比が存在するが故に、積層構造体をエッチングすること無く(あるいは、エッチングされても僅かである)、第2電極62を確実にエッチングすることができる。
[工程−140]
その後、n側電極61の形成、基板の劈開等を行い、更に、パッケージ化を行うことで、半導体レーザ素子10を作製することができる。
一般に、半導体層の抵抗R(Ω)は、半導体層を構成する材料の比抵抗値ρ(Ω・m)、半導体層の長さX0(m)、半導体層の断面積S(m2)、キャリア密度n(cm-3)、電荷量e(C)、移動度μ(m2/V秒)を用いて以下のように表される。
R=(ρ・X0)/S
=X0/(n・e・μ・S)
p型GaN系半導体の移動度は、p型GaAs系半導体に比べて、2桁以上小さいため、電気抵抗値が高くなり易い。よって、幅1.5μm、高さ0.35μmといった断面積が小さいリッジ構造を有する半導体レーザ素子の電気抵抗値は、上式から、大きな値となることが判る。
製作した実施例1のモードロック半導体レーザ素子10の第2電極62の第2部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値を4端子法にて測定した結果を、図12に示す。分離溝62Cの幅が20μmのとき、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値は15kΩであった。
製作した実施例1のモードロック半導体レーザ素子10において、第2電極62の第1部分62Aから発光領域41を経由して第1電極61に直流電流を流して順バイアス状態とし、第1電極61と第2電極62の第2部分62Bとの間に逆バイアス電圧Vsaを印加することによって可飽和吸収領域42に電界を加えることで、モードロック駆動させた。
しかも、第2電極62の第1部分62Aと第2部分62Bとの間の電気抵抗値は、第2電極62と第1電極61との間の電気抵抗値の10倍以上であり、あるいは又、1×102Ω以上である。従って、第2電極62の第1部分62Aから第2部分62Bへの漏れ電流の流れを確実に抑制することができる結果、発光領域41を順バイアス状態とし、しかも、可飽和吸収領域42を確実に逆バイアス状態とすることができ、確実にシングルモードのセルフパルセーション動作及びモードロック動作を生じさせることができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2のモードロック半導体レーザ素子から外部共振器を構成する例を、図3の(B)、図4の(A)、(B)に示す。
図3の(B)に示すコリメート型の外部共振器にあっても、可飽和吸収領域側に高反射コート層(HR)が形成されたモードロック半導体レーザ素子の端面と外部鏡とで外部共振器を構成し、外部鏡から光パルスを取り出す。発光領域(利得領域)側のモードロック半導体レーザ素子の端面(光出射端面)には無反射コート層(AR)が形成されている。尚、図3の(B)に示した実施例2のモードロック半導体レーザ素子の駆動条件等は、上述した表3と同様とすることができる。
一方、図4の(A)及び(B)に示す外部共振器にあっては、可飽和吸収領域側(光出射端面)に反射コート層(R)が形成されたモードロック半導体レーザ素子の端面と外部鏡とで外部共振器を構成し、可飽和吸収領域42から光パルスを取り出す。発光領域(利得領域)側のモードロック半導体レーザ素子の端面には無反射コート層(AR)が形成されている。尚、図4の(A)に示す例は集光型であり、図4の(B)に示す例はコリメート型である。尚、図4の(A)及び(B)に示した実施例2のモードロック半導体レーザ素子の駆動条件等は、上述した表3と同様とすることができる。但し、反射コート層(R)に関しては、以下の表4のとおりとすればよい。
[表4]
[反射コート層(R)]
0<反射率RR(%)<100
尚、具体的には、
反射率RR=20%
とした。実施例2におけるモードロック半導体レーザ素子のその他の構成、構造は、実施例1において説明したモードロック半導体レーザ素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例3も実施例1の変形であるが、実施例3にあっては、図4の(C)に示すように、モードロック半導体レーザ素子をモノリシック型とした。尚、実施例3のモードロック半導体レーザ素子の駆動条件等は、上述した表3と同様とすることができる。実施例3におけるモードロック半導体レーザ素子のその他の構成、構造は、実施例1において説明したモードロック半導体レーザ素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例4も実施例1の変形であるが、実施例4のモードロック半導体レーザ素子は、斜め導波路を有する斜めリッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造の半導体レーザ素子である。実施例4のモードロック半導体レーザ素子におけるリッジ部156を上方から眺めた模式図を図5に示す。実施例4のモードロック半導体レーザ素子にあっては、直線状の2つのリッジ部が組み合わされた構造を有し、2つのリッジ部の交差する角度θの値は、例えば、
0<θ≦10(度)
好ましくは、
0<θ≦6(度)
とすることが望ましい。斜めリッジストライプ型を採用することで、無反射コートをされた端面の反射率を、より0%の理想値に近づけることができ、その結果、半導体レーザ内で周回してしまう光パルスの発生を防ぐことができ、メインの光パルスに付随するサブの光パルスの生成を抑制できるといった利点を得ることができる。尚、実施例4の斜めリッジストライプ型のモードロック半導体レーザ素子を、実施例1〜実施例3に適用することができる。実施例4におけるモードロック半導体レーザ素子のその他の構成、構造は、実施例1において説明したモードロック半導体レーザ素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例5も実施例1の変形であるが、実施例5にあっては、第2電極62から発光領域41を経由して第1電極61に電流を流し、且つ、第2電極62から発光領域41を経由して第1電極61に外部電気信号(RMSジッタΔsignal)を重畳させる。図6の(A)に、実施例5のモードロック半導体レーザ素子を用いてモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す。外部電気信号は、周知の外部電気信号発生器から第2電極62へと送出される。これによって、光パルスと外部電気信号との間の同期を取ることができる。即ち、RMSタイミングジッタΔtMLLDを、下記まで抑えることが可能となる。
Δsignal≦ΔtMLLD
図6の(A)に示した実施例5のモードロック半導体レーザ素子の駆動条件等は、上述した表3と同様とすることができる。尚、外部電気信号の電圧最大値Vp-p(単位:ボルト)は、
0<Vp-p≦10
好ましくは、
0<Vp-p≦3
を満足することが望ましい。また、外部電気信号の周波数fsignalと光パルス列の繰り返し周波数fMLLDとは、
0.99≦fsignal/fMLLD≦1.01
を満足することが望ましい。
そして、より具体的には、実施例5にあっては、一例として、
gain =120mA
th =45mA
逆バイアス電圧Vsa=−11(ボルト)
反射率RHR =95(%)
反射率RAR =0.3(%)
透過率TBPF =90(%)
半値幅τBPF =1nm
ピーク波長λBPF =410nm
反射率ROC =20%
外部共振器長さX’=150mm
p-p =2.8ボルト
signal =1GHz
MLLD =1GHz
Δsignal =1ピコ秒
ΔtMLLD =1.5ピコ秒
とした。
一方、参考例5にあっては、第2電極62から発光領域41を経由して第1電極61に外部電気信号を重畳させること無く、第2電極62から発光領域41を経由して第1電極61に電流を流した。そして、RFスペクトルを測定した。実施例5及び参考例5における測定結果を、図13の(A)及び(B)に示す。尚、参考例5にあっては、
反射率ROC=50%
とした。それ以外の諸元は、実施例5と同じである。
図13の(A)及び(B)から、参考例5と比べて実施例5の方がRFスペクトルの裾の成分の面積の低減がみられ、このことは、参考例5と比べて実施例5の方が位相ノイズ及びタイミングジッタが少ない駆動方法であることを示している。
実施例5におけるモードロック半導体レーザ素子のその他の構成、構造は、実施例1〜実施例4において説明したモードロック半導体レーザ素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例6も実施例1の変形であるが、実施例6にあっては、積層構造体の一端面から光信号を入射させる。図6の(B)に、実施例6のモードロック半導体レーザ素子を用いてモードロック駆動を行うシステムを模式的に示す。光信号(RMSジッタ:Δtopto)は、半導体レーザ素子から成る光信号発生器から出射され、レンズ、外部鏡、光学フィルター、レンズを介して積層構造体の一端面に入射する。これによって、光パルスと光信号との間の同期を取ることができる。即ち、RMSタイミングジッタΔtMLLDを、下記まで抑えることが可能となる。
Δopto≦ΔtMLLD
実施例6におけるモードロック半導体レーザ素子のその他の構成、構造は、実施例1〜実施例4において説明したモードロック半導体レーザ素子の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した半導体レーザ素子の構成、構造の構成は例示であり、適宜、変更することができる。また、実施例においては、種々の値を示したが、これらも例示であり、例えば、使用する半導体レーザ素子の仕様が変われば、変わることは当然である。例えば、第2電極62を、厚さ20nmのパラジウム(Pd)から成る下層金属層と、厚さ200nmのニッケル(Ni)から成る上層金属層の積層構造としてもよい。尚、王水によるウエットエッチングにあっては、ニッケルのエッチングレートは、パラジウムのエッチングレートの約1.25倍である。
また、実施例においては、モードロック半導体レーザ素子10を、n型GaN基板21の極性面であるC面,{0001}面上に設けたが、代替的に、{11−20}面であるA面、{1−100}面であるM面、{1−102}面といった無極性面上、あるいは又、{11−24}面や{11−22}面を含む{11−2n}面、{10−11}面、{10−12}面といった半極性面上に、モードロック半導体レーザ素子10を設けてもよく、これによって、モードロック半導体レーザ素子10の第3化合物半導体層にたとえピエゾ分極及び自発分極が生じた場合であっても、第3化合物半導体層の厚さ方向にピエゾ分極が生じることは無く、第3化合物半導体層の厚さ方向とは略直角の方向にピエゾ分極が生じるので、ピエゾ分極及び自発分極に起因した悪影響を排除することができる。尚、{11−2n}面とは、ほぼC面に対して40度を成す無極性面を意味する。また、無極性面上あるいは半極性面上にモードロック半導体レーザ素子10を設ける場合、井戸層の厚さの制限(1nm以上、10nm以下)及び障壁層の不純物ドーピング濃度の制限(2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下)を無くすことが可能である。
発光領域41や可飽和吸収領域42の数は1に限定されない。1つの第2電極の第1部分62Aと2つの第2電極の第2部分62B1,62B2とが設けられたモードロック半導体レーザ素子の模式的な端面図を図7に示す。このモードロック半導体レーザ素子にあっては、第1部分62Aの一端が、一方の分離溝62C1を挟んで、一方の第2部分62B1と対向し、第1部分62Aの他端が、他方の分離溝62C2を挟んで、他方の第2部分62B2と対向している。そして、1つの発光領域41が、2つの可飽和吸収領域421,422によって挟まれている。あるいは又、2つの第2電極の第1部分62A1,62A2と1つの第2電極の第2部分62Bとが設けられたモードロック半導体レーザ素子の模式的な端面図を図8に示す。このモードロック半導体レーザ素子にあっては、第2部分62Bの端部が、一方の分離溝62C1を挟んで、一方の第1部分62A1と対向し、第2部分62Bの他端が、他方の分離溝62C2を挟んで、他方の第1部分62A2と対向している。そして、1つの可飽和吸収領域42が、2つの発光領域411,412によって挟まれている。
10・・・半導体レーザ素子、21・・・n型GaN基板、22・・・GaNバッファ層、30・・・第1化合物半導体層、31・・・n型AlGaNクラッド層、32・・・n型GaNクラッド層、40・・・第3化合物半導体層、41,411,412・・・発光領域、42,421,422・・・可飽和吸収領域、50・・・第2化合物半導体層、51・・・ノンドープGaInN光ガイド層、52・・・ノンドープAlGaNクラッド層、53・・・p型AlGaN電子障壁層(Mgドープ)、54・・・p型GaN(Mgドープ)/AlGaN超格子クラッド層、55・・・p型GaNコンタクト層(Mgドープ)、56,156・・・リッジ部、57・・・積層絶縁膜、61・・・第1電極、62・・・第2電極、62A,62A1,62A2・・・第2電極の第1部分、62B,62B1,62B2・・・第2電極の第2部分、62C,62C1,62C2・・・分離溝、63・・・Pd単層、64・・・レジスト層、65・・・開口部

Claims (13)

  1. (a)第1導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第1化合物半導体層、GaN系化合物半導体から成る発光領域を有する第3化合物半導体層、並びに、第1導電型と異なる第2導電型を有し、GaN系化合物半導体から成る第2化合物半導体層が、順次、積層されて成る積層構造体、
    (b)第2化合物半導体層上に形成された第2電極、並びに、
    (c)第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、
    を備え、
    積層構造体は、化合物半導体基板上に形成されており、
    第3化合物半導体層は、井戸層及び障壁層を備えた量子井戸構造を有し、
    井戸層の厚さは、1nm以上、10nm以下であり、
    障壁層の不純物ドーピング濃度は、2×1018cm-3以上、1×1020cm-3以下であり、
    第3化合物半導体層は、可飽和吸収領域を更に備えており、
    第2電極は、発光領域を経由して第1電極に電流を流すことで順バイアス状態とするための第1部分、及び、可飽和吸収領域に電界を加えるための第2部分に、分離溝によって分離されており、
    第2電極の第1部分と第2部分との間の電気抵抗値は1×102Ω以上であり、
    第2電極の第1部分から発光領域を経由して第1電極に電流が流されることで順バイアス状態とされ、且つ、第1電極と第2電極の第2部分との間に電圧が印加されることで可飽和吸収領域に電界が加えられ、以て、発光領域においてシングルモードのセルフパルセーション動作するモードロック半導体レーザ素子。
  2. 第2電極を第1部分と第2部分とに分離する分離溝の幅は1μm以上である請求項1に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  3. 可飽和吸収領域の長さは発光領域の長さよりも短い請求項1又は請求項2に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  4. 第2電極から発光領域を経由して第1電極に電流を流し、且つ、第2電極から発光領域を経由して第1電極に外部電気信号を重畳させる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  5. 積層構造体の一端面から光信号を入射させる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  6. 障壁層にドーピングされた不純物はシリコンである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  7. リッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造を有する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  8. 斜めリッジストライプ型の分離閉じ込めヘテロ構造を有する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のモードロック半導体レーザ素子、及び、
    モードロック半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の一部をモードロック半導体レーザ素子に戻し、残部を外部に出射する外部鏡、
    を備えている半導体レーザ装置組立体。
  10. モードロック半導体レーザ素子と外部鏡との間に、光学フィルターを更に備えている請求項9に記載の半導体レーザ装置組立体。
  11. モードロック半導体レーザ素子と光学フィルターとの間に、レンズを更に備えている請求項10に記載の半導体レーザ装置組立体。
  12. レンズを通過し、光学フィルターに向かうレーザ光は、レンズによって、外部鏡の位置で焦点を結ぶ請求項11に記載の半導体レーザ装置組立体。
  13. レンズを通過し、光学フィルターに向かうレーザ光は、レンズによって平行光とされる請求項11に記載の半導体レーザ装置組立体。
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