JP2004182845A - 熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】、耐衝撃性及び柔軟性を有し、しかも高強度で耐熱性に優れる熱硬化性樹脂組成物、その硬化物及びそれを用いた摩擦材料を提供する。
【解決手段】フェノール樹脂(A)、ゴム状ポリマーからなるコア層をガラス状ポリマーからなるシェル層で被覆したコアシェル構造を有する真球状微粒子(B)及び硬化剤(C)を含有させてなる熱硬化性樹脂組成物;この熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物;及びこの熱硬化性樹脂組成物を用いた摩擦材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度で耐熱性に優れる高機能成形材料及び摩擦材料として、また、特に自動車、鉄道車両用ブレーキパッドのバインダーとして好適に用いられる熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂は、機械的特性、電気特性、耐熱性及び接着性等優れた特性を有しており、有機又は無機基材用結合材として優れた性能を有している。一方、フェノール樹脂は他のポリマーに比べて脆く、耐衝撃性及び柔軟性に劣る。また近年フェノール樹脂は、より高い耐熱性や強度が要求されている。
【0003】
そこで、耐衝撃性や柔軟性を高めるためゴムを分散したフェノール系樹脂が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。また、耐衝撃性、柔軟性及び耐熱性に優れたゴム分散型p−置換フェノール変性フェノール樹脂を使用することも提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、これら従来技術において混合されるゴムはフェノール樹脂との相溶性がないため分散性が悪く、耐衝撃性、柔軟性をあげるために多量のゴムを必要とする。これが逆に、耐熱性の悪化や強度の低下を引き起こしている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−184533号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開昭53−101051号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平3−17149号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平6−100646号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、耐衝撃性及び柔軟性を有し、しかも高強度で耐熱性に優れる熱硬化性樹脂組成物、その硬化物及びそれを用いた摩擦材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ゴム状ポリマーからなるコア層と、ガラス状ポリマーからなるシェル層からなるコアシェル構造を有する真球状微粒子をフェノール樹脂に配合することにより、上記の課題を解決することができることを見出した。すなわち、ゴム状ポリマーからなるコア層が耐衝撃性及び柔軟性をフェノール樹脂に付与し、ガラス状ポリマーからなるシェル層でコア層を被覆することにより、フェノール樹脂に対するゴム成分の分散性を向上させるものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の熱硬化性樹脂組成物、硬化物及び摩擦材料に関する。
(1)フェノール樹脂(A)、ゴム状ポリマーからなるコア層をガラス状ポリマーからなるシェル層で被覆したコアシェル構造を有する真球状微粒子(B)及び硬化剤(C)を含有させてなることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(2)硬化剤(C)がヘキサメチレンテトラミンである(1)記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3)フェノール樹脂(A)100重量部に対して、真球状微粒子(B)を1重量部〜50重量部及び硬化剤(C)を3重量部〜20重量部用いることを特徴とする(1)又は(2)記載の熱硬化性樹脂組成物。
(4)さらに硬化促進剤(D)を含有させてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5)硬化促進剤(D)がレゾルシンである(4)記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6)フェノール樹脂(A)100重量部に対し、硬化促進剤(D)を1〜5重量部用いることを特徴とする(4)又は(5)記載の熱硬化性樹脂組成物。
(7)フェノール樹脂(A)が、ノボラック型フェノール樹脂である(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(8)コアシェル構造を有する真球状微粒子(B)のコア層がアクリルゴムからなるゴム状ポリマーであり、真球状微粒子(B)の粒子径が0.1μm〜0.7μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いた摩擦材料。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)成分のフェノール樹脂は、特に制限はないが各種フェノール樹脂、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型クレゾール変性フェノール樹脂、ノボラック型ビスフェノール変性フェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、アルカリ性酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるレゾール型クレゾール変性フェノール樹脂、レゾール型ビスフェノール変性フェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレンやビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ビフェニル型フェノール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、グアナミン変性フェノール樹脂、及びフェノール類、アルデヒド類及び芳香族アミン類から合成されるベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、製造の安定性及びコストの点からノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
【0009】
フェノール樹脂の軟化点は80〜120℃が好ましく、90〜110℃がより好ましい。
【0010】
本発明において用いられる(B)成分のコアシェル構造を有する真球状微粒子は、コア層にゴム状のアクリル系ポリマーやスチレン系ポリマーが用いられ、シェル層にはガラス状ポリマーが用いられる。コア層のゴム状ポリマーとしては、ガラス転移点が60℃以上のアクリル系ポリマーがより好ましい。シェル層のガラス状ポリマーの表面は官能基による変性が可能で、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基等で変性し、分散を調整することが可能となる。中でもコア層がアクリル系ポリマーでシェル層の表面をカルボキシル基変性したものが、分散性の点から好ましい。コア層とシェル層の比率は、コア/シェル=80/20〜90/10(重量比)が好ましい。
真球状微粒子の粒子径は、0.1μm〜0.7μmであることが好ましく、0.1μm〜0.5μmの範囲であることがより好ましい。
【0011】
(B)成分のコアシェル構造を有する真球状微粒子の配合量は、(A)成分のフェノール樹脂100重量部に対して、1重量部〜50重量部であることが好ましく、更に好ましくは、10重量部〜30重量部である。1重量部未満では強度向上及び柔軟性付与の効果が不十分となることがあり、50重量部を超えると、流動性が低下し、成形が困難となる傾向がある。真球状微粒子は、通常、水等を分散媒とするエマルジョンの状態で保存されており、本発明の熱硬化性樹脂組成物を調製する際に、100℃以上で減圧濃縮することによって分散媒が除去される。
【0012】
本発明に用いられる(C)成分の硬化剤としては、特に制限はないが、例えばヘキサメチレンテトラミンが好適に用いられる。硬化剤の配合量は、(A)成分のフェノール樹脂100重量部に対して3重量部〜20重量部とすることが好ましく、硬化性又は成形性の点から特に好ましくは8重量部〜15重量部である。3重量部未満では樹脂の硬化が不十分となりやすく、20重量部を超えるとヘキサメチレンテトラミンの分解ガスの影響で成形品に膨れ、亀裂が発生し、強度が低下するおそれがある。
【0013】
本発明で必要に応じて用いられる(D)成分の硬化促進剤としては、特に制限はないが、例えばレゾルシンが好適に用いられる。用いられる硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が得られれば特に制限はないが、(A)成分のフェノール樹脂100重量部に対して1〜5重量部が好ましく、硬化性の点から特に好ましくは2重量部〜3重量部である。配合量が1重量部未満では硬化が不十分となる可能性があり、5重量部を超えると強度が低下する可能性がある。
【0014】
例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物をそのまま、又は必要に応じて充填材、強化繊維、着色剤等の添加剤を添加して、各種成形材料、自動車、鉄道車両用摩擦材料として用いることができる。上記の添加剤としては、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミックファイバ、銅繊維、黄銅繊維等の強化繊維、チタン酸カリウム、セピオライト、銅粉、黒鉛、カシューダスト、ゴムダスト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化カルシウム、ジルコニア、水酸化カルシウム、硫化モリブデン、硫化アンチモン、炭酸水素ナトリウム、アルミナ等の充填材、カーボンブラック等の着色剤が挙げられる。
【0015】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を摩擦材料のバインダーとして用いる場合、添加剤としては、通常、チタン酸カリウム、セピオライト、銅粉、黒鉛、カシューダスト、ゴムダスト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化カルシウム、ジルコニア、水酸化カルシウム、硫化モリブデン、硫化アンチモン、炭酸水素ナトリウム、アルミナ等の充填材、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミックファイバ、銅繊維、黄銅繊維等の強化繊維、カーボンブラック等の着色剤が用いられる。充填材の配合量は、フェノール樹脂100重量部に対して600〜1500重量部とすることが好ましく、800〜1100重量部とすることがより好ましい。強化繊維の配合量は、フェノール樹脂100重量部に対して200〜500重量部とすることが好ましく、300〜400重量部とすることがより好ましい。着色剤の配合量は、フェノール樹脂100重量部に対して10〜50重量部とすることが好ましく、20〜40重量部とすることがより好ましい。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。110〜180℃(例えば150℃)で溶融したフェノール樹脂中に、コアシェル構造を有する真球状微粒子のエマルジョンを添加し、0.5時間〜2時間、撹拌混合する。次に、常圧で2時間、減圧で2時間脱水した後、釜だしし、フェノール樹脂−真球状微粒子混合物を得る。硬化促進剤としてレゾルシンを使用する場合は、釜だしの直前に添加して溶融混合させることが好ましいが、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤とともに、レゾルシン等の硬化促進剤をフェノール樹脂−真球状微粒子混合物の冷却固化後の所定量に添加し、粉砕機で微粉砕して粉体樹脂を得ることもできる。粉体の粒径は、平均粒径で10〜60μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。この粉体樹脂をそのまま本発明の熱硬化性樹脂組成物として用いてもよいし、得られた粉体樹脂に、必要に応じて、上記の添加剤を添加して混合することにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物として用いてもよい。(B)成分の真球状微粒子と(C)成分の硬化剤は、(A)成分のフェノール樹脂中に均一に分散されていることが好ましい。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の成形方法としては、コンプレッション(圧縮)成形等を採用することができる。コンプレッション成形の場合、熱硬化性樹脂組成物を所定の金型に充填して、125〜200℃、1〜5MPaで5〜30分間(例えば、150℃、2MPa、5分間)加熱加圧して硬化させる。その後、150〜250℃で0.5〜4時間(例えば200℃で200分間)アフターキュアして、硬化物を得ることができる。このようにして、優れた耐衝撃性及び柔軟性を有し、しかも機械的強度が高く、耐熱性に優れる硬化物をえることができる。
【0018】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
以下に使用する樹脂の合成例を示す。得られた樹脂は、次の試験により評価した。
(1)軟化点
軟化点の測定は、JIS K 6910に準じて、下記のようにして行なった。内径19.8mm、高さ5.5mmの金属環(金属種:黄銅製)に樹脂を溶融充填し、環の試料上面中央に重量3.5gの金属球(金属種:鋼球)をのせ、所定の支持器に、金属環下端と支持器の底板表面との間隔が25.4mmとなるように金属環を固定した。1000mlビーカー内に支持器を設置し、グリセリンを注入した。温度計を液球の中心と環の下端が同じ位置になるようビーカー内に固定し、加熱を開始した。加熱を始めて3分後、浴液の温度上昇の割合を5℃/分とした。試料が次第に軟化して、鋼球とともに金属環から流れ落ち、底板に接触したときの温度を軟化点とした。
【0020】
(2)平均分子量
東ソー(株)製高速液体クロマトグラフにより測定した。HLC−8020型測定装置を用い、カラム構成G3000HXL+G2000HXL(2本)、溶媒THF、流速1.5ml/分、試料濃度0.01g/mlの条件で測定し、SC−8010型データ処理機により、数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを算出した。
【0021】
合成例1:フェノール樹脂(a)の合成
フェノール3.8kg、37%ホルマリン0.72kg、92%パラホルムアルデヒド0.76kg、シュウ酸10g、8%塩酸6.8gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた後、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去して、ノボラック型フェノール樹脂を得た。得られたノボラック型フェノール樹脂の軟化点は110℃、平均分子量Mn:790、Mw:1900であった。
【0022】
合成例2:フェノール樹脂(b)の合成
フェノール2.4kg、37%ホルマリン水溶液0.13kg、パラホルムアルデヒド0.5kg、シュウ酸3gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた後、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去して、ノボラック型フェノール樹脂を得た。得られたノボラック型フェノール樹脂の軟化点は82℃、平均分子量Mn:440、Mw:700であった。
【0023】
合成例3:フェノール樹脂(c)の合成
p−フェニルフェノール3kg、92%パラホルムアルデヒド0.6kg、シュウ酸45g、を5リットルフラスコに仕込み、トルエン溶媒中で還流温度で22時間反応させた後、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去して、フェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂の軟化点は110℃、平均分子量Mn:800、Mw:2100であった。
【0024】
実施例1〜12、比較例1〜3
上記合成例1〜3で得られたフェノール樹脂をベースにして、エラストマー(d):アクリルゴム((株)トウペ製 XH−2027D Mw:7万)、エラストマー(e):コアシェル構造を有する真球状微粒子(ガンツ化成(株)製 スタフィロイドAC−3832Em 粒径0.5μm、レゾルシン(住友化学(株)製 レゾルシノール)、ヘキサメチレンテトラミン(日本化成(株)製 ウロトロピン)を表1に示す組成で配合した。エラストマー(d)及び(e)の配合は、合成濃縮後150℃で溶融したフェノール樹脂中にエラストマー(d)のトルエン溶液又はエラストマー(e)のエマルジョンを徐々に添加し、1時間十分に撹拌混合した。次に、常圧で2時間、減圧(0.09MPa)で2時間、それぞれトルエン溶媒又は水を除去してエラストマー分散フェノール樹脂を得た。レゾルシンは釜だし直前に溶融混合し、冷却固化後、ヘキサメチレンテトラミンを所定量配合して、微粉砕を行い(平均粒径:32μm)、実施例1〜12及び比較例1〜3の樹脂組成物を作製し特性を評価した。
【0025】
【表1】
Figure 2004182845
【0026】
作製した実施例、比較例の樹脂組成物及びその硬化物を、次の各試験により評価した。評価結果を表2に示す。
(1)ゲル化時間
樹脂組成物0.3gを180℃に加温したゲルタイマー上で1回/1秒で撹拌し続け糸引きが無くなるまでの時間とした。
(2)樹脂流れ
樹脂組成物1gをφ1cmのタブレットにしてガラス板上に静置した。直ちに125℃高温槽に入れて3分経過後、板を30度に傾け10分間保持した。ガラス板を槽外に出し、冷却後流れた長さを測定した。
【0027】
硬化物の作製
実施例、比較例で作製した樹脂組成物(20重量%)に硫酸バリウム(60重量%)、炭酸カルシウム(20重量%)を混合し、150℃、2MPaで5分間コンプレッション成形した。200℃で200分アフターキュアした後、所定の大きさに切り出して、試験サンプルとした。
【0028】
(3)剪断強度
長さ100mm、幅10mm、厚み4mmに切り出した試験片を用いて、(株)島津製作所製テンシロンを用いて測定した。スパン間距離20mm、ヘッドスピード100mm/分の条件で測定し、曲げ強さを算出した。
(4)熱劣化率
剪断強度で使用する試験片を300℃で8時間加熱処理し、剪断強度を測定した。(加熱処理前の剪断強度−加熱処理後の剪断強度)×100/(加熱処理前の剪断強度)の式で算出した。
(5)弾性率
長さ60mm、幅10mm、厚み4mmに切り出した試験片を用い、デュポン(株)製DMA983型測定装置で測定した。昇温速度10℃/分で室温から300℃まで測定し、弾性率の温度依存性を測定した。
【0029】
【表2】
Figure 2004182845
【0030】
エラストマー(d)(e)のどちらもを配合していない比較例1では、弾性率が高かった。エラストマー(d)としてアクリルゴムを使用した比較例2では、強度及び熱劣化率が悪かった。アクリルゴム(エラストマー(d))に加えてフェノール樹脂(c)を配合して改善を図った比較例3では、弾性率が高くなった。エラストマー(e)としての真球状微粒子の量が多い実施例12は流動性が低下し、成形が困難ではあったが、その他の特性は良好であった。
これに対して、実施例1〜11の熱硬化性樹脂組成物は、成形作業性が良好で強度を低下させずに低弾性率で耐熱性に優れ、特に実施例1〜9は、高強度であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明になる熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物は、実施例で示したように成形性が良好でかつ耐熱性が良好で、高強度、低弾性率の硬化物が得られるため、その工業的価値は大である。

Claims (10)

  1. フェノール樹脂(A)、ゴム状ポリマーからなるコア層をガラス状ポリマーからなるシェル層で被覆したコアシェル構造を有する真球状微粒子(B)及び硬化剤(C)を含有させてなることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化剤(C)がヘキサメチレンテトラミンである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. フェノール樹脂(A)100重量部に対して、真球状微粒子(B)を1重量部〜50重量部及び硬化剤(C)を3重量部〜20重量部用いることを特徴とする請求項1又は2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. さらに硬化促進剤(D)を含有させてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化促進剤(D)がレゾルシンである請求項4記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. フェノール樹脂(A)100重量部に対し、硬化促進剤(D)を1〜5重量部用いることを特徴とする請求項4又は5記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. フェノール樹脂(A)が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. コアシェル構造を有する真球状微粒子(B)のコア層がアクリルゴムからなるゴム状ポリマーであり、真球状微粒子(B)の粒子径が0.1μm〜0.7μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を用いた摩擦材料。
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