JP2004186214A - ボンド磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】急激な温度変化が生じても割れや欠けの生じ難い、耐候性に優れたボンド磁石を提供することを目的とする。
【解決手段】Sm−Fe−Nを用いる希土類系磁性粉末と、ポリアミドエラストマーを用いるポリアミド系熱可塑性エラストマーと、12−ナイロンを用いるポリアミド系熱可塑性樹脂と、を有するボンド磁石であって、該希土類系磁性粉末が、体積百分率で30〜65体積%含有されており、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、前記ポリアミド系熱可塑性樹脂とが体積比率で99:1乃至50:50の割合で配合されているボンド磁石に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】Sm−Fe−Nを用いる希土類系磁性粉末と、ポリアミドエラストマーを用いるポリアミド系熱可塑性エラストマーと、12−ナイロンを用いるポリアミド系熱可塑性樹脂と、を有するボンド磁石であって、該希土類系磁性粉末が、体積百分率で30〜65体積%含有されており、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、前記ポリアミド系熱可塑性樹脂とが体積比率で99:1乃至50:50の割合で配合されているボンド磁石に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類系磁性粉末を用いたボンド磁石に関する。該ボンド磁石は、各種の機器に装着が容易で、電子部品機器、小型モーター、自動車関連部品等に装着して使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石は、電子部品機器、小型モーター、自動車関連部品等をはじめとして大量生産されている機器において、モーターの構成部品として数多く使用されている。
【0003】
モーターの構成部品として、モーターの基軸に、リング状に形成したボンド磁石を嵌入している。リング状に形成したボンド磁石をモーターの基軸に嵌入する際、接着剤を用いて該ボンド磁石と該基軸とを固定している。
【0004】
また、モーターの基軸に相当する大きさに、ボンド磁石のリング状の大きさを調整している。このように調整したリング状のボンド磁石を、該基軸に、接着剤なしで、嵌入し、固定している。
【0005】
さらに、モーターの基軸に、磁性粉末と樹脂との混練物を射出して、ボンド磁石の成形を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、接着剤を用いてリング状に形成したボンド磁石をモーターの基軸に固定する場合、該接着剤が実用に耐えられる強度、耐熱性、耐候性等を備えていないため、外れやすいという問題を有している。
【0007】
また、モーターの基軸に相当する大きさのリング状のボンド磁石を用いる場合、固定性が弱く、外れやすいという問題を有している。また、外れ難いように、リング状の径を小さくする場合、嵌入の際に、割れや欠けが生じやすいという問題を有している。また、リング状のボンド磁石を、モーターの基軸に嵌入し、固定して、使用する場合、耐候性に乏しいものは、割れや欠けが生じやすく、長時間使用できるものでないという問題を有している。
【0008】
さらに、射出成形によりボンド磁石を製造する際、磁性粉末量が多い場合、被固着物に射出後、冷却するときに、割れや欠けが生じやすい。また、熱衝撃にも弱く、長時間使用できないという問題を有している。
【0009】
そこで、上記問題を解決すべく本発明を完成するに到った。具体的には、モーターの基軸等の被固着部材に対して固着安定性に優れたボンド磁石を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を有するボンド磁石であって、該希土類系磁性粉末は、体積百分率で30〜65体積%含有されていることを特徴とするボンド磁石に関する。希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を上記体積量使用し、射出成形を施すことにより、モーターの基軸等の被固着部材に対して固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。磁気特性を左右する希土類系磁性粉末の体積量を上記範囲にすることにより、磁気特性に優れたボンド磁石を提供することができる。希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を上記範囲で混練した混練物を、所定の型、所定の被固着物に射出する。射出後、冷却することにより成形物が得られる。該成形物は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とが、冷却により硬化する。該成形物は、割れや欠けが、極めて生じにくく、固着安定性に優れている。また、該成形物は、耐衝撃性、耐候性、耐熱性等に優れている。
【0011】
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、前記ポリアミド系熱可塑性樹脂との体積比率は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:ポリアミド系熱可塑性樹脂=99:1乃至50:50であることが好ましい。これにより、耐候性、及び、可撓性に優れたボンド磁石を提供することができる。
【0012】
前記希土類系磁性粉末は、R−Fe−N(Rは、希土類元素である。)であることが好ましい。希土類系磁性粉末であっても、特に、磁気特性、及び、耐熱性に優れているからである。
【0013】
前記希土類系磁性粉末は、平均粒子径が0.1〜10μmであることが好ましい。これにより、ボンド磁石の分散性の向上を図り、磁気特性の向上を図ることができるからである。特に、希土類系磁性粉末の平均粒子径は、該成形されたボンド磁石の固着安定性、割れや欠けの抑制を大きく左右する要因となる。
【0014】
前記ボンド磁石のショアーD硬度は、50以上であることが好ましい。ショアーD硬度が50未満では、磁石が変形しやすいためである。また、成形時、磁石を突出し難くなるためである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るボンド磁石及びその製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0016】
希土類系磁性粉末は、希土類元素を主原料に用いた磁性粉末をいい、Sm−Co系、Nd−Fe−B系、R−Fe−N系(Rは、希土類元素である。)等がある。ここで希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lrであり、少なくとも1以上からなる。これら希土類元素のうち、Smが好ましい。また、Smを必須とする希土類元素を少なくとも1以上含んでいるものも使用することができる。この中で、希土類元素を用いる希土類系磁性粉末は、高い磁気特性を有することから、Sm−Fe−N系磁性粉末が好ましい。具体的な組成としては、Sm2Fe17N3が安定性等の理由から、最も好ましいが、異なるモル比のものも製造することができる。
【0017】
また、ボンド磁石に用いる希土類系磁性粉末は、インゴット、メルトスピニング法により得られた急冷薄帯、還元拡散法等により得られた希土類系磁性粉末を粉砕したものを挙げることができる。また、得られた希土類系磁性粉末の粒度分布が広い場合には、沈降分級、水力分級、機械的分級、遠心力分級等の方法によって、所定の粒度分布に分級することが必要となる。
【0018】
また、特開平11−189811号公報に記載のような、構成元素を溶液中において共沈させた沈殿物を焼成した後、還元性雰囲気において加熱して金属成分とし、更にカルシウム等を添加して還元拡散法によって、所望の成分の合金を析出させる方法等によって、希土類系磁性粉末を製造することで、分級の工程を用いることなく所定の粒子径、粒度分布の希土類系磁性粉末を得ることができる。
【0019】
希土類系磁性粉末の製造方法について説明する。但し、本発明に係る希土類系磁性粉末は、この製造方法に限定されない。
【0020】
まず、サマリウムと鉄成分を含む溶液から、不溶性の金属塩等の形態で、金属成分を共沈させ、得られた沈殿物を酸素含有雰囲気において800乃至1300℃で焼成し、サマリウムと鉄を含む酸化物とし、次に、還元性雰囲気において、300乃至900℃で焼成して金属成分とする。その後、カルシウムを混合して、700乃至1200℃で還元し、SmFeを得る。その後、300乃至600℃の窒素雰囲気において窒化処理を行い、Sm−Fe−Nを製造する。さらに、水洗によってカルシウム成分を除去し、粒子径が揃った希土類系磁性粉末を得ることができる。
【0021】
希土類系磁性粉末の平均粒子径は、微細粒子径(0.5μm)から大粒子径(800μm)のものまでの粒子径を0.1〜10μm単位でその粒子数を測定する。それぞれの粒子径のものが全粒子数のうち、どの程度含有されているかの相対粒子量を計算し、該相対粒子量の積算値が50%となるところをメディアン径(中央値)として、平均粒子径と称している。希土類系磁性粉末は、メディアン径が、0.5〜40μmの間は、0.5μm単位で測定する。40μm以上では、5〜10μm単位で、その粒子数を測定した。
【0022】
希土類系磁性粉末の平均粒子径を、0.1〜10μmに調整することにより、磁気特性に優れた希土類系磁性粉末を得ることができる。特に、平均粒子径が0.5〜5μmの希土類系磁性粉末を使用することにより、固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。更に、平均粒子径が2〜3μmの均一な粒を使用することにより、固着安定性及び磁気特性のさらなる向上を図ることができる。
【0023】
また、希土類系磁性粉末は、カップリング剤処理を行う前に、耐酸化性、耐水性、耐薬品性を改善する目的で表面処理が施されていることが好ましい。表面処理方法は、化成処理、めっき、蒸着等によって行われる。化成処理剤としては、P−O結合を有するリン化合物を用いることによって行うことができる。例えば、リン酸系、リン酸塩系、次亜リン酸系、次亜リン酸塩系、ピロリン酸、ポリリン酸系等の無機リン酸、有機リン酸が挙げられる。また、それらにアルカリ土類金属、遷移金属が添加されている処理剤なども挙げられる。それら処理剤の濃度を調製し、リン化合物水溶液、リン化合物有機溶液として使用して処理される化成処理、濃度調整された酸素を含む混合ガス雰囲気で、粒子を加熱して表面を酸化させ、希土類系磁性粉末粒子の表面に酸化鉄の不動態膜を形成させる酸化処理方法を挙げることができる。また、湿式、乾式により、シリカ、アルミナ、チタニア膜等の無機酸化物膜をサブミクロン、ナノオーダーの粒子を用いて、希土類系磁性粉末粒子の表面吸着を行い、膜を形成させる方法も挙げることができる。さらに、有機金属を用いたゾルゲル法、希土類系磁性粉末表面に膜を形成させる無機酸化物処理膜形成処理、メタクリル樹脂等の有機保護膜を形成させる方法、真空蒸着、電解めっき、無電解めっき等によって亜鉛、ニッケル等の金属保護膜を形成させる方法を挙げることができる。
【0024】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、アミド結合をもつハードセグメントと、エーテル結合をもつソフトセグメントと、を有している。但し、本発明においては、用いるポリアミドとして、その乾燥時の引張破断強度が10〜70MPaであることが好ましい。特に、引張破断強度が、50MPaであることが好ましい。ここで、引張破断強度は、ASTM D−638に準じて測定して求まるものである。引張破断強度が10MPa以上であることにより、熱可塑性樹脂と組み合わせることで、射出成形直後の磁性粉末を固着することができ、磁場配向を十分なものとすることができる。
【0025】
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、アミド結合をもつ高分子化合物である。ポリアミド系熱可塑性樹脂として、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンのようなポリラクタム類、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンのようなジカルボン酸とジアミンとの縮合物、6/6,6−ナイロン、6/6,10−ナイロン、6/12−ナイロン、6/6,12−ナイロン、6/6,10/6,10−ナイロン、6/6,6/6,12−ナイロン、6−ナイロン/ポリエーテルのような共重合ポリアミド類、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロンMXD6、芳香族ナイロン、非晶質ナイロンなどが挙げられる。このうち、12−ナイロン、6−ナイロン、6,12−ナイロン(共重合ポリアミド)が好ましい。
【0026】
これらポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とは、希土類系磁性粉末との親和性が良く、強度を大きくすることができる。また、軽量で耐熱性が大きいという利点も有している。
【0027】
これらポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂との体積比率は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:ポリアミド系熱可塑性樹脂=99:1乃至50:50であることが好ましい。特に80:20乃至50:50であることが好ましい。より好ましくは、50:50である。ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性樹脂の1体積部に比べて99体積%より大きくなると、耐熱性が悪くなり、80〜120℃の高温下で安定して使用することができないからである。一方、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性樹脂の50体積部に比べて50体積%より小さくなると、弾性率が低下して、被固着物に対して、固着安定性が悪くなるからである。本実施例で示すボンド磁石は、射出成形により成形を行う。該射出成形により得られるボンド磁石は、希土類系磁性粉末、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂との混練物を、型枠内に射出し、冷却することにより所望の形状のボンド磁石とする。該ボンド磁石は、冷却時に収縮が起こり、混練物が被固着物に強固に固着する。混練物が収縮するため、成形時、又は、使用時に、割れや欠けを生じるが、本発明に係るボンド磁石は、高い弾性率を有するため固着安定性の向上を図ることができる。
【0028】
ボンド磁石の大きさ、又は、形状は、特に限定されず、所望の大きさ、又は、所望の形状のものを製造することができる。例えば、被固着物に、直径28mm、高さ20mmの円柱状の鉄のコアを用い、該コアの曲面状の側面に、厚さ2mmの混練物を固着させたボンド磁石を製造することができる。また、鉄のコアの直径が10mm、高さ5mmの被固着物の側面に、厚さ1mmの混練物を固着させることもできる。
【0029】
被固着物は、鉄、ニッケル、コバルトの強磁性体が、耐熱性、安定性などの観点から好ましいが、これに限定されず、白金、アルミニウム等の常磁性体も使用できる。
【0030】
成形は、被固着物に混練物を直接塗布して、冷却する射出成形を使用することが好ましい。混練物が冷却する際に収縮する作用により被固着物への固着安定性を向上することができるからである。被固着物に成形後のボンド磁石を嵌入する方法では、ボンド磁石の成形時に、被固着物の大きさや形状に合わせて成形しなければならず、ボンド磁石の成形は、困難であった。しかし、射出成形では、被固着物の大きさや形状に合わせて成形する工程が省略でき、種々の形状の被固着物に混練物を固着することができるなどの利点を有しているからである。また、成形物の小型化、各種工業製品の高性能化を図ることもできる。但し、混練物を成形した後、被固着物に圧入する成形方法も使用することができる。
【0031】
ボンド磁石の熱衝撃試験は、以下の方法により行う。まず、ボンド磁石を大気中、100℃で、1時間、載置する。その後すぐに、大気中、−20℃で、1時間、載置する。これを1サイクルとして、500サイクル繰り返す。その後、ボンド磁石の磁気特性を測定する。また、ボンド磁石に割れや欠けが生じていないか確認する。
【0032】
ボンド磁石の硬度は、硬度計を用いて、ショアーD硬度を測定する。硬度計は、JIS K6253Dに準拠しているものを使用する(株式会社テクロック社製、テクロック・デュロメータGSシリーズ)。ショアーD硬度は、硬度計に取り付けられた所定の形の押針を、試料となるボンド磁石の表面に押しつける。それによって、試料の内部まで押針が侵入し、所定の位置で侵入が止まる。その侵入の度合いによって、試料の硬度を測定することができる。
【0033】
さらに詳述すると、硬度計には、押針が取り付けられている。該押針の一端は、試料の表面に押しつけられる。該押針の他端には、スプリングが取り付けられている。該スプリングの力により、押針を試料の表面に押しつけ、試料の表面に変形が加えられる。このとき、試料が押針を押し出そうとする抵抗力と、スプリングの力によって試料内部に侵入しようとする力と、が等しくなったとき、侵入が保持される。このバランスが保持された状態での押針の押し込み深さを、0〜100までの相対値により、硬度として表現したものである。つまりショアーD硬度が0のときは、押針が100%、貫通した状態を意味する。ショアーD硬度が100のときは、押針が、試料に全く突き刺さらない状態、全く押針が試料に侵入しない状態を意味する。
【0034】
本発明では、ショアーD硬度が、50以上であることが好ましい。特に、60〜80が好ましい。これは、ボンド磁石が変形し難いからである。また、割れや欠けが極めて少ないボンド磁石を提供することができるからである。
【0035】
また、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性樹脂と、希土類系磁性粉末を混練する前に希土類系磁性粉末を、アミノ系、メタクリル系、ビニル系、エポキシ系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、フッ素系カップリング剤を用いてカップリング剤処理することが好ましい。これにより、希土類系磁性粉末とポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとの濡れ性が改善され、曲げ強さ、破壊曲げ変位を向上することができる。カップリング剤を例示すると、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。但し、これらのカップリング剤に限定されない。
【0036】
これらのなかでも、アミノ系カップリング剤を用いることが好ましく、特に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0037】
上述したボンド磁石には、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、希土類系磁性粉末の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、他の成分を含ませることもできる。例えば、酸化防止剤、界面活性剤、滑剤、安定剤、軟化剤、着色剤等を適宜配合できる。これらは、下記に挙げる具体例に限定されず、公知のものを使用することができる。また、これらは、単独で用いることもできるが、種々の機能を持たせるため2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
酸化防止剤は、アミン系、チオエーテル系、フェノール系のものが好ましい。アミン系酸化防止剤は、公知のものを用いることができる。例えば、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジアリル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤は、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、グリセリントリブチルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネートなどが挙げられる。フェノール系酸化防止剤は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−メチルフェノールなどが挙げられる。これら酸化防止剤は、単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて使用しても良い。酸化防止剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0039】
界面活性剤としは、1分子内に親水基と親油基とを有し、水中においてミセルを形成する性質のものが好ましい。前記親水基として、水酸基、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)等が挙げられ、前記親油基として、ベンゼン環、炭素数が8〜25のアルキル基等が挙げられる。界面活性剤は、リン酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ホウ素系界面活性剤、アルキルフェノール系界面活性剤等が好ましい。界面活性剤の使用量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0040】
滑剤は、炭素数8〜25のアルコール、炭素数8〜25の脂肪酸、該脂肪酸の金属石けんやアミド、天然若しくは合成パラフィンが挙げられる。例えば、ステアリルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリル酸アミドなどが挙げられる。滑剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0041】
安定剤は、ボンド磁石の混練物の加工温度での耐熱性をさらに十分とするもので、アミン系酸化防止剤が好ましい。例えば、N,N‘−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。安定剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0042】
【実施例】
<実施例1>
希土類系磁性粉末として、Sm−Fe−N系磁性粉末(日亜化学工業株式会社製)を使用する。平均粒子径が2〜3μmのSm−Fe−N系磁性粉末を、アミノ系シランカップリング剤で表面処理を行う。具体的な組成は、Sm2Fe17N3である。
【0043】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミドエラストマー(宇部興産株式会社製 UBEポリアミドエラストマーPAE)を使用する。
【0044】
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、12−ナイロン(宇部興産株式会社製 UBE3012U)を使用する。
【0045】
該Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを30体積%と、12−ナイロンを9体積%と、酸化防止剤を1体積%とをヘンシャルタイプのミキサーに投入する。該ミキサーで、各化合物が均一になるまで混合する。
【0046】
混合した後、混練機に移し、200〜250℃に加温して、混練を行う。十分に混練を行った後、ペレットを製造する。得られるペレットを用いて射出成形を行う。被固着物として、モーター用途の鉄製のコアを用いる。該コアは、直径28mm、高さ20mmの円柱である。該コアの曲面状の側面に、厚さが2mmとなるように混練物を射出する。これにより、該コアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0047】
<実施例2>
実施例2は、ポリアミド系熱可塑性樹脂に、融点140〜150℃の共重合ナイロンを使用する。
【0048】
実施例2も、実施例1と同様に、Sm−Fe−N系磁性粉末、ポリアミドエラストマーを使用する。これらを混練し、該混練物を鉄製のコアに射出成形を行う。これにより、該コアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0049】
<実施例3>
実施例3は、ポリアミド系熱可塑性樹脂に、非晶質ナイロンを使用する。
【0050】
実施例3も、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0051】
<実施例4>
実施例4は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0052】
Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを25積%と、12−ナイロンを14体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0053】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0054】
<実施例5>
実施例5は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0055】
Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを20積%と、12−ナイロンを19体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0056】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0057】
<実施例6>
実施例6は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0058】
Sm−Fe−N系磁性粉末を50体積%と、ポリアミドエラストマーを45積%と、12−ナイロンを4体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0059】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0060】
<実施例7>
実施例7は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0061】
Sm−Fe−N系磁性粉末を50体積%と、ポリアミドエラストマーを30積%と、12−ナイロンを19体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0062】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0063】
<実施例8>
実施例6は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0064】
Sm−Fe−N系磁性粉末を40体積%と、ポリアミドエラストマーを55積%と、12−ナイロンを4体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0065】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0066】
<実施例9>
実施例9は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0067】
Sm−Fe−N系磁性粉末を40体積%と、ポリアミドエラストマーを30体積%と、12−ナイロンを29体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0068】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0069】
<熱衝撃試験>
鉄製のコアの外周にボンド磁石を固着させた成形物を用いて、熱衝撃試験を行う。併せて、ショアーD硬度を測定する。
【0070】
具体的条件は、100℃で1時間、ボンド磁石を載置した後、すぐに−20℃で1時間、ボンド磁石を載置する。この1サイクルを500サイクル繰り返す。その後、ボンド磁石に割れや欠けが生じていないか確認する。
【0071】
上記の実施例で得られる成形物を用いて、ボンド磁石の硬度を測定する。ボンド磁石の硬度は、硬度計を用いる。これにより、ショアーD硬度を測定する。
【0072】
【表1】
【0073】
表1より、希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とを用いた実施例1乃至9では、割れや欠けが見られなかった。
【0074】
ショアーD硬度は、実施例1乃至9のいずれも50以上である。
【0075】
以上のことから、耐衝撃性、耐候性等に極めて優れたボンド磁石を提供することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、希土類系磁性粉末、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂との混練物を被固着物へ射出することにより、被固着物への固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。該ボンド磁石は、耐熱性、耐候性、熱衝撃性等に極めて優れた効果を有する。つまり、ボンド磁石は、高い磁気特性を保持しており、大幅な温度変化が生じても、割れや欠けの生じ難い安定した製品供給を行うことができるという効果を有する。従って、本発明は、上述したような極めて重要な技術的意義を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類系磁性粉末を用いたボンド磁石に関する。該ボンド磁石は、各種の機器に装着が容易で、電子部品機器、小型モーター、自動車関連部品等に装着して使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石は、電子部品機器、小型モーター、自動車関連部品等をはじめとして大量生産されている機器において、モーターの構成部品として数多く使用されている。
【0003】
モーターの構成部品として、モーターの基軸に、リング状に形成したボンド磁石を嵌入している。リング状に形成したボンド磁石をモーターの基軸に嵌入する際、接着剤を用いて該ボンド磁石と該基軸とを固定している。
【0004】
また、モーターの基軸に相当する大きさに、ボンド磁石のリング状の大きさを調整している。このように調整したリング状のボンド磁石を、該基軸に、接着剤なしで、嵌入し、固定している。
【0005】
さらに、モーターの基軸に、磁性粉末と樹脂との混練物を射出して、ボンド磁石の成形を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、接着剤を用いてリング状に形成したボンド磁石をモーターの基軸に固定する場合、該接着剤が実用に耐えられる強度、耐熱性、耐候性等を備えていないため、外れやすいという問題を有している。
【0007】
また、モーターの基軸に相当する大きさのリング状のボンド磁石を用いる場合、固定性が弱く、外れやすいという問題を有している。また、外れ難いように、リング状の径を小さくする場合、嵌入の際に、割れや欠けが生じやすいという問題を有している。また、リング状のボンド磁石を、モーターの基軸に嵌入し、固定して、使用する場合、耐候性に乏しいものは、割れや欠けが生じやすく、長時間使用できるものでないという問題を有している。
【0008】
さらに、射出成形によりボンド磁石を製造する際、磁性粉末量が多い場合、被固着物に射出後、冷却するときに、割れや欠けが生じやすい。また、熱衝撃にも弱く、長時間使用できないという問題を有している。
【0009】
そこで、上記問題を解決すべく本発明を完成するに到った。具体的には、モーターの基軸等の被固着部材に対して固着安定性に優れたボンド磁石を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を有するボンド磁石であって、該希土類系磁性粉末は、体積百分率で30〜65体積%含有されていることを特徴とするボンド磁石に関する。希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を上記体積量使用し、射出成形を施すことにより、モーターの基軸等の被固着部材に対して固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。磁気特性を左右する希土類系磁性粉末の体積量を上記範囲にすることにより、磁気特性に優れたボンド磁石を提供することができる。希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を上記範囲で混練した混練物を、所定の型、所定の被固着物に射出する。射出後、冷却することにより成形物が得られる。該成形物は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とが、冷却により硬化する。該成形物は、割れや欠けが、極めて生じにくく、固着安定性に優れている。また、該成形物は、耐衝撃性、耐候性、耐熱性等に優れている。
【0011】
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、前記ポリアミド系熱可塑性樹脂との体積比率は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:ポリアミド系熱可塑性樹脂=99:1乃至50:50であることが好ましい。これにより、耐候性、及び、可撓性に優れたボンド磁石を提供することができる。
【0012】
前記希土類系磁性粉末は、R−Fe−N(Rは、希土類元素である。)であることが好ましい。希土類系磁性粉末であっても、特に、磁気特性、及び、耐熱性に優れているからである。
【0013】
前記希土類系磁性粉末は、平均粒子径が0.1〜10μmであることが好ましい。これにより、ボンド磁石の分散性の向上を図り、磁気特性の向上を図ることができるからである。特に、希土類系磁性粉末の平均粒子径は、該成形されたボンド磁石の固着安定性、割れや欠けの抑制を大きく左右する要因となる。
【0014】
前記ボンド磁石のショアーD硬度は、50以上であることが好ましい。ショアーD硬度が50未満では、磁石が変形しやすいためである。また、成形時、磁石を突出し難くなるためである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るボンド磁石及びその製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0016】
希土類系磁性粉末は、希土類元素を主原料に用いた磁性粉末をいい、Sm−Co系、Nd−Fe−B系、R−Fe−N系(Rは、希土類元素である。)等がある。ここで希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lrであり、少なくとも1以上からなる。これら希土類元素のうち、Smが好ましい。また、Smを必須とする希土類元素を少なくとも1以上含んでいるものも使用することができる。この中で、希土類元素を用いる希土類系磁性粉末は、高い磁気特性を有することから、Sm−Fe−N系磁性粉末が好ましい。具体的な組成としては、Sm2Fe17N3が安定性等の理由から、最も好ましいが、異なるモル比のものも製造することができる。
【0017】
また、ボンド磁石に用いる希土類系磁性粉末は、インゴット、メルトスピニング法により得られた急冷薄帯、還元拡散法等により得られた希土類系磁性粉末を粉砕したものを挙げることができる。また、得られた希土類系磁性粉末の粒度分布が広い場合には、沈降分級、水力分級、機械的分級、遠心力分級等の方法によって、所定の粒度分布に分級することが必要となる。
【0018】
また、特開平11−189811号公報に記載のような、構成元素を溶液中において共沈させた沈殿物を焼成した後、還元性雰囲気において加熱して金属成分とし、更にカルシウム等を添加して還元拡散法によって、所望の成分の合金を析出させる方法等によって、希土類系磁性粉末を製造することで、分級の工程を用いることなく所定の粒子径、粒度分布の希土類系磁性粉末を得ることができる。
【0019】
希土類系磁性粉末の製造方法について説明する。但し、本発明に係る希土類系磁性粉末は、この製造方法に限定されない。
【0020】
まず、サマリウムと鉄成分を含む溶液から、不溶性の金属塩等の形態で、金属成分を共沈させ、得られた沈殿物を酸素含有雰囲気において800乃至1300℃で焼成し、サマリウムと鉄を含む酸化物とし、次に、還元性雰囲気において、300乃至900℃で焼成して金属成分とする。その後、カルシウムを混合して、700乃至1200℃で還元し、SmFeを得る。その後、300乃至600℃の窒素雰囲気において窒化処理を行い、Sm−Fe−Nを製造する。さらに、水洗によってカルシウム成分を除去し、粒子径が揃った希土類系磁性粉末を得ることができる。
【0021】
希土類系磁性粉末の平均粒子径は、微細粒子径(0.5μm)から大粒子径(800μm)のものまでの粒子径を0.1〜10μm単位でその粒子数を測定する。それぞれの粒子径のものが全粒子数のうち、どの程度含有されているかの相対粒子量を計算し、該相対粒子量の積算値が50%となるところをメディアン径(中央値)として、平均粒子径と称している。希土類系磁性粉末は、メディアン径が、0.5〜40μmの間は、0.5μm単位で測定する。40μm以上では、5〜10μm単位で、その粒子数を測定した。
【0022】
希土類系磁性粉末の平均粒子径を、0.1〜10μmに調整することにより、磁気特性に優れた希土類系磁性粉末を得ることができる。特に、平均粒子径が0.5〜5μmの希土類系磁性粉末を使用することにより、固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。更に、平均粒子径が2〜3μmの均一な粒を使用することにより、固着安定性及び磁気特性のさらなる向上を図ることができる。
【0023】
また、希土類系磁性粉末は、カップリング剤処理を行う前に、耐酸化性、耐水性、耐薬品性を改善する目的で表面処理が施されていることが好ましい。表面処理方法は、化成処理、めっき、蒸着等によって行われる。化成処理剤としては、P−O結合を有するリン化合物を用いることによって行うことができる。例えば、リン酸系、リン酸塩系、次亜リン酸系、次亜リン酸塩系、ピロリン酸、ポリリン酸系等の無機リン酸、有機リン酸が挙げられる。また、それらにアルカリ土類金属、遷移金属が添加されている処理剤なども挙げられる。それら処理剤の濃度を調製し、リン化合物水溶液、リン化合物有機溶液として使用して処理される化成処理、濃度調整された酸素を含む混合ガス雰囲気で、粒子を加熱して表面を酸化させ、希土類系磁性粉末粒子の表面に酸化鉄の不動態膜を形成させる酸化処理方法を挙げることができる。また、湿式、乾式により、シリカ、アルミナ、チタニア膜等の無機酸化物膜をサブミクロン、ナノオーダーの粒子を用いて、希土類系磁性粉末粒子の表面吸着を行い、膜を形成させる方法も挙げることができる。さらに、有機金属を用いたゾルゲル法、希土類系磁性粉末表面に膜を形成させる無機酸化物処理膜形成処理、メタクリル樹脂等の有機保護膜を形成させる方法、真空蒸着、電解めっき、無電解めっき等によって亜鉛、ニッケル等の金属保護膜を形成させる方法を挙げることができる。
【0024】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、アミド結合をもつハードセグメントと、エーテル結合をもつソフトセグメントと、を有している。但し、本発明においては、用いるポリアミドとして、その乾燥時の引張破断強度が10〜70MPaであることが好ましい。特に、引張破断強度が、50MPaであることが好ましい。ここで、引張破断強度は、ASTM D−638に準じて測定して求まるものである。引張破断強度が10MPa以上であることにより、熱可塑性樹脂と組み合わせることで、射出成形直後の磁性粉末を固着することができ、磁場配向を十分なものとすることができる。
【0025】
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、アミド結合をもつ高分子化合物である。ポリアミド系熱可塑性樹脂として、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンのようなポリラクタム類、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンのようなジカルボン酸とジアミンとの縮合物、6/6,6−ナイロン、6/6,10−ナイロン、6/12−ナイロン、6/6,12−ナイロン、6/6,10/6,10−ナイロン、6/6,6/6,12−ナイロン、6−ナイロン/ポリエーテルのような共重合ポリアミド類、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロンMXD6、芳香族ナイロン、非晶質ナイロンなどが挙げられる。このうち、12−ナイロン、6−ナイロン、6,12−ナイロン(共重合ポリアミド)が好ましい。
【0026】
これらポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とは、希土類系磁性粉末との親和性が良く、強度を大きくすることができる。また、軽量で耐熱性が大きいという利点も有している。
【0027】
これらポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂との体積比率は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:ポリアミド系熱可塑性樹脂=99:1乃至50:50であることが好ましい。特に80:20乃至50:50であることが好ましい。より好ましくは、50:50である。ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性樹脂の1体積部に比べて99体積%より大きくなると、耐熱性が悪くなり、80〜120℃の高温下で安定して使用することができないからである。一方、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性樹脂の50体積部に比べて50体積%より小さくなると、弾性率が低下して、被固着物に対して、固着安定性が悪くなるからである。本実施例で示すボンド磁石は、射出成形により成形を行う。該射出成形により得られるボンド磁石は、希土類系磁性粉末、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂との混練物を、型枠内に射出し、冷却することにより所望の形状のボンド磁石とする。該ボンド磁石は、冷却時に収縮が起こり、混練物が被固着物に強固に固着する。混練物が収縮するため、成形時、又は、使用時に、割れや欠けを生じるが、本発明に係るボンド磁石は、高い弾性率を有するため固着安定性の向上を図ることができる。
【0028】
ボンド磁石の大きさ、又は、形状は、特に限定されず、所望の大きさ、又は、所望の形状のものを製造することができる。例えば、被固着物に、直径28mm、高さ20mmの円柱状の鉄のコアを用い、該コアの曲面状の側面に、厚さ2mmの混練物を固着させたボンド磁石を製造することができる。また、鉄のコアの直径が10mm、高さ5mmの被固着物の側面に、厚さ1mmの混練物を固着させることもできる。
【0029】
被固着物は、鉄、ニッケル、コバルトの強磁性体が、耐熱性、安定性などの観点から好ましいが、これに限定されず、白金、アルミニウム等の常磁性体も使用できる。
【0030】
成形は、被固着物に混練物を直接塗布して、冷却する射出成形を使用することが好ましい。混練物が冷却する際に収縮する作用により被固着物への固着安定性を向上することができるからである。被固着物に成形後のボンド磁石を嵌入する方法では、ボンド磁石の成形時に、被固着物の大きさや形状に合わせて成形しなければならず、ボンド磁石の成形は、困難であった。しかし、射出成形では、被固着物の大きさや形状に合わせて成形する工程が省略でき、種々の形状の被固着物に混練物を固着することができるなどの利点を有しているからである。また、成形物の小型化、各種工業製品の高性能化を図ることもできる。但し、混練物を成形した後、被固着物に圧入する成形方法も使用することができる。
【0031】
ボンド磁石の熱衝撃試験は、以下の方法により行う。まず、ボンド磁石を大気中、100℃で、1時間、載置する。その後すぐに、大気中、−20℃で、1時間、載置する。これを1サイクルとして、500サイクル繰り返す。その後、ボンド磁石の磁気特性を測定する。また、ボンド磁石に割れや欠けが生じていないか確認する。
【0032】
ボンド磁石の硬度は、硬度計を用いて、ショアーD硬度を測定する。硬度計は、JIS K6253Dに準拠しているものを使用する(株式会社テクロック社製、テクロック・デュロメータGSシリーズ)。ショアーD硬度は、硬度計に取り付けられた所定の形の押針を、試料となるボンド磁石の表面に押しつける。それによって、試料の内部まで押針が侵入し、所定の位置で侵入が止まる。その侵入の度合いによって、試料の硬度を測定することができる。
【0033】
さらに詳述すると、硬度計には、押針が取り付けられている。該押針の一端は、試料の表面に押しつけられる。該押針の他端には、スプリングが取り付けられている。該スプリングの力により、押針を試料の表面に押しつけ、試料の表面に変形が加えられる。このとき、試料が押針を押し出そうとする抵抗力と、スプリングの力によって試料内部に侵入しようとする力と、が等しくなったとき、侵入が保持される。このバランスが保持された状態での押針の押し込み深さを、0〜100までの相対値により、硬度として表現したものである。つまりショアーD硬度が0のときは、押針が100%、貫通した状態を意味する。ショアーD硬度が100のときは、押針が、試料に全く突き刺さらない状態、全く押針が試料に侵入しない状態を意味する。
【0034】
本発明では、ショアーD硬度が、50以上であることが好ましい。特に、60〜80が好ましい。これは、ボンド磁石が変形し難いからである。また、割れや欠けが極めて少ないボンド磁石を提供することができるからである。
【0035】
また、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性樹脂と、希土類系磁性粉末を混練する前に希土類系磁性粉末を、アミノ系、メタクリル系、ビニル系、エポキシ系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、フッ素系カップリング剤を用いてカップリング剤処理することが好ましい。これにより、希土類系磁性粉末とポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとの濡れ性が改善され、曲げ強さ、破壊曲げ変位を向上することができる。カップリング剤を例示すると、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。但し、これらのカップリング剤に限定されない。
【0036】
これらのなかでも、アミノ系カップリング剤を用いることが好ましく、特に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0037】
上述したボンド磁石には、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、希土類系磁性粉末の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、他の成分を含ませることもできる。例えば、酸化防止剤、界面活性剤、滑剤、安定剤、軟化剤、着色剤等を適宜配合できる。これらは、下記に挙げる具体例に限定されず、公知のものを使用することができる。また、これらは、単独で用いることもできるが、種々の機能を持たせるため2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
酸化防止剤は、アミン系、チオエーテル系、フェノール系のものが好ましい。アミン系酸化防止剤は、公知のものを用いることができる。例えば、アルドール−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジアリル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。チオエーテル系酸化防止剤は、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、グリセリントリブチルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネートなどが挙げられる。フェノール系酸化防止剤は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−メチルフェノールなどが挙げられる。これら酸化防止剤は、単独で用いても良いが、2種以上を組み合わせて使用しても良い。酸化防止剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0039】
界面活性剤としは、1分子内に親水基と親油基とを有し、水中においてミセルを形成する性質のものが好ましい。前記親水基として、水酸基、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)等が挙げられ、前記親油基として、ベンゼン環、炭素数が8〜25のアルキル基等が挙げられる。界面活性剤は、リン酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ホウ素系界面活性剤、アルキルフェノール系界面活性剤等が好ましい。界面活性剤の使用量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0040】
滑剤は、炭素数8〜25のアルコール、炭素数8〜25の脂肪酸、該脂肪酸の金属石けんやアミド、天然若しくは合成パラフィンが挙げられる。例えば、ステアリルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリル酸アミドなどが挙げられる。滑剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0041】
安定剤は、ボンド磁石の混練物の加工温度での耐熱性をさらに十分とするもので、アミン系酸化防止剤が好ましい。例えば、N,N‘−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。安定剤の配合量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100体積部に対して1体積部以下が適当である。
【0042】
【実施例】
<実施例1>
希土類系磁性粉末として、Sm−Fe−N系磁性粉末(日亜化学工業株式会社製)を使用する。平均粒子径が2〜3μmのSm−Fe−N系磁性粉末を、アミノ系シランカップリング剤で表面処理を行う。具体的な組成は、Sm2Fe17N3である。
【0043】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリアミドエラストマー(宇部興産株式会社製 UBEポリアミドエラストマーPAE)を使用する。
【0044】
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、12−ナイロン(宇部興産株式会社製 UBE3012U)を使用する。
【0045】
該Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを30体積%と、12−ナイロンを9体積%と、酸化防止剤を1体積%とをヘンシャルタイプのミキサーに投入する。該ミキサーで、各化合物が均一になるまで混合する。
【0046】
混合した後、混練機に移し、200〜250℃に加温して、混練を行う。十分に混練を行った後、ペレットを製造する。得られるペレットを用いて射出成形を行う。被固着物として、モーター用途の鉄製のコアを用いる。該コアは、直径28mm、高さ20mmの円柱である。該コアの曲面状の側面に、厚さが2mmとなるように混練物を射出する。これにより、該コアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0047】
<実施例2>
実施例2は、ポリアミド系熱可塑性樹脂に、融点140〜150℃の共重合ナイロンを使用する。
【0048】
実施例2も、実施例1と同様に、Sm−Fe−N系磁性粉末、ポリアミドエラストマーを使用する。これらを混練し、該混練物を鉄製のコアに射出成形を行う。これにより、該コアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0049】
<実施例3>
実施例3は、ポリアミド系熱可塑性樹脂に、非晶質ナイロンを使用する。
【0050】
実施例3も、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0051】
<実施例4>
実施例4は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0052】
Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを25積%と、12−ナイロンを14体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0053】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0054】
<実施例5>
実施例5は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0055】
Sm−Fe−N系磁性粉末を60体積%と、ポリアミドエラストマーを20積%と、12−ナイロンを19体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0056】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0057】
<実施例6>
実施例6は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0058】
Sm−Fe−N系磁性粉末を50体積%と、ポリアミドエラストマーを45積%と、12−ナイロンを4体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0059】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0060】
<実施例7>
実施例7は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0061】
Sm−Fe−N系磁性粉末を50体積%と、ポリアミドエラストマーを30積%と、12−ナイロンを19体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0062】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0063】
<実施例8>
実施例6は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0064】
Sm−Fe−N系磁性粉末を40体積%と、ポリアミドエラストマーを55積%と、12−ナイロンを4体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0065】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0066】
<実施例9>
実施例9は、実施例1と同様の原料を用いる。
【0067】
Sm−Fe−N系磁性粉末を40体積%と、ポリアミドエラストマーを30体積%と、12−ナイロンを29体積%と、酸化防止剤を1体積%とを使用する。
【0068】
その他は、実施例1と同様の製造方法により、鉄製のコアの外周にボンド磁石が固着した成形物を得ることができる。
【0069】
<熱衝撃試験>
鉄製のコアの外周にボンド磁石を固着させた成形物を用いて、熱衝撃試験を行う。併せて、ショアーD硬度を測定する。
【0070】
具体的条件は、100℃で1時間、ボンド磁石を載置した後、すぐに−20℃で1時間、ボンド磁石を載置する。この1サイクルを500サイクル繰り返す。その後、ボンド磁石に割れや欠けが生じていないか確認する。
【0071】
上記の実施例で得られる成形物を用いて、ボンド磁石の硬度を測定する。ボンド磁石の硬度は、硬度計を用いる。これにより、ショアーD硬度を測定する。
【0072】
【表1】
【0073】
表1より、希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂とを用いた実施例1乃至9では、割れや欠けが見られなかった。
【0074】
ショアーD硬度は、実施例1乃至9のいずれも50以上である。
【0075】
以上のことから、耐衝撃性、耐候性等に極めて優れたボンド磁石を提供することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、希土類系磁性粉末、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂との混練物を被固着物へ射出することにより、被固着物への固着安定性に優れたボンド磁石を提供することができる。該ボンド磁石は、耐熱性、耐候性、熱衝撃性等に極めて優れた効果を有する。つまり、ボンド磁石は、高い磁気特性を保持しており、大幅な温度変化が生じても、割れや欠けの生じ難い安定した製品供給を行うことができるという効果を有する。従って、本発明は、上述したような極めて重要な技術的意義を有する。
Claims (5)
- 希土類系磁性粉末と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリアミド系熱可塑性樹脂と、を有するボンド磁石であって、
該希土類系磁性粉末は、体積百分率で30〜65体積%含有されていることを特徴とするボンド磁石。 - 前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、前記ポリアミド系熱可塑性樹脂との体積比率は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:ポリアミド系熱可塑性樹脂=99:1乃至50:50であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石。
- 前記希土類系磁性粉末は、R−Fe−N(Rは、希土類元素である。)であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石。
- 前記希土類系磁性粉末は、平均粒子径が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至3の少なくともいずれか一項に記載のボンド磁石。
- 前記ボンド磁石のショアーD硬度は、50以上であることを特徴とする請求項1乃至4の少なくともいずれか一項に記載のボンド磁石。
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JP2002348385A JP2004186214A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | ボンド磁石 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007003223A (ja) * | 2005-06-21 | 2007-01-11 | Nsk Ltd | 磁気エンコーダ及び前記磁気エンコーダを備える転がり軸受ユニット |
WO2012128371A1 (ja) * | 2011-03-23 | 2012-09-27 | 愛知製鋼株式会社 | 希土類磁石粉末、その製造方法、そのコンパウンドおよびそのボンド磁石 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002348385A patent/JP2004186214A/ja active Pending
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WO2012128371A1 (ja) * | 2011-03-23 | 2012-09-27 | 愛知製鋼株式会社 | 希土類磁石粉末、その製造方法、そのコンパウンドおよびそのボンド磁石 |
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