JP2004186285A - 酸化シリコン膜の形成方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温CVD法による酸化シリコン膜形成用装置を小型化する。
【解決手段】真空容器1内は隔壁2によりラジカル生成室3と成膜室4とに分離されている。成膜室4内に配置された支持台12上に載置されたガラス基板13は、支持台12に備えられた加熱機構により所定の温度に加熱される。そして、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスは、紫外光光源6からの紫外光の照射により、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルに分解される。これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとは成膜室4内に供給され、化学反応により、ガラス基板13上に酸化シリコン膜が成膜される。この場合、Hラジカルにより、ガラス基板13上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。また、ラジカル生成室3と成膜室4とを一体化しているので、装置全体を小型化することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】真空容器1内は隔壁2によりラジカル生成室3と成膜室4とに分離されている。成膜室4内に配置された支持台12上に載置されたガラス基板13は、支持台12に備えられた加熱機構により所定の温度に加熱される。そして、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスは、紫外光光源6からの紫外光の照射により、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルに分解される。これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとは成膜室4内に供給され、化学反応により、ガラス基板13上に酸化シリコン膜が成膜される。この場合、Hラジカルにより、ガラス基板13上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。また、ラジカル生成室3と成膜室4とを一体化しているので、装置全体を小型化することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、低温CVD法による酸化シリコン膜の形成方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜トランジスタでは、ガラス基板上に形成されたアルミニウム系金属からなる配線(例えばゲート電極)を酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜)で覆うことがある。このような薄膜トランジスタでは、ガラス基板が非耐熱性であり、またアルミニウム系金属からなる配線がヒロックを発生しやすいものであるため、酸化シリコン膜を低温で形成可能なプラズマCVD法により形成している。
【0003】
然るに、通常のプラズマCVD法で形成した酸化シリコン膜は粗膜であるため、下地膜の状態に応じてボイドが生じる。このため、緻密な膜質の酸化シリコン膜を形成する方法として凝縮を利用した方法が知られている。凝縮CVD法というのは、成膜室内に配置されたシリコン基板の温度を液体窒素冷却器を含む降温装置で低温に設定し、この状態で、酸素ラジカルガスと有機シランガスとを気相中で反応させ、この気相中間体を上述の低温に設定されたシリコン基板上に付着させることにより有機シランを凝縮させて酸化シリコン膜を成膜する方法である。
【0004】
しかし、この方法では、シリコン基板を低温に設定して成膜を行うため、後工程の熱処理において膜ストレスが大きくなる欠点がある。そこで、凝縮CVD法において、酸化シリコン膜の凝集膜成膜工程後に、酸素ラジカルガスおよび窒素ガス雰囲気中で閃光ランプ等によりシリコン基板を熱処理して膜ストレスを除去する改質工程を組み入れ、上記凝集膜成膜工程と改質工程を複数回繰り返すようにした方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−82696号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の酸化シリコン膜の形成方法では、低温での成膜工程および高温での改質工程を複数回繰り返すため、液体窒素冷却器および閃光ランプ等の降温昇温装置が必要であり、装置全体が大型化してしまうという問題があった。また、成膜室内に酸素ラジカルガスを供給するため、成膜室を有する装置外に酸素ラジカルガス発生装置を設置しなければならず、これまた装置全体が大型化してしまうという問題があった。
そこで、この発明は、装置全体を小型化することができる酸化シリコン膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離し、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された前記基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記Hラジカルにより、前記基板上に成膜される酸化シリコン膜を改質することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記改質は、酸化シリコン膜の表面のSi−SiウィークボンドをSi−Oボンドあるいは安定したSi−Siボンドに置換することであることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は紫外光の照射により行なうことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は高周波電力の印加により行なうことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板を支持する支持台に加熱機構が設けられていることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
請求項8に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板はガラス基板であることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記ガラス基板上に成膜される酸化シリコン膜により薄膜トランジスタのゲート絶縁膜を形成することを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、内部にラジカル生成室と成膜室とを有する真空容器を備え、前記ラジカル生成室において、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記ラジカル生成室内またはその上部にH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成するための光源または高周波電源が配置されていることを特徴とするものである。
そして、請求項1に記載の発明によれば、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜しているので、基板を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。この場合、Hラジカルにより、基板上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。
また、請求項2に記載の発明によれば、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離しているので、ラジカル生成室と成膜室とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図を示したものである。この酸化シリコン膜形成用装置は真空容器1を備えている。真空容器1内の所定の箇所には、真空容器1内を上下の2室に分離するための隔壁2が設けられ、隔壁2の上側はラジカル生成室3となっており、下側は成膜室4となっている。
【0009】
ラジカル生成室3の側壁の所定の複数箇所には第1のガス供給部5が設けられている。第1のガス供給部5は、H2Oガス(水蒸気)を供給するH2Oガス供給源(図示せず)に接続されている。ラジカル生成室3内の上部には、H2Oガスをラジカル化するための紫外光光源6が設けられている。紫外光光源6はキセノンエキシマランプや低圧水銀ランプ等のランプ光源やレーザ光源等からなっている。
【0010】
隔壁2は、中空のガス流路7を有する板状のものからなっている。ガス流路7の所定の箇所は、真空容器1の側壁の所定の箇所に設けられた第2のガス供給部8に接続されている。第2のガス供給部8は、SiH4ガスを供給するSiH4ガス供給源(図示せず)に接続されている。隔壁2の下面の所定の複数箇所にはガス流出口9が設けられている。隔壁2自体の所定の複数箇所には、隔壁2自体を貫通して、ラジカル生成室3と成膜室4とを連通する貫通孔10が設けられている。
【0011】
成膜室4の下部中央部には支持軸11が上下動可能に挿通されている。成膜室4内において支持軸11の上端部には、ヒータ等の加熱機構(図示せず)を備えた支持台12が設けられている。支持台12は、その上に自重載置されるガラス基板13と隔壁2との間隔を調整可能とするために、支持軸11と共に、上下動手段(図示せず)によって上下動されるようになっている。成膜室4の側壁の下部の所定の箇所には排気部14が設けられている。排気部14は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0012】
ここで、酸化シリコン膜を有するデバイスの一例として、薄膜トランジスタについて図2を参照して説明する。図2に示す薄膜トランジスタでは、ガラス基板13の上面の所定の箇所にアルミニウム系金属からなるゲート電極21が形成されている。ゲート電極21を含むガラス基板13の上面には酸化シリコンからなるゲート絶縁膜22が形成されている。ゲート電極21上におけるゲート絶縁膜22の上面の所定の箇所には真性アモルファスシリコンからなる半導体薄膜23が形成されている。
【0013】
半導体薄膜23の上面ほぼ中央部には窒化シリコンからなるチャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24の上面両側およびその両側における半導体薄膜23の上面にはn型アモルファスシリコンからなるオーミックコンタクト層25、26が形成されている。オーミックコンタクト層25、26の各上面にはアルミニウム系金属等からなるソース電極27およびドレイン電極28が形成されている。
【0014】
次に、図1に示す酸化シリコン膜形成用装置を用いて、図2に示す薄膜トランジスタのゲート絶縁膜21を形成する場合について説明する。まず、上面の所定の箇所にゲート電極21(図1では図示せず)が形成されたガラス基板13を支持台12の上面に自重載置する。次に、排気部14に接続された真空ポンプの駆動により、真空容器1内を排気して所定の真空状態とする。また、支持台12に備えられた加熱機構により支持台12を加熱し、支持台12上に載置されたガラス基板13を所定の温度とする。さらに、紫外光光源6を点灯させる。
【0015】
次に、第1のガス供給部5からH2Oガスをラジカル生成室3内に供給する。ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスは、紫外光光源6からの紫外光の照射により、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルに分解される。これらのラジカルを含むガスは、隔壁2の貫通孔10を通って成膜室4内にシャワー状に供給される。また、第2のガス供給部8から隔壁2のガス流路7内に供給されたSiH4ガスは、隔壁2のガス流出口9を通って成膜室4内にシャワー状に供給される。
【0016】
すると、成膜室4内におけるOラジカル、OHラジカル、HラジカルとSiH4ガスとの化学反応により、ゲート電極21を含むガラス基板13の上面に酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜22)が成膜される。この場合、真空容器1内を1室とせずに、貫通孔10を有する隔壁2によってラジカル生成室3と成膜室4との2室に分離しているのは、SiH4ガスの過剰分解を抑制するためである。
【0017】
ところで、一般的に、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜は、低温でアモルファス構造に成膜されるため、酸素欠陥が多く、Si−Siウィークボンド(結合距離の長いボンド)が多く存在する。このような酸化シリコン膜で図2に示すゲート絶縁膜22を形成すると、Si−Siウィークボンドがホットキャリア等による欠陥発生サイトとなり得る。
【0018】
これに対し、上記実施形態の場合には、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜の表面のSi−Siウィークボンドは、Hラジカル(原子状水素)により、Si−Oボンドあるいは安定したSi−Siボンドに置換される。これにより、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜は改質される。
【0019】
ところで、上記酸化シリコン膜形成用装置では、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、ガラス基板13上に酸化シリコン膜を成膜しているので、ガラス基板13を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。また、真空容器1内をラジカル生成室3と成膜室4との2室に分離しているので、ラジカル生成室3と成膜室4とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスからのラジカル生成を紫外光の照射により行なう場合について説明したが、これに限らず、高周波電力の印加により行なうようにしてもよい。例えば、図3に示すこの発明の他の実施形態のように、真空容器1の上板を上部電極(陽極)15とし、隔壁2および支持台12を下部電極(陰極)とし、RF電源やVHF電源等の高周波電源16から高周波電力を印加するようにしてもよい。この場合、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスはプラズマ化し、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルが生成される。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜しているので、基板を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。この場合、Hラジカルにより、基板上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。
また、この発明によれば、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離しているので、ラジカル生成室と成膜室とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図。
【図2】酸化シリコン膜を有するデバイスの一例としての薄膜トランジスタの断面図。
【図3】この発明の他の実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 真空容器
2 隔壁
3 ラジカル生成室
4 成膜室
5 第1のガス供給部
6 紫外光光源
7 ガス流路
8 第2のガス供給部
9 ガス流出口
10 貫通孔
11 支持軸
12 支持台
13 ガラス基板
14 排気部
16 高周波電源
【発明の属する技術分野】
この発明は、低温CVD法による酸化シリコン膜の形成方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜トランジスタでは、ガラス基板上に形成されたアルミニウム系金属からなる配線(例えばゲート電極)を酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜)で覆うことがある。このような薄膜トランジスタでは、ガラス基板が非耐熱性であり、またアルミニウム系金属からなる配線がヒロックを発生しやすいものであるため、酸化シリコン膜を低温で形成可能なプラズマCVD法により形成している。
【0003】
然るに、通常のプラズマCVD法で形成した酸化シリコン膜は粗膜であるため、下地膜の状態に応じてボイドが生じる。このため、緻密な膜質の酸化シリコン膜を形成する方法として凝縮を利用した方法が知られている。凝縮CVD法というのは、成膜室内に配置されたシリコン基板の温度を液体窒素冷却器を含む降温装置で低温に設定し、この状態で、酸素ラジカルガスと有機シランガスとを気相中で反応させ、この気相中間体を上述の低温に設定されたシリコン基板上に付着させることにより有機シランを凝縮させて酸化シリコン膜を成膜する方法である。
【0004】
しかし、この方法では、シリコン基板を低温に設定して成膜を行うため、後工程の熱処理において膜ストレスが大きくなる欠点がある。そこで、凝縮CVD法において、酸化シリコン膜の凝集膜成膜工程後に、酸素ラジカルガスおよび窒素ガス雰囲気中で閃光ランプ等によりシリコン基板を熱処理して膜ストレスを除去する改質工程を組み入れ、上記凝集膜成膜工程と改質工程を複数回繰り返すようにした方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−82696号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の酸化シリコン膜の形成方法では、低温での成膜工程および高温での改質工程を複数回繰り返すため、液体窒素冷却器および閃光ランプ等の降温昇温装置が必要であり、装置全体が大型化してしまうという問題があった。また、成膜室内に酸素ラジカルガスを供給するため、成膜室を有する装置外に酸素ラジカルガス発生装置を設置しなければならず、これまた装置全体が大型化してしまうという問題があった。
そこで、この発明は、装置全体を小型化することができる酸化シリコン膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離し、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された前記基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記Hラジカルにより、前記基板上に成膜される酸化シリコン膜を改質することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記改質は、酸化シリコン膜の表面のSi−SiウィークボンドをSi−Oボンドあるいは安定したSi−Siボンドに置換することであることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は紫外光の照射により行なうことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は高周波電力の印加により行なうことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板を支持する支持台に加熱機構が設けられていることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
請求項8に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板はガラス基板であることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記ガラス基板上に成膜される酸化シリコン膜により薄膜トランジスタのゲート絶縁膜を形成することを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、内部にラジカル生成室と成膜室とを有する真空容器を備え、前記ラジカル生成室において、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記ラジカル生成室内またはその上部にH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成するための光源または高周波電源が配置されていることを特徴とするものである。
そして、請求項1に記載の発明によれば、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜しているので、基板を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。この場合、Hラジカルにより、基板上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。
また、請求項2に記載の発明によれば、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離しているので、ラジカル生成室と成膜室とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図を示したものである。この酸化シリコン膜形成用装置は真空容器1を備えている。真空容器1内の所定の箇所には、真空容器1内を上下の2室に分離するための隔壁2が設けられ、隔壁2の上側はラジカル生成室3となっており、下側は成膜室4となっている。
【0009】
ラジカル生成室3の側壁の所定の複数箇所には第1のガス供給部5が設けられている。第1のガス供給部5は、H2Oガス(水蒸気)を供給するH2Oガス供給源(図示せず)に接続されている。ラジカル生成室3内の上部には、H2Oガスをラジカル化するための紫外光光源6が設けられている。紫外光光源6はキセノンエキシマランプや低圧水銀ランプ等のランプ光源やレーザ光源等からなっている。
【0010】
隔壁2は、中空のガス流路7を有する板状のものからなっている。ガス流路7の所定の箇所は、真空容器1の側壁の所定の箇所に設けられた第2のガス供給部8に接続されている。第2のガス供給部8は、SiH4ガスを供給するSiH4ガス供給源(図示せず)に接続されている。隔壁2の下面の所定の複数箇所にはガス流出口9が設けられている。隔壁2自体の所定の複数箇所には、隔壁2自体を貫通して、ラジカル生成室3と成膜室4とを連通する貫通孔10が設けられている。
【0011】
成膜室4の下部中央部には支持軸11が上下動可能に挿通されている。成膜室4内において支持軸11の上端部には、ヒータ等の加熱機構(図示せず)を備えた支持台12が設けられている。支持台12は、その上に自重載置されるガラス基板13と隔壁2との間隔を調整可能とするために、支持軸11と共に、上下動手段(図示せず)によって上下動されるようになっている。成膜室4の側壁の下部の所定の箇所には排気部14が設けられている。排気部14は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0012】
ここで、酸化シリコン膜を有するデバイスの一例として、薄膜トランジスタについて図2を参照して説明する。図2に示す薄膜トランジスタでは、ガラス基板13の上面の所定の箇所にアルミニウム系金属からなるゲート電極21が形成されている。ゲート電極21を含むガラス基板13の上面には酸化シリコンからなるゲート絶縁膜22が形成されている。ゲート電極21上におけるゲート絶縁膜22の上面の所定の箇所には真性アモルファスシリコンからなる半導体薄膜23が形成されている。
【0013】
半導体薄膜23の上面ほぼ中央部には窒化シリコンからなるチャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24の上面両側およびその両側における半導体薄膜23の上面にはn型アモルファスシリコンからなるオーミックコンタクト層25、26が形成されている。オーミックコンタクト層25、26の各上面にはアルミニウム系金属等からなるソース電極27およびドレイン電極28が形成されている。
【0014】
次に、図1に示す酸化シリコン膜形成用装置を用いて、図2に示す薄膜トランジスタのゲート絶縁膜21を形成する場合について説明する。まず、上面の所定の箇所にゲート電極21(図1では図示せず)が形成されたガラス基板13を支持台12の上面に自重載置する。次に、排気部14に接続された真空ポンプの駆動により、真空容器1内を排気して所定の真空状態とする。また、支持台12に備えられた加熱機構により支持台12を加熱し、支持台12上に載置されたガラス基板13を所定の温度とする。さらに、紫外光光源6を点灯させる。
【0015】
次に、第1のガス供給部5からH2Oガスをラジカル生成室3内に供給する。ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスは、紫外光光源6からの紫外光の照射により、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルに分解される。これらのラジカルを含むガスは、隔壁2の貫通孔10を通って成膜室4内にシャワー状に供給される。また、第2のガス供給部8から隔壁2のガス流路7内に供給されたSiH4ガスは、隔壁2のガス流出口9を通って成膜室4内にシャワー状に供給される。
【0016】
すると、成膜室4内におけるOラジカル、OHラジカル、HラジカルとSiH4ガスとの化学反応により、ゲート電極21を含むガラス基板13の上面に酸化シリコン膜(ゲート絶縁膜22)が成膜される。この場合、真空容器1内を1室とせずに、貫通孔10を有する隔壁2によってラジカル生成室3と成膜室4との2室に分離しているのは、SiH4ガスの過剰分解を抑制するためである。
【0017】
ところで、一般的に、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜は、低温でアモルファス構造に成膜されるため、酸素欠陥が多く、Si−Siウィークボンド(結合距離の長いボンド)が多く存在する。このような酸化シリコン膜で図2に示すゲート絶縁膜22を形成すると、Si−Siウィークボンドがホットキャリア等による欠陥発生サイトとなり得る。
【0018】
これに対し、上記実施形態の場合には、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜の表面のSi−Siウィークボンドは、Hラジカル(原子状水素)により、Si−Oボンドあるいは安定したSi−Siボンドに置換される。これにより、ガラス基板13の上面に成膜される酸化シリコン膜は改質される。
【0019】
ところで、上記酸化シリコン膜形成用装置では、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、ガラス基板13上に酸化シリコン膜を成膜しているので、ガラス基板13を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。また、真空容器1内をラジカル生成室3と成膜室4との2室に分離しているので、ラジカル生成室3と成膜室4とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスからのラジカル生成を紫外光の照射により行なう場合について説明したが、これに限らず、高周波電力の印加により行なうようにしてもよい。例えば、図3に示すこの発明の他の実施形態のように、真空容器1の上板を上部電極(陽極)15とし、隔壁2および支持台12を下部電極(陰極)とし、RF電源やVHF電源等の高周波電源16から高周波電力を印加するようにしてもよい。この場合、ラジカル生成室3内に供給されたH2Oガスはプラズマ化し、Oラジカル、OHラジカル、Hラジカルが生成される。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜しているので、基板を加熱することがあっても積極的に冷却する必要はなく、したがって装置全体を小型化することができる。この場合、Hラジカルにより、基板上に成膜される酸化シリコン膜が改質される。
また、この発明によれば、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離しているので、ラジカル生成室と成膜室とを一体化することができ、したがってこれによっても装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図。
【図2】酸化シリコン膜を有するデバイスの一例としての薄膜トランジスタの断面図。
【図3】この発明の他の実施形態としての酸化シリコン膜形成用装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 真空容器
2 隔壁
3 ラジカル生成室
4 成膜室
5 第1のガス供給部
6 紫外光光源
7 ガス流路
8 第2のガス供給部
9 ガス流出口
10 貫通孔
11 支持軸
12 支持台
13 ガラス基板
14 排気部
16 高周波電源
Claims (11)
- H2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとの化学反応により、基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1に記載の発明において、真空容器内をラジカル生成室と成膜室との2室に分離し、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された前記基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1または2に記載の発明において、前記Hラジカルにより、前記基板上に成膜される酸化シリコン膜を改質することを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項3に記載の発明において、前記改質は、酸化シリコン膜の表面のSi−SiウィークボンドをSi−Oボンドあるいは安定したSi−Siボンドに置換することであることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は紫外光の照射により行なうことを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1または2に記載の発明において、H2Oガスからのラジカル生成は高周波電力の印加により行なうことを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1または2に記載の発明において、前記基板を支持する支持台に加熱機構が設けられていることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項1または2に記載の発明において、前記基板はガラス基板であることを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 請求項8に記載の発明において、前記ガラス基板上に成膜される酸化シリコン膜により薄膜トランジスタのゲート絶縁膜を形成することを特徴とする酸化シリコン膜の形成方法。
- 内部にラジカル生成室と成膜室とを有する真空容器を備え、前記ラジカル生成室において、前記ラジカル生成室内に供給されたH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成し、これらのラジカルを含むガスとSiH4ガスとを前記成膜室内に供給して化学反応により、前記成膜室内に配置された基板上に酸化シリコン膜を成膜することを特徴とする酸化シリコン膜形成用装置。
- 請求項10に記載の発明において、前記ラジカル生成室内またはその上部にH2OガスからOラジカル、OHラジカル、Hラジカルを生成するための光源または高周波電源が配置されていることを特徴とする酸化シリコン膜形成用装置。
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2002
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