JP2011119487A - 円柱状ボンド磁石 - Google Patents

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秀一 多田
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Abstract

【課題】配向性、耐食性、機械強度に優れ、高い表面磁束を有する円柱状ボンド磁石を得る。
【解決手段】磁性粉末と樹脂バインダーとからなる単一の成形体であり、軸方向にN軸とS軸が交互に多極磁化されている円柱状ボンド磁石100において、上記磁性粉末がサマリウム−鉄−窒素系合金であり、円形度係数が78%以上、かつ平均粒子径が2μm以上5μm未満、かつ残留磁束密度が1T以上1.5T未満である。上記磁性粉末の原料が、サマリウムイオンと鉄イオンの共沈物であることが好ましい。また、上記樹脂バインダーが、ポリアミド樹脂(a)と共重合ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーの群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(b)からなり、その混合割合a:bが、90:10乃至0:100の範囲であることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁性粉末と樹脂バインダーとからなる単一の成形体であり、軸方向にN極とS極とが交互に現れるよう多極磁化された円柱状ボンド磁石に関する。特に、配向性、耐食性、機械強度および長期安定性に優れるとともに、高い表面磁束密度を有する円柱状ボンド磁石に関する。
複数の永久磁石から構成された円柱状磁石は、食品から鉄粉などを除去するための異物除去装置や、リニアモーター用の固定子に用いられている。
このような円柱状磁石の製造方法として、複数の焼結磁石を接着させる方法がある。例えば、特許文献1に開示される円柱状磁石は、強い磁力が得られるように、複数の焼結磁石の同種の磁極が対向するようにして組み立てられている。このような円柱状磁石において、例えば、N極同士が対向しているため強い磁力線が形成されており、その磁力線は、円柱状磁石の軸方向に直交する方向に大きく伸び、N極と隣接したS極へと大きな弧を描く。結果的に、円柱状磁石の外部に効果的に強い磁場を形成することができる。しかし、このような製造方法では、複数の焼結磁石の同種の磁極を対向させながら組み立てるので、焼結磁石から大きな反発力を受ける。そのため、円柱状磁石の組み立て作業は、危険を伴い、作業性に乏しく、更には製造コストの増加を招いていた。
また、生産性に優れた製造方法としては、焼結磁石ではなくボンド磁石で円柱状磁石を形成する方法が有効である。例えば、特許文献2に開示される製造方法は、磁性粉末を樹脂に混合して成形し、円柱状磁石を作製した後、円柱状磁石の外周面から軸方向の両端面に向かって偏寄する磁路を形成するように着磁する。これにより、異なる磁極が交互に並んだ円柱状磁石が作製できる。更に、磁気特性を考慮して、磁性粉末としては、等方性NdFeB粉末、等方性FeB−Nd系スプリング磁石粉末などの希土類磁石粉末が有効である。
また、長手方向に複数の磁極を備えた単一の成形体である円柱状磁石は、リニアモーターなどの磁石製品として使用する場合には、円柱状磁石の側面における磁力が重要である。すなわち、リニアモーターとして推進力や動作安定性を高めるためには、側面の各磁極から出る磁力線が出来るだけ強いことが望ましい。このような理想的な磁力線を形成するためには、ボンド磁石に用いる磁性粉末としては、異方性磁石粉末が有効である。
特開2008−182873号公報 特開平8−130862号公報
このような円柱状ボンド磁石に使用する磁性粉末を異方性の磁性粉末とする場合、溶融させた樹脂中に磁性粉末を分散させ、射出成形機の金型内に射出して円柱状ボンド磁石を成形する工程において、その金型の内部で磁性粉末を充分に配向させる必要がある。
しかしながら、円柱状ボンド磁石の直径が小さく、長尺な成形体であるほど、磁性粉末同士の摩擦や樹脂の冷却が磁性粉末の粒子の回転を阻害するため、磁性粉末を十分に配向させることができず、結果として十分な表面磁束密度を得ることは困難である。
また、バインダーとしての樹脂と磁性粉末とから一体的に成形された円柱状ボンド磁石は、焼結磁石からなる円柱状磁石と比べて、非磁性パイプのような外装物を必要とすることなく組み立てることができる。そのため、円柱状ボンド磁石をリニアモーターの構成部材とする場合、円柱状ボンド磁石の表面磁束を最大限に利用できるという利点がある。
しかしながら、非磁性パイプのような外装物を使用しないことで、希土類−鉄を主体とする磁性粉末自体が大気や湿気に直接触れることになる。そのため、磁性粉末の粒子の脱落や錆の発生が懸念される。錆や磁性粉末の粒子の脱落が発生すると、例えば、リニアモーターの構成部材とした場合に、リニアモーターの推進力が損なわれたり、スムーズな動作の妨げとなったりするなどの問題が生じてしまうため、長期安定性の観点から望ましくない。このため、防錆コーティングのような後処理によって耐食性を高めたり、表面を保護したりする必要がある。しかし、このような後処理は、円柱状ボンド磁石の製造コストが高くなるだけでなく、生産性を低下させる。さらに、リニアモーターの構成部材として円柱状ボンド磁石を使用した場合に、固定子保持のためのブッシュとの間のクリアランスが制御しにくくなり、推進力が小さくなったり、動作安定性が損なわれたりするため、信頼性の点からも問題があった。
また、円柱状ボンド磁石は、柔軟な樹脂を素材に用いることにより、例えばリニアモーターなどの固定子として、外装物に収めることなく容易に屈曲部分を有した固定子を製造することができる。屈曲した固定子は、曲線運動が可能な駆動装置として使用することができる。一方、これらは、生産性に優れるというメリットを有するものの、外装物を使用しないことで磁石製品としての機械強度が低下し、後加工や実際の使用時の外力によって割れ欠けや変形が発生しやすくなる問題がある。
上述したように、円柱状ボンド磁石は、優れた磁気特性を実現するため、更には外装物を不要とするために、配向性と耐食性と機械強度を兼ね備えていることが求められるが、それに適した磁性材料の検討が不十分であった。
そこで、本発明は、配向性、耐食性、機械強度に優れ、高い表面磁束を有する、最適な磁性粉末と樹脂バインダーからなる単一の成形体であり、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化されている円柱状ボンド磁石を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために本発明に係る円柱状ボンド磁石は、磁性粉末(A)と樹脂(B)とからなる単一の成形体であり、軸方向にN軸とS軸が交互に多極磁化されている円柱状ボンド磁石において、上記磁性粉末(A)がサマリウム−鉄−窒素合金であり、円形度係数が78%以上、かつ平均粒子径が2μm以上5μm未満、かつ残留磁束密度(Br)が1T以上1.5T未満であることを特徴とする。
上記磁性粉末の原料として、サマリウムイオンと鉄イオンの共沈物を用いることが好ましい。
上記樹脂(B)がポリアミド樹脂(a)と共重合ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーの群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(b)からなり、その混合割合は、a:bが90:10ないし0:100の範囲であることが好ましい。
上記ポリアミド樹脂(a)の平均分子量が10000以上15000未満の範囲であることが好ましい。
本発明の磁性粉末は、特定の粒子形状を有しているため、磁気特性および耐食性ともに顕著な向上が認められる。
まず、本発明の磁性粉末は、平均粒子径が2μm以上5μm未満の球形粒子である。その表面への表面処理により、樹脂と馴染みの良い親水基を導入することで樹脂バインダーをその表面上にストックし、保護膜もしくは粒子間の絶縁膜として粒子同士の分断に効果的に利用できる。
さらに、本発明のSm−Fe−N系磁性粉末は、原料としてサマリウムイオンと鉄イオンの共沈物を用い、還元拡散工程の後に生成した合金ブロックを水に投入し崩壊させることが好ましい。これにより、粉砕などの機械的な強い応力をかけることなく容易に単磁区粒子径の球状磁性粉末が得られる。そのため、磁気特性を左右し、錆発生の起点となる表面の歪やクラック、傷などが少なくなる。以上のように、本発明により、優れた耐食性を有する円柱状ボンド磁石が得られる。
また、本発明の磁性粉末の粒子は、ある一定以上の円形度係数をもつ球形粒子であるため、本発明の磁性粉末と樹脂バインダーとにより円柱状ボンド磁石を成形すると、円柱状ボンド磁石の表面磁束密度が向上する。その理由は、磁性粉末の粒子を、配向磁場内にて磁化容易方向に整列させて成形を行う工程において、金型のキャビティ内での粒子同士の接触面が少なくなり粒子間での摩擦が抑制されるからであると考えられる。さらに、共重合ナイロンを樹脂バインダーとして使用することで溶融した樹脂が固化するに要する時間を遅らせることができる。これにより、結果として配向性が大きく向上し、シャープで高い表面磁束密度を有する円柱状ボンド磁石が得られる。
図1は、本発明の一実施例にかかる円柱状ボンド磁石を成形する装置の模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施例にかかる円柱状ボンド磁石を配向させるための配向用磁石の模式的な斜視図である。 図3は、本発明の一実施例にかかる円柱状ボンド磁石の模式的な斜視図である。 図4は、本発明の実施例および比較例について、横軸に共重合ナイロンの混合割合を示し、縦軸に表面磁束密度の最大値を示したグラフである。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための円柱状ボンド磁石を例示するものであって、本発明は、円柱状ボンド磁石を以下に限定するものではない。
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図1は、本形態における円柱状ボンド磁石を成形するための射出成形機の断面を示す模式図である。図2は、本形態における磁性粉末を配向させるための配向用磁石の模式的な斜視図である。図3は、本形態における円柱状ボンド磁石の模式的な斜視図である。
本発明者は、上記した問題を解決するため、フェライト、等方性Nd−Fe−B、異方性Nd−Fe−B、異方性Sm−Co、異方性Sm−Fe−Nの各磁性粉末の粒径及び粒子形状、そして、ナイロン、共重合ナイロンの各バインダー樹脂の平均分子量と混合比、そして、それら磁性粉末とバインダーとを射出成形して形成した円柱状ボンド磁石の磁気特性、及び耐食性に及ぼす影響について鋭意検討した。
その結果、サマリウム−鉄−窒素合金粉末とバインダー樹脂とを用いて円柱状ボンド磁石を成形した場合に、最も優れた磁気特性及び耐食性が得られることと、更にその効果を顕著にする磁性粉末の最適な粒径範囲と粒子形状、バインダー樹脂の最適な混合割合とその平均分子量を見いだすに至った。
すなわち、本発明のサマリウム−鉄−窒素系合金粉末は、希土類元素のSmと、遷移元素のFeと、窒素とからなる磁性粉末であって、磁性粉末の平均粒径は、2μm以上、5μm未満の範囲であり、円形度係数78%以上の球形粒子であることを特徴とする。但し、円形度係数は、次のように定義された値である。
定義式:円形度係数=(4πS/L2)×100%(ただし、S=(粒子投影面積)、L=(粒子像の周)である。)
本発明の円柱状ボンド磁石に使用可能な磁性粉末としては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、等方性Nd−Fe−B、異方性Nd−Fe−B、1−5型Sm−Co、2−17型Sm−Co、等方性Sm−Fe−N、異方性Sm−Fe−Nなどがあるが、耐食性、配向性、機械強度等の優位性を考慮すると、特に異方性Sm−Fe−N系磁性粉末が好適に使用できる。
Sm−Fe−N系磁性粉末は、一般式SmFe100−x−yで表される希土類金属Smと鉄Feと窒素Nからなる窒化物であり、希土類金属Smの原子%(x値)は、8.1〜10%の範囲に、Nの原子%(y値)は、13.5〜13.9%の範囲に、残部が主としてFeとされる。ここで、Smの原子%を8.1〜10%と規定するのは、3原子%未満では、α−Fe相が分離して窒化物の保磁力が低下し、実用的な磁石ではなくなり、30原子%を越えると、Smが析出し、磁性粉末が大気中で不安定になり、残留磁束密度が低下するからである。他方、窒素Nの原子%を13.5〜13.9%の範囲と規定するのは、3原子%未満では、ほとんど保磁力が発現せず、15原子%を越えるとSm、鉄及びアルカリ金属自体の窒化物が生成するからである。
磁性粉末の平均粒径は、2μm以上、5μm未満の範囲が好ましい。より好ましくは、2μm以上、3.5μm以下である。5μmより粗粒であると、保磁力が5kOe以下となり、他方、2μmより細粒であると酸化しやすくなり、磁気特性、耐熱性の低下を招くため不適当である。
本発明において、磁性粉末のSm−Fe−N系合金粉末は、球状であることが好ましい。球状の程度を判断する指標として、次式で定義される円形度係数を利用する。
すなわち、円形度係数は、次式のように定義される。
定義式:円形度係数=(4πS/L2)×100%(ただし、S=(粒子投影面積)、L=(粒子像の周)である。)
以下、円形度係数の測定方法を説明する。まず、磁性粉末の粒子を薄く広げた測定試料を作製する。この試料はできるだけ粒子が重ならないように薄く広げる。測定試料を倍率4000倍のSEMで粒子像の写真をとり、その粒子像をスキャナーでコンピュータに取り込み、粒子像の分離抽出を行い、100個の粒子像データを取り込む。そして、各々の粒子像についてコンピュータによりS(粒子投影面積)及びL(粒子像の周)を求め、それぞれの円形度係数を算出し、100個の平均をとり、円形度係数とした。円形度係数は、上記定義式に示されるように、100%に近付くほど球形に近くなることが分かる。
上述の式により定義された円形度係数は、粒子の微視的な形状を評価するものである。これにより、粒子表面に突起物や凹凸、微小粒子の付着が無いか等を判断することができる。すなわち、粒子表面に突起物や凹凸部分があると、樹脂との混練後射出成形によってボンド磁石とする際に、粒子同士の接触面が増えて摩擦が生じやすい。さらに、配向用磁場を印加しながら円柱状ボンド磁石に成形する工程において、一方向の磁気モーメントをもつ粒子の回転が阻害されることで配向率が上がらず、磁石としての磁力が不十分となる。また、粒子表面の突起物や凹凸部分には逆磁区が発生しやすく、保磁力が低下する原因になりうる。本発明において、充分な磁力を有する円柱状ボンド磁石を得るためには、Sm−Fe−N系磁性粉末の粒子は、円形度係数が78%以上であり、より好ましくは90%以上の球形である。
このような磁性粉末の球形粒子は、以下の方法で形成することができる。
(1)Sm及びFeを酸で溶解させ、Sm及びFeイオンと不溶性の塩を生成する物質を溶液中で反応させて球状粒子を沈殿させ、該沈殿物を焼成して金属酸化物とし、得られた金属酸化物を還元性ガス及び粒状Caによる還元拡散法等により還元して磁性粉末を得る方法。
(2)構成元素の酸化物微粒子を十分に混合する方法。すなわち、平均粒径が5μm未満であるSmと、平均粒径が2μm未満の鉄酸化物を十分に混合し、これを一旦還元性ガス中で300〜900℃の温度で加熱して鉄酸化物を金属鉄に還元し、これに粒状Caによる還元拡散法を適用する方法。
これら(1)及び(2)とも還元拡散工程の後には合金ブロックを生成し、これを水に投入することで崩壊して粉末化させた後、これを洗浄乾燥することによりSmFeN系磁性粉末を得ることができる。
これらの方法のうち、本発明で好適に使用できるのは(1)の方法である。沈殿から行うことで、SmとFeとが均一に混合され、また、ある一定サイズ以上の粒子凝集体を形成する。これが目的合成物であるSmFeN系合金の粒子形状にされ、比較的粒度分布が狭く球形で、流動性に優れたSmFeN系磁性粉末が得られる。
一方で、(2)の酸化物の混合だと、混合の過程で粒子が押し潰され、また微粉砕化されることで、合成されるSmFeN系磁性粉末は微粒子が多く、粒度分布は比較的広いものとなり、流動性の観点から好ましくない。
これらの方法においては、還元拡散工程の後に生成した合金ブロックを水に投入して崩壊させるだけで、単磁区粒子径サイズの球形粉末が容易に得られることが要点である。すなわち、還元拡散工程の後に積極的な微粉砕処理を行わないことで、突起物や凹凸部の少ない球形粒子である、本発明の円形度係数が78%以上、好ましくは90%以上のSm−Fe−N系磁性粉末が製造できる。また、還元拡散工程の後に積極的な微粉砕処理を行わないことは、Sm−Fe−N系磁性粉末の耐食性の面で非常に重要である。つまり、粉砕処理を行わないことによって、錆発生の起点となる表面の歪やクラック、傷などが、本発明で使用する磁性粉末の粒子において本質的に少ない為、得られる円柱状ボンド磁石は優れた耐食性を有する。
本発明に適用できる磁性粉末は、以下に示す耐酸化、耐水、樹脂との濡れ性改善、耐薬品を改善する目的で表面処理が施されていることが好ましい。なお、これらの処理は必要に応じて組み合わせて用いることができる。表面処理方法は、必要に応じて基本的には湿式、ミキサなどの乾式、メッキ、蒸着で行われる。化成処理剤としては、P−O結合を有するリン化合物がまず挙げられる。
リン酸処理薬としては、例えば、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等のリン酸塩系、次亜リン酸系、次亜リン酸塩系、ピロリン酸、ポリリン酸系等の無機リン酸、有機リン酸が適用できる。
これらのリン酸源を水中またはIPNなどの有機溶媒中に溶解させ、必要に応じて硝酸イオン等の反応促進剤を添加したリン酸浴中に磁性粉末を投入し、粉表面にP−O結合を有する不動態膜を形成させる。加えて、湿式、乾式により、シリカ、アルミナ、チタニア膜等の無機酸化物膜をサブミクロン、ナノオーダーの粒子を用いて、磁性粉末に表面吸着させて膜を形成させる処理法や、有機金属を用いたゾルゲル法、磁性粉末の表面に膜を形成させる無機酸化物処理膜形成処理が適用できる。本発明においては、エチルシリケートの加水分解により、磁性粉末の表面にシリカ膜を形成させる処理方法が好適に使用される。
次に、カップリング剤による磁性粉末の被覆処理について述べる。カップリング剤処理は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシル[3−(トリメトキシアリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシメチルシロキサン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、1,3,5−N−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、t−ブチルカルバメートトリアルコキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピル(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクタチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラオクチルビス(トリオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクチルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)、イソプロピルジメタクリレートイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスヘート)エチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤が適用できる。
以上のようなアミノ系、メタクリル系、ビニル系、エポキシ系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、弗素系カップリング剤を用いたカップリング剤処理、メタクリル樹脂等の有機保護膜を形成させる方法、真空蒸着、電解メッキ、無電解メッキによって亜鉛、ニッケル等の金属保護膜を形成させる方法が適用できる。本発明においては、後述のナイロン樹脂と馴染みの良いアミノ基をもつカップリング剤が好適に使用される。本発明において、好適に使用される磁性粉末は3μm程度の比較的小さな平均粒径をもつ微粒子からなっており、表面処理によりその表面に樹脂と馴染みの良い親水基を導入することで樹脂バインダーをその表面上にストックし、保護膜もしくは粒子間の絶縁膜として粒子同士の分断に効果的に利用できる。そのため、結果として優れた耐食性を発揮する円柱状ボンド磁石が得られる。このような円柱状ボンド磁石を得るために、磁性粉末の単位表面積あたりのカップリング剤由来のアミノ基重量が0.5〜5mg/mであることがより好ましい。0.5mg/m未満では上記の粒子間の絶縁は不十分であり、一方、5mg/mを超えると磁性粉末の粒子同士の親和性が高くなりすぎて粒子同士が凝集してしまい、磁気特性、耐食性および機械強度の全てが低下するため好ましくない。
本発明の磁性粉末と樹脂バインダーとを射出成形してなる円柱状ボンド磁石に使われる樹脂として、ポリアミド樹脂単独、もしくはポリアミド樹脂と共重合ポリアミド、ポリアミド系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーの群から選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂との混合物が使用され、30−5重量部の範囲を混合しコンパウンドを調製する。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド12、ポリアミド10、ポリアミド6、ポリアミド66、芳香族ポリアミド、重合脂肪酸ポリアミドなどが使用できる。市販品としては、例えば、12ナイロン(ダイセル・エボニック製A1709P)、レオナ(旭化成工業(株))、UBEナイロン(宇部興産(株))、グリロンT(エムスケミー・ジャパン(株))、システマー/テクニール(昭和電工(株))、EPナイロン(エンプラ(株))、スミコンFM(住友ベークライト(株))、ダイコンプ(大日本インキ化学工業(株))、タナジン(高安(株))、デュレタンA(バイエル(株))、ウルトラミッドA(BASFエンジニアリングプラスチックス(株))、ポリプラナイロン66(ポリプラスチックス(株))、マラニール(ユニチカ(株))、ユニチカナイロン66(ユニチカ(株))、グリロン(エムスケミー・ジャパン(株))、EPナイロン(エンプラ(株))、カネボウナイロン(鐘紡(株))、GFR6ナイロン(鐘紡(株))、スミコンFM(住友ベークライト(株))、ダイコンプ(大日本インキ化学工業(株))、テイジンナイロン(帝人(株))、オキロン(帝人(株))、デュレタン(バイエル(株))、デュレタンB(バイエル(株))、ウルトラミッドB(BASFエンジニアリングプラスチックス(株))、ユニチカナイロン(ユニチカ(株))、グリルアミド(エムスケミー・ジャパン(株))、グリルアミドTR(エムスケミー・ジャパン(株))、スミコンFM(住友ベークライト(株))、ダイアミド(ダイセル・エボニック(株))、リルサン(東レ(株))、テイジンナイロン46(帝人(株))、Stanyl(JSR(株))、ユニチカナイロン46(ユニチカ(株))、ウルトラミッドS(BASFエンジニアリングプラスチックス(株))、アーレン(三井石油化学工業(株))、レニー(三菱エンジニアリングプラスチックス(株))、MXナイロン(三菱ガス化学(株))、ザイテルHTN(デュポン(株))、デュレタンT(バイエル(株))、グリボリー(エムスケミー・ジャパン(株))、トロガミド(ダイセル・エボニック(株))、ウルトラミッドC(BASFエンジニアリングプラスチックス(株))、ザイテル(デュポン(株))、GRザイテル(デュポン(株))、FRザイテル(デュポン(株))、MRザイテル(デュポン(株))、東洋紡ナイロン(東洋紡績(株))、アミラン(東レ(株))、Vydyne(日本モンサルト(株))、アモデル(テイジンアモコエンジニアリングプラスチックス(株))等が挙げられる。これらのうち、本発明の円柱状ボンド磁石として好適なのはポリアミド12であり、市販品として特に好適なのは12ナイロン(ダイセル・エボニック製A1709P)である。
共重合ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6−12、ポリアミド6−10、ポリアミド6−66−12などが使用でき、市販品としてはUBEナイロン(宇部興産(株))、アミラン(東レ(株))、グリロンC(エムスケミー・ジャパン(株))等が使用できる。これらのうち、本発明の円柱状ボンド磁石として好適なのは共重合ポリアミド6−12であり、市販品として特に好適なのはグリロンC(エムスケミー・ジャパン(株))である。
ポリアミド系エラストマーとしては、UBEナイロン(宇部興産(株))、グリロンELX(エムスジャパン(株))、グリルアミドELY(エムスケミー・ジャパン(株))、ダイアミドPAE(ダイセル・エボニック(株))、グリラックス(大日本インキ化学工業(株))、ペバックス(東レ(株))、Novamid−PAE(三菱化成(株))等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマーとしては、グリラックス(大日本インキ化学工業(株))、ヌーベラン(帝人(株))、ペルプレン(東洋紡(株))、ハイトレル(東レ・デュポン(株))、フレクマー(日本合成化学工業(株))、ローモッド(日本ジーイープラスチックス(株))、ダイヤロイR(三菱レイヨン(株))等が挙げられる。
本発明の円柱状ボンド磁石において、バインダーとしてのポリアミド樹脂(a)と共重合ポリアミド樹脂(b)の混合割合は、(a):(b)が90:10乃至0:100の範囲であることが好ましい。より好ましくは、(a):(b)が70:30乃至30:70の範囲である。(b)の混合割合が10%を下回ると、溶融樹脂の固化が速くなり配向率が低下し、本発明の円柱状ボンド磁石において側面の表面磁束が低下するため、好ましくない。
本発明の円柱状ボンド磁石においてバインダーとして利用するポリアミド樹脂(a)の平均分子量は、10000以上15000未満の範囲が好ましい。平均分子量が15000を超えると流動性が不足し、円柱状ボンド磁石を成形するキャビティへの充填不良や、磁性粉末の配向性の低下による磁力低下を招くからである。一方、平均分子量が10000を下回ると、剛性や熱的強度が損なわれ、加工時に成形品の割れ、欠けが生じ易くなるだけでなく、加工時の熱や印加される磁場によって成形品の変形が起こり易くなり、また製品のヒートショック性の低下が顕著になる問題が生じる。
本発明の円柱状ボンド磁石に使用するバインダー成分には、耐熱安定性を改善する目的で酸化防止剤を適用することができる。そのような酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンンジオール−ビス[3−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(nオクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアリニノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシシナアミド)、3,5−ジ−butiru−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N−ジベンザール、N,N−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシハイドロシンナート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニ)プロピオネーツ、2,2’−メチレン−ビス−(4メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、ジアウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピンエート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンジイミダザール、チオフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’ビフェニレンフォスフォナイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、2− ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ− ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’ヒドロキシ −3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラハイドロフタリミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ −3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、トリルトリアゾールアミン塩、トリルトリアゾールカリウム塩、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチルジチオカーバメート、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シキルヘキサン、スチレン化フェノール、N.N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2−メルカプトベンツイミダゾール、2−メルカプトベンツイミダゾール亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンツイミダゾール亜鉛塩、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、特殊ワックス等が挙げられる。これらは、樹脂、磁性粉末に合わせて適宜選択して組み合わせて使用することが好ましい。
本発明の円柱状ボンド磁石に使用するポリアミド樹脂の、混練性、射出成形性を改善するために滑剤を使用することができる。使用することができる滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ケトンワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、12−オキシステアリン酸、ラウリン酸、カプリン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、安息香酸鉛、パラターシャリーブチル安息香酸亜鉛、パラターシャリーブチル安息香酸バリウム、ステアリルアシッドホスファイト、マグネシウムステアリルアシッドホスファイト、アルミニウムステアリルアシッドホスファイト、カルシウムステアリルアシッドホスファイト、ジンクステアリルアシッドホスファイト、バリウムステアリルアシッドホスファイト、ジンクベヘニルアシッドホスファイト等の金属石鹸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N−N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジイソステアリルイソフタル酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−12ヒドロキシステアリルステアリン酸アミド、N−12ヒドロキシステアリルオレイン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド、N−ブチル−N’−ステアリル尿素、N−フェニル−N’−ステアリル尿素、N−ステアリル−N’−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素、メチレンビスステアリル尿素、エチレンビスステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、メチレンビスオレイル尿素、エチレンビスオレイル尿素、キシリレンビスオレイル尿素、トルイレンビスオレイル尿素、ヘキサメチレンビスオレイル尿素、ジフェニルメタンビスオレイル尿素、メチレンビスエルカイル尿素、エチレンビスエルカイル尿素、キシリレンビスエルカイル尿素、トルイレンビスエルカイル尿素、ヘキサメチレンビスエルカイル尿素、ジフェニルメタンビスエルカイル尿素等の置換尿素類、2−エチルヘキサン酸セチル、ヤシ油脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パーム脂肪酸メチル、牛脂脂肪酸メチル、ミリスチル酸オクチルドデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、カプリン酸メチル、ミリスチン酸メチルオレイン酸メチル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ベヘニン酸オクチルドデシル、ベヘニン酸ベヘニル、エルカ酸オクチルドデシル、オレイン酸イソブチル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、シリコーンオイル、シリコーングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物等が適用可能である。これらは、樹脂、磁性粉末に合わせて選択組み合わせて使用することが好ましい。さらにまた、耐候剤、可塑剤、難燃剤、耐電防止剤等を必要に応じて加えることもできる。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
[実施例1]
(SmイオンとFeイオンの共沈工程)
次の様にしてSmFe17系磁性粉末を調製した。まず、反応タンクに純水30リットル投入し、その中に97%のHSOを520g加え、Smを484.8g仕込み溶解し、25%アンモニア水を加えてpHを中性付近に調整した。この水溶液にFeSO・7HOを5200g加えて完全に溶解しメタル液とした。別のタンクに純水を12リットルに重炭酸アンモニウム2524gと25%アンモニア水1738gを混合した炭酸イオン溶解液を調製した。反応タンクを撹拌しながら、炭酸イオン溶解液を徐々に添加し、全量添加した最終のpHが8.0±0.5になるように、アンモニア水を添加した。攪拌を止め静置すると、生成物は容器底部に沈殿してくる。このときに得られた沈殿物を一部採って、顕微鏡観察すると、粒のそろった球状の粒子であった。フィッシャーサブシーブサイザー(FSSS)による平均粒径は1.4μmであった。
(大気焼成工程)
続いて、上記の沈澱生成物を濾紙上にとり、上部よりイオン交換水を供給しながら吸引した後、洗浄し、得られる沈殿物を80℃の乾燥機中で乾燥した後、乾燥された沈殿物をアルミナのるつぼに入れ、1100℃の大気中で3時間焼成した。
(水素還元工程)
焼成後の粉末を鋼製のトレーに充填し、それを管状炉に入れ、純度100%の水素を20リットル/分で流通させながら700℃で10時間の熱処理を施した。
(還元拡散工程)
前工程で得られた黒色粉末1000gと粒状Ca350.7gを混合し、鋼製のトレーに入れてアルゴンガス雰囲気炉にセットする。炉内を真空排気した後、アルゴンガスを通じながら1000℃、1時間加熱する。次いで、加熱を止め、引き続いてアルゴンガス中で450℃まで冷却し、以後この温度で一定に保持した。
(窒化処理工程)
その後、炉内を再び真空排気した後、窒素ガスを導入した。大気圧以上の圧力で窒素ガスを通じながら5時間加熱した後、加熱を停止し放冷した。
窒化された磁性粉末をイオン交換水5リットルに投入し、これにより、反応生成物が直ちに崩壊し、磁性粉末とCa成分との分離が始まる。水中での撹拌、静置、上澄み液の除去を5回繰り返し、最後に2wt%酢酸水溶液5リットル中で洗浄し、Ca成分の分離が完了した。これを真空乾燥することでSmFe17磁性粉末を得た。
得られた磁性粉末は、分散性が良く、電子顕微鏡による観察でも球状の形状を持つものであった。磁性粉末の平均粒径は、FSSSによる測定で2.5μmであり、磁性粉末の磁気特性は、残留磁束密度:Br(以下、「残留磁束密度」をBrと略記する。)が1.3T、保磁力:iHc(以下、「保磁力」をiHcと略記する。)が1080kA/m、円形度係数が78%であった。
(カップリング処理工程)
このようにして得られたSmFe17磁性粉末を300gに、3gのテトラメトキシシランと、1gの水を添加してミキサで混合する。その混合物を真空中200℃で加熱して、粒子表面に酸化珪素膜を形成した。次に、シランカップリング剤γ―アミノプロピルトリエトキシシラン1.5gと、エタノールと水を10:1に混合した液3.6gを噴霧添加して、ミキサで窒素ガス中1分間混合した。続いて、窒素ガス雰囲気下90℃で30分間加熱処理することで、カップリング処理された磁性粉末を得た。
(コンパウンド・ペレット形成工程)
このようにして得られたSmFe17系磁性粉末92重量部に対し、ポリアミド樹脂(a)として、12ナイロン(ダイセル・エボニック製A1709P、平均分子量12000)を3.5重量部、及び、共重合ポリアミド樹脂(b)として、共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン(株)製グリロンC:PA612)3.5重量部を添加(樹脂(a):樹脂(b)=5:5)し、これに、酸化防止剤として、N,N−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン(チバガイギー製)を0.5重量部、滑剤として、m−キシリレンビスステアリン酸アミドを0.2重量部加え、ミキサで5分間混合したものを2軸混練機により220℃で混練してコンパウンド・ペレットを得た。
(円柱状ボンド磁石の成形工程)
図1は、本実施例における円柱状ボンド磁石を成形するための射出成形機の断面を示す模式図である。図2は、本実施例におけるコンパウンドを配向させるための配向用磁石の模式的な斜視図である。図3は、本実施例における円柱状ボンド磁石100の模式的な斜視図である。
図2に示すように、配向用磁石101、102は、同種の磁極が対向するように小磁石101a(102a)と101b(102b)とを接着させるとともに、同種の磁極が対向するように配向用磁石101と配向用磁石102とを配置させた。そして、図1に示すように、隔壁107を介してキャビティ105を囲むように配向用磁石を金型104の内部に設置する。このように配向用磁石を射出成形内部に設置することで、配向用磁石からの磁場を印加しながらコンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形することができるようになる。すなわち、コンパウンドは、ゲート106からキャビティ105の中に充填されて配向させられるとともに、円柱状の内壁面を有するキャビティ105の形状に従って成形される。さらに、成形された円柱状ボンド磁石は、エジェクターピン103によって突き出されることにより、射出成形機から取り出される。
本実施例における射出成形機のキャビティは、内径5mm、全長70mmの円柱状とした。配向用磁石は、市販のNd−Fe−B焼結磁石(Br=1.35T)とした。射出成形機の成形条件は、コンパウンドを溶融させるシリンダーの温度を230℃とし、キャビティ温度を90℃に設定した。また、成形時の条件は、射出圧100MPa、射出速度80mm/s、冷却時間8sとした。本実施例における一回の射出成形によって、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された、直径5mm、全長70mm、配向ピッチ5mmの円柱状ボンド磁石100を得た。
[実施例2]
SmFe17系磁性粉末を93重量部、12ナイロン(ダイセル・エボニック製A1709P、平均分子量12000)を3重量部、及び共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン(株)製グリロンC)を3重量部用いた以外は、実施例1と同様に円柱状ボンド磁石を得た。
[比較例1]
金属Smと金属鉄を原子比2対17の割合で高周波溶解して、溶融物を水冷された銅鋳型に流し込んでSmFe17合金を得た。得られたインゴットをジョークラッシャで粗粉砕した後、均質化を目的としてアルゴン中1100℃で20時間の熱処理を施した。得られた合金を鋼球のボールミルにより2時間粉砕した。これを窒素気流中でのジェットミルで平均粒子径2.4μmまで微粉砕したのち、窒素気流中450℃、15時間の窒化処理を行った。磁性粉末の磁気特性は、Brが1.3T、iHcが780kA/mであった。得られた磁性粉末は、分散性が悪い凝集状態であり、電子顕微鏡による観察でも角張った形状を持つものであった。磁性粉末の円形度係数は52%であった。
このようにして得られたSmFe17系磁性粉末92重量部を、実施例1と同様の射出成形方法により円柱状ボンド磁石を得た。
[比較例2]
SmFe17系磁性粉末93重量部用いた以外は、比較例1と同様の方法で射出成形したが、上記成形条件では充填不良が発生してしまい、円柱状ボンド磁石を得ることはできなかった。
[比較例3]
磁性粉末にストロンチウムフェライトを92重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で、円柱状ボンド磁石を得た。ストロンチウムフェライトは市販のものを用い、フィッシャーサブシーブサイザー(FSSS)による測定で求めた磁性粉末の平均粒径は1.00μm、磁性粉末の磁気特性は、Brが0.38T、iHcが374kA/mであった。
[比較例4]
磁性粉末に等方性NdFeBを92重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で、円柱状ボンド磁石を得た。等方性NdFeBは市販のものを用い、その平均粒径は184μm、磁性粉末の磁気特性は、Brが0.87T、iHcが770kA/mであった。
[比較例5]
磁性粉末に異方性NdFeBを92重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で、円柱状ボンド磁石を得た。異方性NdFeBは市販のものを用い、その平均粒径は128μm、磁性粉末の磁気特性は、Brが1.29T、iHcが1097kA/mであった。
[比較例6]
磁性粉末に異方性SmCo17を92重量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で、円柱状ボンド磁石を得た。異方性SmCo17は市販のものを用い、磁性粉末の磁気特性は、Brが1.1T、iHcが870kA/mであった。
[比較例7]
樹脂として、12ナイロン(ダイセル・エボニック製ZZ3000P、平均分子量10000)を3.5重量部、及び共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン(株)製グリロンC)を3.5重量部添加(樹脂(a):樹脂(b)=5:5)した以外は、実施例1と同様に円柱状ボンド磁石を得た。
[比較例8]
樹脂として、12ナイロン(ダイセル・エボニック製A1709P、平均分子量12000)を1.75重量部、12ナイロン(宇部興産製P3020U、平均分子量20000)を1.75重量部、及び共重合ナイロン(エムスケミー・ジャパン(株)製グリロンC)を3.5重量部添加(樹脂(a):樹脂(b)=5:5)した以外は、実施例1と同様の方法で射出成形したが、上記成形条件では充填不良が発生し、円柱状ボンド磁石を得ることはできなかった。
(着磁処理)
着磁コイルを用いて、上記実施例および比較例で得た円柱状ボンド磁石を着時処理する。本実施例における着磁の条件は、静電容量が500μF、充電電圧が1500Vのパルス着磁である。本実施例における着磁コイルは、非磁性のボビンの側面に被覆銅線を巻回した後、一定の間隔をおいて、先に巻回した被覆銅線とは逆方向に巻回して形成させたものである。
(表面磁束密度の測定)
続いて、実施例および比較例で得られた全てのボンド磁石に対して、側面の長手方向の表面磁束密度分布を測定し、このときの最大の表面磁束密度値を、下記の表1に示す。更に、円形度係数が78%、52%のSmFe17磁性粉末それぞれについて、横軸に共重合ナイロンの混合割合、縦軸に表面磁束密度の最大値をプロットしたグラフを図4に示す。
図4に示されるグラフによると、円柱状ボンド磁石は、円形度係数が高い磁性粉末を使用した場合に、共重合ナイロンの混合割合に依存して、最大表面磁束密度の向上が顕著にみられている。図4に示されるように、共重合ナイロンの混合割合が10%以上100%以下において最大表面磁束密度の向上がみられており、特に、共重合ナイロンの混合割合が30%以上70%以下において最大表面磁束密度の向上が顕著にみられている。
これは、本発明の円柱状ボンド磁石において、共重合ナイロンの添加により、金型内での樹脂の固化速度が低下し、球状の磁性粉末の粒子が回転し磁気方位を揃えるに充分な配向時間が得られたことを示している。一方、円形度係数が低い磁性粉末を用いた場合には、表面磁束は共重合ナイロンの混合割合に殆ど依存しないことがわかる。
(耐食性の評価)
また、実施例および比較例で得られた全ての円柱状ボンド磁石に対して、室温の5%塩水中に円柱状ボンド磁石を30日間浸漬することで耐食性試験を行った。表1において、錆が発生しなかった磁石には「無」を記し、錆が発生した磁石には「有」を記す。酸化物磁石であるフェライトを別として、この表1から明らかなように、本発明の円形度係数の高いSmFeN系磁性粉末を用いた円柱状ボンド磁石のみ、錆の発生が全く確認されなかった。これは、本発明の円柱状ボンド磁石には空気との接触を防ぐ外装物や表面コーティングが不要であることを示しており、高い表面磁束密度を有する円柱状磁石の製造において極めて有利であることを示している。
(機械強度の評価)
また、得られた全ての円柱状ボンド磁石において、曲げ強度試験を行った。支点間距離48mm、両端支持の試験片の中央に集中荷重を与え、規定の変位値(3mm)に達するまで2mm/minの一定速度で材料を撓ませ、戻した後に試験片の亀裂やクラックの有無を調査した。表1中に、破断や亀裂もしくはクラックが発生した試験片には「×」を記し、クラックが発生しなかった試験片には「○」を記す。この表から明らかなように、各実施例とSrフェライトを用いた比較例3の円柱状ボンド以外の全てのボンド磁石において、破断や亀裂、クラックが発生した。このことから、本発明の円柱状ボンド磁石は、パイプなどの外装補強材を用いることなく優れた機械強度を有する。そのため、製造時や使用時の外力で割れ欠けが生じることなく、製造安定性に優れている。また、本発明の円柱状ボンド磁石は、屈曲性にも優れているため、折り曲げるという単純な操作のみで曲線走行が可能なリニアモーターの固定子として用いることができる。
Figure 2011119487
以上の結果から、磁性粉末の円形度係数、共重合ナイロンの混合割合、ナイロン樹脂の平均分子量を限定することで、従来にないレベルで磁気特性、耐食性および機械強度を併せ持つ円柱状ボンド磁石を実現できることが見出された。
本発明の円柱状ボンド磁石は、異物除去装置やリニアモーター用の磁石材料として利用することができる。
100・・・円柱状ボンド磁石、101、102・・・配向用磁石、103・・・エジェクターピン、104・・・金型、105・・・キャビティ、106・・・ゲート、107・・・隔壁。

Claims (4)

  1. 磁性粉末と樹脂とからなる単一の成形体であり、軸方向にN軸とS軸が交互に多極磁化されている円柱状ボンド磁石において、
    前記磁性粉末がサマリウム−鉄−窒素系合金であり、円形度係数が78%以上、かつ平均粒子径が2μm以上5μm未満、かつ残留磁束密度が1T以上1.5T未満であることを特徴とする円柱状ボンド磁石。
  2. 前記磁性粉末の原料が、サマリウムイオンと鉄イオンの共沈物である請求項1に記載の円柱状ボンド磁石。
  3. 前記樹脂が、ポリアミド樹脂(a)と、共重合ポリアミド、ポリアミド系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーから選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂(b)とからなり、その混合割合a:bが、90:10乃至0:100の範囲である請求項1または2に記載の円柱状ボンド磁石。
  4. 前記ポリアミド樹脂(a)の平均分子量が10000以上15000未満の範囲である請求項1から3のいずれか一項に記載の円柱状ボンド磁石。
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